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ラ行-2 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「LUWON」
南澤久佳・全5巻・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★ ★
ゲーム嫌いの少年が、父親の勧めで手に取った大作RPG・LUWON。
いやいやながらもそれをプレイし始めた少年は、ある日現実でもゲームの中の呪文が使えることに気付く。そして、少年の現実は次第にゲームと混ざり合っていく。
作者がずっと暖めてきた作品ではあるが、暖めすぎて少し使い古された設定になってしまったのが残念。
そのせいかどうか、全体的な出来具合も、可もなく不可もなく。
中盤少し盛り上がったが、最後は第一部完となっていて、かなり中途半端なところで終わっている。
作者も続きを描くつもりがないようなので、覚悟を持って読んだほうがいい。
絵は全体的に不安定。

「√W.P.B.」
中村春菊・全2巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
鬼退治に出かけた少女は川で巨大な桃を拾う。
そしてその中から人が飛び出し、少女は桃から出てきた青年の主人となり、鬼退治をしていくことになる。
桃太郎をベースにした話だが、設定は珍しいものが結構あり、目新しい感じがする。
話全体のテンポもよく、ギャグとシリアスのバランスもいい。
絵は少々個性があって読みにくいところがあが、気にならない程度。
話が完全に完結していないことだけが残念。

「ルックバック」
藤本たつき・全1巻・集英社(ジャンプ+)
★ ★ ★
漫画家を目指し、学級新聞に4コマ漫画を描いていた少女は、担任から不登校の女の子が描いた4コマ漫画も学級新聞に載せるよう頼まれる。不登校の女の子の絵は少女よりも格段に上手く、少女は実力差に打ちのめされる。
終盤の展開がちょっとわかりにくいというのはあるが、長編読み切りという形できれいに話はまとまっている。各キャラの感情表現の仕方など、いろいろ引きつけられる部分はある。

「ルナティック雑技団」
岡田あーみん・全3巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
ギャグ漫画家だった作者が正当派恋愛漫画に挑戦したという作品。
中身はやっぱりほとんどギャグ漫画だが、それはそれで面白く読める。
ただ、恋愛シーンはあまり上手くない絵で歯の浮くようなセリフが出てくるので、ちょっと読むのがきつい。

「LUNO」
冬目景・全1巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
田舎の町で平凡に暮らす少年が、ある日1人の少女と出会い、事件に巻き込まれていく。
ハードカバーで定価900円と高価だが、1巻でわりときれいにまとまっており、話もなかなかいいので買って損はしない。
絵は作者の画風に慣れていないと荒れて見える。

「瑠璃垣夜子の遺言」
宮下未紀・全3巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★
7年前、少女・夜子とその兄・龍一郎は1人の少女・雷花を殺した。
その事件は完全犯罪で、雷花は今も行方不明となっている。
しかし、龍一郎の誕生日、そのプレゼントの中に雷花のかんざしが入っていた。
夜子はその犯人を探し始める。
話にはこれに幽霊のライカが加わり、重い雰囲気で続いていくが、話には非常に引き込まれる。
推理物として引きもよく、絵もかわいらしくていい。
最後はやや強引なまとめ方だったのが少し残念。

「るろうに剣心」
和月伸宏・全28巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
明治維新から10年が過ぎた東京で、かつて人斬りだった男性が自分の偽者が起こした事件に関わったことで剣術道場に居候することになる。
長期連載漫画にしては矛盾もなく、かなり読ませてくれる作品。
絵も見やすくてきれいなのでよい。
コミックスでは作者がキャラやストーリーについて深く語っているが、反省ばかりしているので、気にならなかったものが実際悪く見えるようになってしまうのが欠点。

「るろうに剣心-特筆版-」
和月伸宏・全2巻・集英社(ジャンプSQ)
★ ★ ★
映画版のシナリオを下敷きとして作者が改めて序盤の展開を描いた作品。
上記作品のパラレルワールド的な話となっている。
キャラ設定もいろいろと変わっているが、作者自身が描いているので、納得できないことはない。
原作が好きなら買って損はしない。

「るろうに剣心 裏幕-炎を統べる-」
和月伸宏・全1巻・集英社(ジャンプスクエア)
★ ★ ★
上記作品の番外編。
京都編に登場する志々雄真実と駒形由美の出会いが描かれている。
漫画本編はコミックスの半分くらいの量で、残り半分は同内容の小説が掲載されている。
漫画本編だけ読めればよかったので、小説部分は無駄と感じられるのが少し残念。
内容的には本編を補完する形になっているので、本編が好きなら読んで損はない。

「るろうに剣心―明治剣客浪漫譚・北海道編―」
和月伸宏・集英社(ジャンプスクエア)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編で、明治16年が舞台となっている。
死んだと思われていた神谷薫の父親が生きて北海道にいるのではないか、ということがわかり、薫と剣心は北海道へと向かう。
前作のキャラが多数登場するので、前作を知っていることが前提。
人気キャラが集まっているので、前作が好きな人なら間違いなく楽しめる。
剣心が飛天御剣流の剣術を使えなくなりつつあるという設定があるため、剣心が戦うシーンは全体的に少なめ。あくまでサブキャラの位置にいる。

「ロクショウ!」
極楽院櫻子・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
女性しか生まれないと言われていたとある神社に生まれた初めての男子である少年は、謎の敵に襲われ、1人の少女に助けられる。2人は融合して歌を歌うことで敵を倒す力を得る。
主人公には5人の許嫁がいるという設定だったが、途中で打ち切りが決まったためか、最後の2人は最終回ギリギリで登場し、かなり強引な終わり方になっていた。序盤の展開が遅いだけに、ギャップが激しい。
一応戦いの結末まで描かれているので、中途半端な終わりではなかったのが救い。

「霊獣都市」
大橋薫・全1巻・朝日ソノラマ(サスペンス&ホラー)
★ ★ ★
悪魔の生贄にされ、逆に悪魔の力を取り込んで生き残った少年の物語。
表題作関連の話が3本と関係のない短編が1本収録されている。
表題作よりもむしろこの短編がなかなかの出来で、評価を上げた。
全体的に無理にハッピーエンドにしていないところはよかった。

「レイン」
住川惠・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
同名タイトルの小説が原作の作品。
架空の大陸を舞台にした戦争もので、基本的には主人公のレインが無双する話。
話の根幹は戦争なのだが、軍による大規模戦闘のシーンが少なく、個々の話や戦いがメインになっているところに違和感はある。
絵は決して悪くないのだが、アクションシーンは微妙。

「レイン 外伝」
住川惠・全1巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
上記作品の外伝で、本編の前日譚となる話。
本編の主人公・レインが魔法の師匠に出会うエピソードが描かれている。
原作にもある短編がベースとなっていて、本編の間に挟むのではなく、別冊として出したのはいい判断だと思う。
きれいに話もまとまっている。

「レヴァリアース」
夜麻みゆき・全3巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
兄を邪神竜に殺された少年(実は女の子)と魔法使いの少年と妖精が旅をする物語。
終わり方はかなり意外で驚かされた。
ただ、かなりの謎を残して終わっているのが気になる。
続編として「刻の大地(タ行参照)」があるので、この「レヴァリアース」を読んだら「刻の大地」を読むことをお勧めする。
ただし、「刻の大地」が細々とネット連載されているだけなので、完結まで描かれるかどうかはわからない。

「REVEREND D」
藤沢とおる・全2巻・一迅社(REX)
★ ★ ★
キッカリ1時間後の未来を時々見ることができる少女。
その少女はあるとき世間を騒がせている、人が赤い砂になって死ぬ、という事件の被害者の未来を見てしまう。そして、そこから事件に巻き込まれていく。
設定はあまり珍しいものではないのでが、作者のセンスと経験からくる構図に魅せられることが多く、さすがだな、と思えるところが多々ある。
しかしながら、謎解きが全くない状態で完結してしまった。
続編はほぼ期待できない。

「レール・エール・ブルー」
唐沢一義・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★
パリからヴェネチアを結ぶ寝台特急レール・ブルー。
そこで働く少年と従業員たちの物語。
基本パターンが、客が何か要望する→従業員たちがいろんな方法で客に満足してもらう、となっていて、まとめて読むとワンパターンのような、ベタのような風に感じてしまうのが残念。
絵は悪くないのだが、少し年齢の高いキャラがのっぺりして見えるのが残念。
終わり方は割と切りよく終わっていたが、やや打ち切り感もあった。

「レガリヤ」
川添真理子・全5巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
手に入れると世界の帝王になれるという伝説のアイテム・レガリヤ。
そのレガリヤをめぐる冒険物語。
ストーリーは王道中の王道のものだが、各所で作者なりの工夫が見られ、かなり読ませてくれる。
物語の進行スピードもいいテンポで進んでいたが、最後の方はかなりの駆け足で残念。
終わり方も納得できるものではなく、中途半端な印象。序盤がよかっただけに、残念。
絵は中盤以降、成長しすぎて読みにくくなってしまった。

「レタスと剣」
北川みゆき・全2巻・小学館(フラワーコミックス)
★ ★
何度も転校を繰り返す問題児の少女が、規律の厳しい高校へと転校し、そこで1人の少年と出会う。
正当派恋愛漫画。
作品の所々にある詩は読んでいるとかなり恥ずかしい内容で、好きにはなれない。
絵は安定していてよい。

「烈火の炎」
安西信行・全33巻・小学館(サンデー)
★ ★ ★
手をこすると炎を出すことが出来る、忍者に憧れる少年の物語。
4巻くらいまでの内容ならばもう少し評価が高いのだが、それ以降はあまりにも「幽遊白書(ヤ行参照)」と内容が似すぎている。
作者なりにオリジナリティを出そうとしているようには思えるのだが、それでは補えきれていない。
また、全33巻ではあるが、10巻分くらいは無駄な話が入っている感じがするし、矛盾も結構多い。
絵は私好みでいい感じだったのだが。
ハッピーエンドであったことが唯一の救いか。

「Red Raven」
藤本新太・全8巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
マフィアの力が強い世界で、判定書をもとに違法な武器を持つ者を狩るレッドレイヴンという始末屋をしている少年の物語。
話はオーソドックスなバトル漫画で、構図がいいとかキャラがいいということはあまりなく、全体的には普通という印象。
中盤が長かった割にはラスボスとの決戦が割とあっさりしていたのが残念。

「レニフィルの冒険」
石田和明・全4巻・エニックス(ギャグ王)
★ ★
道に迷った少年がエルフの村にたどり着き、そこで知り合ったエルフのレニフィルと村を抜け出して旅に出る。
絵は安定していて見やすいが、剣の戦闘シーンは迫力が足りなく、戦っているという感じがしない。
ストーリーはそれほど意外性がなく、終わり方も今一なのでこの評価。

「REBUS」
岩佐あきらこ・全2巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
同名タイトルのPSソフトを漫画化した作品。
作者の前作「ミスティックアーク」(マ行参照)とはガラッと絵柄を変えてきている。しかし、鉛筆を使用しているのか、画面の描き込みが多く、見にくい部分が多いのが残念。
最後の方はかなり見やすくなったが。
ストーリーは最終決戦前で切れているのが残念。ストーリー運びも良かったし、最後の方は盛り上がりも見せていたので、結末まで描いてほしかった。

「Replica」
唐々煙・全4巻・マッグガーデン(アヴァルス)
★ ★
用心棒をしながら旅をしている青年は、とある街で重傷を負い、そこを助けられたことでその街でToyと呼ばれる魔物と戦うことになる。
話としてはオーソドックスな作りで、つまらなくはないが、特に面白いというところもない。
作者が好き、絵が好きだと言うなら読むのもいいかもしれない。
全3巻かと思いきやその後1冊完結編が出た。ただ、内容的にそこまで評価できるものではなかった。

「レベルE」
冨樫義博・全3巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
一人暮らしを始めた少年が引っ越し先のマンションの部屋に行ってみると、そこには宇宙人だという男が荷物を開けて座っていた。
「幽遊白書(ヤ行参照)」後半に比べると絵もかなり正常に戻ってきたが、まだ見にくい部分がある。
ストーリーは意外性が多くほぼ申し分ないが、中途半端な終わり方をしているものもあるのでこの評価。

「レミングの行方」
大橋薫・全5巻・角川書店(あすか)
★ ★ ★
両親を目の前で虐殺された幼い少女は、記憶を消されてある施設で暮らしていた。
しかし、少女が狙われていることがわかった施設の研究員たちは少女の消された記憶を呼び覚ます。
そして、施設では殺人事件が起こり始める。
最初から少女に目がいってしまうので、終わり方は意外だった。
先が気になるので、どんどん読み進められる。
ただ、気になるのは年をとらない少年とその他いろいろな組織の存在。
もう少し話を描き込んでほしかった。

「恋愛自壊人形恋するサーティン」
鍵空とみやき・ガンガンJOKER(スクウェア・エニックス)
★ ★ ★
人のために作られ、自立思考する人形は恋をすることを禁じられていた。
しかし、人形が最終調整のために通う学校で人形たちは全員誰かに恋をしていた。
序盤はややギャグテイストで進むが、途中から少しずつ不穏な空気になっていく。「ハッピーシュガーライフ」(ハ行参照)と似た作品を求めている人にも合うと思う。

「ROSE GUNS DAYS Season1」
宗一郎・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
同名タイトルの同人ゲームを漫画化した作品。
仮想の戦後日本が舞台となっており、当時の日本がアメリカと中国にごちゃまぜに支配されていることになっていて、日本人の立場がとても低いことになっている。
その中で生きた人たちの話で、同じ原作者の「ひぐらしのなく頃に」(ハ行参照)や「うみねこのなく頃に」(ア行参照)とはまた違った雰囲気の話となっている。
絵に関してはキャラデザを手掛けた1人が担当しているので、違和感は全くない。
試しに読んでみるのもいいかもしれない。
話は割ときりよく終わっている。

「ROSE GUNS DAYS Season2」
夏西七・全3巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
同名タイトルの同人ゲームを漫画化した作品。
時間軸として上記作品の直後となっているので、ひぐらしやうみねこシリーズのようにあまり作品単体で読める作りにはなっていない。
作画はやはり原作のキャラデザを担当した1人なので、読んでいて違和感がないのはいい。
話としては短めだが、割ときれいに終わっている。

「ROSE GUNS DAYS Season3」
大村陽・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンONLINE)
★ ★ ★
同名タイトルの同人ゲームを漫画化した作品。
時間軸は前作の直後、主人公も代わり、キャラデザ担当でもない作画なので読む前は少し心配していたが、蓋を開ければ大丈夫だった。
やや雰囲気が違う感じもあるが、そこまで違和感はない。

「ROSE GUNS DAYS LastSeason」
座紀光倫・全2巻・スクウェア・エニックス(ビッグガンガン)
★ ★ ★
同名タイトルの同人ゲームを漫画化した作品。
シリーズ最終作なのにコミックスの巻数として最も少ないということもあり、とにかく展開が駆け足。
話としてちゃんと完結するところまで持って行ってはいるが、本来ならもっと深く描かないといけないところは多かったのだろうな、と感じる。

「ローゼンメイデン」
PEACH-PIT・全8巻・幻冬舎(バーズ)
★ ★
通販が趣味で引き篭もりの少年の元に、非常に精密な人形が届く。少年が人形のねじを巻くと、人形が動き出してしゃべり出した。
話が進む毎に設定が込み入ってきて面白くなってきたが、唐突に打ち切られたため、この評価。
絵は少々込み入っていて読みにくい。

「ローゼンメイデン」
PEACH-PIT・全10巻・集英社(ヤングジャンプ)
★ ★ ★
同名タイトルではあるが、上記作品の続編。
一旦話が打ち切りになっているためか、別のif世界での主人公の話としてスタートしている。
よって、話が前作に合流するまでしばらくかかり、展開的に最後の最後まで終わりが見えない感じだったのは一長一短あった。
最終的にはわりときれいにまとまっていたが。
話としてちょっと長すぎた感じも。

「ローファイ・アフタースクール」
五十嵐藍・全1巻・マッグガーデン(ブレイド他)
★ ★
作者の短編集で、8本の短編が収録されている。
数ページの短いものから30P程度のものまで幅広い。
「神様ごっこ」はお勧めだが、ちょっと話がわかりにくい作品もあり、一長一短。
絵の雰囲気が気に入れば買っていいかも。

「六門天外モンコレナイト」
西川秀明・全4巻・角川書店(ドラゴンJr.)

人間とモンスターとの共存を目指して、異世界を旅する少年と少女の物語。
原作にあかほりさとるさんがいて、作画が西川秀明さんなので買ってみたのだが、恐ろしいまでにつまらなかった。
テレビアニメと連動して連載されているが、かなり幼児向けで絵も見にくく、ギャグマンガとしても笑えない。
この漫画とアニメを利用してトレカを売ろうとしている魂胆も見え見えで冷めてしまった。

「ロケットマン」
加藤元浩・全10巻・講談社(月刊マガジン)
★ ★ ★ ★
子供の頃の記憶が曖昧な少年が、ある日自作のスペースシャトルで宇宙へ行こうとしている男と出会う。
その出会いから、少年は自分の過去に迫っていくことになる。
雰囲気としては作者の別作品「Q.E.D.」(カ行参照)に大きなストーリーを付けた感じ。
推理物とまではいかなくとも、小さな謎とその謎解きが散りばめられている。「Q.E.D.」が好きな人なら確実に楽しめる。
中盤は少し中だるみな感じがしたが、最後はいい感じに盛り上がって、きれいに完結した。

「ロスト」
川添真理子・全3巻・スタジオDNA(WARD)
★ ★
踊り子を生業としていた少女は、あるとき親しい友人の頼みで異界の魔物と契約する。
すると、契約の反動で少女は子供の姿になってしまう。
少女は元の姿に戻るため、魔物と共に旅に出る。
かなりオーソドックスな話なので、作者が好きとか絵が好きでなければ読み続けるのは辛いかもしれない。
全体的には平凡な印象。
終わりも平凡だった。

「LOST SEVEN」
高治星・全4巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
城を奪われた王女を助け、城を奪った女王を倒すために集った7人の流浪の民。
女王からなんとか城を取り戻すものの、王女は死に、7人は途方に暮れる。
それから10年、女王の娘だった少女は母を殺した7人の中の1人と出会う。
劇団☆新感線の舞台を漫画化した作品。
初回の出来は良かったものの、それ以降は平凡な印象。
全体的には小さくまとまってしまった感じで、普通に読めるけど、それ以上でも以下でもなかった。

「ロゼッタからの招待状」
麻里ねこ×咲灯一・全1巻・マッグガーデン(アヴァルス)
★ ★
とある田舎の村に発電所が建設されることになった。
あと1年で廃村となる予定の村に、あるとき1人の女性が引っ越してくる。
本来は全4巻くらいでじっくり描かれるだろう話が無理矢理1巻にまとまっているので、未処理の伏線などが山盛りあるのが非常に悔やまれる作品。
作者の想定通りの長さで描かれていたら、多分良作になっていたと思う。
1話限りで立ち消えになるところをコミックスが出るところまで続いたのを喜ぶべきかどうなのか。

「浪漫倶楽部」
天野こずえ・全6巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
霊的土地を封じていた石の精霊が霊的土地を封じていることが出来なくなり、霊的土地の力が解放されれ、様々な不思議事件が起こり、それを解決していく話。
先がわかってしまう話とそうでない話、面白い話とそうでない話の差がかなりあるのでこの評価。
終わり方はなかなかよかった。
このコミックスのあとがき漫画の面白さはいちおし。

「Romancers」
浅美裕子・全3巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
言葉の中に「嘘」を入れるとどんななことでも現実にしてしまう少年が、警察でも解決できない事件を解決していく話。
作者の前作「WILD HALF」(ワ行参照)同様、都合のいい展開が目立つが、そうだと割り切ればそれなりに楽しめる。しかし、序盤はそれでよかったものの、終盤は尻すぼみな印象を受けた。
コミックスのおまけページは楽しい。

「ロマンチックください」
一条ゆかり・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
男嫌いの双子の女の子の話。
正当派恋愛少女漫画だが、それなりに読ませてくれる。
1巻できれいにまとまっている。

「ろりぽ∞」
仏さんじょ・全7巻・一迅社(REX)
★ ★ ★ ★
空前のメイド喫茶ブームが到来した世界。
メイド喫茶には格付けがされ、メイド喫茶同士で勝負をして負けた方が制服を奪われるというメイドコンペが開催されていた。
ここまでバカバカしいことをよくここまで真面目に描けるな、といい意味で心の底から思える作品。
ここまでやってくれれば文句はない、という弾けっぷりで、どこまでも暴走していく感じ。
一度読んでみると面白いと思う。
各所にある小ネタも楽しい。
終わり方もきれいで、読後感もいい。

「龍屠玩偶(ロントウワンオウ)」
吉川博尉・全2巻・マッグガーデン(マサムネ)
★ ★ ★ ★
記憶をなくした青年は、自らの体にある刺青が記憶の手がかりだと信じ、様々な彫り師を尋ねて歩く。そこである1人の少女と出会い、化け物たちとの戦いに巻き込まれていく。
絵の雰囲気はかなり暗いが、それが物語のいい味になっていて、引き込まれる。
ただ、話が少しわかりにくいので、何度か本を読み返す必要がある。
終わり方はわりとキッチリしている。
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マ行-3 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「ムカンノテイオー」
玉置一平・全4巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★
田舎で暴走族をしていた青年は、それをテレビ局が取材に来たのをきっかけに上京する。
なし崩し的にテレビ局で働くことになるが、そこで田舎の友人がリンチで殺された事件を知り、真相を解明しようとする。
序盤はあまり引き付けられる要素がないが、リンチ殺人の解明以後はテレビ局の裏側をリアルに描いており、引き付けられる要素が多くなった。
テレビ局の裏側を会話形式で解説しているコーナーも面白く読める。
しかしながら、勢いは途中で衰え、最後はかなり早足で終わってしまった印象。
もっと続いてほしい作品だった。

「夢空界」
天野こずえ・全1巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
文化祭で演じる劇の主役になった少年は、今まで休部していた女の子をヒロインに選ぶ。
天野さんのデビュー作からの短編を集めた作品集。
学校が舞台のものが多く、少年漫画らしからぬ内容だがどれも読ませてくれる。
絵は柔らかい感じでよく、制服がかわいいのもいい。

「夢幻街」
水沢勇介・全7巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
人が天狗になれる法「狗法」を操る人形師の青年が、副業としている呪術関係の様々な事件に巻き込まれ、それを解決していく。
1話1話だけで読むのならばどれもかなり面白いのだが、コミックスで続けて読むとそうでもなくなってしまう。
話の内容も似たり寄ったりが多い。
絵は日本的で、話の雰囲気が十分読者に伝わる。
後半くずした絵が多くなってしまったのは残念。

「無敵戦艦ワルキューレ」
松沢夏樹・全2巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
宇宙にまで版図を広げた人類が、天使と悪魔の力を利用した戦艦「ワルキューレ」で異星人と戦う話。
宇宙艦隊ものの話としては多少の工夫は見られるが、いろいろな面で展開がベタベタ。作者が今まで描きたかったことなのだろうが、それだけに使い古された手法が多いように思う。
ストーリーの謎が出ても、ハッとすることがない。
絵は安定していて読みやすくはあるが、際立った点もない。

「無敵鉄姫スピンちゃん」
大亜門・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
自立思考型のロボットとして開発されたスピンと、その発明者であるエロ博士。その孫娘である少女は高校に通うために祖父の元で暮らすことになる。
全編通して散りばめられている他の漫画のパロディで結構笑える作品。特に9話目のジャンプネタが面白かった。
打ち切り作品ではあるが、ツッコミもテンポがよく、終わり方も悪くない感じだった。

「無敵のヴィーナス」
椎名あゆみ・全4巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
気の強い女の子が好きな男の子の前では素直になれないという少女漫画の王道を行く話。
それでも評価を下げなかったのは、主人公にうじうじしたところがなく初期の段階で両思いになっていて、もどかしい感じがしないから。
絵は当たり障りのない絵だが見やすいのでよい。

「無敵冒険シャクマ」
計奈恵・全4巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
かつて戦いに敗れ、辺境に封じられた一族の王子は強い敵と戦うことを望んでいた。
そこへ、空から記憶喪失の少女が降ってきて、その少女はかつて王子の一族に勝った種族から追われていた。
初めのうちはさして面白くなかったが、最終巻で全ての謎がわかるところなどはかなり引きつけられた。ただ、ラストはやや不満。
絵はそれほどきれいとは感じられないが、安定している。

「無能なナナ」
古屋庵・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★ ★
とある絶海の孤島に特殊能力を持った子供たちが集められ、人類の敵と戦うための訓練をしていた。しかし、実際はその島にいる子供達こそが人類の敵であった。そこに何の能力も持たない1人の少女が派遣され、人類の敵を全滅させるべく能力者たちを次々に殺していく。
原作がるーすぼーいさんなので、一筋縄ではいかない事件や謎解きが連続して引きつけられる。ストレートな話に見えて捻られていることが多く、常に飽きさせない展開になっている。
絵はそこまで上手くはないが、読みにくくはない。

「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」
西義之・全18巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
罪を犯した霊に罰を与え、あの世へ送る仕事をしている魔法律相談事務所。
そこで働く2人の少年たちが様々な事件を解決していく。
絵に少々癖があるのでとっつきにくい感じもするが、内容は至ってシンプル。
それが読みやすくもあり、少々ワンパターンでもある。
基本設定である裁判官の階級が少ないことでキャラが昇進できないジレンマがあり、それが話の引き延ばしを感じさせる要因になったのは残念。
長編は割と面白かったが、最後は尻すぼみで終わった印象。

「冥界噺」
凛野ミキ・全2巻・一迅社(WORD)
★ ★ ★
とにかくいい加減でやる気のない閻魔大王の話。
そのいい加減な閻魔大王に周りが振り回されたり、逆に周りのキャラに閻魔大王が振り回されたりする。
どのキャラもかなり立っていて、作者の他の作品に比べると毒気もそれなりに抜けているので、軽い気持ちで読める。
明確な終わりがないのがちょっと残念。

「冥界落語」
厘のミキ・全1巻・一迅社(ミステリーDX)
★ ★ ★
上記作品の前身となる作品で、基本設定はほぼ同じ。
ただし、上記作品ほど閻魔大王がいい加減ではない。
現在の作者の作風を知っていると、かつてはもっと一般向けの絵を描いていたのだとビックリする。
また、そこまで毒も強くない。
グロさも強くないので、軽く読める。

「迷宮街輪舞曲」
結城さくや・全3巻・一迅社(REX)
★ ★ ★
WEB小説として人気のあった作品を漫画化した作品。
原作に定評のある作品だけあって、話に意外性が多く、引き付けられる。
設定はよくあるMMORPG風だが、モンスターを解体して内蔵を持ち帰るところなど、リアリティがあってゾッとさせられる部分も多い。
ただし、人気がなかったのか、最後は唐突な終了で、謎が謎のまま残ってしまったのは残念。打ち切りになったらこういう終わり方をする、と決められていた終わり方のようには見えたが。
絵は不安定で描きなれていない、と思える部分が惜しい。

「迷図」
夢路行・全1巻・スタジオDNA(クレッセント)
★ ★ ★
学校に忘れ物を取りに行った少年は、夜の学校で様々な不思議な生き物に襲われる。
その他、ちょっと不思議な話を集めた短編集。
作者らしい雰囲気がよく出ている癒し系の作品。

「迷走区閾」
方條ゆとり・全2巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
施設で育てられた数ヶ月の間に殺人事件を目撃しながら、その記憶を失ってしまった少女。
同じ時期に施設で育った人が多く集まる学園の中で、少女は事件の真相を追っていく。
ミステリーとして暗い雰囲気が漂っているのはいいのだが、話の流れに無理があるところがあり、読んでいて違和感を覚えることがある。
謎解きを全部終えて無事完結したが、犯人がわかる伏線をもっと出しておいて欲しかった。
絵は読みにくくはないが、全体的に人の動きが硬い。

「名探偵コナン」
青山剛昌・小学館(サンデー)
★ ★ ★ ★
天才高校生探偵の少年が事件を追っている最中に薬を飲まされ子供になってしまう。
少年は元に戻る方法を探しながら、居候の幼なじみの探偵である父親が巻き込まれる事件を解決していく。
「金田一少年の事件簿(カ行参照)」と比べると1つの事件の長さが短いが、そこがよい。
恨みによる犯行と代名詞表現が多いのはやはり気になるが、どの事件もそれほどドロドロとしていないのでいい。
絵は完成されていて見やすいのでいいが、殺人現場の迫力は今一つ。
長期連載化により、本筋の黒の組織関連の話が遅々として進まないのが残念。

「メイのメイデン」
レルシー・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
派遣された女の子とギャンブルをして、勝てば女の子に何をしてもいいというルールのあるデリバリーカジノ・メイデンズ。そこに長年勤めながらも負け知らずの少女メイと新人の少女アイが様々なギャンブルに挑む話。
特殊ルールのギャンブルをしていく話で、ギャンブル自体は割と捻られていて面白く読める。必勝法などのヒントの出し方も上手い。
ただ、デリバリー先でギャンブルをする→勝つ、というのが繰り返されるので、序盤で割とワンパターン化してしまったのが残念。
最後はそれなりの決着をつけて終わったが、かなり急ぎ足で終わった印象。
絵は女の子がかわいくてよかったのだが。

「めざせ豪華客船!!~船召喚スキルで異世界リッチライフを手に入れろ~」
ザザロン亞南・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
異世界転生した少年が船召喚というチートスキルを手に入れて、一隻のボートから豪華客船を目指してお金儲けを頑張る話。
主人公の持つ船召喚スキルというのが特殊で面白い。
小さいところからコツコツ稼いでいき、次第に大きな取引をするようになる過程は読んでいて素直に面白い。
絵も上手いので、安心して読んでいられる。

「明稜帝悟桐勢十郎」
かずはじめ・全10巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
いじめられっ子だった男の子は明稜高校に転校してきて、そこで生徒会長を務める通称・明稜帝と呼ばれる悟桐勢十郎と出会い、その後先生に勧められて生徒会に入る。
最初の方は悟桐の性格があまりにも破壊的で、ストーリーも好きになれなかったが、次第によくなっていく。最後は打ち切りで残念。
悪者の描き方と、それをどうにかする描き方が上手。
絵は見やすくてよいのだが、全体的に等身が短く見えてしまうのが残念。

「メガネ×パルフェ!」
きづきあきら+サトウナンキ・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★ ★
学園祭で一目ぼれした青年に会うためにその高校に入学した少女。
そこで少女は青年に言われるがまま、青年の弟と恋愛実験を受けることになる。
話はきれいにまとまってはいないが、1つの少女マンガの終わり方としてはアリかな、という感じ。
作者が作品を描き慣れているな、というのを強く感じた。

「女神異聞録ペルソナ」
上田信舟・全8巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
PSソフト「女神異聞録ペルソナ」を漫画化した作品。
ゲームを知らなくてもわかりやすい内容で、「魔神転生(上記参照)」が好評だったために、同じ系統のゲームを再び漫画化させたのだと思われる。絵は安定しているので見やすい。
ストーリーはほぼゲームに忠実で、オリジナル要素の入れ方も上手かった。
最後の方は展開がやや早足だったが、気になるほどではなかった。

「メゾン・ド・ペンギン」
大石浩二・全5巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
「メゾン・ド・ペンギン」というアパートに住む住人たちの日常を4コマ漫画で描いた作品。
絵は下手だし、レベルの低いギャグは多いし、といいところがないように見えるが、いいキャラが何人かいる。
特に「ツンエロ委員長」が面白く、それを読むためだけにコミックスを買ったと言ってもいい。
見た目はちょっと引く絵だが、以外に面白い。
しかし、巻を追うごとに面白さはなくなっていき、最後は打ち切り。最初の勢いが続いていれば。

「めだかボックス」
暁月あきら・全21巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
98%という驚異的支持率で1年生にして生徒会長となった少女。
その少女の幼なじみである少年は、少女に振り回されつつ少女を助けるために奔走していた。
原作がついたことによって話に引き込む力がついて、割と面白く読める。
エロやツンデレなど狙ったところもあるが、そこまで気にならない。
中盤からは能力者バトルものになってしまい、初期の雰囲気の方が好きだったので少し残念。

「メテオ」
林ふみの・全3巻・Bbmfマガジン
★ ★ ★
突然発生した謎の災害のせいで、サバイバル生活をすることになった人たち。
そこでは様々な人間の本性がうずまく場所になっていた。
日常から非日常へといきなり放り込まれたら、人間多分こうなるだろうな、というのが描かれている。
非日常の話なのにリアリティがあって引き込まれる。
しかし、よかったのは2巻まで。
最終巻で出された謎解きは微妙で、謎の災害からウィルスの話へシフトしていったのも残念だった。
もう少し続けば違ったのかもしれないが。

「メテオエンブレム」
朴晟佑・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)

ある日世界に隕石が落ち、文明が破壊される代わりに人々は不思議な力を得た。
その世界で旅をする少年・少女の物語。
「黒神」(カ行参照)のように原作が付いていないせいか、絵はいいのに話がいまひとつありきたりであまり引きつけられない。
良くも悪くも王道な話。
更に、最後は急速な打ち切りでかなり切りが悪い。
作者が好きでも避けた方がいい。

「Merry Wind」
山本純二・全2巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
中学時代に決着のつかなかった勝負を甲子園でつけようと約束した少年は、弱小と言われている高校に入学。しかし、勝負を約束した少年は事故で死んでしまっており、野球部も廃部の危機にあった。
ありきたりの話だが、絵が好きで買ってみた。
打ち切りになってしまった作品だったが、終わり方は特に悪いというわけではなかった。

「モーツァルトは子守唄を歌わない」
有栖川るい・全4巻・エニックス(ステンシル)
★ ★ ★ ★ ★
モーツァルトの死から17年。とある楽譜屋からモーツァルトの子守唄が発売された。しかし、それはモーツァルトではなく、モーツァルトの隠し子だといわれる少女の父親の作品だった。
その少女と偶然出会ったベートーヴェンはその歌に関わる事件に巻き込まれていく。
原作が同名タイトルの江戸川乱歩賞受賞作なので、まずストーリーが面白い。少しずつ謎解きがありながらも謎は深まっていく。
また、舞台となる時代の雰囲気や服装がしっかりと描かれており、セリフが多くともセリフだらけにはならないので、ちゃんと漫画として読める。
4巻できれいにまとまっている。
ミステリー好きはもちろん、誰が買っても損はしない。

「魍魎の揺りかご」
三部けい・全6巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
修学旅行で利用した大型船が転覆してひっくり返り、生徒たちは船の中に閉じ込められる。
次第に浸水が進む中、脱出を試みる生徒たちの中で、一部の教師や生徒が狂人化して生徒たちを襲い始めていた。
閉鎖空間からの脱出を目的にしているが、与えられる情報が少なく、登場人物同様読者もよくわからないまま話を読み進めることになるのがなかなかよい。
不気味な雰囲気もよく出ている。
全ての謎を解決して終わったわけではないが、終わり方には満足。
コミックス描き下ろしの後日談もよかった。

「モザイクの魚」
あいざわ遥・全1巻・集英社(クッキー)
★ ★
彼の浮気がきっかけで引越しをした女の子の隣の家には格好いい男の子が住んでいた。
しかし、その男の子には遠距離恋愛中の彼女がいた。
りぼんのお姉さんコミック誌「クッキー」のコミックスなので、登場人物の設定年齢はやや高め。
しかし、内容的には極々普通の少女漫画で特筆するべきものはない。
ハッピーエンドばかりの終わり方では味気なかった。

「もっと心の星に輝きを」
松葉博・全8巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
「心の星に輝きを」(カ行参照)の続編。
舞台は主人公の家から宮中へと変わったが、内容はほぼ同じ。
平安時代が舞台の典型的な少女漫画。
作者が平安時代のことを知らなかったために、設定が途中で変わっていたりする。
話はきれいにハッピーエンドで終わった。
作者が好きか、少女漫画が好きな人になら。

「モノクローム・ガーデン」
夢路行・全4巻・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★ ★ ★ ★
現代を舞台にいろいろな場所で起こる少し不思議な話を扱ったオムニバスストーリー。
作者のよさが最大限に発揮されている作品だと感じる作品で、物語全体を包む優しい雰囲気や、癒されるストーリーがとにかくいい。
読むとホッとできる。
最終回もあまり最終回らしくなかったが、それもまたこの作品らしい、と思えた。

「Monochrome Factor」
空廻カイリ・全11巻・マッグガーデン(マサムネ)
★ ★ ★
表の世界の自分と対になる存在の影。その影の世界が表の世界に侵食を始めてきていた。そして、影と戦う力の素質を持った少年は、影の力を持った青年に導かれて、影たちと戦うことになる。
設定はかなりオーソドックスではあるが、そこかしこに個性があってそれなりに楽しめる。
絵は安定しているが、少々トーンがうるさくて読みにくい。
話はきれいに完結したが、やや中盤が長すぎた印象も。
アニメ化されたものの、アニメ作品はBL風味が強調されていて、原作とはまた違う雰囲気だった。

「白黒(モノクロ)奇譚」
楠りんか・全2巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)

突然死んだ父が残した1枚の黒いカード。
そのカードの謎を追ってとある時計塔のある街へやってきた少女だったが、街の人はなぜか時計塔のことについて口を閉ざすのだった。
全体的に暗い話で、画面も暗め。登場人物の名前がちょっと馴染みにくいので差のせいで話に入りにくい部分もある。
話自体、悪くはないのだが。
2巻の時点で第一部完となり、話自体終わっていないのだが、続編は出なかった。

「桃太郎まいる!!」
楠桂・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
両親が実の親ではないと知った桃太郎は家出をするが、途中で道に迷って家に帰りたくても帰れなくなる。
おなじみの猿、鳥、犬(狼)が登場し、この物語の後に童話にある鬼退治に向かうという設定になっている。なかなか面白く読むことが出来た作品で、ラストもほぼ納得できた。

「MONSTER」
浦沢直樹・全18巻・小学館(ビックコミックオリジナル)
★ ★ ★ ★ ★
天才脳外科医としてドイツの大病院で働いていた青年は、権力者の手術が優先され、命が不平等に扱われていることに反対して、市長の手術ではなく、とある事件で重傷を負った少年の手術を担当して少年を助けた。
しかしその9年後、少年は自分の過去を知る人々を全て殺していく殺人鬼となって青年の前に現れ、青年はその少年を殺すべく少年の行方を追っていく。
非の打ち所のない作品。
絵は安定しているし、登場人物の心理描写やストーリーの進め方、どれをとっても文句がつけられない。しいて言えば、登場人物が多いことくらい。
読んでいて圧倒される。
終わり方は完全なハッピーエンドではなかったが、伏線を全て回収した上で読者にいろいろと考えさせる内容となっていたので、逆にそれがよかった。
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マ行-2 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「マビノ×スタイル」
ひいろ莎々・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
同名タイトルのゲームを漫画化した作品。
原作のゲームがギャルゲーということもあり、とにかく設定は狙っている感じ。
ゲームのエンディングを知らないが、最後はちゃんと終わる前に打ち切られたように見える。
絵はかなりかわいいので、ゲームが好きだという人になら。

「マフィアとルアー」
TAGRO・全1巻・スタジオDNA(同人誌)
★ ★ ★
女の家に転がり込み、毎日なんとなく生きていた青年は、ある日池で釣りをしている少年と出会う。
表題作の他に8本の短編が収録されていて、作者のいろんな作風が見られる。
対象年齢はわりと高めで、きちんとした答えを出している作品は少ない。
絵がまだ安定していない部分もあるので、作者に興味がないと裏切られた気分になるかもしれない。

「魔法少女プリティ☆ベル」
KAKERU・全28巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
悪魔と戦うために魔法少女に変身することになったボディビルダー・高田。
自慢の筋肉を魔法に昇華し、高田は悪魔と戦う。
表紙は極々普通の魔法少女ものなのだが、中味は筋骨隆々のボディビルダーが悪魔と戦っている、というある意味詐欺のような作品。
表紙・裏表紙に高田の姿はなく、あらすじもカバーには書かれていないので、騙された人もいるのでは。
しかし、それが逆にいい方向に働いていて、これはこれでアリだな、と思わせてくれる。
ちなみに、本物の魔法少女もちゃんと登場する。
絵は全体的にゴチャゴチャしていてやや読みにくく、設定も込み入っているので、ついていくのがちょっと大変。
中盤以降は作者の上から目線的な雰囲気が作品から感じられるようになってしまい、残念。
最後はきれいにまとまっていたのだが。

「魔法陣グルグル」
衛藤ヒロユキ・全16巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
両親により勝手に勇者にされてしまった少年が魔法使いの少女と共に旅に出る。
RPGをそのまま漫画にしたような作品であるが、シリアスなところも笑い飛ばしていて面白い。
ただ、物語が半ばを過ぎた辺りからいまひとつ感が漂い始め、終わり方もハッピーエンドながらもラスボスを封印して終わる、という若干中途半端なものだった。
絵は童話的雰囲気があってよいのだが、最近の絵は成長しすぎて丸くなり過ぎてしまった感じがする。

「魔法陣グルグル2」
衛藤ヒロユキ・スクウェア・エニックス(ガンガンONLINE)
★ ★ ★
前作の正統続編で、前作のラストからわずか2週間後から話は始まっている。
雰囲気的には前作の後半付近の感じで、そこそこ読めるけど特に面白いということもなく、無難な印象。
前作が好きでも特に買わなくてもいいくらいにすら思う。

「魔法使いの弟子が笑う時。」
金井千咲貴・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
生まれつき感情がない少年は、自らの感情を取り戻すために魔法使いに弟子入りする。
弟子生活の中で少年に大切な人ができることもあるが、少年はその人を殺すことで感情を取り戻そうとしてしまう。
話が本題に入るのは2巻以降だが、その分1巻では意外な展開が多くて楽しませてくれる。
これから伸びそうな雰囲気はあったが、最後は打ち切りで、中途半端に終わってしなった。

「魔法使いの猫」
喜久田ゆい・全5巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
勉強・スポーツ万能の双子の弟を持つ少年は、それに僻むことなく日々大好きな本に囲まれて過ごしていた。
しかし、ある日事故に巻き込まれて魔法使いのいる異世界に飛ばされ、そこで国王の身を守る猫となってしまう。
序盤はキャラや設定説明が多くいまひとつだが、それが終わる2巻辺りから面白くなってくる。
産休を少し挟んだせいか、絵は前作より劣っているように見えるのが残念。
終盤は伏線回収が上手く、かなり引き込まれた。
序盤からもっと国同士の政治的な話が入っていればなおよかった。
終盤の国同士の覇権争いがややわかりにくかった。

「魔法使いの嫁」
ヤマザキコレ・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★
身寄りもなく絶望の中生きてきた少女はあるオークションにかけられ、人外の魔法使いに買い取られる。
その魔法使いは少女を弟子として育て、自らの嫁にすると言い放つ。
雰囲気が非常にいい作品で、魔法の不思議な世界観と切なさが画面からにじみ出てくる。
話の進むペースがのんびりなのも、この作品ならばいいと思う。

「魔法使い養成専門 マジック☆スター学院」
南澤ミヅキ・全5巻・一迅社(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
魔法を教える専門学校で、マジックアニマルという魔法を使う動物を扱うアニマルマスター科に進学した女の子が、くじ引きで手に入れたイモ虫のマジックアニマルを育てていく話。
ストーリーはややシリアスのあるギャグマンガ。
話に勢いとテンポがあるので、どんどんこの世界に引き込まれていく。
絵はやや安定感に欠けるが、読みにくいことはない。崩した絵はないが、そうしなくとも笑える。
なお、コミックスはスクウェア・エニックスと一迅社の両方で出ているが、完結しているのは一迅社の方だけなので注意が必要。

「魔法使い養成専門 マジック☆スター学院★★★」
南澤久佳・全5巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編で、話は完全に続いている。
話の持つ雰囲気もそのままなので、上記作品が好きなら買い続けて問題はない。
最終的にすべて謎解きをしたうえで完結している。

「魔法を信じるかい?」
谷川史子・全3巻・集英社(クッキー)
★ ★ ★
彼ができて恐いくらいに幸せだった女の子は、ある日彼を殺そうとする死神に出会った。どうにか彼の身を守ろうとする女の子だったが、拾った死神のピアスを身につけてしまい、それを外すには殺されるか死神と恋人同士になるしかなかった。
谷川さん初の長期連載作品。また、掲載誌がりぼんではないので、対象年齢は少し上になっている。
対象年齢が上になっても作品の雰囲気は相変わらずで、読みやすい。
話はきれいにまとまったが、そこまで特筆するものはなかった。

「まほらば」
小島あきら・全12巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
多重人格の女子高生が大家を務めるアパートに引っ越してきた青年と、アパートの住人たちの物語。
多重人格の設定は後半にその理由が出てくるまでかなり軽く見えていて微妙だったが、最後の方はなかなかよくなっていっていた。
まとめ方もハッピーエンドで、それぞれの問題も解決して、悪くない終わり方だった。

「幻の9階」
渡千枝・全1巻・講談社(ミー)
★ ★ ★ ★
いわく付きの部屋に引っ越した女性が毎晩奇妙な水音に悩まされ、夫の行動にも不審を感じ始めてしまう。
主人公の気持ちに引っ張られるとラストが意外でよい。
読み直してみると、しっかりと伏線が張られているのでさらによい。
その他の収録作品も都合のいいハッピーエンドではないので評価できる。

「ままんちゅ!」
天野こずえ・全2巻・マッグガーデン(描き下ろし)
★ ★
作者の出産・育児エッセイ。
作者の他作品や表紙を見て、中も同じだと思うと肩透かしを食らうので注意が必要。
基本的に出版することを前提に描かれたものではないようで、絵はかなりデフォルメされていてあまり描き込まれてもいない。
描き下ろしで140P程度のページ数があるのはすごいが、Web日記でもいいレベル。
内容は、極々普通の出産・育児エッセイで、おそらく作者は同系統の他の作品をあまり読んだことがないのだろうな、と感じる。それくらい、話が一般的過ぎて誰もが経験することばかり。
出産・育児エッセイを連載している人なら、内容をもうひと捻りしてくる。
作者のファンでも、買うかどうかは試し読みしてからの方がよいかも。

「狸穴中学バナナ事件」
高橋由佳利・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★ ★
夏休み最後の日、一人の女生徒が屋上からバナナと一緒に飛び降りた。
そのとき、屋上には飛び降りた女生徒の親友がいた。
推理ものかと思ったら、途中から財宝を探す冒険ものになってしまった話。
話に無理はないが、疑問も残る。
同時収録作品「祭りのあと」がなかなかいい話なので、この評価。

「まもって守護月天!」
桜野みねね・全11巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
中国で旅を続ける父からの届け物は「清い心のものがのぞくと天の守りが授かる」という輪。
それをのぞいた少年は、輪の中から飛び出してきた少女の主人となってしまう。
おおぼけな少女と、輪の中から飛び出す星神の離珠がとにかくかわいいのがいい。
結構面白いのだが、恋愛シーンは少々少女漫画的で好きではないので評価を下げた。
作者は投稿作品からかなり画力が高いので、初連載のこの作品も絵が安定していて見やすい。

「まもって守護月天!再逢」
桜野みねね・全6巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★
上記作品の続編。
ではあるが、最初の3話以降はゴーストライターが描いており、全くの別物。
キャラの性格は違うし、絵も次第に似せようというところから離れていったので、同人誌みたいなものだと思った方がいい。
一応完結したが、解決していない問題が山積の状態で、無理矢理終わらせたように見えた。
上記作品が好きな人ほど、読まない方がよい。

「まもって守護月天!解封の章」
桜野みねね・マッグガーデン(MAGCOMI)
上記作品の続編で、前作から3年後の話になっている。
基本的に「再逢」はなかったこととして処理されており、人間関係に進展はなく、少しずつ話を進めている印象。
この作品は立ち消えにならないでほしい。

「迷いの街」
大橋薫・全1巻・ぶんか社(ホラー&ミステリー)
★ ★
出口の見えない「迷いの街」に迷い込んだ少女の話。また、他にも4本の短編が収録されている。
いじめなどを含めたホラーの話だが、作者の手法としてはよく見かけるものなので、目新しさはない。ネットに関係する話でも、よくある犯罪の話なので特にいいものではない。

「マリアに殺される」
大橋薫・全1巻・角川書店(あすか)
★ ★ ★
殺人鬼に襲われ、逆に殺人鬼を殺してしまった少女は皆からたたえられるが、少女が殺人鬼を殺したあとも、殺人鬼のものと思われる犯行が起こってしまう。
話を読み終わったあと、果たしてこのタイトルでいいのだろうか?と思えてしまうほど、タイトルと話がかみ合っていない。
その他収録作品は大橋さんらしいという内容でまあまあの出来。

「まりあ+ほりっく」
遠藤海成・全14巻・メディアファクトリー(アライブ)
★ ★ ★
百合属性を持つ少女は、運命の恋を探して名門女子学院に編入する。
そこで女装した少年に弱みを握られ、ほぼ奴隷のような日々を送ることになる。
作者の個性が全開となっている作品で、読む人を選ぶ作品でもある。
個性が強くて印象には残るが、個性が強すぎる感じもする。
私にはちょっと合わなかった。
最後はそれなりにまとまっているが、尻すぼみのような感じもした。

「Marieの奏でる音楽」
古屋兎丸・全2巻・ソニー・マガジンズ(コミックバーズ)
★ ★ ★ ★
マリィと呼ばれる機械で作られた女神が地上を見守る世界。その穏やかな世界で全ての音を聞き取れるというマリィに愛された少年と、その少年に恋をする女の子の物語。
独特の世界観で描かれている話で、ストーリーは穏やかながらかなり惹かれるものがある。
特に謎解きのところはよく、2段階に分かれた謎解きはかなりよかった。
しかし、絵は表紙ほど中の絵はよくなく、不安定でペン慣れしていない感じもあった。
絵がもっとよければなおよかったのに、と思えて残念。

「マレフィキウム」
松沢夏樹・全1巻・一迅社(REX)
★ ★
幼なじみで腐れ縁の男男女の3人組高校生。
ある日、知り合いの神父が魔女と言われる少女と戦い、殺されるところを目撃する。
そして、その魔女は3人がいるクラスに転校してくる。
オーソドックスなホラーで、ホラー作品が初めてとは思えないくらいしっかりホラー漫画の基礎を押さえているな、と感じた作品。
反面、どうにもこうにも画力不足で、いまひとつ恐怖が感じられない。
話の流れはいいだけに、残念。

「マリオノール・ゴーレム」
大清水さち・全1巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
ゴーレム製造法が記されるという開かない本マリオノール・ゴーレム。それを唯一読める少年のもとへ黒の王という人物がその本とそれによって作られたゴーレムを買いにやってくる。
数々の呪文と物語は何度も読み返さないとなかなか理解できない。
終わり方は何とも言えない終わり方で、評価しにくい。
中途半端とも思えるのでこの評価。

「マンガ家さんとアシスタントさんと」
ヒロユキ・全10巻・スクウェア・エニックス(ガンガン・ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
売れているのか売れていないのか微妙なセクハラ漫画家と、そのかわいい女の子アシスタントの話。
とにかく間の取り方がうまい作品で、その間で笑ってしまうこともしばしば。
キャラも個性が強くて親しみがもててよい感じ。
話に吸引力もある。
ただし、後半になるに連れてアシスタントの子よりも他のキャラにスポットが当たることが多くなり、初期の雰囲気を感じなくなったのが残念。
第一部完とはなっているものの、最後は割ときれいに終わっている。

「マンホール」
筒井哲也・全3巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★ ★
ある日、道を全裸で歩いていた男性が通行人の男に血を吐きかけて死亡した。
その体からは新種のフィラリアが発見され、そのフィラリアがじわじわと人々に感染していく。
序盤からかなり引きつけられる展開で、適度に謎解きがあり、飽きさせない作りになっている。
絵がいかにもPCで描きました、という風であるのが残念だが、それ以外は文句の付け所がない。
最後も大団円というわけではなかったが、後味のいい終わり方だった。

「未確認少年ゲドー」
岡野剛・全5巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
世界各地にいるとされる未確認生物。
自らもその未確認生物であるゲドーは、未確認生物専門の医者だった。
ゲドーはあるとき訪れた町で未確認生物を見る力を持つ少女と出会い、少女の家で生活することになる。
1話完結の話が多く、毎回それなりに楽しめる内容。
「地獄先生ぬーべー」(サ行参照)の未確認生物版という雰囲気。
対象年齢は小学校後半くらいから、とやや低め。
最後はかなりの急展開になっていたが、ジャンプ作品としては珍しく、それなりの形で完結している。
打ち切りスレスレでよくここまで描けたと思う。

「美川べるののゲーム魂」
美川べるの・全1巻・スタジオDNA(ゲームアンソロジー)
★ ★ ★
作者が手がけたゲームアンソロジーを集めた単行本。
ほとんどが格闘ゲームを題材にしていて、元ネタがわからないと話がまずわからないのがつらい。
元ネタがわかる話は作者らしさが出ていて面白いのだが。

「美川べるのの青春ばくはつ劇場」
美川べるの・全5巻・講談社(別冊フレンド)
★ ★ ★ ★
高校生が主人公の4コマ漫画。
全編に渡って作者の良さが表に出ていて、笑える話が非常に多い。
ただし、4コマであるが故に無理矢理オチを作っているところもあり、その部分で若干評価を下げた。
それでも決して買って損はしない。
終わり方はこの作者らしいな、という感じ。

「未完成サイコロトニクス」
高山しのぶ・全4巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
優秀な生徒が集まる全寮制の国立高校に入学が決まった少年。しかし、実際高校に入学してみると、優秀な上級生によって下級生が奴隷のように扱われる、下級生という問題児を集めて上級生によって人格矯正するような場所だった。
実質的に「あまつき」(ア行参照)の続編で、後半になるほど前作の登場人物が出てくる。
本来ならもっと長く続く話だったようだが、打ち切りになってしまったため、最終巻には可能な限りの謎解きが入っているものの、いろんなことに決着がつかないまま終わってしまっている。
一応更なる続編について匂わされているが、実現するかどうかは不明。

「みぎこ日本一!!」
楠桂・全1巻・集英社(りぼん)

幼なじみと絶交状態のまま5年が過ぎてしまい、少女は何とか男の子を振り向かせようとする。
楠さんにしては真っ当すぎる少女漫画でつまらなかった。同時収録作品も今一つ。
楠さんの絵はこの頃から頭がやたらと大きくなり始めていて、読んでいて違和感があった。

「みずしな孝之のミズシネマ」
みずしな孝之・全3巻・集英社(月刊ジャンプ)
★ ★
作者が月1本そのとき公開されている映画を見て、それを元に漫画を描く、という作品。
洋画が主体で、映画を見ない人にも微妙、映画を見る人にも映画ネタが少ないので微妙、という少々中途半端な作り。
むしろ、2巻の劇団員の日常を綴った話が面白い。

「Mr.Jを探して」
きたうら克巳・全1巻・集英社(りぼん)

好きな人に告白しようと決心した少女だったが、ある男の子にぶつかった拍子に誰に告白するのか忘れてしまう。
内容はそれほどよくなかった。
また、顔がやたらと丸くていつもの絵ではなく見えてしまったのも、面白くなかった原因と思われる。

「MISTER ジパング」
椎名高志・全8巻・小学館(サンデー)
★ ★
戦国時代、若き日の織田信長、豊臣秀吉、徳川家康を描いたややギャグよりの作品。
作者はこの時代のことをよく調べていて、ストーリーも悪くはない。しかし、戦国時代には似つかわしくない横文字が乱用されているのがどうしても気になる。それでいて時代用語も出て来るので、作者が何を考えて言葉を選んでいるのかがわからない。
絵は描き慣れているものの、顔が全体的に横に広いので誰でも太って見えてしまうのが残念。

「Mr.ペンペン」
室山まゆみ・全1巻・小学館(てんとう虫コミックス)
★ ★ ★
「ペンギンぱあてぃ(ハ行参照)」の前身となった作品。
時代も数年前のものに設定してある。
書き下ろしの部分、絵が最近の絵柄に近い作品は面白いが、昔のものはそれほどでもない。
よって、この評価。

「MR.morning」
高山しのぶ・全2巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★
大陸を横断する鉄道で働く人たちを描く作品。
シリアスとギャグが半々くらいの作品で、わりと肩の力を抜いて読める。
話も読み切り方のものが多く、オチが効いている作品も多いので、読み応えもある。
もっと続いてもいいように思っていたが、2巻で完結。
謎のまま残っている部分もあるが、長い読み切りのつもりで読むとあまり気にならない。

「MR.APPLICANT」
高山しのぶ・全3巻・一迅社(ゼロサムオンライン)
★ ★ ★
上記作品の続編。
前作はほぼ列車内で話が完結していたが、今作では世界観や国の情勢なども話に絡んでくる。
前作を知らなくとも読める作りだが、キャラの把握には少し戸惑うかもしれない。
なので、前作を読むこと推奨。
話は広がってきているが、面白く読める。
あまり長い話にならず完結してくれてよかった。

「ミスティックアーク」
岩佐あきらこ・全3巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
SFCソフト「ミスティックアーク」を漫画化した作品。
私はこれを読んでゲームをプレイしてみた。
ゲームはキャラが一切しゃべらなかったり、設定も漫画にしにくいように見えたが、そこを見事にカバーして上手い具合に漫画にしていて評価できる。
基本的に原作に忠実な漫画が好きだが、これは例外。
絵もゲームのキャラに近く好感が持て、安定もしているのでよい。

「水の旋律~幻沫謡~」
如月芳規・全2巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★
同名タイトルのゲームソフトを漫画化した作品。
ただし、主人公はゲームの主人公とは違っていて、ゲームでは脇役のキャラが主人公となっている。
ゲームを知らないので何ともいえないが、サイドストーリーの意味合いもあるのかもしれない。
話は可もなく不可もなく。あまりひきつけられない。
見せる力にやや乏しい感じ。
終わり方はまとまっていたので、悪くなかったが。

「水の館」
小花美穂・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
兄を捜して森に迷い込んだ少年が、そこで幽霊の少女と出会う。
同作者作品「こどものおもちゃ」の中で登場した映画を漫画化した作品で、登場人物は「こどものおもちゃ」の中の配役をそのまま使っている。
よって、「こどものおもちゃ」を知っている方がより楽しめる。
ストーリーはお決まりのハッピーエンドではないので好感が持てる。
同時収録作品は、主人公の女の子はよく描けているが、他の部分は現実感に乏しい。

「水辺物語」
三輪真雪・全5巻・マッグガーデン(ブレイド)

かつてその力で戦争を終結させた、体内に武器を隠し持つ108人の魔王。
人として平和に暮らしていた彼らだったが、あるとき突如として彼らに国から抹殺命令が出される。
水滸伝を基にした作品で、とにかく登場人物が多い。
水滸伝を知らないと、登場人物の把握だけで一苦労するのが欠点。
しかも、108人全員出てくるわけでもなく、出てきたら出てきたで瞬殺される人ばかりで後味が悪い。
結末もありきたりなもので、話を引っ張った割には大したことない、という印象。
絵は全体的に表情が硬い。

「ミタマセキュ霊ティ」
鳩胸つるん・全5巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
霊に取り憑かれやすく、背後霊が100人行列をなしている少女を幽霊から守るため、悪霊退治のプロ・セキュ霊ティの青年がやってくる。
悪霊退治のプロなのに怖がりな主人公、次第に霊と仲良くなって名前を付け始めるヒロインなど、個性豊かなキャラが楽しめる。次第に人格を持ち始める背後霊たちもいい味を出している。
終盤はネタ切れ感が強く、無理矢理話を続けている感じがしてしまったのが残念。

「道知辺」
夢路行・全1巻・スタジオDNA(クレッセント)
★ ★ ★
かついて生贄として埋められ、命を落とした少女。
その場所で畑の主となった少女と、その少女と出会った人たちの物語。
ほのぼの雰囲気の話が多く、読後感がよい作品が多い。
癒し系の作品として。

「緑のリオ」
福盛田藍子・全1巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
祖母から受け継いだ下宿を切り盛りする少年の下に、宇宙から地球侵略にやって来たリオが墜落してくる。
何だかんだでリオは少年の元で暮らすことになる。
リオの侵略目的が「地球の二酸化炭素を全て奪うこと」というのは面白いのだが、それ以外は特に個性が見えず、とりあえず全ての登場人物を紹介して終わり、という感じだった。
もう少し話が続けばよかったのかもしれない。

「翠山ポリスギャング」
甲斐谷忍・全2巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
そこだけには配属されたくないと評判の治安の悪い警察署に配属されてしまった青年だったが、そこで起こった事件で死んだはずの双子の兄と出会う。
ストーリーは不明な点が残ることなく終わっているが、ラストにはやや不満が残る。
絵はすっきりとして見やすいので好感が持てる。

「南風からから」
山本純二・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
野球部のエースである少年は、夏の地区大会へ向けて練習している最中、迷子になっていた妹の面倒をみてくれた見知らぬ少女と出会う。
次の日、少年は昨日出会った少女が自分のクラスの転校生だと知る。
「Merry Wind(下記参照)」の前身である作品だが、絵がまだ未熟で少々読みにくい。
後半の方は悪くない感じだが。
少年漫画というより、少女漫画の雰囲気がある作品。

「未来のうてな」
日渡早紀・全11巻・白泉社(花とゆめ)
★ ★ ★
ゲームが好きで、受験前なのに趣味で小説を書く創造力豊かな少年が、見学に行った高校である少女に一目惚れする。
初めのうちは恋愛だけの少女漫画のようだったが、次第にファンタジー要素が入ってきてよくなった。ただ、途中から話がずれた感じもした。
絵はきれいなので文句なし。
1つ気になるのは、登場人物の名前が珍しすぎて違和感を覚えてしまうところ。
あまり意味があるようにも思われなかった。
ラストは疑問が残るので、それはやめてほしかった。

「ミラクルで行こう!」
もりむらせん太・全1巻・一迅社(WARD)
★ ★
あやしい高額バイトに飛びついた少年。そのバイトの内容は、魔法の国のわがまま王子の世話をすることだった。
かなり作者の自己満足が見て取れる作品で、話もきっちり終わっていないし、内容も非常にオーソドックスで捻りがない。
つまらなくはないが、買って読むレベルでもなかった。

「ミリオンの○×△□(スペル)」
金田一蓮十郎・全5巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
祖父の遺品整理をしていた少年は、不思議な本を見つけ、そこから出てきた不思議な生物と知り合う。
少年はその生物からちょっとした魔法を教えてもらうが、誤ってクラスの女子を元に戻せない生き人形にしてしまう。
少年は元に戻す方法を探すため、魔法学校に入る。
かなり前置きが長い作品なので、2巻後半くらいにならないと話が本格的に動き出さない。
全体的にはやや毒のある作品になっている。
最後は打ち切りっぽい終わり方で、全体的に見ると決して悪くはないけれど、特に面白くもない仕上がりだった。

「miroirs」
白井カイウ×出水ぽすか・全1巻・集英社
★ ★ ★
「約束のネバーランド」(ヤ行参照)コンビがシャネルとコラボした短編集。
シャネルのブランドコンセプトや哲学などが根幹にあるオムニバスストーリーになっている。
シャネルのことは言われないとわからないくらいの表現に留められているが、それぞれの主人公の生き方などは面白く読める。

「魅惑のビーム」
こがわみさき・全1巻・エニックス(ステンシル)
★ ★ ★ ★
1人で演劇部をきりもりする女の子と、その演劇部に入部した男の子の話。
その他、4本の短編が収録されている。
非常に出来のいい短編集で、どの話も楽しめる。
物語の終わり方がやや中途半端に感じてしまうのが欠点だが、その他は文句の付け所がない。
絵は柔らかい雰囲気で、読んでいるだけで和める。
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マ行-1 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「マーメイドライン」
金田一連十郎・全1巻・一迅社(百合姫)
★ ★ ★ ★
女の子が好きな女の子たちの話を描いた短編集。
中でも、性同一性障害で心は女で体は男なのに女の子が好きだという「あいか」の話がよい。
全体的に話もライトなので、男女共に読みやすい作りになっている。

「マイガール」
佐原ミズ・全5巻・新潮社(コミックバンチ)
★ ★ ★ ★ ★
5年前に別れた彼女を忘れられない青年。そして、彼女は他界してしまった。
ずっと後悔を重ねていた青年は、あるとき自分と彼女との間に娘がいることを知り、引き取って育てることにする。
とにかく全編通して切ない作品で、引き込まれる。
設定はありがちだが、それを超える話の展開があって気にならない。
絵もさることながら、間の取り方がよく、思わずウルッと来る瞬間もある。
最後は雑誌の休刊に伴いやや無理矢理終わってしまい、残念。
それでも、最後まで読みごたえはある。

「マイスターダスト」
林ふみの・全1巻・エニックス(ステンシル)
★ ★ ★ ★
人の体温をエネルギー源とする人形の青年と、その人形の主人である少女の物語。
話の大筋は普通の少女漫画だが、設定が珍しいこと、キャラが立っていて一気に読めること、絵が読みやすいことなどのポイントを加算して評価を上げた。
ストーリーも1巻できれいにまとまっている。

「マイ・ロマンティック」
浦川まさる・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
不思議な話に恋愛を絡めた5話オムニバス。
どれもハッピーエンドだが、その分どの話も都合がいい。オムニバスなのだから、1話くらいはアンハッピーエンドがあってもいいと思える。
絵はいいのだが。

「MIND ASSASSIN」
かずはじめ・全5巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
第2次世界大戦中のドイツで、頭に触れるだけで記憶を消すことのできる超能力者が創り出され、その力を受け継ぐ青年が日本で開業医をしながら様々な人の記憶に関する相談を受けていく。
超能力者を扱った漫画は数多くあるが、これはアイディアがよくストーリーもいい。
ただ、異常者やレイプを扱った話が多いのは気にかかる。
絵はすっきりとしていて見やすいのでよい。

「まいんどりーむ」
藤野もやむ・全1巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★ ★
夢の世界で現実に戻ろうとしない人たちのため一緒に現実行きの扉を探す少女の話。
最初の方はありがちな話のように思えるが、最終回の出来はなかなか。最終回で作品全体の質を上げている。
絵はまだ描きなれていない雰囲気はあるが、後半はかなり見やすくなっている。
作者の年齢がまだ16ということで、将来性に大きく期待出来る。

「Mein Ritter」
片山愁・全3巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★
母親からの手紙だという読めない手紙を受け取った少年は、それを解読できそうな作家のもとを訪れる。
しかし、当の作家は想像とは全く違う異質な人物だった。
中世ヨーロッパが舞台の作品で、作者の絵柄と合っていてすんなり世界に入り込める。
話はやや王道を行く感じだが、それなりには読める。

「魔界王子」
雪広うたこ・高殿円・全15巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★
名門貴族の息子で成績優秀な非の打ちどころのない少年があるとき帰省すると、家が破産したことを知らされる。
そんな中、家の中にあった魔法陣から少年はたまたま悪魔を召喚してしまい、魔界の王を決める選帝公に選ばれる。
とにかくいろんな要素が詰め込まれた作品で、学園物・執事・貴族・悪魔などなどよりどりみどり。
あまりに詰め込まれすぎていて節操無い感じになっているのが残念。
ただ、話の本筋は72柱の悪魔の話で、設定はしっかりしている。
しかし、読者が72柱の悪魔を全て知っていることを前提に描かれている部分もあり、前述の節操無い感じも相まって、ついていくのが辛い部分もある。
全編通して主人公と悪魔たちとのやり取りを楽しむ作りなので、それが合えば読む価値はある。

「まかまか」
美川べるの・全4巻・角川書店(ヤングエース)
★ ★ ★
女子高に赴任した男性新米教師は歪んだ心を持っていたが、学校で更に個性の強い生徒たちと出会い、帰宅部の顧問となるものの生徒たちに振り回される日々を送ることになる。
全編ハイテンションのギャグ漫画で、作者が好きなら買って損はしない。
笑いは作者の作品としてはオーソドックスな方。
最後もギャグ漫画らしく終わっている。

「マギ」
大高忍・全37巻・小学館(サンデー)
★ ★ ★
中世ペルシャ風の世界を旅するアラジン。
笛の中にいる精霊・ウーゴや旅の途中で知り合ったアリババと協力しつつ、14年前から突如出現し始めたという迷宮を攻略していく。
話のテンポがいいのでサクサク読むことができる。
キャラもよく立っていて話の展開も飽きない。
作者の前作「すもももももも」(サ行参照)が好きなら買って損はない。
ただ、最終局面は話が長くなりすぎてしまったように感じた。

「マギ シンドバッドの冒険」
大寺義史・全19巻・小学館(サンデー)
★ ★ ★
上記作品のスピンオフ作品。
上記作品では既に伝説となっている迷宮の攻略者・シンドバッドの物語。
作画は原作とは違うものの、かなり画風が似ていて、読んでいて原作者本人では?、と思うくらい。
なので、読んでいて違和感は全くないし、話も面白い。
原作が好きなら読んで損はしない。
本編との関りは薄いが、これはこれで独立して読める。

「まごころ」
魔神ぐり子・全1巻・竹書房(まんがくらぶ)
★ ★ ★
売れない小説家の父、夫を尻に敷きまくる母、双子の兄妹の4人家族の日常を描いた4コマ。
作者の他の作品に比べるとやや毒が少なめだが、わりと面白く読める。
全1巻だけではもったいない感じがするのが残念。

「MOTHER KEEPER」
空廼カイリ・全10巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
EDENと呼ばれる特権階級のみが住む場所に対してテロを続ける組織がいくつも存在する世界。
そのテロ組織の1つで活動を続けていた青年は、EDENに潜り込むことに成功するが、そこで殺されてしまう。
そして、目が覚めたときには、EDENを守るマザーキーパーとして働くことを強要される。
特に可もなく不可もなく、という設定で、つまらなくはないけど普通の話、という印象が強い。
話の進むテンポがそれほど速くないので、中盤あたりは少しイライラする。
最後はきれいにまとまっている。

「まさかの魔サーガ」
すずや那智・全2巻・エニックス(ギャグ王)

かつて勇者と戦った魔王の息子だという少年が世界征服をするために立ち上がるというギャグ漫画。
終わり方が中途半端で、それまでのストーリーもそれほど面白くなく、謎も謎のまま終わっているのは大きな減点材料。
絵は完成されていて上手だが、画面に書き込みすぎていて見にくい。

「MAGICA」
住川惠・全1巻・マッグガーデン(マサムネ)
★ ★ ★
世界にいる全ての人が持っている葉。それを持たない少年の物語。
最後の展開がなかなか感動的でいいのだが、設定や話の展開が全体的にCLAMPさんの作品の影響を受けているように見えたのが残念。
パクリとまではいかないが、複数の設定が被っている。
もう少し個性があれば。
絵は不安定ながらも、読みやすかった。

「まじかる☆アンティーク」
きたうみつな・全2巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
突然海外に商品の買い付けに出かけた両親に代わって骨董屋を切り盛りすることになった青年は、謎の飛行物体の衝突によって一度死んでしまい、その飛行物体に乗っていた魔女によって命を助けられて骨董屋を経営しながら一緒に暮らすことになる。
PCゲームを漫画化した作品なので、設定にかなりの無理を感じる。
また、話の展開も「いかにも」というものが多く、ゲームのファンでなければあまりお勧めできない。
絵はゲームに近く、読みやすい。
終わりはちゃんとしていたが、中だるみが長かった感じがする。

「Magical×Miracle」
水谷悠珠・全6巻・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★ ★
魔法学校に入学した少女が、入学当日に行方不明だという大魔道士にそっくりだという理由で大魔道士の側近に連れ去られ、大魔道士の身代わりを演じることになる。
ネタとしては結構ありがちなのだが、コミックスで続けて読むと結構読める。
絵は非常にかわいいので、絵が好きなら買ってもいいかもしれない。
最後はそれなりにきれいにまとまっている。

「magico」
岩本直輝・全8巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
500年に1度、世界を支配できるだけの魔力を持って生まれる黒魔女。
魔法使いの少年は、黒魔女として生まれた少女の魔力を封印するため、世界各地をまわりながら封印の儀式・魔女結婚儀(マジコ)を行うことにする。
登場人物たちがなかなかかわいらしく、主人公とヒロインが最初から結婚することになっているので、その辺りほのぼのと読める。
中盤以降、ややバトル展開寄りになってから話の勢いが落ちたように感じられて残念。
ジャンプとしては珍しく、最後はきれいにまとまっていたのはよかった。

「魔法騎士(マジックナイト)レイアース」
CLAMP・全3巻・講談社(なかよし)
★ ★ ★
ある日東京タワーに登った3人の少女が突然異世界に召還され、お姫様を助けるために戦うことになる。
ありきたりの設定だが、CLAMPさんだけあって読ませてはくれる。
ただ、展開が急ぎ足で謎のキャラも放ったらかしのままなのは気にかかる。
さらに、ラストはある意味CLAMPさんらしいという壮絶なアンハッピーエンド。
続編がなかったら評価はもっと落ちたと思う。

「魔法騎士レイアース2」
CLAMP・全3巻・講談社(なかよし)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。
上記作品と共にアニメ化されたが、アニメとはかなり違う内容で絶対悪という存在がない。
前作で謎だった部分は全て描かれ、ラストもハッピーエンドで納得。
欲を言えば、恋愛にちゃんと決着をつけて欲しかった。

「マジック☆マスター」
阿白宗可・全11巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
天才マジシャンと呼ばれた祖父の後継者を捜すために、その孫である女性は日本にやって来た。
しかし、マジックの才能がある人に反応する不思議なカードが示した少年はマジックをやったことがなかった。
けれど、その少年にはマジックのタネを見破る力があり、次第にマジックの世界に引き込まれていく。
まずこの作品は、業界初という、今までほとんど明かされることのなかったマジックのタネをバンバン出しているところが非常によい。テレビなどでよく見かけるものの、タネのわからなかったマジックがたくさん出てくるので、読んでいて楽しい。
登場するマジックもすべて実演可能だという。
ただ、4巻以降くらいから種明しの数がガクッと減り、序盤ほどトリックに驚くことがなくなってしまったのが残念。
また、中盤のマジックVS超能力の話が無駄に長く、そこで面白さが一気に減ってしまった。
そして、最後は打ち切り。一応完結してはいるが、最後に主人公が演じるマジックが丸々掲載されていないのが残念で仕方ない。
絵の不安定さは最終巻まで続くが、最後の方は本当にマジックを演じている雰囲気が絵に表れていた。

「マジナル」
だいらくまさひこ・全1巻・スクウェアエニックス(ガンガンパワード)
★ ★ ★ ★
命ある石をエネルギー源として生活をする世界。
その世界で最も重要な石を持ち出し、追われる少女を一人の少年が助ける。
わりと珍しい設定で、長く連載が続くと思っていたのだが、全1巻で完結。
それでもわりと上手くまとまっていて、読ませてくれる。
また、トーンを一切使わない絵が物語の雰囲気を神秘的にしていてかなりの好印象。細部まで描き込まれている絵は必見。

「MAGiMAGi」
鈴木次郎・全2巻・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★ ★
魔法に憧れる少女は、ある日突然魔法の世界に行ってしまう。
しかし、そこには電気もなく、魔力が芽生えるのも80歳を超えてからで、想像を全て打ち砕かれる。
そして、少女はなんとか元いた世界に戻ろうと、その方法を探すことにする。
全体的にギャグチックで、そこそこ笑える。
全2巻で特に話を引っ張ることもなく、きれいに終わっている。
後半はそこそこ笑える作りだが、声に出して笑えるほどではない。

「魔女っ子戦隊パステリオン」
松沢夏樹・全5巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
地球侵略に来た悪の組織に立ち向かうパステリオンという少女戦隊の話。
オーソドックスな話だが、いつもパステリオンに叩きのめされるお姉さんはいい人だったり、悪の組織の方の内部事情をより掘り込んで書いてあるので、その点は評価できる。
終わり方もよく、中途半端ではなかったが、中盤の中だるみが少し気になる。

「魔女のいる教室」
大橋薫・全1巻・講談社(サスペンス&ホラー)
★ ★
転校初日に男子生徒の飛び降り自殺を目撃した女の子は、親しくなった女の子から自殺した男子生徒は同じクラスにいる魔女に殺されたのだと聞かされる。
5本の短編集だが、題名になっている話は展開がすぐに読めてしまう。
また、他の話もホラー系の話としてはもっと驚かせてくれる展開がほしかった。

「魔女の下僕と魔王のツノ」
もち・全16巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
眠り続けてしまうという自らの病気を治すための薬の材料として魔王のツノが必要だと言い残して、大魔女は眠りについた。大魔女の弟子2人は魔王のツノを取るために魔王城に向かう。
話の最終目的は大魔女を目覚めさせることなのだが、読み終わったときにそこに至るまで紆余曲折・寄り道が山ほどあったな、とまず感じた。
ただ、全ての疑問に対して謎解きがされたし、人間関係もきれいに清算されたので、読後感はよかった。
キャラ同士の掛け合いが面白く、いろんな理論はキッチリ確立されていてあやふやな感じがしなかったのもよかった。

「魔女の心臓」
matoba・全8巻・スクウェア・エニックス(ガンガンONLINE)
★ ★ ★ ★
妹に心臓を奪われ、不死の魔女となった少女は、しゃべるランタンと共に妹を探す旅を数100年続けていた。
その少女が旅の途中で出会った人々との物語。
序盤は「キノの旅」など、他作品に影響されているのでは?と感じる部分があるが、読み進めていくとこの作品の世界観にはまっていく。
決してハッピーエンドだけでは終わらない話が切なくていい感じ。
また、背景を非常に細かく描き込んでいることに好感が持てる。この系統の絵でここまで描き込んでいるのは珍しい。
最後もきっちり謎解きをして終わってくれてよかった。

「マジョリン」
よねやませつこ・全3巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
人間界で暮らす純血の魔女である少女。
彼女のもとには月に1度お見合いとして個性ありすぎる魔法使いたちが送り込まれてきた。
毎回お見合い相手を撃退していくという展開なのだが、これが不思議とワンパターンには見えず、割と面白く読むことができる。
ラブリーすぎる衣装や呪文など、笑える要素もあって楽しく読める。
もっと続いてほしかったが、最後は少々無理矢理まとめた感じになってしまい、残念。

「魔人探偵脳噛ネウロ」
松井優征・全23巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
魔界の謎を全て食べつくした魔人・ネウロ。
人間の世界に新たな謎を求めにやってきたネウロは、ある事件に巻き込まれた少女を隠れ蓑の探偵として使い、様々な謎を解いていくことにする。
基本的には推理物なのだが、推理物としてよりも、ぶっとんだキャラで楽しむ作品。
ネウロに利用されて無理矢理探偵をやらされる少女がかなりいいキャラをしている。
絵はかなり不安定で殺人現場のグロさはいまひとつ。
ジャンプの作品としては珍しくきれいに完結している。
そこは大きく評価したい。

「魔神転生」
上田信舟・全5巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
SFCソフト「魔神転生」を漫画化した作品。
ゲームを知らないと、何度も読み返さないと内容がわかりにくいのが難点。
ただ、人気があったので長期連載となり、じっくりと書き上げられて、展開が急ぎ足になったりしないところは十分評価できる。
絵は完成されているのできれいで見やすく、読みやすい。

「魔探偵ロキ」
木下さくら・全7巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
探偵事務所を営む元魔界の住人であるロキとその助手、そしてミステリーマニアの少女が依頼される事件を解決していく話。
純粋な推理ものではなく、神話も関係しているのでファンタジーに近い雰囲気がある。
不思議な力を推理に使うことはないので、そこには好感が持てる。ただし、犯人が非常に特定しやすいのが欠点。一番怪しくない人が犯人、という図式が多い。
絵はきれいで読みやすい。横顔も良い。

「魔探偵ロキ RAGNAROK」
木下さくら・全5巻・マッグガーデン(コミックブレイド)
★ ★ ★
上記作品の続編。
話は既に推理ものではなく、神界関連の話に移行している。
神界の話のところはいいが、それ以外のところは同人気質丸出しで、明らかに狙っているようなコスプレが多いのが減点。
また、話の腰を折るようにギャグが入ってくるのがとにかく痛い。しかもつまらない。シリアスな部分がいいだけに残念。
一応完結はしているが、終わり方は少々微妙。

「魔探偵ロキRAGNAROK~新世界の神々~」
木下さくら・全6巻・マッグガーデン(コミックBeat’s)
★ ★
上記作品の続編……ではあるが、話としてはRAGNAROKで完結していて、この作品は第二部を描いているような感じになっている。
前作の登場人物たちは軒並み出てくるが、前作がそれなりにまとまっているだけに無理して続編を読む必要はないと思われる。
前作が好きな人なら、まずまず楽しめるとは思うが。

「松沢夏樹短編集」
松沢夏樹・全1巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
「突撃パッパラ隊(タ行参照)」のコミックスに読みきりとして収録するには作品数が多いので、短編集になったと思われる本。
どの作品もまあまあの出来だが、特に飛び抜けた作品もない。
松沢さんが好きだったら楽しめるのではないかと思える。

「マテリアル・パズル」
土塚理弘・全20巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
村の危機を救うために伝説の魔法使いのもとを訪れた少年。
魔法使いは少年と共に旅立つが、不死の力を持つ魔法使いは様々な刺客に狙われる。
作者の前作「清村くんと杉小路くんと」(カ行参照)とはうって変わってギャグが少なくシリアスが大部分を占める。
ギャグが少ないのは寂しいが、ストーリーでも結構読ませてくれる。
絵はシリアスな話についていけるだけのものではないが、悪くはない。
ただ、絵がもっとうまければなぁ、と感じる作品ではある。

「マテリアル・パズル 彩光少年」
土塚理弘・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
上記作品の続編。
一応謎のままになると言われていた第3章を漫画化したものらしい。
前作と比べて話の進むペースは速く、それでいて番外編が数多く入っているので、前作をちゃんと読んでいないとつらいかもしれない。
また、話も中途半端に終わっているので、続編を読むのが前提にもなっている。

「マテリアル・パズル ゼロクロイツ」
吉岡公威・全9巻・スクウェア・エニックス(ガンガンONLINE)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編ではあるが、前作で伝説の時代と言われている過去の物語。
なので、ちょこちょこ知った単語は出てくるものの、話はロボットものだったりするので、ガラッと変わった雰囲気がある。
また、土塚さんが原作となって作画は別の人が描いていて、この作品だけでも読めなくはない作りになっている。
中盤で掲載誌が移動する前までは普通の出来具合だったが、異動後に当初のヒロインではなかっただろうメルパトラがヒロインとして化けてからはかなり面白くなった。
特に終盤の8・9巻の盛り上がりはかなりのものだった。

「まとちゃん」
結城心一・全1巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★ ★
虫が大好きな女の子・まとちゃん。
まとちゃんは筆箱の中に様々な虫を飼い、生活の全てが虫と結びついていた。
虫が嫌いな人にはちょっと辛いかもしれないが、読んでいて素直に面白い、と思える話が多い。
1巻で終わっているのが惜しい。

「聖女(マドンナ)殺人事件」
浦川まさる・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★
通称聖女と呼ばれる学校に通う少女が、あこがれの人を追いかけて殺人事件に巻き込まれてしまう。
主人公の気持ちに引っ張られて犯人がわかりにくかったのは評価できるが、犯人が突然自白してしまうのはどうかと思う。
また、他の収録作品は都合のいい展開が目立つありきたりの話なので評価を下げた。

「聖女はスノウホワイト」
浦川まさる・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
上記作品の続編で、主人公が新たな殺人事件に巻き込まれる。
前作と比べると、出来はよくなっている。
また、他の収録作品もなかなかよいのでこの評価にした。

「まなびや」
小島あきら・既刊1巻(立ち消え)・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
携帯カメラで気になった景色を撮ることが習慣になっていた少年は、高校で映像写真部に入部することにする。
映像写真部のメンバーたちとの日常を描いた作品で、作者らしいほのぼのした話。
「まほらば」が好きだった人にはいいかもしれない。
作者急病により連載が中断し、そのまま立ち消えてしまった。
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ハ行-4 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「ふたごザウルス」
大島永遠・全2巻・スクウェア・エニックス(ビッグガンガン)
★ ★
海沿いの新興都市に引っ越してきた小学3年生の双子の姉妹。
2人が街を散策中、よそ者を嫌う小学生グループと出会うが、いつの間にか友達になる。
明るくほのぼのとした話なので、何も考えずに読んだ方がむしろ楽しい。
絵も安定して上手い。
話としては打ち切りで、想定されていたキャラが全て出終わる前に終わってしまったようで、いろんなキャラが中途半端なままに見えたのが少し残念。

「双子の帝國」
鬼頭莫宏・既刊3巻(立ち消え)・講談社(バンチ)
★ ★
滅びた民族の生き残りである少年は、触れる者を死に至らしめる呪いを持った少女と旅をしている。2人は少女の呪いを解くため、既に死滅したとされている魔法使いを捜していた。
話としてかなり序盤で連載が立ち消えてしまったため、これから面白くなりそうなのに……という状態で放置されている感じになっている。
設定自体はそれなりに珍しくていいのだが。

「フダンシズム」
もりしげ・全7巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★
眉目秀麗・成績優秀で完璧王子と呼ばれる少年。
しかし、その少年が好きな少女は彼のことに全く興味がなかった。
そんなある日、姉の替わりに女装して同人誌即売会に参加した少年は、偶然少女と知り合い、仲良くなることに成功する。
BLや同人誌などの入門書のような作品で、ストーリー以外にも一通り用語を解説してくれたり、即売会に参加するための準備について説明してくれたりする。
ストーリーも腐女子の世界はこういう世界、というのが結構リアルに描かれていて、読み応えがある。
ある意味男性向け。
一応完結しているが、続編があるため話としては終わっていない。読むなら続編前提で。

「フダンシフル!」
もりしげ・全3巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★
上記作品の続編。
登場人物たちが高校に進学し、高校で同人ライフを送る。
続編ということもあり、基本的には前作を知っている人向け。
話の雰囲気はそのままなので、前作が好きならそのまま買い続けて問題ない。
ただ、話は意外と早く完結してしまい、少しびっくりした。
一応ハッピーエンドではあるが。

「ぶちかまし眠り姫」
楠桂・全1巻・角川書店
★ ★ ★
母親に夜逃げされ、男のみの家庭生活を送っていた少年が初めて恋をしたのは、極端に寝相の悪い女の子だった。
これは寝相が悪いのではなく夢遊病レベルなのだが、極端な設定にしている分、それはそれとして楽しめる。
少女漫画にしてはなかなか面白い設定だった。

「ぷちはうんど」
ねこねこ・マッグガーデン(マサムネ)
★ ★ ★
魔物を退治するハンターを養成する学校に入学した少年は、ひょんなことから2人の少女に家に居座られ、命を狙われることになる。
設定が非常にオーソドックスなため、序盤は個性皆無。
しかし、8巻以降くらいから謎解きが始まるとグッと面白くなる。
面白くなるまでが非常に長いので、そこを乗り越えるまでがきつい。
絵は読みやすい。

「プチプチ」
臣士れい・全3巻・エニックス(ガンガンWING)

師匠に守護精霊を集めてくるよう言われた少年が、守護精霊を集めながら旅をする物語。
守護精霊や登場キャラなど、性格からデザインからとにかく狙った感じがする。
絵は安定しているが、背景の書き込みがほとんどないのが気になる。
終わり方はハッピーエンドだったが、都合が良すぎる感じがした。

「ぶっしのぶっしん鎌倉半分仏師録」
鎌谷悠希・既刊5巻(立ち消え)・スクウェア・エニックス(ガンガンONLINE)」
★ ★ ★
鎌倉時代、仏師だった少年は事故で半身を失ってしまうが、失われた部分を仏像で補うことで生き延びる。
人でありながら半分仏となった少年は、仏像を造りつつ都などで起こる異変に対応していく。
時代設定から人物設定まで、漫画のジャンルとしてこれまでにあまりなかったものを多く取り入れているところは素晴らしい。
ただ、話半ばで連載が立ち消えてしまい、話として何も解決していないのが辛い。
絵は上手いので読みやすい。

「仏ゾーン」
武井宏之・全3巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
弥勒菩薩の生まれ変わりだという少女に悟りを開かせるために、千手観音の少年が少女をインドまで連れていこうとする。
まあまあ面白いのだが、バトルシーンがあまりよくなく、ストーリーが進んでいるときの方が面白く読むことが出来た。
ラストは今一つ。絵は和月伸宏さんのアシスタントをしていたということもあって、何となく似ているが、上手だというわけではない。

「ふつつかな悪女ではございますが~雛宮蝶鼠とりかえ伝~」
尾羊英・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
古代中国に似た王宮で、病弱だが皇帝に愛されている少女・玲林と、健康だが宮中のドブネズミと言われている少女・彗月の体と心が入替ってしまう。宮中で最も嫌われている少女の体になってしまった玲林だったが、それを嘆くこともなく、健康な体を手に入れたことを喜び、畑仕事に精を出すことにする。
とにかく主人公・玲林のポジティブシンキングが楽しい作品。
苦境を苦境と思わず、可能な限り努力し続ける姿もいい。
絵も上手いし、話はテンポよく進むので、サクサク読める。

「舞勇伝キタキタ」
衛藤ヒロユキ・全7巻・スクウェア・エニックス(ガンガンONLINE)
★ ★ ★
勇者たちの大魔王封印からしばらく。キタキタおやじはキタキタ踊りの後継者を探す旅を続けていた。
魔法陣グルグルからのキタキタおやじスピンオフ作品。
基本的に世界観はつながっているものの、前作の登場人物はキタキタおやじくらい。
本当にキタキタおやじが好きだった人のための作品、といったところ。
ただ、出来具合はなかなか良く、グルグル以外の作品で作者の作品が楽しめなかった人にも勧めたい。
話としてはちょっと長い感じもしたが、きれいに完結している。

「FUTURE」
渡千絵・全1巻・講談社(サスペンス&ホラー)
★ ★ ★
人の死を予知してしまう少女が、その力に悩みながら友人の力を借りて人の運命を変えようとしていく。
タイトルになっている話はありがちな展開であまりよくないのだが、もう1つ収録されている作品の出来がよい。
ラストはあまり納得できないものの、伏線の張り方がうまく、謎解きの部分は感心してしまった。

「BROTHER」
峰倉かずや・全1巻・ラポート(コミックゲンキ)
★ ★ ★ ★
保父さんの兄と、喧嘩がめっぽう強く、口は悪いが兄思いの弟の、2人兄弟の話。
作者の初期作品なので最初の方の絵は頭と体のバランスが悪い絵が目立つ。
しかし、描き下ろし作品がかなり良い出来なのでこの評価。
全体的に質の高い話が集まっている。

「BROTHERS」
成瀬芳貴・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★
兄弟のみがエクソシストになれる世界。
ある幼い兄弟はエクソシストになるために、エクソシストを養成する学校に入学するために田舎を出る。
兄弟のみがエクソシストになれる、という設定自体は面白いのだが、それ以外は割と普通。
最後はかなりいい盛り上がりを見せたものの、打ち切り仕様で終了。もう少し読んでみたかった。
また、キャラの名前のほとんどが歴史上の人物名なので、気になる人は気になってしまうかもしれない。

「+C」
遊行寺たま・全8巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
妾の子ということで王位継承権を持ちながら肩身の狭い思いをしていた少年。
その少年を唯一認めてくれていた王太子の兄が、ある日暗殺されてしまう。
その犯人を知ってしまった少年は城を抜け出す。
序盤からいろいろと伏線が張られていて、様々な思惑が入り乱れている感じが何とも言えず引きつけられる部分。
話としてはそれなりのまとまりを見せて終わったものの、終盤はかなり終わりを急いだ感じがするのが残念。
中盤が少し長すぎた感じもした。

「+C APPENDix」
遊行寺たま・全1巻・一迅社(ゼロサムオンライン)
★ ★ ★
上記作品の番外編の短編集。
本編では詳しく触れられなかった国が誕生した頃の話やエピローグなどが収録されており、本編を補完する形になっている。
特に国が誕生した頃の話は読み応えがあるので、本編が好きな人は確実に押さえておきたい作品。

「プラスティック:ベイビイズ」
美川べるの・全2巻・光文社(アンソロジーより)
★ ★ ★
PSソフトのペルソナシリーズアンソロジーで作者が執筆したものを集めたコミックス。
元ネタを知らないとわからない部分は多いが、知っていると結構笑えて楽しい。
作者らしさはよく出ている。

「プラチナエンド」
小畑健・全14巻・集英社(ジャンプスクエア)
★ ★ ★
神の代替わりが近付き、13人の天使がそれぞれ1人ずつ人間の中から神候補を選んで、最後の1人になるまで争わせることになる。神候補たちはお互いに協力したり敵対したりしながら、次第に数を減らしていく。
「DEATH NOTE」(タ行参照)コンビによる作品で、神候補が持つアイテムの制約などは「DEATH NOTE」に通じるものがあるな、と感じる。
神候補同士の戦いではいろいろな駆け引きが行われるので、それを楽しむ感じ。
主人公が中盤くらいまでかなりウジウジした性格をしているので、そこは読んでいてちょっとイライラする。
話としてはきれいに終わったが、ハッピーエンドではないので、終わり方は人を選ぶ。

「BLACK CAT」
矢吹健太郎・全20巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
かつて闇の世界に君臨した伝説の暗殺者と呼ばれた青年は、2年前に組織を裏切り、賞金首をつかまえる掃除人となって生活していた。しかし、彼を見つけた組織とかつての相棒は、彼を取り戻そうと彼のもとに次々と刺客を送り込んでいた。
ストーリーは決して悪くはないのだが、別作品のエピソードをつぎはぎした様に思える箇所が多数見受けられる。
キャラの能力に関しても同様で、それと気付いてしまうとかなりきつい。
話がきれいに完結していることだけが救いか。

「ブラックジャックによろしく」
佐藤秀峰・全13巻・講談社(モーニング)
★ ★ ★ ★
一流の私立医大を卒業して研修医となった青年。
青年はそこで様々な医療業界の裏事情を知るが、それでも患者を助ける医者になろうと努力する。
読んでみると、まず医療業界の有り様を知ることになる作品。
今までのTVや漫画では描かれなかった内容なので、それだけでも読む価値はある。
主人公の性格が普通の主人公過ぎる、という点で評価を下げたが、見る人が見れば、それだからこそいい、ということになるかもしれない。
買って損はしない。
話はここで完結していないので、続編「新ブラックジャックによろしく」を読むこと必須。

「フラッシュ!奇面組」
新沢基栄・全3巻(立ち消え)・エニックス(ガンガン)

かつてジャンプで連載され、アニメ化もされた奇面組シリーズのリメイク作品。
ジャンプ連載版は現在読んでも割と面白いのだが、こちらは全く面白いと思えなかった。
ギャグが全体的に古臭く、コマ割も小さくて読みにくい。
作者体調不良のため、連載が立ち消えになってしまった。

「ブラッディ・クロス」
米山シヲ・全12巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
天使とヴァンパイアの混血・月宮と日向。お互いその体に刻まれた呪いを解くために純魔族を追っていた。
月宮と日向がお互いに協力しつつ騙しあいをしたり、呪いを解くことが最終目的ではなく話が二転三転するところが面白い。
ただ、終盤は行き当たりバッタリの展開が目立ち、謎解きも含めて終わり方は絶対に後付けだろうな、と思える展開で残念だった。

「flat」
青桐ナツ・全8巻・マッグガーデン(アヴァルス)
★ ★ ★
マイペースな高校生・平介はある日いとこの保育園児・秋を預かることになる。
子供らしくなく落ち着いている秋と平介の穏やかな日常が始まる。
秋のかわいらしさとまったりとした日常がなかなか心地よい作品。
絵は決して上手いわけではないが、穏やかないい感じの柔らかい雰囲気が出ている。
ほのぼのしていて読んでいると癒される。
最後までこの雰囲気は続いていてよかった。

「ブラトデア」
速水時貞・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
「アラクニド」(ア行参照)の続編で、前作終了直前の別主人公の視点で話が始まる。
作画は前作から変更されて「キャタピラー」「蝶撫の忍」と同じ人が行っている。
前作の主人公も登場するが、新しくゴキブリの能力を持った少女も主人公扱いで登場するので、ダブル主人公という感じ。
前作から引き続き登場するキャラも数多くいるので、前作を知っていないとわかりにくい部分もある。

「プラトニックチェーン」
遠野ヤマ・全5巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
世界中のカメラが捉えた映像を集めたコンピュータのハッキングに成功した人物が開設するWebサイト「プラトニックチェーン」。
とある高校に通う3人の女生徒たちが、プラトニックチェーンを使いながら様々な都市伝説の謎を解明して
いく。
七不思議やオムニバス形式の話が好きな人にお勧めで、ちょっと先の未来ではこういったことが本当にありそう、と思えるところで共感できる。
ただ、回が進むに連れて話を引っ張っている感じが強くなり、尻すぼみになっていった印象。もう少し短くまとめていてくれたら、名作になっていた可能性もあり、残念。
絵はまだまだ粗いが、読みにくくはない。

「プラトニックチェーン Selection Stories」
作者多数・全1巻・スクウェア・エニックス(書き下ろし)
★ ★ ★ ★
上記作品のアンソロジー。
作画の作家さんたちがオリジナルで考えた話ではなく、原作があるアンソロジーなので、作品の質は平均している。
1話完結の話で、上記作品同様オムニバス形式の話が好きな人にお勧め。
なお、イラストしか寄せていない作家さんもいるので、作家さんで買うなら裏表紙は要チェック。

「プラナスガール」
松本トモキ・全6巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
高校の合格発表で運命的な出会いをした槙と絆。
絆に一目惚れした槙だったが、絆は実は女にしか見えない男だった。
普通に読むとただのラブコメなのだが、女の子が男だと考えると、それだけで割と面白く読めてしまうのが不思議。
女装男子ものが好きな人にお勧め。
終盤はそろそろネタ切れかな……という雰囲気になり、少し尻すぼみな感じで終わったのが残念。

「プラネットガーディアン」
高坂りと・全4巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
脱走した宇宙犯罪者を捕まえる魔女っ子としての使命を授かった少女。
しかし、使命を授かってから5年、少女は恥ずかしがって魔女っ子として戦うことを毛嫌いしていた。
序盤はよくある魔女っ子の話に見えたが、回を重ねるごとにいい具合に壊れてきている。
終わりの方はなかなかの壊れっぷりで、ワンパターンに陥る前に程よい長さで終わった。
絵はすっきりとしていて読みやすい。

「BLANC Project」
小杉繭・全2巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
突然発売中止になった謎のゲームソフト。
その体験版のダウンロードに成功した少年がゲームを起動させると、その中から不思議な少女が現れる。
序盤は「電影少女(ハ行参照)」と似た設定のせいで好意的に見られなかったのだが、中盤以降1話のページ数が増えてから面白くなってきた。
終わり方もまずまず満足できるもので、きれいに完結している。
絵柄はすっきりとしていて読みやすい。

「フランケンシュタインズ・プリンセス」
たつねこ・全4巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
魔法と科学との合成で作られた人形の少女が、ある街で捜していた主人を見つけ、そこで暮らすことになる。
たつねこさんは同人誌界でかなり有名だった人らしいのだが、この本が初コミックス。
絵柄は高河ゆんさんとよく似ており、同じ絵を描いたらほとんど区別が付かなかった。
ストーリーは中盤のほのぼのした感じのものが長く、中だるみな感じがするが、それ以降の話はすごく良い。
終わり方も満足のいくものだった。

「BLANの食卓」
葉月翼・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)

罪人の魂を食べる邪竜ブランとその下僕になった少年。
少年が様々な事件を解決し、ブランはその犯人の魂を食べていた。
推理ものというのもおこがましいほど、小学生でもわかるトリックを使った殺人が連発。設定もネウロと似ていてどうかと思う。
また、途中からエセ推理ものからギャグ漫画へと変化。
巨大すごろくやオセロで戦って、最後は無理矢理タイトルと中身を結びつけて打ち切り、と酷い内容だった。
絵もトーンがうるさくて非常に読みにくい。

「フリージア」
佐藤真樹・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
借金のせいで家族がバラバラになり、親戚の家に引き取られた少女だったが、生活が苦しいために親戚の家族にはつらく当たられてしまう。
結構感動できる話。
しかし、同時収録の作品は別の単行本に収録されている話の続編で、それが2つもあるのはよくない。
絵は安定していて見やすくてよい。

「BLEACH」
久保帯人・全74巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
幼い頃から幽霊を見ることができた少年は、偶然出会った死神の少女から力を貸し与えられ、死神代行として人に害をなす霊・虚を倒すことになる。
話は大きく分けて三部構成となっており、敵対勢力と戦うバトル要素が強い。
長期連載化したことで非常に登場人物が多いが、きちんと個性がついていて全て描き分けられているのは素晴らしい。セリフや戦い方もスタイリッシュで引き込まれる。
ただ、思わせぶりなセリフもまた多く、伏線を張るだけ張って回収されていなかったり、謎解きがなされないままの設定も多かった。
雰囲気で読む感じ。

「自由人(フリーマン)HERO」
柴田亜美・全12巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
7つの種族が共に生活する世界での、人間界のNo.1を父に持つ少年の物語。
最初の頃は柴田さんらしいギャグ漫画だったが、途中からシリアスなストーリーへと変化した。
ギャグも面白く、ストーリーも都合のいい展開が少ないのでよいのだが、やはり登場人物が多く、顔が似ているので人物の見分けが大変。
ラストはハッピーエンドでよいのだが、最初の設定がほぼ忘れ去られていたのが残念。

「ブリザードアクセル」
鈴木央・全11巻・小学館(サンデー)
★ ★ ★ ★
兄弟たちの出来があまりにもいいため、親にあまり相手にしてもらえない少年。
その少年がフィギュアスケートと出合い、ジャンプ力という自分の才能に気付く。
全くの素人からスポーツを始める、というのは著者の「ライジングインパクト」と似たような感じ。話の雰囲気もよく似ている。
この作品の本番は4巻くらいから始まるフィギュアの大会以降。
細かい点数のつけ方、曲の意味、パフォーマンスの意味などフィギュアの世界がよく見えてくる。
スケートの表現力もかなりのもので、のめりこめる。

「プリティフェイス」
叶恭弘・全6巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
バスの事故で1年間意識不明となってしまった少年。
その少年が目覚めたとき、顔は好きだった女の子に整形されており、その女の子の家を訪れると、少年は行方不明の女の子の双子の姉と勘違いされてしまう。
行く当てのなかった少年は女の子の家で姉として同居することとなる。
作者がこの作品の設定を細かく考えていなかったようで、話の進展はほとんどなく、だいたい学校でのドタバタや正体がバレそうでバレない、といった展開が繰り返される。
終わり方は悪くはなかったが、予想の範囲内。
絵はすっきりとしていて読みやすい。

「PRINCESS☆BRIDE☆STORY」
藤野もやむ・全1巻・マッグガーデン(マサムネ)
★ ★ ★
動物の拾い癖がある少女が、あるとき人に害をなすと言われている動物を拾ってしまう。少女はその動物を守るため、家出して逃げることにする。
「ナイトメア☆チルドレン」(ナ行参照)の番外編なので、まずは前作を知っていることが前提。
時代的には前作が始まる直前くらい。
前作を知っているとなかなか楽しめる内容で、終わり方もすっきりしていてよい感じ。

「Princess Lucia」
瀬尾公治・全5巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
平成6年6月6日6時6分6秒に生まれた少年。
その少年と交われば強大な力を持つ子供が産めるから、と少年に迫る悪魔・ルシアが現れる。
全編にわたりエロ満載。年がら年中服を脱いたり、海に行けば水着だけ溶けたり。
ストーリーよりもむしろそちらがメインのようになっている。
作者の絵が好きなら買っていいかもしれない。
最後はそれなりにキリがついて終わっていた。

「PLUTO」
浦沢直樹・全8巻・小学館(ビッグコミックオリジナル)
★ ★ ★ ★ ★
鉄腕アトムのエピソードの1つ「地上最大のロボット」をリメイクした作品。
人々に貢献した有名なロボットが次々と殺されていき、自らもロボットである刑事が事件の謎を探っていく。
原作が「鉄腕アトム」だとは思えないくらい、作者が上手くリメイクしている。
小さな謎から核心に迫っていく様子はすごく引き込まれる。
「MONSTER」(マ行参照)などが好きな人なら是非。

「FLUTEMAN」
五森架里・全1巻・エニックス(ステンシル)
★ ★
パワーストーンを売りながら各地を旅する青年の物語。
力の象徴としてパワーストーンを使っている設定が珍しくてよいのだが、それ以外はほぼ完全な勧善懲悪でひねりがなかったのが残念。
絵は全体的に不安定だが、わりと読みやすい。

「Bloom」
川添真理子・全1巻・ラポート
★ ★ ★
神の子と呼ばれ、幼い頃は大きな力を持っていた少女。しかし、年を取るごとに力をなくし、神殿にいる必要がないと感じた少女は母親に会うために神殿を抜けだし、1人の少年と出会う。
序盤はなかなか珍しい設定だと思えたものの、中盤から普通の話になってしまっていたのが残念。おしい。
その他4本の短編が収録されている。
それなりに楽しめる作品が多いので、作者のファンなら買って損はしない。
作者の初期短編集なので絵には不安定なところがあるが、読みにくくはない。

「無頼男-ブレーメン-」
梅沢春人・全9巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
都会で成り上がるために家出をした少年は、ある店で偶然出会った少年と一緒にロックの世界で成り上がることを決意する。
作者の前作「BOY」の設定と似たり寄ったりの部分はあるが、今作は主人公の目的意識がはっきりしている分、全体的なストーリーを楽しむことが出来る。
ある意味少年漫画らしい主人公の超人的な強さも、ある程度の現実感をもって見られる。
しかし、読み始めた当初はよかったのだが、中盤以降レイプネタが頻発し、引いてしまった。
終わり方も急ぎ足で、ハッピーエンドだったものの不満も残った。

「Break Free」
樋口大輔・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
スポーツ万能で助っ人稼業専門の少年は、ある日弱小サッカー部から助っ人の依頼を受ける。
最初は断った少年だったが、熱意に負けて助っ人を引き受け、次第にサッカーにはまっていく。
作者の初期作品を集めた短編集だが、初期から絵がきれいなのでとても読みやすい。
ストーリーは短編なので都合のいい展開も多いが、楽しめる作品も多い。

「Bless The Blood」
CHIHIRO・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★
定期的に血を吸わせないと持ち主を喰ってしまう呪いの剣。
その持ち主である少年がせめて人のためになることをしよう、と世界を旅する。
読んでいると人殺しやスリを「生活のためならしてもいい」と感じてしまう部分があり、倫理的にあまり受け入れられない。
登場人物の心理描写もなんとなく薄っぺらい感じがして、特にどこがいい、という部分がない。
ただ、最終巻でいい個性を発揮したキャラが出てきたのはよかった。それだけで主人公を食っていた印象。
アクションシーンはわりといいが、全体的に絵が粗く、読みにくい。

「BRONZE」
尾崎南・全13巻・集英社(マーガレット)
★ ★
「絶愛(サ行参照)」の続編。
中盤は割と都合のいい展開が続いて微妙な気持ちになり、終盤はこれでもかというほど悲惨な展開になってガックリ来る。
ストーリーは行き当たりばったりで、最後も微妙な終わり方。
作者の自己満足だけで終わったようにも見えた。

「FRONT MISSION~THE DRIVE~」
studio SEED・全1巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★
新兵として前線に配置された青年は、敵の前に敗北寸前にまで追い込まれる。
しかし、そこをある部隊に助けられ、青年はその部隊で戦うことになる。
原作はゲームだが、ゲームとの共通点はあまりないように感じる。
仮想の戦争物語だが、泥臭い描写も結構あって、それなりのリアリティを持って読める。
話も1巻でわりときれいにまとまっており、読んで損はない。

「FRONT MISSION DOG LIFE&DOG STYLE」
C.H.LINE・全10巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★ ★
地下資源が豊富なため、領土の取り合いで緊張の続くハフマン島。
そこにテレビ局の現地特派員として青年が派遣されたそのとき、戦争が始まる。
架空の島・ハフマン島での戦争を様々な人の視点で描く話で、上記作品との共通点やゲームとの関連性は薄い。ただ、人型ロボットを使って戦う、というのがわかっていれば話は理解できる。
グロテスクなところをしっかり描いているので、説得力があり、話に入り込める。
全7エピソードのオムニバス作品だったが、ハッピーエンドは少なく、最後もキリのいい終わりとは言えなかった。しかし、それもこの作品なら、と許せる。
もう少し連載が続いてほしかったことだけが残念。

「”文学少女”と死にたがりの道化」
高坂りと・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
本をちぎって食べてしまう女の子と、元美少女小説家と言われていた男の子のもとに様々な事件が舞い込む。
原作小説を知らなくても読める作りで、1巻後半から一気に面白くなる作品。
絵の雰囲気も儚い感じで、小説の挿絵に近いものがあるので、原作ファンも気にならないレベルだと思われる。
話は「死にたがりの道化」としてはきれいに完結しているが、シリーズ通しての謎解きはない。
続編もあるので、読むなら続編前提で。

「”文学少女”と飢え渇く幽霊」
高坂りと・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。
前作が気に入っていれば間違いなく買って損はしない作品。
絵も話も安定しているので、安心して読める。
ただし、原作はこれ以降も話が続いているが、漫画版はここで終わりのようで、未解決な謎が残されたままなのが残念。

「分心」
大橋薫・全1巻・ぶんか社(ホラーM)
★ ★ ★
幼い頃に姉に言われたように「常に笑って生きる」ことを決めたものの、友人からは都合のいい人扱いされていた少女が、自分の生き方に疑問を持ち始める。
その他6本の短編が収録されている。
ホラーコミックスらしくあまり救いがある終わり方をしていないものもあるが、それだからこそいいという作品もある。
2本目に収録されている「ぶれ」はお勧め。
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ナ行 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「ナイトメア・アリス」
小野寺明・全1巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
人々に悪夢と死をもたらすナイトメア・アリス。
そのアリスと戦う少女の物語。
きれいに1巻でまとまっている話で、1巻の中に起承転結がしっかりとあり、山場や謎解きも用意されている。
話をすごく作り慣れている印象で、絵も安定していて読みやすい。
反面、きれいにまとまりすぎている印象も。

「ナイトメア★チルドレン」
藤野もやむ・全5巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★ ★ ★
意識のなくなってしまった姉を助けてもらうため、少女は「なんでも屋」をしているという青年を訪ねた。姉を助けてもらう約束はしてもらえなかったが、帰る場所がないと言った少女はしばらく青年の家で暮らすことになる。
かなり重いテーマを扱っている作品で、17歳でよくここまで描けるものだな、と感心してしまう。残酷なシーンも無駄にあるわけではなく、後々必要だからこそ描いている、という感じが出ているのがいい。
また、全5巻の中で無駄な回は1回もなく、最後も綺麗にまとまっていた。
将来性も含めて最高評価した。
絵はペン慣れしていないところもあるようで、線がまだ安定していない。

「ナイトウォーカー!」
東まゆみ・全1巻・エニックス(ガンガンWING&ギャグ王)
★ ★ ★
人間の精気を吸い取る夢魔とそれに狙われた男の子の話。
その他、短編が2本収録されている。
作者の初期短編集なので絵は成長段階を見ているようだが、ストーリーはわりと面白い。
他のコミックスとは作風が違うので、作者のファンなら買ってもいいと思える。

「ながされて藍蘭島」
藤代健・エニックス(ガンガン)
★ ★
家出少年が船の遭難に巻き込まれ、流れ着いた場所は女しかいない島・藍蘭島だった。
いわゆるハーレムものの典型ではあるが、全体的にキャラがそこそこ立っていることもあって、この手のジャンルが嫌いではあっても、わりと読める。
ただ、毎巻新キャラが登場するなどとにかくキャラが増え過ぎている上に本編が全く進まないので、10巻以降くらいからは読むのが辛くなってくる。
絵は萌え路線とは少々遠いが、作者がゲームのキャラデザをやっていたこともあり、CGは上手い。

「中村工房」
中村光・全3巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
毎回主役の入れ替わるギャグ漫画。
笑える話とそうでない話の差が大きいのでこの評価。
ギャグ漫画にしてはコマ割が大きいので読みやすい。
絵はまだまだ未熟で、女の子が女の子に見えない、というのはあるが、読みにくくはない。
程よい長さで終わってよかった。

「なかよし公園」
ねじまき我人・全3巻・マッグガーデン(アヴァルス)
★ ★ ★ ★
捨て猫のクロとシロ、そして動物の言葉がわかる獣医師の青年たちの日常を描いた話。
基本は4コマなのだが、話がわりと切ないものが多く、ジーンとくるものが結構ある。
絵もかわいらしくて親しみがもてる。
刊行ペースは遅かったが、無事完結してよかった。

「亡き少女の為のパヴァーヌ」
こげとんぼ*・全7巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★
明治末期、東京の音楽学校に通うため上京してきた少女は、憧れの少年と再会を果たす。
しかし、その少年には大きな秘密があった。
基本的にはそこまで珍しい設定の話ではないのだが、引きつける力がつなり強い話で、読んでいるうちにグイグイ引っ張られてしまう。
ちょっと絵に抵抗が出る人もいるかとは思うが、そこを乗り越えてほしい。
話は第一部完で止まっており、続編は連載されていない。
話として一旦区切りはついているが、謎のままの部分も多い。

「なきむしステップ」
カザマアヤミ・全2巻・芳文社(きららフォワード)
★ ★ ★
引っ込み思案で泣き虫の少女は、隣の席の男の子と偶然仲良くなれる。
ペットに励まされながら、少女はなんとか打ち解けようと努力していく。
基本的に「ちょこっとヒメ」(タ行参照)と同じと思えばいい。擬人化された動物がウサギだということと人間キャラが違うだけ。
「ちょこっとヒメ」が好きな人なら確実に楽しめる。
ネタが二番煎じなのが残念。
終わり方は割ときれいだったが、途中から動物がほぼ無視された展開になっていたのは残念。

「嘆きのサイレン」
鈴木理華・全3巻・中央公論新社(書き下ろし)
★ ★ ★ ★
同名タイトルの小説を漫画化した作品。
原作の挿絵を描いている作家さんが描いていることもあり、原作を知っていると非常に楽しく読むことができる。
しかし、そこまで楽しく読むことができるようになるためには、デルフィニア戦記、スカーレット・ウィザード、暁の天使たちと新書版30冊近い原作を知らないとまず無理。
加えて、本書の原作も一通り読んでおかないと状況がわかりにくい。
楽しめる条件を満たしている人になら、お勧め。
最後にサイレンが振り向くシーンは必見。
外伝の短編もなかなかよかった。

「夏のあらし!」
小林尽・全8巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★ ★
とある田舎町の喫茶店に入った少年は、そこで現実離れした古風な少女と出会う。
その少女は、過去から来た少女で、過去へ飛ぶ力を持っていた。
つかみはそれほどよくなかったのだが、読み進める度に良さがわかってくる作品。
作者の経験がものを言っているのかな、と感じる。
話に安定感があって読みやすく、絵も完成しているので隙がない感じ。
中盤はややだれるものの、最終章の横浜大空襲での話はかなり引き込まれるものとなっている。
終わり方もよかった。

「七つの大罪」
鈴木央・全41巻・講談社(マガジン)
★ ★ ★
かつて王国転覆を企てたとされ、未だ捕えられていない7人の大罪人たち。
その大罪人を探す少女が現れ、少女が大罪人の1人と出会い、旅が始まる。
アーサー王の伝説をベースにした話となっており、作者が他作品でもいろいろとモチーフにしてきた設定がストレートに表れたような話となっている。
話は大きく3部に分かれており、戦闘力を数値化してくる辺りからちょっと吸引力が落ちてくる。
最後がきれいに終わっていたのは救いだった。
作者のファンタジーものが好きなら読んで損はしない。

「なにかもちがってますか」
鬼頭莫宏・全5巻・講談社(good!アフタヌーン)
★ ★ ★ ★
平凡な日常を送っていた少年は、1人の転校生と出会ったことで「物と物を入れ替える」という超能力に目覚める。
しかし、不安定な力のせいで、同級生を1人殺してしまい、罪悪感に苛まれることになる。
雰囲気は「ぼくらの」(ハ行参照)に近く、読んでいるといろいろと心が痛くなる。
しかし、話の吸引力はかなりのもので、続きが気になるいい作品。
「ぼくらの」が好きなら買って損はしない。

「隠(なばり)の王」
鎌谷悠希・全14巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
万有の頂点に立つと言われている秘術をその体の中に封じられた少年。
その少年をめぐって各地の忍たちが少年の奪い合いを始める。
しかし、少年は全てに無関心のままであった。
忍者を題材にした作品ではあるが、「NARUTO(下記参照)」とは全く別の世界観を持っている。
内容はシリアスあり、ギャグありでテンポよく楽しめる。
絵は安定していて戦闘シーンにも迫力があってよい。
中盤~終盤でやや中だるみの部分があるが、最後の謎解きはかなり引き込まれた。
終わり方もハッピーエンドで納得。

「なめこ文学全集 なめこでわかる名作文学」
小鳩まり・全6巻・幻冬舎(スピカ)
★ ★ ★
名作文学の登場人物を全てなめこに置き換えて漫画化した作品。
思っていた以上に原作に忠実に漫画化されており、文学作品のあらすじを知るにはいい作品。
原作についても紹介されているので、文学作品のとっかかりとしてもいい。
なめこが好きなら更に楽しめる。

「NARUTO」
岸本斉史・全72巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
体に九尾の妖狐の魂を封印された忍者・ナルトが最強の忍者を目指す話。
主人公・ナルトの性格は最初好きになれなかったが、次第に成長していく姿を見て好きになってきた。
戦いのシーンは忍者の戦いらしく、読んでいて裏をかかれることが多いので楽しい。
構図のいい場面が多く、戦闘シーンの迫力は出ている。
終盤は話がかなり入り組んでくるので少々わかりにくくなるが、最終的にはきれいに完結した。

「南国少年パプワくん」
柴田亜美・全7巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
幼い頃引き離された弟に会うために、一族の宝「秘石」を盗み出した青年だったが、追手により船を撃沈され、不思議な島「パプワ島」に流れ着く。
前半はほとんどがギャグ漫画で、後半はギャグをふんだんに取り入れたシリアスストーリー。
ギャグは面白く、ストーリーも伏線がしっかりしていていい。
絵に関して、1巻と7巻とではどのキャラの顔も明らかに違っているので、読み返すときに少し驚く。
1つ難点を挙げるとすると、後半のシリアスストーリーになってから、一気に男性キャラが増えて、何度も読み返さないとストーリーの把握ができにくくなってしまう、というのがある。

「南国動物楽園綺談」
斎藤カズサ・全3巻・エニックス(ステンシル)
★ ★ ★
九州に転校してきた少女が、都会との違いに戸惑いながら、友人を通じて動物たちと触れ合っていく話。
動物がたくさん出てくるので、動物好きな人に勧められる。
ストーリーは気楽に読めるものだが、全体的に解説部分が多いく、やや読み難い。
絵は完成されていてきれいで、動物も可愛い。
終わったのか終わっていないのか、よくわからないところで最終回になっていることが惜しまれる。

「なんて素敵にジャパネスク」
山内直美・全11巻・白泉社(花とゆめ)
★ ★ ★
平安時代の大貴族の娘であるにもかかわらず、とんでもなくおてんばで常識破りの少女が色々な事件に巻き込まれる。
原作が氷室冴子さんということもあり、伏線などしっかりしている。
原作は平安時代であるにもかかわらず横文字がバンバン出てきて違和感を覚えたが、漫画はその辺りをかなりマイルドにしているので読みやすい。
絵は後半安定してくる。

「なんて素敵にジャパネスク 人妻編」
山内直美・全11巻・白泉社(花とゆめ)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。
上記作品との間に大きなブランクがあるため、絵は退化している。
話の雰囲気は同じだが、前作を知っていることが前提で、前作の話をストーリーの中で語ってはいるが、それが説明的で読みにくい。
前作が好きなら買っても大丈夫ではあるが。
中盤以降は画力も戻り、原作の力もあって、面白く読めた。

「新山たかし短編集」
新山たかし・全1巻・エニックス(ギャグ王)
★ ★
新山さんの初期の頃からの短編を集めたもの。
全体を通して、どれもストーリーは可もなく不可もなく。読めないものではないという程度。
初期作品も含めて絵柄は描き慣れてはいるが、どれにも共通してコマ割りが小さく、セリフが多いので読みにくい。途中で飽きてしまう人もいるのではないかと思える。

「逃げ上手の若君」
松井優征・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
足利高氏の裏切りによって鎌倉幕府は滅ぼされ、北条氏は関東での支配権を失ってしまう。北条氏の最後の当主である時行は諏訪地方の神社の力を借りて再起を目指す。
北条時行の生涯を描いた作品で、史実をベースにした話になっている。
時行が最終的にどうなってしまうのかがわかっていても読みたくなる力があり、主人公を取り巻くキャラも個性的でよい。
当時の武士とはどんな感じだったのか、というのもわかるので、解説を読むのも楽しい。

「ニコイチ」
金田一蓮十郎・全10巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
かつて付き合っていた彼女が交通事故で死んでしまい、その息子を引き取って育てることにした青年。
青年は女装して自分が母親となって息子を育てたが、自分の正体を言えないまま月日は流れ、男と女の二重生活を続けていた。
一見突拍子もないように感じる設定の話だが、実際読んでみるとどんどん続きが読みたくなる話だった。キャラもよく立っていて、絵も読みやすい。
次々に起こる問題を解決していき、最後はハッピーエンドとなった。
序盤の展開からここまできれいに終わるとは思っていなかったので、こうしてまとまったのが素晴らしいことだと思う。

「西の善き魔女」
桃川春日子・全7巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★
平凡な田舎少女として暮らしていた女の子が、あるパーティに出席したことで自分が女王の資格を持つ者であることを知る。
原作があり、それが既に完結しているので、ある意味安心して読める。
典型的な少女漫画とも見えるが、そこかしこに軽く捻りが入れられていて、飽きることなく読める。
話の進むスピードは強烈に速いが、ついていけないことはない。
最後までキッチリ描ききっている。
絵は安定していて読みやすい。

「西の善き魔女 外伝」
桃川春日子・全1巻・マッグガーデン(ゼーベル)
★ ★ ★
上記作品の外伝で、アデイルが主人公となっている作品。
本編で不在中のアデイルが何をしていたのか、がわかる作品なので、基本的には上記作品を知っている人が対象。
内容そのものの出来はよく、本編を補完するものとして楽しめる。

「20世紀少年」
浦沢直樹・全22巻・小学館(スピリッツ)
★ ★ ★ ★
1960年代後半に少年時代を過ごした大人たちが、身の回りで起こる行方不明事件などを調べるうちに、とある新興宗教のシンボルマークが少年時代に自分たちが考えたものだということに気付く。そして、少年時代にもう1人仲間がいなかったかどうか、という疑問にぶつかる。
同作者の「MONSTER」とある意味似た雰囲気のある作品。1つの疑問から大きな謎に迫っていく、という部分が共通点。
面白くなるのは7巻以降くらいで、破滅に向かう世界を止めようとするが、それができないもどかしさがいいと思える。

「21世紀少年」
浦沢直樹・全2巻・小学館(スピリッツ)
★ ★ ★ ★
上記作品の完結編。話は完全につながっているので、前作を知っていることが前提。
掲載誌が変わっていないのにどうしてタイトルを変えたのかが疑問ではあるが、ラストスパートの部分なので、目が離せない。
結末に納得できるかどうかは、読者次第。
とりあえず、最初から全て読み返したくなる。

「20世紀少年の脇役」
浦沢直樹×ウジコウジオ・全1巻・小学館(ビッグコミックスピリッツ)
★ ★ ★
上記作品に登場した漫画家・ウジコウジオの作品集。
ウジコウジオの作品をユキジが読んで感想を言う形になっている。
ウジコウジオの作品はあえてベッタベタなネタ作品なので読んでいて微妙だが、ユキジの評価はなかなか面白い。
思っていたよりも面白く読めた。

「21世紀マンガ大賞セレクション」
作者4名・全1巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
エニックスで募集している21世紀マンガ大賞の大賞、準大賞受賞の4作品を集めたもの。
大賞、準大賞受賞作だけあって投稿作であるにも関わらずどれもレベルが高い。
やはり絵の未熟さは感じられるが、それぞれの作品の作者が作品に対するコメントを載せているところがよい。

「偽PAPUWA」
作者多数・全1巻・スクウェア・エニックス(書き下ろし)
★ ★
「PAPUWA」の作者黙認アンソロジー。
参加している作家さんが22人と多いが、読める作品は半分くらい。やはり、原作には遠く及んでいない。
原作を知っていて、スクエニ系雑誌を買っている人なら知っている作家さんがいて楽しめるかもしれない。

「日常茶飯事」
夢路行・全1巻・一迅社(ぶ~け)
★ ★ ★
小さな骨董店を訪れる様々なお客さんと、ちょっと不思議な骨董品たちの話。
短いページ数で構成されている話が多く、作者のよさがよく表れている。
話の間にある1Pの植物の話もいい。

「NEWS PARADE」
久米田夏緒・全1巻・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★ ★
ある小さな町で起こったバス事故。その事故に前後して被害者たちの周囲で起こった出来事をオムニバス形式で語る話。
全3話形式でそれぞれ主人公が変わるので、話としては少々つかみにくいところがあるが、通して読むといろいろと伏線がわかって面白い。
同時収録の読み切りの出来もなかなか。
絵はまだ描きなれていなくて不安定だが、読みにくくはない。

「ニューパラダイス」
木下さくら・全2巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★
平凡な日常を送っていた少年の元に、1人の不気味な少女が現れる。
そして、今暮らしている世界が夢の世界だということを知る。
連載初回から約3年半の休載期間を経て復活した作品。
当初はギャグ漫画の方向に行くかと思われたが、ギャグだった2話はなかったことになり、全体的にはシリアスな雰囲気で進んでいる。
作者にはシリアスな話の方が向いているとは感じるものの、この作品はやや設定が込み入りすぎていて話を理解するのに苦労する。
絵は1話だけ下手ということもなく、違和感なく読める。
一応ひとつの決着がついて完結したものの、作者はもっと描きたかったのだろうな、と思える終わり方で、最後はちょっと微妙だった。

「人形草紙あやつり左近」
小畑健・全4巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
明治初期の文楽人形右近とそれを操る左近とが様々な殺人事件に出会い、解決していく。
とにかく絵で読ませてくれる作品。
殺人現場の残酷さは漫画の中でも指折り。
また、それぞれのキャラたちの顔がとてもきれいでいい。
ストーリーもまあまあいいのだが、一種超能力的な力を使って事件解決の手がかりをつかむことがあるので、そこを減点してこの評価。

「人魚の首」
大橋薫・全1巻・講談社(サスペンスホラー)
★ ★ ★
好きな男の子との出会いのきっかけを友人に奪われ、彼と彼女の仲が良くなっていくことに嫉妬する女の子の夢の中に、首だけの人魚が現れ、自分の首を食べるよう勧める。
この話の他にも2作品人魚関係の作品が収録されている。
また、その他短編も1つ。ハッピーエンドとそうでない作品があるのがいい。
結構引き込まれて、どの作品もそれなりに読ませてくれる。

「忍ペンまん丸」
いがらしみきお・全11巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
動物園で飼われていたペンギンが山に連れていかれ、そこで忍者としての修行を受けることになる。
作品中に登場するサブキャラたちは、作者選考のもと、ほぼ全て読者応募の中から選ばれている。
よって、話の中にはどうでもいいキャラが結構登場する。
しかしそれを使ったギャグや、主人公たちのキャラクターはかなり面白い。
間の使い方が上手いので、思わず声に出して笑って しまう。
唯一の難点は、ストーリーの進み具合がこれほどまでか、というくらいゆっくりなこと。
終わり方は満足のいくものだった。

「ぬすまれた放課後」
松本洋子・全2巻・講談社(なかよし)
★ ★ ★
ある日、少女の目の前で屋上から少女の友人が飛び降り自殺をする。自殺の動機がわからないまま少女は転校してしまうが、転校先でもまた殺人事件が起こる。
原作が赤川次郎さんなので、伏線がしっかりしていて、犯人にも意外性がある。
ただ、謎解きの場面に登場した殺された3人の女生徒のそっくりさんは何だったのかという疑問が残る。よって評価は高くしなかった。

「ぬらりひょんの孫」
椎橋寛・全25巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
妖怪の総大将・ぬらりひょんの孫で妖怪の血を1/4だけ引く少年。
少年は3代目の妖怪総大将となり、様々な妖怪たちと戦ったり交流を持ったりしていく。
描き込みの多い絵で少々読みにくいところがあるのが残念。
ただ、その分絵に迫力はある。
初代ぬらりひょんの過去の話と羽衣狐との決戦は面白かったが、それ以外が微妙。
最後は駆け足な終わりだったのが残念。

「ねこあきない」
夢路行・全4巻・秋田書店(恋愛よみきりMAX)
★ ★ ★
作者が飼っている猫のエッセイ。
虫の多い家に住んでいたりして、単なる猫のエッセイ漫画より面白い要素がある。
絵はかなり手を抜いているようにも見えるが、エッセイなら、と許せる範囲。
作者が好きな人にはお勧め。
終わり方はキッチリ終わっているわけではないが、日常を切り取ったエッセイなので、さらに続く感じになっていても、これはこれでアリだと思える。

「猫ラーメン」
そにしけんじ・全6巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
猫が店長を務めるラーメン屋とそこの客のサラリーマンの話。
絵が受け入れられるかどうかで、その後読み進められるかどうかが決まる作品。
話は本当に単純で、時事ネタも多い。
慣れてくるとそれなりに読めるが、人を選ぶ。
バカバカしい話が好きな人になら。

「猫ラーメン物語 子猫のトーマス」
そにしけんじ・全1巻・マッグガーデン(EDEN)
★ ★ ★
上記作品の番外編。
猫の店長が子猫時代に子猫モデルだったときの話。
超人気アイドルでスパルタな父、数多い兄弟の中での友情や争い、次々に生まれる弟・妹たちの間で人気が出ずに悩む姿など、意外とシリアスな部分も多い。
本編よりむしろこちらの方が面白いくらいだと思うのだが、本編を知っていないと楽しめない部分もあるので、一長一短。

「猫の島」
小花美穂・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★
不思議な伝説のある「猫島」から猫の死体が流れ着くようになる。その謎を調べるために、少年と少女は行っては2度と帰ってこられないという猫島に行くことにする。
小花さんの短編は結構好きだが、この単行本は例外。
どの作品もそれほど面白くない。
特に、最後の話は前半話がわかりにくい。

「ねじまきの庭」
榧世シキ・全2巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★
とある寄宿学校で起こるちょっと不思議な話を集めた作品。
私の感性と非常に合う作品で、絵の雰囲気もよく、そこでちょっと不思議なことが起こるという設定自体が琴線に触れてしまう。
キャラもそれぞれ個性があって、全体的に見ても読みやすい。
最後の展開がちょっとわかりにくかったのが残念。

「ねねね」
萩原ダイスケ・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
16歳の少女が常に狐の面で顔を隠している20歳以上年上の男性に嫁ぐ。
少女は少しでも夫との距離を詰めようと努力する。
大正×年差婚物語だが、常に顔を隠しているという設定と作画上そこまで年上に見えないのはちょっと残念。
2人の純愛を楽しむ話で、もっと続いてもよかったのだが、1巻で終わってしまった。

「眠り姫は夢を見ない」
大橋薫・全1巻・角川書店(あすか)
★ ★ ★
10ページ前後の短編と長めの短編合わせて10作品収録されている短編集。
どれも重い作品で、うち3作品がいじめに関係しているのは題材が被りすぎ。
どれもそれなりに読ませてくれるが、特に引き立つ作品はない。

「年中無休☆サンタさん!」
仏さんじょ・全4巻・一迅社(REX)
★ ★ ★
真面目な優等生だった少女は、16歳の誕生日に、うちはサンタの家系だからサンタに変身して敵を倒すように、と母から伝えられる。
少女は強制的にサンタという名の魔法少女に変身させられ、敵と戦うことになる。
バカバカしいことを大まじめにやる、というのは作者の前作「ろりぽ∞」(ラ行参照)と共通しているが、こちらは少々インパクトに欠ける。
最後はきれいに完結していたものの、サンタとして戦うことより日常シーンの方が面白かったように感じた。

「neun(ノイン)」
村崎久都・全2巻・一迅社(REX)
★ ★
地底より現れて人を襲う怪物と戦うため、とある学園には特殊学級があった。
そこに通う少年は、ある日地下で怪物と戦う少女と出会う。
画面全体から漂う切ない雰囲気がいい作品なのだが、それ以外パッとした部分がない。
話の進むペースが非常にゆっくりで回り道も多い。
そのせいか、早い段階で打ち切られてしまい、話は中途半端なままだった。
もう少し個性が出ればよかったのだが。
原作がありそうな話だが、オリジナル作品。

「Noesis」
喜名朝飛・全1巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
一度崩壊して立ち直りつつある世界で、殺戮兵器として育てられた少年はその組織から逃げ出し、ジャンク屋として生活していた。
そんなとき、少年は兄の仇を探す少女と出会う。
1冊できれいにまとまっている。
気になるのは、作者も自身で指摘していることだが、ヒロイン以外の顔がほとんど前作「幕末風来伝斬郎汰」(ハ行参照)で見たことのあるものばかりであること。
髪型など、もう少し工夫して欲しかった。

「ノッキン!」
群青・全3巻・一迅社(WARD)
★ ★
国で五指に入る名家の後継者候補でありながら、その権利を捨ててとある屋敷の所有権を手に入れた少年。
その家にはマガモノと呼ばれる人とは違う生物が住みついていた。
全体的には童話的な雰囲気で、キャラ達を楽しむ作品。
登場人物がいきなり多く出てくるので把握するのが少し大変だが、そこそこ読める作りになっている。
終わり方は割とよかった。

「のりりん」
鬼頭莫宏・全11巻・講談社(イブニング)
★ ★ ★ ★
自転車が大嫌いな青年が、運転中に自転車と接触事故を起こしたことから、再び自転車に触れるようになる。
自転車についてかなり深く調べてあるようで、読んでいてなるほどな、と思うことが多々ある。
作者の作品は心を抉ってくるものが多いが、この作品は純粋に自転車の話として読める。

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タ行-4 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「ドラグーン」
たつねこ・全1巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
突然異世界に入って勇者にされてしまった少女が、その世界で邪なる者を倒すために冒険をする物語。
ファンタジーとしては王道に当たる話で、どこかに特徴があるというわけではない。しかしながら、全体的に読みやすくはある。
これはエニックスから出版されているが、実際はエニックスとは別の雑誌に掲載された作品で、非常に中途半端なところで終わっている上に続編はないので、注意が必要。

「DRAGON SISTER!」
nini・全6巻・マッグガーデン(マサムネ)

一言で言えば、三国志の女の子バージョン。
関羽や張飛が女の子として描かれていることに拒否反応が出る人は触れない方が無難。
三国志をほとんど知らない私から見ると、話がかなり急展開で固有名詞が多く、読みにくい。
キャラの個性もいまひとつ。
最後はかなりの駆け足展開で、しかも打ち切り。
最終的には武将が女の子になった意味がどれだけあったのか大いに疑問が残った。

「DRAGON’S HEAVEN」
深見真×笹原夕生・全3巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★
街の正義のヒーローとして悪者を退治していた少女。その少女がひょんなことから悪者たちに制裁を加える龍園というグループに入ることになる。
要は主人公の少女の成長物語なのだが、発生する事件がそこまで勧善懲悪ではなかったり、完全なハッピーエンドで終わるものではなかったりして、そこそこ引き付けられるものはある。
絵もそれなりに迫力があるので、悪くはない印象。
ただ、主人公のヘタレ具合が結構気になってしまい、もう少し成長しないとダメだな、とは感じていた。
最後は打ち切りで、終わり方はちょっと微妙だった。

「ドラゴンボール」
鳥山明・全42巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
7つ集めると願いの叶うドラゴンボールを巡る物語。世界中で翻訳発行され、原作終了後もアニメが放映され続けていた人気作品。
28巻くらいまではかなり面白く、評価は5をつけてもいいくらいなのだが、それ以降はダラダラと続いてしまった感じで評価はぐっと下がる。
強さの基準もだんだん高くなっていて、最初の方の強敵も最後の方ではザコ扱い。
ドラゴンボールも最後の方は願いを叶えてくれる便利な道具と化しているし、死んだ人は生き返りすぎ。
これでは、命を軽視してしまう。
ラストも中途半端で納得できない。
よって評価はきつめにした。

「ドラゴンリバイブ」
井田ヒロト・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
全てを破壊する力を持つといわれる龍の刻印を体に刻んだ者。
その刻印を持ち、誰かに追われる少女を助けた少年にもまた龍の刻印を持っていた。
全体的なテンポはいいのだが、画面に描き込み過ぎていて若干読みにくいのが玉に傷。
話に勢いがあってよかったのだが、前振りが長すぎたのが原因か、2巻で打ち切り。
中途半端な終わり方であるのが痛い。

「とらねこフォークロア」
東まゆみ・全6巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★
無愛想で友達のいない少年は、高校入学を機に友達を作ろうとがんばる。
そんな中で知り合ったクラスメイトとの話から、学校で起こるオカルト事件を調べることになる。
学園物・オカルト・退魔師物・マスコットキャラ登場などなど、とにかくいろんな要素を詰め込んでいる。
ただ、それらが全てありがちな範囲に収まるもので、いろいろな要素はあるけど特に個性は感じられないのが辛い。
絵の力だけで何とか持っている印象。
話は6巻も続いた割には打ち切り仕様の終わり方で、描くべきところも描けないまま終わってしまっていた。
これなら買わなければよかった、というレベルだった。

「DRAMATIC IRONY」
藤崎竜・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
バーチャル世界で漫画を楽しむようになった世界で、少年は「ドラマティックアイロニー」という漫画を読み、その世界を体感していく。
表題作の他に3本の読み切りが収録されている短編集。
「milk junkie」はわりと面白かったが、その他はあまり面白くなかったので評価を下げた。
「封神演義」(ハ行参照)の外伝も掲載されているが、かなり世界観が崩れているので、本編が好きだった人は読まないほうがいい。

「ドリームネットPAPA」
柴田亜美・全4巻・講談社(アミ)
★ ★ ★ ★
離婚した妻が死んだのをきっかけに、1歳の息子を引き取ることになったゲーム会社で働く男。
この息子が天才児で、1歳にして大学の卒業単位をすべて取得し、世界に1つしかないゲーム機まで開発していた。
そのゲーム機を奪うために、男のライバル会社がいろいろと刺客を送り込んでくる。
この話も柴田さんらしく笑わせてくれ、登場人物も少ないので読みやすい。
最終回は無理に最終話を描いた雰囲気はあるが、一応のまとまりは見せている。
もう少し長く続いてほしかった。

「鳥籠学級」
真柴真・全7巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
記憶喪失のミカゲは拾ってくれた教師の好意でとある学園に転入する。
しかし、教師の本当の目的は、ミカゲの行動によって並行世界の悲劇を回避させることだった。
一見すると絵はシリアス100%なのだが、実際読んでみるとシリアスとギャグが半々くらい。
キャラの個性は強いものの、いまひとつ引き付けるものに欠ける印象。
つまらないわけではないのだが。
最後もきれいに終わってはいるが、少し人物の掘り下げにページを割きすぎていたように感じた。

「トリコ」
島袋光年・全43巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
世はグルメ時代。様々な未知の食材を求めて、美食屋は未開の地を探索する。
その美食屋のカリスマであるトリコの物語。
絵は決して上手いというわけではないのだが、テンポの良さとキャラの濃さでかなりのバトルシーンで魅せてくれる。
話もわりとサクサク進んでくれるので、読んでいてストレスがない。
ただ、終盤に人間界とは別のグルメ界の話に入るのだが、ここからあまり話についていけなくなってしまった。終わり方はきれいだったので、グルメ界の話さえもっと魅力的だったら最高評価でもよかった。

「TRICKYS」
新井さち・全4巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
殺し屋の組織から足を洗い、何でも屋として働く3人の物語。
物語序盤から化けそうだな、と感じながらついに最終回まで化けなかった作品。
作中で、それは絶対に現実でありえない、というものが結構あったのが原因かもしれない。
それでも評価を下げなかったのは、最終回直前がいい感じに盛り上がったから。
ただ、最終回はその分肩透かしを食らったが。
絵は安定していて読みやすかった。

「トリフィルファンタジア」
夜麻みゆき・全2巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
とある惑星のオアシスにある小さな町のパン屋さんに住む3人の少年・少女の物語。
日々ちょっと不思議なことが起こるのんびりした雰囲気の話で、作者らしいといえばらしい話。
特に伏線などはなく、1話読み切りと考えていい。
いまひとつ引き付ける力が弱い部分があるが、絵が好きなら読んでもいい。

「トリリオンゲーム」
池上遼一・小学館(ビッグコミック)
★ ★ ★ ★
1兆ドルあれば世界の全ての物が買える、という前提の下、大学を卒業したばかりの青年2人が会社を立ち上げて総資産1兆ドルを目指す話。
原作が稲垣理一郎さんなので、主人公が口先だけで世の中を渡っていそうで実はしっかりとした戦略を持っているところなど、いろんな部分で原作者らしさを感じる。
1巻の冒頭で青年2人が総資産1兆ドルを達成することは既に語られていて、過去を振り返る形で話は進んでいく。なので、割と安心して読んでいられる。
作画がかなり高齢の方なので、絵柄が半世紀くらい前の劇画調で全体的に表情が硬く見えるのが残念。

「鳥を見ていた朝」
夢路行・全1巻・スタジオDNA(ぶ~け)
★ ★ ★
公園で怪我をしている鳥を見つけて戸惑っている少女を見つけた少年。
それがきっかけで2人は付き合い始めるが、少年は動物大好きで、少女は動物が大嫌いだった。
ほのぼのとした少女漫画、といった感じで、全体的な個性は薄いが、安心して読める。
高校生くらいの心理描写を上手く表現できている。

「どろろんぱっ」
室山まゆみ・全5巻・小学館(てんとう虫コミックス)
★ ★ ★ ★
ある一家が引っ越してきた家には浮遊霊が住み着いていて、追い出そうとするが結局同居することになる。
5分アニメだが、一応アニメ化されたことのある作品。
ギャグ漫画にしては珍しく、話がちゃんと完結していて、その終わり方も納得できる。
よって評価は高め。

「とんでも勇者」
白井寛・全1巻・エニックス(ギャグ王)
★ ★
異世界に召還されて勇者となってしまった少年の冒険をギャグで描いたもの。
笑える部分もあるが、そうでない部分の方が多い。
絵がもう少し上手だったら、もう少し笑えたかもしれない。
この段階の絵では、表情が固まっていて、画面に張り付いたように見えてしまう。

「曇天・プリズム・ソーラーカー」
村田雄介・全2巻・集英社(ジャンプSQ)
★ ★ ★ ★
10歳で父親を亡くし、鉄工所で働きつつ大学進学の資金を溜める少年。
少年はある日工場長から、大学生たちが行うソーラーカープロジェクトの手伝いをするように頼まれる。
ソーラーカーの制作からレースまで話がきれいに入っていて、全2巻とかなりまとまりのいい作品になっている。
ソーラーカーのウンチクも面白く、人間模様も悪くない。
絵もかなり迫力があってよかった。

「とんぬらさん」
セレビィ量産型・全9巻・一迅社(REX)
★ ★ ★ ★
ふてぶてしくて上から目線でしゃべる捨て猫・とんぬらさん。
その猫を拾った一家ととんぬらさんの日常が描かれる。
とにかくとんぬらさんの強烈な個性がいい。
ふてぶてしいのに憎めない、振り回されたいと思ってしまうそのキャラ作りに脱帽。
とんぬらさん以外のキャラもいい味を出していて、毎回面白く読める。
ただ、終盤は割とマンネリ化してしまい、最後は打ち切り。とんぬらさんの兄弟が全員出る前に終わってしまったのは痛かった。

「どんまいプリンセス」
楠桂・全2巻・集英社(マーガレット)
★ ★ ★
前世での恋人と再会を望む男の子がようやく出会えた恋人の生まれ変わりの女の子は、漫画に夢中で現実世界には全く興味がなかった。男の子は女の子を振り向かせようと、様々な努力をする。
少女漫画にしてはテンポがいいのでサクサク読める。
欠点と言えば、前作「Dの封印(タ行参照)」にもあったように、ストーリーのネタバレを作中の1/4スペースでしてしまっていること。コミックスだけの読者のことも考えて欲しい。

◆これ以下は全てゲームのドラゴンクエスト関係のコミックスです。
全てタイトルの先頭に「ドラゴンクエスト」と付くので、ここではあえてサブタイトルのみの表記とさせて頂きました。

「1Pコミック劇場」
作者多数・全11巻・エニックス(ギャグ王)
★ ★ ★
ドラゴンクエストのゲームエピソードを1Pショートギャグにしたコミックス。
作家によって面白い作品とそうでない作品があるので、評価はここに落ち着く。
面白い作家をあげると、牧野博幸、浅野りん、川本祐太郎。

「エデンの戦士たち」
藤原カムイ・全14巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
PSソフト「ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち」を漫画化した作品。
ゲームの漫画化としては非常に上手い部類に入り、ストーリーはオリジナルを入れつつゲームに忠実。
しかし、話の進むスピードがかなりゆっくりな上に、キーファ離脱辺りまでで話が終わってしまった。
絵に関しては作者が「ロトの紋章」と同じなので、安心して読める。

「精霊ルビス伝説」
阿部ゆたか・全7巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
ドラクエロトシリーズに登場する精霊ルビスが神になるまでの物語。
原作は久美沙織さんの小説だが、小説と漫画とでは内容がかなり違う。
本編よりも序章の方が倍以上長いという特殊な作りで、全7巻の内5巻が序章で本編が2巻しかない。
序章はかなりのスローペースで進んでいたが、本編になるとかなりのハイペースとなり、原作のかなりの部分が省かれていた。
序章はほとんど小説に書かれていない部分で原作の再現度が低かったり、絵が原作とかなりかけ離れているなど、残念な部分が多かった。
ガンガンファンタジー(現Gファンタジー)創刊当時の目玉作品だったが、人気はそれほどなかったらしくコミックスの発行部数も次第に少なくなり、全7巻の割にはすぐに再版もされなくなった。

「VII 4コママンガ劇場」
作者多数・全8巻・エニックス
★ ★
「ドラゴンクエストVII」のみの4コママンガ集。
もとからの4コマ作家の他にも新規作家を多めに参加させているが、どの作品もパッとしない。
中にはそれなりに面白い、というものもあるが、本全体を通すとレベルは低め。
ゲームをやり込んだ人ならそれなりに楽しめるだろうが。

「ダイの大冒険」
稲田浩司・全37巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
勇者を目指す少年ダイが魔王軍と戦いながら世界を救うまでの話。
ドラクエシリーズと共通する部分は呪文とザコモンスターのみで、別の物語と考えた方がいい。
伏線がしっかりしているが、その伏線はやや長すぎる。
続編として魔界編が用意されていたという話もあり、伏線のほとんどはきちんと処理されているが、謎のままの部分もある。
また、死んだと思っていたのに生きていたというキャラが多すぎるのはマイナスポイント。
誰も物語の中心になりえるキャラで、壮絶に死んだ場面があるのに、生きていたとわかるときは安心するより呆気にとられる。
絵は最初の方は見られたものではなかったが、次第によくなって中盤からはとても見やすくなった。

「天空物語」
幸宮チノ・全11巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
SFC「ドラゴンクエストV」でゲーム中では空白になっている部分、主人公の子供たちが両親を捜す旅をしたところを漫画化した作品。
読み始めはあまり期待していなかったのだが、うまく構成されていて、最後はきれいに終わっている。
ただし、中盤が非常に長く、中だるみ感が強いのが欠点。
絵柄は目が大きすぎる感じがするが、それほど違和感はない。

「プリンセスアリーナ」
八坂麻美子・全5巻・エニックス(Gファンタジー)

FC「ドラゴンクエストIV」の登場人物、アリーナを主人公にした作品。
とにかくこの漫画は脚本が悪かった。
アリーナが主役であった部分がゲームでは短かったためか、漫画では序盤からかなりオリジナル部分が含まれていた。
そのせいで、脚本がなくなった後も八坂さんはその伏線回収に手一杯、という感じで最後は打ち切り。納得のいくものではなかった。
八坂さんは前作「天地創造(タ行1参照)」でシナリオ配分を計算出来ていなかったので今回は脚本を、となったのかもしれないが、最初から八坂さんに全て任せてしまった方がよかったと思える。
唯一、脚本が外れた後の1回目(新たなる旅立ち)だけがいいと思えた。
絵柄は極普通に読めるだけの実力は持っている。

「幻の大地」
神崎まさおみ・全10巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
SFC「ドラゴンクエストVI」を漫画化した作品。「列伝ロトの紋章(下記参照)」の後を引き継いだ形になった作品で、プロの漫画家を一般公募して作画者を決めるという企画だったのだが、結局それに応募しなかった神崎さんが作画を担当した。
最初はそれほど面白くなかったのだが、途中からとまとあきさんが脚本を書き始めてから面白くなった。
ゲームで語れていなかったところをうまく補完した形になっていて、終わり方にも納得できた。
ただ、最後の方は「ドラゴンクエストVII」の連載が控えていたせいか、かなり駆け足だったのが残念。
絵はゲームに近いものがあり、好感が持てる。

「モンスターズ+」
吉崎観音・全5巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
GB「ドラゴンクエストモンスターズ」のその後を描いた外伝。
普通、ゲームの外伝を漫画化すると本編を越えられずつまらないものが多いのだが、これは面白い。最初の方は低年齢層向けかと思ったが、途中からはそれ以上の年齢でも十分に楽しめる内容になっていた。
また、ゲームを知らなくても内容は理解できる。
絵は既に完成されていて読みやすく、ゲームの雰囲気に近いものがあるので問題なし。
終盤間近まで、上手くドラクエの世界を取り入れつつ、非常に楽しめる展開でよかったのだが、最後は打ち切りのような感じで終了。
ラスボスを倒すまで続いていたら名作になっていたと思えて、残念。

「4コママンガ劇場」
作者多数・全20巻・エニックス
★ ★ ★
ドラクエシリーズのエピソードを4コママンガにしたもの。
これも、1Pコミック同様面白い作品とそうでない作品とがある。
また、巻数が進むに従って作者も様変わりしていく。
私のお薦め作家は、1Pで紹介した作家の他に柴田亜美、山崎渉。

「4コママンガ劇場 ガンガン編」
作者多数・全13巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
ドラクエ4コマの中でガンガンに掲載された作品を集めたもの。
ガンガンに既に掲載されているので、コミックスで読むと新鮮な面白さはない。

「4コママンガ劇場 ギャグ王編」
作者多数・全2巻・エニックス(ギャグ王)
★ ★
ドラクエ4コマの中でギャグ王に掲載された作品を集めたもの。
実質的にガンガン編を引き継いだもので、ネタ切れで苦し紛れのような作品も目だってきている。

「4コママンガ劇場 番外編」
作者多数・全23巻・エニックス
★ ★
ドラクエ4コマの中の投稿作品で最終選考以上になった作品を集めたもの。
入選した作品をガンガンで読んだときにそれほど面白くないと感じても、これを見ると入選した作品は質が高いものなのだと初めてわかる。
しかし、入選作品よりも圧倒的に最終選考まで残った作品の方が多いので、レベル的には上記作品集より劣る。

「4コママンガ大全集」
作者多数・全7巻・エニックス
★ ★
「ドラゴンクエストモンスターズ」を含めたドラクエシリーズ全てを対象とした4コマ漫画。
ドラクエVII発売直前に発行され始めたので、さすがにⅦネタが出てくる前までは全体的にネタ切れ気味。
結城まさのへさんの作品は面白い。

「列伝ロトの紋章」
藤原カムイ・全21巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
ドラクエ3のラストから100年後の世界で起こった物語。
ドラクエ1より時代は前。ドラクエ3の世界をそのまま引き継いでいて、これこそがドラクエの漫画化だと思える作品。
キャラも死ぬべきときにちゃんと死んでいるのでいい。
ただ、ラストで大勢死んで大勢生き返ったのは少々残念。評価を落としたのもこの点から。
絵もドラクエの世界観を表せていていい。

「列伝ロトの紋章~紋章を継ぐ者達へ~」
藤原カムイ・全34巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★
上記作品の続編で、上記作品の子孫たちが主人公。
前作がきれいに終わっていただけに、この続編の存在意義は微妙。
前作よりも巻数を重ねたが、ラスボスの存在感や味方の死など、前作を越えるものはなかったように感じた。
絵に関しては文句の付け所がないのだが……

「列伝ロトの紋章Returns」
藤原カムイ・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガンYG)
★ ★ ★
上記作品の番外編。
本編で語りきれなかったアステア、ジャガン、カダルの話が語られている。
上記作品を知っていることが前提なので、知らない人は手を出さない方がよい。
話は番外編として上手くまとまっている。

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サ行-5 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「スパイラル 推理の絆」
水野英多・全15巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
名探偵と呼ばれた兄が失踪して2年。その兄が最後に残した「ブレードチルドレン」という言葉。
少年は自らが容疑者にされてしまった事件をきっかけに、「ブレードチルドレン」の謎に迫っていくことになる。
主人公が事件を推理していく、というのは他の推理物と変わらないが、主人公が天才タイプでもなく、失踪した兄に対するコンプレックスを常に持っているところがよかった。
反面、前半の推理もののところは「ある程度の確率にかけて犯行を行っている犯人」が多く、本当に面白くなるのは5巻以降くらい、というのがちょっと辛い。
また、「ブレードチルドレンとは何か」という謎解きはよかったが、最終的な結論が曖昧なまま最終回を迎えたのは辛かった。

「スパイラル・アライヴ」
水野英多・全5巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
上記作品の外伝で、時代的には上記作品の少し前の話。
1巻とそれ以降の巻の間でかなりのブランクがあり、2巻以降は上記作品を知っていた方がよりわかりやすくなっている。
話も上記作品の1巻冒頭に繋がるようになっている。
上記作品で明かされなかった謎解きや後日談などあればよかったのだが、それもなくて残念。

「すもももももも」
大高忍・全12巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★ ★
由緒正しい武家の家同士、最強の遺伝子を持つ子供を作ろうと高校生の少年の家に押しかけ女房としてやってきた少女。
少女は日々少年を振り向かせようと努力する。
非常にテンポのよい作品で、ギャグでは弾けてくれているし、シリアスなところもなかなかよい。
絵は少々不安定なところもあるが、戦闘シーンなどの迫力はなかなかのもの。
ストーリーは最後まで中だるみもなく、きれいに終わってくれた。
名作。

「SMILE!」
柊あおい・全2巻・集英社(マーガレット)
★ ★ ★
つぶれそうな手芸部の部長をつとめる女の子と、手芸部に入部してきた男の子の話。
1巻は見たことのない設定だったので惹かれるものがあったが、2巻は極々普通の少女漫画になってしまっていて残念だった。
終盤は手芸部という設定がまるで使われていなかった。
絵は安定しているのでよい。

「スマイルはゼロゴールド」
佐野たかよし・全2巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
よくある魔法と王国のある世界にコンビニがあり、その客たちと店員によるショートギャグ漫画。
設定が面白く、コンビニの製品はインチキだったり欠陥があったり高かったりするが、そこが笑える。
絵はストーリー漫画にもなり得る絵だが、それがギャグ漫画なので見やすく、好感が持てる。
完結しているのだが、ページが足らなくて最終話は掲載されていない。

「すみっこの空さん」
たなかのか・全8巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★ ★
絵本作家としてデビューしたものの泣かず飛ばずのまま会社も辞め、田舎に引っ越してきた青年とペットのカメ。
引っ越し先の隣には金髪青目の少女が住んでおり、少女との交流の中で日常の小さな幸せを再確認していく。
哲学者の言葉が作中では何度か出てきて、その言葉をテーマにした話が展開していく。
ちょっと変わった考えを持つ少女との交流には心癒されるものがあり、読後感が非常にいい。
癒し系の作品としてはトップクラスの出来栄え。

「スライハンド」
藤谷陽子・全1巻・マッグガーデン(マサムネ)
★ ★ ★
後天的に特殊能力を植えつけられた少年と、その力の研究をしていた母。
2人はある組織から逃げていたが、ここ数年は静かに暮らしていた。しかし、組織は2人を見つけて再び捕らえようとする。
原作が我孫子武丸さんで、かなりの鳴り物入りで連載スタートしたものの、あっさりと打ち切り。
どうにか無理矢理まとめた形で終わっている。
設定はありきたりだが、絵がすっきりとしていて読みやすく、私は好きだったので、打ち切りになったのが寂しかった。
絵が気に入れば読んでみてもいいかもしれない。

「SLAM DUNK」
井上雄彦・全31巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★ ★
中学時代50人の女の子に振られた男が、高校に入って一目惚れした女の子にバスケット部に誘われて、次第にバスケットにのめり込んでいく。
バスケットの試合ではかなり引き込まれ、展開が遅いのにそれを感じさせない力がある。
ストーリー的にちょこちょこ矛盾はあるものの、そのような重箱の隅をつつくようなことはしなくていいほどの力もある。
絵は最初の頃と31巻に描き加えられた部分を除けば完璧。

「精怪異聞」
時任奏・全3巻・一迅社(REX)
★ ★
山深い村の奥にある社を買い取って居住することにした青年。
その家では様々な怪奇現象があり、後に神様が住んでいることがわかる。
青年は神様と同居することになるのだが……
幽霊や妖怪、神様を扱ったオーソドックスな作品。
どこかで見たことあるような感じがしないでもないが、それなりに読める。
この手のジャンルが好きな人になら。
終わり方は割ときれいで、上手くまとまっている。

「聖女の揺籠、毒女の柩」
夏海ケイ・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
虐待されて育った兄弟は、両親の死をきっかけに孤島の孤児院へ入園することになる。
しかし、そこは1人のシスターによって支配され、仲間同士を監視し、殺人がまかり通る地獄だった。
島からの脱出を試みる序盤は割と定番な展開だが、それ以降シスターがかなりえぐいことをし出すと面白くなってくる。
しかしながら話は中盤の段階で打ち切られてしまい、ほぼ何の解決もしないまま完結してしまった。
予定では残り10話くらいあったことが最終巻に記されている。

「聖戦記エルナサーガ」
堤抄子・全13巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★ ★
全ての人が魔法を使える世界で、ただ1人魔法を帯びない闇の姫御子エルナが異変の見え始める世界を救おうとする話。
戦争のつらさや悲しさがよく伝わってくるいい作品。
魔力の強い主人公というのは、腐るほど存在するが、その逆設定というところの発想がいい。
絵は現代物の「STAR GAZER」よりもいい雰囲気を持っている。
完結してから一気に読むと、展開の遅さも気にならずに読める。
最終的に謎も残らず、満足のいく終わり方だった。

「聖戦記エルナサーガII」
堤抄子・全7巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
上記作品の続編。時代は前作の遠い未来で、舞台は現代。
魔法がほとんど忘れられた世界で強い魔力を持つ少女・エルナがあるとき隣国の王女だと知らされ、世界の陰謀に巻き込まれていく。
前作とは舞台がガラッと変わっているが、前作のエピソードや地名などがそこかしこに出てくるので、前作を読んでいないと少し辛いかもしれない。
前作を知っていればより楽しめる作りではあるが。
きれいに完結しているが、前作ファンでも特に読む必要がないくらい平凡に終わってしまった印象。
決してつまらなくはないのだが。
一応、勇者が身に付けていた鎧についての謎解きがある。

「生存~LifE~」
かわぐちかいじ・全2巻・講談社(アッパーズ)
★ ★ ★ ★
余命半年と告げられた男性は、自殺を考えたところで14年前に行方不明になっていた娘の白骨死体が見つかったと連絡を受ける。
時効まであと半年。余命との奇妙な一致を運命と感じた男性は、犯人を捜し始める。
14年前という昔の事件を追って行く、という設定なので、そう簡単に手掛かりなんて出てくるのかな、と思わないでもないのだが、都合のいいと思う場面はなく、手がかりがつながっていることに対する違和感もない。
テンポもいいので、最後まで一気に読める。
最後の最後で犯人を追いつめるところは見応えあり。

「聖伝」
CLAMP・全10巻・新書館(WINGS)
★ ★ ★ ★ ★
天界で滅ぼされた一族の生き残りの子供と、やはり天帝によって一族を滅ぼされた男が、様々な人と仲間に出会い、天帝を倒しに行く物語。
序盤からしっかりと伏線が張られており、きれいに10巻で終わるように設定されていたことが素晴らしい。
最終盤での謎解きは読み応えあり。
結末を知った上で読み直すと、様々なところに伏線があったことに驚かされる。

「制服のヴァンピレスロード」
松本トモキ・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
見知らぬ男に突然血を吸われて吸血鬼になってしまった少女。
少女は吸血鬼とはどんなものかというのを学びつつ、クラスメイトの女子たちを吸血していく。
わりとストレートな百合マンガ。吸血は性的快感を伴うという設定があり、女の子同士でも性的快感を共有できる、ということになっている。
絵はきれいなので、百合が好きで絵が気に入れば買ってもいいかも。

「制服のBOY」
あいざわ遥・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★
「ガラス色のBOY」の前作品。
初期作品集のために絵がまだ未熟なことと、同時収録作品があまりにもまっとうな少女漫画でラストがおきまりなハッピーエンドなために、あえて評価を落とした。
あいざわさんの絵が確立する前の作品。

「精霊の守り人」
藤原カムイ・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
アニメ化された上橋菜穂子さん原作の小説を漫画化した作品。
原作は読んだことがないのだが、わりと上手く漫画化されていると思われる。
話のテンポは少し遅い感じがするが、人物の掘り下げ方や戦闘シーンなど、なかなか面白く読める。
ただ、馴染みにくい固有名詞が多いのと、話の起伏が少なく、原作を知らないとあえて買おうと思う人は少ないかもしれない。
また、最後はやや打ち切り気味で、話としてまとまってはいるものの、無理矢理終わらせた感じは否めない。

「聖☆おにいさん」
中村光・講談社(モーニング)
★ ★ ★ ★
天界から仕送りを受け、下界でのバカンスを楽しむブッダとキリスト。
生活を切り詰めながら、2人は下界での暮らしを満喫していた。
読む人が読んだら罰当たりなことこの上ない設定だが、話としては純粋に楽しめる。グダグダな日常や、一見意味のないようなブッダとキリストのこだわりなどもいい。
「荒川アンダーザブリッジ」が好きな人なら確実に楽しめる。

「世界樹の迷宮II」
FLIPFLOPs・全2巻・一迅社(REX)
★ ★
同名タイトルのゲームを漫画化した作品。
ゲームを知らなくても読める内容で、ストーリーに関しては特に問題なし。
ただ、主人公の少女の物語が一応完結しただけで、迷宮を踏破していないのに注意。
また、絵にはやや問題があり、全体的にデフォルメした感じで戦闘シーンの緊迫感は皆無。
この絵だったらギャグ漫画かほのぼの系の話でないとつらいな、と思ってしまう。

「世界のなめこ図鑑」
金谷泉・全1巻・エンターブレイン(書き下ろし)
★ ★ ★ ★
スマホアプリ「なめこ栽培キット」に登場するなめこたちを紹介した作品。
作りは絵本のような感じで、フルカラー。
すぐに読み終わってしまうが、なめこ好きには割とツボを突いてくる作品なので読んで損はしない。

「セキレイ」
極楽院櫻子・全19巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★
2浪が決定した青年のもとに、あるとき少女が降ってくる。
少女は自らをセキレイだと名乗り、全部で108人いるセキレイたちと戦う運命にあると言う。
典型的な「あるとき美少女が家にやってくる」話で、体操服、巫女服など様々なコスプレが登場するところも狙っている。
真面目なところは真面目なのだが、基本はハーレムを楽しむ作品。
話の進むペースは全体的に遅く、サクサク進んでくれれば評価はもう少し高かった。

「絶愛」
尾崎南・全5巻・集英社(マーガレット)
★ ★
小学生の頃からずっと好きだった女の子と再会したが、実はその子は男だった。
好きな人は好きなのだろうな、というBL系の走りのような作品だった。
終わり方はかなり中途半端で、続編もあるが、そちらもきれいには終わっていない。

「絶園のテンペスト」
彩崎廉・全10巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
家族を惨殺された少年が、孤島に幽閉された魔法使いの少女と組み、一家惨殺の犯人を捜しつつ少女の話す世界の危機を救うために戦う。
原作がスパイラル(サ行参照)の城平京さんで、良くも悪くも話は城平テイスト満載。
登場人物の設定から口調、話の進め方や伏線の張り方、回収の仕方などなど、ぽいなぁ、と感じることが多々ある。
スパイラルの話が好きだった人なら買って損はしない。
ただ、絵に関しては結構癖があり、全体的にぎこちなかったり、戦闘シーンが止まって見えたりする。
話は中盤からが本領発揮で、最後の謎解きなどはなかなかのもの。
最後もきれいに完結した。

「積極-愛のうた-」
谷川史子・全1巻・集英社(コーラス)
★ ★ ★ ★
亡くなった妻が悲しむから、という理由で女子学生とは目もあわせず、一緒に食事をすることもない定年間近の老教授。
その教授に密かな思いを寄せる少女は、教授が常に持ち歩いているノートが気になっていた。
表題作以外に2本の短編が収録されている短編集。
3本とも出来がよく、作者の作品集の中でも上位に入る出来具合のように感じる。
作者のファンなら確実に買い。

「絶対+女王政」
鳴見なる・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★
女性恐怖症を克服するため、姉の勧めで女子高から共学になったばかりの名門校に入学した少年。
その学校は学園長よりも力のある女王が支配する学校で、少年はなぜか女王に気に入られてしまう。
いろいろとツッコミどころ満載の設定で、作者のファンでも序盤で本を投げたくなるかもしれない。
最後も打ち切りで、絵が気に入れば試しに読んでみても、というレベル。

「絶対セカイの黒い虎」
日本橋恵太朗・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★
普通の人には見えない何かが見えてしまう少年。
その力のせいで孤独を味わってきた少年だったが、ある日同じように見えないものを見てしまう青年に出会う。
とにかく設定がベタ過ぎて、個性というものがあまり感じられない。第1話にちょっと捻りがあったので評価は下げなかったものの、最後まで いまひとつな印象は抜けなかった。
絵は全体的に暗く、ちょっと読みにくい。

「絶対☆霊域」
吉辺あくろ・全9巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
格安アパートに引っ越してきた青年は、その部屋に取りつく地縛霊の少女と出会う。
少女は青年を追い出そうとするが、青年は合法的に少女と同居できると歓喜する。
4コマ漫画ではあるが、セリフが少なめで絵もゴチャゴチャしていないので、サクサク読み進められる。
キャラの個性も強く、怖がりの幽霊少女、全てがポジティブシンキングの変態青年などなど、読んでいて飽きない。
絵はそこまで上手くないが、話で十分カバーしている。
ギャグマンガにしてはちゃんとした本筋のストーリーがあり、最後はきれいに完結した。

「ZMAN」
西川秀明・全11巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
マザーコンピュータを介して共存していた人と人工生命体イーデア。
しかし、ある日マザーが狂いイーデアは人を襲った。そのときに発動されたイーデア緊急停止装置「Zシステム」。
1000年後、イーデアのはびこる世界でかつて「Zシステム」であったが、その記憶をなくした少年がよみがえり自分の昔を探しに旅に出る。
4巻くらいまでの内容ならば評価5をつけてもいいのだが、それ以後は絵がごちゃごちゃしてしまって見にくくなった。
ストーリー的には悪くないので、評価はそれほど下げなかった。

「せつないね」
小花美穂・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
パチンコ屋の娘が駆け落ちしてきてパチンコ屋に住み着いた青年に恋をする。
いろいろあったが、最後には落ち着いたところに落ち着いたという感じ。
途中は山あり谷ありでも、ラストに意外性がないので評価は上がらなかった。
この頃になると小花さんの絵が確立されてきて、顔も見やすくなった。

「セツナカナイカナ」
こがわみさき・全1巻・エニックス(ステンシル)
★ ★ ★ ★
人の心の声が聞こえてしまう女の子と、同じ力を持った男の子の話。
その他4本の読み切りが掲載されており、どれも和める作品。
飛びぬけた作品はないが、作者のファンだけでなく癒しを求めている人にもお勧め。

「セツリ」
浅井蓮次・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★
自然の力を操るという「操力」。
その力を持った少女が警察官として操力を使った犯罪者を取り締まっていく。
設定がとにかくありきたりで、キャラにもそれほど魅力がない。
主人公の補佐をする青年の力が人口のものであるとか、その力が弱いものであるとか、そういったところに若干の個性を感じる程度。
中盤以降は主人公の影が非情に薄くなってしまい、一応完結したものの微妙な出来具合になっていた。

「瀬戸の花嫁」
木村太彦・全16巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★ ★
瀬戸内海に遊びに来ていた少年が海でおぼれてしまい、人魚に助けられる。
しかし、人に正体を知られた人魚は死ななければならなかった。
それを避けるために、少年は人魚の少女と結婚することになる。
大筋を見ると王道的なラブコメだが、いろんなところで弾けているので楽しく読める。
話に勢いもあって、テンポもよい。
中盤以降は中だるみと新キャラテコ入れの連続で微妙な感じになり、長期休載を挟むことになったが、最後は無事ハッピーエンドとなった。

「銭」
鈴木みそ・全7巻・エンターブレイン(コミックビーム)
★ ★ ★ ★
アニメ、雑誌、カフェ、ペット、コンビニなど、身近なお金の話を紹介する作品。
世の中のお金の仕組みがわかるので、何度となく目からうろこが落ちた。
紹介する金額も具体的でわかりやすい。
絵はちょっと癖があり、セリフも多くて読みにくいところもあるが、一見の価値はある。
声優・ペットの話がお勧め。

「ゼノサーガ エピソードI力への意思」
馬場篤史・全3巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★
同名タイトルのPS2ソフトを漫画化した作品。
ゲームをプレイしていないせいもあるが、とにかく専門用語が多くて話がわかりにくい。ゲームを忠実になぞっているのだろうが、セリフ・登場人物が多く、なかなか話が理解できない。
また、全3巻とかなりのハイペースで進んだので、ゲームを知らないとついていくのがかなり辛い。
絵も全体的に不安定で、まだ慣れていない印象。
ゲームが好きだった人になら。

「07-GHOST(セブンゴースト)」
雨宮由樹/市原ゆき乃・全17巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
軍の士官学校に通っていた少年は、ある日そこの上官が自分の親の敵だと知る。
なんとか軍から脱出した少年は、不可侵領域の教会の人たちに拾われる。
美形でクールな男キャラが盛りだくさんで出てくるので、そういった設定が好きな人にはお勧めできる。
ただ、話もわりとしっかりしていて、美形設定を抜かしても結構読める。
後半の謎解きなど、いいところは多々あるものの、特に必要ない話が入っているところも多々あり、その辺りもう少し圧縮されていればなおよかったな、と感じた。
最後はきれいに終わっている。

「07-GHOST CHILDREN」
雨宮由樹×市原ゆき乃・全1巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
上記作品の番外編。
一部連載前の作品があって、登場人物は同じでも設定が違う話があるが、本編では語られていない脇役の話や過去の話などあるので、上記作品をそれなりに好きで読んでいるなら読んでおいた方がいい。
話の出来もなかなかいい。

「セブンス・サガ」
結賀さとる・全2巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
ある日、かつて世界を救った神の子が6人の使徒たちにアークを集めるよう命令を下す。
神の子に育てられたが、神殿を抜けて現在は護衛を生業としている少年もアーク探しに協力することになる。
SFC「エルナード」を漫画化した作品。
私はゲームを知らないが、後半はゲームと大分ずれているらしい。
ストーリーはややわかりにくかったが、何度も読むうちにわかるようになり、最後にはお気に入りになった。
2巻に入ると結賀さんの絵が確立されて、とてもきれいで読みやすくなっている。

「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」
かぢばあたる・全3巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
街で普通に暮らしていた少年が、王宮内の争いに巻き込まれ、罪人として追われることになる。
SFC「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」を漫画化した作品。
これもゲームを知らないので、ゲームとの違いを述べることはできないが、出来はまあまあだと思う。
最初2巻完結で話が進んでいたところを3巻完結に伸びたので、途中に場つなぎ的な話が存在するのが減点。絵は見やすくて好感が持てる。

「ゼルダの伝説 夢を見る島」
かぢばあたる・全2巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
修行の旅に出ていた帰り道のリンクが、嵐で船が難破して不思議な島に流れ着く。
GB「ゼルダの伝説 夢を見る島」を漫画化した作品。
上記作品より前に描かれたものだが、ストーリー的には後のもの。
ストーリーの展開は早いが、特に無理があるというわけではない。出来上がりも上記作品よりは上。

「セルロイドカーニバル」
大橋薫・全2巻・角川書店(あすか)
★ ★ ★
セルロイドカーニバルというサーカスが街にやってきて、そこにいる魔術師と妖精がほんの少しの魂と引き替えにカーニバルにやってきた人の願いを叶えていく。
願いを叶えるとはいっても、結果はアンハッピーエンドの方が多い。
絵も大橋さんの絵が確立されているので、見やすくてきれい。絵も話もまあまあいいのだが、それ以上に評価を上げたくなる力は感じられない。

「ZERO-ONE」
住川惠・全2巻・マッグガーデン(マサムネ)
★ ★
日常に現実感を持てないで、やる気のない日々を過ごしていた少年。
少年がある日屋上でビー玉を覗き込むと、別の世界に入り込んでいた。
日常から非日常へ入り込むところの描写はなかなかよかったのだが、それ以降は可もなく不可もなくの展開が続いた。
最後も打ち切りのような形で、コミックスで1話分書き下ろされたものの、それでも説明不足なところは残った。
化けそうだっただけに、惜しい。

「戦隊レッド異世界で冒険者になる」
中吉虎吉・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
戦隊ヒーローのレッドが異世界転生をして旅に出る話で、変身・必殺技・巨大ロボなどの戦隊ヒーローのお約束が一通り出てくる。ただし、グリーンやイエローなどの仲間は回想シーンにしか出て来ない。あくまで戦隊レッドのみの話となっている。
いい意味で暑苦しい話で、戦隊ヒーローを見たことがあるなら楽しめる内容。
絵は全体的にゴチャゴチャしているので、ちょっと読みにくい。
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カ行-3 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)


「ククルカン」
高田慎一郎・全7巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
ククルカンに乗る隊員を養成する部隊に入った少年。
その少年の同室になったのは、男装した少女だった。
作者得意の軍事もの、ということで期待していたのだが、展開としてはいまひとつ。話にあまり起伏がない。
一応きれいに終わってはいるのだが、期待したような謎解きもそこまでの威力はなく、微妙だった。
主人公の少年が覗きをしようとして失敗する、最終的には男性陣全員で覗きを敢行する、などの話が多く、それがなければな、とも思ってしまった。
逆にそれが好きな人ならお勧めだが。


「繰繰れ!コックリさん」
遠藤ミドリ・全12巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
自称人形少女・こひなが行ったコックリさんで召喚された狐の幽霊・コックリさん。
こひなに日々否定されつつも、ダメ生活を送るこひなが妙に気になってコックリさんはあれこれ世話を焼くようになる。
基本的にはギャグ漫画だが、シリアスな絵を描かせてもかなり上手いのが好感触。
主人公・こひなのキャラもいい感じで、最初から安定感のある笑いが楽しめる。
中盤でダレることもなく、最後もきれいに終わった。


「繰繰れ!信楽さん」
宗一郎・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
上記作品のスピンオフ作品。信楽が主人公の話で、ちゃらんぽらんに見えて陰ではちょっといいこともしている、という姿が描かれている。
本編の人間関係を知っている前提の話ではあるが、そこまで本編と話が絡んでいないので、単体としてそれなりに読める。


「草の上 星の下」
谷川史子・全1巻・集英社(コーラス)
★ ★ ★ ★
結婚してスイスで暮らしていたはずの姉が突然帰国。
姉に苦手意識を持っていた少女は、居心地の悪い気分を味わう。
表題作以外にも3本の短編が収録されており、どの作品も出来具合もよい。
特に「春が来たなら」は良作の部類に入る。
20代の女性には共感できる部分も多いと思われる作品集。


「くじら日和」
谷川史子・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★ ★
両親が海外へ行ってしまうため、一人暮らしをすることになった少女。
少女は好きな人が管理人をするアパートで生活をすることになる。
途中まではすごくありきたりの話だと思っていたら、思いがけないラストが待っていた。その点で評価を上げた。
料理が下手な主人公は結構いるが、この話では現実感があっていい。
ただ、アパートの同居人たちは各々個性はあるが、それが活かし切れていなく、残念。


「楠桂傑作集」
楠桂・全1巻・小学館(サンデー)
★ ★
その名の通り、短編作品を集めた本。
表紙に使用されている絵の話は、この本のメイン作品だが単行本の中程に収められている。
普通ならば最初に持ってくるべき。また、その話は中途半端に終わりすぎ。
初期作品も収録されているので、絵がまだ見にくい部分もある。
少年漫画というより、少女漫画に近い作品もある。


「クズの本懐」
横槍メンゴ・全9巻・スクウェア・エニックス(ビッグガンガン)
★ ★ ★ ★
お互い別に好きな人がいる高校生の男女。
お互いを慰め合うため、表向きでは付き合っていることにして学校生活を送っていた。
主人公たち以外にも様々な人の視点で話が語られ、それぞれが自分のことを「クズ」だと思っていて、作品全体から罪悪感のようなものを常に感じることになる。
なので、読後感はよくないが、それでも読んでしまう力がある。
作風的には全体的にちょっとエロい。
序盤の展開から考えるとちょっと意外な結末を迎えているのもよかった。


「グッドモーニング キス」
きたうら克巳・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
異常なまでに寝起きの悪い女の子が、彼と一緒に泊まりがけの旅行に出かけることになる。
ここまで極端に主人公の癖が描かれている作品も珍しいが、それがかえって好感が持てる。
同時収録の作品にも、無言電話の被害を極端に描いたものがあって、それもいい。
しかしながら、ラストにはそれほど意外性もなく、この評価に落ち着いた。


「クツナシ姫」
赤夏・全1巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
10年に1度の祭りのときだけしか素足で土に触れることのできない巫女の少女と靴屋の青年の物語。
その他何本かの短編が収録されており、作者らしさがよく出ている。
表題作が1番面白いので、他の作品が小粒な印象。


「グラール騎士団」
sion・全3巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★
世界に突如として現れた人類の敵・アルコーンに対して、唯一対抗できるのは人間の体から引き出される武器・聖杯のみ。
その聖杯を持つ能力者が集められたアルコーン討伐軍をグラール騎士団といった。
乗っていた船が襲われ、親友と離れ離れになった少年は、聖杯を持つ能力者であったため、グラール騎士団に入り、親友を探すことにする。
オリジナルアニメ・CDが原作の作品で、ストーリーよりもキャラを楽しむための作品。
ストーリーはやや単純でいまひとつ。
原作のキャラデザと本作の作画が同じなので、原作が好きな人なら楽しめるかもしれないが、打ち切りになってしまい、かなり中途半端なところで終わっているため、何とも言えない。


「CROWN」
中西達郎・全5巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★
万年クラス委員長をさせられていた少年。
その少年があるときその国の王の息子だということで、王に祭り上げられる。
事情もわからず流されていく少年。しかし、少年を置き去りにして他国との戦争も始まってしまう。
前作「ドリムゴート」よりはだいぶ絵も読みやすくなり、話もわかりやすくなった。
粗い部分も多いが、読むに耐えないレベルではなくなった。
ただ、残念ながら多くの謎を残したまま打ち切りとなってしまった。まだ序章段階くらいで終わっているだけに、結末の予想も難しい。


「CRY EYE」
空野晶・全2巻・マッグガーデン(ブレイド)

同級生に誘われて参加した携帯ゲームのテストプレイ体験会。
しかし、ゲームは孤島で行われるリアル殺人ゲームだった。
最初はツッコミ所満載に見える話で、中盤の伏線の張り方には引き付けられるものがあったが、話の進むスピードも遅く、化けそうで化けない作品だった。
最後は完全なる打ち切りで、非常に中途半端な終わり方だった。
作者の頭の中だけで話が展開している典型のような作品だった。
絵は割といいものがあっただけに、惜しい作品。


「くらしのいずみ」
谷川史子・全1巻・少年画報社(ヤングキング)
★ ★ ★ ★
6組の夫婦の話+1本の短編集。
全ての話が「夫婦縛り」という設定がなかなか珍しい作品集。
既に結婚した後の話なので、夫婦がお互いを見つめ直す過程が切なかったり微笑ましかったり、で癒される。
ドロドロしたものが嫌いな人にお勧め。


「グラスホッパー」
井田ヒロト・全3巻・角川書店(コミックチャージ)
★ ★ ★
殺された妻の仇をとるため、非合法組織で働きながら復讐の機会を狙っている青年・鈴木。
しかし、その仇は別の殺し屋によって殺されてしまう。そして、犯人を追ううちに様々な裏世界の人たちが関わってくる。
雰囲気は作者の「戦線スパイクヒルズ」に近いものがあり、リアリティがあるようでない現実の裏側が見られる。
最後まで読むと話の概要がわかるが、読んでいる途中だと話がどこに向かうのかよくわからないのがマイナスに感じられた。


「クラブクライム」
凛野ミキ・全3巻・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★ ★
ネコの死体ややたらと長いFAXが送り付けられ、そのストーカーに怯えた少年は全寮制の高校に入る。
しかし、その高校には少年にストーカー行為をしていた少女が通っており、少年は少女が部長を務める「殺人鬼研究部」に入ることになる。
話が進むに連れて作者が開き直ってキャラが無茶な行動に出たりするが、それが結構笑える。
ただし、それほどギャグ風味が強くもなく人がガンガン殺されたりするので、そのブラックさについていけなくなることもある。
絵はそれほど恐くはなく、読みやすいのだが。
無駄に引き伸ばさず、最後はサックリ程よい長さで終わった。
ブラックなギャグが合う人なら、楽しめると思う。


「クラリオンの子供たち」
堤抄子・全1巻・ふゅーじょんぷろだくと(リトルボーイ)
★ ★ ★
第3次世界大戦が起こった世界で生きる青年と、超能力を持つ子供たちの物語。
その他、6本の短編と宮崎駿さんの解説がついている。
作者の初期短編集なので絵にまだ不安定なところがあり、ストーリーもある種独特の感性についていけないと読んでいて辛いかもしれない。
私は好きだが。


「CLAMP学園探偵団」
CLAMP・全3巻・角川書店(ファンタジーDX)
★ ★ ★ ★
巨大学園都市である、CLAMP学園の小等部学生会のメンバー3人が、この世の女性の悩みを救うべく探偵団を結成する。
探偵といっても重々しいものではなく、シリアスな絵柄のギャグ漫画に近く、楽しく読むことができる。
事件にも意外性があっていい。
ただし、CLAMPさんの作品は現代物であると大きく横の世界でつながっているものが多く、全ての作品を知らないと内容が理解できないものもある。この作品は特にそれが強いために、評価を少し落とした。


「クリア・クオリア」
遠藤海成・全2巻・角川書店(アスカ)
★ ★ ★
徐々に四肢が腐って死に至る病が蔓延する世界。
その世界で五体満足のものは極少数で、ドナーと呼ばれて珍重されていた。そのドナーである少女は、廃棄されようとしていたロボットと自分の右目を交換する。
作者らしいストーリーとキャラ設定で、ちょっと毒のある話を読んでみたい、という人にはお勧め。
やや人を選ぶかもしれないが、一応話は完結していて伏線回収もほぼできていたので悪くはない出来だった。


「グリオットの眠り姫」
藤村あゆみ・全3巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
人里離れた森の奥で静かに暮らしていた少年たち。
それがある日、黒い騎士と魔物に村を襲われ、少年は幼なじみを黒い騎士に殺されてしまう。
少年は黒い騎士を追い、旅立つ。
「ティンダーリアの種」(タ行参照)と同様に音楽CDが原作で、作画も同じ人が担当している。
話は全く違うものだが、話の雰囲気は近いものがあり、前作が好きだった人なら買って損はしない仕上がりになっている。
ただ、最後は前作ほどきれいにまとまっておわず、やや含みのある終わり方をしていて残念。
大きな物語としては終わっているのだが。


「クリスト-橙眼のメシア-」
空のカイリ・全1巻・マッグガーデン(マサムネ)
★ ★ ★
攻撃性を持つ新種の生物・アディスを倒すことを生業とするスウィーパー。
そのスウィーパーになったばかりの青年は、アディスの住む場所で伝説のスウィーパーと出会う。
設定はかなり平凡だが、最後の盛り上がりがわりとよかったので、評価を下げないことにした。
主人公の個性が弱く、主人公が傍観的な立場であったことがマイナス。
絵は安定しているが、全体的にゴチャゴチャしていて読みにくい。


「クリムゾン・エンパイア」
双葉はづき・全3巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★
親に売られ、地下組織で育てられた少女は、とある国の第二王子のメイド長として売られた。
少女はそこで第二王子を暗殺から守りつつ、王宮の陰謀に巻き込まれていく。
乙女ゲーが原作なので、主人公の周りには様々な形で美形が絡んでくるが、それ以上にストーリーがしっかりしているので、乙女ゲーだということをあまり意識せずに読むことができる。
話の進むペースがやや遅いので、まとめて読む方がいいかもしれない。
最後は急に話が終わったしまったような感じがするが、一応1人相手が選ばれているので、乙女ゲー原作の終わりとしてはこれでいいのかもしれない。


「Crimson-Shell」
望月淳・全1巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
プルミエの薔薇の種を体内に入れられた者は狂って人を襲いだす。
その者に唯一対抗する力を持ち、同じように体内にプルミエの薔薇の種を持つ少女の物語。
設定はわりとありきたりだが、そこかしこに捻りがあり、話を面白くしようという努力が見える作品。
この作品は少々展開が早く無理やりまとめた感じもあるが、将来性に期待できる。


「クレセントノイズ」
天野こずえ・全6巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
人の心が奏でる音を聞くことができる少年たちと、人の負の望みを命と引き替えに叶えさせようとする者たちの戦いを描いた作品。
「音」という特殊能力の定義がまず面白い。
絵もきれいで制服もかわいいし、ストーリーもなかなか。
終盤の盛り上がりもかなりよかったが、唯一纏使の解釈だけ納得できなかった。
続編前提の終わり方をしているので、読後感はあまりよくない。


「紅心王子(くれないおうじ)」
桑原草太・全18巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
魔界の王子で成績優秀な少年は、密命を帯びて人間界にやって来た。
しかし、手違いで住む場所がなくなってしまい、偶然出会った少女の家に居候することになる。
掲載誌は少年誌でも、雰囲気としては少女漫画。
全編穏やかな感じで話が進んで行くので、そういった雰囲気が好きな人ならいいかもしれない。
キャラを見る作品だな、とは思う。
1巻に掲載されている読み切りバージョンの出来はなかなかのもの。
終盤に明かされる各登場人物たちの過去は読み応えがある。
長い休載期間を経て無事ハッピーエンドで完結した。


「グレペリ」
たくま朋正・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
父親がラーメン店を経営するために転校することになった少女。
その少女の元に、地球のエネルギー消費を抑えるために宇宙から派遣された生物がやってきて、一緒に暮らすことになる。
対象年齢を少し低めに設定してあるので、ドタバタの展開について行けないことがたまにある。シリアスな部分も子供っぽい感じ。
終わり方は完全な打ち切り仕様で、何の解決もないまま終わっている。
キャラに個性が足りなかったところが敗因か。
絵は描き慣れているので、読みやすい。


「クレヨンしんちゃん」
臼井儀人・全50巻・双葉社(アクション)
★ ★ ★
かなり子供離れした性格の5歳児が中心となって、近所や幼稚園を舞台に暴れるギャグ漫画。
16巻で主人公に妹が生まれ、名前付きのキャラが次第に増えていくのはギャグ漫画らしい部分。
絵はそれほど上手くはないが、それはそれでいい味を出している。
作中には様々なパロディが出てくるので、その辺りも面白い。
作者急逝のためちゃんとした最終回がないまま終了となり、続編がアシスタントたちの手で続けられている。


「CROW」
森清士郎・全3巻・一迅社(REX)
★ ★
いじめられっ子の少年が、ある日不思議な羽を拾ったことで、その持ち主の少女と共に謎の敵と戦うことになる。
序盤はベッタベタな展開が続くものの、1巻の終盤から2巻以降、グッとよくなる。
絵も次第に勢いが出てきて、構図もよくなってくる。
最後まで戦闘シーンの迫力は右肩上がりによくなっていったが、打ち切りとなってしまった。
非常に中途半端なところで終わっている。


「CLOVER」
CLAMP・全4巻・講談社(アミ)
★ ★ ★ ★ ★
退役した軍人の青年は、将軍の依頼で様々な組織に狙われる少女を、少女が望む場所へ運ぶ依頼を受けるが、その道中で様々な妨害を受ける。
描き文字が一切なく、白と黒の画面が巧みに使われていて、画面的には白い部分が多いのに、それが完璧な構図に見える。構図もストーリーも文句なし。
作品中によく登場する歌の歌詞がまたいい。


「グローランサーⅣ」
式部玲・全1巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
同名タイトルのゲームを漫画化した作品。
連載開始当初からキャラの魅力に乏しく、打ち切りとなった作品なので、例の如く話は全く完結していない。
ゲームの雰囲気などを知りたい人、もしくはゲームのファンなら参考程度にはなると思うが、それ以外の人にとっては辛い内容。
絵は読みにくくはないが、キャラの表情が全体的に硬い。


「黒神」
朴晟佑・全19巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
人間を超越した力で戦う元神霊。
その元神霊の少女に命を助けられた青年は、元神霊を巡る戦いに巻き込まれていく。
韓国の作家さんが描いているのだが、それを全く気にすることなく読める。
絵に違和感もないし、話の流れもよい。
戦闘シーンには迫力があり、設定も小出しにしてくれるので理解しやすい。
中盤でやや中だるみなところはあったが、最後はきれいに終わってくれた。
読後感もよい。


「黒執事」
枢やな・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
掃除・洗濯・料理、全てをパーフェクトにこなす執事・セバスチャン。
そのセバスチャンが仕える高飛車な英国貴族の少年との物語。
ここまでやってくれれば文句はない、というくらいのスーパー執事っぷりと、その主人である少年とのやり取りが見所の作品。
狙っていることは確かなのだが、それを通り越した域に作品があるため、嫌悪感も何も感じることなく、純粋に作品が楽しめる。
女性向けの作品ではあるが、男性が読んでもある意味楽しめると思われる。
話も常に謎を提示してくれるので、飽きることなく読み続けられる。


「クロスファイア」
藤森ゆゆ缶・全3巻・メディアファクトリー(週刊コナミ)
★ ★ ★
宮部みゆきさんの小説を漫画化した作品。
1巻は原作をほぼ忠実に、2巻は原作を漫画化したものと別の結末を用意したものの2種類が用意されている、という意欲作。
1巻は原作の要所要所を上手く取り出していて、絵も原作の雰囲気がよく出でいて、原作ファンも楽しめる出来。
2巻は、ちょっと原作を端折りすぎていて、原作ファンは不満が残るかもしれない。
アナザーストーリーはそこまで違った世界観ではなかったのがやや残念だった。ガラッと変えてほしかったところだったのだが。


「クロスボーン探偵団」
箱田真紀・全1巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
売れない探偵事務所を開く少女と、その事務所で働く人たちの話。
わりとコメディタッチの話で、作者の別の面が見られる作品。
ストーリーはまずまずといったところ。
いかんせん連載期間が短く、謎が残ったまま終わっているのが残念。


「crock clock」
ネスミチサト・全1巻・マッグガーデン(アヴァルス)
★ ★ ★
人気の時計職人の家のメイドとしてやって来た少女。
少女には大切にしている鳩時計があったが、時計職人はなぜか鳩時計の話を避けようとする。
ほのぼのする恋愛ものの話で、ちょっと長い短編という感じでサクッと読める。
絵はまだ不安定な感じがあるが、話の雰囲気と合っていて癒される感じがする。


「クロックワークガール」
ハラヤヒロ・全1巻・一迅社(REX)
★ ★
事故で亡くなった幼なじみの少女がぜんまい仕掛けのロボットとして復活する。
全編軽い気持ちで読める作品で、ややシリアスな部分もある感じ。
一応話は完結しているものの、ギャグ漫画としてオチが付いているレベルなのできれいに終わっているわけではないので注意。
絵はまだ粗いものの、読みやすい。


「クロニクル」
高河ゆん・既刊1巻(立ち消え)・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
世界人類を滅亡に追い込むウイルスのワクチンになる血液を持った少年たちが、完全なワクチンを作るために、ワクチンが作れる施設に向かう。
作者らしく、最初からいろいろな謎があって物語の中に引き込む力はある。しかしながら、敵の出現が突然だったりするので、その辺りに必然性があるのかどうかで、まだ完全な評価はしかねる。
作者によくある「1巻だけ発売して続編の掲載がないまま次の別連載が始まる」という現象で、この作品はそのまま立ち消えた。


「CHRONOS-DEEP-」
相川有・全3巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★
自分に取りつく白い影に苦しんでいた少年の元に、その影の正体を教えた上で仲間にならないかと誘う2人組が現れる。
少年は悩んだ末、2人についていくことにする。
絵は描き慣れていて読みやすいが、話は至って平凡。
特に個性が強いというわけではないので、絵が気に入れば、という感じ。
最後は打ち切り感が強く、一応完結してはいるが、無理矢理話を詰め込んだ印象。


「群青」
桐原いづみ・全5巻・スクウェア・エニックス(ビッグガンガン)
★ ★ ★
幼い頃に出会った女子高の駅伝選手に憧れた少女は、その選手が教師を務める学校に入学する。
しかし、そこには駅伝部すらなく、教師も駅伝を毛嫌いしていた。
王道を行くスポーツもので、才能のある女の子が部の立ち上げから部員集めに奔走して大会を目指す、と
いう流れ。
普通に楽しく読める作品だったのだが、部員が集まり切った辺りで打ち切りとなってしまった。
駅伝大会に向けてこれからというところで終わってしまって残念。


「ゲーマーズヘブン!」
村上真紀・既刊4巻(立ち消え)・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
ゲーム大好きな少年の元に、ある日「ゲーマーズヘブン」というゲームのβ版が届く。
少年がそれをプレイしてみると、少年はゲームの世界に入り込んでしまう。
しかも、そのゲームは現実世界とつながっており、ゲームの世界で死ぬと現実世界でもその存在は消えてしまうのだった。
全体的にテンションが高く、テンポよくサクサク読める。
作者の力量が高いので、それほど珍しくない設定でも結構話に引き込まれる。
割と楽しく読めていたものの、連載途中で休載が続いてそのまま立ち消えてとなってしまった。


「携帯寓話」
久米田夏緒・全1巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
携帯電話を使う人たちの、携帯にまつわる読み切りを集めた短編集。
時代を象徴する読み切りだな、と感じる作品が多く、もしかすると数年後はこの作品の中の常識がなくなっているかもしれない。
そう考えると、この本が発売された時代はこんな感じだった、というのを思い出すのに持っていてもいい本だと思う。


「ケーキの切れない非行少年たち」
鈴木マサカズ・講談社(くらげバンチ)
★ ★ ★ ★
少年院に収容されている少年少女はIQが70~80くらいの子が比較的多く、一般の人よりも我慢が効かなかったり思い込みが激しかったりする。そういう少年少女に向き合う精神科医の話。
実話をもとにした作品で、気付きにくいけれどこの世界にはこういう人たちがいる、というのを教えてくれる。人との向き合い方などを改めて考えるきっかけになる作品。


「激」
西川秀明・全1巻・白泉社(ワニマガジン)
★ ★
「義和拳」という拳法を使う青年が、誘拐組織に狙われる女の子のボディーガードをする話。
西川さんの作品だから買ったという代物。
原作付きの話だが、短編なため骨格の強さは感じられない。青年誌に掲載された作品なので、私には少し受け入れにくいところがあった。
西川さんについては、初期の頃と比べてどうも絵が見にくくなってしまった。
西川さんの絵は初期の頃の方が好き。


「激流血」
28ROUND・全3巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★
イジメに遭い、友人と自殺を図るものの1人だけ生き残ってしまった少年。
少年はある日ネットで死んだはずの友人がストリートファイトで戦っている画像を目にする。
友人に再び会うため、少年はストリートファイトの世界で戦い始める。
作者が格闘技を習っているためか、話にある程度のリアリティがあって、引き込まれる。
絵も結構描きこまれているので少々読みにくいが、迫力があってよい。
話としては一応完結しているものの、打ち切りのような終わり方で残念。


「ケダモノの唄」
楠桂・全2巻・少年画報社(ヤングキング)
★ ★ ★ ★
通り魔に襲われて殺された双子の妹の仇を討つため、同じ高校に転校してきた少女。
妹をいじめていたらしき7人組は、死んだ妹の影におびえて少しずつ心を壊し始める。
オカルト要素なしで描かれているので話には割とリアリティがあり、ぐいぐい引き込んでいく力がある。
作者の暗い話が好きなら読んで損はない。
ちなみに、2巻の帯にネタバレがあるので、買うときは注意。


「月光のピアス」
しもがやぴくす&みらい戻・全1巻・集英社(マーガレット)
★ ★
夢に見た場所と同じ場所で、夢と同じようにピアスを見つけた女の子が、窓から飛び込んだサッカーボールのせいで、ピアスが耳に刺さり、はずせなくなってしまう。
しかも、そのピアスは呪われていた。
藤本ひとみさん原作の小説を漫画化したもの。
小説1冊分を漫画1冊にしたために展開が早く、都合のいい展開が続く。
原作も知っているが、原作は漫画ほど都合よくはなかった。
絵は小説の挿し絵と同じ人が描いているので違和感もなく、見やすい。


「GET!」
東まゆみ・全1巻・エニックス(ガンガン)
★ ★
サッカー選手になってワールドカップに出ることが夢だった少女の夢を継いで、中学からサッカーを始めた男の子の話。
サッカーをメインにした話にしては試合の風景が少なく、見る角度が違ってまたよいのだが、絵柄はどう見ても小学生、中学生のものではない。
等身が長すぎる。
ストーリーを変えて、舞台を高校に変えた方がよかった。
絵がきれいなだけに、どうしてもギャップを感じてしまった。


「GetBackers」
綾峰欄人・全39巻・講談社(マガジン)
★ ★
奪われたものを奪い返す「奪還屋」を生業とする少年たちの物語。
ストーリーが全て丸く収まるようにしていないところはいいが、超能力を無理矢理科学的に説明しようとしているところには引っ掛かりを感じる。超能力なら超能力と割り切ってもらった方がよかった。
10巻くらいまではまあまあの出来だったが、それ以降は話を引っ張りすぎていてかなり微妙だった。
一応謎解きを終えて完結したが、もっと短くまとめてほしかった。


「Gemeinschaft」
佐伯弥四郎・全5巻・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★
モンスターや吸血鬼退治を生業とする破天荒な神父たちの話。
主役・脇役、とにかくキャラが濃く、テンポがいいのだが、絵が全体的に不安定で読みにくい。
読みにくいせいでテンポを壊していたり、話が頭に入らなかったりする部分もあるのが残念。
面白いときとそうでないときの差が激しく、最後もマンネリ化していたところを打ち切られた感じ。
せめてきれいにまとめてほしかった。


「幻影博覧會」
冬目景・全4巻・幻冬舎(コミックバーズ)
★ ★ ★
探偵を生業としている青年は、あるとき女の子の助手を雇う。
女の子は非常に有能ではあったが、素性が一切わからない謎多き人物だった。
その2人が様々な事件を解決して行く。
絵の雰囲気が大正時代の雰囲気をよく出していて引き込まれる。
話はわりとオーソドックスなので起伏には乏しいが、それなりに楽しめる。
謎が謎のまま終わってしまった感じもあるが、最後まで雰囲気は良かった。


「元気やでっ」
山本純二・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
中学で起こったいじめを、事実を元に漫画化した作品。日常の何でもないことからいじめに発展していく様子がよく描かれている。
ラストもハッピーエンドには違いないが、学校の対応の仕方などまだまだ問題が残っているので、いい意味で考えさせられる。
ジャンプで短期連載されたものだが、ジャンプとしては異色作品。絵も見やすくていい。
ただ、いじめられた女の子には親友がいたのでよかったが、そうでなかった場合の実例が多いのが現状だと思うので、事実を元にしたものでもその点は少し考慮して欲しかった。


「賢者の長き不在」
藤野もやむ・全8巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★
様々な精霊と契約をすることで王になる試練を受けている少年。
その少年と出会った数人の少年・少女の物語。
世界観が若干抽象的で、世界観に入りにくく、物語が淡々と進むので話になかなか引き込まれない。
何度か読み返すと話は理解できるし、それなりに印象的なシーンもあるのだが、作品としては中途半端な感じがした。
キャラもさほど立っていなかったし、特に盛り上がることもなく終わってしまった印象。


「幻想世界魔法烈伝WIZバスター」
てんま乱丸・全3巻・エニックス(ガンガン)
★ ★
世界が機械文明によって支配されようとしている中で、それを阻止しようと父の形見を受け継いで旅に出る少年とその仲間の物語。
原作付きだが、少しありがちな設定なので読者を引き込む力がそれほど感じられない。
最初からかなりの登場人物がいるので、覚えにくいのも欠点。
同じキャラを描くときも髪がベタだったりトーンだったりするのでわかりにくい。
また、序章であろう「旅立ち編」がやたらと長いのも気にかかる。
話はとんでもないところで切れており、他誌で続編が掲載されたりもしたが、全て中途半端に終わってしまっている。


「幻想大陸」
夜麻みゆき・全2巻・エニックス(ギャグ王)
★ ★ ★
邪神竜が復活して魔物が狂暴化した世界を旅する魔物と仲良くできる少年・魔物を憎んでいる少年・女好きな少年、の合計3人の物語。
この作品と「レヴァリアース」(ラ行参照)は大きく横の世界でつながっており、更に続編の「刻(とき)の大地」(タ行参照)がある。
ラストは「これで終わり?」と思わせるほどあっけないもので、「刻の大地」と主人公が共通なので、「刻の大地」の番外編的な位置付けと考えた方がいい。
絵柄は手が多少変な形に見えるときもあるが、やわらかくて幻想的なので好感が持てる。
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カ行-1 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)


「カードキャプターさくら」
CLAMP・全12巻・講談社(なかよし)
★ ★ ★
昔クロウという魔術師が作った魔力を持つカード「クロウカード」が封じ込められていた本を、父の書斎で見つけてしまった少女が、カードキャプター(カードの捕獲者)となり、実体化したカードをカードに封じ込めて集めていく話。
なかよしで連載されていただけあって、子供向けの漫画という感じ。また、アニメ化などを狙っているのがわかりすぎて、作者の作品が好きなだけに引いてしまった。
終わり方はよかったが、ストーリーの謎解きであまり驚かされなかったのが残念。
割と線の太い絵が中心だったCLAMPさんの作品が、この作品から折れてしまいそうなほど細くなって驚いた。


「解錠ジャンキー・ロック」
山田秋太郎・全2巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★
鍵師として鍵を開けることにすべての力を注いでいる青年。
その青年が様々な開錠に挑んでいく。
開錠を行うシチュエーションには結構無理があり、それはそれで漫画だから、と思える人には楽しめるかもしれない。
依頼者の彼女の貞操帯の鍵を開けるためにベッドに忍び込む、など首を傾げたくなるような話も少なくない。
また、作者も先を考えずに話を描いていたようで、非常に中途半端なところで終わっている。
もう少し作者が先のことを考えていてくれれば、と読み終わった後で感じてしまう。


「廻生のカリカチュア」
轟斗ソラ・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)

制服によって差別が明確化されている学園に通う少年は、存在しないはずの兄が自分をかばって死ぬ夢を毎晩見ていた。そして、1人の少女と出会うことで運命が動き始める。
ほぼ謎解きがないまま打ち切りになってしまった作品で、読んでもモヤモヤしか残らない。
不思議の国のアリスがモチーフになっているが、他の作品との差別化はあまりできていない。
絵がきれいなことだけが救い。


「怪談と踊ろう」
野沢ビーム・全1巻・講談社(シリウス)
★ ★ ★ ★
「ひぐらしのなく頃に」の作者である竜騎士07さんが原作・監修の作品。
受験を間近に控えた中学生3人組は、ちょっとした遊び心から祟りを捏造して噂を広める。
それが思わぬ事件へと発展していく。
話は1巻できれいに完結していて、原作者らしい話だな、と感じた。
絵も不気味な雰囲気がよく出ていて、わりと引き込まれた。
ちょっとしたミステリーが読みたい人にお勧め。


「階段途中のビッグ・ノイズ」
亀屋樹・全4巻・スクウェア・エニックス(ビッグガンガン)
★ ★ ★ ★
先輩の不祥事で廃部寸前に追い込まれた軽音楽部。
ただ1人残った部員の少年は、何とか軽音楽部を立ち直らせようと奮闘する。
同名タイトルの原作小説があり、話は王道ながらも吸引力があって面白い。
絵は見開きなど引きつけられる構図が多く、それを見るためだけに買ってもいいくらい。
1巻の表紙は原作小説のオマージュなので、見比べてみていいと思ったら買って損はしない。
最後もキッチリきれいに終わっていて、文句なしの終わり方だった。


「回遊の森」
灰原薬・全1巻・太田出版(マンガ・エロティクス・エフ)
★ ★ ★
それぞれが心に闇と罪を持つ7人のオムニバスストーリー。
各話の主人公には少しずつ関係がある。
人の深層心理をえぐるような話で、かなり吸引力がある。
絵もかなり色っぽく、唇に艶があるのも必見。
オカルトはないにしても、オカルト系が好きな人にもお勧め。


「ガウガウわー太」
梅川和実・全11巻・新潮社(コミックバンチ)
★ ★ ★
動物と血で接触することにより言葉を交わす力を持つ少年。
その少年が獣医師を目指しつつ、父親の経営する動物病院にやってくる動物たちの問題を解決していく。
動物と話せる、という設定以外は現実的で、いろいろな動物に対する社会問題を取り扱っている。
後半になるに連れて吸引力は落ちているが、楽しめる作品。
絵は全体的に顔がのっぺりしているのが気になる。
なお、全11巻とあるが、完結はしていないので注意が必要。


「ガウガウわー太2」
梅川和実・全5巻・一迅社(REX)
★ ★ ★
上記作品の続編。話は完全につながっているので、実質12巻目からと考えて差し支えない。
休載期間が長かったものの、絵が劣化していることもなく、普通に続き物として読める。
ちゃんときれいに終わっているので、前作の打ち切りでトラウマがある人は読むべき。


「かえで台風」
桃栗みかん・全1巻・集英社(ぶ~け)
★ ★
忍の末裔である少女は親が決めた結婚相手が気に入らなく、街へ出て自分で結婚相手を見つけ出した。
しかし、家のしきたりで自分より強い相手でなければ結婚が認めてもらえないのに、少女が見つけた相手は人がいいだけでけんかにはめっぽう弱い普通の少年だった。
設定はよくあるものでも、最後まで描き切ってくれればもう少し評価できたのだが、中途半端なところで切れているのでこの評価。
話のノリは作者らしくてよかったのだが。


「黒地旅記-カオスアイル-」
ゆづか正成・全2巻・一迅社(REX)
★ ★
大地が黒くなり、作物も何も取れなくなる呪いが世界に蔓延していた。
その大地を白く元通りにする力を持つ少年とその少年を守る少女が旅をする物語。
基本にある物語はオーソドックスで、それなりに読める作り。
ただし、コミックスで作者が、「設定も何もほとんど白紙で行き当たりばったりで描いています」というようなことを公言しているため、先行きがかなり不安になる出だしだった。
そして、案の定最後は打ち切り。
話がまとまっていないので、完結していないのと同様。
こうなってしまったのは、コミックスでの発言が原因では、とすら感じた。


「かきかけとけしいん」
たし・全1巻・一迅社(書き下ろし)
★ ★ ★ ★
親に捨てられ、学校ではイジメに遭い、性格が捻くれてしまった少年が無愛想な青年の家に預けられることになる。
主人公の少年と青年のやり取りが楽しいほのぼの系の作品。一見すぐにでも壊れそうなほど危うく見える2人の関係がなかなかよい。
主役2人の個性も強く、いつまでも読んでいたい気にさせられる。
全1巻で終わってしまっているのが惜しまれる。


「混沌(カオス)の城」
松葉博・全3巻・マッグガーデン(アヴァルス)
★ ★ ★
2012年、地殻変動により壊滅的な被害の出た地球。
それから143年後、退化した文明の中で巨大な何かを復活させようとしている者がいた。
原作が夢枕獏さんなので、それだけである程度内容が想像できる人もいるかもしれない。
退化した文明が舞台なだけに、江戸時代のような服装と迷彩服が入り乱れているので、その辺りの違和感がなくなるまでに結構時間がかかった。
しかしながら、話は非常に良くできていて、いい意味で暗い画面や残虐なシーンも出し惜しみしていないところなど、引き付けられる部分は多い。
ただし、話は中途半端なところで終わっており、中ボスを倒したところで終わってしまった感じ。
最後まで読みたかっただけに、残念。


「夏期限定トロピカルパフェ事件」
おみおみ・全2巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
小市民を目指す小鳩くんと小山内さんの高2の夏を描いた物語。
前作「春期限定いちごタルト事件」(サ行参照)と作画は変わっているが、雰囲気は同じ。
前作を知らなくても一応読める作りだが、知っていた方がいい。
軽いミステリーを読みたい人に。
続編前提ではあるが、終わり方はそこまでハッピーエンドではないので、読後感はやや悪い。


「各駅停車」
谷川史子・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
彼氏と別れて1年たった少女が、別れた彼にそっくりな男の子に告白される。
また、その話と少し共通点を持った登場人物の話が続けて掲載され、全3話のオムニバスのような感じ。
どれも、当たり障りのない話。
ただ、やっぱり絵がいいので、当たり障りがなくても読ませてくれる。


「学園革命伝ミツルギ なかよし」
行徒・全4巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★
少子化による学園の統廃合が相次ぐ中、生徒数確保のため学園の改革を試みる生徒会メンバーたちの物語。
「学園革命伝ミツルギ」の続編ではあるが、前作を知らなくても読める作り。
基本的には生徒会メンバーたちがいろんなテーマについて生徒会室などで駄弁りまくるという内容。
絵が全体的にゴチャゴチャしていてやや読みにくいが、キャラにかなり個性があるので、じっくり読むとじわじわくる面白さがある。
キャラの表情は硬いが、ギャグ漫画だと考えると、これはこれで味があっていいと思える。
最後はやや打ち切りっぽい感じではあったが、ギャグ漫画としてこの終わりならいいかな、と感じる。


「学園イトナメア」
方條ゆとり・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンONLINE)
★ ★
全寮制の高校で囁かれるネットを通じて伝わる都市伝説・ネットロア。
それをカード化してコレクションする少女の元には、他のカードコレクターや様々なネットロアが集まってきていた。
都市伝説をネットを通じて伝わらせる、というのは割と現代風にアレンジしていていいな、と思ったものの、全体的に明るい雰囲気でバトルものに近かったのが個人的には残念。
時々出てくる幽霊の登場シーンなどで怖い場面があり、それにはハッとさせられていいのだが、それ以外はいまひとつ。
「ひぐらしのなく頃に」の綿流しや目明しを期待すると裏切られるかも。
終わり方も打ち切りっぽい感じだった。


「学園天国パラドキシア」
美川べるの・全10巻・一迅社(REX)
★ ★ ★
霊感が強いのに霊を信じない少女が、霊がたくさんいる学園でいろいろな霊がらみの事件に巻き込まれる話。
作者の別作品「ストレンジ・プラス」(サ行参照)とテンションは近いものがあるのだが、こちらは少々パワー不足で、あまり声に出して笑える要素がない。
ギャグマンガとして悪くはないが、そこまでお勧めはできない。
終わり方は悪くなかったのだが。


「学園都市ヴァラノワール」
碧門たかね・全2巻・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★
同名タイトルのPCゲームを漫画化した作品。
原作がPCゲームだけあって、設定やキャラなどはいかにも、な感じのものが多い。
内容もよく言えば王道、悪く言えばベタベタな感じで、あまりお勧めできない。
終わり方も打ち切りのような感じなので、読むとしたら、ゲームの導入編を読むくらいの感じにしないと裏切られる。
絵はかわいく描けている。


「学天の嵐」
神堂あらし・全2巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★
弟を溺愛するオカマの長男がいる家庭に、見習いキューピッドに居候される家、などの個性の強いキャラたちが繰り広げる日常ドタバタコメディ。
とにかくキャラ先行の作品で、全体的にキャラだけで話が進んでいるような印象。
絵が受け入れられるのであればそれなりに読めるが、ストーリー性はあまりない。
終わり方は典型的なギャグマンガの終わり方だった。


「楽屋裏」
魔神ぐり子・全3巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
編集と漫画家のやり取りを面白おかしくギャグマンガにした話。
とにかく全編通してテンションが高く、皮肉があったり自虐ネタがあったり、でかなり楽しめる。
声に出して笑えるネタも多い。
全3巻ではあるが、続編もある。


「楽屋裏-貧乏暇なし編-」
魔神ぐり子・全3巻・一迅社(ゼロサム・WARD)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。
基本的な内容は同じだが、漫画家デビューしてから10年、未だ連載の持てない井上さんを主人公にした「漫画家デビューはしたけれど」も同時収録されている。
個人的には「漫画家デビューはしたけれど」の方が好き。
猫漫画になりつつある部分もあるが、それもそれで面白く読める。
前作から通算連載100回目で最終回となり、特に最終回らしいこともやらなかったが、スパッと終わったのは潔かった。


「賭ケグルイ」
尚村透・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
ギャンブルが推奨される学校にギャンブル狂の少女が転校してくる。少女は大金をかけた様々な特殊ルールのあるギャンブルに挑んでいく。
ギャンブルに勝ったとき、負けたときの顔芸を楽しむ作品。
ギャンブル自体も一捻りされているものが多く、そちらも楽しめる。
登場キャラも個性が強くていい。


「賭ケグルイ双」
斎木桂・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
上記作品のスピンオフ作品。
上記作品は主人公が高校2年生だが、本作はクラスメイトのサブキャラ・早乙女芽亜里が1年生のときの話となっている。
本編主人公の夢子が運にも頼るのに比べて、芽亜里は徹底した合理主義者で確率的に分のいいものを取っていくところが差別化されている。
絵柄も本編に近いものがあり、違和感なく読める。


「賭ケグルイ妄」
柊裕一・全4巻・スクウェア・エニックス(マンガUP!)
★ ★ ★
上記作品のスピンオフ作品。
サブキャラ・生志摩妄が主人公。
本編が始まる少し前、妄が美化委員長になった直後の話で、運や戦略関係なくその場の勢いでギャンブルをしていく姿が描かれている。
話があまり広がらないまま中途半端なところで終わってしまった印象があり、本編との関わりも希薄で微妙だった。絵はきれいなのだが。


「陽炎ノスタルジア」
久保聡美・全5巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
戦乱の時代に生きる少年たちの物語。
ストーリーは久保さんが描く中で1番好きな戦国時代のもの。キャラも非常によく立っているので、人物の把握がしやすい。
絵はコミックスではかなり修正されていたが、やや見にくさが残る。
ストーリーがかなり盛り上がってきたところで一旦打ち切りとなったが、「新章」として続編が発売された。


「陽炎ノスタルジア-新章-」
久保聡美・既刊3巻(打ち切り)・マッグガーデン(コミックブレイド)
★ ★ ★
上記作品の続編。
冒頭にあらすじはついているが、完全なる続編で新作とは考えない方がいい。
中途半端なところから始まっているので、前作を知っていることが大前提。
話としては前世の謎解きが始まった辺りで立ち消えとなってしまった。
長い休載期間後に1話だけ続編が発表されたが、以後音沙汰なし。


「がじぇっと」
衛藤ヒロユキ・全3巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★
機械をいじるのが得意な少年の元に、あるとき憧れの女の子がCDプレイヤーを直してほしいと持ちかけてくる。
そのプレイヤーを直そうと機体を開けると、そこにはあるはずのない回路が存在していた。
それ以来、少年の周囲で不思議なことが起き始める。
設定はわりと珍しいが、特に面白いということはほとんどなかった。
前半に比べると後半はわりと盛り上がった感じがしたが、盛り上がりきる前に終わってしまった印象。
時代も現代なので、妙に丸っこい登場人物にも違和感があった。


「カジカ」
鳥山明・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
罪もない狐を殺してしまい、その呪いを受けて1000匹の生き物の命を救わないと呪いが解けなくなってしまったカジカ。
カジカはその旅の途中で、世界でたった1匹だけ残った竜の卵を研究所まで届けてほしいという依頼を受ける。
1巻できれいにまとまっている作品。
ストーリーは最後がそれほどよくないもののなかなかよいし、鳥山さんらしいアクションも多くて楽しめる。


「かしずき娘と若燕」
高透レイコ・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★
両親を亡くし、叔母の家に居候して家事全般をこなす少女は、神社で行き倒れている青年に出会う。
その青年を気まぐれで助けてしまったのが運の尽き。
青年に懐かれ、同居することになる。
シリアス半分、コメディ半分、という感じで、普通ではあり得ないようなシチュエーションを楽しむ作品。
退魔師物の要素も入っているが、意外と早く連載終了したため、退魔師物要素は消化不良のまま終わってしまった印象。
話は一応まとまっているが、最後は駆け足で打ち切り感はぬぐえない。
絵は不安定だが、かわいらしい。


「花燭の白」
高山しのぶ・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
体に花を咲かせ、それが鬼の食事となる花燭となった少女と鬼の物語。
舞台設定は大正頃となっていて、街の雰囲気などがいい感じに再現されている。
自分に自信の持てない主人公が鬼に見初められて戸惑いながらも愛される、という基本設定が理解できれば割と楽しく読める。普通に読むだけだとそこがわかりにくい。


「風追い人」
しっちーしちだ・全1巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
世界樹に守られた世界で、世界樹の作り出す生命の源・水精気を操る”風解き”と呼ばれる人々の物語。
世界観の設定、ストーリーの運び方も非常にいいのだが、中途半端なところで終わっているので、この評価。
あと1巻分話が続いていればきれいにまとまったと思えるだけに、残念。
作者にとってはこれが初めての連載だったが、画力は最初からかなり高く、絵に迫力もあるし、構図が息を飲むほどきれい。


「風の谷のナウシカ」
宮崎駿・全7巻・徳間書店(アニメージュ)
★ ★ ★
大規模な戦争によって崩壊し、ゆっくりと滅びて行く世界でそれでも戦争を止めない人々。
そんな世界で、世界をどうにか救おうと戦い続ける少女の物語。
アニメ映画として有名な作品で、原作を知りたいと思って買った本。
映画になっていたのは2巻の途中までで、原作は映画よりももっと複雑な設定。
ただ、映画の演出がよかった分、そこが原作でそっけなかったり、終わり方も完全に納得できるわけではなかったので、映画ほど好きになれなかった。
人が死ぬべきところで死んだり、アクションシーンに迫力があるのは好きだったのだが。


「風の魔道士」
上田信舟・全1巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
FCソフト「ファイアーエムブレム」に登場するマリクとミネルバを主役にした短期連載作品。
ファイアーエムブレムがSFCに移植される前に描かれた作品なので、作者のキャラの捉え方がSFCの印象と異なる。
また、かなり昔の作品なので、表紙と中身との絵にかなりのギャップがある。
上田さんのファンになら、という本。


「カッコカワイイ宣言!」
地獄のミサワ・全5巻・集英社(ジャンプSQ)
★ ★ ★
世界で1、2位を争うくらいの美貌を持つドジっ子少女や、そのほかいろいろな人の物語。
表紙を見ればわかるが、世界で1、2位を争う美貌と言ってもかなり不細工なのだが、作中では本気で美人として扱われている。
とにかく合う人、合わない人が極端に分かれると思われる作品なので、買う前にネットで「地獄のミサワ」を見ておいた方がいい。
それが面白いと思えば、買って損はしない。
とにかく全編ネタとして割り切って読む必要がある。
終わりも唐突でシュールだった。


「かつて魔法少女は悪と敵対していた」
藤原ここあ・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
オラオラ系マスコットに魔法少女にされてしまった貧乏少女が、悪の組織の幹部に一目惚れされて、敵対しているように見せかけて愛されまくる、という話。
テンポのいいギャグと個性的なキャラが魅力で、確実にアニメ化されるくらいのクオリティがあった。
しかし、作者急逝のため打ち切りとなってしまった。それが非常に惜しまれる作品。


「カッパときのこ」
魔神ぐり子・全1巻・一迅社(アルカナ)
★ ★ ★
擬人化したカッパときのこが、いろいろなテーマをもとにひたすら駄弁る話。
ほぼアルカナに掲載された話なので、アルカナを集めている人にはほぼ見覚えのある話になっているのが残念。
ただ、描き下ろしがかなりあり、それがわりと面白いので、作者が好きなら描き下ろし目当てで買ってもいいくらい。


「カナシカナシカ」
紺野キタ・全1巻・新書館(Wings)
★ ★ ★ ★ ★
幼い頃から誰かの気配を感じていた少年・藍はある日異世界に迷い込んで不思議な少女・すずろと出会う。
異世界に迷い込む話としては珍しく、きれいに1巻で後腐れなく完結している。
話がきれいに終わっている分、読後感もいい。
絵も幻想的で切ない雰囲気があってよい感じ。


「彼女の腕は掴めない」
理央・全3巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
体の欠損を愛するというアポテムノフィリアの青年が、生まれつき両腕のない女子高生をたまたま街で見かけて誘拐してしまう。少女は逃げ出すことのできる状態でも逃げ出さず、青年と暮らすことにする。
第1話にかなりインパクトのある作品だっただけに、その後は尻すぼみな感じになってしまったのが残念。
青年と少女の微妙な距離感は割と良かったのだが。


「カノジョは官能小説家」
後藤晶・全6巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
官能小説雑誌の編集部に配属になった新人編集の青年は、彼自身もファンである官能小説家の担当になる。
作者に奴隷のように扱われながらも、いいものを世に出そうと青年は奮闘する。
官能小説をテーマにしているところが珍しく、エロの描写もさほど気にならないので、わりと女性でも気軽に読める作り。買い難い表紙ではあるが。
後半になるに連れ話がシリアスになってきて、引き込まれる部分も増えてくる。
大団円ではない終わり方もよかった。


「Capricious Bullet」
浅田やすか・全1巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
荒廃した世界で探偵業を営む青年2人と少女。
いろいろと失敗しながらも3人は依頼をこなしていく。
ひたすら王道を行く作品ではあるのだが、作品のところどころにある小ネタで笑えるところがあって、そのためにコミックスを買った感じ。
絵は安定しているので、絵が気に入れば買ってもいいかも。


「かみあり」
染谷カイコ・全9巻・一迅社(REX)
★ ★ ★
世間では神無月と呼ばれる10月。しかし、出雲では神様が全国から集まる神在月。
そこで少女たちは様々な神様と出会う。
世間一般に知られている神様からマイナーな神様まで、いろいろと扱ってくれているので割と飽きることなく読める。
基本的にのんびりとした話なので、穏やかな話が読みたい人に。


「神クズ☆アイドル」
いそふらぼん肘樹・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
顔はいいのに全くやる気のない男性アイドルに、夢半ばで事故死してしまった女性アイドルの霊が取り憑く。2人は時々入れ替わりながらアイドル活動を続けることになる。
全くやる気のない主人公とやる気に満ち溢れるヒロインのギャップを楽しむ作品。
絵はあまり上手くはないが、話のテンポはよく、楽しく読める。


「神作家紫式部のありえない日々」
D・キッサン・ゼロサム(一迅社)
★ ★ ★ ★
夫に先立たれて同人誌を書くことで寂しさを紛らわせていた女性に、断れない宮仕えの話が来る。中宮の教育係となった女性は藤式部という名前を与えられ、公認同人活動を許されて源氏物語の続きを書くことになる。
舞台は平安時代だが、セリフには結構な横文字が使われているので、その辺りのノリが合わないときついかもしれない。極端に現代語訳されていると思った方がいい。
背景や当時の生活様式などは結構しっかり描かれている。


「神さまのつくりかた。」
高田慎一郎・全14巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★ ★
15年間女だけの別空間・一神殿で育った、戦神子になる予定の女の子が、男に会いたいがために現実世界へ未熟のまま逃亡。
そこでは倒すべき敵として15年間教え続けられた遊風稜(ゆせみ)と、それに関わる敵が待ちかまえていた。
日本的な絵に好感が持て、ギャグとストーリーのバランスがよい作品。
連載開始当初は、今までの読み切り作品にそれほどギャグが登場していなかったので、ギャグの多さにビックリした。
ストーリーに大きな矛盾はなく、謎解きに驚かされたことも多かった。
全14巻できれいにまとまっており、名作に入ると思う。


「神の名は」
楠桂・全3巻・角川書店(少女帝国)
★ ★
姉願いにより、姉の幸せと交換に不死を手に入れた少年が、日本の神と共に異国の神と戦う。
設定が「3×3EYES」(サ行参照)と若干かぶって見えたのと、作者が作る他の話と似たり寄ったりのところがあったのでこの評価。
特に悪いところはないのだが、終わり方はいまひとつ。


「カミヨミ」
柴田亜美・全15巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★ ★
強い意志を残した遺品から死者の霊を呼び出す力を持つカミヨミ。
カミヨミとして日本最高の力を持つ少女、その婚約者、少女の双子の兄など、カミヨミの力に関わる人たちの物語。
シリアスがメインの話ではあるが、伏線がしっかりと張られていて、引き込まれる内容。
登場人物は多めだが、キャラがそれぞれ立っているので読みやすい。
連載初回から提示されていたテーマは最後までぶれることがなく、キッチリきれいに終わった。
名作の域に入ると思う。


「KAMUI」
七海慎吾・全11巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★ ★
2度の大地震で崩壊した日本。そこに突如現れたアタナンと呼ばれる巨大な化け物。
そのアタナンと唯一素手で戦う術を持つNOAという組織で戦う若者たちの物語。
設定自体はよくあるものかもしれないが、キャラがよく立っているのと、設定も骨組がしっかりしているので非常に引きつけられる。
絵も読みやすい。
中盤までは最高評価をあげていいくらいの個性ある展開だったのだが、最後が平凡で残念。
あと1歩踏み込んでほしかった。


「仮面ライダーSPIRITS」
村枝賢一・全16巻・講談社(マガジンZ)
★ ★ ★ ★
世界各国で仮面ライダーとして悪と戦う男たちの物語。
一見、TVシリーズのように日本で悪の組織と戦う一人の男の話のように見えるが、世界各国で戦っている仮面ライダーたちの話を描いているので、漫画でしか出来ないことをやっていて好感が持てる。
また、単なる勧善懲悪だけではなくて、人間ドラマも入っているし、画力も高いので安っぽく見えることもない。
熱い漫画が読みたい人にお勧め。


「COLOR MAIL」
藤原カムイ・全1巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
全ての色が奪われてしまった世界で、色を取り戻すべく人間化した動物と旅をする少女のお話。
ストーリーに合わせ、色が取り戻されていく度に色が付いてくるコミックスの作り方がわかりやすくてよいのだが、いかんせん1800円では値段が高い。
作者のファンでどうしても読みたい、という場合以外は買わない方がよいかもしれない。


「機関夢想幻戯セクシオンドール」
時狩秘都・全4巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
人形師の青年と、その青年が造った人形の少女が日々起こす騒動が中心の、シリアスとギャグの中間作品。
登場するキャラのほとんどがかなり変わっているので、それを見るのが楽しい。
絵は完成されているようだが、横顔に違和感があった。
終わり方は王道的なもので少々残念だった。


「ガラス色のBOY」
あいざわ遥・全2巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
仲のいい幼なじみの男女の恋物語。
女の子は勉強もスポーツもできて、容姿が格好いいので女の子にもてる。
男の子はサッカー好きでまあ普通の子。
「制服のBOY」の続編ではあるが、前作を知らなくても読める。
典型的な恋愛少女漫画なので、もう少し評価を落とそうと思ったが、私の好きな設定「幼なじみ」があること、絵がきれいなこと、を考慮してこの評価になった。


「CARAT!」
渡辺祥智・全2巻・マッグガーデン(ZEBEL)
★ ★ ★
ある魔法世界で起こった王位継承問題。眠ったままの王子を目覚めさせた者が王になるのだが、仲のよい継承候補者はお互いに戦えない。そこで、人間の代理人を立てて争わせ、勝った方が継承権を得るということにした。
魔女っ娘ものの話だが、いい意味でバカバカしい話で、変身の魔法が「肉うどん」だったり、対する魔女っ娘が男だったり、とここまでやってくれれば文句はない、というくらい弾けている。
絵もきれいで読みやすい。
2巻で割ときれいに終わっている。


「カラフルパレット」
あいざわ遥・全5巻・集英社(クッキー)
★ ★ ★
彼のことが信じられなくなって新しい恋人と付き合い始めたが、新しい恋人は彼女を束縛し、そのうち暴力を振るうようになっていった。
その後、暴力男と別れてよりを戻したが、彼女の前には様々な障害が立ちはだかった。
読み切り作品よりも話の流れに説得力があり、都合のいい展開もそれほど目立たなかった。
大学生~社会人にかけての等身大の女の子の姿を描いているところは評価したい。
ただ、終わり方が微妙で、一応決着はついているものの、話の先に様々な障害が見えた。


「瓦礫の楽園」
吉川博尉・全1巻・ラポート
★ ★
短編8本が収録してある短編集。
どれもそれほどページ数がないため、これで終わり?、と思ってしまう作品が多いので評価を落とした。
絵は最近の作品ほど暗い感じのいい雰囲気を出していてよい。
この短編集を再編集した「パノラマアワー」(ハ行参照)という短編集もあり、作者の短編集は「パノラマアワー」の方がお勧め。


「ガレリオのモザイク」
清野桂也・全3巻・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★
人工的な魂を持ったモザイクと呼ばれる人形。
その中でも最高傑作と言われた7体のガレリオが作ったモザイク。
そのうちの2体である2人のモザイクはレンタル家族という商売をしていたが、あるときモザイクの存在意義と自分のあり方に疑問を持った1人が姿を消す。
よくある人工生命体の話を描いた話ではあるが、そこかしこにわりと珍しいと思える設定があったり、設定がしっかりしているところがあったりするので、そこが評価できる。
しかし、中盤から作者が制御できないほどキャラが暴れているのがわかり、そこがマイナスに響いてしまっている。
ハッピーエンドではあったが、中盤から話がわかりにくくなってしまい、残念。
絵は全体的に不安定ではあるが、読みにくくはない。


「GUNSLINGER GIRL」
相田裕・全15巻・メディアワークス(電撃大王)
★ ★ ★
虐待などを受けて障害者となった人に機械の体を与え、洗脳して裏社会の仕事をさせる組織があった。
これは、そこで働く3人の少女たちの物語。
なぜ洗脳されるのは女の子ばかりなのかとか、機械の体という設定に違和感を覚えたりするので評価は高くしなかったが、話そのものは結構読ませてくれる。
洗脳されているということを上手く利用しているし、1話完結式の話が必ずしもハッピーエンドではないところがいい。
絵はすっきりしていて読みやすい。
後に擬体のキャラ達も増えていき、その中で死んでいく人もいて、しっかりと時間が経過しているのがわかる流れはよかった。
反面、中盤は少し中だるみしていたように感じた。


「かんなぎ」
武梨えり・全12巻・一迅社(REX)
★ ★ ★
近所の神社にあった切り倒されたご神木で、少年は木彫りの人形を作った。
すると、その人形の中から女の子の神様が出てきた。
話は典型的な萌えを狙ったもので、ヒロインの天然っぷりやライバルの幼なじみやヒロインの妹との対決を楽しむ感じ。
作者急病により長い休載期間があったが、終盤はシリアスな展開もあり、最後はきれいに完結した。


「神撫手」
堀部健和・全2巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
母親が描いた名画の贋作を集めるため、泥棒となった少年。
その中で少年は神撫手という特殊能力に目覚め、母の絵に残されたメッセージを辿っていくことになる。
絵はわりときれいで、話もわりと面白いのだが、キャラの特殊能力がどこかで見たものであったり、話そのものの厚みがないなど、気になるところは多い。
打ち切り作品であるため、中途半端に終わっているのが残念。


「かんぱち」
結城心一・全10巻・一迅社(REX)
★ ★
「かんなぎ」(上記参照)のスピンオフ(?)作品。
魚のカンパチが小さなナギの形で顕現する。
原作者公認の作品なので、原作が好きなら買って損はしない。作者は本家「かんなぎ」にもおまけページで登場していたりもする。
原作の休載期間中に連載され、思いの外長く続いた印象。


「がんばらなくっチャ!」 仲尾ひとみ・全7巻・スクウェアエニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
悪魔になるための最終試験で、人間と契約して3日分の寿命をもらうために人間界にやってきた悪魔の少女。しかし、契約した相手は人間ではなく悪魔で、試験は不合格となる。
けれど、特例措置として再試験を行うこととなり、その間人間界で契約した悪魔と一緒に暮らすことになる。
キャラ設定以外にも、悪魔とバレないように学校に行ったりするなど、けっこうベタベタなところが多い。
しかし、その後の展開でキャラの個性が出てきたり、ギャグがそこそこ面白かったり、とそれなりの成長を見せてくれた。
絵はまだまだ発展途上だが、こちらもそれなりに成長した。
興味がある人はせめて4巻くらいまで諦めないで読んでほしい。


「がんばれ!消えるな!!色素薄子さん」
水月とーこ・全12巻・一迅社(REX)
★ ★ ★ ★
存在感が非常に薄く、バス停でバスが止まってくれなかったり、自動ドアが反応しないのは日常茶飯事の色素薄子さん。
そんな彼女の日常を描いた作品。
存在感が薄すぎる、というのを主役に持ってきたありそうでなかった作品。
話の雰囲気は穏やかな感じで、それほど大きな事件はないものの、飽きることなく読める。
絵はスッキリしていて読みやすい。
色素薄子さんの大学4年間を描き切って最終回となり、なかなかにいい終わり方だった。


「GUN BLAZE WEST」
和月伸宏・全3巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
中世アメリカで西の果てにあるという「ガンブレイズウェスト」を目指して旅する少年の物語。
前作「るろうに剣心」(ラ行参照)で美形を描き飽きたせいか、登場人物の見た目は個性的なものが多い。
しかし、そのキャラに魅力を感じられない。
話もそこかしこに別作品の影響が見受けられたり、進むに連れて時代考証もめちゃくちゃになっていって、終わり方も打ち切りそのものだった。
前作が好きだった人なら、むしろ買わないほうがいい。
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