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ア行-5 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)


「王様はロバ」
なにわ小吉・全7巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
ショートギャグを集めた話。シリーズ化しているものもいくつかある。
絵はそれほど上手ではないが、話に引き込むギャグの力がある。
3巻から4巻くらいまでの評価はもっと高いが、それ以降は7ページ連載をすべてショートストーリーにしてしまってあまり面白くなくなった。
最初のころの1ページや2ページギャグの方が面白かった。
連載が打ちきりになったのも、最後の方の話を見る限り納得。
終盤は作品よりおまけ漫画の方が面白かった。


「王子様といっしょ!」
谷川史子・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★
幼なじみが10年ぶりに少女のいる街に帰ってきたが、女の子だとばかり思っていた幼なじみは、実は男の子だった。
谷川さんらしい少女漫画ではあるが、極普通の女の子が格好いい男の子に好かれるなど、あまりにも少女漫画の王道を行きすぎている部分が目立ったので評価を下げた。
同時収録作品もそれほど出来のいいものではない。


「オウルナイト」
高津カリノ・ガンガン(スクウェア・エニックス)
★ ★ ★
札幌のすすきのにあるニュークラブ(キャバクラ)で女装して働くことになった青年と、その店にいる個性の強い従業員や客たちの話。
舞台がファミレスからクラブに移って登場人物の平均年齢が上がった「WORKING」(ワ行参照)という感じ。キャラ被りしているようなキャラはいないので、作者の作風が好きなら楽しめる。


「大江戸てやんでい!!」
楠桂・全2巻・集英社(マーガレット)
★ ★ ★
元暗殺者で今は引退して人形師となった青年と、その青年に恋をする女の子のお話。
舞台は江戸時代だが、時代に相応しくないものが数多く登場するので、そこは狙っているとしても減点ポイント。
ストーリーは可もなく不可もなくだが、安心して読める。
絵は安定していて気になる点はない。


「オーベルジュろわぞぶりゅ」
大清水さち・全2巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
ちょっとボケてる女子高生の少女は、道端で売っている怪しい携帯電話をノリで買ってしまう。
その直後、少女は異世界へ飛ばされてしまう。
世界観はそこそこ珍しい部類に入るのだが、キャラの魅力に乏しく、小さくまとまっただけで完結してしまった印象。
絵はすっきりしていて読みやすいが、顔の形が全体的におかしく見える。


「大家さんと僕」
矢部太郎・全2巻・新潮社(小説新潮)
★ ★ ★ ★ ★
芸人・矢部太郎が8年間住んでいた、一階は大家さんの自宅、二階が賃貸という二世帯住宅型一軒家での大家さんとの交流を描いた作品。
年齢が倍以上違う大家さんとの距離感に最初は戸惑いつつ、次第に親密になっていく過程が微笑ましい。
連載中に大家さんが亡くなっているため、大家さんの葬式までが描かれ、作品としてキッチリ完結している。
読んでいると癒されたりホロリときたり、感情が揺さぶられる。


「「大家さんと僕」と僕」
矢部太郎・全1巻・新潮社(描き下ろし)」
★ ★ ★ ★
上記作品の番外編的な作品で、作品に関わる様々な人へのインタビューや裏話などが掲載されている。
作中に登場する先輩の元ネタになっている芸人、陽気な後輩へのインタビューのほか、感動を呼んだ手塚賞授賞式のスピーチ全文など、読み応えがある。
上記作品が好きなら間違いなく買い。
描き下ろしのマンガも面白い。


「All You Need Is Kill」
小畑健・全2巻・集英社(ヤングジャンプ)
★ ★ ★ ★
異星人に襲撃を受ける地球で、死ぬ度に記憶を保持したまま時間をループすることに気付いた青年が、己を鍛えあげて異星人と戦う中でどうにかしてループを抜け出そうとあがく話。
主人公がループに気付いてから終わりに向かって盛り上がっていく流れにはかなり引きつけられる。ヒロインもいい感じ。
原作準拠で終わり方がきれいなハッピーエンドではないのが少し残念。


「拝み屋横丁顛末記」
宮本福助・全27巻・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
陰陽師やエクソシストたちなどの風変わりな人たちが多く住んでいる拝み屋横丁。
そこで起こる不思議な事件や、幽霊たちとの生活を描いた物語。
作者がオヤジキャラを非常に上手く描いているので、オヤジ好きな人には一見の価値あり。
また、脇役たちもキャラが濃く、描き方も上手い。
反面、女性が女性らしく見えなかったり、主人公のキャラが薄く見えるところが欠点。
続き物の話もあるが、基本的には1話完結で読みやすい。
絵も安定している。。


「荻の原日記」
夢路行・全1巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
ひょんなことから竜が天に昇る様子を神様と眺めた少女が、竜の鱗を飲んでしまって不思議な力が宿ってしまう。
全編神秘的な絵柄で、柔らかい雰囲気のストーリー。
終わり方があまり納得できなかったので評価を下げた。
この設定でもっと話が続いてもよかったと思う。


「oguna」
中島かずき×唐々煙・全1巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
「takeru」(タ行参照)の外伝。
takeruの主人公の1人であるオグナが仲間と出会うまでの話が描かれている。
本編を知っていた方が内容は理解できるが、知らなくてもわりと読める作り。
ただ、終わり方はそこまでスッキリしていないので、本編を知らないと読後感が悪い。


「お砂糖缶づめ」
あいざわ遥・全2巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
影で正義の味方を演じる生徒会に、ぼんやりしていて鈍感だがめがねをかけると性格の変わる少女が入って学校で起こる事件を解決していく。
ぼけぼけっとした主人公がいい味を出している。
他のメンバーも個性豊かでいい。
あいざわさんの絵だけあって、やはりきれい。
1巻完結のところを2巻に引き延ばしてはいるが、そこまでだらだら続いたという感じはない。
事件の設定もまあまあ。


「オシエシラバス」
高尾じんぐ・全6巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
少女が本屋で格安で手に入れた参考書を開くと、そこから家庭教師の妖精が現れる。
妖精が勉強を教えてくれる代わりに、受験に失敗すると本当に死んでしまうというリスクを負いつつ、少女と妖精の同居生活が始まる。
多少のファンタジー要素はあるものの、基本的には楽しい学園物の話。
家庭教師とその教え子が主人公なので、他の作品と比べると勉強の要素が少し多めな感じ。
絵が安定していて登場人物もかわいいので、気楽に読める作品になっている。
終わり方もなかなかきれいで、スッキリ終わった感じ。
伏線もキッチリ回収されていて、読後感もよかった。


「おじさまと猫」
桜井海・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★ ★
妻に先立たれた元有名ピアニストのおじさまが、ペットショップで売れ残っていた猫を飼う話。
猫を飼い始めたことで、おじさまの生活が少しずつ変わり始める。
序盤は猫とおじさまの交流がメインでギャグエッセイ的な雰囲気だが、次第に人間関係などが広がっていってストーリー漫画になっていく。
ジーンとさせる演出が上手く、特に亡くなった妻の描写がいい。
読んでいると癒される。


「お嬢様と妖怪執事」
藤原ここあ・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
とある旧家のお嬢様は、自宅の屋敷で座敷わらしと出会う。
そしてその座敷わらしは執事になり、彼女に仕えることになる。
表題作を含む4つの読み切りが掲載されており、お勧めは最後に掲載されている「私は」。
全体的にコメディあり、シリアスあり、でいろんなタイプの作品が読める。


「お伽草子」
瀬都ナルミ・全2巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
同名タイトルのTVアニメと連動で連載された作品。
アニメよりも時間軸は少し前で、この作品のラストとアニメの第1話がつながる作りになっている。
アニメを全く知らなくても読める作りになっているが、きっちり完結しているわけではないので、アニメが好きな人が関連グッズとして買う、程度の認識で。
絵はわりと読みやすいが、全体的にキャラの表情が硬い。


「御伽楼館」
天乃咲哉・全2巻・芳文社(キララ)
★ ★ ★
若い女性にのみ人形を無料で貸し出す人形店。
そのお店で人形を借りた少女は、様々な不思議な出来事に遭遇する。
人形にまつわるオムニバス形式の話で、絵が非常に上手いだけあって話に説得力がある。
絵が気に入れば読んで損はしない。


「漢式青春ばくはつ劇場」
美川べるの・全3巻・講談社(e-manga)
★ ★ ★ ★ ★
恋愛雑用部として依頼人の恋愛を成就させる活動をしている高校生たちの物語。
本編の「美川べるのの青春ばくはつ劇場」(ハ行参照)と登場人物は同じだが、こちらは4コマではなく、ショートコミック。
オチがどこで来るか予想できないため、とにかく全編通して笑える。
ギャルゲーのことなどを知っている人はより楽しめる作り。
全3巻で終わってしまったのが残念。
「ストレンジ・プラス」(サ行参照)とノリは同じ。


「乙女ゲー転送、俺がヒロインで救世主!?」
辻本ユウ・全5巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
妹がハマっている乙女ゲームの世界に手違いで転送されてしまった少年は、なぜかゲームの中ではヒロイン役になっており、様々なイケメンキャラに言い寄られてしまう。下手に好感度を上げると個別ルートに入ってしまうため、少年は好感度を上げないように努力しつつ、現実世界へ帰る手段を模索する。
好感度をあえて上げないように努力したり、転生ではなく転送なので現実世界から妹のアドバイスが届くなど、それなりに捻られている設定がいい。
王道なゲーム内のキャラ設定にツッコミを入れつつ進んでいく話もなかなか楽しい。
最後は多少駆け足展開だったものの、ちゃんとゲーム世界から戻って終わっている。その後にまだ続く感じではあったが、ギャグマンガなのでこの終わり方でよかったと思う。


「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった...」
ひだかなみ・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまったものの、ゲームが始まるまでまだ猶予期間のある8歳で前世の記憶を取り戻したため、少女は前世の記憶を頼りに時間をかけて破滅フラグを回避する計画を実行していく。
序盤は前世でのゲームの記憶を頼りに破滅フラグを回避しようと努力する姿が描かれていてよいのだが、中盤以降はその結果主人公が人たらし能力を発揮して全ての人が主人公に惚れている状態が誕生してしまう。そうなると話の方向性がちょっと違うように感じられて、次第に勢いがなくなっていくように感じられるのが残念。
ゲーム本編が終わる辺りまでの話ならいいのだが。


「踊りましょうか」
夢路行・全1巻・一迅社(ぶ~け)
★ ★ ★
「百も承知さ」(ハ行参照)の続編。
彼のいる太めの女の子のもとに、家出した従弟がやってきて女の子を口説き始める。
その他2本の短編が収録されていて、どれもページ数が多いので読み応えがある。
ただし、続編の話が多いので、上記作品を予め読んでおくことをお勧めする。


「踊る三日月夜」
夢路行・全1巻・スタジオDNA(ぶ~け)
★ ★ ★
幽霊が出るという噂のある女子寮周辺。
その事実を確かめるために、新聞部の女の子3人は夜にこっそり幽霊が出るという現場へ向かう。
作者のデビュー作も収録されている短編集で、絵はかなり古いものの、それなりに楽しめる内容。
他の短編もなかなかの出来具合。
作者らしさがよく出ている。


「お従兄さんの引っ越しの片づけが進まない」
吉辺あくろ・全5巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
幼い頃から憧れていた従兄が大学進学を機に同居することになる。
少女なりに従兄にアプローチするものの、思うように思いが伝わらない上に、従兄は少女の弟に女装させて楽しむような変態だった。
相変わらず憎めない変態を描かせたら上手いな、と感じる。ただ、登場人物のほとんどが血縁関係で、いとこ同士は結婚できるとはいえちょっと血が近すぎるのでは……と思ってしまう部分もある。
話は下手に引っ張らずにきれいに終わっている。


「鬼神の棲む家」
渡千枝・全1巻・講談社(フレンド)
★ ★ ★
行方不明になった兄を捜して山奥の奇妙な伝説のある村を訪れた少女の恐怖体験物語。
血が噴き出したり、人が斬りつけられたりする、俗に言う怖いお話。
絵柄もその雰囲気に合っている。
読んでいるといろいろと秘密めいたことに出会えるので先が気にかかって思わず読み進んでしまう。
伏線もちゃんと生かされている。


「鬼切様の箱入娘」
有楽彰展・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
遠い昔に封印された鬼の少女と、その封印を施した青年の子孫である少年。
少年はある日、蔵で少女の封印を解いてしまう。
世間知らずの女の子とそれに振り回される男の子、という典型的な作品。
あまり個性は感じられないものの、他の作品の影響が出まくっていた「東京アンダーグラウンド」(タ行参照)よりかは遥かにましになっている。
終わり方は無難な感じ。
そこまで印象に残る話がなくて残念。
絵が気に入れば読んでもいいのでは、と思う。


「鬼切丸」
楠桂・全20巻・小学館(サンデー増刊)
★ ★ ★
唯一鬼を斬り殺せる刀「鬼切丸」を持つ、純血の同族殺しで名前を持たない、高校生くらいの姿をした鬼の物語。
鬼を全て殺せば名前をもらえると信じて戦う少年だったが、鬼は絶えず人間の邪心から生まれ続けていた。
話は必ずしもハッピーエンドではないし、恐怖感をあおる絵柄も好感が持てる。
ただし、いつも展開が似ているのと(言うなれば水戸黄門)鬼結城の話を引っ張りすぎだという点で、評価を下げた。
途中からはほぼマンネリ化が続いたが、それなりに読めた。
終わり方は悪くはない、といったところ。


「鬼ごっこ」
黒柾志西・全4巻・一迅社(REX)
★ ★ ★
ある日突然「異形の者」に襲われ、自らに「継ぐ者」としての力があることを知った少女。
少女は自らの意思とは反して、戦いに巻き込まれていく。
話はわりと平凡なのだが、絵にかなり引き付けられる作品。
化け物の描き方や表情、傷のつき方など、見ごたえがある。
ただ、ストーリーが中盤から間延びし始め、最後はやや打ち切りのような感じになってしまい、残念。


「鬼姫」
冨樫秀昭・全1巻・一迅社(REX)
★ ★
戦国時代真っ只中、上杉軍の兵として戦場を駆け回り武田軍を苦しめた1人の女性がいた。
その女性が現代にタイムトリップしてしまう。
冨樫義博の実弟というのがクローズアップされてしまっているものの、話としては悪くない出来に仕上がっている。
雑誌掲載時から大幅に加筆修正されており、それなりに面白く読める。
血縁関係を考えずに読んだ方がいい。


「おネコさまが来た」
私屋カヲル・全1巻・小学館(フラワーコミックス)

ある時突然現れて願いを1つだけ叶えてくれるネコの神様「おネコさま」と相棒の犬がいろいろな人の願いを叶えていく物語。
「少年三白眼(サ行参照)」と同じ作者だったので買ったが、つまらなかった。
ギャグが空振りしている感じがする。


「おひさま笑顔」
天野こずえ・全1巻・エニックス(ステンシル)
★ ★
登場人物たちに少しずつ関係がある、全4話の短編集。それぞれ春夏秋冬をテーマにしている。
どの話も出来は悪くないが、特筆出きる部分もない。
全て1つの街や高校を舞台にした現代ものだが、それは絶対にありえないだろう、と思ってしまうフィクション性が強い作品(例えば、真冬のプールで泳いでそのまま歩いて帰る、など)が目立つのは減点。
絵は少女漫画らしさが出ていて可愛い。
作者のファンなら買ってもいいと思える。


谷川史子・全10巻・講談社(Beth・Kiss)
★ ★ ★ ★
独身で恋人がいない、もしくは恋人と離れている、基本的に孤独な女性たちの物語。
16P完結もののオムニバス形式で、作者の得意分野のような感じで楽しく読める。
ハッピーエンドもそうでないものもあるのがよく、どこからでも読める形式なのもいい。
ただ、おひとりさまの女性が主人公という縛りがあるせいか、中盤以降は似たような話であったり、おひとりさまというより普通の恋愛ものだったりする話が増えてしまい、残念。


「お姫様と花と蝶」
あいざわ遥・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★
娘の花嫁姿が見たいという病気の母を安心させるため、少女は今つき合っている男の子と結婚すると家族に言うが、兄から猛反対される。
少女漫画もこれほど現実感がないとあきれてしまうのだが、もう1本収録されている話は共感できる部分があるので、評価をさらに落とすことはやめた。


「おまかせ健さん」
樹原ちさと・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★ ★
しゃべることのできる犬「健さん」をとりまく日常ギャグ漫画。
健さんはくだらないギャグをするが、それはそれで漫画中でシーンとなったりすることでフォローされたりしているので問題なし。
ほれっぽかったり、けんかが強かったり、勘違いしやすい性格の健さんに親しみも持てる。
元は読み切りのみの話だったが、多少の人気があったため、増刊号で短期連載された。
ラストもほぼ納得。


「オムメダイ」
榧世シキ・全2巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★
人々の希望が詰まった夢を集めるブランシュと、絶望が詰まった夢を集めるノワール。
一定の期間内に集めた夢が少ない方から流刑者が出る。
全ては世界を守るため、彼らは夢を集め続ける。
作者らしいと言えばらしいのだが、話は結構わかりにくい。人を選ぶ。
そのせいか、序盤で打ち切りらてしまった。
打ち切りにしては話がまとまっている方だが、それでも中途半端さは大きい。


「お山の竜神さま」
久保聡美・全1巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★ ★
山奥の中で暮らす竜神家族3人の物語。第1話は、久保さんの投稿作品。
その漫画大賞では準大賞になった作品で、投稿作品にしては完成度が高い。
読み切りで何度か登場したのみだが、連載されても一向にかまわないくらいいい話。
ストーリー的矛盾もほぼない。日本的な絵も好感が持てる。


「オリハルコンレイカル」
綱島志朗・全3巻・角川書店(ドラゴンJr.)
★ ★
フィギュア作りにはまる大学生の青年は、とある講師の授業を手伝った報酬としてパテをもらう。
そのパテでフィギュアを作ると、そのフィギュアが動き始めた。
同じように動くフィギュアが他にも出てきたり、作られたフィギュアは作られたばかりのために常識がなかったり、と典型的なストーリーを追っていく形になっているため、個性が見えない。
絵は読みやすいのだが、中身が薄い。
掲載誌休刊に伴って長い休載期間があり、「オリハルコンレイカルDUO」として後に完結したが、そこまで追う気になれず、続編は購入していない。


「オリンポス」
あき・全2巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★
神が作った箱庭に閉じ込められたガニュメデス。
絶対に逃れられない箱庭の中で、神はガニュメデスにわずかな希望をちらつかせてはそれを断ち切ることを楽しみにしていた。
とにかく絵が奇麗な作品で、細かい描写が多いにも拘らず読みにくくない。
話も神話をベースにしていて、引き込まれる。
女性ならかなりの割合で好きになれる作品では。
反面、終わり方は非常に抽象的で好みの分かれるところ。


「オレンジ紅茶」
あいざわ遥・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
男友達の兄のことが好きになったがフラれてしまい、その人と親友が仲良くなっていくのを素直に見られない女の子の話。
今まで作者の作ってきた話とは違い、恋愛だけでなく友情に関しても深く掘り下げているストーリーに好感が持てる。
一時期変になってしまったと感じていた絵も、元のようにきれいになっていた。


「オンエアできない!」
真船佳奈・全1巻・朝日新聞出版
★ ★ ★ ★
テレビ東京の新人ADが、ADの日常について語る半ばエッセイのような作品。
作者が本当にテレビ東京のADだということで、話に物凄くリアリティがある。
予算の少ないテレビ局なので、予算がない中どういう工夫をして番組を作っているのか、という辺りも読み応えがある。
作者が漫画を描くことがほぼ初めてというのもあり、全体的に絵が上手くないのが玉に瑕。


「オンエアできない!Deep」
真船佳奈・全1巻・朝日新聞出版
★ ★ ★
上記作品の続編。
内容的にはADの日常から、ADとして体験した一般的にはあり得ないような話にシフトしている。
絵は小慣れてきて読みやすくなったが、逆に話は悪くないけどそこまで……という感じになってしまった。


「女ともだち」
一条ゆかり・全3巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★ ★
女優の姪として平凡に暮らしていた高2の女の子が、モデルの親友の撮影につきあったことがきっかけになり、最終的に女優になって映画を完成させるまでの話。
私がそれほど好きではない正当派恋愛少女漫画なのだが、読ませてくれる。
作品中で紹介される映画もそれだけで別作品にできそうないい作品。
しかしながら、都合のいい展開と普段は強気の女の子が恋愛になると奥手になるという私が嫌いなパターンが入っているので評価を落とした。


「怨霊伝説」
渡千枝・全1巻・講談社(フレンド)
★ ★ ★
臨死体験をした少女が、その日を境に霊感が強くなり、母親の一族にまつわる暗い伝説と関わることになる。
渡さんの作品では珍しく、1冊全てがこのタイトルの話。
しかも、登場人物の1人が別の作品にも登場するというのも珍しい。
怖い絵柄で恐怖感をあおってくれる。
それほどきつい絵ではないし、読みやすいとも思う。
ただし、財宝伝説の話なのに財宝が見つからなかったり、ストリー的矛盾もあったりしたので評価を落とした。
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