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ア行-5 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)


「王様はロバ」
なにわ小吉・全7巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
ショートギャグを集めた話。シリーズ化しているものもいくつかある。
絵はそれほど上手ではないが、話に引き込むギャグの力がある。
3巻から4巻くらいまでの評価はもっと高いが、それ以降は7ページ連載をすべてショートストーリーにしてしまってあまり面白くなくなった。
最初のころの1ページや2ページギャグの方が面白かった。
連載が打ちきりになったのも、最後の方の話を見る限り納得。
終盤は作品よりおまけ漫画の方が面白かった。


「王子様といっしょ!」
谷川史子・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★
幼なじみが10年ぶりに少女のいる街に帰ってきたが、女の子だとばかり思っていた幼なじみは、実は男の子だった。
谷川さんらしい少女漫画ではあるが、極普通の女の子が格好いい男の子に好かれるなど、あまりにも少女漫画の王道を行きすぎている部分が目立ったので評価を下げた。
同時収録作品もそれほど出来のいいものではない。


「オウルナイト」
高津カリノ・ガンガン(スクウェア・エニックス)
★ ★ ★
札幌のすすきのにあるニュークラブ(キャバクラ)で女装して働くことになった青年と、その店にいる個性の強い従業員や客たちの話。
舞台がファミレスからクラブに移って登場人物の平均年齢が上がった「WORKING」(ワ行参照)という感じ。キャラ被りしているようなキャラはいないので、作者の作風が好きなら楽しめる。


「大江戸てやんでい!!」
楠桂・全2巻・集英社(マーガレット)
★ ★ ★
元暗殺者で今は引退して人形師となった青年と、その青年に恋をする女の子のお話。
舞台は江戸時代だが、時代に相応しくないものが数多く登場するので、そこは狙っているとしても減点ポイント。
ストーリーは可もなく不可もなくだが、安心して読める。
絵は安定していて気になる点はない。


「オーベルジュろわぞぶりゅ」
大清水さち・全2巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
ちょっとボケてる女子高生の少女は、道端で売っている怪しい携帯電話をノリで買ってしまう。
その直後、少女は異世界へ飛ばされてしまう。
世界観はそこそこ珍しい部類に入るのだが、キャラの魅力に乏しく、小さくまとまっただけで完結してしまった印象。
絵はすっきりしていて読みやすいが、顔の形が全体的におかしく見える。


「大家さんと僕」
矢部太郎・全2巻・新潮社(小説新潮)
★ ★ ★ ★ ★
芸人・矢部太郎が8年間住んでいた、一階は大家さんの自宅、二階が賃貸という二世帯住宅型一軒家での大家さんとの交流を描いた作品。
年齢が倍以上違う大家さんとの距離感に最初は戸惑いつつ、次第に親密になっていく過程が微笑ましい。
連載中に大家さんが亡くなっているため、大家さんの葬式までが描かれ、作品としてキッチリ完結している。
読んでいると癒されたりホロリときたり、感情が揺さぶられる。


「「大家さんと僕」と僕」
矢部太郎・全1巻・新潮社(描き下ろし)」
★ ★ ★ ★
上記作品の番外編的な作品で、作品に関わる様々な人へのインタビューや裏話などが掲載されている。
作中に登場する先輩の元ネタになっている芸人、陽気な後輩へのインタビューのほか、感動を呼んだ手塚賞授賞式のスピーチ全文など、読み応えがある。
上記作品が好きなら間違いなく買い。
描き下ろしのマンガも面白い。


「All You Need Is Kill」
小畑健・全2巻・集英社(ヤングジャンプ)
★ ★ ★ ★
異星人に襲撃を受ける地球で、死ぬ度に記憶を保持したまま時間をループすることに気付いた青年が、己を鍛えあげて異星人と戦う中でどうにかしてループを抜け出そうとあがく話。
主人公がループに気付いてから終わりに向かって盛り上がっていく流れにはかなり引きつけられる。ヒロインもいい感じ。
原作準拠で終わり方がきれいなハッピーエンドではないのが少し残念。


「拝み屋横丁顛末記」
宮本福助・全27巻・スタジオDNA(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
陰陽師やエクソシストたちなどの風変わりな人たちが多く住んでいる拝み屋横丁。
そこで起こる不思議な事件や、幽霊たちとの生活を描いた物語。
作者がオヤジキャラを非常に上手く描いているので、オヤジ好きな人には一見の価値あり。
また、脇役たちもキャラが濃く、描き方も上手い。
反面、女性が女性らしく見えなかったり、主人公のキャラが薄く見えるところが欠点。
続き物の話もあるが、基本的には1話完結で読みやすい。
絵も安定している。。


「荻の原日記」
夢路行・全1巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
ひょんなことから竜が天に昇る様子を神様と眺めた少女が、竜の鱗を飲んでしまって不思議な力が宿ってしまう。
全編神秘的な絵柄で、柔らかい雰囲気のストーリー。
終わり方があまり納得できなかったので評価を下げた。
この設定でもっと話が続いてもよかったと思う。


「oguna」
中島かずき×唐々煙・全1巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
「takeru」(タ行参照)の外伝。
takeruの主人公の1人であるオグナが仲間と出会うまでの話が描かれている。
本編を知っていた方が内容は理解できるが、知らなくてもわりと読める作り。
ただ、終わり方はそこまでスッキリしていないので、本編を知らないと読後感が悪い。


「お砂糖缶づめ」
あいざわ遥・全2巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
影で正義の味方を演じる生徒会に、ぼんやりしていて鈍感だがめがねをかけると性格の変わる少女が入って学校で起こる事件を解決していく。
ぼけぼけっとした主人公がいい味を出している。
他のメンバーも個性豊かでいい。
あいざわさんの絵だけあって、やはりきれい。
1巻完結のところを2巻に引き延ばしてはいるが、そこまでだらだら続いたという感じはない。
事件の設定もまあまあ。


「オシエシラバス」
高尾じんぐ・全6巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
少女が本屋で格安で手に入れた参考書を開くと、そこから家庭教師の妖精が現れる。
妖精が勉強を教えてくれる代わりに、受験に失敗すると本当に死んでしまうというリスクを負いつつ、少女と妖精の同居生活が始まる。
多少のファンタジー要素はあるものの、基本的には楽しい学園物の話。
家庭教師とその教え子が主人公なので、他の作品と比べると勉強の要素が少し多めな感じ。
絵が安定していて登場人物もかわいいので、気楽に読める作品になっている。
終わり方もなかなかきれいで、スッキリ終わった感じ。
伏線もキッチリ回収されていて、読後感もよかった。


「おじさまと猫」
桜井海・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★ ★
妻に先立たれた元有名ピアニストのおじさまが、ペットショップで売れ残っていた猫を飼う話。
猫を飼い始めたことで、おじさまの生活が少しずつ変わり始める。
序盤は猫とおじさまの交流がメインでギャグエッセイ的な雰囲気だが、次第に人間関係などが広がっていってストーリー漫画になっていく。
ジーンとさせる演出が上手く、特に亡くなった妻の描写がいい。
読んでいると癒される。


「お嬢様と妖怪執事」
藤原ここあ・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
とある旧家のお嬢様は、自宅の屋敷で座敷わらしと出会う。
そしてその座敷わらしは執事になり、彼女に仕えることになる。
表題作を含む4つの読み切りが掲載されており、お勧めは最後に掲載されている「私は」。
全体的にコメディあり、シリアスあり、でいろんなタイプの作品が読める。


「お伽草子」
瀬都ナルミ・全2巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
同名タイトルのTVアニメと連動で連載された作品。
アニメよりも時間軸は少し前で、この作品のラストとアニメの第1話がつながる作りになっている。
アニメを全く知らなくても読める作りになっているが、きっちり完結しているわけではないので、アニメが好きな人が関連グッズとして買う、程度の認識で。
絵はわりと読みやすいが、全体的にキャラの表情が硬い。


「御伽楼館」
天乃咲哉・全2巻・芳文社(キララ)
★ ★ ★
若い女性にのみ人形を無料で貸し出す人形店。
そのお店で人形を借りた少女は、様々な不思議な出来事に遭遇する。
人形にまつわるオムニバス形式の話で、絵が非常に上手いだけあって話に説得力がある。
絵が気に入れば読んで損はしない。


「漢式青春ばくはつ劇場」
美川べるの・全3巻・講談社(e-manga)
★ ★ ★ ★ ★
恋愛雑用部として依頼人の恋愛を成就させる活動をしている高校生たちの物語。
本編の「美川べるのの青春ばくはつ劇場」(ハ行参照)と登場人物は同じだが、こちらは4コマではなく、ショートコミック。
オチがどこで来るか予想できないため、とにかく全編通して笑える。
ギャルゲーのことなどを知っている人はより楽しめる作り。
全3巻で終わってしまったのが残念。
「ストレンジ・プラス」(サ行参照)とノリは同じ。


「乙女ゲー転送、俺がヒロインで救世主!?」
辻本ユウ・全5巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
妹がハマっている乙女ゲームの世界に手違いで転送されてしまった少年は、なぜかゲームの中ではヒロイン役になっており、様々なイケメンキャラに言い寄られてしまう。下手に好感度を上げると個別ルートに入ってしまうため、少年は好感度を上げないように努力しつつ、現実世界へ帰る手段を模索する。
好感度をあえて上げないように努力したり、転生ではなく転送なので現実世界から妹のアドバイスが届くなど、それなりに捻られている設定がいい。
王道なゲーム内のキャラ設定にツッコミを入れつつ進んでいく話もなかなか楽しい。
最後は多少駆け足展開だったものの、ちゃんとゲーム世界から戻って終わっている。その後にまだ続く感じではあったが、ギャグマンガなのでこの終わり方でよかったと思う。


「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった...」
ひだかなみ・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまったものの、ゲームが始まるまでまだ猶予期間のある8歳で前世の記憶を取り戻したため、少女は前世の記憶を頼りに時間をかけて破滅フラグを回避する計画を実行していく。
序盤は前世でのゲームの記憶を頼りに破滅フラグを回避しようと努力する姿が描かれていてよいのだが、中盤以降はその結果主人公が人たらし能力を発揮して全ての人が主人公に惚れている状態が誕生してしまう。そうなると話の方向性がちょっと違うように感じられて、次第に勢いがなくなっていくように感じられるのが残念。
ゲーム本編が終わる辺りまでの話ならいいのだが。


「踊りましょうか」
夢路行・全1巻・一迅社(ぶ~け)
★ ★ ★
「百も承知さ」(ハ行参照)の続編。
彼のいる太めの女の子のもとに、家出した従弟がやってきて女の子を口説き始める。
その他2本の短編が収録されていて、どれもページ数が多いので読み応えがある。
ただし、続編の話が多いので、上記作品を予め読んでおくことをお勧めする。


「踊る三日月夜」
夢路行・全1巻・スタジオDNA(ぶ~け)
★ ★ ★
幽霊が出るという噂のある女子寮周辺。
その事実を確かめるために、新聞部の女の子3人は夜にこっそり幽霊が出るという現場へ向かう。
作者のデビュー作も収録されている短編集で、絵はかなり古いものの、それなりに楽しめる内容。
他の短編もなかなかの出来具合。
作者らしさがよく出ている。


「お従兄さんの引っ越しの片づけが進まない」
吉辺あくろ・全5巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
幼い頃から憧れていた従兄が大学進学を機に同居することになる。
少女なりに従兄にアプローチするものの、思うように思いが伝わらない上に、従兄は少女の弟に女装させて楽しむような変態だった。
相変わらず憎めない変態を描かせたら上手いな、と感じる。ただ、登場人物のほとんどが血縁関係で、いとこ同士は結婚できるとはいえちょっと血が近すぎるのでは……と思ってしまう部分もある。
話は下手に引っ張らずにきれいに終わっている。


「鬼神の棲む家」
渡千枝・全1巻・講談社(フレンド)
★ ★ ★
行方不明になった兄を捜して山奥の奇妙な伝説のある村を訪れた少女の恐怖体験物語。
血が噴き出したり、人が斬りつけられたりする、俗に言う怖いお話。
絵柄もその雰囲気に合っている。
読んでいるといろいろと秘密めいたことに出会えるので先が気にかかって思わず読み進んでしまう。
伏線もちゃんと生かされている。


「鬼切様の箱入娘」
有楽彰展・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
遠い昔に封印された鬼の少女と、その封印を施した青年の子孫である少年。
少年はある日、蔵で少女の封印を解いてしまう。
世間知らずの女の子とそれに振り回される男の子、という典型的な作品。
あまり個性は感じられないものの、他の作品の影響が出まくっていた「東京アンダーグラウンド」(タ行参照)よりかは遥かにましになっている。
終わり方は無難な感じ。
そこまで印象に残る話がなくて残念。
絵が気に入れば読んでもいいのでは、と思う。


「鬼切丸」
楠桂・全20巻・小学館(サンデー増刊)
★ ★ ★
唯一鬼を斬り殺せる刀「鬼切丸」を持つ、純血の同族殺しで名前を持たない、高校生くらいの姿をした鬼の物語。
鬼を全て殺せば名前をもらえると信じて戦う少年だったが、鬼は絶えず人間の邪心から生まれ続けていた。
話は必ずしもハッピーエンドではないし、恐怖感をあおる絵柄も好感が持てる。
ただし、いつも展開が似ているのと(言うなれば水戸黄門)鬼結城の話を引っ張りすぎだという点で、評価を下げた。
途中からはほぼマンネリ化が続いたが、それなりに読めた。
終わり方は悪くはない、といったところ。


「鬼ごっこ」
黒柾志西・全4巻・一迅社(REX)
★ ★ ★
ある日突然「異形の者」に襲われ、自らに「継ぐ者」としての力があることを知った少女。
少女は自らの意思とは反して、戦いに巻き込まれていく。
話はわりと平凡なのだが、絵にかなり引き付けられる作品。
化け物の描き方や表情、傷のつき方など、見ごたえがある。
ただ、ストーリーが中盤から間延びし始め、最後はやや打ち切りのような感じになってしまい、残念。


「鬼姫」
冨樫秀昭・全1巻・一迅社(REX)
★ ★
戦国時代真っ只中、上杉軍の兵として戦場を駆け回り武田軍を苦しめた1人の女性がいた。
その女性が現代にタイムトリップしてしまう。
冨樫義博の実弟というのがクローズアップされてしまっているものの、話としては悪くない出来に仕上がっている。
雑誌掲載時から大幅に加筆修正されており、それなりに面白く読める。
血縁関係を考えずに読んだ方がいい。


「おネコさまが来た」
私屋カヲル・全1巻・小学館(フラワーコミックス)

ある時突然現れて願いを1つだけ叶えてくれるネコの神様「おネコさま」と相棒の犬がいろいろな人の願いを叶えていく物語。
「少年三白眼(サ行参照)」と同じ作者だったので買ったが、つまらなかった。
ギャグが空振りしている感じがする。


「おひさま笑顔」
天野こずえ・全1巻・エニックス(ステンシル)
★ ★
登場人物たちに少しずつ関係がある、全4話の短編集。それぞれ春夏秋冬をテーマにしている。
どの話も出来は悪くないが、特筆出きる部分もない。
全て1つの街や高校を舞台にした現代ものだが、それは絶対にありえないだろう、と思ってしまうフィクション性が強い作品(例えば、真冬のプールで泳いでそのまま歩いて帰る、など)が目立つのは減点。
絵は少女漫画らしさが出ていて可愛い。
作者のファンなら買ってもいいと思える。


谷川史子・全10巻・講談社(Beth・Kiss)
★ ★ ★ ★
独身で恋人がいない、もしくは恋人と離れている、基本的に孤独な女性たちの物語。
16P完結もののオムニバス形式で、作者の得意分野のような感じで楽しく読める。
ハッピーエンドもそうでないものもあるのがよく、どこからでも読める形式なのもいい。
ただ、おひとりさまの女性が主人公という縛りがあるせいか、中盤以降は似たような話であったり、おひとりさまというより普通の恋愛ものだったりする話が増えてしまい、残念。


「お姫様と花と蝶」
あいざわ遥・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★
娘の花嫁姿が見たいという病気の母を安心させるため、少女は今つき合っている男の子と結婚すると家族に言うが、兄から猛反対される。
少女漫画もこれほど現実感がないとあきれてしまうのだが、もう1本収録されている話は共感できる部分があるので、評価をさらに落とすことはやめた。


「おまかせ健さん」
樹原ちさと・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★ ★
しゃべることのできる犬「健さん」をとりまく日常ギャグ漫画。
健さんはくだらないギャグをするが、それはそれで漫画中でシーンとなったりすることでフォローされたりしているので問題なし。
ほれっぽかったり、けんかが強かったり、勘違いしやすい性格の健さんに親しみも持てる。
元は読み切りのみの話だったが、多少の人気があったため、増刊号で短期連載された。
ラストもほぼ納得。


「オムメダイ」
榧世シキ・全2巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★
人々の希望が詰まった夢を集めるブランシュと、絶望が詰まった夢を集めるノワール。
一定の期間内に集めた夢が少ない方から流刑者が出る。
全ては世界を守るため、彼らは夢を集め続ける。
作者らしいと言えばらしいのだが、話は結構わかりにくい。人を選ぶ。
そのせいか、序盤で打ち切りらてしまった。
打ち切りにしては話がまとまっている方だが、それでも中途半端さは大きい。


「お山の竜神さま」
久保聡美・全1巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★ ★
山奥の中で暮らす竜神家族3人の物語。第1話は、久保さんの投稿作品。
その漫画大賞では準大賞になった作品で、投稿作品にしては完成度が高い。
読み切りで何度か登場したのみだが、連載されても一向にかまわないくらいいい話。
ストーリー的矛盾もほぼない。日本的な絵も好感が持てる。


「オリハルコンレイカル」
綱島志朗・全3巻・角川書店(ドラゴンJr.)
★ ★
フィギュア作りにはまる大学生の青年は、とある講師の授業を手伝った報酬としてパテをもらう。
そのパテでフィギュアを作ると、そのフィギュアが動き始めた。
同じように動くフィギュアが他にも出てきたり、作られたフィギュアは作られたばかりのために常識がなかったり、と典型的なストーリーを追っていく形になっているため、個性が見えない。
絵は読みやすいのだが、中身が薄い。
掲載誌休刊に伴って長い休載期間があり、「オリハルコンレイカルDUO」として後に完結したが、そこまで追う気になれず、続編は購入していない。


「オリンポス」
あき・全2巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★
神が作った箱庭に閉じ込められたガニュメデス。
絶対に逃れられない箱庭の中で、神はガニュメデスにわずかな希望をちらつかせてはそれを断ち切ることを楽しみにしていた。
とにかく絵が奇麗な作品で、細かい描写が多いにも拘らず読みにくくない。
話も神話をベースにしていて、引き込まれる。
女性ならかなりの割合で好きになれる作品では。
反面、終わり方は非常に抽象的で好みの分かれるところ。


「オレンジ紅茶」
あいざわ遥・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
男友達の兄のことが好きになったがフラれてしまい、その人と親友が仲良くなっていくのを素直に見られない女の子の話。
今まで作者の作ってきた話とは違い、恋愛だけでなく友情に関しても深く掘り下げているストーリーに好感が持てる。
一時期変になってしまったと感じていた絵も、元のようにきれいになっていた。


「オンエアできない!」
真船佳奈・全1巻・朝日新聞出版
★ ★ ★ ★
テレビ東京の新人ADが、ADの日常について語る半ばエッセイのような作品。
作者が本当にテレビ東京のADだということで、話に物凄くリアリティがある。
予算の少ないテレビ局なので、予算がない中どういう工夫をして番組を作っているのか、という辺りも読み応えがある。
作者が漫画を描くことがほぼ初めてというのもあり、全体的に絵が上手くないのが玉に瑕。


「オンエアできない!Deep」
真船佳奈・全1巻・朝日新聞出版
★ ★ ★
上記作品の続編。
内容的にはADの日常から、ADとして体験した一般的にはあり得ないような話にシフトしている。
絵は小慣れてきて読みやすくなったが、逆に話は悪くないけどそこまで……という感じになってしまった。


「女ともだち」
一条ゆかり・全3巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★ ★
女優の姪として平凡に暮らしていた高2の女の子が、モデルの親友の撮影につきあったことがきっかけになり、最終的に女優になって映画を完成させるまでの話。
私がそれほど好きではない正当派恋愛少女漫画なのだが、読ませてくれる。
作品中で紹介される映画もそれだけで別作品にできそうないい作品。
しかしながら、都合のいい展開と普段は強気の女の子が恋愛になると奥手になるという私が嫌いなパターンが入っているので評価を落とした。


「怨霊伝説」
渡千枝・全1巻・講談社(フレンド)
★ ★ ★
臨死体験をした少女が、その日を境に霊感が強くなり、母親の一族にまつわる暗い伝説と関わることになる。
渡さんの作品では珍しく、1冊全てがこのタイトルの話。
しかも、登場人物の1人が別の作品にも登場するというのも珍しい。
怖い絵柄で恐怖感をあおってくれる。
それほどきつい絵ではないし、読みやすいとも思う。
ただし、財宝伝説の話なのに財宝が見つからなかったり、ストリー的矛盾もあったりしたので評価を落とした。
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ワ行 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「わ!」
小島あきら・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
とある高校での日常を描いた4コマ作品。
誰が誰を好きかが円環状になっているというのが話のメインではあるが、お勧めは「ブレイク」シリーズ。
世の中のちょっとしたことにツッコミを入れたりしていて、面白く読める。
1Pの1本の割合で掲載されているので、サクサク読める。
もっと長く続けることもできたと思うが、3巻できれいに終わった。
終わり方も悪くはない感じだったし、ワンパターンやネタ切れになる前に終わってくれてよかった。

「WORKING!!」
高津カリノ・全13巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
北海道の片隅にあるファミリーレストラン。
そこで働く人たちの日常を綴った4コマ漫画。
キャラたちの個性が強く、わりと面白く読める。
キャラたちの掛け合いも面白い。
序盤の絵はまだ不安定なところがあるが、気にならないレベル。
終盤はかなり登場人物が増えたが、全ての人間関係に決着をつけて終わっているので、読後感はよい。

「WaqWaq」
藤崎竜・全4巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
黒い血を持つ人間と、機械が人を襲う世界。
そこで人を守ることを生業とする防人の少年は、あるとき赤い血を持つ神様と言われる少女と出会う。
作者の持つファンタジーの世界感がいいのだが、設定が平凡で絵もやや読みにくく、話には入りにくい。
さほど長い話ではないので、話そのものを引っ張っていないところには好感。

「WORLDS」
藤崎竜・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
少年が今まで過ごしてきた毎日が実は夢で、少年は夢とは別の世界で暮らしていかなければならなくなる。
藤崎さんの初期作品の短編集なので、絵がまだまだ見にくい。
どれもいい話であるとは思うのだが。

「WORLDEND FAIRYTALE」
箱田真紀・全4巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
失踪した兄を捜してある学園に転校してきた少年は、そこで夢の中に出てきた少女とよく似た少女に出会う。そして、その少女は「ワールドエンド」と呼ばれる場所で謎の敵と戦っていた。
作者なりに個性的なキャラを出しているようだが、全体的にキャラが弱い印象を受ける。キャラが立っていると思えるのは「深海まなか」だけ。
ストーリーは現時点では何の解決もないままで、かなりの序盤と思われる。続編を意識した終わり方になっているが、続編は期待できそうもない。
絵は柔らかい雰囲気があってよい。

「WILD ARMS the 4th Detonator」
CHIHIRO・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)

同名タイトルのPS2ソフトを漫画化した作品。
ほぼ忠実にゲームの内容を漫画化しているが、どうしても絵の不安定さが目に付いてしまう。
なんとかゲームの絵に似せようとしているのはわかるが、全体的にキャラが幼い。
ゲームが好きな人にはちょっと辛いかも。
話もかなり中途半端なところで終わっていて、ゲームで言うところの中盤くらいで打ち切り。
ちなみに、オープニングが変わる前の状態。
ゲームを知っている人も知らない人、読まない方が賢明。

「WILD ADAPTER」
峰倉かずや・既刊7巻・一迅社(Chara)
★ ★ ★ ★
何事にも興味がなさそうで好奇心が強い、そんなつかみ所のない青年が、ある日人を獣化させる新種のドラッグ「W・A」に汚染された青年を拾う。
1巻毎に話が区切られていて、話は非常に面白いが、第一部完のようなところで続きが出ていない。
作者の病気のこともあるので、再開は難しいかも。

「WILD HALF」
浅見裕子・全17巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
言葉を話し、飼い主の情で人型に変身できる犬と飼い主の物語。それなりに面白いとは思うのだが、都合のいい展開が目立つ。
最後の方は物語の謎や中途半端な男女関係を一気に解消させているので、急いで終わらせた雰囲気が残ってよくない。また、コミックス最後の夢オチ部分はない方がよかった。
絵はまあまあ見やすいのでよい。
コミックスのおまけページは面白い。

「わくわくぷよぷよダンジョン」
魔神ぐり子・全3巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
同名タイトルのゲームソフトを漫画化した作品。
ゲームを知らなくても楽しく読めるし、笑えるポイントも多い。妄想が暴走するところや、漫才のように掛け合いがあるところがいい。
絵もシリアスとギャグを上手く描き分けている。
ただ、全体的に画面がうるさいので、面白いながらも読んでいて疲れるところがある。
また、作者急病のためとんでもないところで話が切れており、何の解決もないまま終わっている。
買うのであればそれなりの覚悟を。

「忘れられない」
谷川史子・全1巻・集英社(コーラス)
★ ★ ★
1年の内1日だけ1人でどこかへ出かけていく母。
その母が今年は家に帰ってこなかった。父は心配するなというが、不安になった女性は母を探しに出かける。
その他3本の短編が収録されており、やや悲恋物が多い。
その分、結末が都合のいい感じがしなく、面白く読めた。

「わたしが消えた!」
渡千枝・全1巻・講談社(フレンド)
★ ★ ★ ★
高校受験に不安を抱いていた少女が、受験当日にバスの事故に巻き込まれたことで現実世界とよく似た自分の存在しない別世界へ迷い込んでしまう。
これぞホラー漫画のお手本、というのが表題作。
他にも質のいい作品が集まっている。

「私たちの幸せな時間」
佐原ミズ・全1巻・新潮社(コミックバンチ)
★ ★ ★ ★
無差別殺人で死刑囚となった青年と自殺未遂を繰り返す元ピアニストの心の交流を描いた作品。
内面の掘り下げがすばらしい作品で、読み進むごとに引きつけられる。
結末は大体予想できてしまうのだが、それでも吸引力はかなりのもので、最後は胸が締め付けられる。

「私のおウチはHON屋さん」
横山知生・全8巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
実家がエロ本専門店だという小学5年生の女の子の物語。
ありそうでなかった町の小さなエロ本専門店を扱った話で、切り口がなかなか面白い。
ややツッコミ所はあるものの、割と面白く読める。
珍しい設定の話を求めている人にお勧め。
最後も割と話がきれいにまとまっており、マンネリ化する前に話を終わらせたのはよかった。

「私のカエル様」
川島雄輝・全2巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
ロボットが狂暴化して人を廃絶しようとしている世界での、剣を持つと性格の変わるカエルロボットの物語。
童話的雰囲気のある絵でストーリーもまあまあよいのだが、謎を残して中途半端に終わっている。
打ち切り作品の悲しいところ。

「わたしの狼さん。」
藤原ここあ・全1巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★
自称勇者の少女と、その少女が好きな魔王の物語。
設定がやや狙った感じはするものの、話は悪くない。ただ、少女と魔王の出会いが描かれなかったのでいきなり少女にベタ惚れしている魔王に違和感があった。
絵は全体的に人物の線が細いが、すっきりとしていて見やすい。
この作品の完結編という位置付けでもある「Dear」(タ行参照)は必見。

「わたしの狼さん。 THE  OTHER SIDE OF LYCANTHROPE」
藤原ここあ・全1巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★
上記作品の続編で、主人公が入れ替わった作品。魔王の片腕的な存在の少女が主人公。
前作とはまた別の部分で狙ったところを感じた作品ではあったが、着実にレベルアップしていることも感じられ、前作より評価はやや高め。
前作を知っている人限定の作品であるため、この作品だけを購入するのはお勧めできない。

「わたしの幸せな結婚」
高坂りと・スクウェア・エニックス(ガンガンONLINE)
★ ★ ★ ★
政略結婚の末に生まれた少女は、母親が死んで後妻がやって来てその娘が誕生すると、家庭内で虐待されて使用人以下の生活を強いられる。厄介払いとして父親に勝手に結婚が決められてしまうが、嫁ぎ先でひた向きに暮らしていると、次第に大切に扱われるようになっていく。
主人公の自己肯定感の低さにイライラしてしまう部分はあるが、主人公が幸せを手に入れ、いじめていた人たちが落ちていく姿を見るのは、単純に読んでいてスカッとする。
絵もいい感じに儚げなので、話の雰囲気と合っていてよい。

「わたしの好きなひと」
CLAMP・全1巻・角川書店(ロゼ)
★ ★
大人の女性の恋愛模様をオムニバス描いてあり、その後にCLAMPメンバーの大川さんのエッセイが収録されている作品集。
絵は猫井さんの作画で文句ないのだが、話の内容が少女漫画過ぎていてあまり合わなかった。

「私の救世主(メシア)さま」
水無月すう・全13巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
内気な少年の元に1人の少女が現れ、少年のことを自分たちの救世主だと告げ、1冊の本を手渡す。
少年はその本を携え、異世界へと旅立っていく。
序盤は学園恋愛ものかと思ったのだが、実際は異世界ファンタジー。
序盤はあまり好きになれなかったが、ファンタジー色が強くなったところでなかなかいいと思えてきた。
絵は少女漫画チックだが読みやすく、化け物がちゃんと描けているところに好感。
主人公側がかなり弱く見えるのと、中盤以降は味方がずっと満身創痍なのが気になった。

「ワルサースルー」
たかなし霧香・全2巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
世界征服を狙い、日々悪行にせいを出す組織のギャグ漫画。
面白い話とそうでもない話の差が大きいが、笑えるところは本当に声に出して笑ってしまう。
リアクションの大きい絵も、笑える要素のひとつ。
全編通してなかなか面白かったが、終わり方はギャグマンガの基本で、評価を上げるまでにはならなかった。

「湾岸二課」
藤川祐華・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★
火災によって今は廃墟となった湾岸地区。そこは犯罪の温床でもあり、謎のウィルス感染者が集められ処理される場所でもあった。
その処理を担当する湾岸二課に1人の少年が配属される。
アクションシーンはそこそこ描けているものの、キャラも含めて設定がどこかで見たことあるものばかりで、いまひとつ個性が感じられない作品。
湾岸二課のメンバーが10代ばかりとか、敵も同じくらいという設定など、説得力のない設定が多いのも気になる。
最後は打ち切りで、一応まとめているものの、少し辛い。

「ワンダフルワールド」
たかなし霧香・全4巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
中学、高校などを舞台にしたギャグ4コマ。
ギャグのテンポがよく、オチがよく効いている作品が多くて、序盤はなかなかの出来。
しかし、回が進むごとにマンネリ化が激しく、最後は初期の頃ほど楽しめなかった。
絵はまだ未熟なところがあるが、ギャグ4コマなのであまり気にならない。

「わんぱぐ!」
樒屋涼・全2巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★
生後間もないパグを飼うことになった少女は、何も知らない状態から少しずつパグのことを学び、パグと生活する楽しさを日々満喫する。
作者がパグを飼っているということもあって、話にリアリティがあってよい。
それでいて動物エッセイとは違い、あくまでフィクションの世界の話なので、主人公が親バカでも気にならない。
絵もかわいらしくてよい。
話としてもっと続いてもよかったのだが、途中で終わってしまって残念。
そこまで打ち切りっぽい終わり方ではなかったが。

「ONE PIECE」
尾田栄一郎・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
海賊王を目指すカナヅチの少年と仲間たちの物語。
第1回目が感動できる。その勢いでそれ以後も楽しんで読むことができる。
中盤以降は絵の描き込みが激しくなりちょっと読みにくくなってしまうが、全編通して話の骨格がきちんとしていて伏線が豊富に張られ、しっかり回収されるところなど、読み応えがある。
絵柄はデフォルメが多いが、すっきりとしていて見やすい。

「ONE PIECE エピソード エース」
Boichi・全2巻・集英社(ワンピースマガジン)
★ ★ ★ ★
「ONE PIECE」(上記参照)の登場人物・エースのスピンオフ作品。
1人で海に出た後、白ひげの部下になるまでの過程が描かれている。
絵と話に「ONE PIECE」に対する並々ならぬ情熱が感じられる作品で、全編通して熱い。
本編を補完する内容になっているので、「ONE PIECE」が好きなら読んで損はしない。

「んぐるわ会報」
高尾じんぐ・全4巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
とある学校の生徒会メンバーの日常を描いた作品。
生徒会メンバーにはそれぞれ個性があり、なかなかおもしろく読める。
特にやる気のなさそうな会長と、いじられ役の松戸がいいキャラをしている。
人気があったためか会長を1年留年させる形で連載は続いたが、その後無事卒業の段階できれいに話は終わった。
終わるべき時に終わった良作。
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サ行-3 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)

「ショーウインドウのエミリー」
桜野みねね・全1巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
機械仕掛けで動く人形がスイッチを切っても止まらなくなり、その原因は人形が向かいの道路にある工事用の人形に恋をしたからだった。
桜野さんの初期作品集だが、絵が未熟だということはなく、ストーリーもまあまあ。
ただ、「まもって守護月天!(マ行参照)」の外伝があるので、これは本編を知らないと少々わかりにくい。

「常習盗賊改め方ひなぎく見参!」
桜野みねね・全3巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★ ★
代々続く盗賊の家系に生まれた少年・夢幻斎(剣)と、それを捕まえることを使命とする少女・雛菊の話。
桜野さんには珍しいアクションシーンなどが多く、「まもって守護月天!(マ行参照)」とはまた違った雰囲気を楽しむのにいいかもしれない。
2巻まではストーリーがあまりパッとしなかったが、3巻の謎解き部分はよかったので評価を上げた。
絵は安定していてよい。
気になるのは、極近い位置で雛菊と夢幻斎がお互い顔を合わせているのに、雛菊が剣だと気付かないこと。
コミックスでは作者もそのことに触れていて、気が付かないのはお約束だからということらしいが、それでもやはり不自然過ぎる。

「少女ファイト」
日本橋ヨヲコ・講談社(イブニング)
★ ★ ★ ★ ★
小学校時代に全国準優勝チームのキャプテンだった少女は、バレーの名門中学に進学するものの、そこではずっと自分を隠して補欠のままでいた。そして、同じ高校に行こうと約束したチームメイトは揃って別の高校へ進学してしまい、少女は絶望の淵に立たされる。
しっかりとバレーボールが描かれている作品で、経験者でも安心して読める。
作者らしく人物の掘り下げもしっかりしていて、ストーリーにも都合のよさがない。
かなり引き込まれるよい作品。ストーリーの進みが遅いのが唯一の欠点。
絵の癖もあまり感じられないのでよい。

「少年AR」
東山和子・全1巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★
世界のどこかにあるミスカトニック図書館。そこには地球上の歴史と叡智が集められている。
そこの司書である少年は、貸し出されたまま返却されていない本を回収していた。
絵はきれいなのだが、いかんせん話がわかりにくいのが難点。固有名詞は多いし、登場人物も多く、作者の頭の中だけで話が展開しているように見えるところも多い。
絵がいいだけに、もう少しわかりやすければ、と思ってしまう。

「少年三白眼」
私屋カヲル・全1巻・小学館(フラワーコミックス)
★ ★ ★
三白眼なために目つきが悪く、友達ができないために42回も転校した少年が、今度こそ友達を作ろうと努力する。
文句なく正直に笑える面白い話。
ギャグで引っ張っていってくれて、どんどん読み進められる。
ただ、この時点では絵が初期作品のため未完成なので、やや見にくい部分もある。
同時収録の短編はそれほど面白くないので、評価は低め。

「少年たちのいた夏」
北条司・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
戦時中の話を短編3本で紹介した短編集。
タイトルになっている話よりも、最初に収録されている「蒼空の果て……」の方が数段面白い。この話のみならば、評価5をつけてもいいくらい。
少年飛行士が特攻隊として敵艦に突撃するまでの話で、絵がきれいな上に戦争の悲しさがわかる。

「少年探偵 犬神ゲル」
ゴツボ☆マサル・全6巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★
文武両道・極悪非道の13歳にして探偵事務所の所長・犬神ゲル。
その事務所に売られた少女は、秘書の老人と共にゲルをサポートしながら、様々な事件を解決していく。
少々絵が読みにくいが、テンポよく読める。
キャラも結構立っているので見分けがつけやすく、話にも入りやすい。
4巻で連載一時中断後、奇跡の復活をするも、6巻で終わってしまった。
最終回らしい最終回はないという感じだが、打ち切りには見えないので、こういう終わりもアリか。

「少年探偵彼方ぼくらの推理ノート」
井上いろは・全2巻・エニックス(ギャグ王)
★ ★ ★ ★
小学生の頭のいい男の子が身の回りで起こる事件(窃盗などで、殺人事件はほとんどない)を仲間と共に解決していく話。
1話限りの簡単な事件を扱っていて、巻末に完結編が描かれている。
犯人もいつも3人に絞られて、その中から推理する。伏線もしっかりと描かれていて、じっくりと読めば犯人を必ず断定できる。
やや子供向けではあるが、ポンポン人を殺していく普通の推理漫画よりもずっといい。
絵も見やすくていい。

「少年探偵Q」
しんがぎん・全2巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
探偵もののテレビドラマに主演している少年が、現実世界でもたぐいまれな推理力を発揮して事件を解決していく話。
ストーリー、絵柄供に悪くはないと思うのだが、主人公以外のキャラが弱く、1つの事件に登場する人物が多いため、読み進んでいくうちにどんなキャラだったのか忘れてしまう。
絵が上手なだけにもったいない作品。

「少年羽狩人」
喜久田ゆい・全4巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★
妖精の羽を手に入れると幸せになる、という伝説のせいで妖精は狩人に狙われていた。
逆に、妖精を守ろうとする保護協会も力を付けている。
妖精でありながら妖精狩人である少年と保護協会の青年が共に旅をする物語。
どうにもこうにもBLっぽいのを狙っているな、と感じる作品。
妖精でありながら妖精狩人である、という設定はいいのだが、それ以外の設定はありきたりであまり個性が感じられない。
話はこの話のキーとなるイーアの物語としては完結しているが、それ以外は中途半端な部分が多い。
全て描かれていれば、というのが残念。
絵はきれい。

「女王騎士物語」
下村トモヒロ・全12巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)

女王を守る者として国民から選抜される女王騎士。
その女王騎士を目指す少年の物語。
とにかく典型的な王道作品で、今はもうこういった作品を描く人もいない、と思うくらいの王道。
つまりは、展開が丸読みできる。
もう少し捻りがあればいいのだが。
絵は不安定ながらも、読みにくくはない。
終わり方は完全な打ち切り仕様で、最終回だけでコミックス5巻分くらいはあるかという詰め込み具合。
序盤が長すぎた。
なお、コミックス最終巻のカバー裏に物語の結末までが描かれているので、結末がわからないままということはなかった。

「食戟のソーマ」
佐伯俊・全36巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
定食屋の息子の少年は、父親からの命令で名門料理学校へ編入することになる。
卒業できるのは全体の10%以下という過酷な条件の中で、少年は仲間と共に腕を上げていく。
序盤は実食シーンのエロ表現に目が行ってしまうが、話が進むに連れてエロよりもしっかりした料理漫画であることがわかってくる。
絵もかなり上手いので、料理も普通においしそうに見える。
進級前までで終わればもっとよかったのだが、進級後の話にはやや蛇足感があり、少しダラダラ続いてしまった印象。

「食戟のサンジ」
附田祐斗・佐伯俊・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
「ONE PIECE」(ワ行参照)の登場人物・サンジのシェフ生活を「食戟のソーマ」を描いたコンビが作品化したスピンオフ。
話のノリは「食戟のソーマ」そのものなので、「食戟のソーマ」が好きなら間違いなく楽しめる。
絵は抜群に上手いので、違ったタッチの「ONE PIECE」を読みたいという人にも合う。

「ショショリカ」
上杉匠・全10巻・スクウェアエニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
専攻に関係なく、総合試験の上位10名だけが入れる食品処理特殊科・通称ショショリカにトップの成績で編入した少年。彼は智者の舌を持ち、食べるだけであらゆる食材の情報を引き出せるが、拒食症で潔癖症だった。
シリアスとギャグが半々くらいの作品だが、よく後半に使われる恥ずかしいくらいの歌詞で結構笑える。
その他のギャグもわりと弾けているし、シリアスもなかなか。
しかし、回によっては印象が薄くなるなど、波が激しい。

「白井カイウ×出水ぽすか短編集」
白井カイウ×出水ポスカ・全1巻・集英社(ジャンプ等)
★ ★ ★
「約束のネバーランド」(ヤ行参照)コンビによる短編集。
シリアスなものからコメディタッチのものまで幅広くあるが、「約束のネバーランド」のクオリティを求めてしまうと、どうしても劣っていると感じてしまう。
むしろ、「約束のネバーランド」の後日談が掲載されているので、そのためのコミックスと言ってもいい。

「白石君の動級生」
チノク・既刊2巻(立ち消え)・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
引っ込み思案で人とうまくコミュニケーションが取れない少年は、高校入学時の手違いで人間に変身することのできる動物たちが通うクラスに振り分けられてしまう。
クラスメイトと触れ合ううち、少年は次第に心を開いていく。
設定はそこまで珍しいものではないのだが、序盤から作者が話を描きにくそうにしているな、という印象があった。それがどうも正解だったようで、2巻は何とか発売されたが、以降は描けなくなってしまったようで、連載は立ち消えてしまった。
前作よりも絵が安定して、イケメンがキッチリイケメンに描けていたので期待していただけに、残念。


「白砂村」
今井神・全10巻・一迅社(REX)
★ ★ ★ ★
怨霊を狩る能力を持つ探偵の青年。
その青年の下にある日眼球が送られてくる。
青年は差出主の住所・白砂村を目指す。
当初は退魔師ものの作品としては、構図や描写がなかなかよいものの普通の作品かと思っていたが、タイトルの意味が出てきてからは俄然面白くなってくる。
ところどころにあるギャグもわりとよく、それなりに楽しめる作品になっている。
途中で殺人事件を解決するなど回り道もあったが、きれいに完結した。
伏線が割と張られていたものの、わかりにくいものが多かったのが少し残念。

「白鳥麗子でございます!」
鈴木由美子・全7巻・講談社(ミミ)
★ ★ ★
とにかくプライドが高く、美人で独りよがりなお嬢様が好きな人に会うために上京する。
2巻まではストレートな恋愛漫画で少し敬遠してしまったが、それ以降はとても笑えるラブコメになって好きになった。絵はまあまあ見やすい。
ただ、枠外やコマの隅にある作者のツッコミの書き文字が多すぎるのが気になった。作中に活かせばいいのに、と思ってしまう。

「白波の幻想(イリュージョン)」
小花美穂・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
海の家にアルバイトに来た男の子が、岸壁の上で泣く女の子を見つけ、その子に恋をする。
海岸から岸壁を見上げるシーンがあるがその距離から泣いている様子が見えるのか?、海の中で泣くシーンがあるが海水と混ざって涙は見えないのではないか?、などいろいろ気になるところがあるものの、話そのものは悪くない。
初期作品のため目がゴテゴテしていて見にくいのが残念。

「白姫抄」
CLAMP・全1巻・光文社(プリティ)
★ ★ ★
雪は白姫の流す涙だという伝説をもとに、江戸時代の頃の雪国を舞台とした3話+序・終のオムニバス作品。
どれも悲しい話で、読み終わった後は何となく暗い気持ちになる。
絵はきれいだが、墨で描かれているので、やや見にくい。

「シリウスの痕」
高田慎一郎・全4巻・角川書店(少年エース)
★ ★ ★
弟を助けるお金のために自ら意思を持たない戦士となった少女。
しかし、戦いの中で少女は自我を取り戻し、弟と共に戦場から逃走する。
この作品の大元はGファンタジーに掲載された「トレーズ」というコミック未収録の読み切りで、連載開始直後はこの作品がすごく好きだった。
しかし、中盤から妖精が登場するなど話があらぬ方向へそれていき、最後は都合よくまとめた形になってしまっていたので評価を下げた。
読み切りだけの方がよかった。

「私立荒磯高等学校生徒会執行部」
峰倉かずや・全2巻・徳間書店(キャラ)
★ ★ ★
校内で絶対権力を持つ生徒会執行部のメンバーが、校内の問題を解決していく話。
作者らしいキャラが多く登場していて、問題を解決していく過程は読んでいてスッキリする。
しかしながら、全体的にレベルは高いものの、これといった部分もないのでこの評価。
終盤には少し重大な問題をもってきているが、舞台が学校だけにスケールが小さく感じてしまったのが残念。
初期短編の絵にはやや顔のバランスに違和感がある。

「私立彩陵高校超能力部」
石田あきら・全7巻・一迅社(REX)
★ ★ ★
世界の何割かの人が超能力を持っていて、それが社会的にも認められている世界。
廃部寸前に追い込まれた超能力部の部員たちは、新たな部員探しに奔走しつつ、学校の様々な問題に巻き込まれていっていた。
超能力が使える、という以外ではごくごく普通の学園コメディ。
これといった特徴もないが、キャラもそれなりに立っていて、安定して読める。
終わり方がやや中途半端だったのが残念。
無理やり終わらせた印象もある。

「私立聖カトレア幼稚園」
藪京介・全1巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★
とある幼稚園での個性的な園児たちの日常を描いた4コママンガ。
声に出して笑える面白さではなく、じんわり来る面白さと、ショートストーリーで癒される感じがよい作品。
4コマよりもショートストーリーがお勧め。
絵はすっきりしていて読みやすい。

「私立聖カトレア小学校」
藪京介・全2巻・マッグガーデン(コミックブレイド)
★ ★ ★
上記作品の続編で、舞台が小学校になっている。
主人公が入れ替わっていたり、そもそも保父さんが小学校の先生になれるのか、などなどツッコミどころはあるが、それを考えなければわりと楽しめる。
キャラの個性にも磨きがかかっているし、4コマからちゃんとしたストーリー仕立てになったので読みやすくなっている。
話もマンネリになる前に終わって、まずまずの作品に仕上がったように思う。

「死霊の贈りもの」
渡千枝・全1巻・講談社(フレンド)
★ ★ ★ ★
才能に限界を感じていたギタリストが、伝説のギタリストのギターをゴミ捨て場で見つけて以来、グループはヒットを飛ばすが、そのギターには悪霊がとりついていた。
全部で3話の短編集だが、どれも出来がいいので評価は高め。
特に2話目の「二人だけのイエスタデイ」がいい。

「死霊の花嫁」
渡千枝・全1巻・講談社(フレンド)
★ ★ ★
有名な人形作家の作品を集める父が、ある1つの人形を手に入れて以来、その娘は死霊にとりつかれてしまう。
全3話収録の短編集で、どの作品も可もなく不可もなくといった感じだが、3話目は最後のどんでん返しにまんまと引っかかってしまった。

「しろがねの王」
碧門たかね・全1巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
白い狼によって王が選ばれる国。
そこを訪れた青年は、偶然街で出会った王を助けたことが縁で、王の護衛をすることになる。
作者がこの設定で話が描きたかった、というのがものすごく伝わってくる作品。
作者が楽しんで描いているのがわかる。
それはそれでよいのだが、いかんせん1巻で終わらせるために展開が無理矢理つながっている感じがするのは少々辛い。仕方ないことなのだが。
BLの香りも若干ある。

「しろがねの王-Fenrir Craft-」
碧門たかね・全2巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
上記作品の続編。
前作では詰め切らなかった設定も、長期連載となってかなり細かく入ってきている。
そのため話に説得力が出てきて、BLとかその辺りをあまり気にせず読めるようになった。
が、伏線を張りまくったところで打ち切りとなり、あまり話が収集しない状態で終わってしまい、残念。

「白のテンペスト」
斉藤カズサ・全4巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★ ★
主人公の少女は公国の第一公女として生まれながら、滅びの子として疎まれ国を追われる。
最初の方は表情が張り付いて見えるが、2巻を越えるとかなりよくなる。
終盤の謎解きがなかなかのもので、主人公の母親との似せ方が上手い。

「罪喰人(シン・イーター)」
川添真理子・全1巻・新書館(WINGS)
★ ★ ★
許されぬと罪を犯したと神に裁かれた人間に刻まれる「茨」の刻印。
その刻印を持った少年が少女の住む村ににやってきて、村の宝であるライカを盗もうとする。
しかし、少女はその少年が罪人のようには見えなかった。
話が若干わかりにくかったり、やや強引な展開があったり、と気になるところはあるものの、ストーリー全体はわりとよかった。
絵は安定しているので読みやすかった。

「ジンキ」
綱島志朗・全4巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★ ★
祖母の遺産を相続した少女は、ある日突然自分を捨てた母親のいるベネズエラに連れていかれた。
そして、そこで少女の母親は人型の巨大ロボットを開発していた。
読み始めたときは、主人公の女の子が操縦士になるのではなくメカニック関係のことをやると思って、珍しくていい、と思ったのだが、結局操縦の方にまわってしまって残念だった。
しかし、回を重ねるごとによくなっていって、3巻以降はかなり楽しめる内容となっている。
なお、この時点では話として終わっていなく、「ジンキ-真説-FINAL EPISODE」で完結する。

「ジンキ エクステンド」
綱島志朗・全9巻・マッグガーデン(ブレイド)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編で、前作の数年後の話となっている。
主人公が入れ替わり、登場人物は一部前作と共通している。
ロボットものの作品として楽しめるのだが、とにかくサービスシーンが多いことが気にかかる。必要以上に入っているので、話に集中できなくなることが残念。
なお、作者が出版社と決別したため未完。

「ジンキ-真説-FINAL EPISODE」
綱島志朗・全1巻・メディアワークス(電撃)
★ ★ ★
上記作品の続編だが、作者がマッグガーデンと決別したことにより、主人公の1人である津崎青葉の話のみここで完結している。
エクステンドはまた別で続いている。
ひとまず、今まで作品を追っていた人は読んでおいた方が後味がいい。

「ジンキ エクステンド~リレイション~」
綱島志朗・既刊5巻・富士見書房(ドラゴンコミックス)
★ ★ ★
上記作品の続編。
エクステンドとしての話が再スタートしているので、主人公は新しく少年が登場している。
第一部完として話のキリがいいところまで話は進んでいるが、終わってはいない。
この後に別のジンキシリーズが出版されているが、追うのが怖くて追っていない。

「JINX」
冬季ねあ・全1巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
他人に自分が負った傷を押しつけてしまう、という呪いを持った少年。
その少年が呪いを浄化するために浄化能力を持つ巫女のもとを訪れる。
作者初のオリジナルで読み始める前までは不安があったのだが、きれいに1巻で完結していて短期集中連載作品としてはなかなかの良作。
ただし、キャラデザが前作の「ファイアーエムブレム 光を継ぐもの」(ハ行参照)と被っているものがおおいこと、ヒロインが主人公を好きになった理由にいまひとつ納得できなかったことがあって評価はここに落ち着いた。

「CYNTHIA THE MISSION」
高遠るい・全9巻・スタジオDNA(WARD)
★ ★ ★ ★
香港マフィアの殺し屋、多重人格、華道の家元で喧嘩番長、という個性の強い3人の少女たちの物語。
少々グロい描写のある作品だが、テンポよくスピード感ある戦闘シーンと個性の強いキャラたちが楽しませてくれる。
絵は少々不安定なところもあるが、読みにくくはない。
終盤に近づくに連れ、エセ科学っぽいようなかなり無茶な設定が出てくるのが微妙ではあるが、その設定が崩壊する前に終わってくれてホッとした。
とりあえず、第一部完とのことだが、続編は出ていない。

「新感覚癒し系魔法少女ベホイミちゃん」
氷川へきる・全2巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
「ぱにぽに」(ハ行参照)からのスピンオフ作品。
「ぱにぽに」自体を読んでいなくとも読める作品ではあるが、知っているとリンクしている部分が楽しめたりもする。
こちらはショートストーリーが中心になっているので、比較的読みやすい。
最終回らしい最終回は描かれていなく、実質立ち消えのような形で終わってしまった。

「新・心の星に輝きを」
松葉博・全2巻・マッグガーデン(コミックBeat’s)
★ ★ ★
国司であった父を失い、事故死した兄に代わり家を継ぐことになった澪だったが、澪は実は女の子だった。
「心の星に輝きを」(カ行参照)の続編で、前作の子供たちが出てくるが、澪は特に前作の登場人物たちと血縁はない。
平安時代でも女の子が男装して働く話は「ざ・ちぇんじ」などの前例があるので特に違和感はなく、作者も当時の風俗や政治についてよく調べているな、というのがわかる話になっている。
それでも一夫多妻制よりも一夫一婦制の雰囲気があったりと、やや違和感も残る。
平安時代が好きな人というより、前作が好きな人向け。
序盤は長編を前提とした話に見えたが、2巻途中で一気に話が終わりに向かってしまった。
話としてのまとまりはよかったが。

「新・春香伝」
CLAMP・全1巻・白泉社(セリエミステリー)
★ ★ ★
朝鮮に伝わる貞女の鏡として有名な、春香の物語をCLAMPさんなりにアレンジした話。
最初の方は墨で描かれているので、やはりやや見にくい。1話1話を見るととてもよくできていていいのだが、1巻完結のわりには多くの謎を残して終わっているので、その点が減点。
また「これで終わりなの?」とも思えてしまう。

「新・少年三白眼」
私屋カヲル・全1巻・小学館(フラワーコミックス)
★ ★ ★ ★
「少年三白眼」の完結編。絵もだいぶ見やすくなり、ギャグも絶好調。
友達のできてしまった少年だが、そのネタがなくても十分笑わせてくれる。
卒業式が最終回になっており、終わり方もまあまあ納得できる。
途中に1話、それほど面白くない話があったので、評価を下げた。

「新・白鳥麗子でございます!」
鈴木由美子・全5巻・講談社(キス)
★ ★ ★ ★
「白鳥麗子でございます!」の続編。
ここまで来ると、全ての話がラブコメまたはギャグになっている。
とても面白いのだが、やはり描き文字の作者ツッコミが多いこと、前作のラストが全く無視されてスタートしていること、性格がガラッと変わっているキャラがいること、の点で評価を下げた。
最終回らしい最終回はなく、作者が描かなくなって続きが出なくなった感じ。

「新世紀エヴァンゲリオン」
貞本義行・全14巻・角川書店(エース)
★ ★ ★ ★ ★
14歳の少年少女が人型兵器に乗って謎の敵と戦う話。
テレビアニメ版と旧劇場版がベースになっているが、どちらとも違う結末になっている。少なくとも旧劇場版よりは納得できる結末になっている。
展開もテレビアニメ版とは所々違っており、それを見比べるのも楽しい。
最終話では主人公の両親の大学時代が描かれ、新劇場版の登場人物も出てきているのはうれしいところ。

「新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド2nd」
林ふみの・全6巻・角川書店(ASUKA)
★ ★ ★
同名タイトルのPCソフトを漫画化した作品。
ゲームの方は散々な評判で、作画が林さんでなかったら絶対に買っていない作品ではあるが、読んでみると案外漫画の方はまだ読める、という印象。
謎の振り方も悪くないので、パラレルワールドの話として普通に楽しめる。
最終的には、よくこれだけの話に出来たな、と感心してしまった。
絵も悪くない。

「新撰組異聞 PEACE MAKER」
黒乃奈々絵・全6巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
新撰組に入隊して小姓となった少年の物語。
主人公の少年は少年漫画によくあるタイプで最初は好きになれなかったが、次第に時代のことを理解して成長していく姿に好感を持てるようになった。
絵は少女漫画に近い雰囲気があるが、残酷なシーンもちゃんと見せてくれるし、カラーもきれいなのでよい。
池田谷事変までが描かれ、以降は「PEACE MAKER 鐵」(ハ行参照)で描かれている。

「新体操舞技」
宍戸道子・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
憧れの新体操部の女の子に気に入られようと、不良少年は男子新体操を始める。
男子新体操の世界をうまく漫画化していて、ちゃんと下調べもしている、というのがわかったのがよかった。
話の展開は結構ありがちだったのだが、男子新体操の描写もよく、もっと連載が続いてもよかったと思えるくらい。
将来性も感じられた。

「新テニスの王子様」
許斐剛・集英社(ジャンプSQ)
★ ★ ★
「テニスの王子様」の続編で、高校全国代表合宿に前作の50人が呼ばれるところから話は始まる。
基本的に前作を知っている人が前提で描かれており、序盤から大量のキャラが登場する。
前作の超人テニスはそのまま引き継がれているので、それが好きな人になら。
最終的に世界選手権の話に向かって行く。

「神八剣伝」
酒井さゆり・全2巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★
テレビアニメと連動して連載がスタートした作品。テレビアニメが原作といタイプで、ストーリーは「里見八犬伝」をモチーフにしている。
ストーリーは悪くはないし、絵も上手い。
しかし、決定的な魅力がないので作品自体を面白いと思えない。
終わり方がしっかりしていればもっと評価も上げたのだが、中途半端に途切れているのでそのままの評価とした。

「新部活動」
西田理英・全1巻・マッグガーデン(コミックEDEN)
★ ★ ★
部活の内容を考える部活動をする、という「部活動」(ハ行参照)の続編。
前作の完結が7年前なので、まさかの復活という印象があった。
内容は本当にそのまま続編となっていて、絵も雰囲気もそのまま。
前作を知っていたら買って損はしない。
ただし、前作を知らないと話はわかりにくい。

「新ブラックジャックによろしく」
佐藤秀峰・全9巻・小学館(ビックコミックスピリッツ)
★ ★ ★ ★
「ブラックジャックによろしく」(ハ行参照)の続編で、前作を知らないとわからない作りになっている。
冒頭にあらすじなどの説明もないので、純粋に前作を知っている人が読んだ方がよい。
話は佳境に入っていて、前作から引き続き、楽しく読める。
最終巻の盛り上がりはなかなかのもので、終わり方もよかった。

「真・女神転生外典 鳩の戦記」
上田信舟・全3巻・スクウェアエニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
ネットゲームをプレイしていた少年は、謎のイベントに遭遇して不思議な痣を手に刻まれる。
そのイベントがあった翌日、少年の通う学校にゲームに出てくるモンスターが出現し、また、同じように手に痣のある同世代の者たちも現れた。
女神転生シリーズベースにしたオリジナルストーリーで、作者のよさがよく出ている。
ストーリーも明るい感じでシリアスに進んでいくので読みやすかったのだが、作者体調不良で第一部完となり、再開の気配はない。
謎が謎のまま残されているので、かなり消化不良。

「新約オオカミが来る!」
納都花丸・全7巻・コミックラッシュ(JIVE)
★ ★ ★
怪物退治を生業とする少年とその相棒の青年。
なかなかお金がない中で弾丸確保にも苦労しつつ、怪物退治を続けていた。
良くも悪くも普通の作品で、安心して読める半面、意外性が望めないストーリー。
絵もそれなりに上手いだけに、印象に残りにくい。
最後はきれいにまとまったが、最終2巻で無理矢理完結用のエピソードを用意したように見える部分もあり、その辺りは微妙。
作者が好きな人になら。

「心理捜査官草薙葵」
月島薫・全3巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
プロファイリングを利用して事件を解決していく刑事草薙葵と相棒の女性刑事の物語。
ストーリー的にはなかなか面白く、犯人とのやりとりで犯人が裏をかいたつもりでも、さらにその裏があるところなど評価できる。
しかし、とにかく絵が未完成で、絵によって引き込む力がない。
読み切りの時も絵が未完成だったが、連載になっても絵は未完成のまま。
絵がもっときれいならば、長続きした連載だったと思う。

「人狼草紙」
楠桂・全7巻・新書館(WINGS)
★ ★ ★
妖が心臓を食べれば不老不死になれるという人狼。その人狼最後の生き残りの物語。
中盤はキャラ説明のためのストーリーが続くので、序盤との繋がりにやや違和感がある。
ラストはハッピーエンドで、納得のいくものだった。しかし、都合のいい展開であったり、変わったラストを予想していただけに、あっけない感じもした。

「人狼伝説」
渡千枝・全1巻・講談社(別冊フレンド)
★ ★ ★
狼の血を引いているという幼なじみの少年からある日突然手紙が届き、そこには故郷に帰ってくるなと記されていた。
しかし、少女はそれを不審に思い故郷に向かう。
恐怖感をあおってくれる絵柄、少し意外性のあるラスト、といつも通りそれなりに読ませてくれる作品。
タイトル以外にも1話収録されている。
しかし、これ以上評価をあげたくなる力は感じられなかった。
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サ行-1 [コミックスレビュー]

「タイトル」
作者・既刊数・出版社(掲載誌)


「サーカス・ワンダー」
楠桂・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
内気だった女の子が彼と一緒にサーカスに出かけ、そこで女の子は行方不明になり、彼の記憶以外から女の子の存在が消えてしまう。
ちゃんと終わっているのだが、終わり方には不満が残る。
この作品もかなり重い雰囲気があるが、同時収録の「夏の悲鳴」もかなり雰囲気が重い。楠さんのりぼん作品では異色の単行本。それなりに読ませてはくれる。

「SERVANT×SERVICE」
高津カリノ・全4巻・スクウェア・エニックス(ビッグガンガン)
★ ★ ★
某市某市役所の保健福祉課。
そこに勤める個性豊かな職員たちの日常の物語。
公務員を扱った話になってはいるが、雰囲気的には同作者の「WORLONK!!」(ワ行参照)に近いものがある。
「WORKING!!」が好きなら買って間違いない作品。
ただ、「WORKING!!」を超えてはいないと思えるのが残念。
悪くはない終わり方だったが、そこまで公務員である必要性を感じなかった。

「[zion]」
榧世シキ・全3巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★
中央政府に害をなすと判断された街を種子使って緑で覆いつくして破壊する裁定者。
その裁定者である青年の物語。
全体的に話の起伏がないので、飽きる人は早々に飽きてしまうかもしれない。
最後もきれいに終わってはいなく、打ち切り仕様。
謎解きも満足にされていないので微妙。
絵が気に入ればまだ読めるが……

「災禍の神は願わない」
尾羊英・全2巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
古代エジプトで兄王オシリスの殺害容疑で処刑されてしまったセト。しかし、気が付くと5年前の世界におり、兄も生きていた。兄の運命を変えるため、セトは動き始める。
世界がループするのではなく、1度だけ過去に戻ってやり直す話。それだけに失敗できないというプレッシャーも感じられ、話に引き込まれる。
短い巻数できれいにまとまっている。

「PHYCHO+」
藤崎竜・全2巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
生まれつき髪と瞳の色が緑色の男の子が、不思議なゲームソフト「PHYCHO+」を手に入れる。
そのゲームは彼にしか使えなく、しかも超能力を使えるようになるゲームだった。
週刊ジャンプで10週終了だった割には、きれいに終わっているので珍しい。
唐突な展開があるために評価を1つ落としたが、それでも面白くていい。
絵もきれいで、独特の雰囲気がある。
2巻に書き下ろしで収録されている作品「DIGITALIAN」もかなり面白いので、読む価値は十分にある。

「最底辺の男」
山口ミコト・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
心の中では人を見下すものの、イジメなどに反抗することもなく、自分より下の人を見つけては自分は最底辺ではない、と自分に言い聞かせる高校生・村井。
そんな村井の前に、小学生時代の同級生・遥が現れるが、村井は遥が人間ではない何かであることに気付く。
とにかく先の読めない話で、展開も程よく早くて引き付けられる。
それでいてしっかり伏線は張ってあるので、話の骨格がしっかりしている。
表紙がちょっととっつきにくいのが難点。
最後は打ち切りだったこともあり、展開が早足だったが、それなりに決着がついている。
もう少しじっくり最後まで描いてほしかった。

「賽ドリル」
河内和泉・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
不慮の事故で死んでしまった女子高生2人。2人がたどり着いた賽の河原では、ある一定の課題をこなすと生き返らせてもらえるという賽ドリルが実施されていた。
わりと軽い設定で、肩の力を抜いて読むことができる作品。
全2巻とキリのよい形で終わっていて、間延びした感じもなかった。

「彩の神」
上田信舟・全5巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
16歳の誕生日に贈られた小刀と、少年の前に突然現れた謎の青年。
その日から少年の周りで様々なオカルト事件が起こり始める。
退魔師ものとも妖怪ものとも違う雰囲気で、作者の独自性が感じられる作品。
中盤の展開は微妙だが、最後の謎解きが始まる辺りからの吸引力はさすが。
終わり方も割とよかった。

「Xiphos」
結賀さとる・既刊1巻(立ち消え)・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
祖国を裏切り未知の大陸で何かを探す少年と、その少年に裏切られ、少年を追う王子の物語。
かなりの王道をいく世界観と設定で、その中でかなりの登場人物が出てくるので、話を頭に入れるのが結構大変。
原作者が別にいて、それを結賀さんの絵の力で引っ張り上げている印象。
元々不定期連載だったということもあり、1巻発売後に連載は休止してしまった。
1巻を出すだけ出してその後音沙汰のないパターンの作品。

「最遊記」
峰倉かずや・全9巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
妖怪と人間とが共存していた桃源郷で突如妖怪が暴れ出して人間に危害を加え始めた。
その謎を突き止めるため、4人の妖怪と人間たちが西を目指して旅をする。
キャラの名前などはよく知られている「西遊記」とほぼ同じだが、どのキャラも人間型にしてあって格好良く、ストーリーにも引き込まれる。
カラーイラストがとてもきれい。
連載中に掲載誌が変更になったので、話はここで終わっていない。

「最遊記 RELOAD」
峰倉かずや・全9巻・一迅社(ZEROSUM)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編。実質的には1巻が前作の10巻に当たる。
作品の雰囲気は全く同じだが、前作を知らないと話がわからないのが唯一の欠点。
もっとも、前作を知らずにこの作品を買う人は皆無だとは思うが。
限定版の内容に関しても、前作を知っている人限定。
なお、これにも更なる続編が出る。

「最遊記RELOAD BLAST」
峰倉かずや・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
上記作品の続編で、これが作品としての最終章になる、とのこと。
序盤から話が終盤に入っている感じが強くなっており、クライマックスが近い雰囲気があるのがいい。
ここまできたら最後まで描き切ってほしい。

「最遊記外伝」
峰倉かずや・全4巻・一迅社(WARD)
★ ★ ★ ★ ★
上記作品の外伝で、上記作品の登場人物の転生前を描いている。
上記作品の外伝なので本編を知っていることが前提の作品だが、知らなくても読める。
本編で前世が悲劇で終わっていることは示唆されているので、ハッピーエンドにはなっていないが、それでも引き付けられるもので、読後感はよかった。
本編を知っているなら読んでおくべき。

「最遊記異聞」
峰倉かずや・一迅社(WARD)
★ ★ ★ ★
本編の主人公の1人・玄奘三蔵法師の師匠・光明三蔵法師の物語。
どのようにして三蔵法師として選ばれ、経文を2本所持することになったのか、ということが語られている。
キャラ設定が相変わらず上手く、序盤からかなりのキャラが出るもののキッチリ描き分けられていて混乱しない。
本編とは割と独立した作りなので、この作品単体でも読めるが、本編を知っている人なら必読レベルの面白さがある。
作者の病気によって連載が中断しているが、作者的に続きを描くつもりはありそう。

「PSYREN」
岩代俊明・全16巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
謎の行方不明事件が発生する昨今。
行方不明者に共通しているのは、失踪前に赤いテレホンカードを手にしていたらしいこと、のみ。
偶然そのテレカを手に入れた少年は、テレカの力で異世界(未来)に飛ばされてしまう。
異世界に行ったら行きっぱなしというわけではなく、行き来するという設定がなかなかよい。
戦闘シーンもなかなか迫力があり、話にも引き込まれる。
オーソドックスではあるが、読み応えのあるよい作品。
最後は少し急ぎ足な展開になったものの、無事完結。
下手に話が広がりすぎず、良かった。

「サイレントメビウス」
麻宮騎亜・全12巻・角川書店(コミックドラゴン)
★ ★ ★
近未来の東京。妖魔と戦う女性たちだけの警察の特殊部隊・AMPの物語。
人気のある作品のわりには、その面白さはそれほど感じられなかった。7巻以降はストーリーに意外性もでてきたが、のめり込めるほどのものではなかった。
ハッピーエンドで終わったのは良かった。
絵は描き慣れているという感じ。トーンも多用されているが、しつこい感じはしない。ただ、所々顔のバランスが悪い絵があり、違和感がある。

「サイレントメビウス テイルズ」
麻宮騎亜・全2巻・スクウェアエニックス(Gファンタジー)
★ ★
上記作品の番外編で、各キャラのサイドストーリーが収録されている。
完全に上記作品を知っている人限定の作りで、あらすじもキャラ紹介も一切ない。
出版社が違うのと、上記作品完結からそれなりに年月が経過していることがあるので、前作のファンなら買っても、という作品。

「咲」
小林立・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★ ★
女子高生たちが麻雀で戦う麻雀漫画。
麻雀が部活の1つとして全国で認められている、という設定になっており、主人公は誰を相手にしても±0で打つことができる天才肌の少女。
雰囲気は「ヒカルの碁」(ハ行参照)のような感じで、麻雀用語はたくさん出てくるものの、麻雀の知識がなくても読むことができる。
序盤は話の進むペースも速くてよかったが、徐々に遅くなってしまって、主人公以外の高校の掘り下げが増えたというのもあり、なかなか話が進まないのがもどかしい。
絵はすっきりしていて読みやすい。

「咲 阿知賀編」
五十嵐あぐり・既刊7巻(完結後続刊)・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
上記作品の外伝で、別の高校の女子生徒たちが主人公となっている。
本編のキャラもちょいちょい登場し、外伝としてはいい作り。
ただし、原作の主人公たちとの対決を急ぐためか最初からアニメ化が決まっていたせいか、全国大会準決勝に行くまでがとにかく早い。地方予選の決勝ですら一瞬で済まされたほどで、その辺り読んでいて少し面喰う。
全国大会の準決勝は丁寧に描かれていたが……
絵は原作と少し違う感じもあるが、読んでいると違和感がなくなっていく。

「桜の花咲くころ」
北条司・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
「こもれ陽の下で(カ行参照)」の連載前の読み切り作品。
その他、短編が収録されている。
そのうち2作品には「CITY HUNTER」に登場したのと同じ名前と顔の人物が出てくる。
「桜の花咲くころ」の主人公も「CITY HUNTER」に登場した人物。
絵がきれいなので安心して読めるのだが、読者を納得させるだけの力がないエピソードもいくつかあるし、話に意外性もない。
その点で評価をグッと下げた。

「桜雪」
ichtys・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガンパワード)
★ ★ ★
作者の初期短編集。
少女マンガ風の話あり、ファンタジーあり、で作者が好きならそれなりに楽しめる。
ただ、それほど出来のよい短編が集まっているわけではないので、あくまでそれなりに、の感じ。
絵は全体的にちょっとゴチャゴチャしている。

「3×3EYES」
高田裕三・全40巻・講談社(ヤングマガジン)
★ ★ ★
人間になることを夢見る、第3の目を持つ、幻の種族の少女と、その少女の力により不老不死となった少年の物語。
OVA化されたりゲーム化されたり、10巻くらいまではかなり話に勢いもあったが、後に失速。
ストーリーは2巻まででかなり真相に迫っているが、結局完結したのは40巻。余計なエピソードが多かったように思う。
また、終わり方のハッピーエンドであるが、いまひとつだった。
絵は決して見やすくはないが、好感が持てる。

「666~サタン~」
岸本聖史・全19巻・エニックス(ガンガン)
★ ★
トレジャーハンターの少女と怪物と呼ばれる仕事請負人の少年冒険物語。
ストーリーの大筋は王道的なものだが、演出の仕方がいまひとつ。所々センスを感じる部分はあるものの、画力と演出力が追いついていない。
話は無事完結したが、最後は少し急ぎ足で物足りない感じがしてしまった。

「殺人よこんにちは」
松本洋子・全1巻・講談社(なかよし)
★ ★ ★
父を亡くしたお金持ちの少女が、夏休みに母と友人を伴って別荘に出かけ、殺人事件に巻き込まれていく。
原作が赤川次郎さんなので、骨格や伏線がしっかりしている。ただ、やはり小説1巻分がコミック1冊にも満たない量で処理されているので、急ぎ足な展開が気になる。
また、絵が未完成なために恐怖感は足りない気がする。

「佐藤くんと田中さん」
高河ゆん・既刊2巻(立ち消え?)・一迅社(WARD)
★ ★ ★
人間社会に紛れ込んでいる吸血鬼・佐藤くんと、それを観察する田中さんの話。
2人は特に恋愛関係というわけではないところが面白く、佐藤くんが長く生きている中で意外と惚れっぽかったりするところなど、ちょっと捻った感じがいい。
連載ペースが遅いのがネック。
掲載誌休刊のため連載が立ち消えになり、作者が作者なのでおそらくこのまま続編は出ない。

「里見☆八犬伝」
よしむらなつき・既刊6巻(立ち消え)・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
「南総里見八犬伝」をかなりギャグでアレンジした作品。
ストーリーに無理なところがあるわけではないし、キャラもそれぞれ立っているので、うまく描いていると思う。
既存の小説をアレンジしたものだと好き嫌いが別れるところだが、この作品は誰でもすんなり入り込めると思う。
絵はすっきりとして見やすいのだが、顔の模様で人物の描き分けをしているものがあるので、それを見分けるのが少々大変。
話として仲間が全員揃う直前くらいまで進んだが、掲載誌移動の過程で立ち消え。現在「里見☆八犬伝REBOOT」として最初から仕切り直した作品がある。

「ザ・ドリフトガール」
飯島ゆうすけ・全2巻・エニックス(ガンガン)
★ ★
天才カースタントの父を持つ女の子が、レーサーになって活躍する話。
ちょっと車に詳しくなれる話で、これを読んで私は少しだけ車に興味を持った。
話の途中から全く無視され、最後の方に思い出したように使われているキャラの使い方は、あまりよくない。
絵もそれほどうまくはないし、くずした絵もよくないので、この評価。

「SUN OF A DOLL」
雁えりか・全1巻・光文社(アンソロジーより)
★ ★
PSソフトのペルソナシリーズアンソロジーで作者が執筆したものを集めたコミックス。
まずはシリーズのソフトを全て知っていることが前提で、知らないとわからない話も結構多い。
私は目がゴテゴテしているのが気になってしまうのだが、そうならない人でゲームを全て知っているのであれば、それなりに楽しめる。

「サムライうさぎ」
福島鉄平・全8巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
下級武士の家に生まれた少年は、ささいな事件で父と兄を失って家を継ぐことになった。
そして、先輩の勧めで先輩の妹と結婚した。
少年は妻のために道場を建て、そこで剣術を極めようと努力する。
全編に渡り主人公のモノローグで構成され、それにかなり引き付けられる。
ただ、中盤からバトルものに変化してしまい、そこで人気が伸び悩んだのか、打ち切りに。
序盤の雰囲気が最後まで続いてくれればよかったのだが。

「さよなら絵梨」
藤本タツキ・全1巻・集英社(ジャンプ+)
★ ★ ★
とある中学生の少年がもうすぐ死ぬ母親の日常をスマホで撮影し、編集して上映したものの評判はすこぶる悪かった。しかし、それを見て何かを感じた少女・絵梨が少年の前に現れる。少女に誘われ、2人は様々な映画を一緒に観るようになる。
様々な伏線が張ってあり、カメラに捕らえられていない部分に真実があることがわかるシーンは鳥肌モノ。
ただ、作者独特の世界観があるので、感性が合うかどうかで評価は大きく変わってくると思う。それなりに人を選ぶ。

「清々(さやさや)と」
谷川史子・全4巻・少年画報社(アワーズ)
★ ★ ★ ★ ★
憧れの名門女子高に入学した清。
その学校に関わる様々な人の視点を通して描いたオムニバスストーリー。
雰囲気は「秘密の階段」(ハ行参照)に近く、穏やかな学校生活の中で起こる様々な問題やそれぞれの思いなどが丁寧に描かれている。
癒し系の作品で読後感が非常によい。

「さらさら」
夢路行・全1巻・一迅社(きららセーズ)
★ ★ ★
何となく学校をサボってしまった少女は、ふとしたきっかけで見知らぬ伯母さんの家の片付けを手伝うことになる。
主に高校生の日常を扱った短編集で、作者らしさがよく出ている話が多い。読み終わったあとの読後感はなかなか。
ただ、他に特筆する部分がないのが残念。

「サララ前線北上中」
まつむらやすし・全1巻・エニックス(ガンガン)

物に魂を宿すことのできる少女サララと、サララが街で出会った男の子などと巻き起こすギャグ漫画。
エニックスで初の漫画大賞準大賞受賞者の連載ということで、鳴り物入りでの連載だったのだが、それほどおもしろくもなく、打ち切りになってしまった。
絵はまあまあいいのだが。

「サリシオン」
久保聡美・全6巻・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
両親の復讐をするため旅をする少年サリシオン。
彼は竜の血が濃いために、竜の戦士として人々にたたえられて誘拐された姫を救うように頼まれるが、サリシオンの心には両親の復讐しかなかった。
久保さんはこの漫画を描くまでずっと江戸時代頃の日本を舞台にした話を描いていたので、剣と魔法の世界で髪がベタ髪ではないキャラたちにはちょっとビックリした。
主人公がかなり弱い設定で、成長を見守れるほど主人公の性格がよくないというのもあり、強く引きつけられるものがなかった。
終わり方は無理に話を終わりにした雰囲気。作者も描きたいことが描ききれなかったという。作者の描きたかったことが全て漫画になっていれば、もっとよい評価だったかもしれない。

「3月のライオン」
羽海野チカ・白泉社(ヤングアニマル)
★ ★ ★ ★ ★
17歳で将棋のプロ棋士として戦う少年。
彼は幼い頃に家族を失い、将棋が強いばかりに新しい家族とも馴染めず、孤独の中にいた。
しかし、偶然出会った3姉妹の家に通うようになり、少しずつ心を開いていく。
「ハチミツとクローバー」(ハ行参照)同様、登場人物たちのモノローグが非常に切なくていいもので、すぐに世界に引き込まれてしまう。
将棋についての考証もしっかりしていてその辺りも安心して読める。

「SANGO」
湖川みさき・全1巻・ラポート(ファンロード)
★ ★
「HI・SU・I翡翠」の続編。
ほとんどの作品が「HISUI」に掲載されている作品の続編なので、「HISUI」を持っていないと話の内容がいまひとつ理解できない。
作者の現在の作風につながる学園ものはわりと面白かった。

「三獣士」
田中加奈子・全2巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
賞金稼ぎとして伝説となっていた三獣士に、人間の骨から不死の薬を作る妖怪を倒すよう依頼してきた少女は、三獣士のボスの死んだ妻と同じ名前だった。
少女に妻の面影を見たボスは、少女の依頼を受けることにする。
モチーフになっているのは西遊記で、登場人物の名前もそこから取られている。
全体的に見て悪くはないのだが、決定的な魅力に欠け、「最遊記(上記参照)」の登場人物と主人公たちの名前が同じことでイメージが被ってキャラに感情移入出来なかった。
西遊記をモチーフにしない方がよかったかもしれない。

「サンドラの壺」
光原伸・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★
家庭環境が最悪でイジメに遭っている少女の唯一の楽しみは、骨董屋でのアルバイト。
そこで見つけた願いをかなえるという壺に願掛けをすると、壺から女が出てきて街を破壊し始めてしまう。
表題作ほか4本の短編集で、読み応えのある作品は既に「アウターゾーン」に収録されたことのあるものなので、作者のファンでも無理に買う必要はない。
ただ、作者の上京物語や連載前の話など、本編に関わりのないところは結構面白い。
そのために買うのも、ファンならある意味アリかも。

「SAND LAND」
鳥山明・全1巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★ ★
国王軍によって水が支配される中、幻の泉を求めて旅する魔族の王子と老戦士の物語。
1巻できれいにまとまっている作品で、最後まで安心して読める。
謎解きにも説得力があり、文句の付け所がない。
絵も見やすい。

「しあわせインベーダー」
こがわみさき・全1巻・エニックス(ステンシル)
★ ★ ★ ★
どんなことでも人並み以上にこなしてしまうが、どんなことにも飽きっぽかった少女の前に自ら金星人だと名乗る少年が現れる。
タイトル作品の他に3本の読み切りが収録されている。
タイトル作品よりもむしろ同時収録の「ふたりなみだ」がお勧めで、これは少女漫画にありがちな都合のいい話ではなくて面白い。
絵は相変わらずやわらかい雰囲気で読みやすい。

「幸せな時間」
柊あおい・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★
本が好きな女の子が受験を前にして不思議な本の世界に入り込んでしまう。
「耳をすませば」の続編にあたるが、あくまで漫画としての続編なので映画しか知らないと混乱する。
漫画本編を知らないと内容はわかりにくい。
よって評価を下げた。

「C.M.B.」
加藤元浩・全45巻・講談社(月刊マガジン)
★ ★ ★
博物館の館長である少年が、珍しいものと交換にさまざまな事件を解決して行く話。
「Q.E.D.」(カ行参照)と同じ作者の作品で、あちらが数学ならこちらは考古学、といった感じで、推理までのアプローチが違うだけで内容は似ている。
「Q.E.D.」が好きな人なら確実に楽しめる話。
最後はそれなりの結末をもって終了した。

「シークレット」
外海良基・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
卒業旅行中のバス事故でクラスメイトの大半を失い、生き残った6人の生徒。
その6人のために用意されたカウンセラーの先生から、カウンセリング最終日に、この中に人殺しが3人いる、と宣言される。
前作・前々作は閉鎖空間からの脱出がテーマだったが、今回は系統は似ているものの趣向を変えてきた。
様々な事件が入り乱れているので、特定犯人1人ということはないのもいいところ。
前作はとにかく話の進むスピードが遅すぎてイライラしたが、今作は話の進むスピードも悪くない。
伏線の張り方などはよかったのだが、結末は既定路線な感じでいまひとつだったのが残念。

「G戦場ヘヴンズドア」
日本橋ヨヲコ・全3巻・小学館(IKKI)
★ ★ ★ ★
有名漫画家の息子と敏腕編集者の息子が共に漫画家を目指す物語。
漫画界を舞台にしているものの、かなり深い人間性にまで踏み込んでいて読み応えがある。
また、そこかしこで語られるセリフに重みがあり、漫画歴が長い人ほど読んで損はしない作品になっている。
全3巻できれいにまとまっており、終わり方も満足の行くものだった。
絵に癖はあるが、慣れてしまえばそれが味になる。

「ZENO」
西川秀明・全1巻・エニックス(ガンガンWING)
★ ★ ★
ZMAN(サ行参照)の番外編と作者の初期作品を集めた短編集。
ZMAN関連の作品は面白いが、初期のギャグ作品はコマ割りが小さくて読みにくく、あまり面白くない。
よってこの評価。
シリアスな作品の方がよい。

「椎名くんのリーズニングファイル」
あさみさとる・全2巻・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
洞察力、推理力に優れるが、恐がりの男の子が身の回りで起きた事件(主に殺人事件)を解決していく話。
「金田一少年の事件簿」と同様、恨みによる犯行が多かったりするが、代名詞表現が少ないことがいい。
ただし、警察が調べるべきことを調べなかったり警察の推理が単純なことは気にかかる。
絵はまあまあいいし、なにぶん個人的に好きな漫画なので評価はそれほど落とさずに、このようになった。

「Jヲタ男子朝比奈くん」
七海慎吾・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
頭もよくてスポーツも万能な朝比奈くんは、国民的アイドル集団ジョーカーズの熱狂的なファンだった。
それを知らずに告白した少女は、朝比奈くんにジョーカーズファンの同志だと勘違いされ、様々なジョーカーズ知識を叩き込まれる。
作中では名称がぼかされているが、端的に言えばジャニーズファンの男子を描いた話。
ジャニーズファンあるあるがたくさん盛り込まれていて、ジャニーズファンの思考から普段の生活まで、熱狂的なファンはこんな感じ、というのがわかる。
ネタがワンパターン化する前にきれいに終わってくれた。

「GENERATION OF CHAOS Next」
土方悠・全1巻・エニックス(ステンシル)
★ ★
同名タイトルのPSソフトの漫画化作品。
全1巻、というとが示す通り、内容はゲームのプレビュー的なもの。
ものすごく中途半端なところで切れている上、謎も謎のまま残っている。
それでも最低評価でないのは、作者の画力が高く、終わりまでそれなりに読めてしまうから。
ゲームを持っている人がコレクションとして買うなら。

「次回をおたのしみに」
あいざわ遥・全1巻・集英社(りぼん)
★ ★ ★
いつもふざけあっていた男の子と両思いになってつき合いだしたはいいが、女の子はぎこちなくなってしまい本音が言えなくなってしまう。
男女が両思いになるまでの話は腐るほど存在するが、両思いになった時点からスタートする漫画は比較的少なく、印象づけられる作品。
タイトルの通り、各話の最後には「次回をおたのしみに」という言葉が書かれているが、3話目にはなく、それが不満だった。
こういうものは徹底的にやって欲しいと思う。
その点を加味して、この評価に落ち着いた。

「屍姫」
赤人義一・全23巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
若くして殺され、この世に未練を残して死んだ少女。
しかし、未練の強さから生き返った屍たちを108人殺せば天国へ行けるという契約をし、少女は屍たちを殺し続けることになる。
ストーリーの構造は非常に単純で、セーラー服の少女がマシンガンやら銃やらをぶっ放したり、体を切り刻まれたりしながら戦っていくので、その手の話が好きな人なら楽しめるのでは、と思う。
割と序盤でメインキャラの入れ替えがあったり、中盤の屍の王を倒すまでで話が終わるかと思いきや、その後真のラスボスが出てくるのは意外でよかった。

「死がふたりを分かつまで」
DOUBLE-S・全26巻・スクウェア・エニックス(ヤングガンガン)
★ ★ ★
何でも切れる刀と盲目でも見える目を持った何でも屋の青年。
その青年のもとに、誰かから逃げる少女が助けを求めてやってきた。
少女は青年に護衛依頼をし、その以来期間を「死がふたりを分かつまで」と指定する。
ある程度科学的根拠を持った世界観の説明などがされるが、それでもとんでも科学設定の話に見えてしまうのが辛い。
絵はなかなか迫力があって、戦闘シーンに引きつけられるところはよい。
綺麗に完結したが、さすがに完結まで26巻は長すぎた。半分くらいがよかったかも。

「シガラミン」
美川べるの・全1巻・講談社(別冊フレンド)
★ ★ ★
あるアパートに引っ越してきた美少女(?)2人。
大家の息子の青年は、この2人にひたすら振り回されることになる。
ツッコミ役の青年がとことんスボラな美女2人にいじられる話で、作者らしいな、という話。
大笑いできるほどのギャグはないものの、所々クスッとくる笑いは多い。
絵に抵抗がなければ、悪くない話。

「時間・空間・人物」
凛野ミキ・全1巻・一迅社
★ ★ ★
様々な異常な愛情を描いたオムニバス短編集。
登場人物が全話共通なので、同じ俳優が別の役を演じている感じで読むといい。
少しややこしいが、話そのものは悪くない。
ハッピーエンドの話はないので、読むのであれば読後感が悪いことを承知で。

「屍鬼」
藤崎竜・全11巻・集英社(ジャンプSQ.)
★ ★ ★
小野不由美さんの原作を藤崎さんが大幅アレンジしている(という話)。
ある小さな村で1ヶ月の間に12人もの人が次々と死んでいく。原因は不明で、亡くなる直前には皆夏風邪のような貧血の症状を持っていた。
話としては面白いのだが、画面が暗く、とにかく読みにくいのがネック。
登場人物も多く、なかなかキャラを把握しきれないのも辛いところ。
もう少しテンポよく読める話であれば……
終わり方は少し含みが残る感じで、大団円とはほど遠いが、悪くはなかった。

「地獄先生ぬ~べ~」
岡野剛・全31巻・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
日本で唯一の霊能力教師が生徒を守るため妖怪と戦う話。
まあまあ面白いのだが、1話完結が多いのでワンパターンに陥りやすく、都合のいい展開も多い。いつも死にそうな危機に直面しているが、結局は死なないので、命を軽く見てしまうようになるのが欠点。
最終盤で作中内のいろいろな問題を解決させ、きれいに終わった。
終わり方としては満足のいくものだったので、続編はあるもののここで終わりと思っていい。

「地獄のエンジェル」
浦川まさる・全1巻・集英社(りぼん)

天使に会ったことのある記憶を持つ少女が、危なさそうな男の子に出会ってから突然命を狙われ出す。
これほど展開が分かりやすい話も珍しい。
今までの浦川さんの作品よりもずっとつまらなく感じた。
他の作品もそれほど面白いとは感じなかった。
正直なところ「何この話」と思わず言いたくなるような話もある。浦川さんだから買った作品だが、期待はずれだった。
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出産日記~出産~ [エッセイ]

臨月に入っても、特に出産の兆候なく過ごしていた39週に入ったその日。
朝起きたら、破水したんじゃないか?、という雰囲気がありました。
でも、羊水がジャバジャバ流れ出る感じではなく、破水してるの?してないの?というよくわからない状態。
たまたまその日の午前中が検診日だったため、とりあえず病院で診てもらおう、と一応入院荷物を用意して病院に行きました。
実際に診てもらうと、検査薬で破水の反応はちょっと出ているけど、陣痛もきていないし、破水が続いているわけでもないので微妙……ということで、自宅待機、ということになりました。
破水があれば自然と陣痛が来るものだけど、その陣痛もないということで。
後々新生児訪問で家に来てくれた助産師さん曰く、やっぱり○○病院はおおらかな病院だね、と言われてしまいましたが。
通っていたのは大きな総合病院で、産婦人科に力を入れているところということもあり、とにかく先生も助産師さんも全員常に落ち着いていて、何があっても動じない感じはこんなところにも出ていました。

また、このとき夫の仕事が納期間近で、この週で出産してしまうと会社は休ませてくれるけど、仕事的にはかなりまずい、と言われていました。
仕事が落ち着く週末の日曜の夜か月曜の朝に出産してくれればそのままGWに突入できるから、空気を読んでその辺りに生まれてきて……と夫婦で赤ちゃんにお願いしたりしていました。
その後、破水しているの?していないの?状態は5日ほど続き、たまたま日曜日の朝早く目が覚めて雑誌の感想を書いていて、ふと立ちあがると何かが勢いよく流れ出る感覚がありました。
これが本当の破水か?
と、思いつつ、前回のように微妙なラインかもしれないからとりあえず30分くらい様子を見てみよう……と雑誌の感想書きを続けていました。
で、破水は時間を追うごとに激しくなる感じがあり、明らかに下痢ではないお腹の痛みがやってきて、これが陣痛か!、と思い至りました。
少し早かったですが、赤ちゃんは空気を読んで今生まれようとしているのか、と思いつつ、病院に連絡してそのまま入院することに。
病院に到着した時、子宮口は3~4センチ開いていて、このままお産は進むだろう、と言われていました。
初産だと子宮口が全開になるまで10時間以上はかかるのが一般的と母親学級で言われていたので、一旦は陣痛室に入ったものの、しばらくは病室で陣痛が強くなるのを待とう、ということになりました。
このとき、陣痛開始から3時間半くらいでした。

そして、陣痛室から病室に移動した途端、いきなり激しい陣痛がやってきました。
今まで感じていた陣痛の比ではない痛みで、脂汗はダラダラ出る、陣痛室では陣痛間隔が5~10分だったのに、いきなり2~3分間隔になる、など何かが一気に進行。
丁度お昼時だったので、用意されていた昼食が食べたい……と思っているのに、陣痛が痛すぎて食べることができず。
そこから30分、陣痛の合間を縫ってご飯を……と思っている中、ふと、
「陣痛って激しくなる一方で弱くなることってないんじゃ?」
ということに思い至り、もうこれはご飯どころではない、とナースコールで助産師さんに来てもらい、再び陣痛室へ。
ちなみにこの移動、車椅子とか持ってきてくれるのかと思いきや、徒歩。
しかも病室が陣痛室から1番遠い場所で、この病室から陣痛室へ歩いて移動するのがかなり大変でした。
数10メートルは歩いたかと思います。
でも、付き添ってくれる助産師さんはすごく落ち着いていて、深呼吸して、とかいろいろアドバイスをくれました。今思うと、本当にこういうことが日常的だから助産師さんは落ち着いているんだな、と感じました。
再び陣痛室に入って見てもらうと、既に子宮口が全開になっており、赤ちゃんの頭がすぐそこまで来てる、と言われました。
陣痛が始まってから4時間、展開が速すぎて驚きました。
ここまで来るのにあと10時間はかかると思っていました。

しかし、ここからが長かったです。
分娩室に入ったら早い人で1時間、普通なら2時間くらいで産まれるらしいのですが、2時間経ってもいまひとつ赤ちゃんが出てこない。
仰向けになると陣痛が弱くなるからのようで、時間についてもあまり長くかかるのはよくないけど、帝王切開するほどではない、ということで陣痛促進剤を使って分娩続行。
このとき陣痛促進剤使用同意書にサインをしたのですが、陣痛の痛みでヘロヘロ状態だったので、後で字を見たらミミズがのたくったような字になっていました。かろうじて自分の名前が判別できるくらいの感じでした。
それから1時間、何とか無事に娘が生まれました。
生まれてすぐ目が開いていたのはちょっと驚きました。
陣痛が始まってから約7時間の安産で、そこまで体力を消耗することなく出産できてよかったです。
お医者さん曰く、初産だと陣痛開始から30時間以内に出産できれば安産ということでしたが、出産直後はあの痛みで安産なのか……難産だとどうなるんだ……と思ったりもしました。
同室だった別の妊婦さんは28時間かかったと言っていて、相当大変だったようなのですが。

余談。
母親学級で初産は20時間くらいかかるのが普通、くらいに言われていたので、私が陣痛室に入ったくらいのときに夫は一旦帰宅して、親に連絡したり家の片付けをしたりしていました。
でも家に帰ったらすぐに病院から電話があって、もうすぐにでも生まれるから病院に来て、と言われて急いで病院に駆けつけてみたら、そこから3時間待たされ……ということで、この待ち時間は辛かったと言っていました。
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出産日記~妊娠後期~ [エッセイ]

この時期はとにかく体が重い・動かない、と日々思っていました。
階段の上り下りは2階分になると息切れ、何もしていないで横になって寝ているときでも動悸が激しくなる、体重が増えた分、負担がかかってすぐに膝がガクガクする、など地味に辛い症状に襲われました。
寝ているときも寝返り打つだけで辛いですし、お腹が重くて仰向けには寝られない、胎動が大きくて眠りが浅い、夜中に必ず1回はトイレに起きる、などなど妊娠中のマイナートラブルとして知られていることでも、実際に体験すると辛かったです。
また、臨月に入る前まではウォーキングを続けていましたが、突然生まれてしまうかも……という心配もあったので、妊娠9ヶ月目は1時間くらいまでウォーキングの時間を減らしました。
臨月に入るまでは、検診は徒歩で病院に通っていましたが、さすがに臨月は体が重くてタクシーを利用したり、可能だったら夫に送ってもらったりしました。
その他、私は子宮筋腫が子宮の外側についているタイプだったので、8ヶ月くらいからは子宮筋腫のところだけポコッと膨らんでいるように見えました。
最初はそれが頭かと思って撫でていたりしてましたが……検診のとき先生に、
「筋腫が見えてるね~」
と言われて、頭じゃなくて筋腫なんだと気付きました。

名前問題
子供が生まれる前に決めておかないといけないことの1つに、名前があります。
そして現在、子供に読めない名前を付けることに対していろいろと言われています。
私自身読めない名前だった(というより読んでもらえなかった名前だった)こともあり、子供はちゃんと読んでもらえる名前がいいな、と思っていました。
いろいろな読み方を推測できるものでもなく、これ以外読み方はない、という感じの。
例えば、名前が「花子」のような、「はなこ」としか読みようがない、というような。
「佳子」だと「けいこ」とも「よしこ」とも読めるので、そういうのもない方がいいな、と。
私が学生だった頃は、子供に読めない名前を付けるということがまずない時代で、クラスでも読めない名前だったのは私くらいだったように記憶しています。
ただ、名字も名字で珍しかったので、名前で呼ぶ人など両親くらいのものでしたが。
名前が珍しいことで得をしたこと、損をしたことについてはかつて記念企画に書きましたが、今もってちょっと困っているのは、病院などの呼び出しで名前を正確に読んでもらえないこと。これって自分なのかな?と考えてしまうことが度々あります。
幸い今の名字が旧姓よりもさらに珍しいものなので、自分だと判断できるという部分もありますが、佐藤とか鈴木とかものすごく数の多い名字だったら更に困っていただろうと思います。
ということもあり、子供の名前は夫と2人で、確実に読める名前でキラキラネームじゃなくて変な意味にとられることもない名前を決めたいな……と思っていたのですが、夫は、
「もう20年くらい前から女の子が生まれたら子の名前にするって決めていた。」
と主張。普段は私の意見を飲んでくれることの多い夫なのですが、この名前に関しては本当に折れなかったです。
姪がこの夫の主張する名前と発音が近く、混乱するから止めようよ、と言ってみても、
「それは向こうが真似しただけで、俺は昔から決めてた。」
と折れる気配は全くなし。
結局、生まれてくるのが女の子だったら夫が決めた名前、男の子だったら私が決めた名前、ということで妥協しました。私が決めた名前が、たとえ光宙(ピカチュウ)でも文句は言わない、ということで。
それでまぁ、結果的に女の子が生まれることになったので夫が決めた名前になったわけですけども。
今となっては、
「男だったらシンジ、女だったらレイにする。」
とか、
「男でも女でも潮(うしお)にする。」
とか言い出さなかっただけましかな、と思うようにしました。
名前としてはどこにでもある発音ですし、一番一般的な漢字を使いますし、読み方もそうとしか読めないですし、季節的な意味でも間違ってないですし。

性別に対する思い
名付けに関することもあって、夫は女の子が欲しいと言っていました。
私は名付けに関しては男の子が欲しいと思っていましたが、最初は女の子がいいと思っていたというのもあり、どちらでもいいと思っていました。
実両親、特に母は娘がいて本当によかった(多分、愚痴と旅行の相手として)と日々言っていたり、将来は親子三代で旅行に行く気満々だったというのもあり、女の子が欲しいオーラを出していました。
義両親は、私が出産するまで内孫がいない状態だったのと、跡取りについて古い考えを持っているため、男の子が欲しいオーラを出していました。
まだ性別が判明していなくて、たまたま私が用事で義実家を訪ねた時、お腹で結構動くんですよ、と話したら、義父「それじゃあ男の子だな。」
義母「動くなら男の子だね。」
と声を揃えて言ったときは、あぁ本当に男の子が欲しくて跡取りにって思ってるんだな……と感じました。
私自身初産なので、どの程度動くのが男の子なのかなんて比較対象がないから何とも言えないわけですが……
言った後は決まって、
「どちらでもいいんだけどね。」
と言うのですが、男の子が欲しいと思っているのは誰の目から見ても明らかでした。
また別の日、せっかちな義父は、
「もし男の子が生まれたら五月人形はどうする?」
とか言い出したりして、4月末に生まれるのだから、生後1週間レベルで五月人形も何も……とちょっと呆れるような出来事もありました。
この話をしたら、さすがに実母も引いていました。
性別がわかった後の義両親は、
「1人っ子だとさびしいから、2人目を……」
とよく言うようになりました。
これは実両親にしても同じなのですが、1人目が産まれていないのに、なぜ2人目の話をするのだろう?、とはよく思いました。
私としては、2人目も欲しいとは思うけど、1人目でどの程度疲れるのかなどがわからないと何とも言えないな……と思うわけで。
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出産日記~妊娠発覚から妊娠中期~ [エッセイ]

前回の話のようにいろいろと計算した結果、妊娠が判明したのが9月初旬。
体調が特におかしいというわけではなかったものの、毎月正確な生理が2週間なかったので、これは妊娠したかな……と思って検査薬を買いに行き、調べてみたら陽性。
最近の検査薬はかなり正確で、陽性が出たらほぼ間違いないらしいのですが、念のためもう1回調べてみようということで調べてみても、やはり陽性。
これは間違いないなってことで翌日病院に行ってみたら、妊娠6週ということでした。
このとき言われた出産予定日は4月中旬くらいで、3週間後くらいになればより正確に予定日がわかるということで後日調べてもらったら、少し遅れて予定日は4月下旬ということでした。
計算通り早生まれではなく4月生まれになる!、ということで、正に計画通り。
ただ、早産になってしまうと早生まれの可能性もあるわけで、その辺りは極力避けられるようにしていかなかいとな、と思いました。
当たり前のことですが、タバコの煙などは吸い込むと早産の可能性が上がるということで、とにかく喫煙所のある場所に近付かないとか、その辺りをいろいろと努力しようと。
ちなみに、本気で早生まれにしたくない人は、早産になってもある程度平気なようにあえて5月生まれになる計算で作る人もいる、とのこと。
私の場合は4月下旬が予定日だったので、2~3週間早くても大丈夫だったのは、運がよかったのかもしれません。

妊娠初期~つわり地獄~
妊娠が確定してから数日後から、徐々につわりが始まりました。
最終的に吐いたのは1度だけでしたが、寝ているとき以外、意識があれば常に気持ち悪いという状態は何かの罰ゲームか、と日々思っていました。
寝ても覚めても、お腹がすいても、お腹がいっぱいでも気持ち悪い、もうどうしろ、と。
唯一気持ち悪さが軽減されるのが、何かを食べている最中に少し空腹が満たされたと感じた時の約5分くらいだけ。それ以外の意識がある間は常に気持ち悪かったです。
生まれてこの方二日酔いになったことはなかったものの、常に胸がムカムカしつつゲップがしたい状態になり、どうもこれが二日酔いの状態に似ているらしい、と後々知りました。
つわりが終わった16週まで約2ヶ月半、きつかったです。
妊娠悪阻とまでいかなかっただけでもよかったのかもしれませんが。

つわりが始まると食べ物の好みが変わる、というのはよく耳にしていましたが、それはもれなく私にも起こりました。ただ、やはりそこは個性が出るみたいで、一般的に言われていることと、自分に当てはまることには差がありました。
一般的に言われていて当てはまったのは、甘いもの全般がダメになること。
普通の食事で塩気のあるものを食べた後より、甘いものを食べた後の方が数倍気持ち悪くなっていました。
ただ、味やのど越しは妊娠前と変わらず、食べ終わった10分後くらいに強い気持ち悪さがやってくる、という面倒なものでした。
甘いものだって食べたいのに、食べたら気持ち悪くなるから食べられない、という。
この法則がわかったときは、かなり残念な気持ちになりました。
また、唯一味もダメになったのが、日々飲んでいた午後の紅茶ストレート。
いつも飲んでいるものと似ているけど違う味に感じられて、飲めなくなりました。
冷蔵庫に買い置きが山ほどあったのに、それを消化できないというのが辛かったです。(放っておくと夫に飲まれてしまう)
つわりでダメになるもので当てはまらなかったのは、炊いたご飯の匂いと揚げ物。
炊いたご飯の匂いについては義姉から何度も言われていましたが、全くもって問題なかったです。
揚げ物も普通に食べられました。
その他、

・同じ食べ物を2食連続で食べられない
・甘いものは飲み物にも影響して、甘い味の付いている飲み物(0カロリーの炭酸やスポーツドリンク)も
ダメ
・でも、果汁100%のジュースは平気
・果物だったらある程度甘くても平気だったが、少し食べ過ぎると気持ち悪くなった

などがあり、本当に何という罰ゲームなのか、と感じる日々でした。
その後、つわりがなくなると食べ物の好みは元に戻りました。
つわりは現在もなぜそういう状態になるのかわからないと言われていますが、私自身体験した感じだと、

・胎児に必要ではない栄養を取らないように体が変化する

という説を信じたくなりました。
砂糖はカロリーがあっても栄養はないから妊娠中は取り過ぎない方がいいと言われていますし、同じものを2食続けて食べられないのは、別のものを食べなさいよ、と言われているように感じたもので。
果汁100%や果物が平気だったのは、ある程度ビタミンを取った方がいいからかなぁ、とか。
そんなことを感じていました。

妊娠中期~子宮筋腫の痛み~
妊娠する前から健康診断で子宮筋腫があるというのは知っていました。
健康診断のときは、そこまで大きいものでもないし、経過を見守りましょう、ということだったので、そこまで気にしてはいませんでした。
月経不順などもなく、筋腫が子宮の外側にあるタイプだったので妊娠の邪魔にはならないため、放っておいても平気でしょう、と言われていたということもあり。
ただ、妊娠がわかったときに担当の先生から、
「妊娠が進むと筋腫が子宮と共に大きくなって、他の臓器や骨を圧迫して腰痛になることもあります。逆に
子宮に血液を奪われて小さくなって、そのときに痛みが出るかもしれません。そのときは痛み止めで大丈夫
だと思います。」
と言われていました。
それをほぼ忘れかけていた18週目くらいで、後者の症状が出ました。
最初は脇腹が酷い筋肉痛になったような、引きつれたような痛みを感じて、それが翌日に悪化。
立っても座っても横になっても痛くて、座椅子の背を少し倒して仰向けになっていると若干楽になるかな、という感じでした。
そのときは夜も眠れなくて2時間毎に目を覚まして、壁にもたれかかりながら仮眠するような感じでした。
これ以上悪化したら病院に行こう……と思っていたら、その翌日はまだ痛いものの若干痛みは引いて、夜も4時間くらいは連続して眠れるようになりました。
その翌日も症状は軽くなって、2日後には検診があるから、そのとき先生に聞けばいいかな……と思って、そのまま日常を過ごしました。
そして、検診の日。
先生に聞いてみると、
「ああ、これは筋腫ですね~大体1回の妊娠で1つの筋腫につき1回痛くなって、1週間くらいで治りますよ~もう痛くないなら平気ですね~赤ちゃんに何かあるときはお腹の真ん中が痛くなりますから、脇腹が痛くなっても問題ないですよ~」
とかなり軽く言われてしまいました。
慣れたものなんだな……と感じました。
そして、先生の言葉通り、痛みはそのまま消えていき、特に痛み止めなどを飲むこともなく過ごすことができました。
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出産日記~妊娠・出産の決意~ [エッセイ]

これから全5回に分けて妊娠・出産について書いていきます。
書いてあることは全て私自身の独断と偏見によるもので、一般論とかけ離れていることもあるかと思いますし、一部不快に思われる方もいるだろう表現もあるかと思います。
具体的に言うと、私は出来る限り自然に出産できたらいいと思うけど、少しでも危ないことがあったら躊躇なく現代医療に頼ればいいと思っている医療派。自宅出産などをを考えられている自然派の方とは、相容れないところも多いかと思いますので。
その辺りを気にされる方は、スルーしてください。

妊娠・出産を決意するまで
結婚当初、子供を作るつもりはほぼありませんでした。
金銭的なことではなく、夫婦だけで老後まで一緒に暮らすのがいいなぁ、と漠然と考えていたということと、まず最初の1~2年は夫婦だけで暮らしたいと思っていたという2点で。
また、出来ちゃった結婚が上手くいかない理由の1つとして、夫婦だけで暮らす期間が短いから、と指摘されていたり、実際私の周りで出来ちゃった結婚をした人で客観的に見て幸せそうだと思える人が皆無だったこともあり、まず最初は夫婦だけでのんびり暮らしていこう、と。
端的に言えば問題を先送りにしたままに過ごしていたとも言えます。

その考えが変わってきたのが、結婚4年目くらいのとき。
理由はいくつかあって、それを箇条書きにするとこんな感じです。

・夫婦の年齢的な問題
夫は私より6歳上なので、子供の運動会で自分だけ年がいっていたり、子供が成人するときにヨボヨボだったりするのはかわいそうだから、そろそろ作ってもいいんじゃないの?、と夫。
私も高齢出産の域に達していないものの、産むなら早い方がいいだろう、とは思っていました。
夫婦で話し合って、それじゃあ子供を産んでみようか、と決めました。

・義両親からのプレッシャー
全く悪気がないだけにたちが悪いタイプのプレッシャーでした。
義姉は出来ちゃった結婚で女の子が1人だけ、それ以外に孫がいないので跡取りがいないってことが義両親、特に義父にとっては早くどうにかしたい問題のように見えました。
義父はせっかちな上に思い付きで物を言う癖があるので、本人は言っているつもりがなくても、失言をポロポロ言ってしまう人。うっかり失言があると夫がちゃんと怒ってくれるものの、こういう性格ってのはもう直らないものです。
さすがに私に対しては気を遣っているのか、妊娠・出産について直接言わなかったものの、夫に対して、「大人になって熱が出たことあるんだから、病院で検査してこい。」
とか言ったり。これ、義父本人は言ったことを記憶していないんです。
そう言おうと思ったこともある、くらいにしか記憶に留めていなくて。
実の息子でもそれは言ったらいけないんじゃ……ってことは、他にもいろいろ言われていたらしいです。
多分、私に対しても何か体に欠陥があるんじゃ……と疑っていたのでは、と思われる部分もあり。
それ以外にも、本人は言ってないつもりでも、近所の家の子供の話とかを繰り返し繰り返し話すようになって、見えないプレッシャーは日に日に大きくなっていっていました。
「○○に住んでる××さんは結婚7年目でやっと子供ができてね。だからまだできなくても心配しなくていいよ。」
とか。もう数十回は聞いた話。
出来ないんじゃなくて作ってないんだよ、というのは言えず。
そのうち、それだったらもう、私の中では産んでいろいろ証明してやるよ!というくらいの勢いになっていました。

・子供を産んだ人の話をいろいろ聞いて
「私も子供を育てられるなんて思わなかったけど、動物好きなら大丈夫だよ。」
とかつて2人の子持ちの方から言われたことがありました。
基本的に小さいうちは動物と似たようなものだから、と。
また、幼児教室で働いていた中で、子供って本当に親そっくりに育つというのが見えましたし、ある程度子供の扱いにも慣れたので、まぁ私と夫の子供なら大丈夫かな、と思えたというのもあり。
それらのことがいろいろと混ざって、じゃあ子供を産んでみようか、ということになりました。
ただ、子供を産むにあたって最初から決めていたことがありました。
それは、子供の誕生日を4月からせめて9月までの間にすること。
これは幼児教室で働いていたことと、今までの人生経験から、早生まれになるとその時点でそれがハンデになるというか、4月生まれだとそれだけでアドバンテージを取れるというか、とにかく4月生まれ(特に女の子)の成長の早さというのを目の当たりにしていたというのがありました。
小学校高学年くらいになると、生まれ月に関係なく頭のよさ・運動神経のよさが目立ってきたりするのですが、子供が小さいほどやはり生まれ月による成長の違いは大きいです。4月生まれと3月生まれで約1年違うということは、学ぶ時間も4月生まれが約1年多いということで、事実スポーツ選手は4月生まれの方が絶対数が多いと言います。
また、大学から社会人にかけて出会った女性の中で、大学は浪人して入ったという人の多くが早生まれだったというのも昔から引っ掛かっていたことで、とにかく早生まれにはさせたくない、と思っていました。
子供の生まれ月というのは、両親側である程度コントロールできるものなのですから、これはしっかり計算して狙うべきだろう、と最初から考えていました。
高齢出産の域に入るまでにはまだ時間があり、不妊治療をしていて少しでも早く妊娠したいということでもなかったので、まずは4月生まれを狙ってみよう、と思っていたわけです。

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打ち切りのない漫画雑誌 [エッセイ]

連載作品が掲載されている雑誌に付き物なのが「打ち切り」。
作者の体調不良などでやむを得ず打ち切りになってしまう作品もありますが、今回の話はそんな場合を除いた、作者が続きを描ける状態なのに人気が出なくて打ち切られている作品についての「打ち切り」の話です。

打ち切りシステムが1番はっきりしている漫画雑誌と言えば、真っ先に思いつくのが週刊少年ジャンプ。
アンケート至上主義とも言われますが、どんなに長い連載でも(一部除く)、話がどんなに中途半端でも、人気がなければ即終了。
「BAKUMAN」によれば、人気というのはアンケートで20作品中12~13位以内くらい、コミックスの発行部数が50万部以上というのが指針らしいですが、このラインを割ると雑誌でも明らかに掲載位置が後ろに来るとか、カラーがないとか、結構あからさまな感じになります。
これは他の漫画雑誌でも割とよくあることで、人気がなければ打ち切られる、というのは半ば常識のようなものでした。

しかし、これに当てはまらない漫画雑誌というのも存在しました。
有名なところだと、コミックバンチの初期、私が読んでいた雑誌だとブレイドの初期が打ち切りのない漫画雑誌でした。
極論すると、読者よりも作者の方を大切にする雑誌とでもいうのでしょうか、作者が納得するまで続けていい、人気がなくてもすぐには打ち切らないで様子を見る、そんな方針でした。
それが結局どうなったのかというと、その方針は長くは続きませんでした。
ブレイドの方がより長く打ち切りをしない方針を続けていましたが、その当時のブレイドを思い返すと、全体的にぬるま湯だったな、という印象です。
いつ終わるかわからないような緊張感がなかったな、と。
打ち切りがないというのは、中途半端に終わる作品がないということで読者にも優しかったですが、特に面白くもない作品を延々と読み続けさせられるという部分もありました。
ブレイドは打ち切りをしなかったという以外にも、アニメ化作品を無駄に連発したり、特に話題にもならなかったメディアミックス作品の連載が妙に増えたり、鳴り物入りで連載が始まった作品が次々と休載になったり別人が描いたり、といろいろと問題があった末に打ち切り作品を出すようになりましたが、たとえそういう騒動がなくても初期の方針はずっと続けられなかっただろうな、と今では思います。

全ての読者がそうだというわけではないですが、結局は、

最後まで作品を読みたい思い<<<<面白くない作品が延々と掲載され続ける苦痛

ということだったのではないかな、と思います。
人気作品であっても自分に合わない作品だったら読むのが苦痛になり、人気がなくても自分に合う作品だったらずっと続いてほしいと思いますが、作品の数からいったら、

人気があり、自分に合わない作品>人気がなく、自分に合う作品

となるのは必然で、いくら自分に合う作品を応援し続けても、その作品を応援する数が圧倒的に少なければ商品として市場ではあまり必要とされないわけで。
雑誌の売り上げそのものが下がり続けている中、ジャンプが他の雑誌に比べてそこまで部数を下げずにいられるのは、徹底して人気主義でやっているからなのだろうな、と感じます。
打ち切り作品を出さない方針というのは理想論でしかなかったのだな、と実感しました。
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結婚の理想と現実 [エッセイ]

以前記念企画で「理想の結婚相手」というのを書きました。
該当記事は今回再録しなかったのですが、実際に結婚して相手はどれだけ理想に近かったのかどうかを考えてみます。

①身長
理想:160~165くらい。自分より高く、高すぎないくらい。身長差は10センチくらい。
現実:174。身長差25センチ。
いきなり理想とかけ離れていますが、身長差25センチなら特に問題ありませんでした。
むしろ、高いところにあるものを取ってもらえる、というメリットがあって、これはこれでよいかな、と感じています。
ちなみに、結婚式の衣装を決めるとき、身長差が25センチもあると同じ写真の枠内に入らないのでヒールは高くしましょうね、と言われて11センチヒールを履きました。

②学歴
理想:4年制大学卒。大学はある程度知名度がある。
現実:専門学校卒。
社会に出て、というより旦那さんと会ってわかったのは、頭の良し悪しは勉強(学歴)の良し悪しではない、ということでした。
理想を書いた当時は、誰も知らないような名前の大学に行ってる人も、逆にいい大学すぎても合わないから、同じくらいのレベルがいいなぁ、などと生意気なことを考えていました。でも、専門学校卒だって高卒だって根本的な頭の回転のよさを持ってる人はたくさんいて、そういう人が最終的には社会で生き残るんですよね。
いくら学歴が良くても、ニートになる人もいれば、定職につかない人もいるわけで。
以前働いていた会社では、大学院を出ているからって下手にプライド持っていて大卒をバカにしていたり、大卒は大卒で高専卒をバカにしている風潮があったりしました。
あの人は高専卒だから常識ないのかねぇ、みたいなことを聞いたときは、その考えどうだろう、と思ったものです。
つまりは、学歴があまりよくなくて頭の回転がいい人は、ただ勉強しなかっただけなんだな、と(爆)
なお、マジックアカデミーとかの学問の問題では、旦那さんの成績はあまりよくないです。
たまに、びっくりするようなことを知らなかったりします。
明治維新の年を知らなかったり、貧窮問答歌を詠んだのが誰かを知らなかったり、古文が得意だとか言いながら私より方丈記の暗唱ができなかったり、といろいろネタには事欠きません。
でも、妙に雑学に強かったり、やたらとアニメに詳しかったり。
多分、私と同じだけ勉強していたら、もしくは予備校に行くなり何なりでちゃんと受験勉強していたら、普通に大学出てたと思います。
大卒・院卒がうようよいる職場で特に問題なく普通に働いているのがその証拠ではないかな、と。

③エニックスに対する知識
理想:それなりに知っているけど、私より知っていてはいけない。漫画とゲームに理解はある。
現実:同上
漫画とゲームに対する理解としては、誰よりも高いんじゃないかというくらい寛容です。
とらのあなでコミックス20冊くらい買っても持ち運んでくれますし、いくら本を買い込んでも捨てろとは言いませんし。逆に私が旦那さんのガンプラを許容している、というのはありますが。
休日もお互いのゲーム時間があって、集合時間を決めて、それまではお互いにそれぞれの部屋でゲームをプレイしたりしてます。

④お酒とタバコとギャンブル
理想:お酒は強い、タバコは吸わない、ギャンブルはしない
現実:お酒は強い、タバコは吸う、ギャンブルは隠れてやってる
お酒は私も強いので、飲めない人だったら辛かったかも、と思います。
付き合う前のことですが、2人で朝までお酒を33杯飲んだという記録があります。
タバコはもちろん吸わないのがよいですが、家の中では絶対に吸わない、外に出かけるときは携帯灰皿を常備、を守っているので許容しています。
逆に、旦那さんの両親から、タバコをやめるように言ってくれ、と言われているくらいで。
ギャンブルもしないのに越したことはないですが、それで家計を圧迫することはないので、ゲームと同じようなものだと思っています。
負けたからといってお金をせびるわけでもないですし、勝ったら勝ったで何かご馳走してくれますし。

⑤年齢
理想:±5歳まで
現実:+6歳
理想の年齢を書いた段階では気がつかなかったことですが、私は年下を恋愛対象として見られない体質でした。どうあがいても、年下は弟みたいなもので、恋愛対象にはなり得なかったです。
そうなったときの理想は+5歳まで、となりますが、現実はそれを更に上回りました。
ここまで離れると話が合わないからつまらない、と思っていたのですが、趣味が同じなので世代格差は感じてもつまらないわけではなかったです。
現在進行形でプレイしているゲームがあったり、読んでいる漫画があれば、その話ができるわけですし。
趣味が同じだったら、年齢はあまり関係ないのかもしれません。
さすがに2桁離れるときついかもしれませんが。

⑥容姿
理想:見るに耐えない顔でなければ。童顔系がよい。
現実:見るに耐えない顔じゃない。系統不明。多分顔は濃い。
結婚式場の衣装係の人とかに、
「学生時代は柔道やられてましたか?」
と数人に聞かれたくらいの体格で、普通のお店じゃ普段着も何も買えないのが困る、という旦那さん。
私が旦那さんの後ろに立ったら、陰に入って見えなくなるくらい体格差があります。
見るに耐えない顔じゃない、でも美形ってわけでは決してなく、まつげは長いなぁ、と日々思うよくわからない感じです。
「芸能人で伊集院光が好きだっていうのは、見た目を含めてのことですか?」
と聞かれたこともありますが、そんなつもりはなかったです。

それとは別に、私はなぜか顔が長い人、しゃくれている人を見ると、
「どうしてこの人は顔が長いんだろう?」
「どうしてこの人はしゃくれているんだろう?」
と、意味もなく考えてしまうので(答えが出るわけでもないのに、ずっっと考えてしまうのです)、少なくとも旦那さんはその系統の顔ではなかった、ということでしょう。
結婚してわかったのは、
「何かされたときに、格好いいから許す、と思えなければ、顔なんて二の次。」
ということでした。

⑦性格
理想:ルヴァ様とミッターマイヤーを足して2で割った性格
現実:年がら年中からかってくる、でもフォローもする
付き合っていたときは、人の言うことよく聞いているし、優しい人だと思っていましたが、結婚してから、あれは相当演じていたものだったな、と感じました。
結婚したら、まぁ毎日のようにからかってくるし、私も私でツッコミをいれずにはいられないので、毎日毎日ローキックを繰り返しています。
でもまぁ、怒鳴ったりしないですし、手をあげてくることもないので、これはこれでよかったのかなぁ、とも。
ただ、ものすっごい天邪鬼なので、Aを出せばBがいいと言うし、Bを出したらAを取るような人でいろいろと苦労はしています。
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