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ニンテンドースイッチ [ゲームレビュー]

「ゼノブレイド3」を追加

「タイトル」
メーカー・ジャンル

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R P G………ロールプレイングゲーム
A・RPG………アクションロールプレイング
S L G………シミュレーションゲーム
SLG+RPG………ロールプレイングシミュレーション
A C T………アクションゲーム
ACT+ADV………アクションアドベンチャー
P U Z………パズルゲーム
T A B………テーブルゲーム
A D V………アドベンチャーゲーム
ADV+SLG………シミュレーションアドベンチャー
N O V………サウンドノベル
E T C………その他
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「オクトパストラベラー」
スクウェア・エニックス・RPG
★ ★ ★
それぞれの事情を抱えた8人が出会い、協力して自身の問題を解決していく話。
3D全盛の時代においてあえて2Dドット絵のRPGを作ったという意義は大きかったように思う。
ただ、ランダムエンカウントにイライラしたり、ダンジョンが狭かったり、中盤の敵が硬くて倒すのに時間がかかったり、と不満点もそれなりにあった。
仲間たちとの関係も希薄で、8人それぞれのシナリオの中に他のキャラはパーティチャットでしか絡んでこないので、仲間で旅をしているという感覚がなかった。
隠しボスを倒す段階にまで行くと8人のストーリーが実はすべて繋がっていたというのがわかるのだが、これは本編として入れた方がよかったように思う。


「スーパーマリオ オデッセイ」
任天堂・ACT
★ ★ ★ ★ ★
マリオシリーズの3D箱庭型アクション。今作ではパワームーンを集める。
帽子を使ったアクションを駆使して様々な国を巡っていく。2人プレイできるが、基本的には1人用。
通常コインの他にステージ毎に数が決まっているローカルコインがあったり、ミニゲームがいろいろ用意されていたり、パワームーン総数が999だったり、とにかくやれる事が多い。
パワームーンを取る難易度は道端に落ちているものから操作に慣れていても難しいものまで様々で、いざとなったら通常コインで買うこともできる救済機能もあり、非常に間口が広い。
ハードを持っていたらとりあえずプレイしてみて損はない。


「ゼノブレイド ディフィニティブエディション」
任天堂・RPG
★ ★ ★ ★
Wiiで発売されたものをリマスターし、追加ストーリー「つながる未来」が収録してある。
創世の時代に争ったという巨神と機神。その巨神の体の上で暮らす人類と機神兵との戦いを描いた作品。
戦闘システムは他のRPGとは一線を画す独特の作りで、慣れるまでが大変だが、慣れると楽しかった。
オープンワールド風のマップがいくつもりあり、単純に地図を埋めていく作業が楽しかった。
名前付きのキャラはそれぞれのタイムスケジュールに合わせて日々行動し、それに合わせてクエストが発生するなど、練りこまれていてよかった。
追加ストーリーは10時間くらいのボリュームがあり、本編内容を補完するものでもあってよかった。
音楽はいい意味でプレイを邪魔しない環境音のようで、それでいて口ずさみたくなるもので非常に良かった。
唯一、アイテム所持数に制限があり、溢れたら一々売らないといけないというのが面倒だった。


「ゼノブレイド2」
任天堂・RPG
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。
どこまでも広がる雲海に住む巨神獣の上で人々は生活していたが、年々巨神獣の数が減少し領土争いが起きている。その世界で楽園を目指す少年の物語。
前作とは戦闘システムを一新していて、覚えれば奥深いが、覚えるまでが一苦労。クエストをこなせば経験値が入るので、そこまで通常戦闘をしなくても平気だが、序盤の戦闘は結構動きがもっさりしていて辛い。
登場キャラは非常に多いが、すべてのキャラにムービー付きの個別イベントが用意されているので、ちゃんと個性が反映されている作りでよかった。
ストーリーは前作と関係ないようで後半関わりがわかってくるので、前作はプレイしておいた方がいい。
2週目の追加要素も多く、エキスパンションパスもあるので、合計すると400時間くらいは遊べる。
音楽は今作も非常に良かった。


「ゼノブレイド3」
モノリスソフト・RPG
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。
人の寿命が10年しかなく、2つの大国が終わらぬ戦いをしている世界が舞台。
物語の終盤で前2作との関係が明らかになるので、前2作をプレイしていることが前提の話になっている。
ただ、集大成という割には話の規模が前2作よりも小さめで残念。
また、全編通してムービーが非常に多く、2時間程度イベントが止まらないこともあるので、プレイするならしっかり時間を確保しないといけない。
システムは1と2のいいとこ取りをしていて、より扱いやすいものになっている。


「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」
任天堂・A・RPG
★ ★ ★ ★ ★
100年の眠りから覚めたリンクがガノンを倒すために旅立つ。
オープンワールドを採用しており、どこへ行くのも何をするのも基本的に自由。ストーリーそっちのけであちこち探索するのも楽しい。
武器は基本的に使えば壊れてしまうものの、比較的どこでも楽に手に入るのであまり苦労はしない。
謎解きの難易度は高いものから低いものまで用意されていてバランスがよく、やりこみ要素も多くて飽きさせない。
序盤はかなり死ぬことが多いものの、慣れてくればそこまで死ななくなる。
やりこみ要素も多く、200時間は軽く遊べる。


「ソムニウムファイル」
スパイク・チュンソフト・ADV
★ ★ ★
人の潜在意識の中に入って意識を読み取り、殺人事件を解決していく話。
潜在意識の中でどう行動するかによってストーリー分岐する仕組みになっていて、潜在意識の中での話なので現実ではありえない行動が正解のことも多いというのはゲームらしくていいと思えた。
全5本のシナリオの中で3本クリアするまではほぼ謎解きがないが、以降で怒涛の謎解きがあってそれなりの吸引力がある。ただ、一部ご都合主義なところもあるのは残念。
回想シーンなどで頻繁に読み込みが入り、数秒待たされることが多かったのはちょっとイライラした。


「トライアングルストラテジー」
スクウェア・エニックス・SLG+RPG
★ ★ ★ ★
見た目的には「タクティクスオウガ」「ファイナルファンタジータクティクス」のような高低差ありのドット絵シミュレーションRPG。
戦闘難易度は割と高めで、ノーマルでも味方が誰も倒れずにクリアするのは少し難しい。その代わり、難易度がベリーイージーまで用意されていていつでもノーリスクで難易度変更できるので、ゲームを進めるのに支障はない。
戦闘中のカメラワークや操作感など、多少気になる部分はある。
システムとして主人公の会話やストーリー分岐によって変動する信念ポイントというものがあり、1周目はそれが見えないので、終盤はストーリーを望む方向に進められないこともある。ただし、2周目からは可視化されるので、望む方向へ進められるようになる。
世界観は王道的な中世ヨーロッパ的な世界だが、政治だったり宗教観だったり、かなりしっかりと設定されているので、骨太ストーリーを望んでいる人にも適している。
エンディングは4種類用意されていて、1周目から真ENDルートに入ることも出来るが、他の3種類の一長一短あるエンディングを見てから真ENDルートを見ることをお勧めしたい。見ているのと見ていないのとでは感動の具合が変わってくる。
PVなどを見て面白そうだと感じたのならプレイして損はない。


「ドラゴンクエスト11S」
スクウェア・エニックス・ADV
★ ★ ★ ★ ★
PS4版をフルボイスにしてイベントを追加した完全版。
世界を救う勇者であるはずなのに悪魔の子として追われる主人公と仲間の物語。
世界樹を登る辺りまでは極々普通のストーリーだと思っていたのだが、それ以降いろいろ驚かされる展開が待っていた。サブタイトル「過ぎ去りし時を求めて」の意味が分かった以降がすごい。
システム面では一切不満がなく、アイテムの取り逃しもないようにできているし、やりこみ要素の豊富で、文句のつけようがなかった。


「ブレイブリーデフォルト2」
スクウェア・エニックス・RPG
★ ★ ★
3DS「ブレイブリーデフォルト」の続編。
基本的には正統派RPGで、所々プレイヤーを驚かせようという工夫はみられるものの、前作は越えられなかったように思う。
ジョブの数は20種類以上あり、どのジョブにも1つくらいは有用な能力があるのでバランスは取れている。
ただ、敵は全体的に強めの設定で、味方が敵のレベルを越えるとフィールドで敵が逃げ出すが、そういう敵相手でもジョブの選択如何によってはあっさり全滅する。
ゲーム内カードゲームB&Dは面白かった。
音楽もなかなか。


「星のカービィ スターアライズ」
任天堂・ACT
★ ★ ★
星のカービィシリーズ作品。
敵を吸い込むことで能力をコピーし、仲間を含めて最大4人で進めていくことができる。
能力をコピーしていないカービィが無能すぎる、仲間がいると自キャラを見失いやすい、などがあるが、基本的にガチャ押しでラスボスくらいなら倒せる。ちゃんと技を理解して回復も考えないとクリアできないのは、クリア後チャレンジモードの最難関くらい。難易度的にはかなり低い。
ストーリーもそこまで長くなく、仲間キャラを主人公にしてプレイすることもできるが、キャラ専用ステージがあるものの重複ステージも多く全キャラクリアは根性がいる。
隠しステージもあって作り込まれてはいるが、物足りなさがあった。


「Root:Film」
角川ゲームス・ADV
★ ★
島根県を舞台に2人の主人公が殺人事件を追っていくミステリー。
システム的には20年前のアドベンチャーゲームという感じで、画面の中から気になるところを調べて手掛かりを見つけてフラグ立てして話を進めていく。
推理パートはものすごく簡単にした「逆転裁判」みたいな感じで、そもそも選択肢が少ないので間違えようもない。
通常画面はほぼ静止画な上に立ち絵のバリエーションも少なく、表情差分もない。
フルボイスなところくらいしか褒めるところがないが、主役クラスの人以外はあまり演技が上手くない人が多かった印象。
ストーリーもさほど感動できなかったし、ご都合主義に見えた。
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プレイステーション4 [ゲームレビュー]

「AI:ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ」
「穢翼のユースティア」
「いけにえと雪のセツナ」
「オクトパストラベラー2」
「探偵撲滅」
「ディオフィールドクロニクル」
「デスエンドリクエスト」
「デスエンドリクエスト2」
「ニーアオートマタ」
「The Last of Us」
「レイジングループ」
を追加

「タイトル」
メーカー・ジャンル

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
R P G………ロールプレイングゲーム
A・RPG………アクションロールプレイング
S L G………シミュレーションゲーム
SLG+RPG………ロールプレイングシミュレーション
A C T………アクションゲーム
ACT+ADV………アクションアドベンチャー
P U Z………パズルゲーム
T A B………テーブルゲーム
A D V………アドベンチャーゲーム
ADV+SLG………シミュレーションアドベンチャー
N O V………サウンドノベル
E T C………その他
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「AI:ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ」
スパイク・チュンソフト・ADV
★ ★ ★
「AI:ソムニウムファイル」の続編。
前作から3ヶ月後、及び6年後が舞台で、登場人物が一部共通しているが、ストーリーは独立している。
システムは前作を踏襲しているが、イージーモードがあったり、クリア後は制限時間が撤廃されたり、いろいろプレイしやすくなっている。
ストーリーはかなり無茶なことを強引に成立させるためにかなりの空中技を使っているので、矛盾はないけれど何となく納得できない、という部分は残る。

「穢翼のユースティア」
オーガスト・ADV
★ ★ ★ ★
空中都市の最下層で暮らす青年が謎の少女を見つけたところから、空中都市の謎を追うことになる話。
システムはオーソドックスなADVで、選択肢により話が分岐する。
全部で6人のヒロインがいるが、個別ルートに入るとその時点でメインルートが途切れるため、謎が謎のまま終わってしまう。ただし、作中で発生する悲劇もまた起きないので、各エンドにも一長一短ある。
全ての謎が解明されるグランドヒロインルートの出来はかなりのもので、吸引力はかなりのものがあった。
元々PC18禁ソフトからの移植なので、作中からHシーンがごっそりカットされているというのもあり、おまけシナリオはややボリューム不足気味に見えた。

「いけにえと雪のセツナ」
スクウェア・エニックス・RPG
★ ★ ★
「クロノトリガー」の戦闘システムを踏襲し、往年のRPGの感覚でプレイできるという触れ込みの作品。
往年のRPGと言えば聞こえはいいが、システムには結構難があった。ダンジョンからすぐに脱出する方法がない、ノーセーブで1時間半くらい進めないといけない場所がある、戦闘から逃げるにはアイテムがいる、などなど。
世界の全てが雪に覆われていたり、音楽が全てピアノ曲だったり、という制作者のこだわりは感じられる。
ストーリーは王道ではあるが、最後にちょっとした捻りが入るところはよかった。その部分だけで評価の★を1つ上げたくらい。

「オクトパストラベラー2」
スクウェア・エニックス・RPG
★ ★ ★ ★ ★
上記作品の続編。
前作の不満点のほとんどを解消してくる作りになっており、システム面での不満はランダムエンカウントがそのままだったことくらいだった。
今作では8人の仲間たちが全員ボイスありで参加するイベントがちゃんと用意されており、最終的に8人がラスボスに向かって行く流れは素晴らしかった。
8人それぞれの旅にもきちんと緩急がつけられており、ワンパターンではなくなっていた。
音楽も前作同様素晴らしかった。
ストーリー的には前作との繋がりはないので、この作品からプレイしても問題ない。

「ザンキゼロ」
スパイクチュンソフト・RPG
★ ★ ★
ガレキ島と呼ばれる拠点を中心とし、8人の仲間と共にサバイバルをしつつ廃墟探索を行っていく。
主人公たち8人はクローン人間で死んでもすぐに生き返ることができる代わりに、非常に打たれ弱くすぐ死ぬ。ただし、死因によって肉体の様々な部分が強化されて強くなっていく。
難易度は5段階用意されているが、難易度2でも頻繁に死ぬし、難易度4か5でないとレアアイテムをほぼドロップできないので、常に難易度を切り替えつつ進めていくことになる。
ストーリーはよくレーティングDで通ったな、と感じるレベルでえげつないものがいくつかあり、やや人を選ぶところはある。ただ、話としてはかなり良くできていて、エンディングに向かって行く流れは素晴らしい。
廃墟探索に関しては、主人公たちが幼年~老年を15日くらいの間隔で繰り返するので、年齢による持ち物の重量制限があったり、死ぬとその場にアイテムをばらまくので他の人が拾わないといけなかったり、幼年期は装備品だけでほぼ重量制限ギリギリになったり、いろいろストレスが溜まる。アイテム整理も面倒。
その他、ストレス・便意・スタミナの管理などなど、確かにサバイバルっぽいけど、それのせいでなかなか進められないなど、面倒だと感じる部分が多々ある。
もっと扱いやすいシステムだったら評価ももう少し高かった。

「新 サクラ大戦」
セガ・ADV+SLG
★ ★
太正29年が舞台となり、キャラを一新した帝国華撃団の物語。
前作までのキャラたちは、10年前の降魔大戦で1人を除いて全員犠牲になったことになっている。
前半のアドベンチャーパートでの好感度が後半の戦闘パートにパラメータとして反映される、というシステムは前作までと同様だったが、戦闘パートがシミュレーションではなくアクションになってしまったのは完全に失敗だったと思う。パラメータの反映がわかりにくい、なぜか2~3人で戦うことが多く花組全員で戦う場面が少ない、小さい足場の移動で落下を繰り返すのが面倒などなど、改悪でしかなかった。
キャラに関してはそこまで悪くないのだが、さくら以外の掘り下げが少なく、特に初穂に関してはほぼ掘り下げがなかった。最終的にヒロインを選んでからのストーリー差分が少なかったのもマイナス。
アドベンチャーパートの個別イベントはそれなりによかったが、移動で一々ロードが入ってブロマイド回収が面倒というのはあった。
他にも、フルボイスではない、オープニングと個別エンディング以外のアニメのクオリティが低め、クリア後にイベントスチルを見たり音楽が聴くことが出来ないなど、不満点は結構あった。
ストーリーに関しては、ボイスなしでも前作キャラを最後に全員出してくれればよかったのに、その前段階で話が終わってしまって、ラスボスも真のラスボスの手下ポジションキャラでガッカリした。

「ダンガンロンパV3」
スパイン・チュンソフト・ADV
★ ★
PSPで発売されたシリーズの続編。
クラス内で起きた殺人事件の犯人を学級裁判の中で特定していく、という流れは同じ。
学級裁判の中で新しいギミックがいろいろ追加されていて、その辺りは正当進化。
ゲームとして3作目で、前作まででこれ以上ないレベルのオチを使っていたというのもあり、今作のオチはある種の禁じ手だった。私としては全く納得できなかった。そのせいで、クリア後のおまけもやる気が一切起きなくなってしまったレベル。
最終話手前までは前作とほぼノリが同じでそれなりに楽しくプレイできていただけに、残念。

「探偵撲滅」
日本一ソフトウェア・ADV+SLG
★ ★ ★ ★
孤島に閉じ込められた14人の探偵たちが、その中に隠れた連続殺人犯を探す、という話。
序盤は「ダンガンロンパ」に非常に似ていると感じたが、中盤以降はキッチリこの作品としての個性が出てくる。
探索パートがターン制限付きのSLGになっているところは素晴らしく、この部分はとても楽しめた。
ただ、それ以外の部分でプレイヤーが介入できる部分がかなり少なく、基本的にボタンを押すだけで話が進み、推理パートですら犯人指定以外では3択なので、難易度は低めだった。
ストーリー自体はかなり楽しめたので、もっとストーリーに介入できれば評価も変わってきたと思う。

「ディオフィールドクロニクル」
スクウェア・エニックス・SLG
★ ★
中世ファンタジー世界を舞台にした戦記物。
戦闘はRTSで、それなりのエフェクトが付きつつ必殺技がサクサク出るので、割と楽しくプレイできる。難易度もあまり高くなく、調整もできる。
ただ、ストーリーは、おそらく設定自体はかなりしっかり作られているのだと思うのだが、その大半がダイジェストで進んでしまうのに加え、敵側のストーリーがほぼ語られないなどもあって、かなり中途半端。いろいろ謎が謎のまま話が終わってしまっているので、プレイするならそれなりの覚悟を。
また、キャラデザは素晴らしいのにモデリングが悪く、どうしてこのキャラデザからこのCGが生まれたんだ、という状態なので、ある意味パッケージ詐欺的な部分もある。

「テイルズ オブ アライズ」
バンダイナムコ・RPG
★ ★ ★ ★
テイルズシリーズ25周年記念作品。
プラットフォームがPS4以上になったことで、フィールド上から戦闘までデフォルメキャラではなくキャラデザ通りの7頭身3Dキャラが動き回り、エフェクトもかなり派手になっているのに処理落ちしない、というシステム周りは素晴らしい出来具合だった。
反面ストーリーは王道の範囲内のもので、細かく設定されているようで雑なところもあったのは残念だった。
全体的に恋愛要素が前面に押し出されているので、今までのシリーズとはまた違った雰囲気があった。
やり込み要素はそこまで多くないので、少し頑張ればトロコンも十分可能。
定価分くらいは十分遊べる。

「デスエンドリクエスト」
コンパイルハート・ADV+RPG
★ ★ ★
1年前に行方不明になった同僚がなぜか開発中止になったオンラインゲームにログインしているのが発見され、現実世界の主人公と協力してエンディングログアウトを目指す、という話。
ストーリー部分はADVで進み、ダンジョンはRPGで進むシステムで、比率としては7:3くらい。
ゲームの世界と現実世界を任意で切れ替えてそれぞれで話を進めていくのは単純に楽しく、戦闘システムもいろいろ粗は目立つものの、ストーリーをシステムに組み込んだ新しいものを作ろうとした気概みたいなのは感じられる作りだった。
ストーリーもなかなか凝っていて、ネタが枯渇している中で新しいものを生み出そうとした努力が見えるものだった。
マルチエンドではあるが、メインヒロイン以外の仲間キャラのエンディングがほぼ同内容だったのは残念。

「デスエンドリクエスト2」
コンパイルハート・ADV+RPG

上記作品の続編。
主人公は変更されているが、前作のキャラも登場する。
ADVとRPGで話が進むというのは前作と同様だが、前作は任意で切り替えができたのに今作はストーリー進行で切り替えるようになってしまっていた。
戦闘システムは完全に前作の流用で、ストーリーとの融合性が消えてきて残念。
同じダンジョンを何度も巡らされたり、百合展開が多かったり、そもそもストーリーがきちんと終わっていなかったり、登場人物の行動に一貫性がなかったり、とにかくツッコミどころが目立つ出来になっていた。
終わり方も前作と似たり寄ったりで前作ほど納得ができないなど、全てが前作を下回ってしまっていた。

「Detroit:Become Human」
クアンティックドリーム・ADV
★ ★ ★ ★
自動車産業が衰退した後にアンドロイド産業で復興したデトロイトの街が舞台。
自我に目覚めたアンドロイドによる事件が頻発するようになった街で、3体のアンドロイドが自分の生き方を模索していく。
とにかく分岐とフラグ管理が凄まじい作品で、フローチャートは最初から開示されている。チャプター1での行動がチャプター23で活きてくるというようなチャプターまたぎのフラグがとてつもない数用意されていて、フローチャートを100%埋めるのは至難の業。そのため、周回プレイも飽きない。
時間制限付きの選択肢が頻繁に発生するので、プレイしていて暇になることも少ない。
キャラクター映像は全てモーションキャプチャーで取り込まれているので、動きが自然に見える。
3人の中で誰かが死んでもストーリーは進行していき、それぞれの結末を迎えるというスタイルはPS3「HEAVY RAIN」と同じ流れを汲んでいる。
唯一の欠点は、ストーリースキップができないこと。チャプター5のフラグを変更してチャプター8の内容を変えたいなら、チャプター5→6→7→8とプレイしないといけない。せめてムービーシーンはスキップできるようにしてほしかった。

「ニーア レプリカント ver.1.22474487139...」
スクウェア・エニックス・A・RPG
★ ★ ★ ★
同名タイトルのPS3作品のリメイク。
グラフィックの向上、操作性の改善、全再録によるフルボイス化、新規エンディングの追加など、かなり手が加えられている。
リメイク作品だけあって、操作性などでの不満は全くなかった。
ストーリーは各所で心を抉ってくるので、プレイするにはそれなりの覚悟が必要。
また、それなりに難解で細かい説明がないので、プレイ後は考察サイトが必読になる。
全エンディングを見るには周回プレイが必要で、やり直しで何度も同じストーリーを見なければならないのが苦痛だった。

「ニーアオートマタ」
スクウェア・エニックス・A・RPG
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。
前作から数千年後の世界が舞台なので、基本的にストーリーは独立しているが、前作を知っていた方が話は楽しめる。
前作よりもアクション要素が強くなり、難易度を下げることで対応可能ではあるが、シューティング技術も必要になったのは少し困った。
フィールドはオープンワールドとなったが、移動範囲がさほど広くないのに移動が面倒だった印象もあった。
ストーリーは前作に続いて心を抉ってくるものがいくつも用意されていたり、全ての内容を知るには考察サイトが必須であったりするところは共通していたが、心に残るいいものだった。
周回プレイをする上でほぼ展開が被らないようになっていたところは評価したい。

「春ゆきてレトロチカ」
スクウェア・エニックス・ADV
★ ★ ★ ★
全実写フル動画ミステリーアドベンチャー。
今までにあった実写ミステリーは本来この形でやりたかったのだろう、というのが見える作品。ミステリードラマに入り込んでいる感覚でプレイできる。
問題編で出された手がかりを推理編でいろいろ組み合わせて仮説を立て、解決編で使っていく形は「TRICK×LOGIC」に近い感じだった。仮説は荒唐無稽なものから的を射たものまでバランス良く配置されているので、難易度は程よかった。推理は特に時間制限もなく、何度間違えても大丈夫なので、じっくり進められる。
ただ、操作方法が若干独特なので、それをつかむまでに10分くらいの戸惑いがあった。また、チュートリアルなどのシステム上の文字が小さくて読みにくいのが気になった。
ストーリー上、過去の事件は小説という形で伝えられていて、主人公が現代の知り合いを小説の登場人物に当てはめて脳内再生する、という設定なので、同じキャストでいろんな役をそれぞれ演じ分けている。これがいい具合に誰と誰が同一人物だというのを隠す効果があったりするので、上手い設定だな、と感じた。
総プレイ時間は20時間程度と短めだが、実写作品に抵抗がなく、ミステリ好きならプレイして損はない。

「人喰いの大鷲トリコ」
ソニー・ACT+ADV
★ ★ ★
どこかの洞窟奥深く、鎖に繋がれた大鷲と共に目覚めた少年が、大鷲と協力しつつその場所からの脱出を目指すことを目的としたゲーム。
与えられる情報が非常に少ないので、プレイ開始直後は何をやるべきかよくわからない。
脱出を目指すというよりも進める場所に進んでいくという感じなので、かなり終盤にならないと話の目的がわからないというのもあり、モチベーションの維持が大変だった。
操作性がよくなかったり、大鷲への指示が通りにくかったり、敵に対する攻撃手段が最終盤になるまでないなど、イライラポイントは多かった。
ただ、多くを語らないことでいろいろ想像できる世界観はわりとよかった。
謎解きの難易度は全体的に高めな印象だったが、詰まっているとヒントが出るので、そこまで足止めはされなかった。

「The Last of Us」
ノーティドッグ・ADV
★ ★ ★ ★ ★
人がゾンビ化するウィルスが蔓延した世界で、ウィルスに感染しても発症しないという少女を研究所まで連れて行く。
難易度は高めだが、イージーモードにすればエイムアシストもあるし、サイレントキルを利用すればアクションが苦手でもどうにかなる。敵も人間が相手なのか感染者が相手なのかで戦い方が変わり、いろんなパターンが用意されているので、飽きずに最後までプレイできる。
謎解きの難易度もいいバランスで、わからなければヒントが出るというのもあり、まず詰まることはない。
ストーリーはエンディングの解釈によって感じ方が変わって来るが、いろいろ考えさせられるもので、なかなかよかった。

「レイジングループ」
ケムコ・ADV
★ ★ ★ ★ ★
とある田舎の集落で人狼ゲームに巻き込まれた青年の話。
とにかくすごいと感じたのは、シナリオに穴がないこと。
全ルートクリア後に解放される暴露モードにより、あのときはどういう心情であのセリフを言っていたのか、裏で何が起こっていたのかなどが明らかになるので、2周目も楽しくプレイできる。
グラフィックがどう見ても1970年代くらいの絵に見えること、フルボイスではあるものの全体的に声優さんたちがそこまで上手くないことが気にはなるが、シナリオが完璧なのでこの評価。
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プレイステーションVITA [ゲームレビュー]

「CHAOS;HEAD DUAL」
「CHAOS;CHILD」
「ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団」
を追加

「タイトル」
メーカー・ジャンル

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
R P G………ロールプレイングゲーム
A・RPG………アクションロールプレイング
S L G………シミュレーションゲーム
SLG+RPG………ロールプレイングシミュレーション
A C T………アクションゲーム
ACT+ADV………アクションアドベンチャー
P U Z………パズルゲーム
T A B………テーブルゲーム
A D V………アドベンチャーゲーム
ADV+SLG………シミュレーションアドベンチャー
N O V………サウンドノベル
E T C………その他
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「俺の屍を越えてゆけ2」
アルファシステム・RPG
★ ★
PSで発売されたソフトの続編。
システムは前作をマイナーチェンジさせた感じで、目新しいものはほぼないが、物語序盤で絡んでくる夜烏子というキャラを中心に話が進んでいくので、夜烏子中心に育成計画を進めていかなければならなくなっている。
そのため、自由度は前作よりもかなり低くなり、主人公一族はストーリー上おまけ的な扱いにまで落ちている。
使用されているアニメはきれいだが、それ以外のグラフィックはPSPにも劣るレベルで、無理に3Dにしなくても、と感じた。
前作ファンがガッカリする要素しかない。


「CHAOS;HEAD DUAL」
ニトロプラス・ADV
★ ★ ★
「CHAOS;HEAD NOAH」とファンディスクである「CHAOS;HEAD らぶ☆ChuChu!」がセットになった作品。
通常選択肢はほとんどなく、妄想トリガーというポジティブな妄想をするか、ネガティブな妄想をするか、妄想しないか、で話が分岐していく。
ストーリーへの吸引力はかなりのもので、妄想が現実になる、ということが本当に起こり得るのではないか、と思わせてくれる。
ただ、周回プレイや個別ルートでの差分が少なく、特に個別ルートはバッドエンドに近しい終わり方をするものが多いというのもあって、残念に感じる部分がある。
ファンディスクに関しても、6人分のストーリーがあるのに展開がほぼ全て同じでなのが残念。
グラフィックに関して、全体的にデッサンは狂い気味で、立ち絵と一枚絵で別人かと思えるキャラもいたりする。

「CHAOS;CHILD」
ニトロプラス・ADV
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。前作の6年後が舞台となっている。
ストーリーはボリュームもさることながら、個別ルートもしっかり差別化されていてよかった。謎解きなどの吸引力もかなり強い。
ただ、前作を知っていること前提で話が進むので、今作からプレイするのは少しきつい。
グラフィック、妄想トリガーの扱い方など、システム面も順当に進化していた。


「STEINS;GATE」
ニトロプラス・ADV
★ ★ ★ ★
2010年の秋葉原が舞台で、偶然タイムマシンを作ってしまった大学生が面白半分に過去を改変して後の陰謀に巻き込まれていく。
通常のアドベンチャーゲームのように選択肢でストーリー分岐するのではなく、フォーントリガーという主人公の持つ携帯電話でいつ誰にメールを送ったり電話をするのか、どんな返事をするのかでストーリー分岐する。
難易度はかなり高めで、攻略情報なしでトゥルーエンドに辿り着くのは難しい。
絵も一見してとっつきにくいので、そのあたりは少し残念。
ストーリーは中盤までは割と主人公にイライラするが、主人公が事の重大さを理解して以降はものすごく面白い。最後の伏線回収は圧巻で、アニメ化もされているがやはりストーリーの細部を知るにはゲームをプレイした方がいい。

「ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団」
日本一ソフトウェア・RPG
★ ★ ★ ★
キャラメイクをしてチームを作り、オートマッピング式のダンジョンを探索していく。
プレイヤーが操作できるのはあくまで人形兵という兵士たちで、ストーリーはその人形兵を作った魔女のドロニアが中心となっている。なので、内容はかなり濃い。
ストーリーは全容を把握しようとなると考察サイトは必須で、特にラスボスの過去などはわかりにくい。
胸糞悪い展開は多々あるが、エンディングにはちゃんと感動できる。
システムにはやや難があり、戦闘システムが独特であること、魔法の内容がわかりにくいなど、慣れるまでが辛い。また、特定のボスに勝つためのアイテムとして何が必要なのか、というヒントが非常に少なく、この辺りは攻略サイトが必要。
難易度はやや高めで、雑魚敵に比べてボスが圧倒的に強い。
ダンジョン探索は素直に楽しめる。
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ハ行-3 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「HI・SU・I翡翠」
湖川みさき・全1巻・ラポート(ファンロード)
★ ★
作者の初コミックス。
今はもう描かなくなったファンタジーが描かれていたり、今の作風とは違った一面が見られる。しかし、内容的にはいまひとつ。
オークションでプレミアが付くほど今は手に入れにくいコミックスなのでコレクターズアイテムとして。

「BUS GAMER THE PILOT EDITION」
峰倉かずや・全1巻・一迅社(ステンシル)
★ ★ ★
企業が雇った若者たちがお互いの機密を奪い合う「ビズゲーム」に参加した3人の青年。
最初は金の為にゲーム感覚で参加していたが、次第にゲームの危険さに気付いていく。
作者らしい世界観の設定とキャラで、安心して読める。
ストーリーにも引きつけられる。
ただし、パイロット版なので番外編として考えた方がよいかもしれない。

「BUS GAMER」
峰倉かずや・全1巻(立ち消え)・一迅社(REX)
★ ★ ★ ★
上記作品が雑誌移転のゴタゴタで中断してしまった関係で、主人公たちが出会うところから描き直されたのがこの作品。
前作を読んでいなくとも読めるので、この作品だけ買っても問題はない。
作品の質自体はよい。
おそらく作者に続きを書くつもりはあると思われるが、病気療養や他の連載などもある関係で再会は厳しいかも。

「密 リターンズ」
八神健・全7巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
川で溺れていた少年を助け、死んでしまった青年が、魂の抜けてしまった少年の体に入り転生する。
主人公が男性であることで、かろうじて少年漫画になっているが、内容は少女漫画に近い。
面白いことは面白いが際立つものは感じられなかった。
しかしながら、最終回の見開きページは少し感動した。絵はとても見やすくて好感が持てる。

「VITTER VIEGIN」
楠桂・全4巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★ ★
クラスでもおとなしい少女が、実は義父からの性的虐待で妊娠、流産、出産を経験していると知ってしまった少年は、その日から少女が気になり始める。
話としてはかなり重いのだが、それだけに続きが気になってしまう。
青年誌での連載だが、普通に少女マンガとしても読める。
終わり方はハッピーエンドともアンハッピーエンドとも取れるものだったが、作者らしくていいと思えた。

「陽だまりのピニュ」
こがわみさき・全5巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★ ★ ★
母親の初恋の相手が生まれた日本に憧れを持っていた少女・ピニュはある日家出を決意して日本にやってくる。
そして、そこで知り合った少女の家にホームステイしてしばらく暮らすことになる。
全体的にやわらかい雰囲気を持つ話で、読んでいると癒される。
作者初の続刊もので、同じ話がずっと読めるのもまたいい感じ。
終わり方はきれいで、読後感もよかった。

「羊のうた」
冬目景・全7巻・幻冬社(コミックバーズ)
★ ★ ★ ★
発病すると人の血が欲しくなる、という奇病を持つ高城一族。
その家の血を引いた姉と弟の物語。
話は終始淡々と続いていき、読者を引っ張っていくタイプの話ではないが、読者の目を離させない力のある作品。
絵は一見粗い感じがするが、作品の雰囲気をよく出していて、粗いことが逆に味になっている。
それなりにきれいにまとまった終わり方だったが、納得できない部分もある。好みか。

「電影少女(ビデオガール)」
桂正和・全15巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
純粋な心を持つ少年にだけ見えるビデオショップで、少年は1本のビデオを借りた。少年が家で借りたビデオを再生すると、その画面の中から少女が飛び出してきて、少年と一緒に暮らすことになる。
連載開始当初内容や絵に問題があると話題になった作品。
今の漫画を見渡すと、これくらいの描写がある作品はゴロゴロしていると思う。
内容的には、登場人物の気持ちに重点が置かれ少女漫画に近いものがあり、もどかしい展開が続くので私には少々合わなかった。
絵はとても丁寧できれいなのでよい。

「ヒトガタナ」
オニグンソウ・全10巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
「刀」という操作型アンドロイドの犯罪を取り締まるため、対刀犯罪課という組織が作られた。
そこで働く青年は、半人半刀という立場から心に揺らぎを持ちつつ戦っていた。
設定としてはよくあるもので、そこを絵で補っているという雰囲気がある。
元々イラスト系で活躍していた作者なので仕方ないが、全体的に背景が白い。
アクションシーンはまずまずだったが、全体的には平凡な印象で終わってしまった。

「ひとさきの花」
藤野もやむ・全1巻・マッグガーデン(ゼーベル)
★ ★ ★
鎌倉時代前の大姫と義高を描いた話で、ある意味「あの日みた桜」の続編。
表題作以外にも結構切ない系の話が集まっているので、わりとよい短編集だと思う。
全体的には少女マンガのような感じ。

「ひとりみ葉月さんと。」
カザマアヤミ・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
恋に全く興味がなく、おひとり様を満喫しているOL・葉月。
そんな葉月は妹の紹介で年下の少年・幸丸と付き合うことになる。
お互い初めて付き合う同士なのに、葉月は大人ぶってしまう。
うぶな大人の女性・葉月の恋愛初心者っぷりを微笑ましく見守る作品で、読んでいると結構恥ずかしいが、それが初々しくていい感じ。
少しずつ進んでいく2人の関係を楽しめる人に。
個人的には、葉月の遊園地でのはしゃぎっぷりが楽しかった。
最後は割ときれいにまとまったものの、結婚までの道のりは険しそうだな、と感じる展開が後半にあり、読後感はあまりよくなかった。

「ひなぎく見参! 一本桜花町編」
桜野みねね・全2巻・マッグガーデン(マサムネ)
★ ★
「常習盗賊改方ひなぎく見参」(サ行参照)の続編。
前作がきれいに終わっているだけに、無理して読む必要はないように感じる本作。
大量書き下ろしの上、2巻が発売されたことにまず驚いた。
ただ、話に一応区切りがついてはいるものの、本当に終わっているのかどうなのか微妙な描き方で、何とも言えない。
まだ続きそうな雰囲気がある。

「雛見沢停留所~ひぐらしのなく頃に原典~」
ともぞ・全1巻・スクウェア・エニックス(ビッグガンガン)
★ ★ ★
とある田舎の停留所で出会った数人の人たちの数時間の物語。
原作者が「ひぐらしのなく頃に」を制作する前に書いたという舞台演劇用の台本が元になっている作品。
いろいろと「ひぐらしのなく頃に」に通じるものがあるので、「ひぐらしのなく頃に」を知っている人向けの作品と言ってもいいかもしれない。
絵はやや表情が硬いところがあるが、概ねいい雰囲気で描かれている。

「緋の纏」
乾みく・既刊10巻(立ち消え)・一迅社(WARD)
★ ★ ★
お家騒動のせいで放浪の旅をする武士の少年。
その少年があるきっかけで火消しの「く組」で働くことになる。
意外と時代考証もしっかりしていて、江戸時代の町人の暮らしなどがわかる。
設定も割と珍しいものなので、話も割と頭に入りやすい。
絵にやや癖があるので、人を選ぶかも。
かなり連載が続いたのちに立ち消えとなり、掲載誌も休刊してしまったことから、再開はないかも。

「ヒノワが征く!」
sterelka・全8巻・スクウェア・エニックス(ビッグガンガン)
★ ★ ★
「アカメが斬る!」(ア行参照)の続編だが、アカメ自身は出てくるものの舞台は別の大陸に移っており、あくまで脇役という形になっている。
新たに主人公となったヒノワが大陸を統一する話になる……はずだったのだが、打ち切りになってしまい、非常に中途半端なところで終わってしまった。
序盤は小国が大国に挑む話になっているが、話として面白くなってくるのはその決着がついてから。なのに、その直後に打ち切りとなってしまった。
序盤が長すぎたのか、新展開に入ってから人気が落ちたのか。

「BEHIND MASTER」
坂本あきら・全6巻・スクウェアエニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
天狗の力を持つ少年と、その少年に助けられた破戒僧の物語。
絵が描き込まれているので若干読みにくいところはあるが、キャラの掘り下げが結構しっかり出来ていて、読ませてくれる。
絵もきれいで、アクションシーンの見せ方もなかなかよかった。
中盤でかなり化けたと思えるところがあったのだが、以降失速。
最終的には急展開+打ち切り仕様で微妙な終わりになってしまった。
もっと読みたかった作品だけに、残念。

「ひまわり」
檜山大輔・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
同人ゲームを漫画化した作品。
公園に墜落したUFOから出てきた少女を少年が見つけ、一緒に暮らし始める。
原作は知らないのだが、とにかく話の進むペースが遅く、かなり気長に読まないといけない作品。
テンポ良く進む話を期待していると、ちょっときつい。
絵は割と読みやすくてよいのだが。
なお、話に区切りはついているが、完結はしていない。
謎解きなどは続編を読む必要がある。

「ひまわり 2nd episode」
檜山大輔・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
上記作品の続編で、時間軸としては過去の物語となっていて、前作の謎解きをする形となっている。
話の進むテンポは前作よりも早く、悪くはない印象。
話の引きもよい感じ。
謎解きは一通り終えて完結したものの、謎のまま残った部分もあり、後味の良い終わり方ではなかった。
惜しい作品だった。

「ひみつの階段」
紺野キタ・全2巻・ポプラ社(コミックFantasy)
★ ★ ★ ★ ★
古い寄宿舎のある女子高で起こるちょっと不思議な物語。
舞台を同じくしたオムニバス形式の話で、とにかく全編通したやわらかい雰囲気がいい。読み終わった後で癒されるし、優しい気持ちになれる。
絵も物語にマッチしていて、読みやすい。

「ひみつのドミトリー 乙女は祈る」
紺野キタ・全1巻・ポプラ社(コミックFantasy)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。
上記作品である程度設定を知っていることが前提の続編なので最高評価とはしなかったが、前作同様やわらかい雰囲気はそのままで前作が楽しめたなら確実に楽しめる作品。
他に収録されている読み切りも面白い。

「姫様忍法帳 天下☆無双」
佐々木あかね・全2巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
持つ者に力を与え、神の国に導くとされる二対の巻物「天下無双」。
それをめぐって争う人々の物語。
予め全2巻として制作された話のようで、無駄なく話が進んでおり、起承転結がしっかりしている。
絵も読みやすく、戦闘シーンにもわりと迫力がある。
良くも悪くも王道だが、それだけに結構読ませてくれる。

「ひめなカメナ」
結城心一・全4巻・一迅社(REX)
★ ★ ★
とある街に住むことになった異性人の姉妹ひめなとカメナ。
2人の持つ様々な能力に街の人は日々翻弄される。
ある種狙った設定の話ではあるが、作者に力があるのでそこそこ楽しめる。
声に出して笑えるレベルの話があればもっとよいのだが。
絵は安定していて読みやすい。
最後の最後までグダグダで終わったが、それもこの作品らしいといえばらしいのかもしれない。

「ひゃくえん!」
遠山えま・全6巻・スクウェア・エニックス(ガンガンONLINE)
★ ★ ★ ★
同級生の百と円は、それぞれの目的のために一緒に暮らして貯金をし、節約生活を送る日々。
様々な誘惑に勝ったり負けたりしながら、2人は共同生活を続けていた。
実用性がありそうでなさそうな節約術を楽しむというより、百と円のやり取りを楽しむ作品。
駆け引きもなかなかにテンポ良く、楽しく読める。
話も長くもなく短くもない、丁度いい長さで終わっていた。終わり方も読後感がよかった。

「百姓貴族」
荒川弘・新書館(ウィングス)
★ ★ ★ ★
作者が北海道で農業をしていた時のエッセイ漫画。
規模は違うものの、少なからず農業に携わった人ならあるある話で楽しめるし、知らない人ならなるほど、と思える話がたくさんある。
話のテンポもいいので、サクサク読めるのがいい。

「100日後に死ぬワニ」
きくちゆうき・全1巻・小学館(Twitter)
★ ★ ★
Twitterで公開されていた連載漫画を1冊の本としてまとめたもの。
読者には100日後に死ぬと予告されているワニが過ごす日常が淡々と描かれ、死ぬとわかっているからこその哀愁が漂うのがいい。
ワニが死んだ後の後日談が描き下されているが、そこまで大きい内容ではなかった。
なお、コミックスのサイズが変形判のため、本棚にしまうとき困る。

「百も承知さ」
夢路行・全1巻・一迅社(ぶ~け)
★ ★ ★
太めの女の子が道でぶつかった青年と付き合うことになる。
主人公が太めではあっても、そのことに対して卑屈になっていないところがいい。
周りもそのことを責めたりすることもなく、なかなかいい気分で読める。
その他2本の短編が収録されていて、それぞれ話につながりがあるので、1冊分で1つの読み切り作品、といった感じ。
続編「踊りましょうか」(ア行参照)もある。

「百姫夜会」
いふじシンセン・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)

自分の保身しか考えないスクールカーストの最底辺一歩手前の少女が、カースト上位の子に命令されて訪れた心霊スポットで自殺した少女の幽霊に取り憑かれてしまう。しかし、2人は妙に馴染んでしまい、共に暮らして行くことになる。
主人公の性格がちょっと変わった感じでよかったのだが、それが表現されていたのは第1話のみで、以降は普通の女子高生になってしまい、残念。
少しずつ仲間が増えていく展開だったのだが、1人仲間が増えるまで結構時間がかかったというのもあり、その辺りが中だるみで打ち切りの原因だったかと思われる。
最後は中ボスに挑むところで終わる、というトンデモない打ち切り仕様だった。
コミックスでは一応作品の結末として予定されていただろう部分は描かれている。

「秒速5センチメートル」
清家雪子・全2巻・講談社(アフタヌーン)
★ ★ ★
同名タイトルのアニメ映画を漫画化した作品。
表紙だけを見るとアニメのイメージと少し違う感じもしてしまうが、実際読んでみると雰囲気はかなり原作に近いものになっている。
話もオリジナル要素は少なく、原作に忠実なものとなっているので、原作が好きなら読んで損はしない。
話のテンポも割と早めでサクサク進んでいる。
終盤は原作にはないエピソードも入っていて、こういう解釈もあっていいな、と思えるものになっている。

「ひよこだぁ~」
室山まゆみ・全1巻・小学館(てんとう虫コミックス)
★ ★
「あさりちゃん」連載前に連載されていた作品。
男の子1人と女の子2人によるギャグ漫画。
内容的にあさりちゃんとよく似ている。
絵はまだまだ見にくいのでこの評価。

「ひょっとこスクール」
武凪知・全5巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
とある高校に通う少年少女と、その家族たち。
ツッコミ・ツッコマれ、それなりの日常を過ごしていく。
完全なキャラ漫画で、それなりに個性のあるキャラがそれぞれ絡むとこういう展開になる、というのがひたすら続いていく。
絵はスッキリしていて読みやすいが、ギャグマンガにしては笑えるわけでもなく、地味に面白いというわけでもない。
ごくたまに笑えるのが救いか。
最後はギャグ漫画にしてはきれいに終わっている。

「ひらめきはつめちゃん」
大沖・全6巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★
小学校1年生のはつめは発明好きの天才少女。
役に立ちそうで役に立たない、役にたたなそうで役に立つ微妙な発明を続けている。
そんなはつめに友人や父が振り回される。
シュール系なギャグ作品だが、地味に面白く読み続けてしまう吸引力がある。
絵はやや人を選ぶかもしれないが、読みにくくはない。

「BILLY BAT」
浦沢直樹・全20巻・講談社(モーニング)
★ ★
第2次世界大戦終結直後。アメリカで「BILLY BAT」という人気漫画を連載しているケヴィン。
しかし、自分がオリジナルで考えた主人公・ビリーバットを日本で見たという人が現れる。
絶対に真似をしたわけではないと思いつつ、日本で見た何かを無意識に真似したかもしれないと思ったケヴィンは休載して日本に向かう。
小さな話が思わぬところで大きな話になったり、ビリーバットを追いかけるうちにいろいろな事件に巻き込まれたりする感じは作者の今までの作品に通じるものがある。
第2次世界大戦直後から21世紀初頭までの長い期間を作中で描いていて、内容的には結構難解。謎解きもそこまではっきりと描かれていないので消化不良になりがち。

「びんちょうタン」
江草天仁・全4巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★
キャラ先行でグッズなどが発売されていた「びんちょうタン」を漫画化した作品。
漫画を描いているのがキャラデザをした人なので、違和感なく読むことが出来る。
また、ただのキャラものかと思いきや、わりと切なくてジーンと来る話もある。
ちょっと合わないと思う人も、読むと合うかもしれない。
最後は話を一旦終わらせただけという印象もあったが、悪くない終わり方ではあった。

「貧乏令嬢の勘違い聖女伝~お金のために努力してたら、王族ハーレムが出来ていました!?~」
遊行寺たま・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
貧乏貴族に生まれ育った少女は、生活苦から冒険者として旅に出るが、実力不足で死亡してしまう。
しかし、目を覚ますと時間が巻き戻っており、もう1度人生をやり直すことになる。
時間が巻き戻る前の失敗を教訓として、新しい人生を謳歌していく話。時間が巻き戻るのは1回だけで、転生とはまたちょっと違うところが上手いと思う。
タイトルにある王族たちはポンポン出てくるわけではないので、話の進み方に都合が良すぎると感じる部分がないのもよい。
絵は上手いので読みやすい。

「ファイアーエムブレム~暗黒竜と光の剣~」
箱田真紀・全12巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
SFCソフト「ファイアーエムブレム~紋章の謎~」の第1部を漫画化した作品。
絵はゲーム内のイラストに近く、またきれいで見やすくもあってよい。
ストーリーもオリキャラは少々登場するが、基本的にゲーム内容を忠実に再現していて好感が持てる。
ただ、ゲームを知らない人が読むと、キャラが多くてわかりにくく感じると思われる。
きれいに終わってはいるが、ラスボスを倒すまで続いて欲しかった。

「ファイアーエムブレム トラキア776」
たかなぎ優名・全3巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
同名タイトルのSFCソフトを漫画化した作品。
ゲームの内容に忠実で、上手い具合にオリジナル部分も取り入れている。
しかし、ゲームだと全20章のうちの11章という非常に中途半端なところで連載が終わっているため、ゲーム未プレイの人は手を出さない方がいい。
もしくは、ゲームの導入本だと判断するか。
絵は完成されていてきれい。ゲームとの違和感もない。

「ファイアーエムブレム-光をつぐもの-」
冬季ねあ・全5巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
SFCソフト「ファイアーエムブレム~聖戦の系譜~」の後半を漫画化した作品。
ストーリー展開が早く、それでいて心理描写もわりとうまく取り入れてある。
しかし、ストーリーがとんでもない場所で切れており、仲間も全員登場しなかった。
ここまでコミックスを出したなら最後までいってほしかった。
絵はまだ未熟だと感じられる部分が多く、描き方が甘いと思われる部分も多いのが気になる。

「FINAL FANTASY CRYSTAL CHRONICLES」
壱河柳之助・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
同名のGCソフトを漫画化した作品。
ゲームとはあくまで世界観と登場人物が同じなだけで、話は全く別物と考えた方がいい。
ゲームでは絶対にありえない展開なども持ってきているので、そういったものが許せない人は読まない方がいい。
また、ゲームではストーリーの核であった「思い出」というキーワードが全く出てこなかったのは残念。
ゲームのことを考えなければ、普通のファンタジーといった感じで、悪くない出来。
絵は全体的にゴチャゴチャしていて読みにくい。

「FINAL FANTASY XII」
天羽銀・全5巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★
同名タイトルのPS2ソフトを漫画化した作品。
FFシリーズの正当な続編作品を漫画化した初の作品なのだが、絵がいまひとついただけない。
全体的に表情が硬く、新人っぽさが如実に表れてしまっている。
ストーリーは最初に中盤のイベントを持ってきて、そこから回想という形でゲーム序盤の展開が始まる。
そのため、ゲームを知らないとちょっと入りにくい形になっている。
最後はその中盤イベント付近で話が終わってしまったため、非常に中途半端な印象だった。

「FINAL FANTASY LOST STRANGER」
亀屋樹・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
スクウェア・エニックスの社員である兄妹が交通事故で死亡してしまうが、ファイナルファンタジーと非常に近しい世界に転生する。そこで妹が死んでしまうが、FFの世界にあるはずの蘇生呪文・レイズはおとぎ話に出てくるものとして実在していなかった。それでも妹を生き返らせるため、レイズを求めて兄は旅に出る。
一見するとイロモノ異世界転生なのだが、読んでみるとなかなかどうして、シナリオがしっかりしている。
FFの知識が随所に登場する作品なので、FFを一通りプレイした人の方が楽しめる。
絵は戦闘シーンに迫力があり、読みやすい。

「F・COMPO(ファミリーコンポ)」
北条司・全14巻・集英社(オールマン)
★ ★ ★
両親を亡くした青年が叔母の家に住むことになったが、叔母と思っていた人は実は男性で叔母の夫だと思っていた人は女性だった。
しかも、その逆転夫婦の一人娘も男かもしれない、という可能性を持っていた。
元々は少年誌連載される予定だったらしいが、内容が内容だけに青年誌に連載されている。
なかなか面白く、絵もきれいなので読みやすい。
家族ものの作品としては出来がいいとは思うが、謎が謎のまま残ったり、主人公の将来の目的が見つからないままだったり、と中途半端なところが残ったのは残念だった。

「ファントムデッドオアアライブ」
渡辺道明・全8巻・エニックス(ガンガン)

両親の仕事の関係でアフリカに行くことになった少年。
しかし、飛行機事故で少年は海に投げ出され、戦闘機乗りたちが暮らす空母に拾われる。
戦闘機がテーマの作品だが、世界観の設定が「ゲーム感覚で戦争をしている」というものなので、そこがいかにも漫画的。また、主人公がかなりヘタレていたり、戦闘機が漫画だとはいえありえない動きをしたり、ギャグがつまらないものが多いなど、マイナス面が非常に目立つ。
戦争本番に入ってやや持ち直した面はあったが、ページ稼ぎ的なギャグで潰してしまった感じ。
終わり方も完全な打ち切り仕様で、何の解決もなく途中で途切れてしまっている。
8巻続いての打ち切りはかなり痛い。
絵も上達しすぎて見難くなってしまったものの典型だった。

「FAIRIAL GARDEN」
桜野みねね・全5巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★
あるとき、キッチリ育てると花から妖精・フェアリアが生まれる、という花が開発された。
少年は道端で枯れかかっていた花を拾い、育てるとそこからフェアリアよりも珍しい幻のフェアリアルが生まれた。
良くも悪くも作者っぽいなぁ、というキャラ設定の作品。
ただ、ストーリーは結構狙っているなぁ、という感じで、「ちょびっツ」(タ行参照)に近いものを感じる。
これは作者と絵が好きな人になら、といった感じ。
話は穏やかな感じで続いていたが、最後はかなり中途半端な感じで終わった。
この作者の作品でまともに終わった作品はなくなってしまったように感じた。

「FATALIZER」
小林立・全1巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
公園で出会った不思議な女の子と友達になった少女。
その女の子があるとき突然誘拐され、少女は女の子を助けるために行動を開始する。
極普通の少女漫画かと思いきや、中盤からは能力者バトルになる。
1巻でなんとかまとめている感じがするので、語れなかった部分もかなりあるな、と思う。
絵はすっきりしていて読みやすく、安定している。
絵が気に入れば買ってもよいのでは。

「Fate Grand/Order-turas realta-」
カワグチタケシ・講談社(マガポケ)
★ ★ ★
スマホゲームのFGОで序・1・3・5・7・8章が描かれる予定のコミカライズ作品。
シナリオに定評があるスマホゲームが原作なので、シナリオに関して文句はないのだが、いつまでたっても絵が上達しないので読むのが結構きつい。
序章に関して対になっている下記作品と違う解釈をしている部分もあり、全体的に微妙。

「Fate Grand/Order-mortalis:stella」
白峰・一迅社(ゼロサム)」
★ ★ ★ ★
スマホゲームのFGОで序・1・2・4・6・8章が描かれる予定のコミカライズ作品。
絵に関しては上記作品に比べてこちらの方が格段に上手い。ただ、長期休載を挟んでおり、連載再開後もずっとページ数が少ないので、話の進むスピードはかなり遅い。
展開を急いでいるわけではないので、まとめて読む分にはいいのだが。

「フカシギフィリア」
筒井大志・全3巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★
同級生たちと悪の組織を潰して回る「潰し屋」をしている少年は、あるとき某組織の商品であるという話すことのできない少女を助ける。
未来を予言する不思議な少女の元、運命が動き始める。
序盤は割と普通の話の印象だったが、2巻後半くらいで面白くなってくる。
それぞれのキャラの背景や能力的なものがわかってきてからが本番。
しかしながら、最後は打ち切りなのか非常に早い展開となり、無理矢理まとめた感じになってしまっていたのが残念。
あと2~3巻くらい余裕が欲しかった。

「部活動」
西田理英・全2巻・マッグガーデン(マサムネ)
★ ★ ★ ★
新設の部の顧問になった新米教師。いざ部活に参加してみると、そこには個性の強すぎる3人の生徒が地球防衛について話し合っていた。
とにかくキャラの個性とテンポのいいギャグで楽しませてくれる作品。
少々ツッコミの回数が多いのが気になるが、絵も安定していて地味に楽しめる。
表紙から内容が想像できないのが残念。
2巻完結は惜しいほどよく出来た作品で、できれば続編があってほしいと思う。

「不機嫌な探偵」
渡辺瑞樹・全1巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★
父親の跡を継いで骨董屋を営む青年は、父の遺品でもあったある質草を届けに出かける。
そこで殺人事件に巻き込まれ、犯人を推理していくことになる。
他の推理ものの話とは違い、読者があまり推理する要素はなく、犯行の動機を説明するところなどに重点を置いているように見える。
絵は上手いが、キャラだけに頼っているように見えてしまうのが辛い。

「不機嫌な探偵 division-0」
渡辺瑞樹・全5巻・一迅社(WARD)
★ ★
上記作品の続編。
基本的に設定と展開は同じで、前作が気に入ったら買って損はない。
しかし、やはり推理物としてはフェアではなかったりするので、推理物としては雰囲気だけ。
絵が気に入れば読めなくはない。
終わり方はそこまできれいではないものの、一応伏線は回収されている。

「BUZZER BEATER」
井上雄彦・全4巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
宇宙的スポーツになったバスケットボールだったが、その有名選手は異星人ばかりだったので、地球人でそれに対抗しようとある老人が地球最強チームを作ろうとし、契約金に目がくらんだ少年はそれに参加する。
インターネット上で連載されている漫画を月刊ジャンプに再掲載し、コミックスになった作品。
バスケット漫画なので井上さんらしく試合は迫力があってよいが、全4巻にしては登場人物がやや多く、主人公と他数名以外は個性がちゃんと出ないまま、作品が完結してしまった。
中盤からペンタッチが変わったが、そのペンタッチは好きになれなかった。

「不思議の国の美幸ちゃん」
CLAMP・全1巻・角川書店(ニュータイプ)
★ ★ ★
普通の高校生美幸がいろいろな世界に入り込み、最後には元の世界に戻ってくるが、結局再びその世界に入り込んでしまう、ということが永遠にくり返されるネバーエンドのストーリー。
登場人物は女ばかりであるにも関わらず、それを気にすることなく読める。
OVA化までされた作品で面白いが、最後の作品は「X(ア行参照)」を知らないと読めない。

「腐女子になって四半世紀経つとこうなる~底~懐古編」
御手洗直子・全1巻・一迅社(pixiv)
★ ★ ★ ★
インターネットがまだ普及していない頃から同人活動をしている作者が、ネットのない時代はどうやって同人活動をしていたのか、などを振り返る話。
ネット黎明期の話など、懐かしい内容が満載で、確かにあの頃はこうだったなと、ものすごく内容に共感できる。
コミケの噂の真相を、壁サークルの当事者だった高河ゆんさんにインタビューして確認していたりもするので、その辺りも興味深く読める。

「武装錬金」
和月伸宏・全10巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
ひょんなことから命を失い、少年はとある少女に生き返らせてもらう。
そのときに錬金術を手に入れた少年は、少女が戦う組織の一員として自らも戦う決意をする。
王道的な少年漫画で、テンポもよく、楽しく読める。
キャラもしっかりしているし、絵も読みやすい。
しかしながら、連載途中で打ち切りとなり、最後は増刊号掲載で何とか完結したので急展開&ご都合主義がやや見えてしまったのが残念。
あと3巻分くらい余裕があれば。
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ハ行-2 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「ばらかもん」
ヨシノサツキ・全18巻・スクウェア・エニックス(ガンガンONLINE)
★ ★ ★
自分の書道に行き詰まり、日本最西端の島にやってきた書道家の青年。
青年はそこで天真爛漫な少女と出会い、何かを見つける。
作者が島の出身だけあって、描写がかなりリアルなのがいい。
島での穏やかな雰囲気や人々との交流が読んでいて心地よい。
読むと癒される作品。
話としてはまだ続けられる状態ではあったが、区切りを付けたところできれいに終わった。

「ハラサキ」
櫻シノ・全2巻・スクウェア・エニックス(マンガUP!)
★ ★ ★ ★
幼い頃の記憶がほとんどない女性は、結婚を機に故郷の村を訪れることにする。
しかし、そこに向かう電車の中で気を失ってしまい、気が付くと別次元の村に辿り着いていた。
最初は主人公に感情移入してしまうのだが、中盤以降いい意味で共感できない展開になってくると面白くなってくる。
ラストシーンは必見。
一気読みがおすすめ。

「パラドクス・ブルー」
nini×中西達郎・全5巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
人間の前に突然現れ、様々な試練を課す天使。
その試練に勝てば天恵が与えられ、負ければ災害に見舞われる。
その天使たちと戦う高校生たちの物語。
ちょっと変わった推理物のような感じで、全編に問題編と解答編がある。
ただ、この解答がちょっと捻られ過ぎていていまひとつ納得できないものが多いのが残念。
筋は通っているのだが。
また、全体的に文字が多めで読みにくいのが欠点。
最後はきれいに完結していて、中西作品としては珍しくハッピーエンドとなっている。

「玻璃月蜻蛉縁物語」
岩崎美奈子・全2巻・一迅社(WARD)
★ ★
人と人をつなぐ縁。その縁を見ることができる少年と、切ることができる少年。
2人が誤ってつながった縁を切っていく物語。
原作が付いている作品だけあって、話がよく練られているな、と感じることが多い。
2巻で完結しているものの、終わり方はやや中途半端。もう少し続いてもよかったと思う。

「ハルカゼ BITTER★BOP」
別天荒人・全4巻・マッグガーデン(マサムネ)
★ ★ ★
放火事故を起こして退学寸前になりながらもどうにか学校に残り、周囲の目を気にしながら生活する少年。その少年がある日、電車に轢かれながらも生きている、という記憶喪失の青年と出会う。
何だかんだで青年と共に生活するようになった少年は、青年が巻き込まれている事件に自らも巻き込まれることになる。
設定がそれなりに珍しくてよい作品で、キャラにもわりと個性がある。ただ、それが若干空回りしているようなところもあり、オマージュ的なパクリネタはあまり好きになれない。
絵は描き慣れていて読みやすいのだが。
中盤からは無理矢理な設定も見えてきたが、最後はきれいに完結してくれた。

「春の回線」
夢路行・全1巻・潮出版社(コミックトムプラス)
★ ★ ★ ★
母がテレビと間違って拾ってきたパソコンを元の場所に返そうとやってきた少女が、そこで明治生まれだという少女に出会う。
その他6本の短編が収録されており、どれも少し不思議な世界を扱っていて雰囲気がいい。
特にタイトルになっている1話目がお勧め。

「春の呪い」
小西明日翔・全2巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★ ★
妹の春が19歳にして癌で亡くなってしまう。春には婚約者がおり、春が死んだことで今度は姉が新たな婚約者として指名されるが、姉はそれを承諾する条件として春と巡った場所を案内してほしい、と提案する。
姉は妹のことが大好きだったけど、妹は姉よりも婚約者を見るようになっていて、その婚約者は妹よりも姉のことが好きだった、という三角関係が話に大きく絡んでくる。
婚約者に惹かれつつも妹のことを想って苦悩する姉の姿がいい。
人の心を抉ってくるような展開も多く、引き付けられる。
完全なハッピーエンドという終わり方ではなかったが、それなりにキリよく終わっている。

「ハルポリッシュ」
土塚理弘×みなもと悠・全5巻・秋田書店(月刊チャンピオン)
★ ★ ★
日本刀が大好きで刀に魅せられている少女は、高校で居合と出合い、居合道部に入部する。
居合のことがちゃんとわかった上で描いているというのが伝わってくる作品で、居合の基礎もわかって読み応えのある作品になっている。
キャラにも個性があり、居合のシーンもなかなかに迫力があるので飽きさせない。
ただし、終わりはやや打ち切りっぽい感じで、物語の途中で切られてしまったような印象。もっと続きが読みたかった。

「ハルマゲどん」
渡辺志保梨・全2巻・スクウェアエニックス(ガンガンパワード)
★ ★ ★
1999年7月、人類を滅亡させるために恐怖の大王が地球に降り立った。地球の持つポイントが0点になると地球は滅亡するはずだったが、約束の時間になってもポイントは0点にならず、地球は滅亡しなかった。
しかし、その後も大王は地球に残り、滅亡調査を続ける。
1巻程度で完結できる話を無理矢理引き伸ばした感じがするので、中盤は新キャラが登場しまくるワンパターンに陥りつつあった。
しかし、なんとか2巻で完結し、話もどうにかまとまっている。
絵はすっきりしていて読みやすい。

「ハレグゥ」
金田一蓮十郎・全10巻・スクウェアエニックス(ガンガン)
★ ★ ★
「ジャングルはいつもハレのちグゥ」(サ行参照)の続編。
タイトルが変わっただけで完全に話が続いているため、前作を知らないと読めない。
ただ、前作から続けて読んでいるとわりと面白く読める。
おまけ漫画も面白い。
しかしながら、後半はかなりグダグダになっていた印象。
もう少し早く終わっていた方が良かったかもしれない。

「ハロウィーン伝説」
渡千枝・全1巻・講談社(フレンド)
★ ★ ★ ★
幼い頃突如として姉が錯乱し家族を惨殺した。
その中で唯一生き残った少年が、13年後同じ事件が起こったことを知り、事件の真相を調べ始める。
少々わかりにくい部分もあるが、読ませてくれる作品。絵柄も怖い雰囲気を出せていて、安定しているのでよい。

「BAROQUE」
上田信舟・全3巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
大熱波によって歪んでしまった世界で、ただ1人狂った神を浄化出来る存在だと言われた少年が、その浄化のために塔の最下層を目指す。
同名タイトルのゲームが原作の話で、主人公が何度も死んで何度も生き返って塔を降りていく、という設定を知っておかないと話がわかりにくい。
作品全体の雰囲気は暗いが、読みにくいというとこはない。
ストーリーは全体を通してわかりにくく、ゲーム自体を知らないとなかなか理解できない。
しかしながら、ゲームを知らなくてもそこそこ理解できること、ちゃんとハッピーエンドで終わっていたことで、評価は下げなかった。

「パンゲア」
浅野りん・全5巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★ ★
その実を摘み取るとあらゆる願いをかなえる、といわれる樹から作られた杖を持つ少年。
その少年は姉を探しながら旅を続けていた。
また、その少年の周りには共に旅をする仲間も集まっていた。
作者初の異世界ファンタジーであるが、とても上手に描けている。
新キャラ登場で最終回になっているので、下記続編を読むことは必須。

「パンゲア・エゼル」
浅野りん・全7巻・マッグガーデン(マサムネ)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。
休載期間が長かったものの、作品の質は落ちることなく続いていた。
前作が好きな人なら買って間違いない。
ただ、最後に謎解きは行われたものの、きれいに終わっているわけではないので、その辺りは覚悟が必要。

「半熟忍法帳」
新山たかし・全9巻・エニックス(ギャグ王)
★ ★ ★
忍者見習いの4人組によるちょっとHなギャグ漫画。
「ギャグ王」で唯一創刊から休刊までの間連載された作品。
絵は安定しているが、コマ割が小さくセリフが多いので見にくい。
あまり面白いとは思えなかったので、長続きはしたものの、他誌への移動がなかったのにも納得できた。
ラストはまとまり良く終わっている。

「HUNTER×HUNTER」
冨樫義博・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★ ★
父が有名なハンターである少年は、父のようなハンターになりたいと倍率が数百万倍と言われるハンター試験を受けるために旅立つ。
少年はその旅の途中で信頼できる仲間たちと出会う。
「幽遊白書(ヤ行参照)」の後半以来、絵が乱れてしまった傾向にあった作者だったが、この作品で完全に立ち直って、元の見やすくてきれいな絵に戻った。所々にある線の荒い絵もわざと描いているところだと思えるので問題なし。
ストーリーもよい。キャラそれぞれに信念があるし、特徴付けや描き方もうまい。
ただし、話が後半になるに連れて設定が複雑化したり休載期間が長かったりして次第に読みにくくなってきている。蟻編までで終わってよかった。

「はんだくん」
ヨシノサツキ・全6巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
「ばらかもん」(上記参照)の主人公の高校生時代を描いた作品。
書道家として既に有名になりつつあった半田は全校生徒の憧れの的だったが、本人は全校生徒から嫌われていると思い込んでいた。
全てを悪く受け取る完全なマイナス思考の主人公と、気を遣い続ける周囲の人たちのギャップを楽しむ作品。
全編通して悪くない感じではあるが、本編ほど楽しめなかった。
本編のような田舎を楽しむ作品ではないので、その辺りは注意が必要。

「PANZERKLEIN」
神田晶・全5巻・エニックス(ガンガン)

5年前に流星にぶつかった者が得たクラインという武具精霊。クラインは様々な武器の形となり寄生した人間に力を貸していた。
設定自体どこかで見たようなものであったり、強引なところがあったりするので、首をかしげたくなるところは各所にある。
絵は読みにくいものではないが、女の子の制服デザインがごつく見えてしまうものだったのが残念。
ストーリーは後半に行くに連れ破綻していっており、最終的には初期設定を無視しまくっている上、とんでも設定も多い。
一応ハッピーエンドで終わっているが、謎が謎のまま終わっている部分も多い。
また、そのことについてコミックスで全くフォローがないのが最低評価の決め手となった。

「Pandora Hearts」
望月淳・スクウェア・全24巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
15歳の誕生日に永遠の監獄といわれるアヴィスに落とされた少年。
少年はそこでアリスという不思議な少女と出会う。
話がよく練られており、読者を楽しませよう、と努力しているあとが見て取れる。
中盤以降はかなり話が入り組んでくるが、最後はきれいに終わった。

「ハンド×レッド」
星樹・全3巻(立ち消え)・一迅社(REX)
★ ★ ★
かつての親友に呪いをかけられ、少年は100年に1度、10日間だけしか現実世界に存在できないようになってしまった。
少年は100年に1度の機会に親友を探し出し、呪いを解こうとする。
呪いが解ける10日間を最初から描くのではなく、呪いを解くことに失敗する話を何話か最初に入れるという手法が斬新でいいな、と感じた本作品。そこでかなりこの話に入ることができた。
絵はまだまだ粗いが、話の雰囲気はよく表せている。
話としてかなり面白かったのだが、突如休載となったまま連載が立ち消えてしまった。

「バンパイアドール ギルナザン」
雁えりか・全6巻・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★ ★
かつてエクソシストに封印された吸血貴公子・ギルナザン。
そのエクソシストの子孫によって封印は解かれたが、魂を女の子の人形に入れられてしまい、魔力も極々弱くなってエクソシストの下で働くことになってしまった。
話は可もなく不可もなくの部分が多いが、キャラの個性が強いので、それで結構楽しめる。
絵は安定しているものの全体的に濃いので、読みにくい。
最後はギャグ漫画らしい終わり方で、まずまずの終わり方だった。

「BAMBOO BLADE」
五十嵐あぐり・全14巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
高校時代の先輩・後輩で別の学校同士で剣道部顧問をしている教師2人。
ひょんなことから生徒たちを戦わせる勝負をすることになり、後輩の教師は剣道が強いと噂の女の子を剣道部に入れようとする。
シリアスとギャグが半々くらいだが、かなりしっかりと剣道漫画をやっている。
キャラもしっかりと立っていて、なかなか面白く読める。
原作は土塚理弘さん。
終盤の展開で剣道から少し離れるところはダレるが、最後は割と後味良く終わっている。

「BAMBOO BLADE B」
土塚理弘&スタジオねこ・全12巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
上記作品と同じ時間軸上にある中学校の剣道部の話。
原作は同じなのだが、作画が上記作品と比べると数段劣り、またペンタッチの違う2人がメインで作画をしているため、読んでいて違和感がなくなるまでが大変。
上記作品と同じ感覚で買うと失敗するかもしれない。
ストーリーは2巻くらいから面白くなる。
話は剣道の試合がメインで、迫力はまあまあ。下手に試合を長引かせず、話がサクサク進むのはよかった。

「BAMBOO BLADE C」
高尾じんぐ・全7巻・スクウェア・エニックス(ビッグガンガン)
★ ★ ★
上記作品と同じ時間軸上にあり、上記2作品の最終話の後の世界の別の高校での物語。
練習では強いのに試合では負けてしまう男の子と、剣道は強いけど常に二番手になってきた女の子たちの話。
今作は前作と違い、作画にかなり上手い人を持ってきているので、それだけで話への入り方が違って見えたのはよかった。
あまり長い話にはならないと序盤で断言されていたが、序盤の話の進み方は結構遅い。そして、後半2巻くらいは超速で話が進むのでどう見ても打ち切りに感じる。
ただし、シリーズ完結作として1つの結論は出ている。
その後にも話が続きそうだったが、続編はない。

「B壱」
大久保篤・全4巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
動物の骨をくわえるとその動物の力が使えるようになる、という力を持った少年。
その少年が幼い頃の親友を探して旅をする物語。
設定がわりと珍しいもので、シリアスなところは結構読ませてくれるのだが、無駄に寒いギャグが多いことが問題。地名も全てがギャグで、これさえなければ、と思うことがよくある。
絵は決して見やすいものではないが、アクションシーンには迫力がある。
ストーリーは3巻くらいからかなりよくなったのだが、最後は打ち切りで非常に中途半端に終わってしまった。
あと1巻あれば名作の域に達したと思えるだけに、残念。

「P.S.アイラブユー」
谷川史子・全1巻・集英社(コーラス)
★ ★
仕事に生きるため、結婚する道を捨てた女性が、ある時図書館で不思議な男の子と出会う。
話の雰囲気はいつもの谷川さんらしいのだが、残念ながら読んでいてオチが読めてしまう。
もう少しオチがわかりにくかったら、と思えて残念。

「ビースト&ビースト!!」
浅野りん・全1巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
「CHOKO・ビースト!!(タ行参照)」の前身となった作品と、その外伝的な話が収録されている。
浅野さんの初期作品集で、絵はだいたい現在と同じだが、ストーリーがまだ未熟な感じがする。
「CHOKO・ビースト!!」が好きだと楽しめる作品。

「ビーズの指輪」
あいざわ遥・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
同棲はしていても結婚まで踏み出せないカップルの話。
特にどこがいい、というものはないが、都合のいい展開もなく、ちゃんと結婚で完結しているので、安心して読める。
りぼんのコミックスにしては、対象年齢が少し高め。

「PEACE MAKER 鐵」
黒乃奈々絵・マッグガーデン(コミックブレイド)
★ ★ ★ ★
「新撰組異聞PEACE MAKER」(サ行参照)の続編で、池田屋事変の後の新撰組が描かれている。
キャラの見た目にギャップがあったりするが、話はいい感じに暗くて崩壊への道筋がうかがえてよい。
前作を知っていることが前提。
所々に長期休載期間を挟んではいるが、質が落ちることなく話は続いている。

「P2!」
江尻立真・全7巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
運動部に憧れていた少年は、運動神経の悪さからあらゆる部活の入部テストに落ちていた。
しかし、卓球と出合い、卓球部員として少しずつ成長していく。
典型的なスポーツ成長ものの作品だが、卓球に対する知識がしっかりしており、キャラもわりと立っているので読みやすくて引き込まれる。
絵もスッキリしていて良い。
しかし、最後は完全な打ち切りで、回収できなかった伏線が多数あった。
もう少し続いてくれれば、と残念。

「Healing Planet」
桜野みねね・全1巻・エニックス(ガンガン)

異次元カウンセラーとなった少女が、様々な悩みを抱えたクライエントと交流する話。
一応この漫画の売りは全編フルCGと癒しなのだが、CGは絵が雑に見えて読みにくいだけで、癒しに関しては本当に癒される人がいたのかどうかも疑問。全編通じてほぼボケ倒す主人公は嫌いだったのだが、唯一クライエントの母親に向かって文句を言うシーンがいいと思えたので購入に踏み切った。
余談だが、コミックスで作者が打ち切りだったこの作品に対して未練タラタラだったのは読んでいて痛かった。

「ピカピカ家畜」
厘のミキ・全3巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★
誘拐・監禁され癖のある女子高生マハネ。78回目の誘拐で、マハネは生と死の中間の異世界で家畜にされてしまう。
相変わらず作者らしいというか、読む人を選びまくる作品。
読んでいると結構気持ち悪いし、少なくとも楽しい気分にはならない。
それでも普通とはかなり違った世界を楽しみたい人にはいいかもしれない。
最後はかなり急展開で、謎解きはかなり急ぎ足だった。
ただ、2つのエンディングが用意されていて、それなりに納得できる終わり方ではあった。

「光」
凛野ミキ・全4巻・スタジオDNA(ゼロサム)

他人からは偽善者と見られている少年、その少年に憧れる少女、様々な人々の体に、あるとき突然不思議な痣が表れる。
その痣が表れた人たちは突然時間の止まる世界の中で自由に動くことができ、その空間の中では不思議な力を使うことが出来た。
設定だけを見るとわりとよくある設定なのだが、実際の内容はかなりハード。確実に読者を選ぶ内容で、中には嫌悪感を持つ人もいるかもしれない。
その分キャラに個性はあるので、チャレンジするつもりで読む、くらいの気持ちを持っていた方がいいかもしれない。
ただし、最後は思いっきり打ち切り仕様で、謎が謎のまま終わっている。

「ヒカルの碁」
小畑健・全23巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★ ★
平安時代に宮廷で囲碁の指導をしていた青年の霊にとり憑かれた少年が、次第に囲碁の世界にはまっていって強くなっていく話。
囲碁がわからなくても十分に楽しめる作品。
むしろ、囲碁を知らない方がこの作品を読むことによってだんだん囲碁のルールがわかってくるので、それが楽しい。
絵は非常にきれい。
最初は絵だけの作品かと思っていたが、ストーリー構成が非常に上手く、サクサク読めるのもよかった。
惰性で連載が続く前に完結して、名作になったと思う。

「ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編」
鈴羅木かりん・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★ ★ ★
同名タイトルの同人ソフトを漫画化した作品。
絵はあまり安定している感じはしないのだが、ポイントポイントで見せてくれる絵にかなりドキッとするところがある。
こういうシーンが描けるからこそ漫画化した意味がある、と思わせてくれる。
ゲーム未プレイの人でも十分読める。
ポイントを抑えて短くまとめてくれている。

「ひぐらしのなく頃に 綿流し編」
方篠ゆとり・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★ ★
同名タイトルの同人ソフトを漫画化した作品。
他の2作品に比べると絵でも見せ方でも一歩劣るところがあるが、それでも十分にがんばっているのが見て取れる。話の配分の仕方も上手いし、描くべきところはキッチリ描いてきている。
他の2作品の出来がよいので見劣りするだけなのかもしれない。
ラストシーンはかなり衝撃的。漫画化した意味が十分にあると思えた。

「ひぐらしのなく頃に 祟殺し編」
鈴木次郎・全2巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
同名タイトルの同人ソフトを漫画化した作品。
他の2作品と比べても作者の画力が高く、安定した高レベルで作品を見せてくれている。
不気味さの演出なども上手いし、ほのぼのシーンもキッチリ描けている。

「ひぐらしのなく頃に 鬼曝し編」
鬼頭えん・全2巻・角川書店(コンプエース)
★ ★ ★ ★
上記3作品とは違い、こちらはゲーム原作ではない番外編。
しかしながら、原作がゲームの作者なので、特に違和感なく話に入れる。
設定は祟殺し編の後の話で、雛見沢村の外の世界の話。
上記3作品を読んでいなくても、ゲームを知っている人なら読んで損はしない。
絵はなかなかにグロテスクでよい。
結末にもそれなりに意外性があって、面白く読めた。
ただ、本編の謎解きのヒントになるようなものがなかったのはちょっと残念。

「ひぐらしのなく頃に 暇潰し編」
外海良基・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
同名タイトルの同人ソフトを漫画化した作品。
上記作品群とは少しタイミングをずらして連載が開始された。
話はきれいに2巻でまとまっていて、原作を忠実に再現している。
残酷な描写もそこそこ上手いので、他の作品同様面白く読める。
ハッと驚くシーンがなかったのは残念。

「ひぐらしのなく頃に 宵越し編」
みもり・全2巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
鬼曝し編同様、ゲームにはない番外編。
世界設定が罪滅し編に似た世界の後日談となっているので、罪滅し編を知っている人が読んだ方がよい。
絵はかなり癖があって独特のものなので、少し抵抗があるかもしれないが、話の出来はなかなかよい。
むしろ2巻以降が本番。
謎解きのところはかなり面白く読めた。

「ひぐらしのなく頃に 解 目明し編」
方條ゆとり・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★ ★
同名タイトルの同人ソフトを漫画化した作品。
綿流し編の解答編なので、作者も綿流し編と同じになっている。
綿流し編同様、ゲームを上手く漫画化している。
グロテスクなところもいい感じに描かれていてよい。
全4巻という指定があらかじめあったのか、途中若干中だるみのように見えた部分があるのが残念。
原作通りではあるのだが。

「ひぐらしのなく頃に 解 罪滅し編」
鈴羅木かりん・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★ ★ ★
同名タイトルの同人ソフトを漫画化した作品。
鬼隠し編の解答編となっているので、作者も鬼隠し編と同じになっている。
グロテスクなところも含め、心理描写もしっかり描かれていて、かなり読み応えがある。
終わり方は祭囃し編に繋がる作りになっていて、単純にゲームと同じ終わり方にしなかったのも評価できる。

「ひぐらしのなく頃に 解 皆殺し編」
桃山ひなせ・全6巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
同名タイトルの同人ソフトを漫画化した作品。
序盤は他の作品に比べて画力が劣ることが心配だった作品だが、中盤で一気に画力が上がった。
残酷描写や歪んだ表情などよくなり、カラーも上手くなった。
途中で化けた良作。

「ひぐらしのなく頃に 解 祭囃し編」
鈴羅木かりん・全8巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード・ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
同名タイトルの同人ソフトを漫画化した作品。
シリーズ最終作にふさわしく、鬼隠し編・罪滅し編の作画を担当した鈴羅木さんが作画をしていることがとても自然な形に見えて、話に入りやすい。
残酷描写などなどは相変わらず上手く、話の進むペースもよいので引きつけられる。
最後はきれいに終わっていて、文句のつけどころのない終わり方だった。
最終巻の書き下ろし漫画もよかった。

「ひぐらしのなく頃に 礼 賽殺し編」
鈴羅木かりん・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
同名タイトルの同人ソフトを漫画化した作品。
時系列的に「祭囃し編」の後の話なので、全ての謎解きを知った上で読む必要がある。
話はきれいに1巻でまとまっており、シリーズを通して読んできた人なら読んで損はしない。

「ひぐらしのなく頃に 怪 現壊し編」
鬼頭えん・全1巻・角川書店(コンプエース)
★ ★
聖ルーチア学園に通う園崎詩音。
全寮制のお嬢様学校で、ある日殺人事件が起こる。
本来はもっと続く予定だったような話で、非常に中途半端なところで終わっている。
謎が謎のまま終わっているので、読後感は悪い。
鬼曝し編の続編が掲載されているので、前作を読んだ人は買ってもいいと思う。

「ひぐらしのなく頃に 心癒し編」
影崎由那・全1巻・角川書店(エース)
★ ★
昭和58年の6月を乗り越えた梨花の物語。
なので、本編の結末を知っている人向けの話。
話は悪くないが、特に謎解きがあったりするわけではないので、公式同人誌のような感じ。
絵もあまり上手いとは感じられない。

「ひぐらしのなく頃に 昼壊し編」
佳月玲茅・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガンONLINE)
★ ★ ★
作者の公式番外編を漫画化した作品で、世界観は「ひぐらし デイブレイク」が元になっている。
本編の結末を知らなくても、キャラ設定を知っていれば読める話になっているが、羽入の存在は知っていた方がいい。
全体的にちょっと背景が白いのと、キャラの顔が微妙なものがあるのが玉に傷だが、原作が好きなら読んで損はない。

「ひぐらしのなく頃に 令 星渡し編」
刻夜セイゴ・全2巻・ビッグガンガン(スクウェア・エニックス)
★ ★ ★
「ひぐらしのなく頃に」本編から約35年後、令和元年の雛見沢村で再びオヤシロサマの祟りが起こる。
梨花を除く本編の主人公4人にそれぞれ子供が出来ていて、その子供たちが惨劇の謎に挑む。
舞台が令和になっても、雛見沢村が世界遺産を目指して観光地化されているなど、それなりに村が存続していると思わせてくれているところは素直に上手いと思う。
なお、話としてこれは問題編なので、謎が謎のまま終わっている。これを読むなら解答編もセットで。
綿流しのお祭りの日に村にある宗教団体のお祭りに参加してしまった場合の話が展開されている。

「ひぐらしのなく頃に 令 鬼熾し編」
夏海ケイ・全2巻・ガンガンONLINE(スクウェア・エニックス)
★ ★ ★ ★
こちらも令和の「ひぐらしのなく頃に」。
キャラ紹介がメインの序盤はほぼ「星渡し編」と展開が同じになっているが、画力が高いのはこちらの作品なので、引き込む力は強い。
1巻の中盤くらいで展開が分かれてくる。
読者を驚かせようとする構成が上手い。
なお、この作品も問題編。綿流しのお祭りに宗教団体に属する少女を誘った場合の話が展開されている。

「Pico☆Pico」
衛藤ヒロユキ・全1巻・エニックス(ギャグ王)
★ ★ ★
1000年に1度現れるというバグウィルスを倒すための「光の子」となった小学1年生5人がバグウィルスを倒すために旅に出る。
作者の趣味がよく反映している漫画だというのが第1印象。
1巻だけではラストの方は急ぎ足な展開に感じてしまうので、もう少し続いてもよかったのではないかと思える作品。
よくまとまってはいるのだが。
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タ行-3 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「田園少年」
紺野キタ・全1巻・大洋図書(CRAFT)
★ ★ ★
幼馴染で、同じ野球部で部活に励む2人の少年の物語。
全6本の読み切りが収録されているが、全てに関していわゆるライトなBL系の話。
作者が好きで買ったのだが、やはりBL系を読み慣れていないのでどうしても抵抗があった。
絵の雰囲気は相変わらずよかった。

「天賀井さんの案外ふつう」
水野英多・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
かつて2匹の化け物住んでいたという伝承の残る街に、10年前に起きた殺人事件の犯人を見つけるために来た、という転校生の少女が現れる。
殺人事件と古い伝承と異世界の設定が入り乱れる話だが、意外と話の筋はしっかりしている。
殺人事件の犯人のことなど、読者が考える前に登場人物たちが勝手に特定してしまって置いてきぼりになる感じはあるが、最後はきれいにまとまっている。

「天外レトロジカル」
浅野りん・全7巻・マッグガーデン(コミックブレイド)
★ ★ ★
宇宙図書館で管理されている地球のデータが一部壊れてしまい、そのデータを補完するために地球に遣わされた少女と、その少女のマモリベとして地球の記憶データを集めることになった少年の物語。
設定を理解するまでが少し大変だが、それ以外はいつもの作者のテンションで、作者のファンなら楽しめる内容。
ただし、突出した点もない。
最後はきれいに完結したが、いまひとつ盛り上がりに欠けたような感じもしてしまった。

「天からの贈り物」
夢路行・全1巻・スタジオDNA(クレッセント)
★ ★ ★
「謡う海」(ア行参照)の続編。前作を知らないと話がまずわからないので注意が必要。
話は完全に姉側(ソーマとパキ)のものとなっているので、前作からの続きで弟側の話が読みたいと思っている人も注意。
それを除けば、前作同様に非常にいい雰囲気を出していて、ちょっと不思議な世界をのんびりとした感じで楽しめる。癒し系の話。

「天空忍伝バトルボイジャー」
結賀さとる・全4巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
宇宙を永遠の平和に導くという「神の剣」の印を持つ者を探して宇宙を旅する「忍」たちと、その印を持つ少年が仲間を捜しながら旅をしていく。
ストーリーは意外性があり普通に読み進むにはいいが、読み返すと前半の設定が立ち消えになっているように感じる。
また、話として第一部完のような感じで終わっているので、後味はあまりよくない。
絵は文句なくきれい。

「天眷御伽草子」
冬季ねあ・全4巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
不思議な瞳の力のせいで兄弟の時間を止めてしまい、自分だけ成長し続けることに罪悪感を感じていた少年の元に、ある日記憶喪失の少女が空から降ってくる。
少年は自分の力の意味を知るため、願いを叶えてくれるという女神がいる場所へ少女と共に旅立つ。
わりと珍しい設定の話で、作者の作品が好きなら買ってもよいと思う。
ただし、ヒロインの性格にちょっとむかつくところがあり、それは最終巻まで継続する。
話は4巻できれいに完結していて、無理矢理なハッピーエンドではないところは評価したい。
本自体かなり厚いが、値段は低めでコストパフォーマンスはよい。

「転校生」
樹原ちさと・全1巻・集英社(りぼん)

東京から転校してきたおとなしい男の子が、だんだんと田舎にとけ込んでいく話。
ストーリーがありきたりで、起伏もなくあまり面白くない。その他収録作品もありきたりで、それほど印象には残らない。

「天使の贈りもの」
北条司・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
突然現れた不思議な女の子に父親扱いされ、腐れ縁の幼なじみの女性は女の子に母親扱いされてしまう。
タイトルになっている話の他に、シティーハンターの連載前の作品や北条さんのデビュー作品も収録されている。
初期作品のある短編集としては出来がよい。

「てんしのはねとアクマのシッポ」
霧賀ユキ・全2巻・スクウェアエニックス(Gファンタジー)

天使の通う学園に編入してきた悪魔の少年と、飛べない羽を持つ天使の少女の物語。
キャラに頼った設定、ベタベタすぎる天使と悪魔と学園の設定、年齢層が描き分けられない絵、といい点はほとんどないが、所々のストーリーでいいと思えるところがあって購入した。
ただ、上記のベタベタ設定が許せないという人は、買ったとたんに捨てたくなるかもしれない。
終わり方はまずまずだが、1話が短く、似たような話が多いため、前振りが長いと感じてしまう。

「天正やおよろず」
稀捺かのと・全9巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
天正時代、古の魔物・喰を倒すことを生業とする宣教師の物語。
決してつまらないわけではないが、どこがいいというところもない作品。
天正時代の宣教師が主人公なところは面白い設定だが、その他がありきたり。
絵はすっきりしていて読みやすい。
最後はわりとまとまりよく終わったが、どうしても敵がかわいらしすぎて緊迫感がなかったのが辛かった。

「でんせつの乙女」
こがわみさき・全1巻・光文社(ピット)
★ ★ ★ ★ ★
大道芸をして生計をたてていた双子の青年たちは、公園で独りぼっちで座っている記憶喪失の女の子と出会い、一緒に暮らすことになる。
タイトルになっている作品の他にも4つの短編が収録されており、それぞれに関連性がある。
短編だけあって説明不足になっている場所が何ヶ所かあるが、何度も読み返したくなる力もある。特に、2話目の「マネキン」はかなりのデキ。ほかの作品にしても、どれもオチが効いていてよい。
絵は柔らかい雰囲気が全体的に漂っていて、非常に好感が持てた。
なお、新装版がスタジオDNAより発売されている。

「天体戦士サンレッド」
くぼたまこと・全20巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
世界征服を企む組織・フロシャイムの川崎支部では様々な怪人たちが世界征服に向けての計画を練りつつ、正義の味方・サンレッドに日々戦いを挑みつつ敗れる日々を送っていた。
一見ヒーローものなのだが、ヒーロー側のサンレッドはヒモで、悪の組織の怪人たちは妙に所帯染みていて憎めない存在。
結局はサンレッドに倒される日々を繰り返しているだけなのだが、共感できるネタも多く、地味に面白い。
日常ネタが結構笑える。
最後は一つの区切りをつけて終わった感じ。

「天体戦士サンレッドN」
くぼたまこと・全1巻・静岡新聞社(WEB掲載)
★ ★ ★ ★
クラウドファンディングを利用して出版された上記作品の続編。
オールカラーのため定価は高めだが、内容は面白いので、上記作品が好きなら間違いなく買い。
前作完結から4年後の出版だが、絵柄から話の雰囲気からそのままなので、安心して読める。

「天地創造」
八坂麻美子・全2巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
SFCソフト天地創造を漫画化した作品。
ゲームをプレイしていないが、主人公が色々な物を復活させて世界を作っていく内容だったと思う。
その設定を知らないと、今一わかりにくい内容。
また、最初の方はスローペースで、最後の方になっていきなりハイペースになってしまったのはマイナスポイント。
その点は、作者もコメントで反省していた。
ラストは中途半端で終わった感じで納得できない。
ゲームではちゃんと終わっていると思うのだが。

「天地の朱」
林ふみの・全6巻・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★ ★
闇の世界で人外の敵と戦う人々の物語。
作者の今までの作風とは打って変わって全体的に暗い雰囲気ではあるが、そこをしっかり見せてくれるので結構読める。
恐怖の演出の仕方もいい。
話の展開が遅いのがネック。
最後はきれいに終わったのだが。

「てんにんご」
久保聡美・全2巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
戦国時代、ある小国には鬼姫と呼ばれる自ら鬼討伐に乗り出す勇敢な姫がいた。
しかし、仲間の裏切りから国を追われ、体の弱い弟は行方不明になる。
そんな中で鬼姫は不思議な少年と出会う。
とりあえず、2巻で完結しているが終わり方は中途半端。
話としてまだ序章段階で終わってしまった感じ。
絵は時代の雰囲気と合っていてよい。

「天然濃縮!!オレンジ戦隊」
高田慎一郎・全1巻・角川書店(少年エース)
★ ★ ★
自分がサイボーグだと信じている少女が正義の名の基に不良たちと戦う。
雰囲気はいい意味でバカっぽい。主人公の女の子が最初から最後まで信念を曲げないところがいい。
ただ、エスパー魔美のパロディには少々首をひねりたくなった。
短期集中連載ものとしての出来は平均点といったところ。

「天然優良児」
七海慎吾・全1巻・エニックス(ステンシル)
★ ★ ★
高校生生活の中で何もかもがうざったいと思っていた少年が、ある日「なんでもつくっちゃう同好会」という同好会を作ろうとしている2人組と出会い、少しずつ変わっていく。
登場人物それぞれにスポットが当たった話が中心となっていて、人物の掘り下げは出来ている。
しかし、その分全体のテーマが明確に伝わって来なかった。1冊でまとまる予定だったのなら、「なんでもつくっちゃう同好会」にだけテーマを絞って描いた方がいいように思えた。
絵は完成されていてきれいだが、やや画面に描き込み過ぎている。

「天のおとしもの」
住吉文子・全5巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
天使の研究をしているせいで天界から抹殺使命を受けた青年。
その青年の元に1人の天使が彼を殺すためにやってくるが、青年は極度なまでのロリコンだった。
いい意味でロリコンネタで弾けまくっているので、萌え系の作品とは一線を画しているギャグ漫画。
作者のデビュー作なので絵はまだ荒いが、ギャグでは結構笑える。
ワンパターンに陥る前に全5巻できっちり完結してくれてよかった。終わり方もよい。

「10-4」(テンフォー)
葉芝真己・全3巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
人の心を読む少年、発明が趣味の少年などが集まり、表向き喫茶店を経営している何でも屋。
構成年齢が若いため、学校など実際に潜入しての捜査が可能なことを売りに、様々な事件を解決していく。
作者の作品を読むのはこの作品が初めてだったのだが、話作りが非常に上手くて慣れている、とまず感じた。
構成の仕方やどんでん返し、伏線の張り方など、同雑誌に掲載されている作品よりも頭一つ飛び抜けている。
反面、これといった個性に乏しく、中堅どころを固める感じで看板にはなれないかな、と感じるのが残念。
もっと長く続いてもいい作品だと思っていたが、3巻で終了となってしまった。

「天馬の風」
松葉博・全2巻・エニックス(ガンガン)
★ ★
天狗の血を引く家系に生まれた少年が様々なライバルたちと戦っていく話。
タイトルが「烈火の炎(ラ行参照)」と被るものがあるので、先入観があったからかもしれないが、あまり好きになれない作品だった。
戦いは最初苦戦して最後に逆転、という方程式が出来上がっていて、都合のいい展開が目立つ。
2巻になるとストーリーは少しよくなっているが、終わり方が少々中途半端だった。
絵は見やすくてよいのだが。

「弩アホリズム」
宮条カルナ・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
「アホリズム」(ア行参照)の外伝的作品。
本編の17年前の話となっていて、たまたま修学旅行で楢鹿高校の近くに来た少年が、学校の敷地内に入ったことで外に出られなくなってしまい、やむなくそこで暮らすことになる、という話。
主人公の性格があまりよくなく、序盤ではどうにか学校の外に出ようと誰の言うことも聞かずにがむしゃらに行動した結果死人が出るなど、後味悪い展開となっている。
中盤以降は連続殺人事件を追うことになるが、あまり吸引力はない。
学校で出されるおいしい食事の秘密について描くための話だったように思う。

「とある科学の超電磁砲」
冬川基・メディアワークス(電撃大王)
★ ★ ★
「とある魔術の禁書目録」(下記参照)の外伝。
下記作品の登場人物・御坂美琴にスポットが当たっている。
予め小説か下記作品を読んで予備知識をつけておいた方がいいところはあるが、ある程度設定を知っているとそれなりに面白く読める。
全体的にキャラ立てがしっかりしているが、キャラに頼っている感じも否めない。

「とある飛空士への追憶」
小川麻衣子・全4巻・小学館(ゲッサン)
★ ★ ★ ★
2大国の戦争が続く世界。
一介の傭兵パイロットである少年は、次期皇妃である少女を飛行機の後席に乗せ、単独で海を越え、本国へ送り届ける極秘任務を受ける。
旅を続けるうち、2人の心は少しずつ近づいていくが……
単巻ライトノベルながら口コミで広まり、映画化まで決まった作品の漫画化。
原作を広げるわけでも省くわけでもなく、忠実に漫画化している印象。話の進むペースもよかった。
原作が好きなら読んで損はしない。

「とある魔術の禁書目録」
近木野中哉・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
同名タイトルのライトノベル(電撃文庫)を漫画化した作品。
どれだけ原作に忠実かはわからないが、特に原作を知らなくとも読める作り。
話の流れもいいペースだと思える。
絵に関しては序盤はかなり不安定だが、後々良くなってくる。

「とある魔術の禁書目録 エンデュミオンの奇蹟」
朝倉亮介・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
上記作品の劇場版のコミカライズ作品。
話は長くもなく短くもなくいいペースで最後まで描き切っている。
原作のキャラ達も割と満遍なく出ていて、わりと楽しく読めた。
作画は各コミカライズ作品とまた違う人だが、読んでいて違和感はなかった。

「吐息と稲妻」
谷川史子・全1巻・集英社(クッキー)
★ ★ ★
大学のオカルト研究会に所属する男女。
元々仲の良かった2人は付き合うことになるが、女の子はなぜか男の子がプレゼントしようとしたオリジナルの世界に1つしかないネックレスを昔から持っていた。
表題作は少々オチが読みやすく、他の短編は後味のいい作品が少ないこともあって、この評価。
全体的なレベルは高いのだが。

「DOME CHILDREN」
山崎風愛・全3巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★ ★
核戦争から50年後の地球で、シェルターの中でわずかに生き残った人々の物語。
全人類わずか7人、という世界観で描かれていることがまず珍しく、話の進め方もほのぼのあり、感動ありでなかなかの作品。
時間の進み方も早く、ストーリーが停滞しなかったのもよかった。また、希望のある終わり方だったのもよかった。
絵にはやわらかい雰囲気があって、癒される。
3巻に収録されている読み切りの出来もいい。

「碧奇魂ブルーシード」
高田裕三・全2巻・竹書房(ガンマ)
★ ★
生命をはぐくまぬ処女のうちに命を投げ出すことによって、無数の荒神を鎮める力を持つ少女。
その少女が命を投げ出すことなく荒神を鎮めようとする。
漫画では第1部完となっているが、続編が描かれている様子は全くない。
また、テレビアニメで作者が脚本を書いて内容が完結しているので、このまま続編が描かれない可能性の方が高い。
よって、終わり方はとりあえず最初の危機は去ったというだけで、中途半端。
絵は高田さんの絵が完成されているのでいいのだが。

「東京アンダーグラウンド」
有楽彰展・全14巻・エニックス(ガンガン)
★ ★
東京の地下にある忘れられた世界「東京アンダーグラウンド」から逃げてきた2人の少女を助けた少年は、追っ手から少女たちを守るために戦い、殺されてしまう。しかし、「生命の巫女」と呼ばれる逃げてきた少女の1人の力によって生き返り、アンダーグラウンドの人間のみが持つとされる「属性」の力を開花させる。
序盤は横顔の描き方が上手く、絵も見やすかったが、中盤で大崩れして最後まで安定せず、かなり微妙になってしまった。
ストーリーに関して、アンダーグラウンドの設定や「重力」の力などについてはよいと思うのだが、その他の設定がどれも他の漫画で見たもののようであることが残念。
なんとか完結させたことを評価したいが、序盤の勢いをなくして最後は話がダラダラしていたのが痛かった。

「東京☆イノセント」
鳴見なる・全9巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
半妖として生まれた狐の妖怪・半蔵は東京に嫁を探しにやってきた。
そして、16歳になって妖怪に好かれる体質になった少女と出会う。
妖怪がテーマのラブコメで、物語の起伏は少ないが、全体的に安定して読める。
ただ、全体的に印象に残りにくい作り。絵は読みやすいのだが。
話はきれいにまとまったが、やや中だるみが長かった。
もう少し短くまとまっていれば、評価はもう少し高かった。

「東京鬼攻兵団TOGS」
斉藤カズサ・全6巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★ ★
細菌兵器が地上を覆い、シェルターで生活する人類。
その密閉されたシェルターの中で、人を醜く変貌させて破壊活動に走らせるウィルスが発生していた。
そのウィルスの撃滅と、ウィルスによって怪物化した人を倒すために組織されたTOGSのメンバーたちが活躍する話。
「白のテンペスト」(サ行-1参照)の次の連載で、雰囲気がガラッと変わったが、失敗することなくかなり出来がいい。
中盤都合のいいと思える展開はあったものの、謎解きのところはかなり説得力があり、ラストも満足の行くものだった。

「東京サマーオブザデッド」
玖倉しいち・全4巻・一迅社(REX)
★ ★ ★
突如東京の街にゾンビたちが現れ、人を襲い始めた。
ライフラインが断たれ外を逃げ回るしかなくなった大学生の青年と、家庭教師をしている高校生の少女。
2人は無事生き残ることができるのか?
日常から突然サバイバル生活を余儀なくされる状態になり、何も分からない中、手探りで生きていこうとする雰囲気がなかなかよい。
やや設定はありきたりだが、話に吸引力がある。
絵も割と読みやすい。
ただし、最後は打ち切りの終わり方で、かすかに希望が見えるところで話が終わっており、話として何も完結していないところが非常に残念。

「倒凶十将伝」
結賀さとる・全1巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
400年前に一度滅びたものの、織田信長と呼ばれた魔王が復活しようとしていた。しかし、400年前に魔王と戦った10人の倒魔士もまた転生して、凶魔と呼ばれる魔物と戦っていた。
原作は長編小説で、企画ものとして挿絵を描いている結賀さんが小説の一部を漫画化したのがこの作品。
当然中途半端に終わっているが、まとめ方がなかなか上手で、原作を知らなくてもそれなりに楽しめる。

「東京流星」
林ふみの・全2巻・エニックス(ステンシル)
★ ★ ★
時は大正。歌うと花を咲かせてしまう力を持った少女がシスターにあこがれて上京する。
そこで少女は人の体温をエネルギーとして動く人形の少年と出会う。
「マイスターダスト」(マ行参照)と若干つながりのある話だが、知らなくても読める。
主人公がかなりウジウジしていて天然だという私の嫌いなタイプではあるが、そこそこ読める。
直球少女漫画を覚悟で。
なお、掲載誌休刊に伴い、中途半端に連載が終わってしまった。

「東京BABYLON」
CLAMP・全7巻・新書館(WINGS)
★ ★ ★ ★
日本の陰陽師の頂点に立つ家の当主である少年と、その少年の双子の姉、そして裏の陰陽師の頂点に立つ青年が中心となって様々な霊に関する事件を解決していく。
世の中を痛切に皮肉ってある内容で、共感できる部分が多い。
しかし、ラストはこれほどまでか、というくらいのアンハッピーエンド。
「X(ア行参照)」で続きが描かれているので、評価はそれほど落とさなかったが。

「東京バルド」
麻生我等・全5巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★
東京の地下にある封印が次々と破られる中、封印を守る一族の継承者が殺された。
その弟である青年は、姉の死を追ううちに封印を破る者たちの存在に気づく。
一見普通の退魔師物に見えるが、都市伝説をかなりの割合で作品に取り入れていて、ちょっと違った雰囲気を出している。
絵はかなり描き込まれていて迫力があり、引き込まれる。
ただ、話が進むにつれ吸引力が弱くなっているのが残念。
オカルトや都市伝説が好きな人にはいい作品。

「東京ファンタジー学園勇者科 月彩のノエル」
介錯・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
勇者によって平和がもたらされた世界。そこには勇者を育てる専門学校があり、そこに通う少年はある日魔王の少女と出会う。
そして、少年は魔王によって勇者と認められ、自らを殺すように頼まれる。
勇者の専門学校=代アニ、というような図式になっており、基本勇者は肩身が狭いということになっている。
シリアスな部分もあるが、基本はギャグ漫画で出来は可もなく不可もなく。
作者はシリアスな話の方が向いていると思うのだが……

「東京ボイジャーレコード」
たし・全1巻・一迅社(ゼロサムオンライン)
★ ★ ★
進路に悩む高校生の隆哉は、ある日見知らぬ女の子を助ける。
その子を家に送り届けると、そこはクラスで浮いた存在のクラスメイト・リゲルの家で、女の子はリゲルの妹だった。
出会いのきっかけは少し都合がいい感じだが、以降の話は心理描写が上手く、のめり込める。
次第にリゲルと親しくなっていく過程がいいし、そこから他のクラスメイト達と交流していくようになっていくのもいい。
雰囲気のいい話だった。

「東京マーブルチョコレート」
谷川史子・全1巻・講談社(Beth)
★ ★ ★
同名タイトルのOVAの主人公たちが出会う前にどんな恋愛をしてきたか、を描いた作品。
実際にOVAを知らなくても読める作品で、作者が好きだから、という理由だけでも大丈夫。
巻末に対談などもあるので、OVAを見てからの方がより楽しめる。

「東京魔人学園剣風帖」
喜名朝飛・全4巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
同名タイトルのPSソフトを漫画化した作品。
ゲームと同じく登場人物が多いので、レギュラー以外はゲームを実際プレイしていないと登場人物の人間関係や性格がややつかみにくい。
結局、ゲームで仲間になるキャラは全部出たらしいが、ゲームを知らないと登場人物が多すぎてやや混乱気味になった。
絵はゲームとあまり似ていないが、初めからこの絵だと思えば違和感はない。表情が固い絵が所々にあるのが少し目立つ。

「東京魔人学園外法帖」
喜名朝飛・全5巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
同名タイトルのPSソフトを漫画化した作品。
上記作品の続編だが、時代的には過去の話。
登場人物の固有名詞が似ているので、前作を知っているとより物語に入っていける。
前作よりは主人公に人格があるので感情移入はしやすいが、微妙なところ。
絵は確実に上手くなっている。

「桃源郷」
甲斐谷忍・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
盗みを働いていた青年が小さな巾着袋を拾い、落とし主である老人に返す交換条件として3つの願いを叶えてもらうことになる。
結構読ませてくれる作品。
短編集で、他にも4作品収録されているが、こちらはそれほどよくない。
タイトルになっている作品だけの評価はもう少し高い。
絵は独特で神秘的な感じがしていて、それでいて見やすくもあっていい。

「闘神伝」
こずみ椎太・全1巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
PSソフト「闘神伝」を漫画化した作品。
格闘ゲームなのでゲームの中では主人公が何人もいるが、漫画の主人公は踊り子のエリス。
ゲームに登場したキャラについては、1巻の間にボスキャラを除いて登場させているので、ゲームを知らないとわかりにくい。
また、終わり方も中途半端。
絵は格闘漫画としての迫力もあってまあまあよいのだが。

「当世幻想博物誌」
片山愁・全3巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
20世紀初頭の日本。
古道具屋を預かる青年のもとには、日々不思議な道具が持ち込まれてくる。
1~数話で完結する話で構成されており、作者のテンポの遅い展開が苦手な人でも問題なく読める。
絵は昭和初期のいい雰囲気が出ているので、割と引き込まれる。
話はわりときれいに3巻で完結していて、展開の遅さにモヤモヤすることはない。
最終巻の謎解きが進むところはなかなか面白く読める。

「同棲レシピ」
大島永遠・全8巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
付き合い始めて間もなく、彼女の家出から始まった同棲生活。
しかし、彼女があまりにも純粋すぎて男は彼女に手が出せず、生殺しの生活を強いられていた。
なかなか面白く読める作品で、絵が上手いこともあって、共感するところもあり、ギャグで笑えるところもあり、でなかなか楽しめる。
買って損はない作品。
最後の方はベタベタな展開だったが、むしろそれでよかったという印象。
きれいに終わっている。

「東大を出たけれど」
井田ヒロト・全3巻・竹書房(近代麻雀)
★ ★ ★ ★
東大を卒業しながらも、フリーで雀荘の店員となった人物のノンフィクション作品。
麻雀を知っていた方がより深く楽しめるとは思うが、知らなくとも問題なく読める。
ノンフィクションということもあり、その辺りのリアリティもしっかり出ている。

「ToHeart2」
きたうみつな・全5巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
同名タイトルのゲームソフトを漫画化した作品。
全ヒロインをわりと掘り下げて描いているので、ゲームをプレイした人は面白く読めるのでは、と思う。
そうでない人には、極々普通のギャルゲーの漫画化、という感じで微妙。
話はメインヒロインエンドになっている。

「どうぶつの国」
雷句誠・全14巻・講談社(別冊少年マガジン)
★ ★ ★
動物しかいない国で暮らす孤独なタヌキのモノコは、ある日人間の子供を拾い、育てることになる。
序盤から結構熱い展開が繰り広げられるので、純粋に少年漫画を楽しみたい、という人にお勧め。
「金色のガッシュ」(カ行参照)終了後にひと騒動あった作者だが、作品の質は高レベルで維持されている。
ただ、終盤以降はやや尻すぼみな感じで、最後は少し盛り上がりに欠けた。

「DOLLS」
naked ape・全12巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
終身刑の採用で刑務所がパンク状態になった未来。
その状態を解消するため、裁判の簡易化を行った結果、被告不在のまま裁判が結審して死刑が確定した場合、そのまま殺してもよい、という法律が誕生した。
その死刑執行部隊で働く3人の青年たちの物語。
話としては割とよくできているのだが、中盤が長いこと、伏線の割に終わり方がわりと唐突だったことなど、少しではあるが不満も残った。

「DAWN 冷たい手」
上田信舟・全6巻・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
遺伝情報が異常な現存しない生物に噛まれたことで、徐々に人ではなくなっていく恐怖におびえながら暮らすことになった少年。
その少年の前に次々と化け物が現れる。
全体的に暗い雰囲気で、明るいシーンも暗く見えてしまうのがネック。
話はわりと面白いので、雰囲気に耐えられる人になら。

「とかげ」
灰原薬・全3巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
姉のように慕っていた初恋の人が突然死に、その体に不老不死の呪いを受けたとかげが乗り移り、姉の体は再び動き始めた。
そして、不老不死の力を狙ってとかげの元には様々な刺客がやってきていた。
とてもいい雰囲気を持つ絵で、不気味な感じもありつつ、切ないところは切なく描けているのがいい。
まだ絵は不安定だが、それを雰囲気と感じられるところもまたいい。
話しにも少し捻りが入っていて、引き込まれる。

「怜-Toki」-
めきめき・スクウェア・エニックス(ビッグガンガン)
★ ★ ★
「咲-Saki-」(サ行参照)のスピンオフ作品で、「咲-Saki-阿知賀編」に登場する千里山女子高校の生徒で一巡先が見える能力を持つ園城寺怜が主人公の話。
話は怜が小学生時代から始まっており、一巡先が見える能力がうすぼんやりあるようなないような、という状態。麻雀というよりも小学生の女の子たちがキャッキャウフフしているのを楽しむような作風になっている。
個人的にはもっと麻雀の比重を増やしてほしい。

「ときどき漫画家、金田一蓮十郎~〆切はおとといでした。~」
team.きんだいち・全1巻・スクウェア・エニックス(マンガUP!)
★ ★
「〆切はおとといでした。」(サ行参照)の続編。
相変わらずハロプロの話が多いのだが、半分くらいがアシスタント作のギャグマンガになっていて、これが果てしなくつまらなかった。ハロプロの話ならまだエッセイとして許容できたが、エッセイですらなくなってしまったのはきつかった。
作者の出産話など、面白い部分もあるのだが……

「刻(とき)の大地」
夜麻みゆき・全9巻・エニックス(ガンガン)

「幻想大陸」(カ行参照)、「レヴァリアース」(ラ行参照)と合わせて3部作になる予定だった作品。
「幻想大陸」はこの作品の番外編のようなもので、この作品は「幻想大陸」の主人公たち3人の出会いから描かれている。
それなりに巻数を重ねたが、ほとんど謎解きがなされることがないまま、連載が立ち消えになったしまった。
なお、現在クラウドファンディングなどを経て続編が細々とWEB連載されている。
完結まで行けるのかどうか……

「ドキばぐ」
柴田亜美・全5巻・エンターブレイン(ファミ通)
★ ★
「ジャングル少年ジャン番外編」からタイトルを変えての続編。
コミックスのサイズが変わったので読みやすくはなった。
内容に関しては、ゲームを好きな人なら楽しめるが、話題が偏り気味なところがあるので、合わない人には合わないと思う。
また、扱うソフトは掲載時期に発売されたものなので、連載時期にゲームをよくプレイしていた人向け。

「Dr.STONE」
Boichi・全26巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
突如謎の光に包まれ、地球上全ての人が石化してしまう。
それから約3700年後、偶然石化解除された少年が科学知識を総動員して原始にまで戻った地球で石化の謎を追っていく。
全編に渡って科学知識がふんだんに盛り込まれていて楽しく読める。様々な機械も原理から説明してくれるので、どうして作り上げることができるのかがはっきりわかるのが素晴らしい。
話もテンポよく進んでいて、飽きることなく読める。
人類の石化についても、現代科学で解明可能な部分まではキッチリ解説してくれていて、こういう未来は実際に起こり得るかも、と思わせてくれる。
最後は打ち切りではなかったが、話にある程度区切りがついたところで終わっていて、話としてまだ先がある感じだったのは一長一短ある。

「閉ざされたネルガル」
あるまるみ・全7巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
無実の罪で死刑囚となったネルガル。
収監中は魔法によって声を発することを封じられている。
そのため、なんとかしてネルガルは自分の無実を証明しようとするが、ネルガルの思惑とは逆にネルガルは刑務所内でどんどん恐れられる存在となっていく。
基本は、ネルガルが思惑とは逆にどんどん凶悪犯として恐れられていく、というのを繰り返しているだけだが、これが不思議と飽きずに読める。
絵も安定しているので、ちょっとした息抜き程度で楽しめる。
最後はキッチリきれいに終わってくれたが、中盤がかなりだれる。
このネタで全7巻というのは長かった。

「docca」
渡辺祥智・全3巻・マッグガーデン(アヴァルス)
★ ★ ★
幼い頃住んでいた街に再び戻ってきた少女。
その街はどこかの異次元と繋がっていて、不定期に異次元の住人が迷い込んでくるようになっていた。
既にその住人たちと馴染んでいる街で、少女は新生活をスタートする。
基本的には学校もので、そこで異次元の住人たちと交流していく明るい話になっている。
基本的に話は悪くないが、やや起伏に乏しい。
終わり方もいまひとつで、最後も盛り上がりに欠けたのが残念。

「どっかんLOVE」
楠桂・全1巻・集英社(りぼん)

謎の正義の味方に恋をした女の子と、正体を明かすことのできない正義の味方の男の子の恋物語。
楠さんだから買った作品だが、どうにも内容がありがちで面白くない。
正直なところ「何これ」と言いたくなるような作品。
1話のみならず、3話まで続編があったこと自体不思議。

「突撃パッパラ隊」
松沢夏樹・全18巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
死神と呼ばれた青年が地獄の部隊と呼ばれる「パッパラ隊」に配属され、基地に行ってみるととんでもない隊員たちの集まった部隊だった。
ほぼギャグ漫画で、回を重ねるごとにキャラが特徴的になったり、登場人物も増えてくる。
ほとんど1話完結で、その話のみを読んでいるとそれぞれ楽しめて面白いが、最初の方の設定はほぼ立ち消え状態。
中盤まではそれでもよかったが、終盤は架空の世界の話なのにワールドカップなどの時事ネタが出てきたり、必要とは思えないほど作者が作中に登場したり、と許せないほど世界観が崩れてしまって残念。
終わり方はよかったのだが。

「賭博黙示録カイジ」
福本伸行・全13巻・講談社(ヤングマガジン)
★ ★ ★ ★
友人の借金の保証人になっていたことで多額の借金を背負わされてしまった男・カイジ。カイジは借金返済のため、非合法ギャンブルに挑むことになる。
人の心を読み、提示されるギャンブルの本質を見抜いて勝ち抜いていく主人公の姿に引き込まれる。
また、悪役の言うことに一々説得力があり、人間の本質みたいなものも見えてくる。
序盤の方がテンポよく話が進んで面白い。

「賭博破戒録カイジ」
福本伸行・全13巻・講談社(ヤングマガジン)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。
背負った借金が高額になったため、地下労働施設で強制労働させられることになったカイジ。借金を返済して地下労働施設から抜け出すため、カイジは仲間と協力してギャンブルに挑む。
地下労働施設での話が個人的にカイジシリーズで1番好き。
最後はきれいに終わっているので、ここで読むのを終わりにしてもいい。

「賭博堕天録カイジ」
福本伸行・全13巻・講談社(ヤングマガジン)
★ ★ ★
上記作品の続編。
前作で知り合った仲間の家で暮らしていたカイジだったが、あまりに自堕落に暮らしていたため家を追い出されてしまう。
持たされた手切れ金でカイジは地下労働施設での仲間の誘いにより、あるゲームに挑むことになる。
全編通してギャンブルは1種類しか行われないというのもあり、展開が非常に遅い。
最後のどんでん返しの辺りは面白いが、そこまでが長い。
終わり方は続編前提になっているので、その辺りは注意が必要。
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カ行-2 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)


「騎士団長島耕作」
宮本福助・全3巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
島耕作シリーズのスピンオフ作品。
異世界の騎士に転生した島耕作。異世界なのに彼の近くには前世で見知った顔が多くあり、前世の知識を活かして問題を解決していく。
一見するとイロモノの異世界転生系の話だが、なかなかどうして、結構面白く読める。
本編の人間関係を知っていた方が面白く読めるが、知らなくてもわかるように描かれている。
食わず嫌いせずに読んでみるといいかも。


「キジムタン」
篠原花那・全1巻・エニックス(ステンシル)
★ ★
卑弥呼の血を引く強い力を持った巫女の妹として生まれた少女。
巫女の妹としてしか見られない状況から抜け出すために、少女は旅に出る。
旅立つきっかけとなる第1話はいいのだが、それ以降がただ化け物を退治するだけで終わっており、話としては何の解決にもならないまま終わってしまったことが惜しい。
暗い雰囲気の絵などは好きだったのだが。


「キズナ」
結城稜・全2巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)

幼い頃に家族を失いながらも気丈に生きている女性。
しかし、母親が死んだ21歳の誕生日を迎えると、不思議な夢を見たり、近しい人が死んだり、と様々な事件が起こり始める。
話の吸引力はそれなりにあったものの、何の解決も見ないまま打ち切りとなってしまった。
謎解きが1つもない状態での打ち切りで、再開の見込みもない。
あるとしたら別雑誌で、ということらしい。
絵は読みやすいのだが……


「キスの髪飾り」
あいざわ遥・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
好きな男の子に何度も告白してやっと付き合ってもらえるようになった女の子が、本当は男の子に好かれていないのではないかといろいろ悩む話。
作者の前作「ラフィアのリボン」(ラ行参照)でこの作者はもうダメか、と思ったのだが、この作品はなかなかよい。同じ収録の作品も含めて、絵もストーリーも作者らしさが出ていて良かった。


「寄生虫」
渡千枝・全1巻・講談社(KCBL)
★ ★
人気作家で姉のゴーストライターをしていた女性が不思議な青年と出会ってから運命が明るい方向へ向かい出すのだが、姉の死をきっかけに青年に対して疑惑を持ち始める。
渡さんの作品の中では、少女漫画というよりももっと大人向けに描かれたもの。
タイトルの作品の他にも2作品掲載されているが、どれにも似たような展開が含まれているのが減点。
話を必ずしもハッピーエンドに持っていかないのは、評価できるのだが。


「牙の旅商人」
梟・既刊7巻(連載中断中)・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
魔物が跋扈し、山賊が横行する世界で開拓民の馬車が山賊に襲われた。
その中で唯一生き残らされた少年は、瀕死のところを美しい武器商人に拾われる。
かなり描き込まれていながら決して読みにくくなく、むしろ読みやすい絵柄に好感度大。
キャラの描き分けもかなりよくできていて、グロいゾンビからかわいい王女まで幅広い。
話もしっかり捻られていて、単純な話になっていないところがいい。
話がこれからというところで連載が中断され、再開の見込みが未だないのが残念。


「キミキス」
黒井みめい・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★ ★
同名タイトルのPS2ソフトを漫画化した作品。
ヒロインの1人・星乃結美にスポットを当てた話だが、他のヒロインも出てきて、原作を知っている人もそうでない人もわりと読める話になっている。
ただ、内容は少女マンガそのものなので、読んでいるとちょっと恥ずかしい。
絵は不安定だが、読みにくくはない。


「キミキス after days」
佳月玲茅・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★ ★
上記作品とは作画もヒロインも変えた作品で、スポットが当たっているのは二見瑛理子。
結構狙っているシーンが多く、そのためのシチュエーションをわざと作っている印象。
絵はかわいらしく、わりと読みやすい作りになっている。
ただ、最後のまとめ方はちょっといろいろ飛ばしすぎだなぁ、という感じもした。


「キミと死体とボクの解答」
ヨゲンメ・全3巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★
他人には見えない死体を見ることのできる青年と少女。
心が死んだときに現れるその死体は、心が救われると消える。
2人は見えない死体の心を救おうと日々奔走する。
全体的に暗い雰囲気の絵と話だが、死体が生まれるに至った過去の話の出来が非常によい。
切ない話と絵も雰囲気がマッチしていて、グイグイ話に引き込まれる。
やや人を選ぶかもしれないが、切ない話が好きな人にはお勧め。


「君と僕。」
堀田きいち・全17巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード→Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
個性的な4人の高校生たちの日常を描いた作品。
やわらかい雰囲気が非常によい作品で、癒し系の雰囲気がありながらも、内容は結構毒々しい、というギャップが楽しい。
絵はすっきりしていて読みやすいが、背景がかなり白いのもまた気になってしまう。
話は長期休載を経て、無事完結。
休載の影響からか、3年生の後半部分がごっそり存在しない状態になってはいたが、作中の恋愛関係を一通り整理して卒業式で終わっている。休載前後での絵の変化もほぼないので、その辺りは違和感なく読める。


「君と僕の街で」
谷川史子・全1巻・集英社
★ ★ ★
各駅停車と同様、まず1つの作品に主人公たちがいてそれに関わった人たちが次の話の主役になるという展開で、全5話。
無理矢理関係づけている気がしないではないが、恋が必ずしも主人公の思い通りにならないという展開もあったので、その点と合わせてプラスマイナス0。この評価となった。


「きみのことすきなんだ」
谷川史子・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
魚が大嫌いな女の子を好きになった魚屋の男の子の話。
タイトルになっている話は面白いが、その他に収録されている短編がそれほど面白くもないのでこの評価。特に、2話目は途中で突然話が変わるので、区切りをもっとはっきりしてほしかったし、もしくはもっと流れるような展開にしてほしかった。


「きもち満月」
谷川史子・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★
好きな先輩と両想いになりたいために、好きなもの断ちを決心して大好きな「豆腐」に触れもしないと決めた少女が、その豆腐を頭からかぶってしまい、そのショックで頭に白くて四角いものをのせると怪力が出せるようになってしまう。
発想はいいと思うが、ラストが気に入らなくてこの評価。物語が中途半端に終わってしまったという感じがする。
タイトルと無理矢理結びつけたと感じられるラストはやはり気に入らない。


「虐殺魔法少女ベリアルストロベリー」
倉藤倖・全2巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
悪魔によって侵食された人間界。人間は肩身狭く生きていた。
それを見かねた天界は、人間に力を与えて人間の味方をしようとするが、その力を得て魔法少女となった少女はいきなり人権ある悪魔を殺してしまい、追われる身となってしまう。
ちょっと捻った魔法少女もので、原作は日日日さん。
絵はまだまだ安定感に乏しいが、ストーリーの力でかなり読める作品になっている。
しかし、残念ながら最後は打ち切りで終了。
話として面白かっただけに、悔やまれる。


「逆襲!パッパラ隊」
松沢夏樹・全8巻・一迅社(REX)
★ ★
「突撃!パッパラ隊」(タ行参照)の続編だが、設定上前作の200年後ということで、キャラに共通点はあまりない。前作を知らなくても読める。
ただ、序盤のギャグが外しすぎていてきついのと、話も悪い意味でバカバカしく、ついていけないことも多い。
後半になるに連れ、そこまで悪くはなくなってはいるが。
最終エピソードのみ、面白いと感じる。


「キャタピラー」
匣咲いすか→速水貞時・全11巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★
「アラクニド」(ア行参照)のスピンオフ作品で、芋蟲と呼ばれる女性の殺し屋が主人公の話。時間軸としては「アラクニド」の1年前の話とのこと。
「アラクニド」とそこまで画質に差異はなく、「アラクニド」にも芋蟲が登場するので、「アラクニド」を読んでいるなら買って損はしない。
他にも共通するキャラが何人も出てくる。
反面、この作品だけだと、基本的な用語などを飛ばしているのでちょっと話がわかりにくいかもしれない。
作画の匣咲いすかさんが連載途中で亡くなったため、以降は作画を変更して連載が完結した。
なお、話としては「ブラトデア」に続いているので、世界観としてはここで完結しない。


「CASH」
川添真理子・全1巻・新書館(WINGS)
★ ★
ここ最近非常に運のよくなった少年は、ある日学校の大和撫子として有名な少女にデートに誘われる。
しかし、そこで少年は少女が学校では猫を被っていただけだと知り、また、少女に貧乏神が取り付いていることを知る。
タイトル作品の他にもう1作品収録されている。
タイトル作は今ひとつな印象で、もう1作はギャグ系の話でわりとはじけていて面白いのだが、今一歩。
総合しても今一歩足りない。
絵は多少ごちゃごちゃしているものの、読みにくくはない。


「キャッツ アイ」
北条司・全18巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
父の行方を探すために、父の作品を盗む3姉妹の怪盗キャッツアイとそれを追う刑事の物語。
泥棒と刑事という逆境恋愛はこの話が元祖だと思う。
アニメが好きでコミックスを買ったのだが、アニメと漫画では設定が違っている部分が結構あり、アニメからこの漫画に入ったので不満が残る。
また、絵が未完成なために見にくく、最後の方は多少よくなってきたが、首と顔の境目が線で描かれていない角度の顔が多用されていて、その顔はすごく変。
ラストもそれほど納得できなかったので、評価は低くなった。


「Q.E.D.」
加藤元浩・全50巻・講談社(マガジングレート)
★ ★ ★ ★
15歳にしてアメリカのMITを卒業した少年が、自分の身の回りで起きた様々な事件を解決して行く話。
ジャンルとしては推理ものだが、殺人事件を扱っているものばかりではないところに好感が持てる。
人物の設定上、主人公が難しい知識を披露しても気にならなく、謎解きに強引さもないし、やたらとセリフが多くなることもない。
今まで読んだ推理ものの中で1番面白かった。
オイラーの公式、リーマン予想を説明してくれる話が特に印象に残っている。
50巻の時点で一旦コミックスとしての区切りがついたが、タイトルを変えてそのまま続編が連載されている。

「Q.E.D.iff」
加藤元浩・講談社(マガジンR)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。
タイトルが変わっても、登場人物たちが進級したりはしていない。
実質1巻が前作の51巻目のような感じなので、前作が好きならそのまま読み続けて問題ない。


「究極超人あ~る」
ゆうきまさみ・全9巻・小学館(サンデー)

アンドロイドのあ~る君が高校の光画部(写真部のようなもの)でいろいろな騒動を巻き起こすギャグ漫画。
人気があるらしいので読んでみたのだが、私には合わない作品だった。
ギャグなど別段面白くないし、読んでいて飽きてしまった。
何度か読めば面白くなるのかと思って何度も読んでみたが、結局面白くはならなかった。


「キューティクル探偵 因幡」
もち・全19巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
元警察官で毛フェチの探偵・因幡。
イタリアンマフィアのヤギと戦いつつ、それなりの日々を過ごしている。
声に出して笑えるほどではないが、思わずニヤニヤしてしまう笑いがたくさんある作品。
読むとそれなりに満足感が得られる。
それなりにシリアスな展開もあり、ストーリーはきれいに完結した。


「QP エンジェル」
南京ぐれ子・全3巻・エニックス(ステンシル)
★ ★ ★
骨董屋の奥に備え付けてあるポストに恋の手紙を出すとその恋は必ず成就するという。
そのポストに出された手紙を配達する2人組の話。
全体的にはギャグ系の話で、結構勢いがあって楽しく読める。
都合のいい展開もあるが、勢いで何とかカバーしている。
終わり方は雑誌休刊のせいで打ち切りの雰囲気があるが、悪くはない。
絵は若干不安定な感じもするが、読みやすい。


「教国のレクエルド」
もち・全2巻・スクウェア・エニックス(Pファンタピー)
★ ★ ★
「魔女の下僕と魔王のツノ」(マ行参照)のスピンオフ作品。
本編主人公のアルセニオとサウロの過去が描かれている。
ここから本編につながっていくので、そこまで後味のいい終わり方にはなっていない。あくまで本編を読んでいる人向け。ただ、本編を読んでいるなら買って損はしない内容になっている。


「教室のミラージュ」
浦川まさる・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★
ある日、川で溺死した女の子とそっくりの女の子が同じ学校に転校してくる。
死んだ少女のことを知る人たちは、死んだ少女が復讐にやってきたのではないかと疑心暗鬼に陥る。
殺人事件も起こるが、なにぶん登場人物が少ないので犯人の断定はすぐにできる。
死んだ少女とそっくりな女の子は、実は双子の妹だったという設定はありきたり。
もうひと捻りあってもよかったのではないかと思う。


「共鳴せよ!私立轟高校図書委員会」
D・キッサン・全4巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
とある高校の図書委員たちが、図書室などで日々暮らす話。
変わり者の図書委員たちがいるのはお約束だが、日常でのあるあるネタが多く、読んでいて結構楽しめる。
絵もわりと安定していて、読みやすい。


「きょうもみんな、おえかきがすきです。」
赤夏・全1巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★ ★
10年前に事故で亡くなるはずだった少女は、父親が悪魔と契約したことにより、父親の命を引き換えに生き返った。
ただし、瞳は悪魔のものを10年の期限付きでレンタルしたため、悪魔が瞳を取り返しにやってくる。
少女は契約を無効にするため、悪魔に戦いを挑む。
主人公の少女とその父親の絵に対する狂気のような執着心の描き方が素晴らしい。
人の狂気のようなものを描かせたら本当に作者は上手いと思う。
本来はもう少し続くはずの話だったようで、やや中途半端に出てきているキャラもいるが、その割にはきれいにまとまっていてよい。


「京洛れぎおん」
浅野りん・全5巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
受験のため京都市内を訪れた少年。そこで少年は自分にしか見えない不思議な化け物と出会う。
その力のため、正義の味方に選ばれた少年は学生生活の合間で化け物退治をすることになる。
化け物を退治するというメインストーリーより、生活感あふれる日常の方が魅力的な作品で、読んでいるとそのギャップに少し困る。
メインストーリーも悪くはないのだが、ありきたりすぎる。
なお、タイトル表記が少し特殊なので、本屋で探すときちょっと困るのが難点。
最後は打ち切りのような感じで、無理矢理終わらせた感じが残念。


「恐竜王」
桜水樹・全1巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
人間と恐竜が共存していた時代。
支配階級の人間に村を襲われ、幼い恐竜と共に生き残った少女が支配階級の人間たちに戦いを挑む物語。
全体的に見て話はありがちで、終わり方はかなり無理矢理。
もう少し長く続けばよかったのかもしれないが、よくまとまっているとは言い難い。
絵はすっきりとして読みやすいが、全体的に不安定。


「キヨシとこの夜」
あいざわ遥・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★
幼いころいじめていた男の子と高校になって再会し今度は逆にいじめ返される女の子の話。
あいざわさんの描く男の子としては特殊なタイプ。
しかし、それがいいとは言い切れない。あいざわさんの作品ではいまいち。
また、同時収録の「空の音色」はいかんせん設定が「キャッツアイ」と似すぎている。
父の絵を取り戻す女泥棒というのは「キャッツアイ」の個性が強いだけに短編では使うべきではなかったと思う。


「清村くんと杉小路くんと」
土塚理弘・全4巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
中学で監督と衝突してサッカーをやめていた清村は、高校でサッカー部の部長・杉小路に誘われてサッカー部に入る。しかし、そこには部員が5人しかいなく、清村は杉小路から散々な扱いを受ける。
とにかく笑える作品。
絵がまだまだなのでこの評価だが、笑えない話がないくらい笑えて面白い。
あえてツッコミのセリフの入っていないオチなども、いろいろと想像出来て楽しい。
全4巻で綺麗にスッパリと終わっていて、名残惜しい感じはしたが、ギャグマンガとしては無駄に長くならずによかったと思う。


「清村くんと杉小路くんよ」
土塚理弘・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。
作品としては上記のもので完結しているが、ギャグ漫画なので話が続いていることに対して違和感はない。前作が好きな人なら間違いなく楽しめる。
おまけが多いところもうれしい。
上記作品の世界観を持った番外編のようなものだと思えば、話があまり繋がっていなくても違和感なく読める。

「清村くんと杉小路くんろ」
土塚理弘・全6巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。
基本は前作と同じで、語られなかったエピソードが語られている、という感じ。
それでいてマンネリ感はなく、少しずつ変わっている部分もあるので、これはこれで楽しめる。


「銀色アンセリウム」
水原けんた・全1巻・一迅社(ゼロサム)

100年に1人空から遣わされる乙女と従者2人の旅の物語。
設定とは裏腹に、わがままで横暴な乙女に従者2人が翻弄される話なのだが、ギャグが全体的に空回りしているような弾け切れていないような、微妙な感じ。
最後はシリアスな感じになるのだが、今までの展開とのギャップが激しすぎていまひとつ話に入り込めないまま終了となる。
絵も安定しているのだが、表情が硬く動きがぎこちない感じが最後まで続く。


「銀色のハーモニー」
柊あおい・全7巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
ピアノを弾くことにあこがれる女の子が、ひょんなことから出会った少年に恋心を抱くなるようになるが、その少年には彼女がいた。
ごく一般的な少女恋愛漫画。
少年に彼女がいたという設定はいいが、彼女の方が一方的に追い回しているだけというのでは、飛び越えなければならないハードルが少し低い。
ラストの方で作者が病欠したとき以降の絵は、雰囲気はそのままだが、乱れてしまった感じがする。
それ以降の作品でもそれは感じられた。
読みやすい作品ではあるし、物語にも起伏があるので評価は高めにした。


「銀河英雄伝説」
道原かつみ・全11巻・徳間書店(キャラ)
★ ★ ★ ★
小説「銀河英雄伝説」を漫画化した作品。
原作が田中芳樹さんなので、骨格がしっかりしている分、ストーリーをいじくるようなことはしない方がいいので、原作を忠実に再現しているところは評価できる。
ただし、登場人物に男が多いので、道原さんの好みで性転換したキャラもいる。
絵は十分にきれいでストーリーに合っている。
小説の2巻分と外伝の内容を少し入れて完結しているので特に問題はないが、後の展開として必ず足かせになる性転換があるので、それはやめてほしかった。
評価を1つ落としたのもそれが理由。


「銀河英雄伝説外伝 黄金の翼」
道原かつみ・全1巻・徳間書店(少年キャプテン)
★ ★ ★
上記の作品より前に描かれた作品。
舞台設定は主人公が幼い頃のものとなっており、原作は漫画用に描き下されたものだったので、小説よりも漫画版の方が先に発売された。
絵がまだ未完成なために、本編の漫画を知っていると違和感を覚えてしまう。
道原さんがキャラクター原案でアニメ化もされているが、アニメの方が違和感がない。


「銀河英雄伝説 英雄たちの肖像」
道原かつみ・全4巻・徳間書店(リュウ)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編で、小説3巻以降を漫画化した作品。
前作はスローペースで話が進んでいたが、こちらはかなりのハイペース。
その分端折っている部分も多く、原作を知っていないと辛い部分もある。
絵は前作完結から数年経過しているものの、違和感なく読める。
ストーリー的にはユリアンがフェザーンに行って帰ってきたところで終わっているので、非常に中途半端なまま終わってしまって残念。


「銀河英雄伝説」
藤崎竜・集英社(ヤングジャンプ)
★ ★ ★ ★
こちらは藤崎竜さん作画で、ラインハルトとキルヒアイスの出会いから時系列で描かれている。
ヒルダがアンネローゼと序盤から友人関係だったり、ベーネミュンデ侯爵夫人が皇帝崩御時にも生きているなど、藤崎さんらしいアレンジはあるもののそれはそれとして楽しめる。
話もテンポよく進んでいるので、完結まで描かれるものと終われる。


「きんぎょ注意報」
猫部ねこ・全8巻・講談社(なかよし)
★ ★
父が死に、借金を返済するために家屋敷を売り払い、有名お嬢様学校から廃校寸前の学校に転校した女の子。
唯一の財産は世界に1匹しかいないというピンクのきんぎょだった。
ストーリーが単純なため、3巻か4巻以降くらいからは飽きてくる。8巻も続いた割には「これが最終話?」と思えるような終わり方は納得できるものではなかった。
アニメ化されたこともあるが、アニメの絵は原作を忠実に再現していなく、乱れた感じがしたので好きではなかった。


「金魚屋古書店出納帳」
芳崎せいむ・全2巻・少年画報社(OUR’s girl)
★ ★ ★
ものすごく品揃えのいい古本屋「金魚屋」を訪れる様々な人のオムニバスストーリー。
序盤はかなり好きな話だったのだが、中盤以降に登場人物が半固定化され、そこからあまり好きではなくなってしまった。
絵はわりと読みやすい。


「金銀砂子」
赤夏・全1巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★ ★
女が完全な物として扱われる大遊里から脱走し、人斬りを遊びとして続ける少女。
何者かに追われ、常に麻薬を吸っている毬売りの青年。
どこか壊れた2人が出会い、旅をする話。
主人公2人のどこか壊れた感じがいい雰囲気を出していて、引き込まれる。
絵はやや不安定ながらも幻想的な感じがして、話を盛り上げている。
話は割ときれいにまとまっているので、絵が気に入れば買って損はない。


「キングダムハーツ FINAL MIX」
天野シロ・全3巻・スクウェア・エニックス(ファミ通PS)
★ ★ ★
同名タイトルのPS2ソフトを漫画化した作品。
もともとの掲載がゲーム雑誌だったため、横書きの左ページスタートとなっている。
また、ゲーム雑誌掲載が影響しているのか、全体的にコマ割が小さく、やや読みにくいのが気になる。
内容としては、ゲームをプレイしていなくとも読める作りで、なかなかよい。
一応この作品だけで完結しているが、続編につながる読み切りも掲載されているので、続編を読むことは覚悟しておいた方がよい。


「キングダムハーツ チェインオブメモリーズ」
天野シロ・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
同名タイトルのゲームソフトを漫画化した作品。
基本的にゲームが「キングダムハーツ」の続編なので、「キングダムハーツ」を知っている人向けの作品。
一応ゲームを知らなくても読めるが、知らないと感情移入しにくい。
かなり上手く漫画化できているとは思うが。


「キングダムハーツII」
天野シロ・全10巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
同名タイトルのPS2ソフトを漫画化した作品。
また、上記作品の続編なので、前作を知らないと読めない作りになっている。
それをクリアしていれば、わりと読める作品ではある。
漫画化の仕方は上手いと思う。


「キングダムハーツ 358/2Days」
天野シロ・全5巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
同名タイトルのDSソフトを漫画化した作品。
これは上記作品の連載を中断した形で始まったので、キングダムハーツIIを知っている前提で描かれている。なので、いきなりこの作品だけ買うのは危険。ゲームを知っているなら別だが。
話としてはIIやチェインオブメモリーズの裏話のような形になっている。
他の作品が気に入っているなら買ってもいいかも。
話としてはキングダムハーツIIに繋がる内容で終わっているので、どちらも読むこと必須。


「金田一少年の事件簿」
さとうふみや・全36巻・講談社(マガジン)
★ ★ ★
金田一耕助の孫金田一一が様々な事件に遭遇し、解決していく。
ドラマ化されたり、映画化されたり、ゲーム化されたり、アニメ化されたり、とにかく多様なメディアミックスがある。
犯人の誰もがいつも致命的なミスを犯していること、犯人のほとんどが恨みによる犯行をしていること、推理に入る直前までのキーアイテムを「あんなものが」とか「どうしてあの人がこんなものを」という代名詞表現が多用されていること、警察の鑑識が当然調べるべき事実を調べていないこと、などがあって巻数が進む毎にあまりのめり込めなくなった。
人間は完璧ではないのだからミスは犯すだろうが、致命的ミスを誰もが犯しているのは少し強引。
代名詞表現は、実際に「そんな言い方しないだろう」というくらい多用しすぎている。
序盤は犯人が死に過ぎるし、中盤以降は一切死ななくなった辺りも気になった。
最後の方は既に事件もマンネリ化して、終わり方も納得出来るものではなかった。


「金田一少年の事件簿」以降
さとうふみや・全23巻・講談社(マガジン)
★ ★ ★
上記作品の続編。
1つの事件に対してコミックス1~2巻で完結する形式となった。
話の作りは基本的に変わっておらず、欠点は欠点のまま残っている。
中にはトリックに関して無理を感じる部分も出てきている。


「金田一少年の事件簿 20周年記念シリーズ」
さとうふみや・全5巻・講談社(マガジン)
★ ★ ★
上記作品の続編で、基本的にやっていることは同じ。
今まで1~2巻で完結するシリーズを少し延ばしているものの、事件自体の長さは同じくらい。
この作品はこういうものとして、気楽に読める。
ただし、本編の根幹をなす話は完結しておらず、その辺りは消化不良。


「金田一少年の事件簿R」
さとうふみや・全14巻・講談社(マガジン)
★ ★ ★
様々なシリーズを経ての続編で、最初から長期連載前提となったものは久しぶり。
やっていることはいつも通りで、事件の長さも同じくらい。
結局宿敵との決着がつかなかったのは残念。


「金田一少年の挑戦」
さとうふみや・各全1巻・講談社(マガジン)
★ ★ ★
上記作品の短編集。
短編集であるが故の強引な展開もあるが、すっきりとしているのでスムーズに読むことができる。
しかし、3編の短編のうち2つの殺人動機は殺人に発展するような動機ではないので、その点は減点。
また、同時収録の短編小説は漫画の設定に頼りすぎていて情景描写が稚拙になっている感じがする。
これ以降に発売された短編集、冒険、推理、疾走、対決も同様のことが言える。


「銀の匙」
荒川弘・全15巻・小学館(サンデー)
★ ★ ★ ★ ★
特に目的を持たず農業高校に進学した少年。
大自然の中、農業に触れ、同級生たちと接していく中で少年は次第に生きる目的に気付いていく。
「鋼の錬金術師」とは全く別方向の作品だが、これはこれで面白く読める。
作者の実体験が元になっているだけあってリアリティがあり、様々な豆知識には感心することも多い。
割と気楽に読める作品。
主人公が高校入学したところから卒業まで、キッチリ3年間を描き切って終わってよかった。

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ア行-5 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)


「王様はロバ」
なにわ小吉・全7巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
ショートギャグを集めた話。シリーズ化しているものもいくつかある。
絵はそれほど上手ではないが、話に引き込むギャグの力がある。
3巻から4巻くらいまでの評価はもっと高いが、それ以降は7ページ連載をすべてショートストーリーにしてしまってあまり面白くなくなった。
最初のころの1ページや2ページギャグの方が面白かった。
連載が打ちきりになったのも、最後の方の話を見る限り納得。
終盤は作品よりおまけ漫画の方が面白かった。


「王子様といっしょ!」
谷川史子・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★
幼なじみが10年ぶりに少女のいる街に帰ってきたが、女の子だとばかり思っていた幼なじみは、実は男の子だった。
谷川さんらしい少女漫画ではあるが、極普通の女の子が格好いい男の子に好かれるなど、あまりにも少女漫画の王道を行きすぎている部分が目立ったので評価を下げた。
同時収録作品もそれほど出来のいいものではない。


「オウルナイト」
高津カリノ・ガンガン(スクウェア・エニックス)
★ ★ ★
札幌のすすきのにあるニュークラブ(キャバクラ)で女装して働くことになった青年と、その店にいる個性の強い従業員や客たちの話。
舞台がファミレスからクラブに移って登場人物の平均年齢が上がった「WORKING」(ワ行参照)という感じ。キャラ被りしているようなキャラはいないので、作者の作風が好きなら楽しめる。


「大江戸てやんでい!!」
楠桂・全2巻・集英社(マーガレット)
★ ★ ★
元暗殺者で今は引退して人形師となった青年と、その青年に恋をする女の子のお話。
舞台は江戸時代だが、時代に相応しくないものが数多く登場するので、そこは狙っているとしても減点ポイント。
ストーリーは可もなく不可もなくだが、安心して読める。
絵は安定していて気になる点はない。


「オーベルジュろわぞぶりゅ」
大清水さち・全2巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
ちょっとボケてる女子高生の少女は、道端で売っている怪しい携帯電話をノリで買ってしまう。
その直後、少女は異世界へ飛ばされてしまう。
世界観はそこそこ珍しい部類に入るのだが、キャラの魅力に乏しく、小さくまとまっただけで完結してしまった印象。
絵はすっきりしていて読みやすいが、顔の形が全体的におかしく見える。


「大家さんと僕」
矢部太郎・全2巻・新潮社(小説新潮)
★ ★ ★ ★ ★
芸人・矢部太郎が8年間住んでいた、一階は大家さんの自宅、二階が賃貸という二世帯住宅型一軒家での大家さんとの交流を描いた作品。
年齢が倍以上違う大家さんとの距離感に最初は戸惑いつつ、次第に親密になっていく過程が微笑ましい。
連載中に大家さんが亡くなっているため、大家さんの葬式までが描かれ、作品としてキッチリ完結している。
読んでいると癒されたりホロリときたり、感情が揺さぶられる。


「「大家さんと僕」と僕」
矢部太郎・全1巻・新潮社(描き下ろし)」
★ ★ ★ ★
上記作品の番外編的な作品で、作品に関わる様々な人へのインタビューや裏話などが掲載されている。
作中に登場する先輩の元ネタになっている芸人、陽気な後輩へのインタビューのほか、感動を呼んだ手塚賞授賞式のスピーチ全文など、読み応えがある。
上記作品が好きなら間違いなく買い。
描き下ろしのマンガも面白い。


「All You Need Is Kill」
小畑健・全2巻・集英社(ヤングジャンプ)
★ ★ ★ ★
異星人に襲撃を受ける地球で、死ぬ度に記憶を保持したまま時間をループすることに気付いた青年が、己を鍛えあげて異星人と戦う中でどうにかしてループを抜け出そうとあがく話。
主人公がループに気付いてから終わりに向かって盛り上がっていく流れにはかなり引きつけられる。ヒロインもいい感じ。
原作準拠で終わり方がきれいなハッピーエンドではないのが少し残念。


「拝み屋横丁顛末記」
宮本福助・全27巻・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
陰陽師やエクソシストたちなどの風変わりな人たちが多く住んでいる拝み屋横丁。
そこで起こる不思議な事件や、幽霊たちとの生活を描いた物語。
作者がオヤジキャラを非常に上手く描いているので、オヤジ好きな人には一見の価値あり。
また、脇役たちもキャラが濃く、描き方も上手い。
反面、女性が女性らしく見えなかったり、主人公のキャラが薄く見えるところが欠点。
続き物の話もあるが、基本的には1話完結で読みやすい。
絵も安定している。。


「荻の原日記」
夢路行・全1巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
ひょんなことから竜が天に昇る様子を神様と眺めた少女が、竜の鱗を飲んでしまって不思議な力が宿ってしまう。
全編神秘的な絵柄で、柔らかい雰囲気のストーリー。
終わり方があまり納得できなかったので評価を下げた。
この設定でもっと話が続いてもよかったと思う。


「oguna」
中島かずき×唐々煙・全1巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
「takeru」(タ行参照)の外伝。
takeruの主人公の1人であるオグナが仲間と出会うまでの話が描かれている。
本編を知っていた方が内容は理解できるが、知らなくてもわりと読める作り。
ただ、終わり方はそこまでスッキリしていないので、本編を知らないと読後感が悪い。


「お砂糖缶づめ」
あいざわ遥・全2巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
影で正義の味方を演じる生徒会に、ぼんやりしていて鈍感だがめがねをかけると性格の変わる少女が入って学校で起こる事件を解決していく。
ぼけぼけっとした主人公がいい味を出している。
他のメンバーも個性豊かでいい。
あいざわさんの絵だけあって、やはりきれい。
1巻完結のところを2巻に引き延ばしてはいるが、そこまでだらだら続いたという感じはない。
事件の設定もまあまあ。


「オシエシラバス」
高尾じんぐ・全6巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
少女が本屋で格安で手に入れた参考書を開くと、そこから家庭教師の妖精が現れる。
妖精が勉強を教えてくれる代わりに、受験に失敗すると本当に死んでしまうというリスクを負いつつ、少女と妖精の同居生活が始まる。
多少のファンタジー要素はあるものの、基本的には楽しい学園物の話。
家庭教師とその教え子が主人公なので、他の作品と比べると勉強の要素が少し多めな感じ。
絵が安定していて登場人物もかわいいので、気楽に読める作品になっている。
終わり方もなかなかきれいで、スッキリ終わった感じ。
伏線もキッチリ回収されていて、読後感もよかった。


「おじさまと猫」
桜井海・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★ ★
妻に先立たれた元有名ピアニストのおじさまが、ペットショップで売れ残っていた猫を飼う話。
猫を飼い始めたことで、おじさまの生活が少しずつ変わり始める。
序盤は猫とおじさまの交流がメインでギャグエッセイ的な雰囲気だが、次第に人間関係などが広がっていってストーリー漫画になっていく。
ジーンとさせる演出が上手く、特に亡くなった妻の描写がいい。
読んでいると癒される。


「お嬢様と妖怪執事」
藤原ここあ・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
とある旧家のお嬢様は、自宅の屋敷で座敷わらしと出会う。
そしてその座敷わらしは執事になり、彼女に仕えることになる。
表題作を含む4つの読み切りが掲載されており、お勧めは最後に掲載されている「私は」。
全体的にコメディあり、シリアスあり、でいろんなタイプの作品が読める。


「お伽草子」
瀬都ナルミ・全2巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
同名タイトルのTVアニメと連動で連載された作品。
アニメよりも時間軸は少し前で、この作品のラストとアニメの第1話がつながる作りになっている。
アニメを全く知らなくても読める作りになっているが、きっちり完結しているわけではないので、アニメが好きな人が関連グッズとして買う、程度の認識で。
絵はわりと読みやすいが、全体的にキャラの表情が硬い。


「御伽楼館」
天乃咲哉・全2巻・芳文社(キララ)
★ ★ ★
若い女性にのみ人形を無料で貸し出す人形店。
そのお店で人形を借りた少女は、様々な不思議な出来事に遭遇する。
人形にまつわるオムニバス形式の話で、絵が非常に上手いだけあって話に説得力がある。
絵が気に入れば読んで損はしない。


「漢式青春ばくはつ劇場」
美川べるの・全3巻・講談社(e-manga)
★ ★ ★ ★ ★
恋愛雑用部として依頼人の恋愛を成就させる活動をしている高校生たちの物語。
本編の「美川べるのの青春ばくはつ劇場」(ハ行参照)と登場人物は同じだが、こちらは4コマではなく、ショートコミック。
オチがどこで来るか予想できないため、とにかく全編通して笑える。
ギャルゲーのことなどを知っている人はより楽しめる作り。
全3巻で終わってしまったのが残念。
「ストレンジ・プラス」(サ行参照)とノリは同じ。


「乙女ゲー転送、俺がヒロインで救世主!?」
辻本ユウ・全5巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
妹がハマっている乙女ゲームの世界に手違いで転送されてしまった少年は、なぜかゲームの中ではヒロイン役になっており、様々なイケメンキャラに言い寄られてしまう。下手に好感度を上げると個別ルートに入ってしまうため、少年は好感度を上げないように努力しつつ、現実世界へ帰る手段を模索する。
好感度をあえて上げないように努力したり、転生ではなく転送なので現実世界から妹のアドバイスが届くなど、それなりに捻られている設定がいい。
王道なゲーム内のキャラ設定にツッコミを入れつつ進んでいく話もなかなか楽しい。
最後は多少駆け足展開だったものの、ちゃんとゲーム世界から戻って終わっている。その後にまだ続く感じではあったが、ギャグマンガなのでこの終わり方でよかったと思う。


「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった...」
ひだかなみ・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまったものの、ゲームが始まるまでまだ猶予期間のある8歳で前世の記憶を取り戻したため、少女は前世の記憶を頼りに時間をかけて破滅フラグを回避する計画を実行していく。
序盤は前世でのゲームの記憶を頼りに破滅フラグを回避しようと努力する姿が描かれていてよいのだが、中盤以降はその結果主人公が人たらし能力を発揮して全ての人が主人公に惚れている状態が誕生してしまう。そうなると話の方向性がちょっと違うように感じられて、次第に勢いがなくなっていくように感じられるのが残念。
ゲーム本編が終わる辺りまでの話ならいいのだが。


「踊りましょうか」
夢路行・全1巻・一迅社(ぶ~け)
★ ★ ★
「百も承知さ」(ハ行参照)の続編。
彼のいる太めの女の子のもとに、家出した従弟がやってきて女の子を口説き始める。
その他2本の短編が収録されていて、どれもページ数が多いので読み応えがある。
ただし、続編の話が多いので、上記作品を予め読んでおくことをお勧めする。


「踊る三日月夜」
夢路行・全1巻・スタジオDNA(ぶ~け)
★ ★ ★
幽霊が出るという噂のある女子寮周辺。
その事実を確かめるために、新聞部の女の子3人は夜にこっそり幽霊が出るという現場へ向かう。
作者のデビュー作も収録されている短編集で、絵はかなり古いものの、それなりに楽しめる内容。
他の短編もなかなかの出来具合。
作者らしさがよく出ている。


「お従兄さんの引っ越しの片づけが進まない」
吉辺あくろ・全5巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
幼い頃から憧れていた従兄が大学進学を機に同居することになる。
少女なりに従兄にアプローチするものの、思うように思いが伝わらない上に、従兄は少女の弟に女装させて楽しむような変態だった。
相変わらず憎めない変態を描かせたら上手いな、と感じる。ただ、登場人物のほとんどが血縁関係で、いとこ同士は結婚できるとはいえちょっと血が近すぎるのでは……と思ってしまう部分もある。
話は下手に引っ張らずにきれいに終わっている。


「鬼神の棲む家」
渡千枝・全1巻・講談社(フレンド)
★ ★ ★
行方不明になった兄を捜して山奥の奇妙な伝説のある村を訪れた少女の恐怖体験物語。
血が噴き出したり、人が斬りつけられたりする、俗に言う怖いお話。
絵柄もその雰囲気に合っている。
読んでいるといろいろと秘密めいたことに出会えるので先が気にかかって思わず読み進んでしまう。
伏線もちゃんと生かされている。


「鬼切様の箱入娘」
有楽彰展・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
遠い昔に封印された鬼の少女と、その封印を施した青年の子孫である少年。
少年はある日、蔵で少女の封印を解いてしまう。
世間知らずの女の子とそれに振り回される男の子、という典型的な作品。
あまり個性は感じられないものの、他の作品の影響が出まくっていた「東京アンダーグラウンド」(タ行参照)よりかは遥かにましになっている。
終わり方は無難な感じ。
そこまで印象に残る話がなくて残念。
絵が気に入れば読んでもいいのでは、と思う。


「鬼切丸」
楠桂・全20巻・小学館(サンデー増刊)
★ ★ ★
唯一鬼を斬り殺せる刀「鬼切丸」を持つ、純血の同族殺しで名前を持たない、高校生くらいの姿をした鬼の物語。
鬼を全て殺せば名前をもらえると信じて戦う少年だったが、鬼は絶えず人間の邪心から生まれ続けていた。
話は必ずしもハッピーエンドではないし、恐怖感をあおる絵柄も好感が持てる。
ただし、いつも展開が似ているのと(言うなれば水戸黄門)鬼結城の話を引っ張りすぎだという点で、評価を下げた。
途中からはほぼマンネリ化が続いたが、それなりに読めた。
終わり方は悪くはない、といったところ。


「鬼ごっこ」
黒柾志西・全4巻・一迅社(REX)
★ ★ ★
ある日突然「異形の者」に襲われ、自らに「継ぐ者」としての力があることを知った少女。
少女は自らの意思とは反して、戦いに巻き込まれていく。
話はわりと平凡なのだが、絵にかなり引き付けられる作品。
化け物の描き方や表情、傷のつき方など、見ごたえがある。
ただ、ストーリーが中盤から間延びし始め、最後はやや打ち切りのような感じになってしまい、残念。


「鬼姫」
冨樫秀昭・全1巻・一迅社(REX)
★ ★
戦国時代真っ只中、上杉軍の兵として戦場を駆け回り武田軍を苦しめた1人の女性がいた。
その女性が現代にタイムトリップしてしまう。
冨樫義博の実弟というのがクローズアップされてしまっているものの、話としては悪くない出来に仕上がっている。
雑誌掲載時から大幅に加筆修正されており、それなりに面白く読める。
血縁関係を考えずに読んだ方がいい。


「おネコさまが来た」
私屋カヲル・全1巻・小学館(フラワーコミックス)

ある時突然現れて願いを1つだけ叶えてくれるネコの神様「おネコさま」と相棒の犬がいろいろな人の願いを叶えていく物語。
「少年三白眼(サ行参照)」と同じ作者だったので買ったが、つまらなかった。
ギャグが空振りしている感じがする。


「おひさま笑顔」
天野こずえ・全1巻・エニックス(ステンシル)
★ ★
登場人物たちに少しずつ関係がある、全4話の短編集。それぞれ春夏秋冬をテーマにしている。
どの話も出来は悪くないが、特筆出きる部分もない。
全て1つの街や高校を舞台にした現代ものだが、それは絶対にありえないだろう、と思ってしまうフィクション性が強い作品(例えば、真冬のプールで泳いでそのまま歩いて帰る、など)が目立つのは減点。
絵は少女漫画らしさが出ていて可愛い。
作者のファンなら買ってもいいと思える。


谷川史子・全10巻・講談社(Beth・Kiss)
★ ★ ★ ★
独身で恋人がいない、もしくは恋人と離れている、基本的に孤独な女性たちの物語。
16P完結もののオムニバス形式で、作者の得意分野のような感じで楽しく読める。
ハッピーエンドもそうでないものもあるのがよく、どこからでも読める形式なのもいい。
ただ、おひとりさまの女性が主人公という縛りがあるせいか、中盤以降は似たような話であったり、おひとりさまというより普通の恋愛ものだったりする話が増えてしまい、残念。


「お姫様と花と蝶」
あいざわ遥・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★
娘の花嫁姿が見たいという病気の母を安心させるため、少女は今つき合っている男の子と結婚すると家族に言うが、兄から猛反対される。
少女漫画もこれほど現実感がないとあきれてしまうのだが、もう1本収録されている話は共感できる部分があるので、評価をさらに落とすことはやめた。


「おまかせ健さん」
樹原ちさと・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★ ★
しゃべることのできる犬「健さん」をとりまく日常ギャグ漫画。
健さんはくだらないギャグをするが、それはそれで漫画中でシーンとなったりすることでフォローされたりしているので問題なし。
ほれっぽかったり、けんかが強かったり、勘違いしやすい性格の健さんに親しみも持てる。
元は読み切りのみの話だったが、多少の人気があったため、増刊号で短期連載された。
ラストもほぼ納得。


「オムメダイ」
榧世シキ・全2巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★
人々の希望が詰まった夢を集めるブランシュと、絶望が詰まった夢を集めるノワール。
一定の期間内に集めた夢が少ない方から流刑者が出る。
全ては世界を守るため、彼らは夢を集め続ける。
作者らしいと言えばらしいのだが、話は結構わかりにくい。人を選ぶ。
そのせいか、序盤で打ち切りらてしまった。
打ち切りにしては話がまとまっている方だが、それでも中途半端さは大きい。


「お山の竜神さま」
久保聡美・全1巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★ ★
山奥の中で暮らす竜神家族3人の物語。第1話は、久保さんの投稿作品。
その漫画大賞では準大賞になった作品で、投稿作品にしては完成度が高い。
読み切りで何度か登場したのみだが、連載されても一向にかまわないくらいいい話。
ストーリー的矛盾もほぼない。日本的な絵も好感が持てる。


「オリハルコンレイカル」
綱島志朗・全3巻・角川書店(ドラゴンJr.)
★ ★
フィギュア作りにはまる大学生の青年は、とある講師の授業を手伝った報酬としてパテをもらう。
そのパテでフィギュアを作ると、そのフィギュアが動き始めた。
同じように動くフィギュアが他にも出てきたり、作られたフィギュアは作られたばかりのために常識がなかったり、と典型的なストーリーを追っていく形になっているため、個性が見えない。
絵は読みやすいのだが、中身が薄い。
掲載誌休刊に伴って長い休載期間があり、「オリハルコンレイカルDUO」として後に完結したが、そこまで追う気になれず、続編は購入していない。


「オリンポス」
あき・全2巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★
神が作った箱庭に閉じ込められたガニュメデス。
絶対に逃れられない箱庭の中で、神はガニュメデスにわずかな希望をちらつかせてはそれを断ち切ることを楽しみにしていた。
とにかく絵が奇麗な作品で、細かい描写が多いにも拘らず読みにくくない。
話も神話をベースにしていて、引き込まれる。
女性ならかなりの割合で好きになれる作品では。
反面、終わり方は非常に抽象的で好みの分かれるところ。


「オレンジ紅茶」
あいざわ遥・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
男友達の兄のことが好きになったがフラれてしまい、その人と親友が仲良くなっていくのを素直に見られない女の子の話。
今まで作者の作ってきた話とは違い、恋愛だけでなく友情に関しても深く掘り下げているストーリーに好感が持てる。
一時期変になってしまったと感じていた絵も、元のようにきれいになっていた。


「オンエアできない!」
真船佳奈・全1巻・朝日新聞出版
★ ★ ★ ★
テレビ東京の新人ADが、ADの日常について語る半ばエッセイのような作品。
作者が本当にテレビ東京のADだということで、話に物凄くリアリティがある。
予算の少ないテレビ局なので、予算がない中どういう工夫をして番組を作っているのか、という辺りも読み応えがある。
作者が漫画を描くことがほぼ初めてというのもあり、全体的に絵が上手くないのが玉に瑕。


「オンエアできない!Deep」
真船佳奈・全1巻・朝日新聞出版
★ ★ ★
上記作品の続編。
内容的にはADの日常から、ADとして体験した一般的にはあり得ないような話にシフトしている。
絵は小慣れてきて読みやすくなったが、逆に話は悪くないけどそこまで……という感じになってしまった。


「女ともだち」
一条ゆかり・全3巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★ ★
女優の姪として平凡に暮らしていた高2の女の子が、モデルの親友の撮影につきあったことがきっかけになり、最終的に女優になって映画を完成させるまでの話。
私がそれほど好きではない正当派恋愛少女漫画なのだが、読ませてくれる。
作品中で紹介される映画もそれだけで別作品にできそうないい作品。
しかしながら、都合のいい展開と普段は強気の女の子が恋愛になると奥手になるという私が嫌いなパターンが入っているので評価を落とした。


「怨霊伝説」
渡千枝・全1巻・講談社(フレンド)
★ ★ ★
臨死体験をした少女が、その日を境に霊感が強くなり、母親の一族にまつわる暗い伝説と関わることになる。
渡さんの作品では珍しく、1冊全てがこのタイトルの話。
しかも、登場人物の1人が別の作品にも登場するというのも珍しい。
怖い絵柄で恐怖感をあおってくれる。
それほどきつい絵ではないし、読みやすいとも思う。
ただし、財宝伝説の話なのに財宝が見つからなかったり、ストリー的矛盾もあったりしたので評価を落とした。
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ワ行 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「わ!」
小島あきら・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
とある高校での日常を描いた4コマ作品。
誰が誰を好きかが円環状になっているというのが話のメインではあるが、お勧めは「ブレイク」シリーズ。
世の中のちょっとしたことにツッコミを入れたりしていて、面白く読める。
1Pの1本の割合で掲載されているので、サクサク読める。
もっと長く続けることもできたと思うが、3巻できれいに終わった。
終わり方も悪くはない感じだったし、ワンパターンやネタ切れになる前に終わってくれてよかった。

「WORKING!!」
高津カリノ・全13巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
北海道の片隅にあるファミリーレストラン。
そこで働く人たちの日常を綴った4コマ漫画。
キャラたちの個性が強く、わりと面白く読める。
キャラたちの掛け合いも面白い。
序盤の絵はまだ不安定なところがあるが、気にならないレベル。
終盤はかなり登場人物が増えたが、全ての人間関係に決着をつけて終わっているので、読後感はよい。

「WaqWaq」
藤崎竜・全4巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
黒い血を持つ人間と、機械が人を襲う世界。
そこで人を守ることを生業とする防人の少年は、あるとき赤い血を持つ神様と言われる少女と出会う。
作者の持つファンタジーの世界感がいいのだが、設定が平凡で絵もやや読みにくく、話には入りにくい。
さほど長い話ではないので、話そのものを引っ張っていないところには好感。

「WORLDS」
藤崎竜・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
少年が今まで過ごしてきた毎日が実は夢で、少年は夢とは別の世界で暮らしていかなければならなくなる。
藤崎さんの初期作品の短編集なので、絵がまだまだ見にくい。
どれもいい話であるとは思うのだが。

「WORLDEND FAIRYTALE」
箱田真紀・全4巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
失踪した兄を捜してある学園に転校してきた少年は、そこで夢の中に出てきた少女とよく似た少女に出会う。そして、その少女は「ワールドエンド」と呼ばれる場所で謎の敵と戦っていた。
作者なりに個性的なキャラを出しているようだが、全体的にキャラが弱い印象を受ける。キャラが立っていると思えるのは「深海まなか」だけ。
ストーリーは現時点では何の解決もないままで、かなりの序盤と思われる。続編を意識した終わり方になっているが、続編は期待できそうもない。
絵は柔らかい雰囲気があってよい。

「WILD ARMS the 4th Detonator」
CHIHIRO・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)

同名タイトルのPS2ソフトを漫画化した作品。
ほぼ忠実にゲームの内容を漫画化しているが、どうしても絵の不安定さが目に付いてしまう。
なんとかゲームの絵に似せようとしているのはわかるが、全体的にキャラが幼い。
ゲームが好きな人にはちょっと辛いかも。
話もかなり中途半端なところで終わっていて、ゲームで言うところの中盤くらいで打ち切り。
ちなみに、オープニングが変わる前の状態。
ゲームを知っている人も知らない人、読まない方が賢明。

「WILD ADAPTER」
峰倉かずや・既刊7巻・一迅社(Chara)
★ ★ ★ ★
何事にも興味がなさそうで好奇心が強い、そんなつかみ所のない青年が、ある日人を獣化させる新種のドラッグ「W・A」に汚染された青年を拾う。
1巻毎に話が区切られていて、話は非常に面白いが、第一部完のようなところで続きが出ていない。
作者の病気のこともあるので、再開は難しいかも。

「WILD HALF」
浅見裕子・全17巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
言葉を話し、飼い主の情で人型に変身できる犬と飼い主の物語。それなりに面白いとは思うのだが、都合のいい展開が目立つ。
最後の方は物語の謎や中途半端な男女関係を一気に解消させているので、急いで終わらせた雰囲気が残ってよくない。また、コミックス最後の夢オチ部分はない方がよかった。
絵はまあまあ見やすいのでよい。
コミックスのおまけページは面白い。

「わくわくぷよぷよダンジョン」
魔神ぐり子・全3巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
同名タイトルのゲームソフトを漫画化した作品。
ゲームを知らなくても楽しく読めるし、笑えるポイントも多い。妄想が暴走するところや、漫才のように掛け合いがあるところがいい。
絵もシリアスとギャグを上手く描き分けている。
ただ、全体的に画面がうるさいので、面白いながらも読んでいて疲れるところがある。
また、作者急病のためとんでもないところで話が切れており、何の解決もないまま終わっている。
買うのであればそれなりの覚悟を。

「忘れられない」
谷川史子・全1巻・集英社(コーラス)
★ ★ ★
1年の内1日だけ1人でどこかへ出かけていく母。
その母が今年は家に帰ってこなかった。父は心配するなというが、不安になった女性は母を探しに出かける。
その他3本の短編が収録されており、やや悲恋物が多い。
その分、結末が都合のいい感じがしなく、面白く読めた。

「わたしが消えた!」
渡千枝・全1巻・講談社(フレンド)
★ ★ ★ ★
高校受験に不安を抱いていた少女が、受験当日にバスの事故に巻き込まれたことで現実世界とよく似た自分の存在しない別世界へ迷い込んでしまう。
これぞホラー漫画のお手本、というのが表題作。
他にも質のいい作品が集まっている。

「私たちの幸せな時間」
佐原ミズ・全1巻・新潮社(コミックバンチ)
★ ★ ★ ★
無差別殺人で死刑囚となった青年と自殺未遂を繰り返す元ピアニストの心の交流を描いた作品。
内面の掘り下げがすばらしい作品で、読み進むごとに引きつけられる。
結末は大体予想できてしまうのだが、それでも吸引力はかなりのもので、最後は胸が締め付けられる。

「私のおウチはHON屋さん」
横山知生・全8巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
実家がエロ本専門店だという小学5年生の女の子の物語。
ありそうでなかった町の小さなエロ本専門店を扱った話で、切り口がなかなか面白い。
ややツッコミ所はあるものの、割と面白く読める。
珍しい設定の話を求めている人にお勧め。
最後も割と話がきれいにまとまっており、マンネリ化する前に話を終わらせたのはよかった。

「私のカエル様」
川島雄輝・全2巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
ロボットが狂暴化して人を廃絶しようとしている世界での、剣を持つと性格の変わるカエルロボットの物語。
童話的雰囲気のある絵でストーリーもまあまあよいのだが、謎を残して中途半端に終わっている。
打ち切り作品の悲しいところ。

「わたしの狼さん。」
藤原ここあ・全1巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★
自称勇者の少女と、その少女が好きな魔王の物語。
設定がやや狙った感じはするものの、話は悪くない。ただ、少女と魔王の出会いが描かれなかったのでいきなり少女にベタ惚れしている魔王に違和感があった。
絵は全体的に人物の線が細いが、すっきりとしていて見やすい。
この作品の完結編という位置付けでもある「Dear」(タ行参照)は必見。

「わたしの狼さん。 THE  OTHER SIDE OF LYCANTHROPE」
藤原ここあ・全1巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★
上記作品の続編で、主人公が入れ替わった作品。魔王の片腕的な存在の少女が主人公。
前作とはまた別の部分で狙ったところを感じた作品ではあったが、着実にレベルアップしていることも感じられ、前作より評価はやや高め。
前作を知っている人限定の作品であるため、この作品だけを購入するのはお勧めできない。

「わたしの幸せな結婚」
高坂りと・スクウェア・エニックス(ガンガンONLINE)
★ ★ ★ ★
政略結婚の末に生まれた少女は、母親が死んで後妻がやって来てその娘が誕生すると、家庭内で虐待されて使用人以下の生活を強いられる。厄介払いとして父親に勝手に結婚が決められてしまうが、嫁ぎ先でひた向きに暮らしていると、次第に大切に扱われるようになっていく。
主人公の自己肯定感の低さにイライラしてしまう部分はあるが、主人公が幸せを手に入れ、いじめていた人たちが落ちていく姿を見るのは、単純に読んでいてスカッとする。
絵もいい感じに儚げなので、話の雰囲気と合っていてよい。

「わたしの好きなひと」
CLAMP・全1巻・角川書店(ロゼ)
★ ★
大人の女性の恋愛模様をオムニバス描いてあり、その後にCLAMPメンバーの大川さんのエッセイが収録されている作品集。
絵は猫井さんの作画で文句ないのだが、話の内容が少女漫画過ぎていてあまり合わなかった。

「私の救世主(メシア)さま」
水無月すう・全13巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
内気な少年の元に1人の少女が現れ、少年のことを自分たちの救世主だと告げ、1冊の本を手渡す。
少年はその本を携え、異世界へと旅立っていく。
序盤は学園恋愛ものかと思ったのだが、実際は異世界ファンタジー。
序盤はあまり好きになれなかったが、ファンタジー色が強くなったところでなかなかいいと思えてきた。
絵は少女漫画チックだが読みやすく、化け物がちゃんと描けているところに好感。
主人公側がかなり弱く見えるのと、中盤以降は味方がずっと満身創痍なのが気になった。

「ワルサースルー」
たかなし霧香・全2巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
世界征服を狙い、日々悪行にせいを出す組織のギャグ漫画。
面白い話とそうでもない話の差が大きいが、笑えるところは本当に声に出して笑ってしまう。
リアクションの大きい絵も、笑える要素のひとつ。
全編通してなかなか面白かったが、終わり方はギャグマンガの基本で、評価を上げるまでにはならなかった。

「湾岸二課」
藤川祐華・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★
火災によって今は廃墟となった湾岸地区。そこは犯罪の温床でもあり、謎のウィルス感染者が集められ処理される場所でもあった。
その処理を担当する湾岸二課に1人の少年が配属される。
アクションシーンはそこそこ描けているものの、キャラも含めて設定がどこかで見たことあるものばかりで、いまひとつ個性が感じられない作品。
湾岸二課のメンバーが10代ばかりとか、敵も同じくらいという設定など、説得力のない設定が多いのも気になる。
最後は打ち切りで、一応まとめているものの、少し辛い。

「ワンダフルワールド」
たかなし霧香・全4巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
中学、高校などを舞台にしたギャグ4コマ。
ギャグのテンポがよく、オチがよく効いている作品が多くて、序盤はなかなかの出来。
しかし、回が進むごとにマンネリ化が激しく、最後は初期の頃ほど楽しめなかった。
絵はまだ未熟なところがあるが、ギャグ4コマなのであまり気にならない。

「わんぱぐ!」
樒屋涼・全2巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★
生後間もないパグを飼うことになった少女は、何も知らない状態から少しずつパグのことを学び、パグと生活する楽しさを日々満喫する。
作者がパグを飼っているということもあって、話にリアリティがあってよい。
それでいて動物エッセイとは違い、あくまでフィクションの世界の話なので、主人公が親バカでも気にならない。
絵もかわいらしくてよい。
話としてもっと続いてもよかったのだが、途中で終わってしまって残念。
そこまで打ち切りっぽい終わり方ではなかったが。

「ONE PIECE」
尾田栄一郎・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
海賊王を目指すカナヅチの少年と仲間たちの物語。
第1回目が感動できる。その勢いでそれ以後も楽しんで読むことができる。
中盤以降は絵の描き込みが激しくなりちょっと読みにくくなってしまうが、全編通して話の骨格がきちんとしていて伏線が豊富に張られ、しっかり回収されるところなど、読み応えがある。
絵柄はデフォルメが多いが、すっきりとしていて見やすい。

「ONE PIECE エピソード エース」
Boichi・全2巻・集英社(ワンピースマガジン)
★ ★ ★ ★
「ONE PIECE」(上記参照)の登場人物・エースのスピンオフ作品。
1人で海に出た後、白ひげの部下になるまでの過程が描かれている。
絵と話に「ONE PIECE」に対する並々ならぬ情熱が感じられる作品で、全編通して熱い。
本編を補完する内容になっているので、「ONE PIECE」が好きなら読んで損はしない。

「んぐるわ会報」
高尾じんぐ・全4巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
とある学校の生徒会メンバーの日常を描いた作品。
生徒会メンバーにはそれぞれ個性があり、なかなかおもしろく読める。
特にやる気のなさそうな会長と、いじられ役の松戸がいいキャラをしている。
人気があったためか会長を1年留年させる形で連載は続いたが、その後無事卒業の段階できれいに話は終わった。
終わるべき時に終わった良作。
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サ行-3 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「ショーウインドウのエミリー」
桜野みねね・全1巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
機械仕掛けで動く人形がスイッチを切っても止まらなくなり、その原因は人形が向かいの道路にある工事用の人形に恋をしたからだった。
桜野さんの初期作品集だが、絵が未熟だということはなく、ストーリーもまあまあ。
ただ、「まもって守護月天!(マ行参照)」の外伝があるので、これは本編を知らないと少々わかりにくい。

「常習盗賊改め方ひなぎく見参!」
桜野みねね・全3巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★ ★
代々続く盗賊の家系に生まれた少年・夢幻斎(剣)と、それを捕まえることを使命とする少女・雛菊の話。
桜野さんには珍しいアクションシーンなどが多く、「まもって守護月天!(マ行参照)」とはまた違った雰囲気を楽しむのにいいかもしれない。
2巻まではストーリーがあまりパッとしなかったが、3巻の謎解き部分はよかったので評価を上げた。
絵は安定していてよい。
気になるのは、極近い位置で雛菊と夢幻斎がお互い顔を合わせているのに、雛菊が剣だと気付かないこと。
コミックスでは作者もそのことに触れていて、気が付かないのはお約束だからということらしいが、それでもやはり不自然過ぎる。

「少女ファイト」
日本橋ヨヲコ・講談社(イブニング)
★ ★ ★ ★ ★
小学校時代に全国準優勝チームのキャプテンだった少女は、バレーの名門中学に進学するものの、そこではずっと自分を隠して補欠のままでいた。そして、同じ高校に行こうと約束したチームメイトは揃って別の高校へ進学してしまい、少女は絶望の淵に立たされる。
しっかりとバレーボールが描かれている作品で、経験者でも安心して読める。
作者らしく人物の掘り下げもしっかりしていて、ストーリーにも都合のよさがない。
かなり引き込まれるよい作品。ストーリーの進みが遅いのが唯一の欠点。
絵の癖もあまり感じられないのでよい。

「少年AR」
東山和子・全1巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★
世界のどこかにあるミスカトニック図書館。そこには地球上の歴史と叡智が集められている。
そこの司書である少年は、貸し出されたまま返却されていない本を回収していた。
絵はきれいなのだが、いかんせん話がわかりにくいのが難点。固有名詞は多いし、登場人物も多く、作者の頭の中だけで話が展開しているように見えるところも多い。
絵がいいだけに、もう少しわかりやすければ、と思ってしまう。

「少年三白眼」
私屋カヲル・全1巻・小学館(フラワーコミックス)
★ ★ ★
三白眼なために目つきが悪く、友達ができないために42回も転校した少年が、今度こそ友達を作ろうと努力する。
文句なく正直に笑える面白い話。
ギャグで引っ張っていってくれて、どんどん読み進められる。
ただ、この時点では絵が初期作品のため未完成なので、やや見にくい部分もある。
同時収録の短編はそれほど面白くないので、評価は低め。

「少年たちのいた夏」
北条司・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
戦時中の話を短編3本で紹介した短編集。
タイトルになっている話よりも、最初に収録されている「蒼空の果て……」の方が数段面白い。この話のみならば、評価5をつけてもいいくらい。
少年飛行士が特攻隊として敵艦に突撃するまでの話で、絵がきれいな上に戦争の悲しさがわかる。

「少年探偵 犬神ゲル」
ゴツボ☆マサル・全6巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★
文武両道・極悪非道の13歳にして探偵事務所の所長・犬神ゲル。
その事務所に売られた少女は、秘書の老人と共にゲルをサポートしながら、様々な事件を解決していく。
少々絵が読みにくいが、テンポよく読める。
キャラも結構立っているので見分けがつけやすく、話にも入りやすい。
4巻で連載一時中断後、奇跡の復活をするも、6巻で終わってしまった。
最終回らしい最終回はないという感じだが、打ち切りには見えないので、こういう終わりもアリか。

「少年探偵彼方ぼくらの推理ノート」
井上いろは・全2巻・エニックス(ギャグ王)
★ ★ ★ ★
小学生の頭のいい男の子が身の回りで起こる事件(窃盗などで、殺人事件はほとんどない)を仲間と共に解決していく話。
1話限りの簡単な事件を扱っていて、巻末に完結編が描かれている。
犯人もいつも3人に絞られて、その中から推理する。伏線もしっかりと描かれていて、じっくりと読めば犯人を必ず断定できる。
やや子供向けではあるが、ポンポン人を殺していく普通の推理漫画よりもずっといい。
絵も見やすくていい。

「少年探偵Q」
しんがぎん・全2巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
探偵もののテレビドラマに主演している少年が、現実世界でもたぐいまれな推理力を発揮して事件を解決していく話。
ストーリー、絵柄供に悪くはないと思うのだが、主人公以外のキャラが弱く、1つの事件に登場する人物が多いため、読み進んでいくうちにどんなキャラだったのか忘れてしまう。
絵が上手なだけにもったいない作品。

「少年羽狩人」
喜久田ゆい・全4巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★
妖精の羽を手に入れると幸せになる、という伝説のせいで妖精は狩人に狙われていた。
逆に、妖精を守ろうとする保護協会も力を付けている。
妖精でありながら妖精狩人である少年と保護協会の青年が共に旅をする物語。
どうにもこうにもBLっぽいのを狙っているな、と感じる作品。
妖精でありながら妖精狩人である、という設定はいいのだが、それ以外の設定はありきたりであまり個性が感じられない。
話はこの話のキーとなるイーアの物語としては完結しているが、それ以外は中途半端な部分が多い。
全て描かれていれば、というのが残念。
絵はきれい。

「女王騎士物語」
下村トモヒロ・全12巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)

女王を守る者として国民から選抜される女王騎士。
その女王騎士を目指す少年の物語。
とにかく典型的な王道作品で、今はもうこういった作品を描く人もいない、と思うくらいの王道。
つまりは、展開が丸読みできる。
もう少し捻りがあればいいのだが。
絵は不安定ながらも、読みにくくはない。
終わり方は完全な打ち切り仕様で、最終回だけでコミックス5巻分くらいはあるかという詰め込み具合。
序盤が長すぎた。
なお、コミックス最終巻のカバー裏に物語の結末までが描かれているので、結末がわからないままということはなかった。

「食戟のソーマ」
佐伯俊・全36巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
定食屋の息子の少年は、父親からの命令で名門料理学校へ編入することになる。
卒業できるのは全体の10%以下という過酷な条件の中で、少年は仲間と共に腕を上げていく。
序盤は実食シーンのエロ表現に目が行ってしまうが、話が進むに連れてエロよりもしっかりした料理漫画であることがわかってくる。
絵もかなり上手いので、料理も普通においしそうに見える。
進級前までで終わればもっとよかったのだが、進級後の話にはやや蛇足感があり、少しダラダラ続いてしまった印象。

「食戟のサンジ」
附田祐斗・佐伯俊・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
「ONE PIECE」(ワ行参照)の登場人物・サンジのシェフ生活を「食戟のソーマ」を描いたコンビが作品化したスピンオフ。
話のノリは「食戟のソーマ」そのものなので、「食戟のソーマ」が好きなら間違いなく楽しめる。
絵は抜群に上手いので、違ったタッチの「ONE PIECE」を読みたいという人にも合う。

「ショショリカ」
上杉匠・全10巻・スクウェアエニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
専攻に関係なく、総合試験の上位10名だけが入れる食品処理特殊科・通称ショショリカにトップの成績で編入した少年。彼は智者の舌を持ち、食べるだけであらゆる食材の情報を引き出せるが、拒食症で潔癖症だった。
シリアスとギャグが半々くらいの作品だが、よく後半に使われる恥ずかしいくらいの歌詞で結構笑える。
その他のギャグもわりと弾けているし、シリアスもなかなか。
しかし、回によっては印象が薄くなるなど、波が激しい。

「白井カイウ×出水ぽすか短編集」
白井カイウ×出水ポスカ・全1巻・集英社(ジャンプ等)
★ ★ ★
「約束のネバーランド」(ヤ行参照)コンビによる短編集。
シリアスなものからコメディタッチのものまで幅広くあるが、「約束のネバーランド」のクオリティを求めてしまうと、どうしても劣っていると感じてしまう。
むしろ、「約束のネバーランド」の後日談が掲載されているので、そのためのコミックスと言ってもいい。

「白石君の動級生」
チノク・既刊2巻(立ち消え)・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
引っ込み思案で人とうまくコミュニケーションが取れない少年は、高校入学時の手違いで人間に変身することのできる動物たちが通うクラスに振り分けられてしまう。
クラスメイトと触れ合ううち、少年は次第に心を開いていく。
設定はそこまで珍しいものではないのだが、序盤から作者が話を描きにくそうにしているな、という印象があった。それがどうも正解だったようで、2巻は何とか発売されたが、以降は描けなくなってしまったようで、連載は立ち消えてしまった。
前作よりも絵が安定して、イケメンがキッチリイケメンに描けていたので期待していただけに、残念。


「白砂村」
今井神・全10巻・一迅社(REX)
★ ★ ★ ★
怨霊を狩る能力を持つ探偵の青年。
その青年の下にある日眼球が送られてくる。
青年は差出主の住所・白砂村を目指す。
当初は退魔師ものの作品としては、構図や描写がなかなかよいものの普通の作品かと思っていたが、タイトルの意味が出てきてからは俄然面白くなってくる。
ところどころにあるギャグもわりとよく、それなりに楽しめる作品になっている。
途中で殺人事件を解決するなど回り道もあったが、きれいに完結した。
伏線が割と張られていたものの、わかりにくいものが多かったのが少し残念。

「白鳥麗子でございます!」
鈴木由美子・全7巻・講談社(ミミ)
★ ★ ★
とにかくプライドが高く、美人で独りよがりなお嬢様が好きな人に会うために上京する。
2巻まではストレートな恋愛漫画で少し敬遠してしまったが、それ以降はとても笑えるラブコメになって好きになった。絵はまあまあ見やすい。
ただ、枠外やコマの隅にある作者のツッコミの書き文字が多すぎるのが気になった。作中に活かせばいいのに、と思ってしまう。

「白波の幻想(イリュージョン)」
小花美穂・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
海の家にアルバイトに来た男の子が、岸壁の上で泣く女の子を見つけ、その子に恋をする。
海岸から岸壁を見上げるシーンがあるがその距離から泣いている様子が見えるのか?、海の中で泣くシーンがあるが海水と混ざって涙は見えないのではないか?、などいろいろ気になるところがあるものの、話そのものは悪くない。
初期作品のため目がゴテゴテしていて見にくいのが残念。

「白姫抄」
CLAMP・全1巻・光文社(プリティ)
★ ★ ★
雪は白姫の流す涙だという伝説をもとに、江戸時代の頃の雪国を舞台とした3話+序・終のオムニバス作品。
どれも悲しい話で、読み終わった後は何となく暗い気持ちになる。
絵はきれいだが、墨で描かれているので、やや見にくい。

「シリウスの痕」
高田慎一郎・全4巻・角川書店(少年エース)
★ ★ ★
弟を助けるお金のために自ら意思を持たない戦士となった少女。
しかし、戦いの中で少女は自我を取り戻し、弟と共に戦場から逃走する。
この作品の大元はGファンタジーに掲載された「トレーズ」というコミック未収録の読み切りで、連載開始直後はこの作品がすごく好きだった。
しかし、中盤から妖精が登場するなど話があらぬ方向へそれていき、最後は都合よくまとめた形になってしまっていたので評価を下げた。
読み切りだけの方がよかった。

「私立荒磯高等学校生徒会執行部」
峰倉かずや・全2巻・徳間書店(キャラ)
★ ★ ★
校内で絶対権力を持つ生徒会執行部のメンバーが、校内の問題を解決していく話。
作者らしいキャラが多く登場していて、問題を解決していく過程は読んでいてスッキリする。
しかしながら、全体的にレベルは高いものの、これといった部分もないのでこの評価。
終盤には少し重大な問題をもってきているが、舞台が学校だけにスケールが小さく感じてしまったのが残念。
初期短編の絵にはやや顔のバランスに違和感がある。

「私立彩陵高校超能力部」
石田あきら・全7巻・一迅社(REX)
★ ★ ★
世界の何割かの人が超能力を持っていて、それが社会的にも認められている世界。
廃部寸前に追い込まれた超能力部の部員たちは、新たな部員探しに奔走しつつ、学校の様々な問題に巻き込まれていっていた。
超能力が使える、という以外ではごくごく普通の学園コメディ。
これといった特徴もないが、キャラもそれなりに立っていて、安定して読める。
終わり方がやや中途半端だったのが残念。
無理やり終わらせた印象もある。

「私立聖カトレア幼稚園」
藪京介・全1巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
とある幼稚園での個性的な園児たちの日常を描いた4コママンガ。
声に出して笑える面白さではなく、じんわり来る面白さと、ショートストーリーで癒される感じがよい作品。
4コマよりもショートストーリーがお勧め。
絵はすっきりしていて読みやすい。

「私立聖カトレア小学校」
藪京介・全2巻・マッグガーデン(コミックブレイド)
★ ★ ★
上記作品の続編で、舞台が小学校になっている。
主人公が入れ替わっていたり、そもそも保父さんが小学校の先生になれるのか、などなどツッコミどころはあるが、それを考えなければわりと楽しめる。
キャラの個性にも磨きがかかっているし、4コマからちゃんとしたストーリー仕立てになったので読みやすくなっている。
話もマンネリになる前に終わって、まずまずの作品に仕上がったように思う。

「死霊の贈りもの」
渡千枝・全1巻・講談社(フレンド)
★ ★ ★ ★
才能に限界を感じていたギタリストが、伝説のギタリストのギターをゴミ捨て場で見つけて以来、グループはヒットを飛ばすが、そのギターには悪霊がとりついていた。
全部で3話の短編集だが、どれも出来がいいので評価は高め。
特に2話目の「二人だけのイエスタデイ」がいい。

「死霊の花嫁」
渡千枝・全1巻・講談社(フレンド)
★ ★ ★
有名な人形作家の作品を集める父が、ある1つの人形を手に入れて以来、その娘は死霊にとりつかれてしまう。
全3話収録の短編集で、どの作品も可もなく不可もなくといった感じだが、3話目は最後のどんでん返しにまんまと引っかかってしまった。

「しろがねの王」
碧門たかね・全1巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
白い狼によって王が選ばれる国。
そこを訪れた青年は、偶然街で出会った王を助けたことが縁で、王の護衛をすることになる。
作者がこの設定で話が描きたかった、というのがものすごく伝わってくる作品。
作者が楽しんで描いているのがわかる。
それはそれでよいのだが、いかんせん1巻で終わらせるために展開が無理矢理つながっている感じがするのは少々辛い。仕方ないことなのだが。
BLの香りも若干ある。

「しろがねの王-Fenrir Craft-」
碧門たかね・全2巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
上記作品の続編。
前作では詰め切らなかった設定も、長期連載となってかなり細かく入ってきている。
そのため話に説得力が出てきて、BLとかその辺りをあまり気にせず読めるようになった。
が、伏線を張りまくったところで打ち切りとなり、あまり話が収集しない状態で終わってしまい、残念。

「白のテンペスト」
斉藤カズサ・全4巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★ ★
主人公の少女は公国の第一公女として生まれながら、滅びの子として疎まれ国を追われる。
最初の方は表情が張り付いて見えるが、2巻を越えるとかなりよくなる。
終盤の謎解きがなかなかのもので、主人公の母親との似せ方が上手い。

「罪喰人(シン・イーター)」
川添真理子・全1巻・新書館(WINGS)
★ ★ ★
許されぬと罪を犯したと神に裁かれた人間に刻まれる「茨」の刻印。
その刻印を持った少年が少女の住む村ににやってきて、村の宝であるライカを盗もうとする。
しかし、少女はその少年が罪人のようには見えなかった。
話が若干わかりにくかったり、やや強引な展開があったり、と気になるところはあるものの、ストーリー全体はわりとよかった。
絵は安定しているので読みやすかった。

「ジンキ」
綱島志朗・全4巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★ ★
祖母の遺産を相続した少女は、ある日突然自分を捨てた母親のいるベネズエラに連れていかれた。
そして、そこで少女の母親は人型の巨大ロボットを開発していた。
読み始めたときは、主人公の女の子が操縦士になるのではなくメカニック関係のことをやると思って、珍しくていい、と思ったのだが、結局操縦の方にまわってしまって残念だった。
しかし、回を重ねるごとによくなっていって、3巻以降はかなり楽しめる内容となっている。
なお、この時点では話として終わっていなく、「ジンキ-真説-FINAL EPISODE」で完結する。

「ジンキ エクステンド」
綱島志朗・全9巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編で、前作の数年後の話となっている。
主人公が入れ替わり、登場人物は一部前作と共通している。
ロボットものの作品として楽しめるのだが、とにかくサービスシーンが多いことが気にかかる。必要以上に入っているので、話に集中できなくなることが残念。
なお、作者が出版社と決別したため未完。

「ジンキ-真説-FINAL EPISODE」
綱島志朗・全1巻・メディアワークス(電撃)
★ ★ ★
上記作品の続編だが、作者がマッグガーデンと決別したことにより、主人公の1人である津崎青葉の話のみここで完結している。
エクステンドはまた別で続いている。
ひとまず、今まで作品を追っていた人は読んでおいた方が後味がいい。

「ジンキ エクステンド~リレイション~」
綱島志朗・既刊5巻・富士見書房(ドラゴンコミックス)
★ ★ ★
上記作品の続編。
エクステンドとしての話が再スタートしているので、主人公は新しく少年が登場している。
第一部完として話のキリがいいところまで話は進んでいるが、終わってはいない。
この後に別のジンキシリーズが出版されているが、追うのが怖くて追っていない。

「JINX」
冬季ねあ・全1巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
他人に自分が負った傷を押しつけてしまう、という呪いを持った少年。
その少年が呪いを浄化するために浄化能力を持つ巫女のもとを訪れる。
作者初のオリジナルで読み始める前までは不安があったのだが、きれいに1巻で完結していて短期集中連載作品としてはなかなかの良作。
ただし、キャラデザが前作の「ファイアーエムブレム 光を継ぐもの」(ハ行参照)と被っているものがおおいこと、ヒロインが主人公を好きになった理由にいまひとつ納得できなかったことがあって評価はここに落ち着いた。

「CYNTHIA THE MISSION」
高遠るい・全9巻・スタジオDNA(WARD)
★ ★ ★ ★
香港マフィアの殺し屋、多重人格、華道の家元で喧嘩番長、という個性の強い3人の少女たちの物語。
少々グロい描写のある作品だが、テンポよくスピード感ある戦闘シーンと個性の強いキャラたちが楽しませてくれる。
絵は少々不安定なところもあるが、読みにくくはない。
終盤に近づくに連れ、エセ科学っぽいようなかなり無茶な設定が出てくるのが微妙ではあるが、その設定が崩壊する前に終わってくれてホッとした。
とりあえず、第一部完とのことだが、続編は出ていない。

「新感覚癒し系魔法少女ベホイミちゃん」
氷川へきる・全2巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
「ぱにぽに」(ハ行参照)からのスピンオフ作品。
「ぱにぽに」自体を読んでいなくとも読める作品ではあるが、知っているとリンクしている部分が楽しめたりもする。
こちらはショートストーリーが中心になっているので、比較的読みやすい。
最終回らしい最終回は描かれていなく、実質立ち消えのような形で終わってしまった。

「新・心の星に輝きを」
松葉博・全2巻・マッグガーデン(コミックBeat’s)
★ ★ ★
国司であった父を失い、事故死した兄に代わり家を継ぐことになった澪だったが、澪は実は女の子だった。
「心の星に輝きを」(カ行参照)の続編で、前作の子供たちが出てくるが、澪は特に前作の登場人物たちと血縁はない。
平安時代でも女の子が男装して働く話は「ざ・ちぇんじ」などの前例があるので特に違和感はなく、作者も当時の風俗や政治についてよく調べているな、というのがわかる話になっている。
それでも一夫多妻制よりも一夫一婦制の雰囲気があったりと、やや違和感も残る。
平安時代が好きな人というより、前作が好きな人向け。
序盤は長編を前提とした話に見えたが、2巻途中で一気に話が終わりに向かってしまった。
話としてのまとまりはよかったが。

「新・春香伝」
CLAMP・全1巻・白泉社(セリエミステリー)
★ ★ ★
朝鮮に伝わる貞女の鏡として有名な、春香の物語をCLAMPさんなりにアレンジした話。
最初の方は墨で描かれているので、やはりやや見にくい。1話1話を見るととてもよくできていていいのだが、1巻完結のわりには多くの謎を残して終わっているので、その点が減点。
また「これで終わりなの?」とも思えてしまう。

「新・少年三白眼」
私屋カヲル・全1巻・小学館(フラワーコミックス)
★ ★ ★ ★
「少年三白眼」の完結編。絵もだいぶ見やすくなり、ギャグも絶好調。
友達のできてしまった少年だが、そのネタがなくても十分笑わせてくれる。
卒業式が最終回になっており、終わり方もまあまあ納得できる。
途中に1話、それほど面白くない話があったので、評価を下げた。

「新・白鳥麗子でございます!」
鈴木由美子・全5巻・講談社(キス)
★ ★ ★ ★
「白鳥麗子でございます!」の続編。
ここまで来ると、全ての話がラブコメまたはギャグになっている。
とても面白いのだが、やはり描き文字の作者ツッコミが多いこと、前作のラストが全く無視されてスタートしていること、性格がガラッと変わっているキャラがいること、の点で評価を下げた。
最終回らしい最終回はなく、作者が描かなくなって続きが出なくなった感じ。

「新世紀エヴァンゲリオン」
貞本義行・全14巻・角川書店(エース)
★ ★ ★ ★ ★
14歳の少年少女が人型兵器に乗って謎の敵と戦う話。
テレビアニメ版と旧劇場版がベースになっているが、どちらとも違う結末になっている。少なくとも旧劇場版よりは納得できる結末になっている。
展開もテレビアニメ版とは所々違っており、それを見比べるのも楽しい。
最終話では主人公の両親の大学時代が描かれ、新劇場版の登場人物も出てきているのはうれしいところ。

「新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド2nd」
林ふみの・全6巻・角川書店(ASUKA)
★ ★ ★
同名タイトルのPCソフトを漫画化した作品。
ゲームの方は散々な評判で、作画が林さんでなかったら絶対に買っていない作品ではあるが、読んでみると案外漫画の方はまだ読める、という印象。
謎の振り方も悪くないので、パラレルワールドの話として普通に楽しめる。
最終的には、よくこれだけの話に出来たな、と感心してしまった。
絵も悪くない。

「新撰組異聞 PEACE MAKER」
黒乃奈々絵・全6巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
新撰組に入隊して小姓となった少年の物語。
主人公の少年は少年漫画によくあるタイプで最初は好きになれなかったが、次第に時代のことを理解して成長していく姿に好感を持てるようになった。
絵は少女漫画に近い雰囲気があるが、残酷なシーンもちゃんと見せてくれるし、カラーもきれいなのでよい。
池田谷事変までが描かれ、以降は「PEACE MAKER 鐵」(ハ行参照)で描かれている。

「新体操舞技」
宍戸道子・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
憧れの新体操部の女の子に気に入られようと、不良少年は男子新体操を始める。
男子新体操の世界をうまく漫画化していて、ちゃんと下調べもしている、というのがわかったのがよかった。
話の展開は結構ありがちだったのだが、男子新体操の描写もよく、もっと連載が続いてもよかったと思えるくらい。
将来性も感じられた。

「新テニスの王子様」
許斐剛・集英社(ジャンプSQ)
★ ★ ★
「テニスの王子様」の続編で、高校全国代表合宿に前作の50人が呼ばれるところから話は始まる。
基本的に前作を知っている人が前提で描かれており、序盤から大量のキャラが登場する。
前作の超人テニスはそのまま引き継がれているので、それが好きな人になら。
最終的に世界選手権の話に向かって行く。

「神八剣伝」
酒井さゆり・全2巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
テレビアニメと連動して連載がスタートした作品。テレビアニメが原作といタイプで、ストーリーは「里見八犬伝」をモチーフにしている。
ストーリーは悪くはないし、絵も上手い。
しかし、決定的な魅力がないので作品自体を面白いと思えない。
終わり方がしっかりしていればもっと評価も上げたのだが、中途半端に途切れているのでそのままの評価とした。

「新部活動」
西田理英・全1巻・マッグガーデン(コミックEDEN)
★ ★ ★
部活の内容を考える部活動をする、という「部活動」(ハ行参照)の続編。
前作の完結が7年前なので、まさかの復活という印象があった。
内容は本当にそのまま続編となっていて、絵も雰囲気もそのまま。
前作を知っていたら買って損はしない。
ただし、前作を知らないと話はわかりにくい。

「新ブラックジャックによろしく」
佐藤秀峰・全9巻・小学館(ビックコミックスピリッツ)
★ ★ ★ ★
「ブラックジャックによろしく」(ハ行参照)の続編で、前作を知らないとわからない作りになっている。
冒頭にあらすじなどの説明もないので、純粋に前作を知っている人が読んだ方がよい。
話は佳境に入っていて、前作から引き続き、楽しく読める。
最終巻の盛り上がりはなかなかのもので、終わり方もよかった。

「真・女神転生外典 鳩の戦記」
上田信舟・全3巻・スクウェアエニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
ネットゲームをプレイしていた少年は、謎のイベントに遭遇して不思議な痣を手に刻まれる。
そのイベントがあった翌日、少年の通う学校にゲームに出てくるモンスターが出現し、また、同じように手に痣のある同世代の者たちも現れた。
女神転生シリーズベースにしたオリジナルストーリーで、作者のよさがよく出ている。
ストーリーも明るい感じでシリアスに進んでいくので読みやすかったのだが、作者体調不良で第一部完となり、再開の気配はない。
謎が謎のまま残されているので、かなり消化不良。

「新約オオカミが来る!」
納都花丸・全7巻・コミックラッシュ(JIVE)
★ ★ ★
怪物退治を生業とする少年とその相棒の青年。
なかなかお金がない中で弾丸確保にも苦労しつつ、怪物退治を続けていた。
良くも悪くも普通の作品で、安心して読める半面、意外性が望めないストーリー。
絵もそれなりに上手いだけに、印象に残りにくい。
最後はきれいにまとまったが、最終2巻で無理矢理完結用のエピソードを用意したように見える部分もあり、その辺りは微妙。
作者が好きな人になら。

「心理捜査官草薙葵」
月島薫・全3巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
プロファイリングを利用して事件を解決していく刑事草薙葵と相棒の女性刑事の物語。
ストーリー的にはなかなか面白く、犯人とのやりとりで犯人が裏をかいたつもりでも、さらにその裏があるところなど評価できる。
しかし、とにかく絵が未完成で、絵によって引き込む力がない。
読み切りの時も絵が未完成だったが、連載になっても絵は未完成のまま。
絵がもっときれいならば、長続きした連載だったと思う。

「人狼草紙」
楠桂・全7巻・新書館(WINGS)
★ ★ ★
妖が心臓を食べれば不老不死になれるという人狼。その人狼最後の生き残りの物語。
中盤はキャラ説明のためのストーリーが続くので、序盤との繋がりにやや違和感がある。
ラストはハッピーエンドで、納得のいくものだった。しかし、都合のいい展開であったり、変わったラストを予想していただけに、あっけない感じもした。

「人狼伝説」
渡千枝・全1巻・講談社(別冊フレンド)
★ ★ ★
狼の血を引いているという幼なじみの少年からある日突然手紙が届き、そこには故郷に帰ってくるなと記されていた。
しかし、少女はそれを不審に思い故郷に向かう。
恐怖感をあおってくれる絵柄、少し意外性のあるラスト、といつも通りそれなりに読ませてくれる作品。
タイトル以外にも1話収録されている。
しかし、これ以上評価をあげたくなる力は感じられなかった。
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