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コミックスレビュー・インデックス [コミックスレビュー]

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ハ行-1 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「パートナー」
小花美穂・全3巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
ちょっとしたことで双子の妹とけんかしてしまった少女は、仲直りをする前に妹を交通事故で失ってしまう。しかし、その死体は病院から盗まれ、さらに数日後、少女は生き返った妹と再会した。
全体的に重い話で、ストーリーもわりと凝った作りになっている。ただし、説得力はなくもない、といった感じで、現実感にやや乏しい。現代物を扱うなら、もう少し現実感がほしかった。
また、終わり方も死人が生き返る話ではよくあるパターンで、もう少し工夫が欲しかった。
絵は全体的に手足が細すぎる。手と足の太さがほぼ同じ、というのは問題あり。

「ハートの国のアリス」
ほしの総明・全6巻・マッグガーデン(アヴァルス)
★ ★ ★
同名タイトルのPCゲームを漫画化した作品。
基本的に不思議の国のアリスをベースにしていて、各種擬人化されている。
話自体は面白いが、乙女ゲーがベースなだけに、男性が読むのはちょっと辛いかもしれない。
絵はスッキリしていて読みやすい。
終わり方は少々微妙で、特定の誰かを選んだわけでもなく、話の謎解きも匂わせる程度で終わっているので、キッチリした結末が欲しい人にはちょっときついか。

「ハードボイルドスクランブルエッグ」
木下さくら・全1巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★
作者の単行本未収録作品をまとめた、という言い方が1番しっくりくる短編集。
「魔探偵ロキ」(マ行参照)の外伝や「ニューパラダイス」(ナ行参照)の幻の2話など、作者の他の作品を知っていないと読めない話が半分くらいある。
本当にコミックス未収録の作品を寄せ集めただけなので、この本だけ買うのは危険。

「ハーメルンのバイオリン弾き」
渡辺道明・全37巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
この世の悪全てを封じ込めた箱をある女性が開けしまい、封じ込められていた魔族たちは世界中に飛び散り人を滅ぼそうとした。
そんな中で、超特大バイオリンの音色で魔物を倒す勇者が魔族の本拠地北へと旅を続けていた。
仮想世界であるにもかかわらず、登場する曲はバッハやモーツァルトなどで、世界観はかなりいい加減。
しかし、ストーリーにはかなり引き込まれ、ギャグもかなり面白い。
ストーリーの面白さのピークは14巻くらいで最後の方は失速気味だったが、終わり方には納得できたので評価は下げなかった。
ギャグのときの絵が見にくいことと、首がやたら細いことが欠点。終盤はかなり改善されたが。

「ハーメルンのバイオリン弾き~シェルクンチク~」
渡辺道明・全8巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★
上記作品の続編で、前作の子ども世代が主役となっている次世代編。
上記連載終了から間は空いたものの、話の雰囲気は前作を踏襲していて、他の作品では寒すぎると思えたギャグもこの作品だと普通に受け入れられる。
ただし、主要キャラがほぼ出揃い、敵もはっきりした段階で打ち切りになてしまい、話は中途半端に終わってしまった。
道半ばという感じなのが悔やまれる。

「BURN THE WITCH」
久保帯人・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
ロンドンの裏側に広がるリバース・ロンドンでドラゴンと戦う魔法使いたちの話。
世界観として「BLEACH」(ハ行参照)と共有している部分があるものの、そこまで近しいものではないので、別作品としてちゃんと読める。
キャラの個性が強く、ノリもいいのでサクサク読めるのがいい。

「灰色の乙女たち」
加藤理絵・全2巻・スクウェアエニックス(ステンシル)
★ ★ ★ ★
母親が亡くなり、働かない父親と共に暮らす少女。
バイトで家計を支えつつ生活していた少女だったが、あるとき父親が家出をして独りぼっちになってしまう。
決して絵が上手いわけではないのだが、引き込まれてしまう作品。
話は淡々と進んでいき、起伏があるわけではないが、そこがこの作品のいいところだとも言える。
終わり方は決してハッピーエンドではないが、それもこの作品の味だといえる。
騙されたと思って読んでみると面白いと思う。

「ハイガクラ」
高山しのぶ・一迅社(WARD)
★ ★ ★
かつて存在した4匹の凶神のうち2匹が逃げ出し、それと同時に他の神々もいなくなってしまった世界。
失われた神々を取り戻すため、2人の青年は旅を続ける。
古代の中国のような世界が舞台で、作者らしく設定がちょっと珍しい感じで引きつけられる。
全体的にキャラが多めでちょっと把握しにくいところはあるが、話はまとまっていて読み難くはない。

「廃墟サークル」
渡辺ゆうな・全3巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
大企業の跡取りとして勝ち残り、そのために生きてきた少年は、事故により性別を変えられ、跡取りとしての資格も名前も失ってしまう。
その復讐のため、少女となった少年は同じく復讐を誓う少年たちのグループに入り、その根城である廃墟で暮らすことになる。
いろいろとツッコミ所のある設定ではあるが、実際本編を読んでみるとそこまで気にはならない。
絵がかなり上手いので、絵が気に入れば買ってみてもいいかもしれない。
過去編がやや長い印象だが、話はきれいに完結している。
少し長めの読み切りのような印象だった。

「ハイスコアガール」
押切蓮介・全10巻・スクウェア・エニックス(ビッグガンガン)
★ ★ ★ ★
1991年のゲームセンター。ゲーセンに入り浸り、ゲームにはそこそこ自信のある少年は、ストIIで同級生の女の子に7連敗してしまう。そこで少年は卑怯極まりない待ちガイル&投げハメで少女に勝つが、そこからリアルファイトに発展してしまう。
そんな出会いだった2人のゲーセンでの物語。
当時のゲーセンを知る人だけでなく、知らない人でも説明がしっかりしているので面白く読める作品。
絵に抵抗が出てしまうかもしれないが、それで避けると損する作品。
当時のアーケードを知っている人なら買って損はしない。
面白さのピークは小学生編ではあるが、高校生編まで続いてきれいに完結した。

「ハイスコアガールDASH」
押切蓮介・スクウェア・エニックス(ビッグガンガン)
★ ★ ★
前作でヒロインのライバル役だった日高小春が中学生教師となった後の話。
ゲームの話が出てくるまでが結構長いが、それを乗り越えて、前作で小春の格ゲー特訓が好きだった人なら楽しめる作り。
前作ほどの吸引力がないのは残念。

「ハイパーレストラン!」
霧香&聖娜(3巻以降たかなし霧香)・全6巻・エニックス(ギャグ王・ガンガンWING)
★ ★ ★
レストランでアルバイトをしていた女の子が、レストランを救う勇者に連れ去られてそのまま冒険していく。
面白い部分とそうでない部分の差が激しく、面白い部分は声に出して笑えるが、そうでない部分は読むのに疲れる。
絵はまだまだ発展途上といった感じで、所々でアラが目立つ。
ギャグマンガとして終わり方には納得できた。

「バウンティソード ダブルエッジ」
大武ユキ・全1巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
PSソフト「バウンティソード ダブルエッジ」を漫画化した作品。
ゲームと漫画のキャラデザが同じ人なので、ゲームを実際にプレイした人でも違和感なく読めると思う。
ただし、ストーリーは中途半端なところで切れている。ストーリー運びが良かっただけに残念。
ゲームの雰囲気を感じたい人なら、買ってもいいと思う。

「はかいしんるるこ」
村山渉・全1巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★
かつて魔法使いに封印された破壊の神・るるこ。
彼女は現代に蘇るが、全ての力を失っていた。
突然女の子が居候としてやってくる、という典型的な話。
最後に少しだけ捻りはあるが、それ以外は平凡な作り。
作者が好きなら。

「博士の不可解な夜宴」
木下さくら・全1巻・マッグガーデン(まんがこっち)
★ ★
世界各国が覇権を争っていた時代。
大邸宅にたった2人で暮らす少年と青年の元に、失踪したとある博士を探して軍がやって来る。
全編割とシリアスな雰囲気になっていて、作者のシリアスな話に期待して読んだのだが、いまひとつな出来だった。
つまらなくはないのだが、設定が割とありがちで、吸引力がなかった。

「バガタウェイ」
古日向いろは・全12巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
小さな離島で暮らしていた少女は、母の勧めで本当の高校に寮住まいで通うようになる。
少女はそこでラクロスに出合い、のめり込んでいく。
高校のラクロスをテーマにした作品で、読んでいるとしっかりラクロスのことがわかった上で描いているというのがわかるので、なかなか読みごたえがある。
話のテンポが割と早いので、大量の登場人物を把握できれば面白く読むことができる。
大会編を最後まで描き切って、きれいに完結した。

「鋼の錬金術師」
荒川弘・全27巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★ ★
人体練成に失敗し、失った体を機械で補った錬金術師の兄弟。
その兄弟が元の体を取り戻すために旅をする物語。
これぞ少年漫画、といった雰囲気で、テンポがよく一気に読める。
脇役にも味があり、キャラもよくたっているし、話もいい。
絵は既に完成されていて読みやすい。アクションシーンにも迫力がある。
話も最後までだれることなく、これだけ長い巻数で無駄がないと感じられるのがすごい。
間違いなく名作。

「パカ★RUN」
中林嵩晶・全3巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
莫大な借金を抱えながら弟妹たちを養う女子高生の少女。
少女は地下競馬の騎手の目に留まり、少女たちが馬に乗りながら剣で戦う地下競馬の騎手になることになる。
黒乃奈々絵さんが原作の作品で、架空の競馬を舞台にしている割には競馬の知識もしっかりしている印象。
一見無理のある設定にも見えるが、読んでいるうちに納得させられてしまうところがあり、違和感はない。
残念ながら打ち切りとなってしまったが、そこまで中途半端な終わり方ではなかったのが救い。

「獏」
びっけ・全4巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★
悪夢を見ると信じしまう、という病気が流行った中世ヨーロッパ。
その時代で悪夢を食べる術師・獏とその従者たちの物語。
悪夢を食べる獏、という設定はよくあるもので、それ以外の個性は乏しい印象。
作者の頭の中だけで話が進んでいる箇所もいくつかある。
話はきれいにまとまったのだが。

「幕末風来伝斬郎汰」
喜名朝飛・全6巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
幕末の動乱期に「血袴の斬郎汰」と呼ばれた幼い剣士がいた。
彼は親を殺した兄弟弟子を探して旅を続け、その途中で少女と出会う。
読み始めたとき「るろうに剣心(ラ行参照)」に近い内容だと感じたが、読み進めていくと似ていると感じることはなくなる。
ストーリーは中盤まではよかったのだが、5巻の途中以降かなり急ぎ足な展開になってしまって残念。様々な伏線をもっと有効に使ってほしかった。
絵はまだ未熟だと感じられるが、見づらくはない。

「バクマン。」
小畑健・全20巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
コンビで漫画家になった2人の少年と、声優を目指す少女。
いつか自分の描いた漫画がアニメ化されたら、少女がそのヒロインを演じる。
その夢が叶ったら結婚するが、それまでは会わないと約束した2人の物語。
とにかくジャンプの裏側がわかる作品で、作品の作り方はもちろん、原稿料からアンケートのことまで、かなり細かく描かれている。
ちょっと違った角度から漫画が読めるようになる作品。
マンガをたくさん読んでいる人にお勧めしたい。
最初に提示された夢が叶うところまで話は続くが、もう少し先まで読んでみたいと感じるのが少し残念なところ。

「爆力冒険メガバーン」
西川秀明・全3巻・エニックス(ガンガン)
★ ★
冒険好きの少年が、ある日突然巨大な空飛ぶ機関車に襲われ別世界に連れて行かれる。
最初の頃はこれから面白くなるかな、と思わせる内容だったが結局面白くならないまま終了。終わり方も中途半端で打ち切りのようだった。
最初かなりの美形キャラとして登場した敵も変に崩れてしまい残念。
とてもきれいな絵が描けるのに、くずした絵が多かったのが悪かったのか。

「化物語」
大暮維人・全22巻・講談社(マガジン)
★ ★ ★ ★
同名タイトルの小説を漫画化した作品。
吸血鬼の眷属として不老不死になってしまった少年と、様々な怪異に取り憑かれた少女たちの物語。
登場する怪異がどれも個性的で、じっくり読まないと原理がよくわからない部分はあるが、絵がとにかくきれいなので、読む価値は十分にある。
丁寧に原作を追って行ってくれているので、話の時系列はわかりやすい。
原作での「猫物語」まで描かれていて、最後はきれいにまとまっている。

「はこぶね白書」
藤野もやむ・全7巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★
どうしようもなく成績が悪く、少女が何とか入試に合格した学校は、動物が人間のことを学ぶための、動物が人間に化けて通う学校だった。
ほのぼのとした雰囲気があり、作者の作風がよく活かされている作品。
特に大きな事件もなく、話にあまり起伏もないが、癒しを求めている人にはお勧め。
謎解きは全て行われたものの、唯一、最後が打ち切りのように突然終わってしまったことが残念。
まとめ方も無理矢理に見えた。

「ハザマノウタ」
介錯・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★
姉を魔族に殺された魔族の血を引く少年と、片羽にコンプレックスを持つ天使の少女。
両親の再婚で、2人は期せずして兄弟となって一緒に暮らすことになる。
ギャグとシリアスが半々くらいの作品なのだが、シリアス部分の方が格段に面白い。
連載終盤までかなり面白く読めていたのだが、最後は打ち切り。
かなり中途半端に終わってしまったのが残念。

「はじめての甲子園」
火村正紀・全7巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
生徒数1名という高校で甲子園に出場しようとがんばる少年の物語。
設定だけを見るとギャグマンガ以外の何物でもないが、実際は3割くらいシリアスな部分があり、丸っきりギャグにしていないのが逆にいい。
ただ、9人メンバーがそろう前に話が打ち切りとなり、残念。もう少し早く展開していればよかったのかもしれないが。

「はじめてのひと」
谷川史子・集英社(ココハナ)
★ ★ ★
初めて好きになった人だけでなく、初めて憎んだり、執着したり、愛されたり、と大人になってから体験する「はじめて」が描かれたオムニバスストーリー。
対象年齢は割と高めで、そのせいかハッピーエンドは少なめ。
大人の女性の日常が描かれていて、いい意味で生活感がある。

「はじめてのふたり」
夢路行・全1巻・一迅社(きららセーズ)
★ ★ ★ ★
毎日すれ違う駅でお互いを意識し始め、付き合うことになった2人。
すれ違いの日々だったり、誤解があったり、それでも不器用に2人は付き合いを深めていく。
少女漫画おなじみの三角関係とかライバル登場ということはなく、不器用に付き合っていく2人を見守っていく感じに読める作品。
あの頃はあんな感じだったな、と思える20代の女性に読んでほしい話。

「ハスク・エディン」
如月芳規・全4巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
古代城塞都市エルドラドを守るために編成された軍と、エルドラドを狙うテロリストたち。
軍で戦う少年兵たちは、エルドラドが何であるのか、何があるのかも知らずにその命を散らしていく。
少年兵たちの視点で話は進んでいき、その視点は話毎に代わるオムニバス形式。
序盤から重要人物と思われる人たちがサクサク死んでいき、いい意味で話がどこに向かうのかわからないのがいい。
少しずつ明かされていく謎など、話の吸引力は非常に強い。

「バス走る」
佐原ミズ・全1巻・新潮社(バンチ)
★ ★ ★ ★ ★
バスに関わるいろいろな人たちの恋愛を描いたオムニバス作品。
ハッピーエンド・アンハッピーエンド、様々な終わり方があり、オムニバスとしては非常によい出来。
絵も切ない感じがしてよい。
表紙は百合っぽいが、中身はノーマル。

「PUZZLE+」
菅野マナミ・全2巻・マッグガーデン(マサムネ)
★ ★ ★
様々な人の前に現れては、その人の願いを叶えてくれる箱があった。
しかし、願いを叶える度に箱の鎖は外れていき、7つ全て外れると箱が開いて何かが起こるらしい。
それを防ぐために、少女は箱が現れては壊していく、という作業を続けていた。
2巻で完結すると予め決まっていた作品なので、話の流れは非常にスムーズ。
まだ話を見せることに慣れていない、というのは各画面で感じるが、悪くはない印象。
しかしながら、最後は少々盛り上がりに欠け、いまひとつの印象だった。
その盛り上げさえ出来ていれば、評価は上げたかもしれない。
努力の跡は見えたのだが。

「蜂の巣」
峰倉かずや・全1巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★ ★
治安の悪化により、死体から臓器を抜いて売買する臓器荒らしが横行するようになった時代。
死体を回収して正規に火葬する「葬迎員」の2人が事情のある死体を回収してまわる物語。
臓器売買の元締めなども登場するが、話はその人と主人公が出会う前に終わっていて、出来のいい話だけに続きが読みたいと思うし、これで終わってしまうのが惜しいと感じる。
Arcanaに収録された読み切りも再録されており、作者のファンなら買って損はしない。

「ハチミツとクローバー」
羽海野チカ・全10巻・集英社(YoungYou)
★ ★ ★ ★ ★
安アパートに暮らす美大学生と、見た目がかなり幼いながらも芸術的な才能を持つ少女、またそれを取り巻く人たちの物語。
作品全体に漂うほのぼの感がよく、さりげない日常を描きながら非日常的なことが起こったりと、そのバランスがすごくいい。
絵の雰囲気も物語と合っている。
途中で少し中だるみするところもあったが、最後はわりときれいに完結していて納得。
いい作品だった。

「ハツカネズミの時間」
冬目景・全4巻・講談社(アフタヌーン)
★ ★ ★ ★
ある隔離された学園で暮らす4人の男女。
その生活に慣れきっていた4人だったが、1人の転校生が来たことにより、学園のあり方に疑いを持ち始める。
設定はわりとありがちなのだが、予想できない展開が待っていて飽きることなく読める。
絵も話に合ったいい雰囲気を持っている。
終わり方は作者らしいというか、全部が全部ハッピーエンドではない。
ただ、これも1つの結末という意味で納得できるものでよかった。

「はつきあい」
カザマアヤミ・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
初めて付き合った恋人同士のオムニバスストーリー。
中高生だけでなく、社会人の話もあるなど、年齢層も割と幅広い。
ほぼ男性視点の話だが、話は少女漫画っぽい。
読んでいてやや恥ずかしい感じはあるが、絵が好みなら問題はないと思う。
読後感はなかなかいい。

「初恋限定。」
河下水希・全4巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
とある街の中学・高校に通う男女の初恋を描いたオムニバス作品。
登場人物は結構多く、その中の数人の恋愛にスポットを当てた話が数話ずつ描かれている。
特に主人公はいない。
そのため、結構ちゃんと読んでいないと人物相関がわかりにくい。
恋愛ものが好き・この絵が好き、という人なら楽しめるとは思う。
最後は打ち切りだったせいもあって、まとめられるところだけまとめたような印象。

「Happy!」
浦沢直樹・全23巻・小学館(スピリッツ)
★ ★ ★ ★
兄が2億5千万の借金を抱え、少女はそれを返済するためにテニスで賞金を稼ぐ決心をする。
同作者の作品「YAWARA!」(ヤ行参照)と主人公の年齢、顔が似ているが性格は違っていて芯が強く、そこに好感が持てる。
また、とにかくここまで憎々しいキャラはいただろうか?と思えるキャラがいるのもいい。
絵は浦沢さんの絵が完成されていて、とても見やすくていい。
終わり方もほぼ満足のいくものだった。

「はっぴいヱンド。」
有田イマリ・全5巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)

田舎に引っ越してきた少女は、少しずつ地域に馴染んで楽しく暮らしていた。
しかし、ある日毎日書くように言われていた学級日誌を書き忘れてしまい、罰ゲームとして殺されてしまう。けれど、気が付けば転校初日に時間が巻き戻っていた。
タイムリープをしながら少しずつ真相に近付いていくタイプの話なのだが、どういう仕組みでタイムリープが起こっているのか、タイムリープを起こしているのは誰なのか、という謎解きが終わったところで連載終了してしまった。
ループを抜け出すところまでやってくれればもっと評価は高かったのだが……

「ハッピーシュガーライフ」
鍵空とみやき・全10巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★ ★
幼い頃に両親を亡くし、叔母による歪んだ愛情の下で育てられた少女・さとうは愛を知らなかった。
気の向くままに男遊びをしていたさとうだったが、あるとき街で出会った少女・しおを拾い、愛を知る。2人はささやかに暮らしていたが、しおを探す少年が現れて2人の暮らしに変化が表れる。
ほとんどの登場人物がある種の異常者、ということで、いい意味でどす黒い話が楽しめる。
特に登場人物の1人・太陽はいい変態になっている。
話の進むペースが少し遅いというのはあるが、謎解きをすべて終えた上で、最後はきれいに完結している。

「HAPPY BOY」
江川達也・全3巻・エニックス(ガンガン)

平和な村で暮らす男の子が、砂漠で倒れていた魔法使いの少女を助け、強い戦士を探しているという少女に従い村を出ていく。
「ガンガン」が隔週として新創刊する際に看板作品としてスタートした作品。
作者も有名なだけあって、絵は描き慣れており安定感があるが、手を抜いているように見えてしまうのは残念。
ストーリーは2巻以降面白くなってくる感じがしたのだが、ものすごく中途半端に終了、残念。

「破天荒遊戯」
遠藤海成・全24巻・エニックス→一迅社(Gファンタジー→ゼロサム)
★ ★ ★
突如父親に家から追い出されて旅に出されてしまった少女が、街で偶然出会った青年と旅をすることになる。
ストーリーのテンポは良く、キャラもよく立っているので楽しく読める。
絵は全編通してあまり安定しないが、読みにくくはない。
話が盛り上がってくるのは10巻以降で、連続して謎解きがある10巻台の吸引力はかなりのもの。
ただ、すべての謎解きを終えずに最終回を迎えてしまい、話として区切りはついたけどモヤモヤする部分は残ってしまった。

「花いちもんめ」
渡千枝・全1巻・ぶんか社(ホラーM)
★ ★
「死者とのアクセス」の続編。
前作に続いて低年齢向けの話であまりいいと思える話もなく、前作からの伏線も途中で変えられてしまったようで、おかしな回収のされ方をしていたのが残念。
「理科室の骨」という話はわりとよかったが。

「花帰葬」
幸田真希・全2巻・マッグガーデン(アヴァルス)
★ ★ ★
同人PCゲームが原作の作品。
ゲームとは主人公を変えているようだが、なかなか面白く読める。
美形ばっかり出てくるとか、BLっぽいとか、その辺りが気にならない、もしくは好きだという人にはわりとお勧め。
話や設定がキッチリしているので、読んでいて安心感がある。
終わり方もきれいだった。

「華園ファンタジカ」
上田信舟・全3巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
様々な種族が通う学校に、引きこもりの姉の婿探しをするため、その弟が性別を女性に変えて入学してくる。
今までの作者の作風とは少し違い、全体的にかなり明るい話となっている。
あまり重い展開はなく、気楽に読める感じで楽しい。
キャラも全体的に立っている。
割と楽しく読めていたのだが、最後は打ち切りみたいな感じ。ちょっと中途半端に終わってしまって残念。

「花と惑星」
谷川史子・全1巻・集英社(クッキー)
★ ★ ★
片思いの先輩に思いを告げようと必死の少女だったが、近くには彼女を見ている少年もいて……
極々普通の少女マンガの短編集だが、どの作品もそれなりに読める。
最終的にはどれもハッピーエンドなので、読後感はよい。

「バナナのナナ」
鬼八頭かかし・全2巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★
1人1つ特殊能力を持ち、その能力を保つために代償を払う制約のある世界。
バナナを自在に操れる能力を持ち、能力を使うとバナナを皮ごと食べないといけないという制約を持つ少女とその姉は冒険者になるべく旅立つ。
バナナを自在に操れる能力など、初期設定は割と面白かったものの、話が進むに連れ普通の話になってしまっているのが残念。
それ故か、最後はものすごい打ち切り展開で、超展開になっている。作者がある意味暴走している感じ。
手を出さない方が無難。

「BANANA FISH」
吉田秋生・全19巻・小学館(フラワーコミックス)
★ ★ ★ ★
ベトナム戦争の最中、1人の兵士が「バナナフィッシュ」という謎の言葉を残して死亡した。
そして1985年のアメリカで、ストリートキッドのボスである少年は路地裏で倒れた男からペンダントを受け取り、その男もまた「バナナフィッシュ」と言い残して死んだ。少年はバナナフィッシュをめぐる争いに巻き込まれていく。
ストーリーにいつも一定の緊張感があっていい。
7巻くらいまでのバナナフィッシュをめぐる争いはかなり面白かったが、それ以後は話の路線がそれてしまって残念。しかし、最終巻の出来がよかったので評価は落とさなかった。
絵柄は1巻と10巻を比べるとかなり違うが、きれいに成長したという感じで好感が持てる。
描き込みすぎがなくてすっきりとしている。

「華の神剣組」
松沢夏樹・全7巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★ ★
日本一の剣士を目指す少年が、鬼を退治する神剣組に入って鬼を退治して行く話。
作者の作品としては珍しく、ほとんどシリアスな展開で進んで行くのだが、そこが面白い。
この作者はシリアスだけでもいいものが描けるのだ、と驚いた。
最初から最後まで無駄な展開がなく、終盤の盛り上げもよかったし、終わり方にも納得。
しかしながら、そのシリアスさについていけるだけの画力がないことが唯一の欠点。
下手ではないのだが、迫力に欠ける。

「花祭」
あき・全1巻・リブレ出版(Daria)
★ ★ ★
芸を生業とする「花」と呼ばれる少年たち。花はパトロンとなる花主を求め、花主はよりよい花を探し、花を切り捨てていく。
そんな世界で生きる花や花主たちの物語。
話はどうやら1巻で終わってしまったようで、残念ながら登場人物たちの話にはあまり決着がつかないまま終わってしまっている。
設定や雰囲気がかなりいい作品だけに、残念。

「はなまる幼稚園」
勇人・全11巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
少しませた幼稚園児と先生が過ごす日常の物語。
ませてはいても所詮は幼稚園児、という感じが上手く表現されていて、子どもが好きな人には結構お勧め。
ませた幼稚園児を扱う「クレヨンしんちゃん」(カ行参照)とはまったく別の印象で、萌える要素も多い。
絵もかわいらしく、読みやすい。
話としてもう少し続いてもおかしくはなかったが、間延びする前に完結。
きれいにまとまっている。

「花を咲かそう」
あいざわ遥・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
花が好きな女の子が、同級生で花屋の寡黙な男の子に恋をする。
タイトルになっている作品はかなり短く、都合のいい展開が気になる。
また、他に収録されている作品も特に目立ってよい作品はない。
ただ、主人公自身の恋愛がない作品があるので、それは他の作品と視点が違っていて評価できる。

「ぱにぽに」
氷川へきる・全17巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
オチがあるようでないような1P学園コメディー。
あまり面白いと思ったことはないのだが、ウサギの話が好きなので買ってみた。
作品として徐々に伸びていった印象で、途中でアニメ化するなど予想外の人気も出た。
最後はギャグ漫画らしく、終わったような終わっていないような、という終わり方。
世界観が気に入れば読んでみても。

「パノラマアワー」
吉川博尉・全1巻・マッグガーデン
★ ★ ★
「瓦礫の楽園」(カ行参照)に収録されている作品などを再編集した短編集。
ある程度加筆されているので、こちらの方が完成度は高い。読める話も多かった。
作者の短編集を買うならこちらがお勧め。

「パパムパ」
もち・全3巻・エニックス(ステンシル)
★ ★ ★
動物保安隊として世の動物を守ろうとするパパムパという生物と、そのパパムパに保安隊として任命された2人の少女の物語。
序盤はギャグマンガとして弾け切れていない部分があったが、回を重ねる毎によくなっている。声に出して笑ってしまうこともしばしば。
絵はまだ不安定。

「PAPUWA」
柴田亜美・全14巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★ ★
「南国少年パプワくん」(ナ行参照)の続編で、前作から4年後の設定。
とにかくギャグの切れがよく、笑わない回がないくらいに笑える。
シリアスなところもいい。
前作を知らないと話に入りにくいところがあるので、読み始めるのなら前作を読んでから。
最後までギャグの質が衰えることなく終わってくれたのはよかった。

「バベルハイムの商人」
古海鐘一・全5巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
運命金貨という悪魔の通貨を手にすることにより、悪魔との取引が可能となる。
悪魔は要望に合わせた様々なアイテムを売ってくれるが、使用するにはリスクもある。
「世にも奇妙な物語」「笑うせぇるすまん」のような作品で、こういう話が好きな人なら割と楽しく読める。
序盤は人間が自滅する割とよくあるパターンだが、次第に捻りが効いてくる。
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サ行-6 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「殲鬼戦記ももたま」
黒乃奈々絵・全10巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
桃太郎の子孫が鬼退治の方法を学ぶ学校に、鬼の子孫である少年が入学した。少年はそこで鬼退治の方法を学ぶ。
「PEACE MAKER」(ハ行参照)を休載してまで始まった連載だが、そこまで面白くない。
作者の趣味が反映されている部分が多くあり、作者が楽しく描けているとは思うが、自己完結しているように見える部分もある。
主人公にそこまで共感できないというか主人公の性格があまりよくないので序盤は読むのが割とつらかったが、謎解きの辺りはそれなりに面白く読めた。
絵は迫力があってよい。

「閃光華るびくら」
見田竜介・全4巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
「朱玄白龍るびくら」(サ行参照)の続編。
前作では変に狙ったシーンやサービスカットもどきが多いのが気になったのだが、掲載誌が移動して本作になってからはそういったシーンもなくなり、一気に面白くなった。
やはり絵に癖があるので、それを受け入れられるかどうかがポイントだが、慣れればあまり気にならない。
ハッピーエンドできれいに完結しており、最後の盛り上げもよかった。一見の価値あり。

「戦國ストレイズ」
七海慎吾・全15巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★ ★
北海道の剣道がやらたと強い女子高生が戦国時代にタイムトリップしてし、織田信長に拾われる。
イケメン戦国武将の話かと思いきや、結構しっかりした歴史ものの話になっている。
それなりに史実に沿った展開でもあるし、タイムスリップしたのが主人公だけではなかったりするので、最後まで飽きずに読めた。

「仙術師はくじけない」
川添真理子・全1巻・新書館(WINGS)
★ ★ ★
美形な男好きの仙術師(男)が旅をしながらいい男を見つけては、彼らの周囲で起こる事件を解決していく。
この手の話としてはわりとよくある展開ではあるものの、それなりに楽しめる。
長期連載となるとワンパターンになるだろうが、全1巻のものとしてならば気にならない。
初期作品よりも絵がだいぶ上達しているので、わりと読みやすくなっている。

「仙術師は恋におぼれる」
川添真理子・全1巻・新書館(WINGS)
★ ★
上記作品の続編。
続編となるとワンパターンが心配だったのだが、わりと話が工夫されていて普通に楽しめた。
ギャグもそこそこ面白かった。

「仙術師と魔神の城」
川添真理子・全1巻・新書館(WINGS)
★ ★
上記作品の続編。
上記作品でシリーズ完結となったはずだったが、復活した。
話のパターンは同じなので、今までの話が好きな人なら、それなりに楽しめる。
短編ではなく、1巻分の長編なので、話は割と練られている。

「仙術師と復讐の琴」
川添真理子・全1巻・新書館(WINGS)
★ ★
上記作品の続編。
この巻から完全に続編前提の作りになっていて、いろいろと伏線も張られ始めた。
話のノリは今までのものとほぼ同じ。

「仙術師と災厄の壺」
川添真理子・全2巻・新書館(WINGS)
★ ★ ★
上記作品の続編で、初めて1巻完結ではない話。
シリーズで初といっていい、ストーリーの根幹に関わる謎解きがでてきて、やっと出てきた、という感じがした。
悪くない出来だった。

「戦線スパイクヒルズ」
井田ヒロト・全7巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★ ★
天才的なスリの才能のある少年は、あるとき同じ学校の少年に有名私立大学の入試問題を盗む話を持ちかけられる。
小説「平成のトムソーヤー」を漫画化した作品で、原作を読んだことはないものの、非常に上手く漫画化しているように感じる。下手に時代設定を現代にせず、原作のまま90年代の話として描かれていたのが良かった。
小説にないエピソードも多数入っているようだが、それがプラスになっているところは評価できる。
登場人物もさほど多くなくて話に入りやすいし、キャラも立っている。

「戦場ハピィ・ライフ」
美川べるの・全1巻・講談社(別フレDX Juliet)
★ ★ ★ ★
高校生でちょっとおかしい者同士の彼氏と彼女の4コマ漫画。
実際にはありえない話というのはあるが、それを気にせず笑える。思わず声に出して笑ってしまうような場所も多い。
作者のファンなら買って損しない。

「聖クラリス探偵団」
祥寺はるか・全2巻・エニックス(ギャグ王)
★ ★ ★
聖クラリス学園・探偵部のメンバーが依頼された事件を解決していく話。
少年探偵彼方(サ行参照)の主人公の従弟が主役で、こちらの方がやや頼りない感じ。
事件も少年探偵彼方のように犯人が3人に限定されていて、ちゃんと読めばわかるようになっている。
ちょっと頭の体操をするのにいいかもしれない。
日本中の名士の子弟たちが集まってくる学園が舞台なのだが、あまりにも現実離れした設定に感じてしまうのは残念。

「戦国月夜」
大橋薫&楠桂・全2巻・集英社(クリムゾン)
★ ★ ★
戦国時代に鬼姫と呼ばれた姫の生まれ変わりの男の子と、その男の子を守る霊の話。
大橋薫・楠桂の合作。作者は双子同士で絵の雰囲気も近いので、それぞれ別のキャラを描いていても違和感はない。
無理なつじつま合わせもあるものの、ストーリーは既存のものに対しての工夫が見られ、なかなか良い出来になっている。

「セント・ミラージュ・ガーディアン」
沢田翔・全1巻・スクウェアエニックス(Gファンタジー)
★ ★
セント・ミラージュ学園の生徒会メンバーが学園で起こる様々な事件を解決していく。
とにかくキャラが先行している話で、もっと話が長ければ違っていたかもしれないが、全1巻ではキャラだけの作品だと言っていい。
話も悪くはない程度に仕上がっているが、キャラ紹介だけで終わってしまった雰囲気もある。
絵には癖があり、少々読みにくい。

「千の月」
榧世シキ・全1巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★
中央統治局特別捜査部に籍を置く2人の青年。
2人のもとに持ち込まれるさまざまなちょっと不思議な事件を扱った作品。
雑誌掲載のときにはバラバラだった話が、描き下ろしを加えることできれいにまとまっている。
絵と話の雰囲気が暗く、少し読みにくいが、単純なハッピーエンドばかりではなくてよい。

「蒼海訣戰」
納都花丸・全10巻・一迅社(REX)
★ ★ ★ ★
人種差別がまかり通る世界で、被差別人種でありながら海軍幹部の養子となった少年が海軍士官学校に入学する。
少年はそこで差別を受けながらも成長していく。
主人公が猫耳なのでちょっと誤解が生まれそうなのだが、内容はかなりシリアスで重い。表紙で判断せずにまず読んでもらいたい作品。
話としては一応キリのいいところで終わっているが、謎のまま残されている部分も多々ある。

「蒼海訣戰-世界編-」
納都花丸・全1巻(打ち切り)・アスキー・メディアワークス(電撃ジャパン)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。
話は完全に繋がっていて、ここから話に入れるようには作られていない。
掲載誌の休刊に伴いコミックスが2巻以降発行されず、雑誌掲載分は同人誌として販売されたらしい。
ここから話が広がっていく、という段階で消えてしまって非常に残念。

「装甲悪鬼 村正 魔界編」
銃爺・全5巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★
原作はPCゲームで、本作はその外伝的な作品。
24件の殺人事件の罪に問われている青年の物語。
1話はかなり引き込まれる内容だったが、以降は戦闘シーンが多くて話の進み方が遅く、話もいろんなキャラにスポットが当たるものとなり、状況把握が大変になってしまった。
絵は迫力があっていいものなのだが。
最後も魔界編としては話が終わっているが、別作品への誘導があったりして、中途半端だった。

「葬送曲ナイトメア」
亜樹新・全2巻・マッグガーデン(マサムネ)
★ ★
人の悪夢を食べる獏が経営するお店。悪夢を持った人はなぜかその店を訪れてしまう。
第1話はあまりにも「夢喰見聞」(ヤ行参照)と似すぎていてどうかと思ったのだが、以降は個性が出てきていて、何とか読むことが出来た。
4・5話目の出来はなかなかよかったと思う。
しかし、その後は話がわかりにくくなってしまい、作者の頭の中だけで話が展開していた印象。
終わり方は悪くなかったのだが。

「蒼天をみる想い」
夢路行・全1巻・スタジオDNA(クレッセント)
★ ★
宇宙を旅しながらカウンセリングを生業とする人たちが相談者たちの心を救っていく話。
舞台は宇宙空間ではあるが、あまり突飛な感じもなく、宇宙ということを上手く利用して話が進んでいく。
若干納得のいかない話もあるが、おおむね読後感はよい。

「壮太君のアキハバラ奮闘記」
鈴木次郎・全6巻・スクウェアエニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
隠れオタクだった荘太は、ある店に出会うことで彼女にも友人にもオタクであることをカミングアウトする。
以来、荘太はオタクの道を更に進み続けることになる。
設定がなかなか面白く、キャラも立っている。
笑えるところも結構あり、思わずうなずいてしまう話もある。
この作品自体はよかったのだが、連載途中で作者が別連載を同じ雑誌で始めてしまい、その影響で半ば打ち切りのようにこの作品が終わったのは非常に残念。
もっと読みたかった。
絵はちょっと個性が強いが、読みにくいことはない。

「蒼太のみち」
瀬尾真由子・全2巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★
生まれながらに制御できない力を持ってしまったために洞窟に隔離されて育てられた少年が、制御を可能にする仲間を手に入れ、外の世界で暮らすようになる。
話はそこそこ面白いが、絵がまだまだ成長段階で読み難いことが欠点。
話はわりときれいにまとまっているが、何とか及第点、というくらい。

「双翼の武装使い」
sanorin・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
人類が滅亡に向かおうとしている中、規格外の身体能力と頭脳をそれぞれ持つ2人が能力武装を手に入れて世界を救うために立ち上がる、という話。
主人公2人が無双していく話なので、基本的に読んでいてスカッとする展開が多い。
序盤は割と面白かったのだが、主人公2人が能力者の学園に入学する、という展開になってから一気に普通の話になってしまい、残念。
最後は完全な打ち切りで、無理矢理ラスボスとの戦いに挑むシーンを挟み込んで何とかまとめた、という感じになってしまっている。
絵は安定して上手かったのだが。

「ソウルイーター」
大久保篤・全25巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
99個の人間の魂と1個の魔女の魂で魔鎌は死神の武器となれる。
その死神の武器となることを目指す魔鎌の少年と鎌職人の少女の物語。
女性の裸が多いなど、少々狙った描写は多いが、アクションシーンの迫力はさすがのもので、引きつけられる。
話に勢いもあるので、少年漫画を求めている人にお勧め。
ラスボスとなる鬼神の復活から最終決戦までが異様に長かったことだけが残念だが、最後は割ときれいにまとまっている。

「ソウルイーター ノット!」
大久保篤・全5巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
上記作品の外伝で、本編の登場人物たちもたまに出てくる。
上記作品が武器と職人たちの戦いをメインにしているのに対し、こちらは武器と職人たちが通う学校の話がメインとなっている。
全編通して明るい雰囲気になっていて、いろいろと設定を補完する話にもなっているので、本編を知っているなら読んでおいて損はない。
ただし、本の判型が違うので、本棚に並べるときにちょっと困る。

「SOULGADGET RADIANT」
大森葵・全10巻・一迅社(REX)
★ ★ ★
人の体と一体化し、強力な武器となる霊魔装具。
記憶をなくし、唯一の手がかりである霊魔装具を持った少年が自分の過去を探しながら、自分を拾ってくれた人と生活していく。
ストーリーはオーソドックスながら、テンポのいい話の進め方で結構読ませてくれる。
絵が少々読みにくいのが辛いところ。
話はキッチリ最後まで描き切っていて、読後感のよいハッピーエンドとなっている。
最終決戦の盛り上がりもよかった。

「続・愛はかく語りき」
楠桂・全1巻・集英社(マーガレット)
★ ★ ★
「愛はかく語りき」の続編。
楠さんが初めて恋愛の最終結果を結婚とした話。
主人公が売れっ子漫画家だったのに落ち目になるところなどいいと思ったのだが、その漫画家生命が最終的にどうなったのかがわかりにくいので、評価は上がらなかった。
ラストはほぼ納得できる。

「続 心の星に輝きを」
松葉博・マッグガーデン(携帯配信)
★ ★ ★
「もっと心の星に輝きを」(マ行参照)の続編。
前作から数年経過していて、前作の主人公も出てくるが、サイドストーリーがメイン。
前作で語り切れなかったところが描かれているので、前作を知っているなら読んでもいいとは思う。
ただ、展開が都合がいいというかツッコミどころは多いので、その辺りは覚悟が必要。

「続・〆切はおとといです。」
team.きんだいち・全1巻・スクウェア・エニックス(マンガUP!)
★ ★ ★
「〆切はおとといです。」(サ行参照)の続編。
基本的にやっていることは同じで、8割がハロプロの話というのも前作同様。
ドラマ「ゆうべはお楽しみでしたね。」の裏話など、こういうのが読みたかったんだよ、と思える話もあるにはあるのだが、数は少ない。

「続・少年三白眼」
私屋カヲル・全1巻・小学館(フラワーコミックス)
★ ★ ★ ★
「少年三白眼」の続編。どの話も面白いが、「新・少年三白眼」に勝てる面白い話がないので評価はここまで。
三白眼ネタがたくさんあって、この巻はそれで大いに笑える。

「続・少年探偵彼方ぼくらの推理ノート」
祥寺はるか・全5巻・エニックス(ギャグ王)
★ ★ ★ ★
原作者は同じだが、作画者が違う「少年探偵彼方ぼくらの推理ノート」の続編。
続編なので、キャラは前作と似せてあるし、画風も似ている。
前作よりも主人公が少し大人になり、中学生となった。魅力も失われておらず、前作同様楽しむことができる。
ただし、後半は主人公が中学生とは思えないほどの知識を持っているのが気になった。
必要のないところでも知識を披露している感じもする。

「即席戦隊ラブ&ピース」
椿カヲリ・全1巻・マッグガーデン(マサムネ)
★ ★
ゴミの埋立地の上に作られたモデルタウンは、正義の味方たちが日常的に活躍する戦隊特区として指定されていた。
その町で暮らす少年は、ある日突然戦隊ヒーローとして戦うことになる。
新人作家がいろいろがんばって作り上げた作品、という感じで、いろいろと粗は目立つものの、どうにか形にしようとした努力の跡は見える。
話のまとまりもそれほどよくないので、将来性を見る意味で買うならそれもありかもしれない。

「ZODIAC GAME」
真じろう・全4巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★
世の中に無関心だった少年のもとに、1冊の本と少女がやってくる。
少年は星座の名前を持つ少女と共に、生き残るための戦いをしなければならなくなる。
一見「金色のガッシュ」と被りそうな話ではあるのだが、読んでみると個性があってそこそこ読める。
絵がかなり不安定で戦闘シーンも微妙ではあるのだが、荒削りの才能みたいなものは見える。
ただ、最後は完全なる打ち切り仕様。
コミックス描き下ろしはあったものの、話として全く終わっていないので注意。

「外はいい天気だよ」
谷川史子・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
それぞれ少しつながりのある3組のカップルの話をオムニバスで描いたものと、他1本の短編集。
作者の作品にはこの形式のストーリーが多いが、いつも描き方が上手なので感心させられる。
やはりおまけ漫画は面白い。

「そにょもにょ」
たつねこ・全2巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★
1人暮らしをする少年の元に、あるとき未来からきたというネコミミロボットがやってくる。
そのロボットは未来に少年の手によって作られたと語り、なし崩し的に少年と同棲することになる。
1回の連載ページ数が8Pと短く、読み切り型の話が多いため、序盤は単なる萌え話に見えてしまう。
展開もベタなものが多く、こういった話が好きな人なら読めるとは思う。
最後も謎が謎のまま残されていて、意図的な終わり方だとは思うが、打ち切り仕様にも見えてしまう。
後味はあまりよくない。

「その恋はいちごのように」
イロノ・全4巻・スクウェア・エニックス(Pファンタピー)
★ ★ ★ ★
祖父が骨折で動けなくなってしまったため、祖父が営むいちご農園を手伝いに来た女子大生の少女。少女はそこでひと回り年上の青年からいちご栽培を教えてもらうことになるが、次第に2人は惹かれ合っていく。
いちごの栽培と初々しい年の差カップルを見て楽しむ作品。
話はテンポよく進んでいき、中だるみすることなくきれいに完結してくれた。
コミックスには大量の描き下ろしがあり、各キャラをそれぞれキチンと掘り下げているので、一見の価値はある。

「その向こうの向こう側」
渡辺祥智・全6巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★
学校の帰り道で不思議な少女にマスターと呼ばれた少年は、突然謎の敵に襲われる。その後、少年は少女のマスターではないことが分かるが、少年は少女のマスターを探すために、少女と共に別の世界へと旅立っていく。
さほど珍しい設定の話ではないが、それぞれのキャラが立っているのと、王道の中で捻りを入れてくれているのとがあり、面白く読める。
絵は非常にきれいで、読みやすい。
完全なハッピーエンドではないものの、終わり方もよかった。

「空声」
こがわみさき・全1巻・アスキー・メディアワークス(電撃大王ジェネシス)
★ ★ ★
吹奏楽部の演奏に不満を持つトランペット吹きの少女は、ある日河原で太鼓を叩く少年と出会う。
4本のオムニバスストーリーで構成された短編集で、登場人物たちの心の声をテーマにした話が集められている。
話の持つ雰囲気の良さはいつもの通りで、読んでいると癒される感じがする。
ただ、これはいいという話がなく、いまひとつな印象もあった。

「空の謳」
天野こずえ・全1巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
作者の2冊目の短編集。
表題になっている作品の他に3本の読み切りが収録されている。
どれも平均以上の作品だが、表題作品は「ぼくの地球を守って」(ハ行参照)の設定と非常に似通っている部分がいくつも見うけられるので、それが減点。

「空のグリフターズ~一兆円の詐欺師たち~」
加藤元浩・全6巻・講談社(月刊マガジン)
★ ★ ★
祖父の借金100億円のカタとして生まれ育った島を奪われた少女。その島を取り戻すため、少女は自分に従えば100億円が手に入るという謎の少年と行動を共にすることになる。
1巻の冒頭に少女たちが詐欺師として逮捕されたと報道される場面があり、少女たちの取り調べ場面が時折入りつつ過去が語られていく形で話が進行していく。
詐欺の手法は割と現実感のあるもので、これなら騙されるかも、と思わせてくれる。また、タックスヘイブンなどの現代らしい経済事情の話もあり、ためになる部分もある。
最初から終わりが決まっていた作品なので、最後はきれいに終わっている。ただ、盛り上がりには少し欠けた感じもした。

「そらのひとひら」
野々原ちき・全1巻(立ち消え)・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
空を飛ぶ力を持った少年と、その少年を研究対象として見る学校一のアイドルの女の子。
2人は一見付き合っているように見えるが、その関係は微妙だった。
特に何も考えることなく、のんびり読める話。
絵も読みやすいので、この絵が好きという人なら読んでみてもよいかも。

「そら☆みよ」
梅川和実・全1巻・双葉社(コミックハイ!)
★ ★
中学時代の仲間から1人孤立して別の高校に行くことになった少女。
なかなか友達ができない中、校内で有名な変人3人組に誘われて天文部に入る。
典型的な少女マンガ、という感じでベタな展開が多い。
全体的にどこかで見たことがある、という展開がほとんど。
都合のいい設定も多い。

「Solty Rei-赤の淑女-」
瀧宮一隆・全1巻・一迅社(Rex)
★ ★
アニメをそのままコミカライズした作品ではなく、アニメと同じ登場人物が出てきたりするサイドストーリー的な作品。
アニメを知らなくても読める話だが、知っていた方が話がわかりやすいようにも見える。
絵に関してはかなり粗いので、表紙である程度察した方がいい。
話としてはキッチリ終わっている。

「それじゃあ吉田くん!」
よしむらなつき・全4巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
ある日突然魔界の王に任命されてしまった吉田くんの元に様々な悪魔がやってきて、吉田くんを魔王にしようとしたり妨害したりする。
ギャグとしていまひとつ弾けきれていないところがあるものの、それなりには楽しめる。
作者のファンなら買ってもいいが、他の作品に比べるとパワー不足。
長い休載期間を経て完結したので、途中で投げた人も最後まで読んでみては。
ちゃんと終わっているので。

「ゾンビッチはビッチに含まれますか?」
柊裕一・全6巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
事故で死んだときにエロい妄想をしていたため、ゾンビとして蘇ったもののエロい妄想をしないと心臓が止まって再び死んでしまうゾンビッチになってしまった少女の物語。
普通の単語にエロフィルターをかけてしまうという設定で、その無理矢理さ加減が面白い。
読んでいくとちょっとワンパターンに感じる部分もあるが、話が進むに連れて少しずつ捻りも入ってきているし、あまり長い話にならずにきれいに完結してよかった。
ちなみに、絵はそこまでエロくない。

「ZOMBIE POWDER」
久保帯人・全4巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
死者を生き返らせ、生者を不死にするという「ゾンビパウダー」。それを手に入れるために必要な「死者の指輪」を集める青年と、姉を生き返らせるために青年と一緒に旅に出た少年の物語。
絵はまだまだ荒くて未熟だが、勢いがあってそこに惹かれた。
また、話にも勢いがあって、これからよくなりそうだ、と思っていたが、あまりに中途半端な部分で打ち切りになってしまい、残念。

「ZOMBIE-LOAN」
PEACH-PIT・全13巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
人の首にあるリングを見ることで、人の死期やゾンビかどうかを知ることが出来る少女と、大金を積んでゾンビから再び人間に戻ろうとする少年2人の物語。
キャラだけの力で話が進んでいるように見えるが、最初のエピソードが終わった頃に化ける。
最後は謎解きもキッチリ終わり、きれいに完結している。
最低3巻くらいまで読まないと、良さがわからない。
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ラ行-1 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「ライアー×ライアー」
金田一蓮十郎・全10巻・講談社(デザート)
★ ★ ★
ちょっとした遊び心で友人の高校時代の制服を借りて街に出た少女。
そこで偶然義理の弟に出会ってしまうが、他人の空似でごまかす。
しかし、弟はその姿に一目惚れしてしまい、少女に尽くし始める。
一方現実の少女にも大学サークルで彼が出来、奇妙な三角関係が始まる。
少々あり得ない設定ではあるが、少女漫画として割と面白く読める。
2人からのアピールを良心で断りきれない少女の心理描写も割といい感じ。
最後は全ての人間関係を清算して、ハッピーエンドで終わっている。

「雷火」
藤原カムイ・全12巻・スコラ(バーガー)
★ ★ ★
卑弥呼亡きあとの邪馬台国と近隣諸国の物語。
作者が「ドラゴンクエスト列伝ロトの紋章(タ行参照)」と同じだったので買ってみた。
かなりしぶとい敵キャラはいい味を出しているので、とっかえひっかえ敵が入れ替わる漫画よりも好感が持てる。
画面にも迫力があっていいが、キャラが多く、展開が遅めなのと少々内容がわかりにくいのが難点。
ラストはほぼ納得できた。

「ライジングインパクト」
鈴木央・全17巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
世界一の飛ばし屋を目指す少年が、ゴルフを通して成長して行く話。
一度打ち切りになった後で連載が再開し、最後は再び打ち切りになってしまった。
童話的な絵には好感が持て、背景まで全て作者が描いているので、絵にまとまりがある。
ストーリーの終わり間際は一気に話が流れてしまったが、コミックスでキャラの後日談が丁寧に描かれていてよかったので、評価は落とさなかった。

「来世は他人がいい」
小西明日翔・講談社(アフタヌーン)」
★ ★ ★ ★ ★
大阪の極道の跡取り娘が同い年の青年との婚約のため、東京に出てくる。当初青年は婚約者としての跡取り娘に全く興味を示さなかったが、とある事件をきっかけに強烈な執着を見せるようになる。
登場人物たちが強烈な個性を持っており、序盤からかなり引きつけられる。
随所に極道らしさが垣間見える話なので、なんちゃってヤクザが出てくる作品とは一線を画している。
話もしっかり練られている内容で、飽きさせない。
若干絵は人を選ぶかもしれない。

「RAIDEN18」
荒川弘・全1巻・小学館(サンデーGENE-X)
★ ★ ★
死体改造愛好家の少女がいろんな死体をつぎはぎして1体の人造人間を作り上げる。
人の道に外れたことばかりする少女と、妙に常識人な人造人間の話。
テンポよく話が進んでいくので、サクサク楽しく読める。
掲載時期が10年くらいに及んでいるので、普通なら1話と最終話で絵柄に違いが出そうだが、そこまで落差がないので、違和感なく読める。

「LIFE:ERRORS」
綱島志朗・全2巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★
警察で働いていた少女は、1度死んでからゾンビとしてある博士に復活させられる。その後少女は敵から狙われるようになり、ゾンビとして手に入れた新たな力を使って戦っていく。
設定はわりと面白いのだが、画面がごちゃごちゃしていて見にくい部分があるため、作者が伝えたいことが読者まで伝わってこない。
トーンもやや使いすぎ。
最終回は意外性もあって作品の価値を上げていると思ったが、その付近で序盤と無理に関連を持たせた感じもしてしまった。

「ラ・カンパネラ」
渡千枝・全1巻・ぶんか社(ホラーM)
★ ★ ★
母親の期待から逃げ出したいと思っていた少女は、思い切って祖母の田舎を訪れる。
そこで少女は戦中の日本へタイムスリップしてしまう。
表題作もそこそこの出来だが、他に2本収録されているうちの1本「白旗の絆」は源義経を悪、源頼朝を正義とした話で、表題作以上に楽しめた。
全体的にホラー色は薄め。

「ラグナクリムゾン」
小林大樹・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
竜を狩る狩竜人としてまだ新人の青年と天才だと言われる少女がいた。2人はコンビを組んで竜を狩っていたが、あるとき青年は未来の自分から少女がいずれ竜に殺されると教えられる。その未来を回避するため、未来の自分から力を与えられた青年は少女と別れて別の仲間と共に竜を全滅させるための旅に出る。
転生とも過去のやり直しとも少し違う設定で、序盤こそ未来の知識を使う場面があるが、中盤以降はただひたすら竜と戦う展開になっている。
戦闘シーンは迫力があり、キャラも個性が強いので引き込まれる。
味方の方が悪逆非道だったりするところも面白い。

「ラジアータストーリーズ The Song of RIDLEY」
宮条カルナ・全5巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★ ★
PS2ソフト「ラジアータストーリーズ」のヒロイン・リドリー視点の物語。
ゲームでの妖精編に当たる。
ゲームでは主人公・ジャックの視点で物語が語られていたため、ちょっと違った視点で楽しめる。
同時発売の「The Epic of JACK」と一緒に読むと、なかなか楽しく読めると思う。
また、ゲームでのギャグシーンも多く取り入れられている。
絵は前作よりも進化していて、人の表情が固まって見えなくなった。
終わり方はゲームとは違っていたが、納得できるものだった。

「ラジアータストーリーズ The Epic of JACK」
藤川祐華・全5巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
PS2ソフト「ラジアータストーリーズ」の主人公・ジャック視点の物語。
ゲームでの人間編に当たる。
こちらはゲームを忠実に漫画化しているような感じで、安心して読める。
また、こちらはシリアスでギャグが少ない。
絵はわりと安定していて読みやすい。
ただ、終わり方はゲームと変えてしまっていて残念。
ゲームと同じく、ジャック編はアンハッピーエンドにしてほしかった。

「Rust Blaster」
枢やな・全1巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
吸血鬼を討伐するための吸血鬼を育てる学園に所属する少年。
少年には誰もが持っているはずの自分専用の武器を持てずにいた。
全体的にBLの雰囲気が漂い、一応完結しているものの、大団円というわけではなかったのが残念。
また、主人公以外のキャラも結構狙っているキャラが多く、それが気になってしまってまともに読めなかった部分もあった。
話そのものは可もなく不可もなく。
絵には癖があるので、読む人を選ぶ。

「ラズ・メリディアン」
結賀さとる・全6巻・秋田書店(プリンセス)
★ ★ ★
10年前に自分を散々いじめていた男の子が隣の家に帰ってきた。
その男の子がくれた指輪の力で、少女は異世界へと飛ばされる。
結構な王道少女マンガで、絵の力がなかったら恥ずかしくて読めないくらいベタな展開が待っている。
作者が好きな人になら。

「Luck Stealer」
かずはじめ・全10巻・集英社(ジャンプSQ.)
★ ★ ★ ★
素手で人に触れるとその人の運を吸い取ることのできる力を持つ青年。
運を吸い取られた人間は、不慮の事故にあって死んでしまう。
青年は運を溜めることのできない娘のため、その力を利用して裏世界で働いていた。
「MIND ASSASSIN」(マ行参照)を彷彿とさせる作品で、「MIND ASSASSIN」が好きな人なら確実に好きになるだろう、という作りをしている。
過去の作品を知らない人でも、話自体のつながりはないので、面白く読めるはず。
話もきれいに完結していて、読後感もいい。

「RUSH!!」
北条司・全2巻・集英社(ジャンプ)

刑務所に配属された女医と幼なじみの刑事の話。
初期設定とその後の展開が食い違っているのが気になり、終わり方も中途半端。
全体的に見ても面白くなく、完全な打ち切りの終わり方だった。
絵がきれいなだけに残念。

「rubbish!」
時狩秘都・全1巻・エニックス(ステンシル)
★ ★ ★
素行の悪さで魔界を追放になった魔女が500年後ようやく魔界に帰れることになったが、魔界への通行証を渡しに来た者たちは人間界で遊びたいがために魔女に通行証を渡してくれなかった。
1巻完結ではなく、出来れば魔女が魔界に帰るまでを描いて欲しかった。1巻の終わり頃で面白くなってきた、と思えただけに残念。
表題作の他に1本短編が収録されているが、これもなかなか良い作品になっている。

「ラビリンス~迷宮への招待状~」
岡崎瑞生・全1巻・スクウェアエニックス(ステンシル)
★ ★ ★
少数派の富裕層に支配されるスラム街の人々。
そのスラムで育ち、人に心を開かなかった少女は、敵に追われる中で1人の少年に助けられ、次第に心を開いていく。
壮大な話の序章部分だけを語った話で、あまりきれいには完結していない。
話にはそれなりに捻りがあり、悪くはない出来にはなっているが。
絵は安定していて読みやすい。

「ラフィアのリボン」
あいざわ遙・全1巻・集英社(りぼん)

雑貨の好きな女の子は、お気に入りの雑貨のお店でアルバイトをすることになり、そこには雑貨を自分で作っている同い年の男の子がいた。
これ以前の作者の作品は絵がきれいだったので、話がありきたりでもそれなりに読むことができたが、この作品はその絵がダメ。
今時の高校生を描いているせいか、登場人物のほとんどの唇が厚く、口が気になるせいで正面から見たときの鼻の描き方も気になってくる。
あいざわさんの作品だからと買ったが、表紙からして買う気の失せる絵。
ストーリーは作者が雑貨のことを描きたかっただけだと思える。

「ROUGH STONE」
高田慎一郎・全1巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
作者の初期短編集。タイトル作品は漫画賞の入賞作品で、他に3本収録されている。
ストーリーはどれも平均点以上の作品で、作者のファンでなくともそれなりに楽しめる内容。
初期作品なので、髪のツヤベタを見続けると目がチカチカしてきたりするなど、絵の未熟さが少々目立つのが欠点。

「ラブリー百科事典 ~極東フェアリーテイルズ~」
岡野史佳・既刊2巻(立ち消え)・エニックス(ステンシル)
★ ★ ★
父親のリストラで大都会からど田舎に引っ越してきた少女。
そこには様々な妖怪が生息していた。
特にどこが面白いというものはないが、脇役が結構しっかりしていることもあり、読んでみるとそこそこ楽しめる。
元はララで連載されていた作品がステンシルに移籍してきたという経緯があるが、ステンシルが休刊して知ったため、連載自体立ち消えになってしまった。
絵は安定していて読みやすい。

「LOVELESS」
高河ゆん・スタジオDNA(ZEROSUM)
★ ★ ★
死んだ兄の「戦闘機」であったと名乗る青年と共に、兄が死んだ理由を探す少年の物語。
作者らしいというか、独特の世界観の説明がほとんどなく、とにかくストーリーを読んで設定を理解しろ、という読者置き去り方の作品。
それでも読者を引っ張っていけるのは作者の力だろうが、それでもこの作品はある程度読者を選ぶかもしれない。

「ラララ」
金田一蓮十郎・全10巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★
突然リストラされ、彼女にも振られた青年は、とあるバーで仕事を紹介され、その場で契約書にサインして
しまう。
その契約書は、実は婚姻届で、翌日から2人の奇妙な同居生活が始まる。
割と突拍子もない設定は作者らしいな、というところで結構面白く読めるのだが、話のパターンが、トラブルが起こる→友人に愚痴ってアドバイス貰う→何だかんだで解決、というものが多く、作者の別作品と似たような感じになってしまっているのが残念。
養子を迎え入れてからはちょっと面白くなってくる。
最後はきれいなハッピーエンドになっていた。

「ラルΩグラド」
小畑健・全4巻・集英社(ジャンプ)

Xbox360ソフト「ブルードラゴン」の番外編のような作品。
主人公はバカではないが、読んでいて不快感を覚えるような展開が多い。絵は上手いのだが、それが最大限発揮されているようにはとても見えなかった。
一応完結したものの、原作者の独りよがりが目立って、とても評価できないな、と思ってしまった。

「ラングリッサーIII」
酒井サユリ・全2巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
SSソフト「ラングリッサーIII」を漫画化した作品。
ゲームはSLGだが、漫画では戦闘シーンがかなり省かれているものと思われる。
大容量のゲームをコミック2冊にまとめるのだから無理もないかもしれないが、もう少し軍隊戦を描いて欲しかった。
絵はゲームイラストに近く、見やすくてきれいなのでよい。

「ランチタイムがはじまる」
樹原ちさと・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★ ★
ハーフの子供を持つ男性家庭科教師の、様々な赴任先での事件などが描かれた話。
男性の家庭科教師という設定が珍しく、かなり面白く読むことが出来るストーリーで、もう少し続いてもよかったのではないかと思える。

「Landreaall」
おがきちか・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★ ★
王国の端の小さな領主の子供として平和に暮らしていた少年。
彼は家の近くにある歌う樹の主である少女に恋をしていた。
その少女はその場所で竜を封印していたが、少女の心が人に近くなったため、封印の力は弱くなってしまう。
その封印を再び施すため、少年は妹と共に旅立つ。
全体的にやわらかい雰囲気があって、話もそこそこ面白い。
王道ファンタジーが好きな人なら楽しめる。
王国での話が終わると学園での話に入るので、そこでストーリーギャップに少し戸惑うが、話としては変わらず面白い。

「嵐雪記」
片山愁・全10巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
血は繋がらなくとも実の兄弟のように育った少年たち。
その2人の育った家で守られてきた刀を、あるとき兄が母親を殺して持ち出してしまった。
弟は再び刀を封印するために兄の後を追う。
非常に話を作りなれている感じがして、全編通して安心して読める。ただし、序盤からキャラが多いので「ついて来られる人だけついてきて」という雰囲気もある。
また、話の進むペースが非常に遅い。
絵が好みなら。

「らんま1/2」
高橋留美子・全38巻・小学館(サンデー)
★ ★ ★
水を被ると女の子になってしまう男の子と、その男の子の許嫁にされてしまった女の子、さらにいろいろなサブキャラなどと繰り広げられるシリアスとギャグの中間のような作品。
かなりのサブキャラが登場するが、そのどれもがちゃんと描き分けられていて個性が強いのはさすが。ストーリーもよくまとまってはいるが、終わり方は予想がついてしまい残念。

「ランメルモールの少年騎兵隊」
夏西七・全3巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
演劇部に所属する6人の少年たちは、有名な戯曲家が主催する船上オーディションに招かれる。
しかし、そこに待っていたのは優勝者しか生き残れない地獄のオーディションだった。
序盤から登場人物が多く、把握するのが大変なのに、話の進むペースが遅いのでとっつきにくい。
ただし、最後は打ち切りだったのが、最終巻のみ話の進むペースが異様に早い。
絵もかなり暗い雰囲気で読みにくい部分もあり、読むのに根気がいる。
話はある意味バッドエンドではあるが、この作品ならこういう終わり方もありかな、とは思えた。

「RUNRUNブラザーズ」
川本祐太郎・全2巻・エニックス(ギャグ王)
★ ★ ★
謎の怪盗「RUNRUNブラザーズ」兄弟の話。
なかなか面白く読ませてくれる作品だが、終わり方はありきたりで残念。
もう少し続いてもよかったと思える作品でもある。
絵はすっきりとしていて見やすいのでよい。

「リアリスの私写真」
和泉なぎさ・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★ ★
写真を撮ることが趣味のロボット・リアリス。
リアリスは毎日いろんな写真を撮り続けていたが、ゼンマイが切れてしまうと全ての記憶をなくしてしまうロボットだった。
短期集中連載作品だった作品だけに、謎解きは最後まできれいに出来てはいない。
しかし、ある程度想像できるところまでは答えが示されていて、終わり方も悪くなかったのでこの評価。
将来性に期待できる作品だった。

「リアル」
井上雄彦・集英社(ヤングジャンプ)
★ ★ ★ ★
バスケ部から孤立し、交通事故を起こして高校を退学した少年は、ある日車椅子でバスケをする少年と出会い、再びバスケを始める。
「SLAM DUNK」(サ行参照)とはまた違った車椅子バスケの世界が舞台だが、その世界の雰囲気がよく伝わってきて引き込まれる。
また、「SLAM DUNK」は熱血系のバスケ部の話だったが、こちらは遊び感覚でバスケをやっているバスケ部の話で、真面目に部活をしている人が仲間外れにされる、という一部のよくある現実が上手く表現されていて、思わずうなずいてしまうこともあった。
絵に関しては「SLAM DUNK」で実証済みなので特に問題無し。
話の進むペースが非常に遅いのが残念。

「理系の人々」
よしたに・全6巻・中経出版
★ ★ ★ ★
理系によくある日常を綴った1P漫画。
理系の人が読めばあるあるネタとして楽しめる。
多分、文系の人が読んでも楽しめるはず。
絵は親しみやすくて読みやすい。
描き下ろしが多めなのもよい。

「リセット」
筒井哲也・全1巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
プレイヤーが相次いで自殺をしてしまうネットゲーム。
そのゲームで夫を失った女性は、自らもネットゲームに入り込み、夫の死の謎を探ることにする。
1巻できれいに完結していて、ネットゲームもある程度現実感をもって見ることができる。
読後感もよい。

「リピートアフターミー」
ヤマモトマナブ・全2巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★ ★
人助けが生き甲斐の女子高生がコンビニ強盗によって殺されそうになった瞬間、直前に助けた神様の力で同じ日を10回繰り返すことになる。
とにかく全てが伏線といってもいいくらいで、モブだと思っていた人が後半のキーパーソンだったり、何気ないセリフが最後の最後で活きてきたりする。
1回読んだ後でもう1度最初から読むといろいろビックリする。
ここまできれいなタイムリープものも珍しいと思う。

「リベラメンテ」
鎌谷悠樹・全1巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
作者の初期作品集で、全8本の読み切りが掲載されている。
まだ作者の力があまりなかった頃のもので、特にお勧めの短編もないので、作者が好きな人以外には特にお勧めできない。
絵も荒い。

「龍とカメレオン」
石山諒・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★ ★
一度短期打ち切りを経験した後人気漫画家となった青年と、画風からストーリーの癖から全てコピーすることのできる新人漫画家の体が入れ替わってしまう。人気漫画家から新人漫画家に戻ってしまった青年は、マンガへの情熱をそのままに再び連載を獲得するために立ち上がる。
とにかく全編通じて熱い作品。話にものすごく吸引力がある。
作者自身が週刊誌で打ち切りになった経験があるからか、打ち切りが決定している作品の制作現場の空気とか、週刊連載を続けていると発生するあるあるとか、その辺りのリアリティがよく伝わってくる。

「リューシカ・リューシカ」
安倍吉俊・全10巻・スクウェア・エニックス(ガンガンONLINE)
★ ★ ★ ★ ★
様々なことに空想をめぐらす少女・リューシカ。
リューシカから見る大冒険である日常を描いたほのぼの作品。
全編フルカラーなので定価が高めでページ数が少ないことにちょっとためらってしまうかもしれないが、作品の出来はかなりいい。
日常のほのぼの系が好きな人には特にお勧めで、読んでいるとリューシカのかわいらしさに癒される。

「竜の花嫁お断り」
イロノ・Gファンタジー(スクウェア・エニックス)
★ ★ ★
竜の血を引いているためそこまで強くはないものの特殊な力を持つ少女が、幼馴染の青年を助けるため封印されていた竜を解き放ってしまう。竜は青年の体に取り憑き、少女に全ての封印を解くよう要求してくる。
一見すると和風ファンタジーだが、実際は西洋の妖怪的なものも割と出てくる。
話としては割と王道な感じで、やや個性に乏しい。

「緑野」
夢路行・全1巻・スタジオDNA(ぶ~け)
★ ★
荒れ果てた大地で暮らす少年の前に、空から1人の少女が降ってくる。
その少女は遭難した宇宙船の乗組員で、緑の大地を夢見ていた。
作者の初期作品集で、今はもう見ることのなくなったSF作品が集まっている。初期作品集だけに絵に安定感がなく、古臭い感じもするが、内容的には悪くない。

「リリアとトレイズ」
晴瀬ひろき・全2巻・メディアワークス(シルフ)
★ ★ ★
同名タイトルの小説のコミカライズ。
「アリソン」(ア行参照)と同時発売された本作だが、時代的にアリソンの子供世代の話で、いきなりアリソンのネタバレもあるところに注意したい。
原作を知らないのであれば、原作でも漫画でも「アリソン」の最初のエピソードが終わるところまで、可能なら全3エピソード読んでおきたい。
話自体は非常に上手くコミカライズされており、読みやすい。
話の進むペースも早いので、サクサク必要なところだけ読めるのがいい。

「リリムキッス」
河下水希・全2巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
おかしな小ビンのついたペンダントを拾った少年が、それを開けてみると中から悪魔のリリムが現れた。
リリムはキスで男性から生気を吸い取る悪魔だった。
ある意味少年漫画の王道を行くラブコメだが、絵がかなり上手いので面白く読める。
連載が長続きしなかったのは残念だが、打ち切りものにしては最後が上手くまとまっていてよい。
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ヤ行 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「八神くんの家庭の事情」
楠桂・全7巻・小学館(サンデー)
★ ★ ★
自分より年下に見える母親を好きになってしまったマザコン高校生の話。
結構伏せ字の多い作品なので、楠さんのファンでも好みが別れるところ。
連載初期と後期で大分絵柄が違っており、終盤の方が格段に読みやすい。

「約束のネバーランド」
白井カイウ×出水ぽすか・全20巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★ ★
とある孤児院で伸び伸びと育っていた11歳の少年と少女は、ある日自分たちが喰われるために育てられている、という事実を知ってしまう。少年少女たちは孤児院から脱出するための計画を練り始める。
孤児院からの脱出に始まり、少しずつ世界の全容が見えてきて、最終的に主人公たちが納得する形にまで持って行っていたのが素晴らしかった。
話に起伏があって飽きさせず、すべての謎解きを終えてきれいに完結している。
絵は個性が強めだが、話の雰囲気に合っていてよかった。

「矢継ぎ早のリリー」
D・キッサン・全1巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★ ★ ★
施設から脱走し、吸血鬼に助けられた少女の物語。
その他3本の短編が収録されている。
全ての短編が平均以上の良作で、話のジャンルもバラバラでなおかつちょっと捻られたものばかり。
それが1冊に収められているというのは奇跡に近い。
漫画を多く読んでいる人ほど、この短編の凄さが分かるはず。
見つけたら試しに買ってみて損はない。

「奴の名はマリア」
道元むねのり・全1巻・集英社(ジャンプ)

文部省によって選ばれた最高の教師と同姓同名の教師の資格もない女性が、最高の教師と間違えられ、高額なギャラに目がくらみ、ある高校に赴任してしまう。
絵は完成されていてきれいなのだが、ストーリーがさほどよくない。
週刊連載10週打ち切りも納得できる。
主人公の過去について、ちょっとだけ引き込まれる部分がある。

「山田くんが通る」
楠桂・全3巻・集英社(マーガレット)
★ ★ ★
生まれつき幽霊を呼び寄せてしまう体質の山田くんは彼女いない歴17年。山田はどうにかして彼女を作ろうとする。
楠さんらしい話。そこそこ読ませてくれるし、幽霊を明るく扱っているので楽しい。しかし、終わり方はわかりきっていたワンパターンだったのが残念。

「邪馬台幻想記」
矢吹健太郎・全2巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
卑弥呼がいなくなった邪馬台国で女王となった壱与と、その護衛を勤める少年が日本を統一するために幻の都を目指す話。
古代ファンタジーでストーリーもまあまあ良いと思っていたのだが、最後は打ち切り。非常に中途半端な終わり方になっている。
絵はすっきりとしていて見やすく、読みやすい。
作者は当時19歳。ジャンプに週刊連載していたので期待していただけに、残念。

「山の彼方の君の学校」
赤夏・全1巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
非常に危険な山道を使って通学している少女の家に家庭訪問をすることになった教師。しかし、少女は頑なに家庭訪問を拒む。
表題作の他にも何本かの短編が収録されている。
作者らしい雰囲気がよく出ているものが多い。
何やかんやで表題作が1番面白いのだが。

「闇からの招待状」
渡千枝・全1巻・講談社(フレンド)
★ ★ ★
昔父親と自分を捨てた母親から突然会いたいと手紙が届き、父親を亡くして身寄りのなくなった少女は母親に会いに行く。
少女が過去の世界に紛れ込んだ話だが、いまいちわかりにくく説得力不足。
しかし、他の収録作品の質が高いのでこの評価。

「夜話」
夢路行・全1巻・集英社(ぶ~けデラックス)
★ ★ ★
夜だけ営業している喫茶店でアルバイトをすることになった少女。
その喫茶店には人だけではなく、不思議な生き物たちもまた訪れていた。
話が少しわかりにくいところもあるのだが、作品の雰囲気は作者らしさがよく出ている。
もう少しハッピーエンドの色を強くしてくれればなおよかった。

「YAWARA!」
浦沢直樹・全29巻・小学館(スピリッツ)
★ ★ ★ ★
柔道の天才少女がオリンピックで金メダルを取り、国民栄誉賞を受賞するまでの話。
柔道の試合のシーンなどは迫力があり、引き込まれる。
絵もシンプルで見やすくてよいし、ラストも納得できた。
ただ、主人公は精神面が弱く、ウジウジした所があるので、そこが好きになれなかった。

「柔らかな春」
夢路行・全1巻・一迅社(きららセーズ)
★ ★ ★
付き合ってはいてもあまり上手くかみ合わない少年少女は、あるとき自殺未遂の女の子と出会う。
その他4本の短編が収録されている。
どれもそれなりに読める作品で、読後感はよい。
ただ、いまひとつ印象には残りにくい。

「有害都市」
筒井哲也・全2巻・集英社(ジャンプ改→となりのヤングジャンプ)
★ ★
有害図書の規制が厳しくなった近未来が舞台。
ギリギリを攻めた新連載でヒットを確信していた漫画家の青年だったが、表現規制のせいで連載初回が掲載された雑誌が回収に追い込まれてしまう。表現規制と描きたい作品との狭間で苦悩する漫画家の物語。
作中で規制に引っかかると言われている表現は現代ではごく普通に存在するもので、もし本当にこんな規制がかけられてしまったら、というのを読者に問いかけるような内容になっている。
掲載誌移動の影響か、あまりきれいな終わり方になっていなかったのが残念。

「遊☆戯☆王」
高橋和希・全38巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
3000年もの間誰も解いたことのないパズルを解いた少年が、パズルを解いたその日以来、第2の人格を持つようになる。
序盤は主人公が悪者とゲームで戦っていく話だったが、途中でカードゲームがブレイクしたために、以降の話は全てカードが絡んできてしまった。
ジャンプとしては珍しくきれいに終わっているが、終盤の「何が何でも展開をカードと絡める」というものには無理が多かった。
絵は描き込みが多いものの、読みにくくはない。
ただ、吹き出しからはみ出してしまう台詞が多く、その台詞に違和感があるものも多かった。

「夕暮れを待ちながら」
夢路行・秋田書店(エレガンスイブ)
★ ★ ★
とある漁港には食堂を営む女性、不思議な少年、魚に変身する能力を持つ謎の老人がいた。
何らかの心の傷をもって漁港を訪れる人たちは、3人と交流することで何かしらの答えを見つける。
基本的には漁港を訪れる人と3人の主人公の交流を描いたオムニバスストーリー。
ファンタジー要素もあるので、全体的に不思議な雰囲気が漂う癒し系の作品。

「幽子ちゃん100連発!!」
楠桂・全3巻・小学館(小学5年生)
★ ★
転校したばかりで早速彼女が出来た少年だったが、その彼女は霊能少女だった。
作者が好きなので買ってみたのだが、いかんせん子供向けに描かれていたので読めないわけではないが、面白くなかった。
いかにも、というネーミングをやめてもらえればもう少しよかったとは思うのだが。

「勇者カタストロフ!!」
牧野博幸・全4巻・エニックス(ギャグ王)
★ ★ ★ ★
勇者と間違えられたただの町の魚屋が世界の異変を解決するために旅に出る話。
とても面白く、どの回も笑わないことがないくらい。
牧野さんのあとがき漫画も楽しいし、絵も見やすくてよい。
しかしながら、終盤エヴァンゲリオンに影響されてしまった面が多々見えるようになり、謎解きもいまひとつ納得できなかった。

「勇者はつらいよ」
松沢夏樹・全2巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
かつて倒されたはずの魔王が復活し、以前魔王を封印した勇者の生まれ変わりがいたが、その少年はどうしようもなくバカで悪者だった。
松沢さんが今までのファンタジーの概念を崩そうとして描いた漫画だけあってGファンタジー(当時ガンガンファンタジー)で別の雰囲気を持っていた。
それだけに浮いたような作品で、中盤はそれほど面白くなかった。
ラストも何とかまとめたという感じ。

「勇者への道」
柴田亜美・全1巻・ラポート(ファンロード)
★ ★ ★
最初の頃は作者がモデルと思われる勇者と仲間たちの冒険4コマだったが、途中から作者の苦しい漫画家生活日記に変わってしまった作品。
しかし、そうなったからといってつまらないわけではなく、かなりおもしろく読むことができる。ただ、作者がどこの雑誌で何を書いているかがわかっていないと、内容が理解しにくい。

「ユート!」
河野慶・全3巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
北海道でスピードスケートの選手として将来性を買われていた少年が東京へ引越したことにより、スケートを失ってしまう。
しかし、そこでショートトラックの選手として新たな道を切り開いていく。
原作者・ほったゆみさんの特徴として、話の面白さがかなりスロースターターなので、面白いと思い始めたときにはもう打ち切りが決まっていた様子。
今回は作画の絵の上手さ、という武器がなかったために失敗してしまった印象。
あと3巻くらい様子を見てみたかった。

「円盤皇女(ゆーふぉーぷりんせす)ワるきゅーレ」
介錯・全11巻・エニックス(ガンガン)
★ ★
宇宙人が地球で暮らすようになってから数年、銭湯を経営する少年の家にUFOが突っ込み少年は死亡してしまうが、UFOに乗っていた少女に命を分け与えられて蘇る。
連載前からアニメ化が決まっていた作品ということで、とにかく全編通して狙いっぱなし。
巨乳美女と幼女の姿で入れ替わるヒロイン、巫女姿の幼馴染み、ネコ耳メイドなど、好き嫌いが大きく分かれるところ。
それでも絵がわりときれいで、話も決してつまらないわけではないので最低評価はつけなかった。
話としては、中盤がとにかく中だるみで、全5巻くらいだったらまだ評価できたが、その倍あってはきつい。
最後も作者は未練があった様子で、完全な終わり方をしていないのが残念。

「ゆうべはお楽しみでしたね」
金田一蓮十郎・スクウェア・エニックス(ガンガンONLINE)
★ ★ ★
ドラゴンクエストXを通じて知り合ったパウとゴローは、お互い同性だと思い込んでパウの家で同居することを決めるが、実は異性同士だということがわかって混乱する。しかし、引っ越し当日にそれが判明したため、2人はなし崩し的にそのまま同居することになる。
ドラクエXを通じて知り合ったところから始まり、作中には頻繁にドラクエXのネタが出てくる。
実際にゲームをしている人の方が話が分かりやすいと思うが、知らなくても読める。
波乱がありつつも2人の距離が縮まっていくのをのんびり眺める感じの話になっている。

「ユーベルブラッド」
塩野干支郎次・全23巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
かつて暗黒の軍勢と呼ばれる存在と戦っていた人類。
その戦いで14人の勇者が戦いに送り込まれ、その内3人が道半ばで倒れ、4人が裏切り、残りの7人が生きて帰って英雄として迎えられた。
しかし、真実は4人の裏切り者が暗黒の軍勢を倒し、残りの7人に殺されていた。
仲間に裏切られた4人の中の1人は精霊と契約して何とか命をつなぎ、7人の真の裏切り者を殺すために旅を続ける。
王道なファンタジー世界を描きつつ、設定がなかなか面白いので王道でも引き込まれる。キャラもいい感じに立っていて、戦闘シーンに迫力もある。
序盤は割とテンポよく進んでいたのだが、中盤以降はやや中だるみ状態に陥ってしまった。
綺麗に完結しているが、もう少し短くまとめてほしかった。

「幽☆遊☆白書」
冨樫義博・全19巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
予想外の事故で死んでしまった少年が生き返るための試練を受け、その後は霊界探偵として働くことになる。
10巻まで、100歩譲って14巻くらいまでの内容ならば最高評価をつけてもいいのだが、それ以降はひどすぎる。
ストーリーには大きな矛盾があり、絵もかなり急いで描いているような印象。
終わり方も無理に終わりにしたという感じがする。
魔界統一トーナメントはいらなかった。

「幽霊学校」
渡千枝・全1巻・講談社(サスペンス&ホラー)
★ ★ ★
渡さん初の10ページショートストーリーの載っている短編集。
また、同時収録作品の「Dのレクイエム」は普通に描かれているイジメの漫画とは違っていて印象づけられ、とてもいい作品に仕上がっている。

「幽霊たちの舞踏会」
渡千枝・全1巻・講談社(フレンド)
★ ★
地元で有名な幽霊屋敷が売りに出され、幽霊が出るということで観光名所にしようという観光会社と、屋敷の主人と知り合いの少女と幽霊の存在を信じない青年とが屋敷に滞在している間に殺人事件が起こる。
犯人は意外ではあったが、前半の伏線は少々無理があったのではないかと思う。
同時収録作品もそれほどよくない。

「歪んだ騎士」
渡千枝・全1巻・講談社(フレンド)
★ ★ ★
ある日、少女の欲しいものを何でもくれて、少女のためなら何でもする気味の悪い少年が現れる。
それなりに読ませてはくれるが、特筆するべきものもそれほどないので、この評価に落ち着く。

「雪の桜の木の下で……」
柊あおい・全1巻・集英社(マーガレット)
★ ★ ★
傷心旅行のために海外に行こうとしていた少女だったが、雪の中で倒れ込んでしまい、隣のクラスの見ず知らずの同級生に助けられる。
少女漫画らしい少女漫画だが、ご都合主義のよく見る少女漫画ではなくてよいので評価は下げなかった。

「UNIFY」
かずはじめ・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
作者のの短編集。
本のタイトルは読み切りのタイトルの1つではなく、全4本の読み切りが収録されている。
全ての作品について、万引き、援助交際、殺人などを扱っているので、読者を選ぶ内容になっている。
最終的にはそれを否定しているものの、受けつけない人は受けつけないと思う。
絵は最近のものなのでかなり安定している。

「夢喰見聞」
真柴真・全9巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
大正末期、悪夢に悩む人が訪れる喫茶店。
そこで人の悪夢を食べて暮らす獏の物語。
オムニバス形式の話で、雰囲気としては「世にも奇妙な物語」の夢版といったところ。
しかし、ストーリーが練られていて、オチもワンパターンではなく楽しめる。
幻想的な絵も時代背景と合っていてよい。
最後もキッチリ謎解きをして完結している。
最後まで安心して読める作品。

「夢喰見聞 妄鏡堂」
真柴真・全1巻・スクウェア・エニックス
★ ★ ★
上記作品の番外編と、プロットとなった作品が掲載されている。
絵がまだ未熟という部分もあるが、話はしっかりしている。
なお、上記作品の後日談が語られている部分もあるので、上記作品が好きなら買っておいた方が良い。

「夢のあとさき」
一条ゆかり・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★ ★
交通事故で記憶を失った少女は、行方不明だった大富豪の娘だということでその屋敷に招かれるが、財産を引き継いだ後から命を狙われ始める。
主人公の気持ちに引っ張られて、犯人がとても意外だったので驚いた。
よく読み直してみれば、伏線もしっかりしていてとてもよい作品になっている。
同時収録作品があまりよくなかったので評価を下げた。

「夢見た春」
夢路行・全1巻・スタジオDNA(ぶ~け)
★ ★ ★
年の離れた兄が事故死し、兄の妻であり、憧れの女性だった義理の姉が家を出ようとしている中、少年は小さな社で人ではない主と出会う。
登場人物が共通しつつ主人公が入れ替わっていく短編集で、それぞれの視点で切ない話が楽しめる。
同人誌のための作品だという短編もなかなか面白い。
絵は既に安定していて、読みやすくなっている。

「ゆらふるべ」
坂本あきら・全3巻・スクウェアエニックス(Gファンタジー)
★ ★
大破局の後に誕生した世界で、人々は電脳法術という技術を生み出した。
それを操る電脳法術士たちが集まり、いかなる事件でも解決する組織・ゆらふるべの物語。
原作付きの作品なのだが、原作者の頭の中では壮大な物語が展開しているらしく、全体的にうんちくが多い。そして、そのうんちくがわからないと話が理解しにくく、1度読んだだけでは話を理解できない。
絵もきれいだが、描き込まれている分読みにくく、更に話が頭に入ってこなくなっている。
最後も抽象的な終わり方で、原作者の頭の中だけでストーリーが完結しているような印象を受けた。
言い方は悪いが、絵だけの作品。

「ゆり子には内緒」
D・キッサン・全1巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★
とある舞台女優に憧れていた少年は、その舞台女優に会わせる代わりに何を聞かれても「ゆり子には内緒」としか答えてはいけない、という条件を出される。
全10本の読み切りを収録した短編集で、数が多いだけに当たり外れも大きい。
「四年目」「外天の暁」などは読む価値のある作品となっている。

「ヨイコノミライ」
きづきあきら・全4巻・小学館(コミックSEED)
★ ★ ★ ★
ただ仲間が集まって話をするだけでまともな活動をしていない漫画研究会。
部長の少年は、あるとき部誌を発行することを提案する。
読んでいるととにかく自分の古傷をえぐられる感じがする痛さを感じる作品。
読むと身に覚えがありすぎて、読むのが辛くなってくるくらい。
しかし、それだけリアルに描かれているのは確かで、漫画を月に10冊は買う、という人なら1度読んでみると面白いかもしれない。

「妖飼兄さん」
真柴真・全4巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
天涯孤独だと思っていた青年には腹違いの兄がいるとわかり、青年は兄の下を訪れる。しかし、兄は全身が包帯に包まれている上に妖怪のレンタルショップを営むとんでもない人物だった。
兄に振り回される弟を楽しむ感じの話で、全体的にはシリアスもあるギャグマンガ。
一見してギャグっぽくない表紙だったりするので、絵で買うとちょっとビックリするかも。

「妖幻の血」
赤美潤一郎・全4巻(立ち消え)・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
体の中に大蛇を飼う青年、血を吸って生きる人形、一度死んでから義体をもらって生き返った少女の3人の物語。
全体的に暗い雰囲気の話で若干読みにくいところはあるが、ストーリーがしっかりしており、引き込まれる。
カバー裏のおまけはかなり面白い。
作者の病気療養のために連載が中断したまま立ち消えになってしまった。

「妖狐伝 義経千本桜」
堤抄子・全4巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
霊力をほとんど持たない妖狐・白狐は霊力を手に入れるため、両親の生皮で作られた霊力を持つ鼓を狙う。そして、白狐はその中で義経やその愛妾の静御前と出会うことになる。
原作は歌舞伎や浄瑠璃の「義経千本桜」だが、知らなくても読むことが出来る。
また、ストーリーそのものも史実をもとにしたフィクションとして楽しめる。
話の進み方には無駄がなく、4巻できれいに終わっている。
まとまりのいい良作。
絵は完成されていたものできれい。時代設定の服装とも絵柄が合っている。

「妖獣戦線ブライオー」
松本久志・全2巻・エニックス(Gファンタジー)

下記作品とほぼ同じ設定で、続編のような感じだったのでコミックスを買ってみたが、終わり方がとにかく中途半端。ラスダン突入直前で終わっている。
また、物語の謎を作者コメントの中でバラしてしまうのもどうかと思う。

「妖獣武装ブライオー」
松本久志・全2巻・エニックス(ガンガン)
★ ★
刷り込みによって妖獣の親となった少年が、「大いなる恐怖」を解放するという少女を敵から守っていこうとする話。
「大いなる恐怖が何なのか」など謎をたくさん残したまま終わってしまったのでこの評価。
これでは第1部完という感じ。
絵はまあまあよいのだが。

「予告犯」
筒井哲也・全3巻・集英社(ジャンプ改)
★ ★ ★ ★ ★
ある日ネット上に新聞紙を目出し帽のように被り、ネット上で炎上した人などに制裁を加えるという動画がUPされ、それは実行された。警察ではサイバー犯罪対策課が動くが、身元を隠してUPされ続ける動画を止めることができなかった。
ネット上で起きた実際の事件などを作中で扱っているので、ある程度ネットニュースを見ている人の方が楽しめる作品。
ネットでの炎上について警察の立場から分析するところなどは、違った角度で物事を見られていいと思えた。
また、1巻の時点で犯人の素性や身元を隠す手段などが明らかになっており、読者が警察と犯人どちらの味方となって読むかを決められるのもよかった。
最終巻では思わぬどんでん返しもいり、最後まで楽しめた。
巻数も少ないので、手を出しやすいのもいい。

「予告犯-THE COPYCAT-」
小幡文夫・全3巻・集英社(ヤングジャンプ)
★ ★
上記作品のスピンオフ作品。
本物のシンブンシたちに影響を受けた模倣犯たちの物語。
本編との繋がりは、新聞紙を仮面代わりにして私刑を行う若者たちの物語、という部分だけなので、内容的にはほぼ別作品。本編よりもエログロ多め。
本編のようなミステリ系の話を求めていると系統が違って面食らうかも。

「ヨシノズイカラ」
ヨシノサツキ・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
作品の打ち切りが続き、漫画家として自信を失くしていた青年は、地元を舞台にした日常系の作品を描く。何がウケているのかわからないまま、作品は人気作へと成長していく。
おそらく「ばらかもん」(ハ行参照)を描いていた頃の作者が投影されているのだろうな、と感じる作品。
作品がアニメ化されて連載を終えるくらいまで話は続くと思っていたのだが、離島を旅立って初めてのサイン会に参加する辺りで終わってしまった。
もっと続いてもよかっただけに、残念。

「黄泉のツガイ」
荒川弘・ガンガン(スクウェア・エニックス)
★ ★ ★ ★
山奥の村で暮らしていた少年は、ある日村が襲撃され、自身が文明社会と切り離され、隠されて育てられていたことに気付く。2人のツガイと呼ばれる神と共に山を下りた少年に、様々な事件が降りかかる。
序盤は和風ファンタジーに見えるが、実際は現代文明を知らない少年を読者として温かく見守りつつ、バトルを楽しむ感じ。少しずつ明かされていく少年の価値など、話の引きは強い。
細かいネタでも楽しめる。

「夜の童話」
紺野キタ・全1巻・ポプラ社(同人誌)
★ ★ ★ ★
同人誌のオリジナル作品をコミックスにした珍しい単行本。
若干都合のいい話もあるが、作者の優しい雰囲気の話が好きなら買って損はしない。
収録作品数が多いことも魅力。

「夜を謳う子供たち」
都筑せつり・全1巻・学研(Pichi)
★ ★ ★
どこかに秘密の扉があるといわれる学園。そこで相次ぐ生徒の失踪。
そして、親友が失踪してしまった少年の下に一人の少女が現れる。
ミステリーものかと思って買った本だったのだが、実はファンタジー退魔師ものということでちょっと肩透かしを食らった。
それでも話は1巻できっちりまとまっていて、悪くない作りだった。
絵はかなり上手いので、表紙に惹かれた。

「齢5000年の草食ドラゴン、いわれなき邪竜認定~やだこの生贄、人の話を聞いてくれない~」
ムロコウイチ・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
長寿で体が大きいだけの草食ドラゴンが、凶悪肉食ドラゴンと間違えられて少女の生贄を捧げられる。少女はドラゴンに食べられることを望んでいたが、ドラゴンはどうにか説得して少女を生き延びさせる。すると、思い込みの激しい少女はとてつもない魔法使いとして覚醒し、2人は新天地を求めて旅に出る。
少女の勘違いっぷりと思い込みの激しさ、いろいろ思いがすれ違いながらも協力して旅をしていく姿がなかなか楽しい。
原作の2巻までの内容でコミカライズが終わってしまったため、終わり方は少し中途半端。
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ハ行-5 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「平成バンパイアの逆襲」
浅野りん・全1巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★ ★
吸血鬼の父親と人間の母親の間に生まれた男の子の話。
タイトル作品の他、全5話が収録されている短編集。
4コマ、ショートストーリー、少女漫画と様々なジャンルの話が読める。
「CHOKO・ビースト!!(タ行参照)」の特別編があるのもファンにはうれしいところ。
どの話もレベルが高いが、唯一「お菓子な野郎」は面白くなかったので評価を1つ下げた。

「ヘタッピマンガ研究所R」
村田雄介・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
漫画の描き方を解説した作品。
絵だけではなく、キャラの作り方、作家インタビューなどもあって、純粋に読み物としても楽しめる。
終盤の厳しいセリフなど、印象に残るシーンもあってよかった。
ジャンプを読んでいる人ならより楽しめる。

「HEAVEN」
七瀬葵・既刊1巻(立ち消え)・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★
あるとき浅草を訪れた少年は、そこで異空間に紛れ込み、2人と女神と出会い、少年には特別な力があると判明する。
そして、少年と女神は同居するようになる。
どこかで見たことある設定の話で、ギャルゲーのノリではあるが、作者が作者なだけに許されてしまっている雰囲気を感じる。
絵だけの作品なので、それを覚悟で。
コミックスが1巻出た段階で連載そのものが立ち消えて雑誌も休刊していることから、続編は期待できない。

「ベルサイユのバラ」
池田理代子・全10巻・集英社(マーガレット)
★ ★ ★ ★
男装の麗人・オスカルを主人公としたフランス革命を描いた作品。
アニメはシリアスな部分のみで構成されているが、原作はそれなりにギャグっぽい部分もある。
アニメから入るとそこに違和感を覚えるかもしれない。
内容的には割と史実に忠実。

「べるぜバブ」
田村隆平・全28巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
最強にして最凶の不良少年・男鹿はあるとき川から流れてきた赤ん坊を拾う。
実はその赤ん坊は魔王になる子供で、思いっきり懐かれた男鹿は魔王の息子を育てることになる。
不良ばかりの高校でケンカばかりの展開ではあるが、所々笑いもあり、割と面白く読める。
キャラも割と立っている。
ただ、終盤は割とワンパターンになり、ベル坊を赤ちゃんの状態から成長させられないジレンマもあって、尻すぼみのような感じで終わったのは残念だった。

「ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。」
matoba・全12巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
魔界の行政機関である万魔殿の頂点に君臨する美少女悪魔・ベルゼブブ。仕事は有能だが天然気質のあるベルゼブブの近侍として1人の青年が配置されることになる。
設定は魔界なのだが、生活スタイルは人間界の役所とさして変わらないので、キャラの名前だけ悪魔から引用していると考えた方がいい。人間界や天界との仲も良好で、争いの雰囲気は一切ない。
個性的なキャラたちが暮らす日常を楽しむ癒し系の作品。
最後はキッチリハッピーエンドで終わった。

「ペルソナ 罪と罰」
松枝尚嗣・全3巻・集英社(月刊ジャンプ)
★ ★
PSの「ペルソナ2罪」「ペルソナ2罰」のサイドストーリー。
ゲームの登場人物はほぼ出てこなく、ペルソナ能力に目覚めた別の高校生の物語。
ゲームの世界観を壊すことなく、わりと上手くまとめている。
ただ、やはりゲームを知っていると、ゲームとは別のところで起きていた大事件の設定には違和感があるし、重要アイテムとして扱われているのが漫画オリジナルのものにやはり違和感があったり、であまり好きにはなれなかった。

「HELL HOUND」
長友良充・全3巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★
魔法技術の確立により世界の実権を手にした法皇庁のもとで働く「神の猟犬(ヘルハウンド)」と呼ばれる男女の物語。
アクションものの話であると、政権を取っている人たちの敵対勢力が主人公である話が多いが、これはその逆であるのがなかなか面白い。
ただ、ストーリー展開がワンパターン気味で最終展開もなんとかまとまってはいたが、終わり方はいまひとつ。
絵には不安定なところがあり、読みにくいところもある。

「HELL HELL」
東ジュン・全5巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
地獄王・ソロモンの命令で、72人の息子たちは地上で殺し合うことになる。
68番目の息子で王から最も嫌われた子供である少年は、他の兄弟と比べて軟弱な武器を持ちながらも、なんとか生き残ろうと戦い続ける。
話が所々捻られていて、ソロモン72柱の悪魔という王道な設定ながらも、わりと読める作りになっている。
絵はまだ成長途上だが、アクションシーンは悪くない。
一応ハッピーエンドで終わったものの、最後は無理矢理まとめた感じだった。
やはり72人も描こうとすると無理があったか。

「ペンギンぱあてぃ」
室山まゆみ・全2巻・小学館(フラワーコミックス)
★ ★ ★
ペンギン王国のボンクラ王子が修行のため人間界にやってきて性悪な女の子に拾われ、その家で生活することになる。
1巻では女の子の顔、性格が安定していないが、1巻後半から安定してきている。
「Mr.ペンペン(マ行参照)」の続編であり、時代設定も後になっている。
どちらもなかなか面白く、絵柄も見やすくてよい。

「変身王子ケエル」
柴田亜美・全1巻・エニックス(ガンガン)
★ ★
乱暴者の王子ケエルが女神によりカエルの姿にされてしまい、清らかな心を持つ人に100回キスしてもらわないと元に戻れなくなってしまった。
1話1話では面白いのだが、それぞれの話の関連性がわからない部分があるので評価を落とした。
絵は柴田さんの絵が安定してきた頃のもので、見やすくはなっている。

「ペンデュラム」
たつねこ・既刊4巻(立ち消え)・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
世界の運命を変えるほどの力を持つ厄災(カラミティ)と呼ばれる少女を起こし、その主人となってしまった少年の物語。
作者の前作「フランケンシュタインズ・プリンセス(上記参照)」と同様、序盤から数回は物語がある程度進行するのだが、それ以降は日常的な話が続く。
終盤は謎解きに入ったが、その途中で連載は立ち消えになってしまった。
4巻で5巻は描き下ろしで発売して完結するという告知があったが、発売されることはなかった。

「変な家」
綾野暁・一迅社(ピッコマ)
★ ★ ★ ★
オカルトフリーライターの女性が、知り合いから家の購入について相談を受ける。見せてもらった間取りには様々なおかしい点があり、その家についていろいろ調べ始めることになる。
非常に引きの良い作品で、読み始めたら続きが気になって仕方がない程の吸引力がある。
内容的に荒唐無稽に思えても、実際あり得るかも、と思わせてくれる。
ホラーが好きな人にもおすすめ。

「ホイッスル!」
樋口大輔・全24巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
サッカーの名門中学に入学した少年は背が低いという理由だけで3軍に落とされ、満足にボールにさわれない日々を送っていた。そして、一般入試で入学したため決して自分が2軍にもなれない存在だと知る。
その環境から抜け出すため、少年は転校し、新しいサッカー部で努力を続ける。
よくある話のように思うのだが、主人公の少年には決して天性の才能があるというわけではなく、努力して力をつけていくところに好感が持てる。
絵も試合のシーンは迫力があって見せてくれるし、そうでないところも見やすい。
全体的に引きつける力を感じる。
最後は打ち切りのような感じで終了したが、悪くない終わり方だった。
最後まで変なスーパーシュートが出てこない、努力の話でよかった。

「忘却のクレイドル」
藤野もやむ・全5巻・マッグガーデン(アヴァルス)
★ ★ ★
事実上の徴兵制が再開された世界で、特殊訓練を受ける15歳の少年少女たち。
しかしある日、目覚めると施設は廃墟と化していた。
序盤の訓練施設での話は割と引き込まれたのだが、廃墟化して以降、食事やトイレやお風呂など日常的に満足な生活が送れないことについてあまり触れられることなく進んでいるのが妙に気になってしまった。
それだけ人間関係にスポットが当てられているということかもしれないが……
廃墟の描き方などはなかなかいい。
終わり方もハッピーエンドではないものの、わりとよかった。

「放課後ヒーロー」
ウダノゾミ・全4巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
平凡ではあるけれどちょっと個性的な高校生の日常を描いた作品。
肩の力を抜いて読める作品で、ちょっと気を抜きたいときに読むといいかもしれない。
やや個性に乏しいが、それなりに読める。
絵は上手くはないが、読みやすい。
話は割ときりよく終わっていてよかった。

「封神演義」
藤崎竜・全23巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
古代中国・殷でのさばる妖怪仙人たちを封じていく話。
中国の長編歴史小説を藤崎さんなりにアレンジした構成で、原作とはかなり違っているとのこと。
しかし、なかなか面白いので展開に引き込まれる。
登場人物が多いのにしっかりと描き分けされているのもいい。
ただ、人気が確立して以降展開が遅くなってしまい、中だるみになる部分がある。
終盤の謎解きはよかったのだが。

「鬼燈の島」
三部けい・全4巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★
家庭に問題のある子どもたちを引き取る施設・鬼燈学園に2人の兄妹が転入してきた。
古い木造校舎で教師・生徒たちは寝食を共にするが、学園には上ってはいけない階段や封印された部屋があり、大人たちは何かを隠していた。
全編に渡って不気味な雰囲気が漂っており、怖いけど先が気になる話作りになっている。
ただ、終わり方がかなり急だったので、オチにはちょっと納得できないところもあった。
絵に若干癖があるので、合わない人もいるかもしれない。

「ホームメイド」
谷川史子・全2巻・集英社(クッキー)
★ ★ ★ ★
家事全般が苦手な漫画家の母親を持つ少女。
母の傍若無人ぶりと血のつながりがないことから、少女は母に嫌われているのではないかと疑いだす。
作者の持つ柔らかい雰囲気が非常によく出ている作品で、癒し系の作品としてピッタリ。
テンポのよいギャグと、切ない過去の話のギャップもまたよい感じ。

「ぼく、オタリーマン」
よしたに・全6巻・中経出版
★ ★ ★ ★
ネットで有名な「ダンカン」の過去ログと書下ろしが掲載されている本。
サイトを知らない人の方が楽しめるが、知っていても書き下ろしでわりと楽しめる。
SEであれば共感できる内容も多く、絵も親しみやすいのでとっつきやすい。

「僕と彼女のXXX」
森永あい・全8巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★
美人だが性格が最悪の少女と、美形だが女々しい少年の心と体が入れ替わってしまい、お互いそれを隠して暮らすことになる。
入れ替わりものとしての設定はよくあるものだが、トイレのことや女性特有の悩みなど日常感があり、アレンジの仕方が上手いので高めの評価をつけた。
絵は安定していて読みやすい。
話は元の体に戻ることよりも、入れ替わった後の方で馴染んでいくことに重点が置かれていて、他の作品とは違うものを感じてよかった。
終わり方にも納得がいった。

「僕と彼女の××× 番外編」
森永あい・全1巻・マッグガーデン(Beat’s)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。
入れ替わりから元に戻った後の、本編の後日談となっている。
本編の終わり方に納得できた人のための番外編という感じで、後味良く終わっている。
本編が好きな人なら買って損はしない。

「僕と君の間に」
鈴木央・全3巻・集英社(ウルトラジャンプ)
★ ★ ★ ★
滝の中央にある隔離された世界で育った少年。
幼なじみの少女は外の世界に憧れ、少年とともに旅立とうとするが、事故で死んでしまう。少年は少女の遺志を継いで外の世界に旅立つ。
きれいに3巻で完結している話で、終わり方もよかった。
中盤が少しダレる感じもあったが、第1話と最後の展開のつながりがよかった。
絵はかなり描き込まれていて、それでいて読みやすくてよかった。

「ぼくとミモザの75日」
鬼山瑞樹・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
ヤクザの父親に虐待されて学校にも行けていない少年の下に1人の女性が世話係として現れる。
ミモザと名乗ったその女性は殺し屋で、少年の父親を殺してしまう。ミモザに対して家族的な感情を持ち始めていた少年はミモザと共に逃げ出し、逃亡生活を送ることになる。
タイトルの通り既に終わりが決まっている前提で話が始まっているので、ある意味安心して読める。
逃亡生活中のストーリーは緩急ある作りになっていて、バランスも良い。

「ぼくのお父さん」
矢部太郎・全1巻・新潮社(小説新潮)
★ ★ ★
作者の実父である絵本作家・やべみつのりと作者の幼少期の思い出を描いた作品。
「大家さんと僕」(ア行参照)とは違い、フルカラーで描かれている。
一通り読んでみると、かなりエキセントリックな父親だったというのがわかる。
「大家さんと僕」ほど心に響く言葉などがないのはちょっと残念だったが、父親のキャラは読んでいると心が温かくなる感じはある。

「ぼくの学校は戦場だった」
楠桂・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★
全寮制の学校に転校した少年が、その学校内の授業で軍事訓練があることを知り驚いて反論するが、非国民として牢に入れられてしまう。
ストーリーはまあまあいいのだが、絵が未完成なので画面がごちゃごちゃしていて見にくい。
また、他の収録作品も初期作品なので見にくく、読みにくい。

「ぼくの体はツーアウト」
よしたに・全8巻・集英社(ビジネスジャンプ)
★ ★ ★
健康をテーマに、作者が健康診断を受けるところから始まり、肥満外来に行ったり、マッサージを受けたり、禁煙したり、いろいろと体験したことが描かれている。
様々な健康法などに興味がある人にはお勧め。
サクサク読める作り。

「ぼくの地球を守って」
日渡早紀・全21巻・白泉社(花とゆめ)
★ ★ ★ ★
月世界で暮らした前世を持つ男女7人の物語。
一口にどんな作品とは言い難いが、かなり面白い。
絵も10巻以降からはとてもきれいでいいのだが、カラーで金髪の人の黒眉毛はやめてほしかった。
ラストは都合よく見えなくもないが、それまでの内容を見ていると仕方ないとも思える。
中盤で結末を決めたとのことで、最初の頃紹介されたエピソードが後半立ち消えになっているものがあり、そこは気にかかる。

「ボクの創る世界」
カザマアヤミ・全1巻・ソフトバンク(ブラッド)
★ ★
思い描いたイメージを具現化する「幻燈」。
その幻燈師を目指す人たちが集まるアカデミーの話。
設定自体はそこそこ珍しくないものなのだが、話自体は極々普通の少女マンガ。
絵が好みなら読んでいいかもしれないが、もう少し切なさがある感じであればよかったと思う。

「ぼくの地球と歌う」
日渡早紀・白泉社(MELODY)
★ ★ ★ ★
「ぼくの地球を守って」と「ボクを包む月の光」の続編。
「ボクを包む月の光」では新たな謎や謎解きはあまり入ってこなかったが、今作では前世の7人が暮らしていた母星やキチェスについての謎解きがいろいろ提示されるので、かなり引き込まれる作りになっている。
「ボクを包む月の光」を飛ばして読みたいところだが、「ボクを包む月の光」を読んでいないと人間関係がわかりにくいので、「僕の地球を守って」の次にいきなり本作を読むのはお勧めしない。

「ぼくらの」
鬼頭莫宏・全11巻・小学館(IKKI)
★ ★ ★ ★ ★
ある林間学校で一緒になった15人の少年少女たち。
そこで出会った不思議な青年によってゲームに誘われた彼らは、遊び感覚で契約して巨大ロボットで敵と戦うことになる。
しかし、そのロボットを操縦すると、戦闘後に死んでしまうことが後々わかる。
様々な葛藤を抱え、彼らは謎の敵と戦っていく。
既存のロボット漫画とは一線を画していて、それぞれのキャラたちのエピソードに引き込まれていく。
少しずつ謎解きがありつつ、新たな謎が出てくる展開もいい。
最後まで決して都合のいい展開はなく、読ませてくれた。

「ボクラノキセキ」
久米田夏緒・一迅社(WARD)
★ ★ ★ ★
前世王女だった記憶を持つ少年。それをうっかり口にしてしまったため、周りから疎まれていた少年の前に、周りと分け隔てなく接してくれる少女が現れる。
前世や魔法の話が出てくると、一瞬作者の独りよがりな設定があると思ってしまいがちだが、この作品は設定がしっかりしており、話も作り込まれている。
あらすじで敬遠せずに1度読んでみることをお勧めする作品。

「ぼくらの気持ち」
谷川史子・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
仲のいい女友達に告白した男の子だったが、「友達でいよう。」と断られてしまう。
タイトル作品に限らず、どの作品も上手くまとまっているが、印象に残る作品はない。
作品を読み返すよりも、おまけを読み返している方が面白いと感じてしまう。

「ぼくラはミンナ生きテイル!」
Tiv・全3巻・一迅社(REX)
★ ★
姉を捜すために田舎から出てきた少女は、街中で猫を助けたことで命を落としてしまう。
しかし、その猫に命を分けてもらい、1年間生き延びることができるようになった。
その猫は人間の世界で生きていく術を学ぶ学校の生徒だったため、少女はその学校で100件の事件を解決し、ちゃんと生き返るためにその学校の生徒となる。
ほとんどの登場人物は人間化した動物たちで、そのかわいさを楽しむための作品。
ただし、主人公を含めてほとんどのキャラがドジっ子のため、それにイライラすると辛い。
かわいい絵とドジっ子が好きという人になら。
最後は打ち切りだったのか、100の事件を解決することもなく、根幹の設定を覆すような話になっていて残念だった。

「ボクを包む月の光」
日渡早紀・全15巻・白泉社(別冊花とゆめ)
★ ★ ★
「ぼくの地球を守って」の続編で、前作の子供たちが主人公。
前作からかなり作者の絵が変わっているので、同じキャラとは思えない人もちらほら。
話も前作を知らないとわからない作りになっている。
前作がきれいに完結しているだけに、前作を知っている人も無理に読む必要はない。
新たな謎などは出てきていないので。
前作に強い思い入れを持っている人なら、楽しめるかもしれない。

「POCKET HEART」
吉崎あまね・全1巻・エニックス(ステンシル)
★ ★ ★ ★
オルゴール職人を目指す少年と、オルゴール職人だったおじいさんとかつて暮らしていた2人組のブラウニーの物語。
3話の短期集中連載だった作品で、まだ続きが読みたいと思わせるものの、これだけでも満足できるというところで完結している。
短編集ではない全1巻の作品としてのレベルは高い。
絵には柔らかい雰囲気があって読みやすい。
将来性も含めてこの評価。

「ぼけ日和」
矢部太郎・全1巻・かんき出版(描き下ろし)
★ ★ ★ ★
認知症になってしまった本人、その家族、担当医師の交流を描いた作品。
物盗られ妄想は一番頼りにしている人に対して出る、など認知症になると実際にどういう症状が出るのか、家族はどう接したらいいのか、認知症についていろいろ学べる作品。
少しおかしいことが続いたら医者に行って早い段階で薬に頼った方が、結果的に家族も本人も楽になるなど、目からうろこの情報も多い。
認知症を知るための最初の1冊になる作品。

「星影のブレス」
しもがやぴくす&みらい戻・全2巻・集英社(マーガレット)
★ ★ ★
「月光のピアス(カ行参照)」の続編で、失われた7聖宝のうち「星影のブレス」が見つかったときの話。
今回は小説1冊を漫画2冊にしたので展開もスムーズになり、かなりよくなった。
これ以降の小説が漫画化されていないのが少々残念。

「ほしのうえでめぐる」
倉橋ユウス・全2巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
宇宙エレベーターを建設しているとある街にて。
長年建設が続けられていた宇宙エレベーターが、突如建設を一時凍結してしまう。
その宇宙エレベーターに関わる人々のオムニバスストーリー。
序盤のストーリーは切ないものがあったりしてなかなかいいのだが、中盤以降ちょっと話がわかりにくくなっていくのが難点。
序盤の雰囲気のまま最後まで行ってくれたらよかったのだが。
オムニバスストーリーが最後に集結して収束するという流れはいいだけに、残念。

「星の王女」
桃川春日子・全2巻・マッグガーデン(アヴァルス)
★ ★
両親を亡くして血の繋がらない兄と2人で暮らしてきた少女。
お互いに惹かれながらも想いを伝えられずいた2人。
そして、病弱な兄は少女を残して亡くなってしまう。
他にも幼馴染が出てきたりする、典型的な少女漫画。
作画が「西の善き魔女」(ナ行参照)の桃川さんだということで買ってみたが、ベッタベタな少女漫画が苦手な私には合わなかった。
終わり方もベッタベタ。
設定がふた昔前くらいの印象だった。

「ほしのこえ」
佐原ミズ・全1巻・講談社(アフタヌーン)
★ ★ ★ ★
新海誠さんがたった1人で作ったことで有名なOVAを漫画化した作品。
基本はOVAを忠実に再現していて、表現し切れなかった部分を補完した形になっているので、原作ファンもすんなり入ることができる。
また、終わりに想像の余地を残したOVAとは違って、わりときれいに話をまとめているので、読後感もよい。
絵は作品に雰囲気に合っていて、かなり上手い。
原作を知らずに読んでも特に問題ないと思う。

「星の速さで駆けてく」
谷川史子・全1巻・集英社(クッキー)
★ ★ ★
幼馴染みの死を受け入れられずにいる少女の前に幼馴染みとそっくりな少年が現れる。
その他2本の短編が収録されており、ハッピーエンドの話は少ないものの、そこがいいと思える。
都合のいい展開も少なく、安心して読める。

「What’s Michael?」
小林まこと・全9巻・講談社(モーニング)
★ ★ ★
ある1匹のトラ猫「マイケル」を中心としたギャグ漫画。
1話1話ならば楽しめる作品が多いのだが、物語に登場する猫の飼い主が2転3転しているのが気にかかる。
また、ラストもこれで終わり?と思えるような終わり方で残念だった。
完結して数年後に発売された9巻は、それまでの後日談という感じで、年月は経過していても面白く読めた。
1、2巻はあまり好きではないがそれ以降は好き。
絵も3巻以降安定してきてよい。

「本町一丁目栗本菓子店」
樹原ちさと・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★ ★
和菓子屋を経営するの少女の父は元探偵で、商店街で起きた事件を解決していく。
犯人や展開がどれも意外でとても面白い作品。
殺人事件を扱った漫画が多い中では新鮮でよかった。
ラストは少々強引だったが、めでたしめでたしといった感じで許せる。

「PON!とキマイラ」
浅野りん・全7巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
1000年に1度ふ化するという神獣の卵を預かった天空に住む少女は、間違って卵を地上に落としてしまう。それを地上で拾った少年の前で神獣はふ化し、少年が神獣の親になってしまう。
浅野さんらしいストーリー展開で、話のテンポがいい。それぞれのキャラに存在感があって、神獣もかわいい。
終わり方は満足のいくものではなかったが、悪くはない、といったところ。
話が間延びする前に終わってよかった。
絵も見やすくてよい。
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タ行-1 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「DARKER THAN BLACK 漆黒の花」
岩原祐二・全4巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★
同名タイトルのアニメの1期と2期の間で起こった話を、キャラデザ担当が漫画化している、という作品。
アニメを知らないと読めない話のように思えるが、実際読んでみるとアニメを知らなくても特に問題はない。
話の勢いもあるので、一気に読めるのがいい。
ただ、終わり方についてはアニメ2期に繋がっているということもあり、「漆黒の花」としてのみエピソードが完結しているので、やや中途半端気味。
最終的にはアニメを知っている人向きか。

「堕アホリズム」
田中ひかる・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガンONLINE)
★ ★
「アホリズム」(ア行参照)の外伝的作品。
本編の13年前、「弩アホリズム」(下記参照)の4年後の話で、「病文字」と言われる禁断の文字を選んでしまった少女の物語。
「病文字」という設定を出すための話という感じで、本編の謎解きなどは特にない。
本編と違う人が作画しているが、絵はそれなりに似ているので、読んでいて違和感はない。

「第三次性徴期、大塚くん!」
君塚力・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガンONLINE)
★ ★ ★
14歳で事故に遭い、26年間眠り続けた後、奇蹟的に目を覚ました大塚くん。
見た目は40歳、中身は14歳のまま中学に復学することになる。
見た目と中身のギャップが激しいのが面白く、運動したいけど体がついてこないとか、加齢臭が気になるとか、HなDVDを合法的に借りられるとか、いろいろネタが楽しい。
テンポもいいので、サクサク読める。
ただ、2巻以降は1巻ほどの勢いがなくなり、尻すぼみ的に終わったのは残念だった。

「堕イドル」
ガクキリオ・山口アキ・全2巻・講談社(別冊マガジン)
★ ★
堕ちたアイドルとして孤島に集められた50人のアイドル達によるデスゲームの話。
各ゲームの設定や攻略方法など、理に適っていてなかなか読み応えのある話だったのだが、3回戦の途中で打ち切りとなってしまい、何の結末もわからないまま終わってしまっていた。
最後まで連載が続いていれば、良作になっていたかもしれない。

「大正格闘浪漫 疾風の天」
松葉博・全2巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
大正の時代、風の力を受け継ぐ天狗一族とそれに対する鬼一族の戦いを描いた作品。
同作者の「天馬の風」とほぼ同設定で、時代が前の話と考えていい。
「天馬の風」よりも登場人物の年齢が上なので、格闘シーンにも迫力が出てきた。
ストーリーの着眼点は悪くはないが、最後の方は詰め込んだ感じがする。
また、ストーリーの練り込みも少し足りない。

「-di[e]ce-」
山本佳奈・全6巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
血の繋がりはないのに、同じ誕生日で同じ顔をしている高校の同級生2人。
2人が16歳の誕生日を迎えた日、突然2人がお互いを殺さなければならないゲームが始まる。
物語の進行スペースは非常に遅く、序盤から伏線を張りまくっているので、置いていかれる人は多数いると思われる。感情移入もしにくい作り。
それが終盤はかなり早い展開となり、謎解きに向かう過程はなかなか読みごたえがあった。
ただ、オチは結構ガッカリなもので、そのオチだけは避けてほしかった、というレベル。
話の筋は通っているのだが。

「橙星」
群青・全3巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
昔封じられた4人の魔女の墓を見つけると願いを叶えてもらえる、という伝承の残る国。
それぞれ願いを持った少年・少女たちは魔女の墓を探して旅を続ける。
話の大筋は非常にオーソドックスなものではあるが、ちょっとした捻りもありつつ、話の進むテンポもよいので、サクサク読める。
最初から終わりが決まっていたようで、きれいに終わってくれた。
本誌にのみ掲載された外伝がコミックスに収録されなかったのが残念。
絵は幻想的な感じがしてよい。

「大長編ドラえもん」
藤子・F・不二雄・小学館(てんとう虫コミックス)
★ ★ ★
映画原作となる1冊でおおきな1つの話を描いたシリーズ。
ストーリーとして、面白いものとそうでないものとの差があるので、評価はここに落ち着いた。
ストーリー的矛盾がある話もあったが、映画ではちゃんとフォローされていた。
コマが小さい割にややセリフが多いが、読みにくくはない。
途中で作者が亡くなったが、以降は同じ絵が描けるスタッフの手によってシリーズは続いている。

「大都会にほえろ」
楠桂・全9巻・角川書店(あすか)
★ ★ ★
大都会で起こる妖怪による犯罪を取り締まるモンスターGメン2人と、刑事、運動神経のやたらいい女性の計4人の主人公たちの四角関係を含みつつ、様々な犯罪を解決していく話。
恋愛にまっすぐ走ることなくラブコメになっていて恋愛よりも事件の方が主張が強いので評価は下げなかったが、可もなく不可もない作品。
ラストはうまくまとまってはいるが、1番最初の目的が結局果たされていないのは気にかかる。
絵は楠さんの絵が確立されているのできれいだが、服のしわ部分のトーンが多く、その他のトーンも多くて少し見づらい。
また、顔と体のバランスが多少崩れ、顔が大きく肩幅が狭い絵は変に見える。

「Doubt」
外海良基・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
ネットゲームで知り合った5人+1人は、カラオケボックスで気絶させられてどこか奇妙な場所に閉じ込められる。
そして、1人ずつ人が殺されていく。
雰囲気はかなり良かったのだが、謎解き部分でかなり脱力してしまった。
いくらなんでもそれはないだろう、というもので、作品の評価が一気に下がった。
最後は単純なハッピーエンドにしなかっただけ良かったが。

「tactics」
木下さくら×東山和子・全15巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
裏で妖怪退治屋を営む少年と、その少年に封印を解かれた鬼喰い天狗の物語。
絵は合作で描かれているが、違和感なく読める。
構図がきれいで、序盤はかなり面白いのだが、中盤で作者の1人・木下さんの病欠で東山さんのみの作画になった短編が続くなど、中だるみがあった。
話は一応区切りのついたところで一旦終わっているが、後味はよくない。
続編として「tactics新説」がある。

「タクティクスオウガ」
松葉博・全4巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
SFCソフト「タクティクスオウガ」を漫画化した作品。
ゲームではロウルートになる部分を漫画化していて、そこにこのゲームを漫画化した価値がある。他の漫画にはない、理想のためにその手を血で染める主人公になっている。
話のテンポは早めで、サクサク読める。
最初から固有名詞のオンパレードだが、コミックスでは最後に解説も付いているので、理解しやすくなっている。
ただし、ゲームではChapter2のところでストーリーが終わっているので、謎が謎のままの部分が多い。
ゲームをプレイしたことがないしするつもりもないという人にはお勧めできない。
ゲームの雰囲気を知りたいだけならお勧めできるが。
絵はゲームに近い雰囲気があって、読みやすい。残虐なシーンも上手く処理している。

「takeru」
中島かずき×唐々煙・全4巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
「劇団☆新幹線」の舞台を漫画化した作品で、邪馬台国があっただろう頃の古代を舞台に話は進んで行く。
しかし、グライダーが出てくるなど妙に現代っぽいところもあり、若干肌になじめないのがちょっと辛い。
全体的に見るとわりとよく出来ているが、どんでん返しもなく、極々普通に進んで極々普通に終わった感じ。
もう少し意外性がほしかった。

「タコピーの原罪」
タイザン5・全2巻・ジャンプ+(集英社)
★ ★ ★ ★
宇宙にハッピーを広めるため地球にやって来た宇宙人・タコピー。自分にパンをくれた少女を幸せにするため、タコピーは様々な便利道具を少女に与えようとするが、少女はそれを受け取らなかった。
タコピーは善意だけで動いているものの、善意だけではどうにもならない現実であったり人間関係で最悪の結果を招くなど、読んでいるといろいろ考えさせられる作品。
次第に壊れていく主人公、イジメをしないと自我を保てないいじめっ子など、心を抉ってくる。
最後は少々都合のいい終わり方に見えてしまったことだけが残念。

「多重人格探偵サイコ」
田島昭宇・全24巻・角川書店(少年エース)
★ ★ ★ ★
警察官として働いていた青年は、ある日恋人が猟奇殺人犯に手足を切り落とされながらも生きている、という状態にさせられてしまい、その犯人を撃ち殺して裁判にかけられた。そこで別の人格が目覚めた青年は、出所後探偵として数々の猟奇殺人事件を追うことになる。そして、青年が追いかける猟奇殺人犯たちの左目にはバーコードのような痣があり、青年の左目にもまたバーコードの痣があった。
ストーリーは凝っていてかなり引き込まれるし、絵も非常に上手い。
序盤から結構グロテスクな描写もあるので、その辺りは少し人を選ぶ。
中盤以降は探偵というよりも、多重人格になった主人公の謎を追っていくような展開になり、話の方向性が序盤と違ってしまったように感じられた。
それなりにきれいに終わったが、途中でついていけなくなる人もいる展開だった。

「ダズハント」
筒井哲也・全1巻・スクウェア・エニックス(Web公開作品)
★ ★ ★ ★
プレイヤー同士が携帯電話を奪い合うゲーム・ダズハント。
少年院上がりで会社で居場所のなかった青年は、そのゲームに入り込み、何人もの人を殺しては携帯電話を奪って多額の現金を手に入れていった。
Web公開作品なので、全編通して「PCで描きました」という雰囲気が強いのがネックだが、オチもわりと効いていて面白く読める。
きれいに完結している。

「黄昏乙女×アムネジア」
めいびい・全10巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
60年の間繰り返された増改築のため、複雑に入り組んだ構造になった私立学園。
かつてそこで人柱にされた女子高生・夕子の霊と、彼女を唯一見ることのできる少年が出会う。
夕子は幽霊であるものの、見える人には実際触れることができ、夕子自身も服を脱いだり着替えたりできる。
そのため、序盤はエロ狙いに見えるが、実際は都市伝説をうまく取り入れたりしていて、それなりのホラーものとして読むことができる。
絵は暗い雰囲気がよく出ていて、引き込まれる。
終盤の謎解きはいい感じに引き込まれるが、都市伝説絡みの話はそこまで必要のないものも多くて、ちょっと無駄が多い感じがするのが少し残念。
最後はきれいに終わっていた。

「たそがれのにわ」
高坂りと・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★ ★
精霊のバランスが崩れ、滅びようとしている世界。
その世界で世界中に散らばった大地の力を集めれば、世界の滅びを止められるという。
大地の神子である少年と、その守人となった少女は大地の力を集めるために世界を旅する。
設定はわりと単純なのだが、話がそれなりに捻られていることが多く、ワンパターンに陥る雰囲気はない。
一応2巻で完結しているものの、最後は打ち切りだったのでは、と思わせるように終盤思わせぶりなキャラが出てきたりしたのは残念。

「正しい国家の創り方。」
橘あゆん・全4巻・一迅社(REX)
★ ★ ★
雑誌編集者として就職した女性は、予期せずある漫画家の担当編集にさせられてしまう。
作家の巧みな誘導でコスプレさせられたり、おかしなことをさせられたり、と女性はひたすら弄ばれる。
主人公の女性がノーマルな人ならよくある話なのだが、女性も女性でアイドルオタクだという設定がなかなか面白い。
基本的には内容よりもコスプレや絵で楽しむ作品だが、アイドルオタクライフはなかなか楽しく読める。

「佇む記憶」
夢路行・全1巻・一迅社(ぶ~け)
★ ★ ★
小さい頃、小さな踏切りで死に掛けたことのある少年は、その踏切りに佇む女性の幽霊を見つける。
全て怖い話を集めた短編集で、バッドエンドの話も多い。
作者の作風とはちょっと違う感じだが、作者の違った雰囲気を楽しみたい人にはお勧め。

「TATOO HEARTS」
加治佐修・全2巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
鍼治療と間違えられて背中に特別な刺青をされてしまった少年。
その刺青には持ち主の心に比例した力を引き出す力があり、少年は様々な敵に命を狙われるようになる。
打ち切りになってしまった作品ではあるが、絵は安定していて画面構成などもなかなかよかった。
ストーリーもわりと好きだった。

「たとえばこんな幽霊奇談」
楠桂・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
何でもない平和な日々を過ごしていた女子高生が突然幽霊にとりつかれる。
幽霊にとりつかれた理由というのがまた下らないが、それはそれで笑えるのでいい。
絵もだいぶ見やすくなってきた頃の楠さんの作品。
巻末に収録されている短編はノストラダムスの大予言を元にした話なので、1999年に何も起こらなかったのであまり意味のない作品になっていて残念。

「たなかは」
田中淳一・全1巻・一迅社(REX)
★ ★
漫画家志望の青年が行き当たりばったりで上京し、バイトをしながら漫画家を目指していく。
どうやら作者の実体験が多分に含まれているようで、その辺りのリアリティを感じられる作品。
話も1巻で上手くまとまっている。
ただ、絵がまだまだ未熟で、本当に漫画家になりたてなのだな、というのも同時に感じる。
表紙の見た目よりずっと読める作品ではある。

「他人暮らし」
谷川史子・全1巻・集英社(コーラス)
★ ★ ★
学生時代からの友人で、今はバツイチ・独身・新婚とそれぞれの暮らしをしていた3人。
その3人がひょんなことから3人で一緒に暮らし始めることになる。
気の置けない友人同士なのに、それぞれのライフスタイルの違いから一緒に暮らしてもあまり上手くいかない辺り、リアリティがある。
3人のオムニバスエピソードは、悪くはないけどそこまで意外性もなくて少し残念。

「タビと道づれ」
たなかのか・全6巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★
内気で友達もいない少女は、ある日学校をズル休みして幼なじみのいる町へ向かった。
しかし、その町は同じ一日を繰り返しており、少女は幼なじみにも会えず、町からも出られなくなってしまう。
内気なヒロインに最初はイライラしたのだが、成長していく姿を見て途中から話に入れるようになった。
田舎町の切ない雰囲気のある絵もよい感じ。
4巻以降、謎解きが始まってからの吸引力は素晴らしいものがある。

「旅のしをり」
佐伯弥四郎・全1巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★
作者の短編集。全18本収録されている。
私個人としては初期短編集を期待して買ったのだが、ほぼArcana(ア行参照)に掲載されている作品ばかりでちょっとガッカリした。
Arcanaを揃えている人にはほぼ必要ないくらいで、このコミックスにだけ収録されている作品というのは50Pもない。
Gemeinshaft(カ行参照)のキャラの短編もあり、短編集としての存在意義は薄い気がする。

「ダブルアーツ」
古味直志・全3巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
世界に蔓延する病気「トロイ」を一時的に抑える力を持つシスターの少女。
しかし、少女もまたトロイに感染し、死にそうになる。
それを助けた少年は世界で唯一トロイに感染しない少年で、少女は少年と手をつないでいる間だけトロイの発症を抑えることができた。
2人は常に手をつないだまま、トロイをなくすための旅に出る。
残念ながら途中で打ち切りになってしまったため話として完結しなかったのが惜しまれる作品。打ち切りさえなければ★+1はつけていた。
しかしながら、1巻に収録されている「island」の出来は秀逸なので、この読み切りを読むためだけにコミックスを買ってもいい。

「Wチェンジ!!」
松葉博・全6巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★
「チェンジ!!」(下記参照)の続編で、前作を知っていることが前提の作品。
前作ではパンチラが気になっていたが、今作では減っていて読みやすい。ただし、ヒロインへのムカつき度は上がっているので、前作で変身前のヒロインが嫌いだった人は気をつけた方がいい。
ただ、物語後半でヒロインの性格が変わるので、そこまでの辛抱。
最後はきれいにまとまってよかった。

「ダブルブリッド」
しろー・全2巻・メディアワークス(電撃大王)
★ ★ ★ ★
同名小説を漫画化した作品で、妖怪と人間のハーフとして生まれて警察で働く少女と、少女の元に派遣された青年の物語。
最初の方はキャラを捕らえきれていない感じがしたが、ページが進む毎に良くなっていっていて、終盤はかなりいい盛り上がりを見せている。
小説では表現できなかった視覚的な表現もきっちりできていて、原作を知らなくても楽しめる作り。
絵は少々読みにくいが。

「たまごのきみ。」
住吉文子・全4巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
美的感覚が地球と真逆の惑星に生まれた少女。
少女は身よりもなく、不細工なために、里親から冷遇されていた。
しかし、湖に落ちて流れ着いた先が地球では、少女は絶世の美女であった。
設定がわりとありきたりで、展開も「どこかで見たことがあるな」というものが多い。
作者特有のぶっ飛んだキャラもあまり多くなく、後一歩ほしいな、と思ってしまう。
ただ、話の展開には一切無駄がなく、きれいに4巻で完結したのは見事。

「ダメっ娘喫茶 でぃあ」
柚木涼太・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
対人恐怖症の女の子が、それを克服するために妹喫茶で働く、という話。
設定だけを見るとバカバカしいが、実際読んでみるとこれが意外と面白い。
周りのキャラがそこまで強くないのがネックではあるが、一定レベルを保っている。
全2巻と話は短めに終わってしまったが、終わり方は悪くなかった。

「男子高校生の日常」
山内泰延び・全7巻・スクウェア・エニックス(ガンガンONLINE)
★ ★ ★ ★
男子高校生が放課後友達の家で彼女を作るシミュレーションをしたり、女装してみたり、とひたすらどうでもいい日常が語られる作品。
終始グダグダな感じで進むが、それはそれで味があり、ついつい読み進めてしまう力もある。
いつまでも連載を続けることも可能な話だったが、話がマンネリ化する前にスパッと終わったところは評価したい。ただし、終わり方がきれいというわけではないが。
絵はあまり上手くない。

「DANCE DANCE DANCE!」
森田柚花・既刊2巻(立ち消え)・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★
不思議な世界の憧れる少女が、あるとき不思議な霧に包まれて過去の世界へやってきてしまう。
少女は過去の町で出会った少年に助けられ、元の世界に戻る方法を探しながら少年と共に暮らすことになる。
かなりベッタベタの設定で話が展開していくので、話にあまり期待を持って読み進められない。絵はかわいらしくてよいのだが。
中盤で少し話が面白くなりかけたかな、という辺りで連載が立ち消えとなってしまった。

「探偵学園Q」
さとうふみや・全22巻・講談社(マガジン)
★ ★
「金田一少年の事件簿」(カ行参照)と同じコンビが描いた推理漫画。
日本で唯一拳銃の携帯を許された探偵が運営する探偵養成学校が舞台だったり、1度見たものは決して忘れないという瞬間記憶の能力を持つ女の子がヒロインだったり、IQの高い人が出てきたり、と最初からある意味すっ飛ばしている作品。
最初からそういうものだと思っていればそれなりには読める。
最初から終わりを想定して作られた作品のようで、終わり方はきっちりしていて、謎などがほとんど残らないのは評価できる。
しかし、本格的なミステリーが読みたいと思っている人にはあまりお勧め出来ない。
息抜きのつもりで。

「探偵学園Qプレミアム」
さとうふみや・全1巻・講談社(マガジン)
★ ★
上記作品の続編で、前作から数年後の話になっている。
一応前作でキッチリ完結していたのに、実は敵が生きていた、などの設定が出てきて、引き伸ばしに入っているな、とまず思ってしまった。
前作が好きだった人ならよいのだろうが。

「探偵になるための893の方法」
坂本あきら・全3巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★
資格オタクの青年は、定職にもつかずひたすら資格を取るために勉強するだけの日々。
そのせいで彼女にも振られたところで、大学時代の先輩に拾われて何でも屋をすることになる。
原作者が我孫子武丸さんということで、数話かけて完結するミステリ作品。
トリックがすごいということはなく、全体的にはキャラを楽しむ作品かな、と思う。
絵は上手いので、読みやすい。
最後は打ち切りの感じだった。

「タンバリン」
柴田亜美・全2巻・小学館(ガッタ)
★ ★
かつて天上・地上世界を統一した天地王が所有していた冠具・タンバリン。その一部を持ち、自ら天地王になろうとする少年の物語。
ストーリーは重めで、柴田さんにしては珍しくギャグがほとんどない。それだけに、ストーリーが今までの作品と似たような主人公と登場人物で構成されているので、目新しさも面白さもそれほど感じなかった。
全編通しておどろおどろしさを出そうとしていたが、その路線には走らないほうがよかったように思う。
雑誌が休刊になった為に打ち切られた作品だった。

「小さな魔女の首輪(コリエ)」
チノク・全3巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
幼い魔女のリュリュは、力を抑える首輪をつけられ、とある古城で隔離生活を送らされていた。
そこに新たな職員として青年・カミロがやって来る。
今まで接してきた誰とも違うカミロと接するうち、リュリュは徐々に心を開いていく。
とにかくリュリュに萌える話で、ちょっとツンデレでわがままな幼女に萌えるという人なら確実にヒットする。
話も大半は日常を描いているが、シリアスな部分もよく、絵の雰囲気もいい。
やや打ち切り気味な感じで終わってしまったのが残念だった。

「CHANGE×CHANGE」
松葉博・全1巻・マッグガーデン(マサムネ)
★ ★
血を見ると人格が換わってしまう極道の女子高生が不良相手に暴れまわる。
全編通してパンチラの嵐で、明らかに狙っているのがわかる。
その他、ヒロインの胸がでかい、メール交換による少女漫画っぽさがある、などなどで私の肌には合わなかった。
それでも、最後の方はパンチラ度が下がり、まとまりもよかったので、最低評価にはしなかった。

「チェンソーマン」
藤本たつき・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
両親がおらず、借金返済のためギャングの手下として最底辺の生活をしていた少年。
その中で少年は一緒に暮らしていた悪魔と共に殺されてしまうが、悪魔が少年の心臓となることで蘇生する。その時に出会った女性とともに、少年はデビルハンターとして公安で働くことになる。
様々な能力を持った悪魔が登場するが、その個性の付け方が上手い。
最後までラスボスがわかりにくかったのはよかったが、全体的に話が概念的というか抽象的なところがあるので、人を選ぶところはある。
絵は粗く見えるが、読みにくくはない。

「チキンパーティー」
金田一蓮十郎・全3巻・秋田書店(プリンセス)
★ ★ ★
母親がほとんど家に寄り付かず、ほぼ1人暮らしをしている少女の元に、にわとりの着ぐるみを着た奇妙な人が転がり込んできた。
少女はにわとり男の正体がうやむやのまま一緒に暮らすことになる。
少年漫画を描いている作者が描いた少女漫画、ということであまり期待していなかったのだが、読んでみるとわりと面白い。
にわとり男のキャラは立っているし、話もワンパターンにはなっていない。
話も3巻でサックリ終わり、ワンパターンになる前に終わってくれてよかった。まとめ方もありきたりだが悪くなかった。

「ちちとこ」
うち子・全10巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
酷い方向音痴でほぼ家にいない母親の代わりに、頑張って子育てする父と元気な息子の物語。
読んでいてほのぼのする感じの話で、のんびり気楽に読める。
絵もスッキリしていて読みやすい。
中盤はやや中だるみな感じになったが、最後はきれいに終わった。

「千歳ヲチコチ」
D・キッサン・全8巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
平安時代。貴族の娘としてはちょっと変わった考えを持つ少女・チコが失くした文を拾った青年・亨。
亨が文に対して返歌をしたことから、2人に接点が生まれる。
平安時代が舞台なのに言葉遣いなどに横文字が多用されていていることに対して若干の違和感があるが、平安時代のことをよく調べた上で描かれているというのが伝わってきて全体的に見ると好感触。
平安ものが好きな人にお勧め。
最後もきれいに終わった。

「ちぱパニック!!」
幸宮チノ・全3巻・エニックス(ギャグ王)
★ ★ ★
ある一家がアフリカから持ち帰った卵がふ化し、悪魔の子供が生まれて世界征服を狙うが、あまりにも弱いためにいいようにもてあそばれ、結局はその家に居候することになる。
柔らかい雰囲気のあるギャグ漫画。絵も見やすく、ほのぼのとしている。
ストーリー的にもまあいいのだが、世界征服という言葉はいつも出てくるが「悪魔の子供」という設定が立ち消えになっているように感じるのが残念。
ラストはほぼ納得できた。

「チャンネル5」
柴田亜美・既刊5巻(立ち消え)・徳間書店(アニメージュ)
★ ★ ★
300年に及ぶ惑星戦争の結果、人々の寿命は20歳になっていた。
その中で、唯一完全な健康体を持つ少年が、惑星を救うため「チャンネル5」計画を実行することになり、宇宙へと旅に出る。
登場人物が多いために、それぞれ見分けるのが少々大変。
顔がアップになると、似たような顔の登場人物が同時にいる場合、誰が話しているのか一瞬わからなくなる。
柴田さんの漫画はほとんどが時代は違うが、大きく横の世界でつながっているという世界観。
どの作品も単独で楽しめるが、全てを読んでおくと、より楽しめる。
話が大詰めに入る前に休載し、そのまま未完となってしまった。
後に描き下ろしで区切りのあるところまでは描かれたらしい。

「超空転神トランセイザー」
美川べるの・全3巻・講談社(e-manga)
★ ★
魔法少女に憧れる少女の前に、魔法少女に付き物のかわいいマスコットが現れ、変身ステッキを渡す。
しかし、それで変身したのは魔法少女ではなく、特撮ヒーロー・トランセイザーだった。
初めてトランセイザーに変身したときはかなり笑えたのだが、それ以降が少々パワーダウン。
作者のギャグも面白いのだが、ストーリー漫画ということもあり、他の作品ほど面白くないのが残念。
それが最後まで続いてしまい、きっちり終わってはいるものの終わりも微妙だった。

「CHOKOビースト!!」
浅野りん・全4巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★ ★
精神獣という精神を獣化できる力を持つ女の子を無理矢理引き取らされた少年。
女の子はその力が強大であるために、謎の一族から狙われていた。
大ボケな女の子と、とにかく無責任で気性の激しい少年のコンビがいい。他のキャラたちも個性が強く好感が持てる。
絵は見やすく、ストーリーは面白く、文句の付け所がない。こんなに面白い漫画なのに、いつも雑誌の後ろの方でカラーなしの連載をされていたのが不思議なくらいだった。

「超獣伝説ゲシュタルト」
高河ゆん・全8巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
遥か南に存在する呪いの島ゲシュタルト。
そこには何でも願いを叶えてくれる超獣が存在するという。
そこを目指すプリーストとゲシュタルト出身の不思議な少女(本当は男だが、魔法により女になっている)の冒険物語。
登場人物などをしっかりと理解すれば、かなり面白く読める作品。
ただ、突然の場面変更や伏線は何度も読み返さないとわかりにくい。
終わり方にはそれなりに納得は出来たのだが、取り残されたままの伏線が山ほどあって、とても終わったように見えなかった。
高河さんはかなり漫画を描くのになれているので、絵はまあまあ安定感があってよい。

「超絶変身!!アースカイザー」
くぼたまこと・全2巻・講談社(モーニング)
★ ★ ★
静岡で世界征服を狙う様々な悪の組織や怪人たちが暮らす日常を描いた作品。
タイトルにあるアースカイザーは作中に登場しない。
基本的には「天体戦士サンレッド」(タ行参照)の舞台が静岡になって怪人たちのオムニバス形式の話になった感じ。
サンレッドが好きな人なら確実に楽しめる内容。
読んでいるとちょっと切ない気持にさせてくれる。いろんな意味で。
思っていた以上に話が続かなくて残念。

「超弩級ホカホカ戦士チャブダイン」
牧野博幸・全2巻・エニックス(ギャグ王)
★ ★
宇宙から突然やってきた不思議な生物によって無理矢理正義の味方にされてしまった少年が、反発しながらも宇宙からやってくる敵と戦う話。
作者が好きなので、この作品は期待して買ったのだが、あまり出来はよくなかった。
絵は完成されているし、ストーリーも作者らしさが作品の所々に見受けられて、笑える箇所もあるにはあるが、以前の作品と比べると力がない。
2巻前半のふざけた話はその中でもわりと面白かった。
あとがき漫画が面白いのが救い。

「超能力者斉木楠雄のΨ難」
麻生周一・全27巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
念動力、透視、瞬間移動、様々な超能力を使いこなす高校生・斉木楠雄。
しかし、何でもできるが故に人生を楽しめない楠雄は、穏やかな日常を過ごすことを望んでいた。
万能ではない超能力と、その力をもってしてもどうにもならない腐れ縁の友人たちなど、声に出して笑うまでではないにしろ、地味に楽しめるギャグ漫画。
少しだけ入る時事ネタも面白い。
世界がループしていることにも意味を持たせるなど、ギャグ漫画ではあるがちゃんとしたストーリーもあり、最後はきれいにまとまっていた。

「町立ジャーマンローズ高校2年Eins組」
土方・全1巻・マッグガーデン(アヴァルス)
★ ★ ★
東京から地方の男子校に転校してきた少年。
しかし、クラスにはなぜか美少女がいた。
テンポのいい4コマで、キャラも立っていて読みやすい。
おそらく増刷しないので、見かけたらすぐに買ってもいいくらい。

「ちょこっとヒメ」
カザマアヤミ・全7巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★ ★
ある猫を拾って育てることになった少年と、その猫の物語。
猫が8割は擬人化されていて描かれているので、それに萌えるための漫画と言っても過言ではない。
癒し系の話でもあるので、絵の雰囲気が好きなら特に拒否感なく読めると思う。
話がマンネリ化・ワンパターン化する前に完結し、ホッとした。

「ちょびっツ」
CLAMP・全8巻・講談社(ヤングマガジン)
★ ★ ★
人型になったパソコンが世間に出まわっている時代、ある貧乏学生がごみ捨て場で一台のパソコンを拾った。そのパソコンには何も入っていなかったが、それはとてつもない性能を持った「ちょびっツ」と呼ばれるパソコンだった。
話はそれなりに面白くはあるが、作者が何かを勘違いして描いたような青年漫画、というのが第一印象だった。
話を無理矢理青年漫画にしている風もあって、掲載誌が青年誌だからといってあえて話をそちら側に向けなくてもいいのでは、と思えた。
絵は可愛くてよいのだが。
それなりに話がまとまって完結したが、結局なぜパソコンが人型なのか、が結局うやむやのままであったり、終盤になってほぼ必要のない新キャラが出てきたり、絶対に売れそうのない絵本が作中で次々と続編が出たり、と細かいところが雑なままだった。
結局キャラだけの作品だったように思う。
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サ行-2 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「自殺サークル」
古屋兎丸・全1巻・太田出版
★ ★ ★
同名タイトルの映画版のアナザーストーリー。
手をつないで駅のホームから飛び降りた54人の少女たちの中で、唯一生き残った少女の物語。
タイトルから想像できる通り、終わりは決してハッピーエンドではなく、後味もあまりよくない作品。
ただ、いろいろと考えさせられる内容なので、読んでみる価値はあると思う。

「死者とのアクセス」
渡千枝・全1巻・ぶんか社(ホラーM)
★ ★
霊感の強い少女が転校先の学校で様々な怪現象や怪事件に遭遇する。
作者の今までの作品よりも登場人物の年齢が低く、話そのものも低年齢向けにしているせいか、あまり面白いと感じられなかった。
ホラーなら救いようのない話が1つくらいあってもいいのだが、全てハッピーエンドで、ある意味残念。
霊の描き方などは上手いのだが。

「シスプラス」
勇人・全6巻・スクウェア・エニックス(ビッグガンガン)
★ ★ ★
妹が大好きな兄と、言葉では嫌いと言いつつも実は兄が大好きな3人姉妹。
そんな4人兄弟の日常を描いた作品。
とにかく変態レベルで妹好きな兄とのやり取りを楽しむ話で、話の内容そのものよりもキャラのかわいさだったり、エロだったりを楽しむ話。
絵がかわいいので、絵に萌えられるなら買ってもいい。

「SHISEN~死線~」
楠桂・全1巻・集英社(マーガレット)
★ ★ ★
毎朝電車で感じる視線を気にしながらもその主を確かめられなかった少女。そんな中で少女は嫌がらせを受けるようになり、電車での視線との関係を疑い始める。
その他2本の短編が収録されている。
タイトル作品以外は平凡な話だが、悪くはない出来。
作者のファンなら楽しめる内容。

「自宅警備姫テラス」
下村トモヒロ・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
「アマノイワト姫」(ア行参照)の続編。
相変わらず引きこもるテラス姫を、護衛の少年はどうにかして外に出そうとがんばる。
テラス姫の行動は、ゲームや漫画好きだったら思い当ることが多く、いろいろと共感できる。
前作より確実に質は上がっているので、前作が気に行ったのなら買って間違いはない。
話は1巻で完結しているが、個人的にはもう少し続いてほしかった。

「仕立屋工房」
日丘円・全13巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード・ガンガン)
★ ★ ★
1つの分野を極めた職人・天選がいる世界。
仕立ての天選である少年は、伝説の天選が使っていたというハサミを手に入れて様々な服を作るが、致命的にデザインセンスがなかった。
仕立屋が主人公・というなかなか珍しい設定がよい作品。
服を作るというのを上手く活かした話になっている。ただ、それ以外に取り立てて特徴がないのが残念。
絵はわりと安定していて読みやすい。
話は割ときれいに終わっているものの、最終決戦よりもその直前の戦いの方が盛り上がっていたのが少し気になった。そこで終わっていれば、もう少し評価も高かった。

「執事に国境なんて」
五十嵐嵐・全2巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
「愛にトシの差なんて」(ア行参照)の続編で、主人公が新米執事・ミュンスとなっている。
この作品だけでも読める作りだが、前作を知っているとより面白く読める。
個性豊かな脇役たちも健在で、声に出して笑えるわけではないが、地味に安定して読める。
絵はやや不安定だが、読みにくくはない。
話はもっと続いてもいいと思っていたが、2巻で完結。
いかにもギャグ漫画らしい終わり方ではあった。

「疾風可憐迅雷狐娘!」
橘あゆん・全5巻・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★
狐の妖怪と人のハーフである少女が、幼馴染の男の子の家に居候して、完全な人となるために男の子と結ばれようと努力する。
女子中高生の向けの雑誌でなぜ完全な萌え狙いのこの作品が連載されていたのかがまず疑問だった。
それくらい、内容は完全直球の萌え狙い作品で、個性の全くない主人公と狐耳と尻尾を持つ少女がヒロイン、という典型的仕様。
それでも最低評価でないのとは、所々にあるギャグがそこそこ面白いから。
最後が、主人公たちがくっつくだけのハッピーエンドでなかったのは救い。
絵は上手い。

「失楽園」
尚村透・全6巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★
外界から隔離された完全全寮制の高校は、男尊女卑がまかり通っていた。
そこで新たに開発されたゲームにより、女子は男子生徒の所有物兼武器となったため、完全な”物”として見下されていた。
そこに転校してきたある女子生徒。彼女はなぜか男子しか参加資格のないゲームに参加する資格を持っていたので、学園の女子を全てを助けるために動き出す。
設定はかなりぶっ飛んでいるものの、読んでいるとそこまで違和感はない。
ただ、終盤間際まではベタな展開が続き、最後は無理矢理設定を作りだして強引にまとめた感じがあり、微妙なところもあった。

「CITY HUNTER」
北条司・全35巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
プロのスナイパーの男性とその相棒の女性が様々な依頼を受け、解決していく。
テレビアニメ化、アニメ映画化、実写映画化など様々なメディアミックスがあった作品。
「キャッツ アイ」と同じ作者で、最初の頃は「キャッツ アイ」のキャラと同じ顔の登場人物が目立ったが、10巻を越えるとすべて顔の描き分けがされていて、絵もグッと見やすくなった。
最初の頃に中途半端に途切れたエピソードがあったが、後半でちゃんと描かれた。30巻くらいのブランクがあったのは少々きつかったが。
連載終了が突然決まったとのことで、最終エピソードよりも、主人公の育ての親との決戦や仕事仲間との決闘などの方が話的には盛り上がっていた。

「死神様に最期のお願いを」
山口ミコト・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★
一家惨殺の犯人として、超法規的措置として死刑の決まった少年が、死神の力を借りて本当の犯人を探す物語。あらすじだけだとありきたりに見えてしまうが、実際に読んでみるとかなり入り組んだ話になっている。
騙し騙され、鎌をかけあいつつ、話はどんでん返しの連続で飽きさせない……のは2巻の途中までだった。
途中から大きく寄り道展開に入り、肝心の真犯人探索の話が進まなくなり、最後は打ち切り。
ヒントはあるものの最終的に犯人がわからないままなので、読むなら覚悟を。

「死神様に最期のお願いをRE」
古代甲・全5巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
約10年の時を経て、原作者はそのままに作画を迎えて最初からリメイク連載された作品。
序盤の展開はほぼ同じだが、新キャラも加えて、最終的に一家惨殺事件の犯人がわかるところまで描かれ、キッチリ完結した。
中盤以降は真犯人を特定するための展開に絞っていて、下手な寄り道がなくなっていた。
ただ、話として結構入り組んでいて理解するのに時間がかかるため、後半はちょっと読みにくかった。
「うみねこのなく頃に Ep4」などの作画を担当していた絵の上手い人を作画に起用しているので、絵のレベルはリメイク前よりも格段にこちらの方が上。

「死神と銀の騎士」
イロノ・全6巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
死神とその使い魔であるラルヴァと戦う銀の騎士。幼い頃に大切な人を死神に殺された少年は銀の騎士となるが、任務途中でラルヴァとなってしまう。
正統派の王道ファンタジー。ただ、所々に捻りがあり、ベタな展開にならないようにしているところには好感が持てる。
絵は安定していて上手い。

「シノハユ」
五十嵐あぐり・スクウェア・エニックス(ビッグガンガン)
★ ★ ★ ★
家族との麻雀が好きだった少女の元から、ある日母親が忽然と姿を消してしまう。
麻雀を続ければいずれ母親に会えるかもしれない、と少女は麻雀での全国制覇を目指す。
「咲-Saki-」(サ行参照)の外伝で、本伝ではプロとして活躍している女性雀士たちの小学生時代からの過去が描かれている。
作画も阿知賀編と同じ人なので、違和感なく読める。
阿知賀編と違い、話を急いでいないのもいい。

「ジバクくん」
柴田亜美・全6巻・エンターブレイン(ファミ通ブロス)
★ ★ ★
12に別れた世界・ツェルブワールドにそれぞれ存在し、ジバクくんという精霊と心を通わせることのできるグレートチャイルド。
その中の”1の世界”のグレートチャイルド・爆が世界制覇と世界一のグレートチャイルドを目指して冒険する話。
柴田さんらしい作品だとは思うのだが、いつもなら強く感じる物語の力や笑いの力が、この作品には少ない。
作者の別作品に登場するジバクくんが面白いだけに、残念。
ストーリーは後半の盛り上げはよかったのだが、その分前半が意味のないように思えてしまった。

「四百四鬼」
もち・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
蟲を使って人から生命力を奪い取る鬼と戦う桃太郎とその一行。
鬼に敗れた桃太郎が力を癒すために眠りにき、現代になって目を覚ますと、ほとんどの力を失ってヒヨコの姿になっていた。
ギャグとシリアスのバランスがいい作品で、何かにつけてヒヨコになった桃太郎がいい味を出している。
設定もしっかりしているしキャラも立っているので、作者の別作品が好きなら買って損はしない。

「渋谷君友の会」
藤枝とおる・全6巻・エニックス(ステンシル)
★ ★ ★ ★
母親が死んでから家事を一手に引き受けて家庭的になっていた男の子が、好きな女の子が追っかけをしている男の子と出会い、妙に気に入られてしまう。
一見するとただの少女漫画なのだが、話の演出の仕方や進め方が面白いのでついつい読み進めてしまう。
あまり恋愛に重点を置いていないところもいい。
全ての謎解きを完了して、きれいに終わったところも好感度大。

「渋谷金魚」
蒼伊宏海・全11巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★ ★
ある日の渋谷に突如人食い金魚が大量発生し、渋谷の街は巨大な金魚鉢の中に閉じ込められてしまう。
そこにいた人たちが金魚から生き延び、金魚を全滅させるために戦うサバイバルパニックホラー。
なぜ舞台が渋谷なのか、なぜ金魚なのかが明確化されていて、終始話に緊迫感がある。
整合性がキッチリとれた形で最後はきれいに完結した。
パニックホラー系の話でキッチリきれいに完結した作品を読んだのはこれが初めてだった。

「しましま」
群青・全1巻・一迅社(WARD)
★ ★
しましまという妖怪が立ち寄るお土産屋の息子たちの物語。
しかし、お土産屋の次男はしましま嫌いなのにしましまに好かれていた。
妖怪ほのぼの系の話としてはなかなかよく出来ているが、ちょっと話がわかりにくい部分もある。
また、話が完結していない部分もあり、絵が好みでないと微妙なところ。

「〆切はおとといです。」
team.きんだいち・全1巻・スクウェア・エニックス(マンガUP!)
★ ★ ★
漫画家・金田一蓮十郎の漫画制作現場での裏話を描いた作品。
漫画制作現場での裏話というコンセプトなのに、内容の8割くらいはハロプロの話となっていて、読みたいのはその話じゃない、と思うことが多々あった。
ハロプロが好きな人ならきっと楽しいのだろうが……

「シャーマンキング」
武井宏之・全32巻(完全版全27巻)・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
自分に霊を憑依させ、その霊の力を使うことが出来るシャーマン。その力を持った少年がシャーマンの頂点である”シャーマンキング”を目指す話。
作者の前作「仏ゾーン」で使われた設定をより具体化して形にした作品。
20巻くらいまでは何とか一定レベルを保って面白かったが、その後失速。これだけ巻数が続きながらも最後は打ち切りできっちり完結していなかった。
しかし、数年の時を経て完全版にて真の最終回が描かれた。
通常版の最終回から300P近い描き下ろしがあり、きれいに完結している。
読むのであれば、完全版を。

「JUST!!」
峰倉かずや・全1巻・徳間書店(キャラ)
★ ★ ★
同じ高校に通い、寮も同室である校内でも有名な青年2人。
その2人がデキているという噂が流れる中、その1人が好きな女の子が登場し、危ない三角関係が始まった。
作者の初期作品なので、同じストーリーで通していてもコミックの最初と最後で絵がだいぶ違う。
前半の絵は頭と体のバランスが変なところが多い。
ストーリーはまあまあ、といったところ。

「シャイニング ティアーズ」
神田晶・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)

同名タイトルのPS2ソフトを漫画化した作品。
作者の前作「スターオーシャン3」(サ行参照)のときはゲームに合わせてかなり絵柄を変えてきていたが、今回は絵がスターオーシャン3のまま。
そのため、ゲームの絵を期待していると肩透かしを食らってしまう。
ゲームをプレイしていないので何とも言えないが、ストーリーも個性がなく、キャラもいまひとつな印象。
極々普通のシミュレーションRPGに見えてしまう。
終盤も特に盛り上がったようには見えなく、無理矢理終わらせた印象。
ゲームが好きな人でも買わない方がよいかも。

「邪眼探偵ネクロさんの事件簿」
木下さくら・全1巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
原作が日日日さんで、特殊能力のある探偵役が事件を解決するタイプのミステリー。
推理部分に関しては特殊能力が関係ないので、その辺りの都合のよさはない。
話は全体的に見ると可もなく不可もなく、といった感じ。
キャラは悪くないのだが、そこまで個性を感じなかった。

「JACKALS」
金炳進・全7巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
犯罪組織が支配する町で、金次第で暗殺を請け負うジャッカルと呼ばれる人たち。
そのジャッカルの1人である青年の物語。
この作品の前に原作の村田さんが作画した読み切りがあったのだが、こちらは絵が全くダメで連載には至らなかった。
しかし、それを作画だけ変えたら見事なまでの変身振りで、かなりいい作品に生まれ変わった。
それほど作画には迫力があり、残酷なシーンも描いてくれるので見応えがある。
話にも少しずつ捻りがあってよい感じ。
話もきれいに完結しているので、一読の価値ある作品に仕上がっている。

「JUDGE」
外海良基・全6巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
それぞれの心の中に罪を抱える若者たち9人。
その9人が突如誘拐され、わけのわからない施設に監禁される。
その施設では、生き残るには12時間ごとに死ぬべき人間をそれぞれが投票し、最終的に4人だけ生き残れるというゲームのルールを伝えられる。
作者の前作「Doubt」(タ行参照)に近い雰囲気があるが、明確な繋がりはなく、この作品単体で話は成立している。
話のペースは非常に遅く、話としてもっと短くまとめられると感じるのが残念。
話の後味の悪さは前作同様。

「SHADOW LADY」
桂正和・全3巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
普段は極度に内気な女の子が「マジックシャドウ」というアイシャドウを塗ることによって、様々な力を持つシャドウレディに変身し、遊びで下らないものを盗んでいく。
初めは半分ギャグ漫画だが、途中から少しちゃんとしたストーリーになる。
しかし、説得力が今一で、急ぎ足な展開が減点。終わり方もそれほど納得できない。
絵がとてもきれいなだけに残念。

「ジャンクヤード・マグネティク」
村山渉・全6巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★
人に様々な力を与える代わりに精神を蝕む魔石。
その魔石を壊す旅をしている男1人女2人の冒険物語。
設定がシンプルでテンポで読ませる作品だが、設定がシンプルなだけに印象に残りにくい。
一応きれいに完結はしたが、話がちょっと長すぎた感じもした。
絵は安定している。

「ジャングル少年ジャン」
柴田亜美・全1巻・アスペクト(ファミ通)
★ ★ ★
世界武闘大会に向かう飛行機がジャングルで墜落し、その飛行機に乗っていた格闘家の青年はジャングルの中で不思議な少年と出会う。
オールカラーのコミックスで、文字も手書き。
それ故に、見にくい部分があるのが残念。
ストーリーは柴田さんらしいもので、笑える部分もたくさんある。特に、自爆くんのところが面白い。

「ジャングル少年ジャン番外編」
柴田亜美・全3巻・アスペクト(ファミ通)
★ ★
柴田さんがゲームショーやゲーム会社を取材して、その様子が描かれている作品。
ゲームのこと、特に格闘ゲームのことがわからないと、内容を理解するのが苦しい。
また、オールカラーで文字も手書きなので、見にくい部分がある。

「ジャングルはいつもハレのちグゥ」
金田一蓮十郎・全10巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★ ★
ジャングルの平和な村で暮らす少年・ハレの家に、ある日両親を亡くした少女・グゥがやってきて一緒に暮らすことになる。
このグゥがとにかく面白い。顔を変化させたり人や物を片っ端から飲み込んだり、体の中に人を住まわせたりしている。そのグゥとハレのやりとりが面白い。
絵柄もすっきりとして見やすい。
一応10巻で完結しているが、続編の「ハレグゥ」があり、そちらで話として終わりを迎えるので、読むならそこまで読むべき。

「収集体質」
よねやませつこ・全4巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★
霊は見えないけど霊を寄せつめて重さだけ感じる体質の少年。
その少年がお払いまでできる強い霊力を持つ姉などにからかわれつつ、霊に悩まされながら日々過ごしていく。
全体的にはコメディタッチで、肩の力を抜いて読めるが、後半になるに連れシリアスな場面も増えてくる。
序盤のギャグ漫画風の展開からは想像もつかない感じで最後はシリアスな展開できれいにまとまっている。
シリアスとギャグがいいバランスで混ざっていて面白く読める。

「住所未定(仮)」
まりお金田・全3巻・一迅社(REX)
★ ★ ★
右手で触ると触った人をエロエロにしてしまう力を持つ少女。
その少女がとある寮の管理人となり、住人たちが追い出されないように奮闘していく。
設定からもわかるように、ちょっとエロ要素のあるコメディ。
大筋のストーリーもあるようでない感じ。
エロ目的で読むなら、それなりの作品ではあると思う。

「獣神演武」
荒川弘・全5巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★
とある村で平和に暮らしていた血の気の多い少年は、成人の儀を境に自分が大きな運命の中にいることを知り、旅に出る。
非常にオーソドックスな作りの話で、アニメ化もされたが、これは予めアニメ化前提で作られたためで、そこまで面白くもない。作画は「鋼の錬金術師」(ハ行参照)の荒川さんだが、シナリオは別にいる。
絵はいいのだが、「鋼の錬金術師」レベルを求めているなら、避けた方がよい。
話はきれいにまとまって、コミックス描き下ろしも含めて後腐れがないようになっているが、あくまで普通だった、というレベル。

「JUDAS」
水無月すう・全5巻・角川書店(少年エース)
★ ★
人に触れることを禁じる呪いをかけられた青年と、その依り代として青年と共に生きる少年。少年が血を流すと少年の体は青年に乗っ取られ、死を与えることでしか救えない人々の命を狩っていく。
登場人物たちのキャラはよく立っているものの、ある意味弾けすぎていてついていけない部分がある。
絵も全体的に描きこまれすぎていて読みにくい。
最終的には聖書を基にした話だとわかるのだが、作者の中での自己完結に見えて微妙。

「シュート!」
大島司・全33巻・講談社(マガジン)
★ ★ ★
高校サッカーを舞台とした、少し恋愛を織り交ぜながら展開するサッカー少年の物語。
アニメ化、映画化もされた作品。
主人公が所属するチームが高校選手権で優勝するまでは、結構引きつけられて面白かった。
前半、主人公所属チームのキャプテンが死んでしまう所など、本気で泣ける。
しかし、ユースの話になるとそう面白くもなくなった。何しろ登場人物が多く顔が似通っているので、ユースメンバーでは誰がどのチーム出身でどんな特徴だったかというのが、補足説明されているもののわかりにくい。
また、ユース編に入ると外国人の登場人物が一気に増えてさらにわけが分からなくなった。
絵は一番いい時期を通り越して、少し見にくくなってしまった感じがする。

「シュート!~蒼きめぐり逢い~」
大島司・全5巻・講談社(マガジン)
★ ★ ★
上記作品の主人公の中学時代の話。
上記作品より後に描かれている。
とりあえず、登場人物は少なく、混乱することなく読める。
ただ、上記作品の序盤で主人公たちの弱点が明らかにされるが、ここではそれが明るみに出ていないのはいいとして、その弱点が半ば無視されているのが気にかかる。

「シュート!~熱き挑戦~」
大島司・全12巻・講談社(マガジン)
★ ★
上記作品の続編で、2段上の作品とストーリーは繋がっている。
ストーリーはまあまあ面白くはあるが、主人公が外国に行ったときの偶然の連続は気にかかる。
同名作品がここまで続くと絵はさすがに成長し過ぎていて見にくい。特に5巻の表紙は買う気が失せるほど酷い。
固有名詞のついている技も現実感に乏しい。

「シュート!~新たなる伝説~」
大島司・全12巻・講談社(マガジン)
★ ★
主人公が入れ替わっての、上記作品の続編。
絵は何とか見やすいくらいにはなったが、くどい。
前作のサブキャラが登場することと、主人公が変わったことで前作との繋がりがありつつ少し新鮮味が出ているのが救い。
しかし、中盤以降は主人公が元通り。さしたる盛り上がりもないまま完結した。
終盤は各話の冒頭で前話を2Pくらい振り返る展開が入り、ページ稼ぎにしか思えなかったのは残念。

「シュート!~久保嘉晴の伝説~」
大島司・全1巻・講談社(マガジン)
★ ★ ★
3段上の作品の前半で死亡した少年の物語。
「シュート!」の中に全て収録されているので、「シュート!」を持っているなら特に買う必要はなかった。
話自体は面白いのだが、別の単行本として出版する必要があったのかどうか、と疑問を持ってしまう。
その点で評価をぐっと下げた。

「Superior(シューピアリア)」
ichtys・全9巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★ ★
世界の人々の半数を殺したという魔王。その魔王を殺すために勇者が魔王の城を訪れるが、勇者は魔王以外の魔物を一切殺さない主義だった。
その性格に惚れ込んだ魔王は、勇者と共に旅に出ることにした。
絵が非常にきれいな作品で、内容云々よりもまず絵に惹かれる。
話はオーソドックスなので、絵が好きなら買って損はしない。
また、ギャグもわりと面白い。
全9巻となっているが、話は完結していなく、続編に続いている。
読むなら続編も含めて。

「シューピアリア・クロス」
ichtys・全6巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
上記作品の続編。
話に一旦区切りがついたせいか、続編は人物の掘り下げに力を入れている。
そのため話の進むペースが落ちてしまったのが残念。
コミックスの大きさが変わっているので、保存には少々不便。
最後は割ときれいに終わっているが、ご都合主義な部分が多く、ハッピーエンドでもちょっと微妙な感じ。
序盤の話の進むペースの遅さを考えると、後半にページを割けなかったのか、と思ってしまう。

「朱玄白龍るびくら」
見田竜介・全2巻・エニックス(ガンガン)
★ ★
人類の天敵として突如現れた兜蟲と戦う男の子と女の子の話。
ストーリーは少年漫画の王道を行くもので、目新しさはないがそれなりに楽しめる。
問題なのは絵。非常にアクが強く、人によって好みが大きく別れる。しかも、現在の絵で作者の絵が完成されているため、これから一般ウケする絵に変わることもないと考えられる。
また、男性読者向けかどうか、女の子のサービスカットらしき絵が漫画の至る所にあるため、私は絵の全てが許せなくて評価を下げた。
これで完結ではなく続編「閃光華 るびくら」(サ行参照)もあるが、そちらはこちらよりも面白い。
ただ、こちらを読まなくても話はわかるので、続編が好きな人にだけこちらを読むことをお勧めする。

「Steins;Gate 亡環のリベリオン」
水田ケンジ・全3巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
タイムマシンを開発した会社によって世界が平定されたものの、完全な管理社会となったことに反発する人々がタイムマシンで過去を改変するために過去へ飛ぶ。
ゲーム原作のスピンオフ作品だが、原作を知らなくても読める。
タイムパラドックスなどの考証は割としっかりしていて、設定の甘さは感じられない。
ただ、絵がまだ未熟なので、全体的に読みにくく戦闘シーンがいまひとつ。それに耐えられれば。
最後はグッドエンドとバッドエンド、両方の要素が取り入れられた展開でよかった。

「春期限定いちごタルト事件」
饅頭屋餡子・全2巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
小市民を目指す2人の男女の周りには、なぜか小さな事件が起こる。
2人は事を大きくしないように、事件を解決していく。
推理ものとは言っても殺人事件が起こるわけではなく、なくなったバッグを探したり、流しを汚さずにおいしいココアを3杯入れる方法を考えたりする、ライトミステリ。
読者にいろいろと推理させようという形態も取っていないので、気軽に楽しめる。
殺人事件ばかり起きる推理ものに辟易している人にお勧め。

「純生キッド」
児島都・全1巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
大好きな超ビックアイドルのいる学校に転校した少年・純生が、テレビとあまりに違うアイドルの姿を目の当たりにして混乱するが、熱は冷めることなくさらに熱くなる。
絵は決して見やすくはないが、独特の画風があっていい。
キャラたちも個性が強くそれぞれ主張できていてよい。ちゃんときれいに終わっているので、その点もいい。
初めは1話限りだったのが、人気が出たために1巻完結まで持ち込んだ。
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カ行-4 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)


「こいきな奴ら Part2」
一条ゆかり・全1巻・集英社(マーガレット)
★ ★ ★
双子で有名貴族の男女、元殺し屋、スリの4人が主人公となって、遭遇した事件を解決していく。
続編作品ではあるが、知らなくても読める。
話としては1話完結ものなので、気軽に読める。


「御意見無用!!」
よしむらなつき・全8巻・エニックス(ギャグ王・ガンガンWING)
★ ★ ★
妖怪がはびこる世界で「妖怪妖魔改め方」として働く女好きの少年と、その少年に言い寄られる少女、その他のメンバーで妖怪退治をするギャグ漫画。
絵も見やすく、ストーリーもそれなりによくて面白い。1発ギャグ的なものよりも、人同士のやりとりで行われるギャグがいい。
3~4巻くらいまでならばもう少し高い評価が出来るのだが、それ以降は話がワンパターン化して勢いがなくなっていたのが残念。
終わり方はギャグマンがらしいもので、一応納得は出来た。


「恋してフローズン」
楠桂・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
子供の頃助けた少年に恋をした雪女が、その少年を捜して冬の間だけ様々な学校を転校し、ついに少年を見つけて積極的に恋心を打ち明ける。
楠さんがりぼんで連載を持つときは大抵1巻完結の短期連載であるので、慣れているせいかこの作品もよくまとまっている。
雪女、人魚姫などの悲劇をアレンジしてハッピーエンドにしたとコメントがあるので、その点は評価できる。


「恋するみちるお嬢様」
若林稔也・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
発育の悪いおバカなみちるお嬢様が恋をするのはドS家庭教師・榊。
思わせぶりなことを言われては、直後どん底に突き落とされる日々にもめげず、みちるは榊と過ごせる時間を楽しみにしていた。
設定は単純明快なのだが、とにかくドSすぎる榊がいい味を出している。
おちょくられるみちるを楽しむもよし、榊のドSっぷりを楽しむもよし。
絵は安定していて読みやすい。
もっと続いてもよかったが、短い期間で連載終了してしまった。


「恋は100㎏」
樹原ちさと・全1巻・集英社(りぼん)

とにかく太っていた女の子が、あこがれのコーチのいるテニス部に入るためにダイエットをして、そのテニス部に入部する。
しかし、双子の兄はすもう部であり、そのことを女の子はコンプレックスに思っていた。
樹原さんの作品はこういったまっとうな少女漫画よりも、個性の強い主人公1人がいて、それを取り巻くギャグ漫画の方がずっと面白い。
樹原さんの作品で私が好きなのも全てそのタイプ。
この作品は樹原さんだから買った作品だが、収録されているどの作品もそれほど面白くなかった。


「恋はデリケート」
きたうら克巳・全2巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
好きな男の子に告白するためにラブレターを書こうと決めた女の子が、どんな手紙にするかあれこれ悩みまくる話。
結構笑えて面白い。きたうらさんの作品ではこの作品が1番好き。
ただし、1番最初の話が1番インパクトがあって面白いものの、それ以降はそれを越える話がなかったのが残念。


「恋よりKissより大嫌い!!」
梅澤はな・全3巻・エニックス(ステンシル)
★ ★ ★
大金持ちの一家に武術道場をつぶされ、両親にも先立たれて兄と貧乏生活を送る少女。
少女は必死の勉強で学費免除の有名高校に入るが、そこには家をつぶした大金持ち一家の息子が通っており、その息子に少女は妙に気に入られてしまう。
設定は典型的な少女漫画だが、作者の力か、結構普通に読める。
主人公の少女がたくましく生きているからかもしれない。
終わり方が平凡だったのが残念。
話全体を通すとテンポがよくて一気に読める。
絵は安定していて読みやすい。


「強引にマイウェイ」
計奈恵・全1巻・エニックス(ギャグ王)
★ ★
宇宙パトロール見習いの女の子2人が宇宙船を壊してしまい、地球に墜落。
転送機で脱出したものの、女好きの男の子の上に着いてしまい、結局その男の子の家に居候することになる。
とりたててつまらなくもないし、面白くもない。
「無敵冒険シャクマ(マ行参照)」と同じ作者なので買ってみたが、その話の先入観があるのか主人公が女好きという性格が顔に合っていないような気がする。
ラストは、まあこんなものかと思うくらいで意外性もなかった。


「GO AHEAD」
樋口大輔・全4巻・集英社(月刊ジャンプ)
★ ★
アイスホッケーの有名選手だった青年は、弟が死んだ責任は自分にある、とアイスホッケーを捨ててしまう。その青年がやってきた沖縄でアイスホッケーの才能がある少年が青年をアイスホッケーの世界に引き戻す。
しっかりとした取材の元に話が描かれている、と思わせてくれるのでわりと世界に入りやすい。
イケメンも多く登場するので、作者の前作「ホイッスル!(ハ行参照)」が好きな人なら楽しく読めると
思う。
ただ、設定が週刊連載向きだったのか、試合の描写もあまりないうちに連載が終わってしまい、消化不良な
感じがした。
一応話としてまとめてはいるのだが。


「皇帝の花嫁」
CHuN・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)

誰もなしえなかった世界統一を果たした皇帝は、世界中の女性を対象に皇后選抜試験を行うと通達する。
その皇后選抜試験に参加する女性たちの物語。
人と人の駆け引きを重点にした話だったが、そこに詰めが甘い部分があったせいか、最後は酷い打ち切りとなっている。
一応話として最後まで描かれているが、途中コミックスで数巻分の話が抜かれている。
カバー裏に続くはずだった話の一部が掲載されているので、雑誌で消化不良だった人には多少の救いがある。


「GOGO!プリン帝国」
くぼたまこと・全6巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
地球征服をねらう悪の帝国(自称)から、地球征服のため様々な刺客が地球に送られようとするが、下らない理由でそれらがことごとく失敗する。
少々シリアスな設定とは全く無関係のギャグ漫画。
絵はそれほど上手くはないが、ギャグ漫画なのでそれほど気にならない。5Pショート漫画で、面白い作品とそうでない作品との差は結構ある。
よって、平均してこの評価。
日常話題ものはわりと面白い。
終わり方はそれなりによかった。


「GS美神 極楽大作戦」
椎名高志・全39巻・小学館(サンデー)
★ ★ ★
ゴーストスイーパーという、妖怪や幽霊などを専門に倒す職業に就く女性と、女好きで妖怪に好かれやすい助手の少年、そして幽霊の女の子が様々な妖怪を倒していく話。
アニメ化されたことのある作品で、私はアニメを見て原作を買った。
実際、アニメ化された頃の漫画は面白くて、10巻くらいまでの評価はもっと高い。
しかし、10巻以降は顔の絵柄がずいぶん横長になってしまって、作者はきれいな女性を描いているつもりでも、そうは見えない人も多くなってしまった。
言うなれば、絵が成長しすぎてしまったという感じ。
ストーリーはまあまあいいのだが、絵がよくないので引き込む力がそれほどなくなってしまった。
それでもアシュタロス編までは様々な伏線があってそれなりに楽しめたので、評価はもう少し高い。それ以降ダラダラ続いてしまったのが痛かった。
終わり方は無理に最終回を作った感じで、作者にも未練があると伝わってくるのが残念。


「コーセルテルの竜術士」
石動あゆま・全4巻・集英社(クリムゾン)
★ ★ ★ ★
幻獣人と竜の住む国コーセルテル。ここでは未熟な子竜たちが竜術士に育てられることが習慣化されている。
その国で7人の子竜を育てる少年の物語。
登場人物はかなり多いが、非常に読みやすく作られているので、すぐに人物相関図が頭の中に入ってくる。
全編通して漂うほのぼの感に癒されることが多く、安心して読める。


「コーセルテルの竜術士物語」
石動あゆま・全8巻・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。前作を知らなくても話に入ることはできるが、登場人物が多いので前作を知らないと話についていけなくなる可能性がある。
話の雰囲気はそのままで、前作が好きな人なら間違いなく楽しめる。
なお、話は区切りがついているものの更なる続編があるので注意。
子竜たちの幼竜時代の終わりまでが描かれている。


「コーセルテルの竜術師~子竜物語~」
石動あゆま・全14巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
上記作品の続編で、子竜たちが少し成長して話すようになっている。
完全に前作までを知っている人向けの話。
話の雰囲気はそのままなので、そのまま続けて買って問題ない。
後半はストーリーの根幹に当たる部分の謎解きなどもある。


「降誕祭の夜」
上田信舟・全1巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
上田さんの初期短編集。タイトルの作品の他、5作品が収録されている。
初期の短編集だけあって、ページ数の少ないものは中途半端に終わっているものもあり、他の作品も特にいいものはない。
唯一ギャグ漫画風の「王女見参」は面白いと思えた。
初期のものにしては、絵はそれほど見づらくない。


「コード・エイジ アーカイヴズ」
WARHEAD・AIYAH-BALL・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
世界崩壊を逃れるため、空に浮かぶ方舟でコールドスリープに入ることを決めた少年少女たち。
しかし、コールドスリープから目覚めてみると世界は崩壊したままで、地上には見たこともない生物たちが生息していた。
スクウェア・エニックスの新ブランド企画として連載された作品であるため、設定はありがち。
それでいて絵にかなり癖があり、表情も固まって見えることから、かなり人を選ぶ作品になってしまっている。
ストーリーも一応完結しているが、ラスボスが中ボスにしか見えず、いまひとつ。
作者の1人に荒川弘さんのアシスタントをしていた人がいるから、などの理由で読むと騙される。


「コープスパーティ」
篠宮トシミ・全10巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
学園祭が終わった学校から、突然過去の学校に飛ばされてしまった生徒たち。
そこは多重閉鎖空間で、みなバラバラに閉じ込められ、そこにはいくつもの腐乱死体があった。
同人ゲームを漫画化した作品で、不気味さはなかなか良い感じだが、表情と人の動きが全体的に硬いのが気になる。
話は面白く読めるのだが。
終盤間際まではほぼ原作に忠実に漫画化されていたが、後半はいろいろとアレンジしてきている。
しかしこれが原作よりも納得のいく展開となっていたので、評価を1つ上げた。


「コープスパーティー Another Child」
緒方俊輔・全3巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★
上記作品の外伝で、天神小学校に迷い込んだ別の子供たちの話となっている。
話は原作を知っている人向けで、ちょいちょい絡んでくる原作キャラたちを楽しむのがいい感じ。
残酷描写はなかなか良い。
バッドエンドではなくどうやって終わらせるのか最後までわからなかったが、読んでみれば納得の展開で、いい終わり方だった。
原作を知っているなら読んで損のない番外編となっていた。


「合法ドラッグ」
CLAMP・全3巻・角川書店(ミステリーDX)
★ ★ ★
行き倒れになっているところを同年代の青年に助けられた青年は、助けてくれた青年の伝手で、とあるドラッグストアに住み込みで働くことになった。そして、そのドラッグストアでは人の力ではどうにもならない不思議な力で起こる事件を解決する仕事もしていた。
作者の作品によくあるように、最初から様々な伏線が張ってあったり、事件の解決の仕方もひと捻りしているところはあるのだが、それ以上がない。登場人物も狙った感じの美形が多かったり、性格設定もワンパターン。
絵はいいのだが。
休載を経て「ドラッグ&ドロップ」という続編が出たが、そこまで追わなかった。


「校門坂効果」
夢路行・全1巻・スタジオDNA(ぶ~け)
★ ★ ★
校門前の坂がきつい学校の前で、少年は長い三つ編みの少女と出会う。
表題作以外の2作は「夢見た春」(ヤ行参照)の続編なので、そちらを知っていないと読みにくい。
3本とも長めの読み切りで、読み応えがある。


「氷が溶けて血に変わるまで」
きづきあきら・全1巻・ぺんぎん書房(同人誌)
★ ★ ★
カラオケボックスで働く青年は、毎日1人で店にやって来る少女の存在に気付く。少女になぜ1人で来るのかと尋ねると、少女は「家にお化けが出るから」と答える。
全部で8本の短編が収録されており、近親相姦、虐待、性同一性障害などなどハードな内容を扱っている。
ほとんどの作品が明確な解答(終わり方)を示していないので、そういった終わり方が嫌いな人は読まない方がいい。
それぞれの話の質は割と高いのだが。
絵はかなり線が太いので、これも好みが分かれるところか。


「ごきげんな日々」
谷川史子・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
失恋のせいで笑わなくなった男の子と、その男の子を好きな女の子の話。
それなりに読むことはできるが、他に収録されている短編も含めて、偶然に頼っている展開が気になる。
しかも、どれもその後いい展開につながっている。
そこをもう少し考えて欲しい。


「COCOON」
竹下堅次郎・全4巻・マッグガーデン(マサムネ)
★ ★
繭蠱と呼ばれる人型の虫。その虫が紡ぎ出す糸を巻き取る過酷な仕事を課せられた少年。
あるとき、養繭所が襲撃されたのをきっかけに、少年は自ら育てていた繭蠱と共に養繭所を脱出する。
主人公が知恵を絞って危機を切り抜けるタイプで、普通の少年漫画とはまた少し違った感覚で読める。
また、設定も珍しいものが多く、印象に残る。
絵は描き慣れていて上手い。
ただ、残念ながら4巻以降の発売予定がなく、話も全く区切りのつかない状態で終わってしまった。


「獄卒クラーケン」
タカヒロ・戸流ケイ・スクウェア・エニックス(ビッグガンガン)
★ ★ ★ ★
突然異世界に紛れ込んでしまった青年が瀕死になったところでクラーケンと融合することになり、イカの能力を得て、刑務官として勤める監獄から1人の女囚を救い出そうとする話。
原作のタカヒロさんが様々なゲームや漫画の脚本や原作を手掛けているだけあって、キャラの作り方や話の初期設定はさすがに上手いな、と感じる。
掲載誌が青年誌寄りなので、全体的にエログロ多め。
同じ原作・作画の「アカメが斬る!零」(ア行参照)を予想しているとちょっと面食らうかも。


「極道チェリー」
未須あゆみ・全1巻・スクウェア・エニックス(ビッグガンガン)
★ ★
極道の息子として生まれながらもそのことを知らず育ち、つい最近になって知った大学生の青年。
青年は家を飛び出してアパートで独り暮らしを始めるが、父が亡くなり、組を継ぐよう求められる。
極道の子供として生まれた人の話としてはよくある設定だが、意外と全編通して読ませてくれる。特に最終決戦のところは読み応えあり。
しかしながら、無理矢理まとめた感じもあり、活かされていない設定もいくつかあったのが残念。
もう少し長ければまた違ったかもしれない。


「心の星に輝きを」
松葉博・全2巻・エニックス(ステンシル)
★ ★ ★
平安時代のおてんばなお姫様と、幼なじみの少年の物語。
一見「なんて素敵にジャパネスク」の類似作品に見えるが、所々に作者なりの工夫が見られ、別作品として扱える。
時代が平安なだけで少女漫画としては王道だが、それなりに楽しめる内容になっている。
絵は少女漫画らしく、可愛く描けている。


「GOSICK」
天乃咲哉・全8巻・角川書店(ドラゴンJr.)
★ ★ ★
日本から西欧の小国に留学してきた少年は、クラスに馴染めぬまま暮らしていた。
そんなとき、殺人事件の容疑者にされてしまい、図書館の最上階にいる不思議な少女に助けを求める。
絵はすごくきれいなのだが、それ以前に私はこの原作者と合わないのだな、とまず感じた作品。
絵に惹かれて買ったものの、劇中に出てくるトリックは単純過ぎて興ざめするもの、都合が良すぎて首をかしげたくなるものが多く、読んでいていまひとつな印象。
本当に、絵はいいのに……
話としては何か決着がついたような終わりではなかったが、キリはよかった。


「57人の遺産相続人」
夢路行・全1巻・エレガンスイブ(秋田書店)
★ ★ ★
とある大金持ちの老人が生前関係のあった人たち57人にそれぞれ別の遺産を残した。その遺産を渡すように頼まれたスナックを経営する3人の女性と遺産相続人たちの物語。
渡される遺産はそれぞれ謎めいていて、なぜその遺産が選ばれたのか?、というのを解明していく話がオムニバス形式で語られていく。
オチにちょっとした捻りがあったりもして、各話割と面白く読める。


「御主人様の言うとおり」
大橋薫・全1巻・講談社(アミ)
★ ★
パソコンが趣味の少年が、ある日父親から新型コンピュータのモニターになってくれるように頼まれる。そのコンピュータは、女の子の姿をしていた。
短編集なのだが、わかりやすものの先が読めてしまう話と、先は読めないけれどストーリーが理解しにくいものとがあるのでこの評価。
絵はきれい。


「宇宙(コスモ)なボクら!」
日渡早紀・全4巻・白泉社(花とゆめ)
★ ★
亡くなった母親から魔女の力を受け継いだ少女は、学校のイベントで優勝してから脅迫めいた魔女探しをさせられることになる。
作者のいつものパターンである現代ものでありながらファンタジー要素が入っている、という設定。
読み始めた頃は作品に期待していたのだが、読み進めるに連れて普通の少女漫画になってしまっていて残念。
悪くはないのだが、よくもなかった。
絵は完成されているので、きれいで読みやすい。


「子抱き観音」
渡千枝・全1巻・ぶんか社(ホラーM)
★ ★ ★
ある日父親が交通事故で亡くなり、母親も行方不明となった少女の元へ本当の母親を知るという青年が訪れる。少女はその青年について本当の母親へ会いに出かける。
ストーリーはそこそこひねりが効いていて、終わり方も完全なハッピーエンドでなかったのがよかった。
ただ、同時収録作品が別のコミックスに収録されている作品であったのが惜しい。
新作を入れて欲しかった。


「胡蝶ノ姫」
水谷悠珠&かえで透・全1巻・一迅社(ドラゴンエイジピュア)
★ ★ ★
子供の頃には性別はなく、成人すると男女に分かれる蝶たち。
昨日までの友達が次々に男として成人していく中、1人残された砂花は様々な不安に襲われる。
きれいに1巻で完結している話で、わりと面白く読める。
登場人物たちの心理描写がなかなかよいので、絵が気に入れば買って損はない。


「こちらはエデン」
克・亜樹・全1巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
世界のどこかにあるという神が創った楽園エデン。
そこにいるという父を訪ねた少年が、エデンに着くなりエデンのお姫様のフィアンセにさせられる。
それぞれに個性が強いキャラたちで、ギャグ漫画であるが絵も乱れがなく安心して読める。
もっと連載されても十分いけた作品だと思うが、全8回で終了した。
当初の予定通りだろうが、残念。ラストはギャグ漫画らしい終わり方だった。


「Cotton」
紺野キタ・全1巻・ポプラ社(同人誌)
★ ★ ★ ★
信号待ちで傘を貸した少女と偶然再会した女性。
普通の女子高生とは違う雰囲気を持つ少女と女性の間にはいつしか友情が芽生えていた。
柔らかい雰囲気を持つ作品で、読んでいると癒される。また、きれいに完結しているので読みやすい。
他の読みきり作品の出来もなかなか。


「孤島パズル」
鈴木有布子・全3巻・マッグガーデン(アヴァルス)
★ ★ ★
孤島に隠された時価数億円のダイヤを探しに遊び半分で島を訪れた3人の大学生。
そこで3人は連続殺人事件に巻き込まれる。
有栖川有栖さん原作の小説を漫画化した作品で、コミックス3巻分のページ数があるだけに展開も早すぎることなく、程よいペースで読むことができる。
短編が収録されている巻があるのはいいおまけとして作用している。


「こどものおもちゃ」
小花美穂・全10巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★ ★
「こどものおもちゃ」という「さんま大先生」のような番組に出演する子供タレントの女の子の話。
序盤はテンポよく進んでいるのだが、最終エピソードが暗い上に長いので、序盤の読んでいて楽しい気分がなくなるのが残念。中盤くらいまでの方が面白い。
題名にもなっている「こどものおもちゃ」というテレビ番組は途中からさっぱり登場してこないのも気にかかる。
絵柄は首が細長く、首に頭がのっかっている、と感じる絵がちらほら見受けられ、手足も少女漫画で小学生を描いているのだとしても、少し細すぎる。


「「子供を殺してください」という親たち」
鈴木マサカズ・講談社(バンチ)
★ ★ ★ ★
民間救急会社を営み、家族で手におえなくなった人たちを医療につなげて救おうとする主人公が出会った人たちの話。
精神疾患、発達障害、様々な理由で問題行動を起こし、親が手に負えなくなって最後に頼る場所にいるのが主人公なので、様々な修羅場が描かれている。
実話をもとにしているので、綺麗に終わるエピソードもあるが、道半ばで終わってしまうエピソードも多々ある。
心を抉ってくる話が多いので、読むだけで精神力を消耗してしまうが、引き込む力も強い。
世の中ではこういうことが起こっているんだ、というのがわかる作品。


「このこここのこ」
藤こよみ・全3巻・一迅社(REX)
★ ★ ★ ★
親同士の再婚で知り合った5人の兄弟たち。
しかし、いざ引っ越しの段階で、再婚した両親は海外へと旅立ち、残された5人の兄弟は新居で子供たちだけで暮らすことになる。
家事の分担や学校などで問題が起こる中、5人はぎこちないながらも兄弟として暮らし始める。
初期設定は少々強引ではあるが、兄弟が一緒に暮らし始めて以降、日常的な問題を少しずつ解決していく姿はなかなか見応えがある。
絵も柔らかい感じがしていい。
最後は少々強引な終わり方だったが、コミックスではかなり描き下ろしがあり、割ときれいにまとまっている。

「この度は御愁傷様です」
宮本福助・全1巻・講談社(モーニング)
★ ★ ★
「遺産配分はダーツで決めろ」と言い残して死んだ父親。
そして、死後に現れる数々の愛人。3人の子どもたちはそんな突飛もない親に死後も振り回される。
基本は「拝み屋横丁顛末記(ア行参照)」と似たような感じで、下町で繰り広げられる個性溢れるキャラたちの話。
話はきれいに1巻でまとまっているので、試しに読んでみるのも悪くない。
拝み屋横丁が好きな人なら間違いなく買い。


「この手をはなさない」
小花美穂・全2巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
初恋の女の子と町中で再会した少年だったが、その子は万引きをしており、昔とは性格が一変していて驚かされる。
りぼんに掲載された少女漫画にしては、結構重いテーマを含んでおり、年齢設定も高めの話。
読者を引きつける話ではあるが、中途半端な登場人物が何人かいるのが減点。
ラストはほぼ納得できるが、数年後の世界を描いた部分はいらなかったと思う。


「此花亭奇譚」
天乃咲哉・全2巻・一迅社(百合姫)
★ ★ ★
狐の妖怪である少女は、神も仏も物の怪も泊るという此花亭で仲居として働くことになる。
他の仲居仲間や様々なお客と触れ合いながら、少しずつ成長していく。
話はほぼ1話完結で、旅館ものとしてありがちなドロドロとしたものもなく、かわいい絵柄で構えることなく読める作品。どちらかと言えば癒し系。
絵が気に入れば買って損はしない。


「このはな奇譚」
天乃咲哉・幻冬舎(バーズ)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編というか、最初から仕切り直した作品。
基本的にやっていることは同じで、此花亭を訪れる客と仲居たちの話。客だけでなく、仲居などの従業員たちの掘り下げも入ってくる。
ただし、10巻以降主人公が旅に出るので、少し展開が変わってくる。
掲載誌が変更になったことで微エロありだが、雰囲気はそのままで癒し系として楽しめる。


「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」
金田まりお・全1巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
同名タイトルのPCソフトを漫画化した作品。
かなり長いゲームを1冊にまとめただけあって、都合のいい展開と謎が謎のまま残る説明不足が目立つ。
なんとかまとめてはあるものの、ゲームほどのシナリオの良さは感じなかった。
人物の掘り下げも足りない。
絵は見づらくはないので、悪くはないが。


「この街で君に」
柊あおい・全1巻・集英社(マーガレット)
★ ★ ★
郵便局員の青年と就職が決まらない少女との恋愛もの。
青年と少女、それぞれの視点で同じストーリーを追った2話が収録されており、普通の少女漫画とは少し違った感覚で楽しめる。
物語に若干の都合のよさはあるのが残念。


「護宝遺聖VAIZARD」
吉田典弘・全3巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★
暗黒時代に使われ、今は封印された遺物の保護、遺跡調査の護衛などを生業とするヴァイザード。
そのヴァイザードである少年と、考古学者である少女の物語。
設定は結構王道的で、作者のデビュー作ということもあり、絵もかなり粗い。
構図でたまにいいと思えるものもあるが、まだまだ力過不足を感じる。
一応まとまりよく終わったが、全体を通すとこれは、というものが感じられない。
将来性を見るなら読んでみても、とは思う。


「小松くん日和」
椿あす・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガンONLINE)
★ ★ ★
作者が飼っていたフェレットのエッセイ漫画。
作中でフェレットが亡くなっているので、ある意味話として完結している。
ペット漫画としてフェレットはそこまで多くはないので、興味があれば。
基本的には親バカ漫画。


「ゴミ清掃員の日常」
滝沢友紀・全2巻・講談社(描き下ろし)
★ ★ ★
普段はお笑い芸人をしているものの、それだけでは食べていけないのでゴミ清掃員をしている青年の話。
ゴミ清掃員あるあるから始まり、こういうゴミの捨て方をしてくれると嬉しいとか、こうされると困るとか、ゴミ清掃員の視点から見た話が新鮮で面白い。
ネタ自体はかなり面白いのだが、絵があまり上手くないので、全体的にちょっと読みにくいのが難点。


「コミックマスターJ」
余湖裕輝・全11巻・少年画報社(ヤングキング)
★ ★ ★
どんな作家のペンタッチも再現できて、締め切りの危機に陥っている漫画家を救うスーパーアシスタント
の話。簡単に言えばブラックジャックの漫画版。
いろいろな作品のパロディが入っているものの、かなりの勢いで突っ走っている上に弾けているので笑える部分が多い。
しかし、ストーリーがワンパターン気味であったり、ライバルが活かし切れていない部分があったり、と今一歩の印象。
絵は決して上手いわけではないが、勢いがあって決め所の構図の取り方は上手い。
読みにくい部分があるのは残念。


「小娘と忠犬」
勇左野・全1巻・エニックス(ステンシル)
★ ★ ★
学校生活に楽しみを見出せなかった女の子と、新任の教師の物語。
わりとありがちな話ではあるが、下手に主人公たちがくっつくような話ではなく、恋愛方面に走っていかなかったことに好感が持てた。
作者のデビュー作なので絵はまだまだだが、わりと読みやすい。


「ごめんなさいこ ぱわあ」
楠桂・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★ ★
初恋をすると超能力に目覚め、女の子を出産することで超能力を失う家系に生まれた女の子が、極端に運の悪い男の子に恋をして超能力に目覚める。
しかし、長い間超能力に目覚めなかったために力が暴走してしまう。
なかなか面白い設定の少女漫画。1話限りの話だったが、人気があったために続編も描かれて収録されている。そのラストもほぼ納得がいく。
また、同時収録の「サンタが寺にやってきた」もいい話なので、合わせ技で評価は高め。


「こもれ陽の下で」
北条司・全3巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
木々たちと話をしたり、力を借りたりできる不思議な力を持つ、年をとらない少女と、その少女に想いを寄せる少年の物語。
北条さんの絵が完全に確立されたあとの作品なので、絵がきれいでストーリーもまあまあ。
しかしながら、なぜ少女が年をとらなくなってしまったのかは描かれていないので、そこが残念だった。
なお、連載前の読み切り「桜の花咲く頃(サ行参照)」は別のコミックスに収録されており、その話は物語の中核をなす話なので、それを読んでいないと訳の分からなくなる部分もあるのが減点。
最後もそれほど納得できなかったので、この評価。


「これが私の御主人様」
まっつー・椿あす・既刊5巻(立ち消え)・スクウェアエニックス(ガンガンパワード)
★ ★
両親を事故で亡くした大金持ちの少年は、住み込みの家政婦を募集する。
少年はそれに応募した少女2人を採用し、3人は同居生活を始める。
話はかなり狙った感じのギャグだが、ラブコメではない分それほど嫌悪感はない。
中盤以降は話がワンパターン化してしまい、残念。
元々夫婦で原作・作画を行っていたが、離婚した余波で連載も立ち消えてとなってしまった。
絵はかわいらしい。


「Colori Colore Creare」
天野こずえ・マッグガーデン(MAGCOMI)
★ ★ ★
急こう配の場所にあり、のれんで囲まれた街で暮らす幼い少女と保育士の交流を描いた作品。
序盤は世界観がわかりにくく、作者の頭の中だけで話が展開している感じがするが、2巻以降くらいになってメインキャラが揃ってくると、幼い子供たちとの交流物語として割り切って読めるようになる。
絵は背景までかなり描き込まれているので、見開きの景色などがきれい。
幼女・ファンタジー・絶景好きならハマれるかも。


「COWA」
鳥山明・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
お化けと人間が共存する村に住むお化けの男の子の話。
全体的に童話的な雰囲気があって、ほのぼのとした雰囲気を味わいたい人にはお勧め。
ただ、コマ割りが小さいこととトーンを多用していることとがあって、全体的にやや読み進みにくいものがある。


「金剛番長」
鈴木央・全12巻・小学館(サンデー)
★ ★
国家再生のため、東京23区に1人ずつ配置された番長たち。
その中の1人となった金剛晄は、それぞれの区の番町と対決していく。
ここまでバカバカしいことをここまでまじめにやってくれれば文句はない、という作品の代表みたいなもの。
人によって合う・合わないが出てくると思うが、あまり難しいことを考えずに読みたい人にはお勧め。
東京23区の話が終わり、全国規模に話が移行した直後くらいに打ち切りとなってしまい、非常に中途半端な形で終わってしまったのが残念。


「金色のガッシュ」
雷句誠・全33巻・小学巻(サンデー)
★ ★ ★ ★
頭がよすぎてクラスから浮いていた少年のもとに、父親から1人の子供と読めない本が送られてきた。
その子供のおかげでクラスに段々なじんできた少年だったが、その子供には本と共に発動する強い力があり、少年は子供の出身地である魔界の王位継承問題に巻き込まれていく。
序盤はかなりテンポよく話が進んでいたが、途中から明らかに話を引き伸ばしているように見えてしまったのは残念。
最後がきれいにまとまってくれたのが救い。
ギャグもなかなか面白く、笑わせてくれる。
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ア行-3 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)


「E.T.O.」
高田慎一郎・全4巻・スクウェアエニックス(Gファンタジー)
★ ★
全人類の敵と言われる存在に対抗する力を持つという十二祇。
その十二祇である12人の少女たちの物語。
メインキャラがいきなり12人設定されているせいか、終盤間際までひたすらキャラの堀り下げをしているだけだった。
また、登場できなかったキャラもいる中での打ち切りで、中途半端に終わっている。
唯一の救いは、最終決戦がそれなりに盛り上がったところだろうか。


「いい電子」
みずしな孝之・全11巻・エンターブレイン(ファミ通)
★ ★ ★
ゲームをほとんど知らない作者が描いたゲームのエッセイ漫画。
なまじ作者がゲームのことを知らないので、ゲームを違った切り口で見ているのが面白い。各話についての解説は全て書き下ろしで、雑誌で予め読んでいても、コミックスではまた別に楽しめる。
ある程度ゲームを知っている人なら、読んで損はしない。
後に2P連載になってからはマンネリ感が出てきてしまい、内輪ネタも多くなって残念だった。


「いいでん!」
みずしな孝之・全4巻・エンターブレイン(ファミ通)
★ ★ ★
上記作品の続編。
上記作品の巻数が進み、新規読者が入りにくいという理由でリニューアル。
ただし、内容的には変化がなく、内輪ネタも相変わらず多い。
その代わり、どこからでも読める話ではあるので、確かに新規読者は入りやすいと思われる。
前作でスパッと読まないことにするのもアリと言えばアリだが。


「イヴの時間」
太田優姫・全3巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★
アンドロイドが家電として各家庭で家事をするのが一般的な世界。
アンドロイドを人間と同等に扱うことは蔑まれることとなっているが、とある場所に人間とアンドロイドを区別しないという喫茶店があった。
アニメが原作の作品ではあるが、知らなくても読める作りになっている。
絵も柔らかい雰囲気で読みやすく、絵が気に入れば買って損はしない。
ただ、原作の外伝的な作品だけに、終わり方はやや中途半端に見えた。
読む前は「ちょびっツ」(タ行参照)とやや被るかと思ったが、展開は全く違うので気にする必要はない。


「伊賀ずきん」
たなかのか・全5巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
戦国時代、伊賀の忍として働く少女の物語。
時代設定は案外いいかげんなので、その辺りをギャグとして捉えられればそれなりに楽しめる作品。
爆笑できるほど面白くもないが、絵はすっきりしていて読みやすい。


「イグナイト」
ひいろ莎々・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★
親の残したOILスタンドで働く少年の下に、オイルを食糧とする少女が訪ねてくる。
少年は少女に導かれるまま旅に出る。
世界観、キャラ設定などなどが平凡の域を出るものがなく、個性があまり感じられない。
絵は読みやすいのだが、印象には残りにくい。
話は一応きれいにまとまっていたが、最後まで個性が出ることはなかった。


「IGNETE WEDGE」
堤芳貞・全2巻・マッグガーデン(マサムネ)
★ ★ ★
長い戦争が続いた2国間でようやく結ばれた休戦協定。
以来3年間、2国間の関係は徐々に回復しつつあったが、あるとき突然片方の国がもう片方の国に侵入し、2国は再び戦争状態に入る。
その再戦のきっかけとなった事件の渦中にいた青年は、意志の力を刃と変える力を手に入れ、死んだはずの母親を探す旅に出る。
絵がかなり粗く見えてしまうことが欠点だが、ストーリーはかなりしっかりしていて読み応えがある。
ただし、何度か読み返さないと、話が理解できないのが辛い。
話は一応完結したが、微妙な感じもあって、いまひとつ。


「遺書、公開。」
陽東太郎・全9巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★ ★
始業式の直前、とある私立中学の2年D組の生徒全員に序列と名付けられたランキング表が届く。その序列で1位とされた少女が、ある日学校のトイレで首を吊って自殺してしまう。その少女の葬式当日、学校に戻ると全員の机の上に自殺した少女からの遺書が置かれていた。D組の生徒たちはクラスメイト全員の前で遺書を公開して、少女の自殺の理由を考察しようということになる。
遺書が順番に公開されていく中で自殺の理由と思しき事は二転三転し、序列1位の少女をクラスでどう扱っていたのかが明らかになっていく過程は目が離せなくなる。
全員分の遺書が公開され、最後はきれいにまとまっている。ただし、ハッピーエンドというわけではないので、そこだけは注意。


「いずみちゃんといずみくん」
鈴木由美子・全1巻・講談社(ミミ)
★ ★
似たような名前の「斉藤いずみ(男)」と「佐藤いずみ(女)」のラブコメ。
ここにレビューを書こうかどうか散々迷ったあげくに書いた作品。
鈴木さんの作品は一途な女の子がよく描かれていると思うが、ラストが「これで終わりなの?」と思えるのが減点。
絵もまだ完成されていない。恋愛要素のみの作品はやはり好きになれない。


「勤しめ!仁岡先生」
尾高純一・全8巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★
子ども嫌いの中学教師・仁岡先生と、不良なのに素直で真面目な女生徒など、風変わりな生徒たちのドタバタコメディ。
全体的にセリフが多くて読みにくいが、それなりに面白く読める。
学校を舞台にしているものの、授業風景がほとんどないのが気にかかる。
漫画を読むことに根気が必要なのがちょっと辛い。
最後はギャグ漫画らしい終わり方だった。


「磯部磯兵衛物語」
仲間りょう・全16巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
立派な武士を志すという磯部磯兵衛だったが、日々隠れて春画を見つつ、看板娘目当てで団子屋に通うというグダグダな日々を送っている。
とにかくだらしない日常を送る磯兵衛を見て楽しむ話で、絵はお世辞にも上手いとは言えないが、浮世絵調でいい雰囲気を出している。
一見シュールに見えて万人受けする話だと思うので、食わず嫌いはしない方がいいかも。
ただ、現代知識と江戸知識が入り乱れているので、その辺り気にしない人向け。
話にセンスはあると思う。


「いちご金時レモン味」
浦川まさる・全2巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
スポーツ万能だか勉強さっぱりのいちごと、幼なじみで昔引っ越していってしまった勉強・スポーツ万能の金時(本名本田時宗)が再び町に帰ってきたときから物語が始まる。
2人は幼いころ結婚の約束をしていたが、いちごはその約束を忘れ別の人に恋をしていた。
いちごはクォーターで実はイギリスの名門お嬢様の忘れ形見だったという設定は突飛かもしれないが、違和感はない。
最初はありがちな設定だと思っていたが、それなりに読ませてくれる。
浦川さんの絵はこの頃のものが1番好き。


「いちご実験室」
山名沢湖・全1巻・講談社(Amie)
★ ★
発明好きの青年と、隣に住む少女の物語。
青年の発明に翻弄されながらも、少女は青年の発明が好きだった。
収録されている全ての話を見ても、1話の長さは短く、サクサク読める。ただ、その分話の厚みはなく、全体的に軽くなってしまっている。
また、話の作り方も小学校低学年向けで、微妙なところ。
絵はすっきりしていて読みやすいが、まだまだつたない感じ。


「いちご100%」
河下水希・全19巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
屋上で見かけた名前も知らないいちごパンツの女の子に惚れた男の子が、全く別の女の子に告白してOKをもらう。しかし、後に別人だと気付いてしまう。
2人の女の子を中心に、別の彼女候補も入り乱れる典型的な少年向け恋愛マンガ。
絵は好きだが、もどかしい展開が腹立たしいという人にはお勧めできない。
話としては中学3年から高校卒業まできっちり描かれていて、終わり方もはっきりしていたので、その辺りは救い。
ただ、中盤は新キャラが出てきては主人公に惚れていくので、その辺りの都合のよさは辛かった。


「一ノ瀬家の大罪」
タイザン5・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
ある日病院で目覚めると、少年は自分が記憶喪失であることに気付く。しかも、その場にいた家族5人も全員記憶喪失だという。自分の過去に触れるうち、少年は家族の中の様々な秘密や謎に触れていくことになる。
最初は失くした自分の過去に向き合う話になっているのだが、そこから話は様々な方向へと向かって行くので、いい意味で先が見えない展開になっていっている。
コミックスで1巻進むと全く別の話になっていたりするジェットコースター的な展開が多い。
ミステリー好きな人にも向いている作品。


「一輪の花束」
あいざわ遥・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
大人の恋にあこがれる女の子とサッカーバカ少年の恋物語。
ライバル登場したりとありがちな話だが、絵がかなり上手なので読ませてくれるし、飽きることもない。
同時収録の話は、あいざわさんの今までの作品とは違ったタイプの話で結構暗い。
違ったタイプに挑戦するのもいいと感じて評価は高め。


「一緒に歩こう」
谷川史子・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
極々平凡に弟の幼稚園の先生に恋をした女の子とその女の子を好きな男の子の物語。
恋愛ものとなるとどんな設定を作ってもありがちに捉えられてしまいがちだが、それでも読ませてくれるのは絵の力。ありがちだけど読ませてくれる。
同時収録の最後に掲載されている作品は、別の単行本の続編。元の話を知らなくても読めるが、こういう単行本の作り方しかできなくても、なるべくはして欲しくない。


「一緒にごはん」
谷川史子・全2巻・集英社(クッキー)
★ ★
彼を追って東京の大学に進学し、上京した少女。
しかし、彼には別の女性がいた。しかも、手違いで女子寮には入れず、男子寮で暮らすことになってしまう。
話の展開がかなりのご都合主義である上、ワンパターンな展開が多いのでこの評価。
作者らしいところがあまり見えなくて残念。
ちなみに、上記作品とタイトル・作者に共通点はあるが、内容として共通点はない。


「犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい」
松本ひで吉・全7巻・講談社(Twitter)
★ ★ ★ ★
元気いっぱいで素直すぎる犬とツンデレな猫を飼っている作者のエッセイマンガ。
性格が真反対の犬と猫の対比が面白く、全編気楽に読める。
作中で犬と猫が高齢化してきたところで一旦完結したのはいい判断だったように思う。


「妖狐×僕SS(いぬぼくシークレットサービス)」
藤原ここあ・全11巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
妖怪の血を引き、先祖返りとしてその力を使うことのできる人たちだけが住むマンション。
そこに住むと各室に専門のシークレットサービスがつく。
シリアスとギャグが半々くらいの作品だが、確実にシリアスの方が面白い。
それだけに、ギャグが続くとちょっと厳しいか、と思う。好みの問題もあるが。
ストーリーは大まかに3部構成になっていて、1部が終わった辺りから本領を発揮してくる。
中盤がちょっと中だるみする感じなのが残念。


「犬夜叉」
高橋留美子・全56巻・小学館(サンデー)
★ ★
妖怪の妖力を高める「四魂の玉」を前世から受け継いだ少女が、現代から戦国時代へとタイムスリップし、四魂の玉を守るために前世で封印した犬夜叉を復活させる。
しかし、四魂の玉は砕けて世界中に飛び散ってしまったため、少女と犬夜叉は四魂のかけらを集める旅に出ることにする。
とにかく無駄に話が長い、に尽きる作品。
寄り道展開が非常に多く、必要最低限なところだけなら10巻もいかずに終わらせられるだろう、くらいの勢い。
残酷描写が多いところなど、いい部分もあったのだが…いかんせん長すぎた。
一応最後はきれいに終わっている。


「異能メイズ」
山田J太・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
凄惨な事件や行方不明事件が多発するとある街。事件の原因は異能を持った誰かが迷宮を作り、中に閉じ込めた人たちを異能で殺していたためだった。迷宮から脱するには異能を持つ人物と異能の正体を明らかにしなければならない。事件に巻き込まれた少年と少女が異能絡みの事件を協力して解決していく。
登場する異能が割と捻られた設定のものが多いのはよかったが、その分話が少しわかりにくい。
終盤は思わぬ人が死んだりするなど意外な展開も多くてよかったのだが、全ての謎が解明される前に終わってしまった。ラスボスがこの人だろうな、というところで終わってしまったのが残念。
絵は全編通して安定していて上手かった。


「イノセントデビル」
宗一郎・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
サイコパスなどのシリアルキラーは人類の進化した姿ではないのか、という学説を発表した天才科学者と、かつてシリアルキラーだった少女の物語。
全編通して個性強めなキャラが多いところはいいのだが、全体的に話がちょっと分かりにくい。
絵はきれいで読みやすかった。


「INNOCENT BLADE UNVEIL」
戸土の正内郎・全1巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
「悪魔狩り」(ア行参照)の400年後を描いた読み切りで、続編的な意味合いの強い作品。
専門用語も多く、前作を知らないとまず読めないといっていいくらい。
前作を知っているとそれなりに面白く読めるのだが。
番外編的な意味合いの本として。


「祈り姫は空に微笑う」
水谷悠珠・かえで透・全4巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
祈り姫と王族が出会ったら世界が滅ぶ、と言い伝えられる世界で、祈り姫の少女と王族の少年は出会ってしまう。果たしてその言い伝えの真意とは……?
設定はどこかで見た物の寄せ集めに見えるのだが、読む毎に面白くなっていく。
話はいいペースで進んでいたのだが、4巻の途中からかなりの急展開となり、コミックスにすると2~3巻分が4話くらいにまとめられてしまっている。
そこがちゃんと描かれていればもっと評価は高かった。
話としてはちゃんと完結している。
作者名が連名になっているものの、今までの水谷さんの作品そのままと考えて差し支えない。


「イビツ」
了春刀・全2巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★
夜中ゴミ捨て場に現れるロリータ少女の質問には絶対に答えてはいけない、という都市伝説。
その都市伝説を知らなかった少年は、ロリータ少女の質問に答えてしまい、ロリータ少女に付きまとわれることになる。
ほぼ純粋なホラー漫画で、襲ってくるロリータ少女には超常的な力があるというわけではなく、刃物などで攻撃してくる。
怖いというよりは痛いホラー。ホラーが好きな人になら。
ちなみに、ハッピーエンドではないので注意。


「いまどきのバンパイア」
大貫健一・全1巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
SSソフト「いまどきのバンパイア」を漫画化したもの。
ゲームとは多少設定を変えてある。
キャラデザが高河ゆんさんなので、絵の雰囲気は高河さんに近い。
1巻できれいにまとめてあるが、特筆するべき点はない。


「イルベックの精霊術士」
石動あゆま・全2巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
新米の落ちこぼれ精霊術士と、人の姿にされた強大な力を持つ月の精霊が旅をする話。
「コーセルテルの竜術士」(カ行参照)シリーズと世界観を同じくする作品で、基本的には前述のシリーズを読んでいる人向けの作品。登場人物も後半になるに連れ共通化してくる。
前述のシリーズ話に厚みを持たせるための話なので、雰囲気もかなり似ているし、シリーズ好きなら読んで損はしない。
ただし、この作品単体だと意味が終わらないことも多いので注意。


「イレブンソウル」
戸土野正内郎・全15巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
遺伝子の改良によって誕生した生物たちが暴走し、人類を襲った近未来。
そして、その生物たちに唯一対抗できる外骨格兵器に乗るパイロットを養成する学校も作られていた。
その学校に通う少年・少女たちの物語。
世界観の設定は悪くないのだが、妙に細かい割にはあいまいな部分もあるのが気になる。ただ、普通に読んでいる分には支障がないレベル。
その中にある人間ドラマを楽しむのも1つだが、登場人物が少し多めで把握しにくいのが難点。
全体的にちょっと読みにくい感じ。
割ときれいに完結したものの、中盤ちょっと中だるみする。ラスボスの意外性などはよかった。


「いわせてみてえもんだ」
さと・全1巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
大して仲のよくなかった友人に呼ばれて行った文化祭。
そこで少年は、ある少女に、ある漫画のキャラにそっくりだと言われる。
少女が好みのタイプだった少年は、少女に自分と付き合うなら休日に一緒に遊んでもいいと持ちかける。
ヒロインが好きな漫画のキャラに傾ける情熱の具合が非常に共感できる。こういうときもあったなぁ、と懐かしい感じがした。
推しキャラがいたことがある人なら楽しめる。


「inGrid」
酒巻行里・全2巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
聖女のみが治すことのできる血屍病が蔓延する国で神殿騎士として働く少年たち。
初めて正式な騎士として参加した任務で、少年は信徒ではない者(悪魔)を殺せと命じられる。
初めは面喰う少年だったが、聖女に諭されて次々と悪魔を殺していくようになる。
ある意味洗脳によって次々と人を殺すようになる主人公が珍しくていい感じ。
ただ、早い時期に打ち切りが決まったのか、とにかく後半の話の進むスピードが早くて、終わり方も悪くはないもののちょっと中途半端だった。
謎解きが残されているわけではないのだが……


「いんてる先輩」
ゆーじ・全3巻・一迅社(REX)
★ ★ ★
とある県立高校に転校し、寮に入った少年。
少年はそこで寮長を務める不思議な先輩・いんてる先輩と出会う。
いんてる先輩はアホ毛で空を飛び、背負った機械から声を出すなどツッコミ所満載の先輩だった。
とにかく不思議ないんてる先輩と日常を過ごす話で、いんてる先輩の不思議さが魅力。
絵も割と安定していて読みやすい。
他にもいい味を出している脇役が多い。
ただ、最後はかなり唐突に終わった感じで残念。


「Weiβ SideB」
大峰ショウコ・既刊5巻(打ち切り)・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★ ★
アニメ、OVAなどが原作のWeiβのサイドストーリー。
設定がシンプルなので、原作を知らなくても話には入れる。
話そのものもいろいろな捻りがあり、惹かれる部分も多い。
絵はかなりきれいで、アクションシーンにも迫力がある。
全体的には女性向。
連載は順調に進んでいたが、ある時突然立ち消えになってそのまま。
完結まで描いてくれていれば、もっと評価は高かった。


「Vassaload.」
黒乃奈々絵・全7巻・マッグガーデン(アヴァルス)
★ ★
神父として悪魔退治をするヴァンパイアと、その食糧として存在するもう1人のヴァンパイア。
2人が反発しながらも協力して様々な事件を解決していく。
とにかく作者の趣味が反映された作品で、全体的にBLっぽくてそれについていけない私にはちょっと辛い作品だった。
それでも、作者の実力があるのでそれなりに読める。なので、最低評価にはしなかった。
読む人を選ぶ作品。
最後はちょっと中途半端な終わりで、7巻も続いてこの終わり?と感じたのが残念。


「ヴァニタスの手記」
望月淳・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)」
★ ★ ★ ★
人々の陰に隠れて吸血鬼が細々と暮らしている19世紀のフランス。
吸血鬼が暴走して人を襲うという事件が発生し始め、その吸血鬼を治療するというヴァニタスという青年と、ヴァニタスと行動を共にする吸血鬼の青年の物語。
現在の世界と19世紀頃に分岐したような世界観で、様々な個性的なキャラが登場してきて引きつけられる。
序盤からそれなりに謎解きが入りつつ進むので飽きさせないし、絵もかなり描き込んでいて美麗。
話の盛り上がり方もいい感じ。
登場人物が多いので、把握するのがちょっと大変。


「Variante」
杉基イクラ・全4巻・角川書店(ドラゴンJr.)
★ ★ ★
家族が惨殺され、自らも死んだはずの少女が、異形の左腕を持って生き返った。
少女は両親を殺した原因を探るため、極秘の国家組織で異形の生物と戦う決意をする。
設定はありきたりの範囲ではあるが、絵がきれいで異形の描き方にも迫力があるので、それなりに読める。
ただ、大団円で完結しているわけではなく、ちょっとぼやけた終わり方になっているのが残念。ラストシーンはよかったのだが。
なお、くおん摩緒さんの別ペンネーム作品。


「ヴァルキリープロファイル」
土方悠・全2巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
PSソフト「ヴァルキリープロファイル」を漫画化した作品。
ゲームに忠実でありつつ、ゲームで曖昧だった部分をオリジナル要素を入れることで補っている、非常に良質な作品。
ゲームを漫画化した作品の中でも最高峰に位置するのではないかと思える。
絵もゲームの雰囲気に近く、最初から非常に上手い。
ゲームと同じくらいのキャラが登場して、長く連載が続けばもっといい作品になったと思うのだが、中盤以降駆け足になって終わってしまったのが残念。
掲載誌がGファンタジーだったらよかったのかもしれない。


「ヴァルキリープロファイル  THE DARK ALCHEMIST」
藍山恵・全4巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★
PSソフト「ヴァルキリープロファイル」の登場人物・レザードにスポットを当てた作品。
主人公はレザードの弟子の少年なのだが、まずレザードが弟子を取るという設定が信じられなかったので1巻の時点ではもっと低い評価をしていたのだが、それ以後もう少し奥の設定が見えてくるとその設定にも納得がいった。
ゲームで予備知識のある人はまずこのことを意識しておかないと、作品そのものが受け入れられないと思う。
絵に関してはまだまだ不安定で、登場人物がゲームよりもずっと細身なので印象が大きく異なる。
終わり方は悪くなかったが、若干中途半端。
ゲームの世界観を崩すほどではなかったが、ゲームファンでもあえて買う必要はないと思う。


「ヴァルキリープロファイル2-シルメリア-」
林ふみの・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★ ★
同名タイトルのPS2ソフトを漫画化した作品。
話はゲームに忠実だが、オリジナル要素も多めで、話の進むスピードがかなり遅い。
ただ、4巻に入ると一気に話が進み過ぎて、ゲームを知っている人ほど混乱する。
4巻の途中まででゲームの中盤くらいだったので。
それでも話が割ときれいに完結しているのは救いか。
絵は安定していて、世界観とよく合っている。


「ヴァンパイア十字界」
木村有里・全9巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
封印された女王を助け出そうとするヴァンパイアの王と、その王を殺すために王の天敵として世に誕生した黒き白鳥。
両者は1000年以上の間戦い続けていたが、当代の黒き白鳥はなぜか王の味方を申し出てきた。
話は王道的で、特筆したものは特にないが、原作がスパイラル(サ行参照)の原作と同じということである程度注目されていた作品。
最初は単純な話に見えたが、徐々に話が複雑になって、最後は謎解きを全てやって完結したので、最終的には佳作の出来具合だった。絵も途中で慣れた。
ときどきすごく面白い部分はあったが、それが継続しなかったのが惜しい。


「ヴァンパイアセイヴァー」
東まゆみ・全5巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
同名タイトルのゲームを漫画化したもの。主人公はリリス。
ゲームを知らなくてもすんなり読むことが出来るが、やはりゲームの設定を知らないとわかりにくい部分がある。
ただし、この作品の世界観がゲームの世界観とはかなり違うようなので、むしろゲームを知らない人の方が楽しめるかもしれない。
絵はとてもきれい。トーンが多くても見にくくはないし、線がきれい。
終わり方はハッピーエンドでよかった。


「VANPIT」
土方悠・全2巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
江戸時代中期、平賀源内は怪しい取引現場から1つの棺を盗む。
源内はその棺の中に入っていた吸血鬼に噛みつかれてしまうが、吸血鬼の下僕になることはなく、逆に吸血鬼を下僕にしてしまう。
史実に登場する人物がそれなりに多く登場するので、人物の把握は比較的楽。
史実と違っていることを容認できる人であれば、普通のファンタジーとして楽しめる。
一応2巻できれいに完結しているが、作者的には続きを描きたかったのかな、という雰囲気を残している。


「Wish」
CLAMP・全4巻・角川書店(ファンタジーDX)
★ ★ ★ ★
ある夜にカラスにいじめられている天使を助けた医者様その天使の物語。
さすがはCLAMPさんの作品で、話の筋がしっかりしている。途中で立ち消えになっている伏線が気になるものの、全体を通してとてもよい話だった。4巻完結でよかったと思う。
作画は猫井みっくさんで、もこなあぱぱさんではない。
ほんわりした絵がいい。画風ももこなあぱぱさんに何となく似ている。


「兎のダンス」
高橋由佳利・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★
高校で漫才コンビを組んでいた気の弱い民夫と気の強い丹治。民夫の唯一の親友は丹治で、民夫は丹治を好きになってしまう。
男女恋愛も少し絡めながら、ラストも都合のいいハッピーエンドではなくていい。
りぼんの増刊号に掲載された話だが、絵柄はりぼんよりもマーガレットの方に近い。
表紙がタイトルになっている作品のものではない絵を使っているので、若干表紙詐欺気味。


「詠う!平安京」
真柴真・全6巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
修学旅行で京都を訪れた少年は突然平安時代にタイムスリップしてしまう。そこで出会った在原業平に天女と間違えられた少年は、真の歌人に詠まれた和歌はその内容が現実になる事実に驚かされる。現代に戻る方法を探しつつ、少年はしばらく平安貴族の暮らしを送ることになる。
時代考証はそれなりにしっかりしつつも、内容はファンタジー色が濃い。内容はシリアスというよりもギャグ寄りで、在原業平に主人公が振り回されるのを楽しむ感じ。
最後はきれいにまとまっていた。


「うっかり体育大生」
もすこ・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
マンガ家志望なのに楽しそうだからという理由で日本女子体育大学に入学してしまった作者のエッセイ。
体育大学はこんな場所、というのがわかる内容で、体育大学のトリビアが詰まっている。
日本女子体育大学が全面協力しているので、内容にリアリティがあって楽しめる。


「美しいばけもの」
山本夜子・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
黒い肌に白い髪という特異な容姿をしていたため村人から虐待されていた少年が、ある日生贄として巨大な赤い狼に捧げられる。その狼に助けられた少年が、狼と共に旅に出ることになる。
第1話が漫画大賞受賞作の連載化バージョンなので、第1話の出来はかなりよい。
その後の展開はまだ何とも言えない部分もあり、話も割と手探り感が強い。
絵が気に入ったなら読むのもアリ。


「うつろ舟」
加倉井ミサイル・全4巻・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
新宿の上空に出現した蜃気楼、琥珀の中から目覚めた少年、人の心を操る香木を持つ人々、それらのバラバラな出来事が絡み合い、次第に接点を持っていく。
絵は決して万人受けするわけではなく、読みにくいが、その分ストーリーの吸引力があり、読者を引っ張っていってくれている。
物語のキーポイントになっているのが香木や匂いであるという設定も珍しくてよい。
一応完結はしたが、話としてはやや中途半端な感じもする。一応伏線は全て回収しているが。


「謡う海」
夢路行・全1巻・スタジオDNA(クレッセント)
★ ★ ★
幼い頃海で弟と生き別れた歌手の女性と、その女性に拾われた男の子。
2人は海辺で暮らしながら不思議な生き物たちと交流していく。
また、海で生き別れた弟は人魚に拾われて生きていた。
姉と弟、2人の話が並行して描かれていて、お互いつながりがほとんどなくても、つながりを考えながら読めるところがいい。
海の人魚や竜もいい味を出している。
続編として「天からの贈り物」がある。


「歌姫」
あき・全1巻・リブレ出版(マガジン・ゼロ)
★ ★ ★ ★
生まれながらにして国のために平和を歌い続けることを課せられる歌姫。
本来歌姫は女性しかいないとされてきたが、なぜか男の歌姫が生まれた。
偽りの歌姫となった双子の姉や、幼なじみの村長の息子、歌姫である母の間でそれぞれが苦悩する。
話としてきれいに終わっているわけではないが、暗い雰囲気や心理描写などが上手く、引き込まれる。
絵が好きなら買って損はしない。


「ウタリア戦記 閃光のアーシュラ」
山本夜羽・全1巻・エニックス(Gファンタジー)

圧倒的な力を誇る敵に対して絶望的な戦いを強いられていた軍に現れ、後に救世主と呼ばれるようになる少女の物語。
舞台設定はアイヌと開国間際の日本を異世界にした感じで、とにかく作者の頭の中だけで世界観が出来上がっているために馴染みにくい用語が次々と出てきて話に入りにくかった。
おそらくはそれが打ち切りの原因で、コミックス1巻分では作者が語りたいことのほんの一部しか語られずに数々の伏線を残して終わっている。
絵は安定しているが、決して上手いわけではない。


「宇宙人パナパナ」
極山裕・全1巻・エニックス(ガンガン)
★ ★
どこかにあるとても寒い惑星での宇宙人たちの穏やかな生活を描いたギャグ漫画。
好みのタイプが別れる漫画。好きな人は好きだろうが、嫌いな人はとことん嫌いだと思える。
私も嫌いだったが、何度か読むうちに味が出てきたという感じ。
絵は決してうまくない。


「宇宙賃貸サルガッ荘」
TAGRO・全5巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
宇宙で遭難した青年は漂流中に魔女と呼ばれる少女と出会った。
そして、その青年は小惑星にある「サルガッ荘」と呼ばれるアパートへ連れていかれ、そこで魔女及び他の住人たちと暮らすことになる。
話はありがちなアパートのハーレムものだったのだが、3巻くらいから化けた。
魔女が存在する意味やサルガッ荘の存在価値など、シリアスな展開になったら一気に面白くなった。
最後の方もいい感じに盛り上がり、きれいに完結してくれた。
絵は癖があるものの、慣れれば読みにくくはない。
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