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サ行-1 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)


「サーカス・ワンダー」
楠桂・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
内気だった女の子が彼と一緒にサーカスに出かけ、そこで女の子は行方不明になり、彼の記憶以外から女の子の存在が消えてしまう。
ちゃんと終わっているのだが、終わり方には不満が残る。
この作品もかなり重い雰囲気があるが、同時収録の「夏の悲鳴」もかなり雰囲気が重い。楠さんのりぼん作品では異色の単行本。それなりに読ませてはくれる。

「SERVANT×SERVICE」
高津カリノ・全4巻・スクウェア・エニックス(ビッグガンガン)
★ ★ ★
某市某市役所の保健福祉課。
そこに勤める個性豊かな職員たちの日常の物語。
公務員を扱った話になってはいるが、雰囲気的には同作者の「WORLONK!!」(ワ行参照)に近いものがある。
「WORKING!!」が好きなら買って間違いない作品。
ただ、「WORKING!!」を超えてはいないと思えるのが残念。
悪くはない終わり方だったが、そこまで公務員である必要性を感じなかった。

「[zion]」
榧世シキ・全3巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★
中央政府に害をなすと判断された街を種子使って緑で覆いつくして破壊する裁定者。
その裁定者である青年の物語。
全体的に話の起伏がないので、飽きる人は早々に飽きてしまうかもしれない。
最後もきれいに終わってはいなく、打ち切り仕様。
謎解きも満足にされていないので微妙。
絵が気に入ればまだ読めるが……

「災禍の神は願わない」
尾羊英・全2巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
古代エジプトで兄王オシリスの殺害容疑で処刑されてしまったセト。しかし、気が付くと5年前の世界におり、兄も生きていた。兄の運命を変えるため、セトは動き始める。
世界がループするのではなく、1度だけ過去に戻ってやり直す話。それだけに失敗できないというプレッシャーも感じられ、話に引き込まれる。
短い巻数できれいにまとまっている。

「PHYCHO+」
藤崎竜・全2巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
生まれつき髪と瞳の色が緑色の男の子が、不思議なゲームソフト「PHYCHO+」を手に入れる。
そのゲームは彼にしか使えなく、しかも超能力を使えるようになるゲームだった。
週刊ジャンプで10週終了だった割には、きれいに終わっているので珍しい。
唐突な展開があるために評価を1つ落としたが、それでも面白くていい。
絵もきれいで、独特の雰囲気がある。
2巻に書き下ろしで収録されている作品「DIGITALIAN」もかなり面白いので、読む価値は十分にある。

「最底辺の男」
山口ミコト・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
心の中では人を見下すものの、イジメなどに反抗することもなく、自分より下の人を見つけては自分は最底辺ではない、と自分に言い聞かせる高校生・村井。
そんな村井の前に、小学生時代の同級生・遥が現れるが、村井は遥が人間ではない何かであることに気付く。
とにかく先の読めない話で、展開も程よく早くて引き付けられる。
それでいてしっかり伏線は張ってあるので、話の骨格がしっかりしている。
表紙がちょっととっつきにくいのが難点。
最後は打ち切りだったこともあり、展開が早足だったが、それなりに決着がついている。
もう少しじっくり最後まで描いてほしかった。

「賽ドリル」
河内和泉・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
不慮の事故で死んでしまった女子高生2人。2人がたどり着いた賽の河原では、ある一定の課題をこなすと生き返らせてもらえるという賽ドリルが実施されていた。
わりと軽い設定で、肩の力を抜いて読むことができる作品。
全2巻とキリのよい形で終わっていて、間延びした感じもなかった。

「彩の神」
上田信舟・全5巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
16歳の誕生日に贈られた小刀と、少年の前に突然現れた謎の青年。
その日から少年の周りで様々なオカルト事件が起こり始める。
退魔師ものとも妖怪ものとも違う雰囲気で、作者の独自性が感じられる作品。
中盤の展開は微妙だが、最後の謎解きが始まる辺りからの吸引力はさすが。
終わり方も割とよかった。

「Xiphos」
結賀さとる・既刊1巻(立ち消え)・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
祖国を裏切り未知の大陸で何かを探す少年と、その少年に裏切られ、少年を追う王子の物語。
かなりの王道をいく世界観と設定で、その中でかなりの登場人物が出てくるので、話を頭に入れるのが結構大変。
原作者が別にいて、それを結賀さんの絵の力で引っ張り上げている印象。
元々不定期連載だったということもあり、1巻発売後に連載は休止してしまった。
1巻を出すだけ出してその後音沙汰のないパターンの作品。

「最遊記」
峰倉かずや・全9巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
妖怪と人間とが共存していた桃源郷で突如妖怪が暴れ出して人間に危害を加え始めた。
その謎を突き止めるため、4人の妖怪と人間たちが西を目指して旅をする。
キャラの名前などはよく知られている「西遊記」とほぼ同じだが、どのキャラも人間型にしてあって格好良く、ストーリーにも引き込まれる。
カラーイラストがとてもきれい。
連載中に掲載誌が変更になったので、話はここで終わっていない。

「最遊記 RELOAD」
峰倉かずや・全9巻・一迅社(ZEROSUM)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。実質的には1巻が前作の10巻に当たる。
作品の雰囲気は全く同じだが、前作を知らないと話がわからないのが唯一の欠点。
もっとも、前作を知らずにこの作品を買う人は皆無だとは思うが。
限定版の内容に関しても、前作を知っている人限定。
なお、これにも更なる続編が出る。

「最遊記RELOAD BLAST」
峰倉かずや・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編で、これが作品としての最終章になる、とのこと。
序盤から話が終盤に入っている感じが強くなっており、クライマックスが近い雰囲気があるのがいい。
ここまできたら最後まで描き切ってほしい。

「最遊記外伝」
峰倉かずや・全4巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★ ★ ★
上記作品の外伝で、上記作品の登場人物の転生前を描いている。
上記作品の外伝なので本編を知っていることが前提の作品だが、知らなくても読める。
本編で前世が悲劇で終わっていることは示唆されているので、ハッピーエンドにはなっていないが、それでも引き付けられるもので、読後感はよかった。
本編を知っているなら読んでおくべき。

「最遊記異聞」
峰倉かずや・一迅社(WARD)
★ ★ ★ ★
本編の主人公の1人・玄奘三蔵法師の師匠・光明三蔵法師の物語。
どのようにして三蔵法師として選ばれ、経文を2本所持することになったのか、ということが語られている。
キャラ設定が相変わらず上手く、序盤からかなりのキャラが出るもののキッチリ描き分けられていて混乱しない。
本編とは割と独立した作りなので、この作品単体でも読めるが、本編を知っている人なら必読レベルの面白さがある。
作者の病気によって連載が中断しているが、作者的に続きを描くつもりはありそう。

「PSYREN」
岩代俊明・全16巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
謎の行方不明事件が発生する昨今。
行方不明者に共通しているのは、失踪前に赤いテレホンカードを手にしていたらしいこと、のみ。
偶然そのテレカを手に入れた少年は、テレカの力で異世界(未来)に飛ばされてしまう。
異世界に行ったら行きっぱなしというわけではなく、行き来するという設定がなかなかよい。
戦闘シーンもなかなか迫力があり、話にも引き込まれる。
オーソドックスではあるが、読み応えのあるよい作品。
最後は少し急ぎ足な展開になったものの、無事完結。
下手に話が広がりすぎず、良かった。

「サイレントメビウス」
麻宮騎亜・全12巻・角川書店(コミックドラゴン)
★ ★ ★
近未来の東京。妖魔と戦う女性たちだけの警察の特殊部隊・AMPの物語。
人気のある作品のわりには、その面白さはそれほど感じられなかった。7巻以降はストーリーに意外性もでてきたが、のめり込めるほどのものではなかった。
ハッピーエンドで終わったのは良かった。
絵は描き慣れているという感じ。トーンも多用されているが、しつこい感じはしない。ただ、所々顔のバランスが悪い絵があり、違和感がある。

「サイレントメビウス テイルズ」
麻宮騎亜・全2巻・スクウェアエニックス(Gファンタジー)
★ ★
上記作品の番外編で、各キャラのサイドストーリーが収録されている。
完全に上記作品を知っている人限定の作りで、あらすじもキャラ紹介も一切ない。
出版社が違うのと、上記作品完結からそれなりに年月が経過していることがあるので、前作のファンなら買っても、という作品。

「咲」
小林立・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
女子高生たちが麻雀で戦う麻雀漫画。
麻雀が部活の1つとして全国で認められている、という設定になっており、主人公は誰を相手にしても±0で打つことができる天才肌の少女。
雰囲気は「ヒカルの碁」(ハ行参照)のような感じで、麻雀用語はたくさん出てくるものの、麻雀の知識がなくても読むことができる。
序盤は話の進むペースも速くてよかったが、徐々に遅くなってしまって、主人公以外の高校の掘り下げが増えたというのもあり、なかなか話が進まないのがもどかしい。
絵はすっきりしていて読みやすい。

「咲 阿知賀編」
五十嵐あぐり・既刊7巻(完結後続刊)・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
上記作品の外伝で、別の高校の女子生徒たちが主人公となっている。
本編のキャラもちょいちょい登場し、外伝としてはいい作り。
ただし、原作の主人公たちとの対決を急ぐためか最初からアニメ化が決まっていたせいか、全国大会準決勝に行くまでがとにかく早い。地方予選の決勝ですら一瞬で済まされたほどで、その辺り読んでいて少し面喰う。
全国大会の準決勝は丁寧に描かれていたが……
絵は原作と少し違う感じもあるが、読んでいると違和感がなくなっていく。

「桜の花咲くころ」
北条司・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
「こもれ陽の下で(カ行参照)」の連載前の読み切り作品。
その他、短編が収録されている。
そのうち2作品には「CITY HUNTER」に登場したのと同じ名前と顔の人物が出てくる。
「桜の花咲くころ」の主人公も「CITY HUNTER」に登場した人物。
絵がきれいなので安心して読めるのだが、読者を納得させるだけの力がないエピソードもいくつかあるし、話に意外性もない。
その点で評価をグッと下げた。

「桜雪」
ichtys・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★ ★
作者の初期短編集。
少女マンガ風の話あり、ファンタジーあり、で作者が好きならそれなりに楽しめる。
ただ、それほど出来のよい短編が集まっているわけではないので、あくまでそれなりに、の感じ。
絵は全体的にちょっとゴチャゴチャしている。

「3×3EYES」
高田裕三・全40巻・講談社(ヤングマガジン)
★ ★ ★
人間になることを夢見る、第3の目を持つ、幻の種族の少女と、その少女の力により不老不死となった少年の物語。
OVA化されたりゲーム化されたり、10巻くらいまではかなり話に勢いもあったが、後に失速。
ストーリーは2巻まででかなり真相に迫っているが、結局完結したのは40巻。余計なエピソードが多かったように思う。
また、終わり方のハッピーエンドであるが、いまひとつだった。
絵は決して見やすくはないが、好感が持てる。

「666~サタン~」
岸本聖史・全19巻・エニックス(ガンガン)
★ ★
トレジャーハンターの少女と怪物と呼ばれる仕事請負人の少年冒険物語。
ストーリーの大筋は王道的なものだが、演出の仕方がいまひとつ。所々センスを感じる部分はあるものの、画力と演出力が追いついていない。
話は無事完結したが、最後は少し急ぎ足で物足りない感じがしてしまった。

「殺人よこんにちは」
松本洋子・全1巻・講談社(なかよし)
★ ★ ★
父を亡くしたお金持ちの少女が、夏休みに母と友人を伴って別荘に出かけ、殺人事件に巻き込まれていく。
原作が赤川次郎さんなので、骨格や伏線がしっかりしている。ただ、やはり小説1巻分がコミック1冊にも満たない量で処理されているので、急ぎ足な展開が気になる。
また、絵が未完成なために恐怖感は足りない気がする。

「佐藤くんと田中さん」
高河ゆん・既刊2巻(立ち消え?)・一迅社(WARD)
★ ★ ★
人間社会に紛れ込んでいる吸血鬼・佐藤くんと、それを観察する田中さんの話。
2人は特に恋愛関係というわけではないところが面白く、佐藤くんが長く生きている中で意外と惚れっぽかったりするところなど、ちょっと捻った感じがいい。
連載ペースが遅いのがネック。
掲載誌休刊のため連載が立ち消えになり、作者が作者なのでおそらくこのまま続編は出ない。

「里見☆八犬伝」
よしむらなつき・既刊6巻(立ち消え)・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
「南総里見八犬伝」をかなりギャグでアレンジした作品。
ストーリーに無理なところがあるわけではないし、キャラもそれぞれ立っているので、うまく描いていると思う。
既存の小説をアレンジしたものだと好き嫌いが別れるところだが、この作品は誰でもすんなり入り込めると思う。
絵はすっきりとして見やすいのだが、顔の模様で人物の描き分けをしているものがあるので、それを見分けるのが少々大変。
話として仲間が全員揃う直前くらいまで進んだが、掲載誌移動の過程で立ち消え。現在「里見☆八犬伝REBOOT」として最初から仕切り直した作品がある。

「ザ・ドリフトガール」
飯島ゆうすけ・全2巻・エニックス(ガンガン)
★ ★
天才カースタントの父を持つ女の子が、レーサーになって活躍する話。
ちょっと車に詳しくなれる話で、これを読んで私は少しだけ車に興味を持った。
話の途中から全く無視され、最後の方に思い出したように使われているキャラの使い方は、あまりよくない。
絵もそれほどうまくはないし、くずした絵もよくないので、この評価。

「SUN OF A DOLL」
雁えりか・全1巻・光文社(アンソロジーより)
★ ★
PSソフトのペルソナシリーズアンソロジーで作者が執筆したものを集めたコミックス。
まずはシリーズのソフトを全て知っていることが前提で、知らないとわからない話も結構多い。
私は目がゴテゴテしているのが気になってしまうのだが、そうならない人でゲームを全て知っているのであれば、それなりに楽しめる。

「サムライうさぎ」
福島鉄平・全8巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
下級武士の家に生まれた少年は、ささいな事件で父と兄を失って家を継ぐことになった。
そして、先輩の勧めで先輩の妹と結婚した。
少年は妻のために道場を建て、そこで剣術を極めようと努力する。
全編に渡り主人公のモノローグで構成され、それにかなり引き付けられる。
ただ、中盤からバトルものに変化してしまい、そこで人気が伸び悩んだのか、打ち切りに。
序盤の雰囲気が最後まで続いてくれればよかったのだが。

「さよなら絵梨」
藤本タツキ・全1巻・集英社(ジャンプ+)
★ ★ ★
とある中学生の少年がもうすぐ死ぬ母親の日常をスマホで撮影し、編集して上映したものの評判はすこぶる悪かった。しかし、それを見て何かを感じた少女・絵梨が少年の前に現れる。少女に誘われ、2人は様々な映画を一緒に観るようになる。
様々な伏線が張ってあり、カメラに捕らえられていない部分に真実があることがわかるシーンは鳥肌モノ。
ただ、作者独特の世界観があるので、感性が合うかどうかで評価は大きく変わってくると思う。それなりに人を選ぶ。

「清々(さやさや)と」
谷川史子・全4巻・少年画報社(アワーズ)
★ ★ ★ ★ ★
憧れの名門女子高に入学した清。
その学校に関わる様々な人の視点を通して描いたオムニバスストーリー。
雰囲気は「秘密の階段」(ハ行参照)に近く、穏やかな学校生活の中で起こる様々な問題やそれぞれの思いなどが丁寧に描かれている。
癒し系の作品で読後感が非常によい。

「さらさら」
夢路行・全1巻・一迅社(きららセーズ)
★ ★ ★
何となく学校をサボってしまった少女は、ふとしたきっかけで見知らぬ伯母さんの家の片付けを手伝うことになる。
主に高校生の日常を扱った短編集で、作者らしさがよく出ている話が多い。読み終わったあとの読後感はなかなか。
ただ、他に特筆する部分がないのが残念。

「サララ前線北上中」
まつむらやすし・全1巻・エニックス(ガンガン)

物に魂を宿すことのできる少女サララと、サララが街で出会った男の子などと巻き起こすギャグ漫画。
エニックスで初の漫画大賞準大賞受賞者の連載ということで、鳴り物入りでの連載だったのだが、それほどおもしろくもなく、打ち切りになってしまった。
絵はまあまあいいのだが。

「サリシオン」
久保聡美・全6巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
両親の復讐をするため旅をする少年サリシオン。
彼は竜の血が濃いために、竜の戦士として人々にたたえられて誘拐された姫を救うように頼まれるが、サリシオンの心には両親の復讐しかなかった。
久保さんはこの漫画を描くまでずっと江戸時代頃の日本を舞台にした話を描いていたので、剣と魔法の世界で髪がベタ髪ではないキャラたちにはちょっとビックリした。
主人公がかなり弱い設定で、成長を見守れるほど主人公の性格がよくないというのもあり、強く引きつけられるものがなかった。
終わり方は無理に話を終わりにした雰囲気。作者も描きたいことが描ききれなかったという。作者の描きたかったことが全て漫画になっていれば、もっとよい評価だったかもしれない。

「3月のライオン」
羽海野チカ・白泉社(ヤングアニマル)
★ ★ ★ ★ ★
17歳で将棋のプロ棋士として戦う少年。
彼は幼い頃に家族を失い、将棋が強いばかりに新しい家族とも馴染めず、孤独の中にいた。
しかし、偶然出会った3姉妹の家に通うようになり、少しずつ心を開いていく。
「ハチミツとクローバー」(ハ行参照)同様、登場人物たちのモノローグが非常に切なくていいもので、すぐに世界に引き込まれてしまう。
将棋についての考証もしっかりしていてその辺りも安心して読める。

「SANGO」
湖川みさき・全1巻・ラポート(ファンロード)
★ ★
「HI・SU・I翡翠」の続編。
ほとんどの作品が「HISUI」に掲載されている作品の続編なので、「HISUI」を持っていないと話の内容がいまひとつ理解できない。
作者の現在の作風につながる学園ものはわりと面白かった。

「三獣士」
田中加奈子・全2巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
賞金稼ぎとして伝説となっていた三獣士に、人間の骨から不死の薬を作る妖怪を倒すよう依頼してきた少女は、三獣士のボスの死んだ妻と同じ名前だった。
少女に妻の面影を見たボスは、少女の依頼を受けることにする。
モチーフになっているのは西遊記で、登場人物の名前もそこから取られている。
全体的に見て悪くはないのだが、決定的な魅力に欠け、「最遊記(上記参照)」の登場人物と主人公たちの名前が同じことでイメージが被ってキャラに感情移入出来なかった。
西遊記をモチーフにしない方がよかったかもしれない。

「サンドラの壺」
光原伸・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
家庭環境が最悪でイジメに遭っている少女の唯一の楽しみは、骨董屋でのアルバイト。
そこで見つけた願いをかなえるという壺に願掛けをすると、壺から女が出てきて街を破壊し始めてしまう。
表題作ほか4本の短編集で、読み応えのある作品は既に「アウターゾーン」に収録されたことのあるものなので、作者のファンでも無理に買う必要はない。
ただ、作者の上京物語や連載前の話など、本編に関わりのないところは結構面白い。
そのために買うのも、ファンならある意味アリかも。

「SAND LAND」
鳥山明・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
国王軍によって水が支配される中、幻の泉を求めて旅する魔族の王子と老戦士の物語。
1巻できれいにまとまっている作品で、最後まで安心して読める。
謎解きにも説得力があり、文句の付け所がない。
絵も見やすい。

「しあわせインベーダー」
こがわみさき・全1巻・エニックス(ステンシル)
★ ★ ★ ★
どんなことでも人並み以上にこなしてしまうが、どんなことにも飽きっぽかった少女の前に自ら金星人だと名乗る少年が現れる。
タイトル作品の他に3本の読み切りが収録されている。
タイトル作品よりもむしろ同時収録の「ふたりなみだ」がお勧めで、これは少女漫画にありがちな都合のいい話ではなくて面白い。
絵は相変わらずやわらかい雰囲気で読みやすい。

「幸せな時間」
柊あおい・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★
本が好きな女の子が受験を前にして不思議な本の世界に入り込んでしまう。
「耳をすませば」の続編にあたるが、あくまで漫画としての続編なので映画しか知らないと混乱する。
漫画本編を知らないと内容はわかりにくい。
よって評価を下げた。

「C.M.B.」
加藤元浩・全45巻・講談社(月刊マガジン)
★ ★ ★
博物館の館長である少年が、珍しいものと交換にさまざまな事件を解決して行く話。
「Q.E.D.」(カ行参照)と同じ作者の作品で、あちらが数学ならこちらは考古学、といった感じで、推理までのアプローチが違うだけで内容は似ている。
「Q.E.D.」が好きな人なら確実に楽しめる話。
最後はそれなりの結末をもって終了した。

「シークレット」
外海良基・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
卒業旅行中のバス事故でクラスメイトの大半を失い、生き残った6人の生徒。
その6人のために用意されたカウンセラーの先生から、カウンセリング最終日に、この中に人殺しが3人いる、と宣言される。
前作・前々作は閉鎖空間からの脱出がテーマだったが、今回は系統は似ているものの趣向を変えてきた。
様々な事件が入り乱れているので、特定犯人1人ということはないのもいいところ。
前作はとにかく話の進むスピードが遅すぎてイライラしたが、今作は話の進むスピードも悪くない。
伏線の張り方などはよかったのだが、結末は既定路線な感じでいまひとつだったのが残念。

「G戦場ヘヴンズドア」
日本橋ヨヲコ・全3巻・小学館(IKKI)
★ ★ ★ ★
有名漫画家の息子と敏腕編集者の息子が共に漫画家を目指す物語。
漫画界を舞台にしているものの、かなり深い人間性にまで踏み込んでいて読み応えがある。
また、そこかしこで語られるセリフに重みがあり、漫画歴が長い人ほど読んで損はしない作品になっている。
全3巻できれいにまとまっており、終わり方も満足の行くものだった。
絵に癖はあるが、慣れてしまえばそれが味になる。

「ZENO」
西川秀明・全1巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
ZMAN(サ行参照)の番外編と作者の初期作品を集めた短編集。
ZMAN関連の作品は面白いが、初期のギャグ作品はコマ割りが小さくて読みにくく、あまり面白くない。
よってこの評価。
シリアスな作品の方がよい。

「椎名くんのリーズニングファイル」
あさみさとる・全2巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
洞察力、推理力に優れるが、恐がりの男の子が身の回りで起きた事件(主に殺人事件)を解決していく話。
「金田一少年の事件簿」と同様、恨みによる犯行が多かったりするが、代名詞表現が少ないことがいい。
ただし、警察が調べるべきことを調べなかったり警察の推理が単純なことは気にかかる。
絵はまあまあいいし、なにぶん個人的に好きな漫画なので評価はそれほど落とさずに、このようになった。

「Jヲタ男子朝比奈くん」
七海慎吾・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
頭もよくてスポーツも万能な朝比奈くんは、国民的アイドル集団ジョーカーズの熱狂的なファンだった。
それを知らずに告白した少女は、朝比奈くんにジョーカーズファンの同志だと勘違いされ、様々なジョーカーズ知識を叩き込まれる。
作中では名称がぼかされているが、端的に言えばジャニーズファンの男子を描いた話。
ジャニーズファンあるあるがたくさん盛り込まれていて、ジャニーズファンの思考から普段の生活まで、熱狂的なファンはこんな感じ、というのがわかる。
ネタがワンパターン化する前にきれいに終わってくれた。

「GENERATION OF CHAOS Next」
土方悠・全1巻・エニックス(ステンシル)
★ ★
同名タイトルのPSソフトの漫画化作品。
全1巻、というとが示す通り、内容はゲームのプレビュー的なもの。
ものすごく中途半端なところで切れている上、謎も謎のまま残っている。
それでも最低評価でないのは、作者の画力が高く、終わりまでそれなりに読めてしまうから。
ゲームを持っている人がコレクションとして買うなら。

「次回をおたのしみに」
あいざわ遥・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
いつもふざけあっていた男の子と両思いになってつき合いだしたはいいが、女の子はぎこちなくなってしまい本音が言えなくなってしまう。
男女が両思いになるまでの話は腐るほど存在するが、両思いになった時点からスタートする漫画は比較的少なく、印象づけられる作品。
タイトルの通り、各話の最後には「次回をおたのしみに」という言葉が書かれているが、3話目にはなく、それが不満だった。
こういうものは徹底的にやって欲しいと思う。
その点を加味して、この評価に落ち着いた。

「屍姫」
赤人義一・全23巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
若くして殺され、この世に未練を残して死んだ少女。
しかし、未練の強さから生き返った屍たちを108人殺せば天国へ行けるという契約をし、少女は屍たちを殺し続けることになる。
ストーリーの構造は非常に単純で、セーラー服の少女がマシンガンやら銃やらをぶっ放したり、体を切り刻まれたりしながら戦っていくので、その手の話が好きな人なら楽しめるのでは、と思う。
割と序盤でメインキャラの入れ替えがあったり、中盤の屍の王を倒すまでで話が終わるかと思いきや、その後真のラスボスが出てくるのは意外でよかった。

「死がふたりを分かつまで」
DOUBLE-S・全26巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★
何でも切れる刀と盲目でも見える目を持った何でも屋の青年。
その青年のもとに、誰かから逃げる少女が助けを求めてやってきた。
少女は青年に護衛依頼をし、その以来期間を「死がふたりを分かつまで」と指定する。
ある程度科学的根拠を持った世界観の説明などがされるが、それでもとんでも科学設定の話に見えてしまうのが辛い。
絵はなかなか迫力があって、戦闘シーンに引きつけられるところはよい。
綺麗に完結したが、さすがに完結まで26巻は長すぎた。半分くらいがよかったかも。

「シガラミン」
美川べるの・全1巻・講談社(別冊フレンド)
★ ★ ★
あるアパートに引っ越してきた美少女(?)2人。
大家の息子の青年は、この2人にひたすら振り回されることになる。
ツッコミ役の青年がとことんスボラな美女2人にいじられる話で、作者らしいな、という話。
大笑いできるほどのギャグはないものの、所々クスッとくる笑いは多い。
絵に抵抗がなければ、悪くない話。

「時間・空間・人物」
凛野ミキ・全1巻・一迅社
★ ★ ★
様々な異常な愛情を描いたオムニバス短編集。
登場人物が全話共通なので、同じ俳優が別の役を演じている感じで読むといい。
少しややこしいが、話そのものは悪くない。
ハッピーエンドの話はないので、読むのであれば読後感が悪いことを承知で。

「屍鬼」
藤崎竜・全11巻・集英社(ジャンプSQ.)
★ ★ ★
小野不由美さんの原作を藤崎さんが大幅アレンジしている(という話)。
ある小さな村で1ヶ月の間に12人もの人が次々と死んでいく。原因は不明で、亡くなる直前には皆夏風邪のような貧血の症状を持っていた。
話としては面白いのだが、画面が暗く、とにかく読みにくいのがネック。
登場人物も多く、なかなかキャラを把握しきれないのも辛いところ。
もう少しテンポよく読める話であれば……
終わり方は少し含みが残る感じで、大団円とはほど遠いが、悪くはなかった。

「地獄先生ぬ~べ~」
岡野剛・全31巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
日本で唯一の霊能力教師が生徒を守るため妖怪と戦う話。
まあまあ面白いのだが、1話完結が多いのでワンパターンに陥りやすく、都合のいい展開も多い。いつも死にそうな危機に直面しているが、結局は死なないので、命を軽く見てしまうようになるのが欠点。
最終盤で作中内のいろいろな問題を解決させ、きれいに終わった。
終わり方としては満足のいくものだったので、続編はあるもののここで終わりと思っていい。

「地獄のエンジェル」
浦川まさる・全1巻・集英社(りぼん)

天使に会ったことのある記憶を持つ少女が、危なさそうな男の子に出会ってから突然命を狙われ出す。
これほど展開が分かりやすい話も珍しい。
今までの浦川さんの作品よりもずっとつまらなく感じた。
他の作品もそれほど面白いとは感じなかった。
正直なところ「何この話」と思わず言いたくなるような話もある。浦川さんだから買った作品だが、期待はずれだった。
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