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カ行-2 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)


「騎士団長島耕作」
宮本福助・全3巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
島耕作シリーズのスピンオフ作品。
異世界の騎士に転生した島耕作。異世界なのに彼の近くには前世で見知った顔が多くあり、前世の知識を活かして問題を解決していく。
一見するとイロモノの異世界転生系の話だが、なかなかどうして、結構面白く読める。
本編の人間関係を知っていた方が面白く読めるが、知らなくてもわかるように描かれている。
食わず嫌いせずに読んでみるといいかも。


「キジムタン」
篠原花那・全1巻・エニックス(ステンシル)
★ ★
卑弥呼の血を引く強い力を持った巫女の妹として生まれた少女。
巫女の妹としてしか見られない状況から抜け出すために、少女は旅に出る。
旅立つきっかけとなる第1話はいいのだが、それ以降がただ化け物を退治するだけで終わっており、話としては何の解決にもならないまま終わってしまったことが惜しい。
暗い雰囲気の絵などは好きだったのだが。


「キズナ」
結城稜・全2巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)

幼い頃に家族を失いながらも気丈に生きている女性。
しかし、母親が死んだ21歳の誕生日を迎えると、不思議な夢を見たり、近しい人が死んだり、と様々な事件が起こり始める。
話の吸引力はそれなりにあったものの、何の解決も見ないまま打ち切りとなってしまった。
謎解きが1つもない状態での打ち切りで、再開の見込みもない。
あるとしたら別雑誌で、ということらしい。
絵は読みやすいのだが……


「キスの髪飾り」
あいざわ遥・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
好きな男の子に何度も告白してやっと付き合ってもらえるようになった女の子が、本当は男の子に好かれていないのではないかといろいろ悩む話。
作者の前作「ラフィアのリボン」(ラ行参照)でこの作者はもうダメか、と思ったのだが、この作品はなかなかよい。同じ収録の作品も含めて、絵もストーリーも作者らしさが出ていて良かった。


「寄生虫」
渡千枝・全1巻・講談社(KCBL)
★ ★
人気作家で姉のゴーストライターをしていた女性が不思議な青年と出会ってから運命が明るい方向へ向かい出すのだが、姉の死をきっかけに青年に対して疑惑を持ち始める。
渡さんの作品の中では、少女漫画というよりももっと大人向けに描かれたもの。
タイトルの作品の他にも2作品掲載されているが、どれにも似たような展開が含まれているのが減点。
話を必ずしもハッピーエンドに持っていかないのは、評価できるのだが。


「牙の旅商人」
梟・既刊7巻(連載中断中)・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
魔物が跋扈し、山賊が横行する世界で開拓民の馬車が山賊に襲われた。
その中で唯一生き残らされた少年は、瀕死のところを美しい武器商人に拾われる。
かなり描き込まれていながら決して読みにくくなく、むしろ読みやすい絵柄に好感度大。
キャラの描き分けもかなりよくできていて、グロいゾンビからかわいい王女まで幅広い。
話もしっかり捻られていて、単純な話になっていないところがいい。
話がこれからというところで連載が中断され、再開の見込みが未だないのが残念。


「キミキス」
黒井みめい・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★ ★
同名タイトルのPS2ソフトを漫画化した作品。
ヒロインの1人・星乃結美にスポットを当てた話だが、他のヒロインも出てきて、原作を知っている人もそうでない人もわりと読める話になっている。
ただ、内容は少女マンガそのものなので、読んでいるとちょっと恥ずかしい。
絵は不安定だが、読みにくくはない。


「キミキス after days」
佳月玲茅・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★ ★
上記作品とは作画もヒロインも変えた作品で、スポットが当たっているのは二見瑛理子。
結構狙っているシーンが多く、そのためのシチュエーションをわざと作っている印象。
絵はかわいらしく、わりと読みやすい作りになっている。
ただ、最後のまとめ方はちょっといろいろ飛ばしすぎだなぁ、という感じもした。


「キミと死体とボクの解答」
ヨゲンメ・全3巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★
他人には見えない死体を見ることのできる青年と少女。
心が死んだときに現れるその死体は、心が救われると消える。
2人は見えない死体の心を救おうと日々奔走する。
全体的に暗い雰囲気の絵と話だが、死体が生まれるに至った過去の話の出来が非常によい。
切ない話と絵も雰囲気がマッチしていて、グイグイ話に引き込まれる。
やや人を選ぶかもしれないが、切ない話が好きな人にはお勧め。


「君と僕。」
堀田きいち・全17巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード→Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
個性的な4人の高校生たちの日常を描いた作品。
やわらかい雰囲気が非常によい作品で、癒し系の雰囲気がありながらも、内容は結構毒々しい、というギャップが楽しい。
絵はすっきりしていて読みやすいが、背景がかなり白いのもまた気になってしまう。
話は長期休載を経て、無事完結。
休載の影響からか、3年生の後半部分がごっそり存在しない状態になってはいたが、作中の恋愛関係を一通り整理して卒業式で終わっている。休載前後での絵の変化もほぼないので、その辺りは違和感なく読める。


「君と僕の街で」
谷川史子・全1巻・集英社
★ ★ ★
各駅停車と同様、まず1つの作品に主人公たちがいてそれに関わった人たちが次の話の主役になるという展開で、全5話。
無理矢理関係づけている気がしないではないが、恋が必ずしも主人公の思い通りにならないという展開もあったので、その点と合わせてプラスマイナス0。この評価となった。


「きみのことすきなんだ」
谷川史子・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
魚が大嫌いな女の子を好きになった魚屋の男の子の話。
タイトルになっている話は面白いが、その他に収録されている短編がそれほど面白くもないのでこの評価。特に、2話目は途中で突然話が変わるので、区切りをもっとはっきりしてほしかったし、もしくはもっと流れるような展開にしてほしかった。


「きもち満月」
谷川史子・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★
好きな先輩と両想いになりたいために、好きなもの断ちを決心して大好きな「豆腐」に触れもしないと決めた少女が、その豆腐を頭からかぶってしまい、そのショックで頭に白くて四角いものをのせると怪力が出せるようになってしまう。
発想はいいと思うが、ラストが気に入らなくてこの評価。物語が中途半端に終わってしまったという感じがする。
タイトルと無理矢理結びつけたと感じられるラストはやはり気に入らない。


「虐殺魔法少女ベリアルストロベリー」
倉藤倖・全2巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
悪魔によって侵食された人間界。人間は肩身狭く生きていた。
それを見かねた天界は、人間に力を与えて人間の味方をしようとするが、その力を得て魔法少女となった少女はいきなり人権ある悪魔を殺してしまい、追われる身となってしまう。
ちょっと捻った魔法少女もので、原作は日日日さん。
絵はまだまだ安定感に乏しいが、ストーリーの力でかなり読める作品になっている。
しかし、残念ながら最後は打ち切りで終了。
話として面白かっただけに、悔やまれる。


「逆襲!パッパラ隊」
松沢夏樹・全8巻・一迅社(REX)
★ ★
「突撃!パッパラ隊」(タ行参照)の続編だが、設定上前作の200年後ということで、キャラに共通点はあまりない。前作を知らなくても読める。
ただ、序盤のギャグが外しすぎていてきついのと、話も悪い意味でバカバカしく、ついていけないことも多い。
後半になるに連れ、そこまで悪くはなくなってはいるが。
最終エピソードのみ、面白いと感じる。


「キャタピラー」
匣咲いすか→速水貞時・全11巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★
「アラクニド」(ア行参照)のスピンオフ作品で、芋蟲と呼ばれる女性の殺し屋が主人公の話。時間軸としては「アラクニド」の1年前の話とのこと。
「アラクニド」とそこまで画質に差異はなく、「アラクニド」にも芋蟲が登場するので、「アラクニド」を読んでいるなら買って損はしない。
他にも共通するキャラが何人も出てくる。
反面、この作品だけだと、基本的な用語などを飛ばしているのでちょっと話がわかりにくいかもしれない。
作画の匣咲いすかさんが連載途中で亡くなったため、以降は作画を変更して連載が完結した。
なお、話としては「ブラトデア」に続いているので、世界観としてはここで完結しない。


「CASH」
川添真理子・全1巻・新書館(WINGS)
★ ★
ここ最近非常に運のよくなった少年は、ある日学校の大和撫子として有名な少女にデートに誘われる。
しかし、そこで少年は少女が学校では猫を被っていただけだと知り、また、少女に貧乏神が取り付いていることを知る。
タイトル作品の他にもう1作品収録されている。
タイトル作は今ひとつな印象で、もう1作はギャグ系の話でわりとはじけていて面白いのだが、今一歩。
総合しても今一歩足りない。
絵は多少ごちゃごちゃしているものの、読みにくくはない。


「キャッツ アイ」
北条司・全18巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
父の行方を探すために、父の作品を盗む3姉妹の怪盗キャッツアイとそれを追う刑事の物語。
泥棒と刑事という逆境恋愛はこの話が元祖だと思う。
アニメが好きでコミックスを買ったのだが、アニメと漫画では設定が違っている部分が結構あり、アニメからこの漫画に入ったので不満が残る。
また、絵が未完成なために見にくく、最後の方は多少よくなってきたが、首と顔の境目が線で描かれていない角度の顔が多用されていて、その顔はすごく変。
ラストもそれほど納得できなかったので、評価は低くなった。


「Q.E.D.」
加藤元浩・全50巻・講談社(マガジングレート)
★ ★ ★ ★
15歳にしてアメリカのMITを卒業した少年が、自分の身の回りで起きた様々な事件を解決して行く話。
ジャンルとしては推理ものだが、殺人事件を扱っているものばかりではないところに好感が持てる。
人物の設定上、主人公が難しい知識を披露しても気にならなく、謎解きに強引さもないし、やたらとセリフが多くなることもない。
今まで読んだ推理ものの中で1番面白かった。
オイラーの公式、リーマン予想を説明してくれる話が特に印象に残っている。
50巻の時点で一旦コミックスとしての区切りがついたが、タイトルを変えてそのまま続編が連載されている。

「Q.E.D.iff」
加藤元浩・講談社(マガジンR)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。
タイトルが変わっても、登場人物たちが進級したりはしていない。
実質1巻が前作の51巻目のような感じなので、前作が好きならそのまま読み続けて問題ない。


「究極超人あ~る」
ゆうきまさみ・全9巻・小学館(サンデー)

アンドロイドのあ~る君が高校の光画部(写真部のようなもの)でいろいろな騒動を巻き起こすギャグ漫画。
人気があるらしいので読んでみたのだが、私には合わない作品だった。
ギャグなど別段面白くないし、読んでいて飽きてしまった。
何度か読めば面白くなるのかと思って何度も読んでみたが、結局面白くはならなかった。


「キューティクル探偵 因幡」
もち・全19巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
元警察官で毛フェチの探偵・因幡。
イタリアンマフィアのヤギと戦いつつ、それなりの日々を過ごしている。
声に出して笑えるほどではないが、思わずニヤニヤしてしまう笑いがたくさんある作品。
読むとそれなりに満足感が得られる。
それなりにシリアスな展開もあり、ストーリーはきれいに完結した。


「QP エンジェル」
南京ぐれ子・全3巻・エニックス(ステンシル)
★ ★ ★
骨董屋の奥に備え付けてあるポストに恋の手紙を出すとその恋は必ず成就するという。
そのポストに出された手紙を配達する2人組の話。
全体的にはギャグ系の話で、結構勢いがあって楽しく読める。
都合のいい展開もあるが、勢いで何とかカバーしている。
終わり方は雑誌休刊のせいで打ち切りの雰囲気があるが、悪くはない。
絵は若干不安定な感じもするが、読みやすい。


「教国のレクエルド」
もち・全2巻・スクウェア・エニックス(Pファンタピー)
★ ★ ★
「魔女の下僕と魔王のツノ」(マ行参照)のスピンオフ作品。
本編主人公のアルセニオとサウロの過去が描かれている。
ここから本編につながっていくので、そこまで後味のいい終わり方にはなっていない。あくまで本編を読んでいる人向け。ただ、本編を読んでいるなら買って損はしない内容になっている。


「教室のミラージュ」
浦川まさる・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★
ある日、川で溺死した女の子とそっくりの女の子が同じ学校に転校してくる。
死んだ少女のことを知る人たちは、死んだ少女が復讐にやってきたのではないかと疑心暗鬼に陥る。
殺人事件も起こるが、なにぶん登場人物が少ないので犯人の断定はすぐにできる。
死んだ少女とそっくりな女の子は、実は双子の妹だったという設定はありきたり。
もうひと捻りあってもよかったのではないかと思う。


「共鳴せよ!私立轟高校図書委員会」
D・キッサン・全4巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
とある高校の図書委員たちが、図書室などで日々暮らす話。
変わり者の図書委員たちがいるのはお約束だが、日常でのあるあるネタが多く、読んでいて結構楽しめる。
絵もわりと安定していて、読みやすい。


「きょうもみんな、おえかきがすきです。」
赤夏・全1巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★ ★
10年前に事故で亡くなるはずだった少女は、父親が悪魔と契約したことにより、父親の命を引き換えに生き返った。
ただし、瞳は悪魔のものを10年の期限付きでレンタルしたため、悪魔が瞳を取り返しにやってくる。
少女は契約を無効にするため、悪魔に戦いを挑む。
主人公の少女とその父親の絵に対する狂気のような執着心の描き方が素晴らしい。
人の狂気のようなものを描かせたら本当に作者は上手いと思う。
本来はもう少し続くはずの話だったようで、やや中途半端に出てきているキャラもいるが、その割にはきれいにまとまっていてよい。


「京洛れぎおん」
浅野りん・全5巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
受験のため京都市内を訪れた少年。そこで少年は自分にしか見えない不思議な化け物と出会う。
その力のため、正義の味方に選ばれた少年は学生生活の合間で化け物退治をすることになる。
化け物を退治するというメインストーリーより、生活感あふれる日常の方が魅力的な作品で、読んでいるとそのギャップに少し困る。
メインストーリーも悪くはないのだが、ありきたりすぎる。
なお、タイトル表記が少し特殊なので、本屋で探すときちょっと困るのが難点。
最後は打ち切りのような感じで、無理矢理終わらせた感じが残念。


「恐竜王」
桜水樹・全1巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
人間と恐竜が共存していた時代。
支配階級の人間に村を襲われ、幼い恐竜と共に生き残った少女が支配階級の人間たちに戦いを挑む物語。
全体的に見て話はありがちで、終わり方はかなり無理矢理。
もう少し長く続けばよかったのかもしれないが、よくまとまっているとは言い難い。
絵はすっきりとして読みやすいが、全体的に不安定。


「キヨシとこの夜」
あいざわ遥・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★
幼いころいじめていた男の子と高校になって再会し今度は逆にいじめ返される女の子の話。
あいざわさんの描く男の子としては特殊なタイプ。
しかし、それがいいとは言い切れない。あいざわさんの作品ではいまいち。
また、同時収録の「空の音色」はいかんせん設定が「キャッツアイ」と似すぎている。
父の絵を取り戻す女泥棒というのは「キャッツアイ」の個性が強いだけに短編では使うべきではなかったと思う。


「清村くんと杉小路くんと」
土塚理弘・全4巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
中学で監督と衝突してサッカーをやめていた清村は、高校でサッカー部の部長・杉小路に誘われてサッカー部に入る。しかし、そこには部員が5人しかいなく、清村は杉小路から散々な扱いを受ける。
とにかく笑える作品。
絵がまだまだなのでこの評価だが、笑えない話がないくらい笑えて面白い。
あえてツッコミのセリフの入っていないオチなども、いろいろと想像出来て楽しい。
全4巻で綺麗にスッパリと終わっていて、名残惜しい感じはしたが、ギャグマンガとしては無駄に長くならずによかったと思う。


「清村くんと杉小路くんよ」
土塚理弘・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。
作品としては上記のもので完結しているが、ギャグ漫画なので話が続いていることに対して違和感はない。前作が好きな人なら間違いなく楽しめる。
おまけが多いところもうれしい。
上記作品の世界観を持った番外編のようなものだと思えば、話があまり繋がっていなくても違和感なく読める。

「清村くんと杉小路くんろ」
土塚理弘・全6巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。
基本は前作と同じで、語られなかったエピソードが語られている、という感じ。
それでいてマンネリ感はなく、少しずつ変わっている部分もあるので、これはこれで楽しめる。


「銀色アンセリウム」
水原けんた・全1巻・一迅社(ゼロサム)

100年に1人空から遣わされる乙女と従者2人の旅の物語。
設定とは裏腹に、わがままで横暴な乙女に従者2人が翻弄される話なのだが、ギャグが全体的に空回りしているような弾け切れていないような、微妙な感じ。
最後はシリアスな感じになるのだが、今までの展開とのギャップが激しすぎていまひとつ話に入り込めないまま終了となる。
絵も安定しているのだが、表情が硬く動きがぎこちない感じが最後まで続く。


「銀色のハーモニー」
柊あおい・全7巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
ピアノを弾くことにあこがれる女の子が、ひょんなことから出会った少年に恋心を抱くなるようになるが、その少年には彼女がいた。
ごく一般的な少女恋愛漫画。
少年に彼女がいたという設定はいいが、彼女の方が一方的に追い回しているだけというのでは、飛び越えなければならないハードルが少し低い。
ラストの方で作者が病欠したとき以降の絵は、雰囲気はそのままだが、乱れてしまった感じがする。
それ以降の作品でもそれは感じられた。
読みやすい作品ではあるし、物語にも起伏があるので評価は高めにした。


「銀河英雄伝説」
道原かつみ・全11巻・徳間書店(キャラ)
★ ★ ★ ★
小説「銀河英雄伝説」を漫画化した作品。
原作が田中芳樹さんなので、骨格がしっかりしている分、ストーリーをいじくるようなことはしない方がいいので、原作を忠実に再現しているところは評価できる。
ただし、登場人物に男が多いので、道原さんの好みで性転換したキャラもいる。
絵は十分にきれいでストーリーに合っている。
小説の2巻分と外伝の内容を少し入れて完結しているので特に問題はないが、後の展開として必ず足かせになる性転換があるので、それはやめてほしかった。
評価を1つ落としたのもそれが理由。


「銀河英雄伝説外伝 黄金の翼」
道原かつみ・全1巻・徳間書店(少年キャプテン)
★ ★ ★
上記の作品より前に描かれた作品。
舞台設定は主人公が幼い頃のものとなっており、原作は漫画用に描き下されたものだったので、小説よりも漫画版の方が先に発売された。
絵がまだ未完成なために、本編の漫画を知っていると違和感を覚えてしまう。
道原さんがキャラクター原案でアニメ化もされているが、アニメの方が違和感がない。


「銀河英雄伝説 英雄たちの肖像」
道原かつみ・全4巻・徳間書店(リュウ)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編で、小説3巻以降を漫画化した作品。
前作はスローペースで話が進んでいたが、こちらはかなりのハイペース。
その分端折っている部分も多く、原作を知っていないと辛い部分もある。
絵は前作完結から数年経過しているものの、違和感なく読める。
ストーリー的にはユリアンがフェザーンに行って帰ってきたところで終わっているので、非常に中途半端なまま終わってしまって残念。


「銀河英雄伝説」
藤崎竜・集英社(ヤングジャンプ)
★ ★ ★ ★
こちらは藤崎竜さん作画で、ラインハルトとキルヒアイスの出会いから時系列で描かれている。
ヒルダがアンネローゼと序盤から友人関係だったり、ベーネミュンデ侯爵夫人が皇帝崩御時にも生きているなど、藤崎さんらしいアレンジはあるもののそれはそれとして楽しめる。
話もテンポよく進んでいるので、完結まで描かれるものと終われる。


「きんぎょ注意報」
猫部ねこ・全8巻・講談社(なかよし)
★ ★
父が死に、借金を返済するために家屋敷を売り払い、有名お嬢様学校から廃校寸前の学校に転校した女の子。
唯一の財産は世界に1匹しかいないというピンクのきんぎょだった。
ストーリーが単純なため、3巻か4巻以降くらいからは飽きてくる。8巻も続いた割には「これが最終話?」と思えるような終わり方は納得できるものではなかった。
アニメ化されたこともあるが、アニメの絵は原作を忠実に再現していなく、乱れた感じがしたので好きではなかった。


「金魚屋古書店出納帳」
芳崎せいむ・全2巻・少年画報社(OUR’s girl)
★ ★ ★
ものすごく品揃えのいい古本屋「金魚屋」を訪れる様々な人のオムニバスストーリー。
序盤はかなり好きな話だったのだが、中盤以降に登場人物が半固定化され、そこからあまり好きではなくなってしまった。
絵はわりと読みやすい。


「金銀砂子」
赤夏・全1巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★ ★
女が完全な物として扱われる大遊里から脱走し、人斬りを遊びとして続ける少女。
何者かに追われ、常に麻薬を吸っている毬売りの青年。
どこか壊れた2人が出会い、旅をする話。
主人公2人のどこか壊れた感じがいい雰囲気を出していて、引き込まれる。
絵はやや不安定ながらも幻想的な感じがして、話を盛り上げている。
話は割ときれいにまとまっているので、絵が気に入れば買って損はない。


「キングダムハーツ FINAL MIX」
天野シロ・全3巻・スクウェア・エニックス(ファミ通PS)
★ ★ ★
同名タイトルのPS2ソフトを漫画化した作品。
もともとの掲載がゲーム雑誌だったため、横書きの左ページスタートとなっている。
また、ゲーム雑誌掲載が影響しているのか、全体的にコマ割が小さく、やや読みにくいのが気になる。
内容としては、ゲームをプレイしていなくとも読める作りで、なかなかよい。
一応この作品だけで完結しているが、続編につながる読み切りも掲載されているので、続編を読むことは覚悟しておいた方がよい。


「キングダムハーツ チェインオブメモリーズ」
天野シロ・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
同名タイトルのゲームソフトを漫画化した作品。
基本的にゲームが「キングダムハーツ」の続編なので、「キングダムハーツ」を知っている人向けの作品。
一応ゲームを知らなくても読めるが、知らないと感情移入しにくい。
かなり上手く漫画化できているとは思うが。


「キングダムハーツII」
天野シロ・全10巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
同名タイトルのPS2ソフトを漫画化した作品。
また、上記作品の続編なので、前作を知らないと読めない作りになっている。
それをクリアしていれば、わりと読める作品ではある。
漫画化の仕方は上手いと思う。


「キングダムハーツ 358/2Days」
天野シロ・全5巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
同名タイトルのDSソフトを漫画化した作品。
これは上記作品の連載を中断した形で始まったので、キングダムハーツIIを知っている前提で描かれている。なので、いきなりこの作品だけ買うのは危険。ゲームを知っているなら別だが。
話としてはIIやチェインオブメモリーズの裏話のような形になっている。
他の作品が気に入っているなら買ってもいいかも。
話としてはキングダムハーツIIに繋がる内容で終わっているので、どちらも読むこと必須。


「金田一少年の事件簿」
さとうふみや・全36巻・講談社(マガジン)
★ ★ ★
金田一耕助の孫金田一一が様々な事件に遭遇し、解決していく。
ドラマ化されたり、映画化されたり、ゲーム化されたり、アニメ化されたり、とにかく多様なメディアミックスがある。
犯人の誰もがいつも致命的なミスを犯していること、犯人のほとんどが恨みによる犯行をしていること、推理に入る直前までのキーアイテムを「あんなものが」とか「どうしてあの人がこんなものを」という代名詞表現が多用されていること、警察の鑑識が当然調べるべき事実を調べていないこと、などがあって巻数が進む毎にあまりのめり込めなくなった。
人間は完璧ではないのだからミスは犯すだろうが、致命的ミスを誰もが犯しているのは少し強引。
代名詞表現は、実際に「そんな言い方しないだろう」というくらい多用しすぎている。
序盤は犯人が死に過ぎるし、中盤以降は一切死ななくなった辺りも気になった。
最後の方は既に事件もマンネリ化して、終わり方も納得出来るものではなかった。


「金田一少年の事件簿」以降
さとうふみや・全23巻・講談社(マガジン)
★ ★ ★
上記作品の続編。
1つの事件に対してコミックス1~2巻で完結する形式となった。
話の作りは基本的に変わっておらず、欠点は欠点のまま残っている。
中にはトリックに関して無理を感じる部分も出てきている。


「金田一少年の事件簿 20周年記念シリーズ」
さとうふみや・全5巻・講談社(マガジン)
★ ★ ★
上記作品の続編で、基本的にやっていることは同じ。
今まで1~2巻で完結するシリーズを少し延ばしているものの、事件自体の長さは同じくらい。
この作品はこういうものとして、気楽に読める。
ただし、本編の根幹をなす話は完結しておらず、その辺りは消化不良。


「金田一少年の事件簿R」
さとうふみや・全14巻・講談社(マガジン)
★ ★ ★
様々なシリーズを経ての続編で、最初から長期連載前提となったものは久しぶり。
やっていることはいつも通りで、事件の長さも同じくらい。
結局宿敵との決着がつかなかったのは残念。


「金田一少年の挑戦」
さとうふみや・各全1巻・講談社(マガジン)
★ ★ ★
上記作品の短編集。
短編集であるが故の強引な展開もあるが、すっきりとしているのでスムーズに読むことができる。
しかし、3編の短編のうち2つの殺人動機は殺人に発展するような動機ではないので、その点は減点。
また、同時収録の短編小説は漫画の設定に頼りすぎていて情景描写が稚拙になっている感じがする。
これ以降に発売された短編集、冒険、推理、疾走、対決も同様のことが言える。


「銀の匙」
荒川弘・全15巻・小学館(サンデー)
★ ★ ★ ★ ★
特に目的を持たず農業高校に進学した少年。
大自然の中、農業に触れ、同級生たちと接していく中で少年は次第に生きる目的に気付いていく。
「鋼の錬金術師」とは全く別方向の作品だが、これはこれで面白く読める。
作者の実体験が元になっているだけあってリアリティがあり、様々な豆知識には感心することも多い。
割と気楽に読める作品。
主人公が高校入学したところから卒業まで、キッチリ3年間を描き切って終わってよかった。

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味覚屋

一度掲載したコミックスレビューでも、作品が完結したら修正する可能性はありますか?この記事だと、「君と僕。」のレビューが休載していたころの内容のままなので気になっています。
by 味覚屋 (2022-12-22 19:19) 

minerva

「全〇巻」と記載していない作品は基本的に完結後に修正を入れます。
コミックスレビューの更新が数ヶ月~半年に1回くらいになってしまっているので、気長に待っていただけるとありがたいです。
「君と僕。」に関しては次回の更新で修正します。
by minerva (2022-12-31 15:05) 

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